◆報告とお礼~7.24「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」に300 人

【2022年7月29日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

7.24「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」
に 300 人

 原発は、人類の手に負える装置でないことを、福島原発 事故が大きな犠牲の上に教えました。また、ウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 それでも、電力会社、政府などの原発推進派は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。また、岸田首相は、冬向け電力の逼迫を喧伝し、9 基の原発を稼働させる方針を発表しています。

 しかし、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年 3 月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6 月末から 7 月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。とくに、圧力容器の脆化が進み、配管トラブル多発の蒸気発生器を持ち、原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜 3 号機、高浜1,2 号機の再稼働などもっての外です。

 なお、7 月 13 日の東京地裁「東電株主代表訴訟]判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故による損害・13 兆円超の賠償を命じています。

 今、関電経営陣が、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働するのは「安全意識や責任感の根本的欠」のためとしか言いようがありません、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故に至った場合、それは関電経営陣の故意による犯罪です。許されるものでは在りません。

 7 月 24 日の「老朽原発・美浜 3 号うごか すな!現地全国集会」には、コロナ急増を乗り越え、猛暑にもめげず、約 300 人が大結集 され、弁天崎(美浜原発を望む岬)集会→町内デモ→関電原子力事業本部前抗議・申入れ集会→町内デモを敢行しました。先の 5.29「原 発のない明日を ー老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさかー」(2,100 人結集)に引き続いて「老朽原発うごかすな!」の決意と怒りが噴出した行動でした。町内デモの途中、各所で美浜町の皆さんのご声援を得ました。

 この集会には、福井、大阪、京都、滋賀から大型バスで駆 け付けた皆さんをはじめ、地元若狭、兵庫、奈良、岐阜、愛知(名古屋地裁で老朽原発廃炉訴訟を闘う皆さんなど)、遠くは、東京など関東(老朽・東海第 2 原発廃炉を闘う皆さんなど)、愛媛、香川などの四国(伊方原発廃炉を闘う皆さんなど)のご参加を得、文字どおり「全国集会」となりました。
(関電への申入れ文を後段に紹介します。)

ご参加、ご支援いただきました皆さん、
ありがとうございました。
老朽原発・美浜3号機廃炉に向けて
さらに前進しましょう!

 関電は、8 月 10 日の美浜 3 号機再稼働を画策していると推測されます(確定ではありません)。それは、関電は 8 月 9 日を「安全の誓いの日」としていて、この日までの再 稼動は避けようとする一方、8 月 12 日「運転再開(並列)」を公表しているからです。なお、8 月 9 日は、2004 年のこの日(15 時 22 分)に、美浜 3 号機の 2 次系配管(復水配管)が大破損し、約 140 度の熱水と蒸気が噴出して協力会社の 5 人が亡くなられ、6 人が重症を負われた日です。

 「安全を誓う」のであれば、「原発全廃」を宣言すべきです。とくに、次々に配管の減肉や損傷が発覚し、腐食によって数トンもの鉄さびや鉄イオンが発生し、ボロボロになった蒸気発生器を抱える加圧水型原発の再稼動など許されるものではありません。しかも、美浜 3 号機の蒸気発生器は、交換後 26 年を経た老朽装置です。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、老朽原発完全廃炉まで闘い続けます。皆様のご支援、ご参加をお願いします。

老朽原発完全廃炉を勝ち取り、
それを突破口に原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しましょう!

2022年7月26日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2022年7月26日、中日新聞(日刊県民福井)

▼2022年7月26日、しんぶん赤旗

▼2022年7月27日、福井新聞

▼2022年7月30日、毎日新聞

▼弁天崎集会

▼町内デモ(第 1 梯団)

▼町内デモ(第 2 梯団)

老朽原発・美浜 3 号機完全廃炉を目指して、
8 月上旬の関西および現地での行動に総決起を!


関電への申し入れ書

関西電力株式会社 取締役会長 榊原定征 様、
取締役社長 森 望 様、
原子力事業本部長 松村孝夫 様、
美浜発電所長 高畠勇人 様

 福島原発事故から 11 年が経ちましたが、今でも避難者の多くが故郷を失い、苦難の生活を続けておられます。事故炉内部の詳細は未だに不明で、増え続ける放射性汚染水は太平洋に垂れ流されようとしています。このように、福島原発事故は、原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、原子炉圧力容器の脆化や配管の損傷などが進み、過酷事故の危険度が急増することは多くが指摘するところです。

 また、原発を動かせば、何万年もの保管を要する使用済み核燃料がたまりますが、その永久保管はおろか、中間貯蔵すら引き受ける所もありません。

 さらに、去る 2 月に始まったウクライナ紛争では、欧州最大の原発・ザポリージャ原発やチョルノービリ原発が占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。原発はあってはならない施設なのです。

 それでも、電力会社や政府は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫に乗じて、また、炭酸ガス削減を口実にして、危険極まりない老朽原発の再稼働など、原発推進に躍起です。

 貴関西電力(関電と略)は、6 月 10 日、10 月に予定していた運転開始後 45 年を超えた老朽原発・美浜 3 号機の運転再開(並列)を 8 月 12 日に前倒しすると発表しています。

 この美浜 3 号機は、昨年 6 月 23 日に一旦再稼働したものの、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか 3 ヶ月間の営業運転で停止を余儀なくされていましたが、この短い運転期間中に二度もトラブルを発生させています。一つは、蒸気発生器中の 2 次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 一方、美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4 号機でも、これらの原発は運転開始後 40 年に至っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。例えば、高浜 3 号機では、定期点検中の本年 3月、蒸気発生器の伝熱管 3 本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。この配管損傷によって、5 月に予定していた再稼動は 2 ヶ月以上遅れました。同様な伝熱管損傷は、2020 年 11 月および去る 7 月 9 日、高浜 4 号機でも発覚しています。これらの原発の蒸気発生器 3 基の中には、腐食等によって、2 トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているとも報道されています。

 頻発するトラブルの中でも、約 320℃、約 160 気圧の高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は、とくに深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。そのため、蒸気発生器は「加圧水型原発のアキレス腱」といわれていますが、美浜 3 号機の蒸気発生器は、取り替え後約 26 年を経た老朽機器で、配管の完全破断を起こしかねません。

 原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3 号機の運転はもってのほかです。

 ところで、政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は過酷事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体が考えている避難訓練は、原発立地自治体住民のごく一部のみが参加する日帰り訓練です。政府や自治体は、原発過酷事故では、極めて多数の住民が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているに過ぎません。このことは、昨年 3 月「避難計
画やそれを実行する体制が整えられているというにはほど遠い状態」として、老朽・東海第 2 原発の運転差止を命じた水戸地裁判決にも反映しています。

 なお、美浜原発から 100 km の圏内には、約 76 万人が住む福井県だけでなく、約 250 万人が住む京都府、約 140 万人が住む滋賀県のほぼ全域、大阪府、兵庫県、岐阜県、奈良県の多くの部分が含まれます。福島事故では、事故炉から約 50 km 離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、数百万人が避難対象となりかねません。避難は不可能です。30~80
km 圏内にある琵琶湖が放射性物質で汚染されれば、関西1450 万人が飲料水を失います。

 以上のように、原発は、トラブルが多発し、何万年もの未来にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残し、一旦過酷事故を起こせば、事故終息は絶望的に困難で、多くの人々の故郷と生活基盤を奪い去り、戦争になれば、格好の攻撃目標になります。原発は、人類の手に負える装置ではありません。

 このような視点に立って、私たちは、貴関西電力に、以下を申し入れます。

【1】 危険極まりない老朽原発・美浜 3 号機の再稼働準備を即時中止し、廃炉を決定してください。

【2】 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。貴社の有する全ての原発を停止し、安全な廃炉を進めてください。

 なお、7 月 13 日の東京地裁「東京電力(東電)株主代表訴訟]判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故によって東電に与えた損害・13 兆円の賠償を命じています。

 貴職らが、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働しようとしていることは「安全意識や責任感が根本的に欠如している」との批判を受けて当然であり、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2022 年 7 月 24 日

7.24「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」
参加者一同