【2017年9月22日,京都キンカンで配付。】
報 告
9月に入って以下2つの現地行動が行われましたので、その様子を報告します。
① おおい町議会「原子力発電対策特別委員会」(9月8日)にあたっての要請・抗議行動と同会の傍聴
② MOX燃料の高浜原発への搬入に当たっての抗議行動と関電への申入れ(9月21日)
9月8日おおい町議会「原子力発電対策特別委員会」
◆9月8日13時30分より、標記の特別委員会が、大飯原発再稼働への賛否を審議するために開催された。町長はこの審議結果を再稼働容認の拠り所にしてようとしている。
◆同日正午に、関西各府県および福井県内からおおい町役場前に結集した42人は、役場前で「再稼働を許すな!」の要請行動を行い、特別委員会が再稼働容認を決定した後には、この暴挙に断固として抗議した。
◆また、参加者の一部は、特別委員会の傍聴も行った。以下の「傍聴記」で述べられているように、委員会では全ての委員が「再稼働ありき」で用意してきた意見を述べ(ほとんどが読み上げ)、討論は全くなく、その翼賛会議ぶりには唖然とさせられた。町民の安全安心など頭の片隅にもない町議のみで構成される議会を持つ町民は、不幸としか言いようがない。
おおい町議会原子力発電対策特別委員会 傍聴記
大津市 澤田たか子
2017.9.8 13:30~ 於:全員協議会室
◆協議事項:大飯発電所3,4号機再稼働に関する意見集約について
◆傍聴番号10番の私は、後で地元の方が来られ、立傍聴を認められた。できるだけ、発言しておられる委員の表情を知りたいと思って臨んだため、正確にメモを取れたわけではないので、ご容赦願いたい。
1.各委員、個人の考えを表明 (順不同)
◆委員①…5.24、大飯原発3、4号機が新規制基準を満たし、科学的見地を示された。8.31、視察をし、所長の安全対策に関する強い決意を聞いた。
(この後、「何故この時期に急いで会議を開くのか? 福島の現実を見よ!」と傍聴席から発言があり、一時中断。―――再開)
◆委員②…日々、住民の意見を聞いてまわった。大多数は地元経済の活性化を望んでいる。賛成。
◆委員③…規制委員会が厳格に審査された。基準値振動、津波対策など、そのつど理解できた。8.31現地で確認できた。関電常務の安全に対する決意を評価できる。町民の再稼働要望は多い。国や関係機関へ7項目要望する決議もした。同意。
◆委員④…福島原発事故を教訓に、世界で最も厳しい基準がつくられた。8.31関電は、社員に絶対事故をおこさないよう徹底されていた。7.20の町民説明会でも住民は概ね賛成だった。同意。
◆委員⑤…原発ができて40年たち、町民として誇らしく思う。40年間地元の経済や雇用を支えてきた。住民の思いはあるが、国でもいわれるように、原発を今すぐなくすことは難しい。原発が動かない事への不安があったが、動かしたらよいという人が多い。安全対策に関して、一般住民へ、議員にするのと同じように、継続的に説明すること。廃棄物問題は、国へ強く求めることが大事。同意。
◆委員⑥…町民への説明会も行われ、規制庁のビデオを見て住民も十分理解した。国民全体への理解を深めること、防災強化に取組むことを前提として、同意する。
◆委員⑦…町民の声としては、避難道路の整備、避難計画の改定を重ねてもらいたい。不安をもちながら、常に安全を求め、再稼働すべき。
◆委員⑧…十分な説明をうけ、現地でも確認できた。素人ながら、住民と話し、再稼働すべき。今後、使用済み廃棄物、最終処分については、国の責任でされる。万一事故が起きた場合、避難についても分かりやすい説明をすべきである。同意。
◆委員⑨…安全性の確認に関して、以前のレベルより数段高い規制基準になった。40年間国策に則り、基幹産業として経済界を支えており、誇りをもって原発で働いている。安定した電力を供給してきた。広域避難訓練を充実すべき。国が前面に立ち、責任をもってもらえる。国から求められる限り再稼働すべき。
◆委員⑩…安全対策は大丈夫か、避難経路は大丈夫か、使用済み燃料問題の課題はある。絶対事故を起さない姿勢は示された。自分は素人。新規制基準を信じるしかできない。基幹産業の原発が廃業ともなれば、経済が委縮し、人口も減少する。原発と共存共栄。賛成。
◆委員⑪…(お一人発言されたが、先の発言者にあきれて、メモ取れず。失礼しました。)
◆委員⑫…福島原発事故を教訓にした、世界一厳しい規制基準が定められ、合致できた。町の活性化と安心安全のため、再稼働に向けた6団体から要望もだされている。同意。
〈委員長の集約〉
再稼働に関しては、厳しい規制基準があり、4年間慎重に審議してきたこと、委員全員同意の発言をふまえ、委員会として同意に賛成する。(「異議あり」の傍聴席からの不規則発言あり。)
〈私・傍聴者の感想〉
◆この特別委員会を設置する必要性は、「まず住民の安全確保を第一に、原子力発電にかかわる諸問題の調査等を行い、かつ地域の振興や福祉等も考慮しながら取組んでいくこと」とされている。本会議でも原発関係の一般質問が毎議会行われているが、国の動向を確認し、原子力発電所を見、町が関係機関に要請をすれば、議員はそれで了とできるのだろうか。町民は、議会だよりでみて満足できているのだろうか?
◆真に住民の安全を確保するためには、おおい町議会議員のみなさんに福島第1原発事故から今日までの住民生活・自治体の維持・地勢や産業などの現実や、責任体制を直視していただきたいし、関西電力圏内にいる私たちも、立地自治体の住民のみなさんとともに、よく考え、将来にわたって安心できるエネルギー政策への転換を急ぐべきだと強く再認識した。
〈蛇 足〉
◆おおい町議会基本条例では、第1条で議会への民意の反映と議会の情報公開を充実させ、議決機関としての責任を果たすことを目的とし、第2条3項では、町民の多様な意見を的確に把握し(以下省略)とあるが、この会議では、どの委員も、多様な意見でなく、多数の意見を反映されたため、委員間論議もなく、結果的に再稼働同意になった。
◆「異議あり!」は不規則発言であっても、価値があったと思う。
特別委員会でも会議録に準ずるものを公表すべきである。
9月21日MOX燃料搬入に抗議
◆9月21日早朝6時半過ぎ、ウラン燃料より原発重大事故の確率を格段に増大させ、使用済み燃料になった時、発熱量、放射線量が減衰し難いMOX燃料が、武装した運搬船で、戦艦に守られて、フランスから、高浜原発に搬入された。
◆この早朝、高浜原発のある内浦湾の入り口の駐車場には、関西、福井から30数名が結集し、断固糾弾の声を上げた。さらに、原発先の展望台に移動し、展望台から原発北ゲートまでデモ行進した後、2時間にわたるゲート前抗議闘争を貫徹した。抗議集会の中では、参加者ほぼ全員が、「原発全廃」の思いを高浜原発に向かって、声高らかに訴えた。また、関電には「プルサーマル発電の即時停止と原発全廃を求める申し入れ」を行った。
申入書
関西電力株式会社
取締役会長 八木 誠 殿
取締役社長 岩根 茂樹 殿
高浜発電所長 宮田 賢司 殿
プルサーマル発電の即時停止と原発全廃を求める申し入れ
原発が極めて危険な装置であり、原発重大事故が悲惨極まりない被害をもたらすことは、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故が教えるところです。したがって、最近のほとんどの世論調査でも、脱原発の声は原発推進の声の2倍以上です。今、脱原発は圧倒的な民意です。
一方、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、原発は、事故対策費や使用済み核燃料の処理・処分費を考えれば、経済的にも成り立たないことは明らかです。そのため、国際的にも、イタリア、ドイツに続いて、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発を決意し、スイスが原発新設禁止を国民投票で決定しました。アメリカも原発縮小に向かっています。
それでも、あなた方・関西電力は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を“安全基準”と主張し、これに適合したから高浜原発は安全として、去る5月、6月に4号機、3号機を再稼動させました。
高浜原発3,4号機は、危険性が特に高い、一部MOX 燃料原子炉です。MOX燃料では、燃料被覆管が破損しやすく、MOX燃料は溶融しやすく、不均質化しやすく、超プルトニウム元素を生成しやすく、そのため、原子炉の制御が困難になり、とくに、一部の燃料をMOX に置き換えれば、事故の確率が増えることは、多くが指摘するところです。また、使用済みMOX 燃料の放射線量、発熱量は減少し難く、長期の水冷保管を要し、保管時の危険度が大きくなることも良く知られているところです。それにも拘らず、関西電力は、今回も含めて、次々にMOX燃料を搬入し、さらにMOX燃料の割合を増やそうとしています。高浜原発の危険性はますます増加しています。なお、原子力規制委員会の新規制基準適合審査における重大事故対策の有効性評価の解析対象は、ウラン炉心のみであり、MOX炉心については何ら評価されていません。杜撰極まりない審査といわれるのも当然です。
ところで、若狭の原発で福島級の重大事故が起これば、若狭や京都、滋賀の北部はもとより、京都府、滋賀県の全域、関西のかなりの部分が放射性物質に塗れる可能性があります。この地域の500万人を超える住民が避難対象になりかねません。避難は不可能です。
一方、福島原発事故以降の経験は、原発が無くても電気は足りることを教えています。さらに、経産大臣の認可機関である「電力広域的運営推進機関」までもが、原発は無くても、現在も10年後も、電気は十分足りること、すなわち15%以上の余裕があることを認めています。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要はないのです。あなた方が原発を動かすのは、人の尊厳、生存の権利を犠牲にしても、経済的利益を優先させよう考えているからです。金儲けのために原発を動かすことは、倫理に反します。私たちは、事故の不安なく、安心して生活できる社会を求めます。
原発は、事故の確率の高い、人類の手に負えない装置です。関西電力が進めるプルサーマル発電は、重大事故の確率が特に高い発電法です。二度と福島のような事故を起こさないために、プルサーマル発電の即時停止と全ての原発の早期廃炉を求めます。
私たちは、原発の危険性を再三にわたって指摘してきました。あなた方が、この指摘を無視して、原発を運転して事故が起ったら、それはあなた方の故意による犯罪です。許されるものではありません。
あなた方が、あくまで再稼働を進めるならば、私たちは、あらゆる手段で、粘り強く全原発の廃炉まで闘うことを宣言します。
2017年9月21日
原子力発電に反対する福井県民会議
若狭の原発を考える会
MOX燃料搬入を許さない!緊急現地集会参加者一同
2017年9月22日
若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)