◆報告とお礼~8.10「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」に80人

【2022年8月12日,京都キンカンで配付】

猛暑にもコロナにも負けず
8.10「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」に80人

 電力会社、政府、財界などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。また、岸田首相は、冬向け電力の逼迫を喧伝し、9基の原発を稼働させる方針を発表しています。

 しかし、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。とくに、圧力容器の脆化が進み、配管トラブル多発の蒸気発生器を持ち、原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3号機、高浜1,2号機の再稼働などもっての外です。

 それでも、関電は、原発に前のめりな政府に乗じて、10月に予定していた美浜3号機の運転再開(並列)を8月12日(10日再稼働)に前倒しすると発表していましたが、8月1日に水漏れ(後述)が発覚し、再稼働は延期されています(8月11日現在)。

 再稼働予定の美浜3号機は、昨年6月に一旦再稼働したものの、特定重大事故等対処施設の設置が間に合わず、わずか3ヶ月間の営業運転で停止を余儀なくされていたものです。しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。一つは、蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 さらに、美浜3号機では、再稼働を目前にした去る8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚しています。漏れ出た放射性物質量は、220万ベクレルと発表されていますが、国が法令上のトラブルとする370万ベクレルに近い量です。

 なお、関電の原発では、再稼働の直前、直後にトラブルが頻発しています。トラブル頻発は、配管腐食、機器の損傷、機器の点検や保守・交換時の施工ミス(ボルトに閉め忘れや溶接ミス等)は防ぎきれないことを示唆するとともに、関電の弛緩しきり、傲慢な体質のためだとも考えられます。トラブル頻発の原発再稼働を許してはなりません!

8.10「老朽原発・美浜3号再稼働阻止
現地緊急行動」に決起!

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は「老朽原発完全廃炉を勝ち取るまで、粘り強く、何度でも決起する」の決意の下に、再稼働延期に関わらず、8月10日に予定していた「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」を予定どおり決行し、美浜3号機再稼働を画策する関電に抗議し、美浜町の皆さんに老朽原発再稼働阻止の行動への参加を呼びかけました。

 8月10日、美浜原発近辺(美浜原発に通じる丹生大橋前を北に約300mの道路脇)に、京都、大阪、滋賀などの関西、福井市方面、若狭各地、美浜町内からマイクロバス、自家用車などで結集した約80人は、原発前をデモ行進(13時出発)して、「美浜3号このまま廃炉!」「原発全廃!」を力一杯訴えました。後、関電原子力事業本部前に移動して、14時30分から抗議・申し入れ行動を展開しました。抗議集会は、「京都脱原発原告団」の吉田明生さんの司会で進行し、「老朽原発うごかすな!実行委員会」の中嶌哲演さん、美浜町議の松下照幸さん、「オール福井反原発連絡会」の林広員さん、滋賀、大阪、京都の代表が、トラブル多発の原発の稼働を画策する関電を糾弾し、各地での脱原発・反原発の闘いを報告され、「原発全廃」に向けての強い決意を延べられました。途中、代表が、関電の経営陣への「危険極まりない老朽原発・美浜3号機の再稼働準備の即時中止と廃炉」「関電の原発の全廃」を求める申し入れ行いました(申し入れ文は後に掲載)。

 抗議行動後は、猛暑の中の町内デモ(約2km)に移り、炎天にも届くシュプレヒコール、ショートコールによって「老朽原発・美浜3号廃炉」「原発全廃」「トラブル続き、銭金まみれの関電糾弾」を訴えました。町内デモの途中、各所で美浜町の皆さんのご声援を得ました。「美浜町民です」と名乗ってデモに参加された若い女性もおられました。なお、8.10行動の宣伝途中にも、「老朽原発うごかすな!」の鉢巻きをまいた街宣車をご覧になった若い女性から「思いは一緒です」との激励とともに、多量の冷たいお茶の差し入れていただきました。

8.10行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。
老朽原発・美浜3号機廃炉に向けて
さらに前進しましょう!


2022年8月11日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


▼毎日新聞 2022年8月11日

▼美浜原発前デモ行進

▼関電原子力事業本部前集会

▼美浜町内デモ行進

▼美浜町内デモ行進

原子炉空焚き過酷事故の危険性が
高い、老朽原発・美浜3号機の
運転を許してはなりません!

老朽原発・美浜3号機完全廃炉を
目指して、現地、関西および全国での
行動に総決起を!

老朽原発完全廃炉を突破口に
原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しましょう!

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◆関電への申し入れ
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関西電力株式会社 取締役会長 榊原 定征 様、
取締役社長 森 望 様、
原子力事業本部長 松村 孝夫 様、
美浜発電所長 高畠 勇人 様

申し入れ

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生から11年を経た福島原発事故が、大きな犠牲の上に教えています。

 その原発が老朽化すれば、原子炉圧力容器の脆化や配管の損傷などが進み、過酷事故の危険度が急増することは多くが指摘するところです。

 また、原発を動かせば、何万年もの保管を要する使用済み核燃料がたまりますが、その永久保管はおろか、中間貯蔵すら引き受ける所もないことは、貴関西電力(関電)がよくご存じのことです。

 さらに、2月に始まったウクライナ紛争では、欧州最大の原発・ザポリージャ原発やチョルノービリ原発が攻撃され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。原発はあってはならない施設なのです。

 それでも、財界や政府などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に前のめりです。また、岸田首相は、冬向け電力の逼迫を喧伝し、9基の原発を稼働させる方針を発表しています。

 しかし、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。したがって、放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産・使用済み核燃料を残す原発を稼働させる必要は全くありません。

 ところで、貴関電は、原発推進の機運に乗じて、10月に予定していた美浜3号機の運転再開を8月12日に前倒しすると発表していましたが、後述のように、8月1日に水漏れが発覚し、再稼働は延期されています。

 再稼働予定の美浜3号機は、昨年6月に一旦再稼働したものの、特定重大事故等対処施設の設置が間に合わず、わずか3ヶ月間の営業運転で停止を余儀なくされています。しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。一つは、蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。さらに、美浜3号機では、再稼働を目前にした去る8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚しています。漏れ出た放射性物質量は、220万ベクレルと発表されていますが、国が法令上のトラブルとする370万ベクレルに近い量です。

 一方、美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年に至っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。例えば、高浜3号機では、定期点検中の本年3月、蒸気発生器の伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。この配管損傷によって、5月に予定していた再稼動は2ヶ月以上遅れました。同様な伝熱管損傷は、2020年11月および去る7月9日、高浜4号機でも発覚しています。これらの原発の蒸気発生器3基の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているとも報道されています。

 頻発するトラブルの中でも、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる蒸気発生器伝熱管などの1次冷却系配管の損傷は、とくに深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。そのため、蒸気発生器は「加圧水型原発のアキレス腱」といわれていますが、美浜3号機の蒸気発生器は、取り替え後約26年を経た老朽装置で、配管の完全破断を起こしかねません。

 原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3号機の運転はもってのほかです。

 ところで、政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は過酷事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体が考えている避難訓練は、原発立地自治体住民のごく一部のみが参加する日帰り訓練です。政府や自治体は、原発過酷事故では、住民の多くが、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているに過ぎません。

 なお、美浜原発から100 kmの圏内には、福井県、京都府、滋賀県のほぼ全域、大阪府、兵庫県、岐阜県、奈良県の多くの部分が含まれます。福島事故では、事故炉から約50 km離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、数百万人が避難対象となりかねません。避難は不可能です。30~80 km圏内にある琵琶湖が放射性物質で汚染されれば、関西1450万人が安全な飲料水を失います。

 以上のように、原発は、トラブルが多発し、何万年もの未来にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残し、一旦過酷事故を起こせば、事故終息は絶望的に困難で、多くの人々の故郷と生活基盤を奪い去り、戦争になれば、格好の攻撃目標になります。原発は、人類の手に負える装置ではありません。

 このような視点に立って、私たちは、貴関西電力に、以下を申し入れます。
【1】危険極まりない老朽原発・美浜3号機の再稼働準備を即時中止し、廃炉を決定してください。
【2】原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。貴社の有する全ての原発を停止し、安全な廃炉を進めてください。

 なお、7月13日の東京地裁「東京電力株主代表訴訟]判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故によって東電に与えた損害・13兆円の賠償を命じています。

 貴職らが、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働しようとしていることは「安全意識や責任感が根本的に欠如している」との批判を受けて当然であり、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

 貴関西電力は、昨日・8月9日を「安全の誓いの日」として、2004年8月9日に発生したような重大事故を二度と繰り返さない決意を新たにされていますが、「安全を誓う」のであれば、「原発全廃」を宣言すべきだと考えます。
2022年8月10日

8.10「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」
参加者一同