◆原発は無くても電気は足りる

【2017年9月1日,京都キンカンで配付。】

原発は無くても電気は足りる

経産大臣の認可法人「電力広域的運営推進機関」が報告

危険と不安がいっぱいの原発を全廃しよう!

「電力広域的運営推進機関」(以下、「広域機関」と略記)とは?

◆「広域機関」は、改正電気事業法に基づいて、2015年4月に業務を開始した経産大臣の認可法人であり、全電気事業者[一般電気事業者(東電、関電など、電力10社)、卸電気事業者(電源開発、日本原電)、特定電気事業者(限定された区域に、自社所有の発電設備や電線炉によって電気を供給する事業者)、特定規模電気事業者(商社やガス会社が設立した電気の小売り事業者)]が会員になることを義務付けられている。

◆経産省資源エネルギー庁の資料(2015年4月発表)によれば、この法人は、「これまで、原則として地域(エリア)ごとに行われていた電力需給の管理を、地域を越えて、より効率的に行なうことによって、安定的な電力需給体制を強化し、電源の広域的な活用に必要な送配電網(連系線)の整備を進めるとともに、全国規模で平常時や緊急時の電力需給の調整機能の強化を図ること」を目的としている。以下の業務を行っている。

  1. 運用業務:電力需給の広域運用の司令塔として、全国レベルでの監視を行い、実際の需給バランスを常に監視し、各電力エリアの中央給電指令所へ指示・調整する業務。
  2. 計画業務:従来、一般電気事業者が国に提出していた各エリア内の電力需給予測データ、供給計画などの電力需給に関する短期・長期の計画業務を、「広域機関」は一元的に実施する(各電気事業者からの報告をうけ、需給想定、供給計画のとりまとめ、供給信頼度評価を実施する)。
  3. 設備形成:広域系統連系設備(連系線、地内基幹送電線、変圧器など)に関して、従来とは異なるルール(設備形成の起案者に国も加え、その間口を広げたほか、特定負担者募集や実施案の公募、)をもとに運用する。
  4. 系統アクセス業務:再生可能エネルギー電気などを電気事業者に供給するとき、発電設備を電気事業者の電力系統に接続(系統アクセス)しなければならない。従来、業者や小売事業者からの電源等の系統アクセスに関する申込みは、一般電気事業者(電力10社)のみが受け付けてきた。「広域機関」設立後は、出力1万kW以上の電源に関しては、「広域機関」対しても申込みを行えるようになった。これによって、申込者と一般電気事業者の間に「広域機関」が入ることとなり、一般電気事業者からの回答の妥当性を広域機関が中立的な立場で評価し、必要に応じて一般電気事業者に再検討指示をすることができるようになり、中立性を担保した系統アクセス運用が可能となった。
  5. 需要家のスイッチング(切り替え)支援:電力小売全面自由化にともない、需要家が独自の判断で自由に電力の小売事業者を選定でき、かつ、スムーズに小売事業者を切り替えられるよう、支援する業務。

「広域機関」発表(本年3月)の

「平成29年度供給計画の取りまとめ」の内容

1.取りまとめの前提

1.1 電気事業法第29条に基づき電気事業者(938社)が国に届け出た平成29年度電力供給計画について取りまとめた。なお、「広域機関」は、提出された供給計画を取りまとめ、毎年3月末に経産大臣に提出している。

【電気事業者(938社)の内訳】発電事業者542、小売電気事業者(電力小売り全面自由化以降、電力小売りに参入した新電力のうち一般家庭向けに販売する事業者)367、登録特定送配電事業者16、特定送配電事業者1、送電事業者2、一般送配電事業者(北電、東北電、東電、中部電、北陸電、関電、中国電、四電、九電、沖電)10。

1.2 原子力発電による電力供給力について、届出時点(2017年3月)で再稼働している原子力発電所(川内原発1、2号機、伊方原発3号機)を除き、供給力を「未定」と届出ているため、需給バランスなどの算定では、2017年3月時点で再稼働していない原子力発電所の供給力は「ゼロ」としている。なお、2017年3月時点で再稼働していた原子力発電所3機の供給量は、全国総供給量の2%弱である。

2.取りまとめの内容

2.1 電力需要に関する昨年度(2016年度)の推定実績および本年度(2017年度)の見通し

  • 一般送配電事業者10者が届け出た月別の最大3日平均電力[毎日の需要電力(1時間平均値)の最大値を月別に上位から3日とり、それを平均した値]は、夏季最大の8月が冬季最大の1月を1 千万kW程度上回り、全国の需要としては8月が最大であった。
  • 8月の最大3日平均電力(全国需要)は、2016年度の推定実績15,617万kW、2017年度見通し15,656万kWで、2017年度は0.2%増加となった。
  • 一般送配電事業者10者が届け出た一般送配電事業者エリアの需要電力量(一般送配電事業者の流通設備を介して一般の需要に応じて供給する電気の量)を全国合計した年間需要電力量は、2016年度の推定実績8,871億kWh、2017年度見通し8,805億kWhで、2017年度は0.7%の減少となった。

2.2 電力需要に関する本年度(2017年度)以降10年間の長期見通し

  • この見通しは、国内総生産(実質GDP )が、2017年度540.1兆円、2026年度582.0兆円で、年平均0.8%の増加、鉱工業生産指数(IIP)が、2017年度99.8、2026年度108.2で、年平均0.9%の増加と見通して、行っている。
  • 8月の最大3日平均電力(全国需要)は、2017年度見通し15,656万kW、2021年度見通し9,005万kW、2026年度見通し16.031万kWで、年平均0.3%増加となっている。
  • 年間需要電力量は、2017年度見通し8,805億kWh、2021年度見通し8,891億kWh、2026年度見通し8,805億kWhで、年平均0.2 %増加となっている。
    なお、8月の最大3日平均電力、年間需要電力量が、継続的な増加傾向としている理由は、節電の取り組みや省エネの進展、人口の減少傾向、負荷平準化対策などによる減少要因はあるものの、経済規模の拡大や電化の進展の方が大きく寄与すると考えたためとしている。

2.3 需給バランス(短期)

  • 各エリアの供給力(最大3日平均電力発生時に安定的に見込める供給能力)とエリア需要を基に、各エリアおよび全国の需給バランスを評価している。各エリアの供給力とは、小売電気事業者および一般送配電事業者が各エリア向けに確保した供給力と発電事業者の発電余力(販売先未定で保有している供給電力)を足し合わせたものである。
    ここで、需給バランスの評価にあたっては、エリアごとに予備率[予備力=(供給力-最大3日平均電力)を最大3日平均電力で割って得た値を%で表したもの]が8%以上であることを基準としている。
  • 2016年8月の最大3日平均電力(全国合計)は15,576万kW(気温補正後)、供給力(全国合計)は18,040万kW、予備力は 2,464万kWであり、予備率は15.8%であった。この全国合計の予備率も各エリア別の予備率も、安定供給の基準とする予備率8%を大きく上回っている。
  • 2017年度の月別の全国合計での予備率の見通しは、4月21.8%、5月25.1%、6月21.7%、7月13.6%、8月13.0%、9月18.3%、10月24.8%、11月20.7%、12月16.9%、1月15.7%、2月14.4%、3月19.0%で、各月とも安定供給の基準とする予備率8%を大きく上回っている。

    これは、ほとんどの原発は動いていなくても、電気は十分足りることを示している。

  • 2017年度の月別のエリアごとの予備率の見通しでは、一部のエリア・月(東京7、8月、中部12~3月)で8%を下回るものの、連系線を利用した他エリアからの供給を考慮すれば、全てのエリアで安定供給の基準とする予備率8%を上回る見通しである。

2.4 需給バランス(長期:2017年度以降10年間の見通し)

  • 各年8月の最大3日平均電力(全国合計)から見た需給バランスは、2017年度;需要電力15,656万kW、供給力17,692万kW、予備率は13.0%、2021年度;需要電力15,857万kW、供給力17,555万kW、予備率は10.7%、2026年度;需要電力16,031万kW、供給力18.591万kW、予備率は16.0%と見通せ、全国合計では、各年度とも予備率8%を上回っている。
  • 8月の最大3日平均電力を基にしたエリアごとの各年の予備率の見通しでは、東京エリアで2017~2023年度、中部エリアで2019~2021年度、関西エリアで2021年度に、8%を下回るものの、連系線を利用した他エリアからの供給を考慮すれば、全てのエリアで安定供給の基準とする予備率8%を上回る見通しである。

◆以上の他、「平成29年度供給計画の取りまとめ」には、電源構成の変化に関する分析、送配電設備の増強計画、広域的運営の状況、電気事業者の特性分析、その他が述べられている。


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、
大きな犠牲を払うこと、

事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
今すぐ、全ての原発を廃炉にしよう!


報告 8/26東海第二原発を取り巻く「人間の鎖」行動

若狭の原発を考える会 木戸恵子

◆8月26日(土)、東海第二原発包囲行動に、泊、志賀、福島、伊方、川内など全国から1100人が駆け付けた。主催は原発いらない茨城アクション実行委員会。「原発現地に行く会」の募集により、東京からも94名が2台のバスに分乗して参加した、若狭の原発を考える会からも5名が行動を共にした。この他、電車での10数名、福島から乗用車での7名なども加わった。

◆東海第二原発は、電力会社9社と政府の出資で設立された日本原電によって、1978年に運転開始。東日本大震災以降、停止状態だが、運転開始から40年を迎えるこの老朽原発に、さらに20年運転延長の許可が下り、再稼働されようとしている。
包囲行動に先立つ全国集会は、東海村阿漕ケ浦公園で行われ、原発いらない茨城アクション、福島の女たち、住民代表・大川てるよさん、前東海村村長・村上達也さん、鎌田慧さんがスピーチした。

◆集会終了後、1.5 km歩いて東海第二原発まで移動。翌27日投票の県知事選挙に再稼働反対を掲げて立候補している鶴田真子美候補の宣伝カーも、村上前東海村村長とともに登場。東海第二原発に到着した参加者は、「人間の鎖」で老朽原発を囲み、再稼働反対の力強いシュプレヒコールをあげた。

◆その後、東海村コミュニティーセンターで行われた「原発現地に行く会」の交流会では、阿部功志東海村村議と若狭の原発を考える会の木原壯林さんが報告。阿部功志村議は、原発事故時の避難計画のバス300台と運転手の確保は、実施不可能であり、住民の命を蔑(ないがし)ろにする再稼働を許してはならないと訴えた。木原壯林さんは、8頁の資料をもとに、プルトニウムの危険性、「常陽」および「もんじゅ」のブランケットには、再処理すれば30発以上の原発が作れる兵器級プルトニウムがあること、高速炉「常陽」、「もんじゅ」は、危険極まりなく、廃炉も技術的に困難であることを解説の後、「10.15大飯原発うごかすな!関電本店包囲全国集会」への結集を呼びかけた。

◆交流会後、参加者は大洗町に移動し、プルトニウム被爆で5人の被爆者を出した日本原子力研究開発機構(大洗)をバスの中から見学。周囲を樹木で囲まれ敷地内部の様子は見えにくい。すぐ横は茨城名産のサツマイモ畑が囲み、被爆事故のあった建物が数百メートル先に見える場所で、木原壯林さんから説明を聞いた。

◆山一つ見えない雄大な関東平野をバスの車窓から見、木原壯林さんが35年前に勤務していた東海村の風景に思いをはせながら、東京に戻った。


1月ともいわれる大飯原発再稼働を断固阻止し、即時廃炉を勝ち取ろう!

10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

日時:2017年10月15日(日) 13時~14時45分
場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
<集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。
デモ出発:15時30分
デモ出発地:靭(うつぼ)公園
(デモは難波まで。17時頃終了予定)
◆主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
◆呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議(連絡先:宮下正一:090-1395-2628)、
若狭の原発を考える会(連絡先:木原壯林:090-1965-7102)
本集会にご賛同頂けます場合は、お名前、ご住所およびお名前の公表の可否を
木原(kiharas-chem@zeus.eonet.ne.jpまたは090-1965-7102)までお知らせください。


2017年9月1日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)