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◆原告第76準備書面[4 MB](2021/2/17)
過小評価された基準地震動
大飯原発の地盤は本当に堅固で地震に対して安全か
(パワポ・スライドによる これまでの主張の要点)
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【おもなポイント】
[1]基準地震動の過小評価:原告側は、大飯原発の基準地震動が過小評価されており、過去の地震で基準地震動を超える揺れが何度も観測されていると主張。関西電力(被告)は、地盤が「均質で堅硬な岩盤が広く分布する」として安全性を主張しているが、原告側はそれに疑問を呈している。
[2]地盤調査の結果:関西電力の地質調査では、発電所の建屋直下に複数の断層破砕帯や亀裂(シーム)が存在することが判明。地震波の速度データを解析した結果、地盤の強度が地域によって異なり、特に3号炉の基盤が脆弱であることが指摘されている。
[3]関西電力のモデルの問題点:関西電力は、基準地震動の計算モデルを都合よく調整し、不都合な調査結果を無視している。具体的には、地盤の速度分布の不整合、減衰定数の過大評価、第1層のカットなどが問題。これにより、実際よりも低い地震動の評価が行われている可能性がある。
[4]基準地震動の過小評価:被告関電自身が実施した地盤に関する各種調査データに基づいて見ると、関電が、不都合なデータの隠蔽、データの予断に充ちた恣意的な解釈、結果を誘導する解析処理、作為的な定数設定を行っていることは明らか。その結果、本件原子炉建屋敷地の地盤は関電が主張するような「均質で堅硬な岩盤が広く分布する、地下に特異な構造は認められない」とは言えず、そのため基準地震動は過少に評価されている。関西電力の地盤モデルの設定は「科学技術の冒涜」である。
【目 次】
No.1 過小評価された基準地震動 大飯原発の基礎地盤は本当に堅固で地震に対して安全か
No.2 基準地震動、サイト特性を決める3要素(地質構造、地震波の伝播速度、地震波の距離減衰)
No.3 関電が実施した地盤構造調査
No.4 地質調査で分かっていたこと①…断層破砕帯の存在、敷地に15本、3,4号炉建屋直下に9本
No.5 地質調査で分かっていたこと②…3,4号炉建屋基板に断層破砕帯に伴うシーム(岩盤の亀裂、薄い粘土層)があり、分布密度が西から東へ増加
No.6 試掘抗弾性波探査の結果の図(fan-shooting)
No.7 試掘抗弾性波探査の結果からP波速度を色付けした図
No.8 試掘抗弾性波探査の結果を解析しP波速度分布を示した図
No.9 速度分布とシーム分布の比較
No.10 試掘抗弾性波探査の結果の、精度を上げた速度分布図
No.11 岩級分類
No.12 岩級分類 原子炉建屋敷地の岩級分布
No.13 岩級分類(深さ方向の岩級分布)、ボーリング孔の位置
No.14 岩級分類(深さ方向の岩級分布)、ボーリング柱状図の岩級区分
No.15 岩級分類(場所による岩級分布)
No.16 岩級分類 歪曲された調査結果
No.17 関電モデル 微動アレイ観測・地震干渉法とは
No.18 関電モデル 微動アレイ観測・地震干渉法とは
No.19 関電モデル 微動アレイ観測・地震干渉法の2つの限界
No.20 関電モデル 速度の与え方(二つ目の問題)
No.21 関電モデル 実態に沿わない速度を与えた結果(二つ目の問題)
No.22 関電モデル 第1層カットの問題。求まったモデルの改変
No.23 関電モデル 第1層カットの問題。第1層をカットしたことの関電の説明模式図
No.24 第1層カットの問題。図のまやかし:観測点の標高と第1層の厚さを無視
No.25 関電モデル 第1層カットの問題。図のまやかし:宙に浮く原子炉
No.26 減衰。関電モデルの減衰定数は明らかに不合理であり、1.5~2倍も過大に設定されている
No.27 まとめ。関電モデルは基準地震動を過小に評価
No.28 関電モデル固執の理由
No.29 まとめ。大飯原発の地盤は地震に対して安全とは言えない。
No.30 おわりに。関電モデルは、調査資料の予断に充ちた恣意的解釈、結果を誘導する解析処理、作為的な定数設定によって策定された。関電モデルを用いた基準地震動の過小評価は、科学技術を冒涜するものである。科学技術立国をめざしてきた我が国においては、決して許されない