◆9月20~22日頃、高浜原発にMOX燃料が搬入!MOX燃料搬入を許さない!

【2017年9月15日,京都キンカンで配付。】

9月20~22日頃、高浜原発に
MOX燃料が搬入されようとしている!
断固とした抗議に起とう!

MOX燃料の製造と輸送

◆関電は、2008年に原子燃料工業(原燃工)を通して、原燃工が委託契約しているアレバNC社(フランス)に2回、計48体のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の製造を発注していたが、アレバNC社は、16体の製造を今年3月に終えた。この16体は、高浜原発4号機に使用されるもので、7月6日にフランス・シェルブール港から積み出され、9月19日に高浜原発に搬入されようとしている。今回の高浜原発向けMOX燃料には、736キログラムのプルトニウムが含まれる。燃料輸送にあたっているのは、2隻の軽微な武装を施した輸送船、パシフィック・ヘロンとパシフィッグ・イグレットである。

◆なお、関電は、今年7月31日にも、高浜原発3、4号機用のMOX燃料32体の製造契約を原燃工と結んでいる(原燃工は。アレバNC社に製造を発注)。MOX燃料の製造契約は、東電福島第1原発事故後、全国で初めてである。発電所での受け入れまでに2~3年かかる見通しという。関電は国内外に8.7トンのプルトニウムを保有しており、今回発注の32体で約960キログラムを利用する。

MOX燃料とは?

◆ほとんどの原発[普通の水(軽水)で冷却されるから軽水炉といい、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)がある]では、燃料としてウラン酸化物(二酸化ウラン)を用いている。この燃料のウランは、天然にあるウラン(天然ウラン:ウラン235約0.7%、ウラン238約99.3%を含む)とは異なり、核分裂し易いウラン235を2~5%(通常約4%)になるように濃縮したものである。ウラン235が核分裂したとき放出される中性子をウラン燃料の主成分=ウラン238が吸収するとウラン239になるが、ウラン239は、2度のβ-崩壊(電子の放出)を経てプルトニウム239に変化する。そのプルトニウム239も核分裂する。その結果、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均約30%となる(プルサーマル発電を行わない場合でも、運転中の軽水炉の中にはプルトニウムが存在している)。

◆一方、MOX 燃料は、ウラン238とプルトニウム(239が主体)の混合酸化物 (Mixed Oxide;MOX) であり、プルトニウムの富化度(含有量)は4~9%である。MOX燃料は、原子炉で使い終えた核燃料を溶解して、燃え残ったウランや新たにできたプルトニウムなどを分離抽出して(再処理して)つくる。すなわち、MOX燃料の製造には、危険極まりない再処理が不可欠である。

◆MOX燃料の値段は公表されていないが、通常のウラン燃料の約9倍の燃料棒1本あたり9億円程度とも言われている。燃料集合体1体は、例えば264本の燃料棒で構成される。

◆なお、高速増殖炉でもMOX燃料が使用されるが、プルトニウムの富化度は20%前後である。

プルサーマル発電とは?

◆プルサーマル発電とは、プルトニウムを一般的な原子炉(軽水炉)で燃やす発電方法のことであり、MOXを燃料としている。プルサーマルという用語は、プルトニウムの「プル」とサーマル・ニュートロン・リアクター(熱中性子炉)の「サーマル」を合わせた和製英語である。サーマル(熱運動する)・ニュートロン(中性子)すなわち熱中性子とは、高速で原子核から飛びだした中性子が、冷却材である水(軽水)の水素に衝突し、水素を跳ね飛ばしながら熱運動の速さまで減速した中性子のことである。この速度に減速された中性子は、ウラン235やプルトニウム239に吸収されて、これらを核分裂させる。なお、熱運動とは、水中でインクが拡散したり、空気中で匂い物質が拡散するような速度の運動である(温度が高いほど速い)。

◆プルサーマル発電において、原子炉内の燃料の1/3程度をMOX燃料、残りをウラン燃料とした場合、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均50%強となる。

高浜原発のMOX燃料

◆高浜3、4号機に装荷されたMOX燃料は、各々24体(全157体中)、4体(全157体中)である。関電は今回搬入されるMOX燃料16体を2018年の高浜4号機の定期点検での燃料交換で装荷すると考えられる。

MOX燃料の危険性は、ウラン燃料より格段に高い

◆既存原発のプルサーマル化では、元々ウラン燃料を前提とした軽水炉のウラン燃料の一部をMOX燃料で置き換えて運転するので、技術的な課題が多い(全MOX炉も制御困難)。なお、原子力規制委員会の新規制基準適合審査における重大事故対策の有効性評価の解析対象は、ウラン炉心のみであり、MOX炉心については何ら評価されていない。過酷事故を起こしたときには、猛毒のプルトニウムや超プルトニウム元素が飛散して、深刻な内部被ばくを起こす危険性も格段に高い。

重大事故の確率が高い

◆・燃料被覆管が破損しやすい。例えば、プルトニウムの核分裂では、酸素と結合し難い白金族元素が生成し易いので、プルトニウム酸化物中でプルトニウムと結合していた酸素が遊離するが、遊離した酸素が被覆管を腐食する。また、プルトニウムはヘリウムの原子核であるα粒子を放出(α崩壊)し易く、放出されたα粒子はヘリウムガスになるので、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させる可能性がある。

◆・MOX燃料の融点は、ウラン燃料の融点より高いが、MOX燃料の熱伝導率は低く、電気抵抗率が高いので、燃料温度が高くなり、溶けやすくなる。

◆・当初はMOX燃料中のウラン、プルトニウムを均質に混合していても、核分裂によって高温になった燃料中では、不均質化(プルトニウムスポットの生成)が起こりやすい。そのため、燃料の健全性が失われる。

◆・ウラン燃料と比べて、MOX燃料では燃焼中に核燃料の高次化(ウランより重い元素が生成する)が進み易い。とくに、中性子吸収断面積の大きい(中性子を吸収しやすい)アメリシウム等が生成され易くなる。そのため、高次化が進んだ燃料を含む原子炉では、運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下する。さらに高次化が進むと、核分裂反応が阻害され、臨界に達しなくなり、核燃料として使用できなくなる。事故が発生した場合には、従来の軽水炉よりプルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどの超ウラン元素の放出量が多い。これらは、吸入したとき、深刻な内部被曝を与えるα粒子を放出する。

◆・MOX燃料は、中性子束(中性子の密度)が大きいため、高出力である。したがって、MOX燃料装荷によって 運転の過渡時(出力の増減時)に炉の制御性が悪くなる。(1/3程度しかMOXを装荷できない。)

◆・一部の燃料棒のみをMOX燃料と入れ替えると、発熱量にムラが生じる。温度の不均衡が進行すると、高温部の燃料棒が破損しやすくなる。

使用済みMOX燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難い

◆核分裂によってMOX燃料から生じる元素(死の灰)の種類は、ウラン燃料から生じるものとは異なり、使用済み核燃料になったとき、放射線量や発熱量の減衰速度も異なる。使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難いため、長期にわたって(使用済みウラン燃料の4倍以上)プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態にはならない。取り出し後50年~300年の使用済みMOX燃料の発熱量は、使用済みウラン燃料の発熱量の3~5倍である。また、使用済みMOX燃料の発熱量を、50年後の使用済みウラン燃料の発熱量レベルに下げるには300年以上を要する。MOX燃料は、その意味でも、極めて厄介な核燃料である。

◆なお、若狭の原発の使用済み燃料プールは近い内に満杯になるが、長期の水冷保管を要するMOX使用済み燃料が増えれば、燃料プール不足はさらに深刻になる。そこで危惧されるのは、空冷できるまでに発熱量の下がった使用済み燃料を空冷キャスクに移して、燃料プールに空きを作ろうとする策動である。空冷キャスクに入れられた使用済み燃料を受け入れる場所は無いので、結局、若狭の原発敷地内に居座ることになる。

◆ここで、使用済み燃料保管プールが、脆弱であり、冷却水を喪失しやすいことは、福島原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明らかである。この燃料プールで長期保管をしなければならない使用済みMOX燃料の増加は、重大事故の確率をさらに増加させる。

MOX燃料製造で発生した高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の行き場はない

◆フランスでのMOX燃料の製造過程では、高放射線量の核のごみが発生する。この核のごみは、国内に返還されることになっているが、その最終処分地は決まっていない。政府は、処分場になり得る地域を示した「科学的特性マップ」を、選んだ科学的な根拠も示さずに、7月28日に公表したが、核のごみの保管を歓迎する場所はない。

なぜプルサーマル発電を進めようとするのか

◆日本は、核兵器の材料となるプルトニウムを利用目的なく持たないことを国際公約しているが、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決定した現在、プルトニウムの利用手段を高速炉とすることはできない。そこで、政府や電力会社は、プルトニウムをプルサーマル発電で消費するとしている。一方で、政府は、プルトニウム保有量をさらに増加させる再処理工場の稼働を策動している(実際にはこの危険極まりない再処理工場の稼働は、至難である)。このことから、政府は、全国の原発のプルサーマル化を狙っているとしか考えられない。原発の危険性は、どんどん増加していく。

以上のように、ウラン燃料でも危険な原発の燃料をMOX燃料に代えて発電(プルサーマル発電)すれば、さらに危険度が増し、さらに厄介な使用済み燃料を残す。許してはならない。

そこで、このMOX燃料搬入に抗議するために、次の行動を計画しています。万障お繰り合わせの上、ご参加下さるようお願いいたします。


MOX燃料搬入を許さない!緊急現地集会とデモ

■日時;9月20日(水)~22日(木)[未確定](当初,19日の予定でしたが、変更しています。)
■集合場所;高浜町音海地区の駐車場(高浜原発ゲート前を通過して約3 km、道路が突堤に到って行き止まる場所にある駐車場
■行動予定;6時から抗議行動を開始し、通過するMOX燃料運搬船を徹底糾弾。後、原発ゲート先の展望所に車で移動し、展望所から原発北ゲートに向かってデモ行進。北ゲート前の広場で、抗議行動と申入
れ。後、解散。
■呼びかけ団体; 原子力発電に反対する福井県民会議、若狭の原発を考える会
■連絡、お問い合わせ先;木原壯林(090-1965-7102)、宮下正一(090-1395-2628)


重大事故が起ってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年9月14日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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