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◆原告第6準備書面[14 MB](2014/9/24)
避難計画の不備・実現困難性、想定被害
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【おもなポイント】
[1]避難計画の重要性:IAEAの基準では原子力発電所の事故に備えた避難計画が必須である。米国や英国では、避難計画の策定が原発運転許可の条件となっているが、日本では必須ではない。
[2]大飯原発事故による影響:事故時の放射性物質の拡散予測では、京都府や兵庫県にも深刻な被害が及ぶ可能性が示されている。飲料水の汚染リスクについても詳細な分析がされており、広範囲に影響する恐れがある。
[3]避難計画の問題点:現行の避難計画は不完全であり、迅速な避難や情報伝達が困難である。交通渋滞、インフラの被害、要援護者の避難など、具体的な問題点が指摘されている。
【目 次】
第1 避難計画の重要性
1 避難計画の法的な位置づけ
(1) 国際的な位置づけ-避難方法の確立は IAEA 深層防護5層目にあたる
(2) 緊急時計画の策定が許認可要件となっている国
ア 米国
イ 英国
(3) 避難計画の不備は司法審査の対象となること
2 現行法のオフサイト緊急時計画について
(1) 日本の避難計画に関する法令
(2) 震災対策基本法、原子力災害対策特別措置法の問題点
3 小括
第2 大飯原発で過酷事故が起きたときに発生する被害
1 大飯原発等が福島第一原発並みの過酷事故を起こしたときの放射性物質拡散予測
(1)「実効線量」「甲状腺等価線量」「ベクレル」について
(2) 京都府が公表した国のSEEDIの予測(甲状腺等価線量、実効線量)(甲第84、85号証)
(3) 国(原子力規制委員会)が2012年10月に公表した拡散予測(実効線量)(甲第86、87号証)
(4) 兵庫県が2014年4月24日に公表した放射性物質拡散予測調査の結果(甲状腺等価線量、実効線量)(甲第88号証)
(5) 滋賀県が2014年1月24日に公表した琵琶湖の汚染予測調査の結果(ベクレル)(甲第89号証)
2 水道水の汚染
(1) 福島第一原発事故の際の東京、千葉での水道水汚染の発生
ア 東京都について
イ 千葉県北西部について
(2) 大飯原発の過酷事故により水質汚染が発生する可能性
(3) 汚染が予想される淀川水系の河川とそこからの取水の状況
ア 淀川水系の各主要河川とダムの概要
(ア)全体像
(イ)桂川
(ウ)木津川
(エ)宇治川
イ 淀川水系からの取水状況
(ア)京都市
(イ)京都府下の南部の各自治体
(ウ)大阪市
(エ)大阪府下のすべての自治体
(オ)兵庫県下の自治体
(カ)奈良市
ウ 汚染が予想される由良川水系の河川・ダムと京都府北部の自治体の取水状況
3 小括
第3 避難計画の問題点
1 はじめに
2 区域設定
3 情報伝達の方法
4 各原発周辺自治体における避難計画の問題点
(1) 迅速的確な情報伝達の非確実性
(2) 避難手段について
ア 自家用車による避難
(ア)地震・津波等による道路・橋の遮断
(イ)渋滞(甲第71、80号証)
(ウ)避難受入先に駐車可能な車両台数が少ないこと
(エ)福島原発事故における避難実態
(オ)小括
イ バスによる避難
ウ 自衛隊、海上保安庁等保有の車両等による避難
エ 人的資源について
オ 要援護者への対応について
(ア)上記地域の防災計画
(イ)福島原発事故
(ウ)小括
カ まとめ
5 迅速な放射性物質対策が可能な環境が整備されていないこと
6 結論…大飯発電所周辺の地域は、大飯発電所から放射性物質が外部環境に放出された場合に住民の生命・身体に危険が及ぶ地域であるにもかかわらず当該地域において、的確な情報に基づいた現実的な避難方法は定められておらず、かつ、大飯発電所の立地場所を考慮すれば迅速な放射性物質対策が可能な環境は整備されていない。
(別紙)防災計画概要
(1) 平成25年8月おおい町防災会議修正「おおい町地域防災計画 原子力防災編」(甲第75号証)
(2) 平成25年8月高浜町防災会議作成「高浜町地域防災計画 原子力防災編」(甲第76号証)
(3) 平成25年3月舞鶴市防災会議作成「舞鶴市原子力災害住民避難計画」(甲第77号証)
(4) 平成25年2月宮津市防災会議作成「宮津市原子力災害住民避難計画」(甲第78号証)
(5) 平成25年3月綾部市防災会議作成「綾部市地域防災計画」(甲第79号証)