◆関西電力 闇歴史◆051◆

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◆高浜町「ふれあいの浜辺事業」脇坂公園の造成でカラ工事の疑惑
 森山元助役曰く「ちゃちな計画」が、公金詐取の大謀略に変身(1997年~)
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 関電の原発が立地しているところでは、原発マネーにまみれた話に事欠かない。
以下は、小浜市の松本浩さんの資料によってまとめた高浜町の事件。
(『かたくり通信』の記事 → こちら も参照ください。)

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1997(平成9)年
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・9/8…高浜町における脇坂城跡公園整備事業。高浜町(今井理一町長)が福井県(栗田幸雄知事)に自然公園法の許可申請。事業費11億3,400万円、形状変更面積 15,800平方m、掘削残土155,850立方m、実施期間は1997(平成9)年11月15日から2001(平成13)年3月31日。
・10/2…県が申請を許可。
・秋頃、高浜町の城跡公園整備事業の地元説明会で、森山企画課長の説明をさえぎった森山元助役が「この私に何の相談もなくこんなちゃちな計画をたておって、お前は一体何様のつもりじゃ」と、娘婿の課長を激しく面罵した事件があり、以後、この事業への批判はタブーになった。
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1998(平成10)年
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・3/20…高浜町議会の議決を経た「脇坂城跡公園整備事業」を施行すべく、県知事の許可まで得ながら、高浜町は町議会に諮ることなく当該事業の執行を放棄させられ、当該事業は空中分解した。
・4/0…福井県が事業計画を横取り。福井県が高浜町の「計画平面図」を乗っ取り、県の計画として国へ提出。事業費9億円、実施期間は1998~2000(平成10~12)年度。
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事業の内容
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・道路の拡幅、法面の災害危険個所の除去を行い、その跡地を駐車場として整備する。道路改良切土103,000立方m、駐車場整備 4,140平方m。
・駐車場に接続して、脇坂城跡を生かした公園、散策路を整備する。
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その後の事業費の膨張
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・1998(平成10)年度、9億円。実施期間は1998~2000(平成10~12)年度
・1999(平成11)年度、19億7000万円。実施期間は1998~2002(平成10~14)年度
・2000(平成12)年度、28億5000万円。実施期間は1998~2002(平成10~14)年度
・2001(平成13)年度、45億円。実施期間は1998~2005(平成10~17)年度
・ふれあいの浜辺整備事業費の増額は異常で、国はカラ工事乱発の財源を豊かに保障した。「若狭湾国定公園の特別地域内における栃の形状変更」に係る自然公園法の許可申請は、高浜町が行って県知事が認可し、その形状変更(土砂掘削)工事は県が施行するという違法が繰り返された。福井県は形状変更を小分けに申請、許可することで、1ヘクタール以上の形状変更に必要とされる環境アセスメント調査を免れるとして、アセスメント調査をしなかった。
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2001(平成13)年
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・福井県は高浜町に対して観光施設を拠点とした「設計レイアウトの決定」を要求。そして、隣接土地の凸部の除去と称して、脇坂城跡(町埋蔵文化財)を小山ごと根こそぎ削り取る設計が決められた。
・翌2002年、小山の切削工事は完了。
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2002(平成14)年
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・この年の工事のうち、15-1、15-2、15-3、15-4 の各工事は、福井県(栗田幸雄知事)が巨額カラ出張(21億円余)の後始末のために、西川一誠副知事(県旅費返還会会長)と謀って作り上げた裏金づくりのためのカラ工事であった。
・あり得ない工事で、工事費が県から高浜町の土木建設会社「吉田開発」に流れ、さらに西川一誠副知事(県旅費返還会会長)に流れた。公金を詐取するこの犯罪に全面的に協力したのは、「吉田開発」と森山栄治元助役。
・この工事4件の工事代金の合計は、4億7484万円。
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福井県西川一誠副知事と高浜町森山栄治元助役が共謀、その背景
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① 高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故の発生で破綻した国の核燃料サイクルを「プルサーマル計画」に転換し、その受入を福井県と高浜町に同意させたい国の思惑。
② 市民オンブズマン福井の厳しい追及にされされるカラ出張費21億円とその返還を求める監査請求や行政訴訟への対応に苦慮する福井県(旅費返還会会長西川副知事)。
③ 高浜原発へのプルサーマル受入れに伴って予想される巨額の交付金を当て込んだ森山元助役らの暗躍。
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その後
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・「ふれあいの浜辺整備事業」について、松本浩さん、渡辺孝さんら4名が、事業費45億3500万円(国の交付金50%)のすべてが違法支出であり、しかも、その中には16億円余のカラ工事代金が含まれているとして、福井県知事などを相手に、監査請求や住民訴訟に及んだが、「1年以内など」形式な除斥期間を理由に却下され、不正行為の内容についての検討は行われなかった。
・ふれあいの浜辺整備事業には、もう一つの犯罪もある。それは、工事廃土の二度手間工事を捻出しての不正支出である。(別記予定)

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<シリーズ 原発の深層>第1部 原発マネー②/カラ工事の疑惑も
「しんぶん赤旗」 2011.09.02 日刊紙 1面
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カラ工事の疑惑も
8月17日。ある訴訟に対する判決が福井地方裁判所でありました。訴訟は、県の事業に不正工事が含まれていたとして、福井県の西川一誠知事を相手どり、本人、元知事、工事関係者らに損害賠償を支払わせるよう求めたものです。
「本件訴えをいずれも却下する」。わずか20秒間の判決の言い渡しでした。原告の松本浩氏(72)=元教員、小浜市=は、静かに受け止めていました。
訴えの対象は、同県高浜町内の脇坂公園を造成するため県が行った「ふれあいの浜辺事業」。脇坂公園から北に2kmの地点には関西電力の高浜原子力発電所があります。同原発は1974年から稼働しています。
「ふれあいの浜辺事業」の総事業費は45億円です。財源は県の一般会計でまかなわれましたが、国から原発立地自治体へ給付される電源3法交付金が含まれています。
訴え門前払い
同事業の残土は、高浜町の安土地区で公有水面の埋め立てに使われました。埋め立て工事は、同町の事業で、費用は約36億円。借入金の返済には、電源3法交付金と、県から交付される核燃料税をあてにしています。
福井地裁の却下理由は、松本氏らの訴えが、監査に必要な期間を過ぎて行われたものであるというものでした。訴えの内容には踏み込まない、いわゆる「門前払い」の判決です。
「国から県に支出される60億円の核燃料サイクル交付金をあてにしたものではないのか。45億円の『ふれあいの浜辺事業』のうち、私が調べたところ実態のないカラ工事が18カ所にわたり、その金額は推計16億円にものぼる。そのうちの十数億円が県の裏金になったのではないか」。松本氏らは、控訴することを決めました。

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