老朽原発うごかすな!実行委員会」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力の森本孝・取締役社長,松村孝夫・原子力事業本部長,木島和夫・高浜発電所長,高畠勇人・美浜発電所長あて申し入れ。美浜町の関西電力原子力事業本部にて

【2020年6月23日,美浜町の関西電力原子力事業本部にて申入】

関西電力株式会社
  取締役社長 森本 孝 様
  原子力事業本部長 松村孝夫 様
  高浜発電所長 木島和夫 様
  美浜発電所長 高畠勇人 様

申 入 書

 原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料の処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。それでも、貴関西電力(関電と略)は、2016年6月20日および2016年11月16日、高浜発電所(高浜原発と略)1、2号機および美浜原子力発電所(美浜原発と略)3号機の40年超え運転の認可を原子力規制委員会(規制委と略)から得て、再稼働準備工事を進めています。

 しかし、規制委の認可以降に、関電の原発に関連して、下記のように、認可の過程では想定されなかった、あるいは重要視されなかったトラブル、事故、不祥事が頻発しています。原発の40年超え運転が理不尽であることを示しています。

【1】関電の原発でのトラブルの例

(1)高浜原発4号機では、再稼働準備中の2018年8月19日、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されました。

(2)高浜原発4号機では、2019年10月、再々稼働準備中に、3台の蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。関電と規制委は、伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が、配管を削ったためとしましたが、蒸気発生器の1台からはステンレスの小片が見つかったものの、他の2台の蒸気発生器では、異物は特定できていません。

(3)高浜原発3号機でも、本年2月、再稼働準備中に、蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷が見つかりました。関電は、異物の混入のためとしました。

 上記のトラブルの中でも蒸気発生器の伝熱管の損傷はとくに深刻です。高温・高圧水が流れている伝熱管が完全に破断すれば、原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があります。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。

 損傷した伝熱管も多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、2018年9月段階で約1万本の伝熱管の3.6%にあたる364本が摩耗による減肉、腐食、応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされていると報道されています。

 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、それぞれ1996年、1994年、1996年に取り替えられ、約25年も経過しているにも拘わらず、これらの原発の運転が認可されています。

 蒸気発生器の破損は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・フレスノ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を三菱重工業製の新品に取り替えましたが、2012年1月、3号機で放射性物質を含んだ蒸気が漏出し、運転を停止しました。調査の結果、両機ともに3000本以上の蒸気発生器伝熱管に早期摩耗が発見されました。この2基は2013年6月に廃炉となりました。

 このように、蒸気発生器は、「加圧水型原発のアキレス腱」と言われるほど、トラブルが頻発する装置ですが、上記(2)、(3)の減肉は、さらに深刻な問題を提起しています。それは、減肉の原因が、規制委の審査では想定されていない「混入した異物による損傷」であることです。「異物の混入」は、防ぎきれない人為ミスによっても起こりますが、炉内での腐食や破損によっても起こります。例えば、規制委の審査では、炉内構造物を固定するバッフルフォーマーボルトの応力腐食割れによる損傷数は60年運転時点で全体の20%以下であるから安全を維持できるとしていますが、破損ボルトが異物として配管、核燃料などを損傷する可能性もあります。

 腐食、減肉、損傷が頻発する蒸気発生器を持つ加圧水型原発は、重大事故を起しかねません。運転開始後45年、44年、43年超えにもなる老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

【2】老朽原発再稼働準備工事での人身事故

(1)昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設建設用のトンネル内で溶接作業中の9人が一酸化炭素中毒で救急搬送され、4人が集中治療室に入りました。このトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。

(2)今年3月13日、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、後退してきたトラックにはねられ、3時間後に亡くなられました。はねられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたと報道されています。

(3)4月11日には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

【3】老朽原発運転を企む関電幹部の不祥事

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが暴露され、今年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填をしていたことが公表されました。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。原発が、汚れた原発マネーによって推進されたことを示します。

 それでも関電は、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させようとしています。また、関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新し、旧経営陣を告発していますが、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 上記【1】~【3】のトラブル、事故、不祥事は、原発の安全にとって看過できないものであり、関電が原発を安全に運転できる資質、能力、体制を持ち合わせていないことを物語る証左です。老朽原発の運転などもっての他です。

 なお、人の命と尊厳より自らの利益を優先させる関電は、新型コロナウイルスの危機の中でも、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働準備工事まで継続しています。

 新型コロナウイルス蔓延の中で原発が重大事故を起したら、集団避難のバスの中で、避難先で何年も続く集団生活の中でウイルスの感染を防ぐことは至難です。一方、原発内で感染が拡大すれば、原発の運転が困難になるばかりでなく、検査も行き届かなくなり、原発の安全が保たれなくなります。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会は、貴関西電力株式会社に、以下を申し入れます。

【1】高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の再稼働準備工事を即時中止し、これらの原発の廃炉を決定して下さい。

【2】「新型ウイルス」の危機下でも運転中の大飯原発3、4号機、高浜原発4号機を即時停止して下さい。「新型ウイルス」の危機下でも継続され、人身事故が多発している老朽原発再稼働準備工事の即時停止して下さい。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。
2020年6月23日

「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会
(連絡先;木原壯林 090-1965-7102)


 文中に「サン・フレスノ原発」と書かれていますが、『一般的には「サン・オノフレ原発」と表記するのがよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか』というご指摘を受けました。確かにそのとおりですので、「サン・オノフレ原発」に訂正させていただきます。なお、「サン・フレスノ原発」という表現も一部では使われています。


◆原子力規制委員会の更田豊志・委員長あて申し入れ。敦賀原子力規制事務所にて

【2020年6月23日,原子力規制委員会・敦賀原子力規制事務所にて申入】

原子力規制委員会 更田豊志 委員長 殿

申 入 書

 原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料の処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。それでも、原子力規制委員会(規制委と略)は、2016年6月20日および2016年11月16日、関西電力(関電と略)高浜発電所(高浜原発と略)1、2号機および美浜原子力発電所(美浜原発と略)3号機の40年超え運転を、拙速審議によって認可しました。しかし、この認可以降に、関電の原発に関連して、下記のように、トラブル、事故、不祥事が頻発しています。これらは、認可の過程では想定されなかった、あるいは重要視されなかったものです。原発の40年超え運転が理不尽であることを示しています

【1】関電の原発でのトラブルの例

(1)高浜原発4号機では、再稼働準備中の2018年8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出される深刻なトラブルを起しました。

(2)高浜原発4号機では、2019年10月、再々稼働準備中に、3台設置されている蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。関電と規制委は、伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が配管を削ったためとしましたが、蒸気発生器の1台からはステンレスの小片が見つかったものの、他の2台の蒸気発生器では、異物は特定できていません。

(3)高浜原発3号機でも、本年2月、再稼働準備中に、蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷が見つかりました。関電は、異物の混入のためとしました。

 上記のトラブルの中でも1次系である蒸気発生器の伝熱管の損傷はとくに深刻です。約160気圧、摂氏約320度の高温・高圧水が流れている伝熱管が完全に破断すれば、高圧の原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があります。実際、1991年に美浜原発2号機でこのような伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。損傷した伝熱管も多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、2018年9月段階で約1万本の伝熱管の3.6%にあたる364本が摩耗による減肉、腐食、応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされています。

 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器が取り替えられたのは、それぞれ1996年、1994年、1996年であり、約25年も経過しているにも拘わらず、これらの原発の運転が認可されています。

 なお、蒸気発生器の破損は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・フレスノ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を三菱重工業製の新品に取り替えましたが、2012年1月、3号機で放射性物質を含んだ蒸気が漏出し、運転を停止しました。調査の結果、両機ともに3000本以上の蒸気発生器伝熱管に早期摩耗が発見されました。この2基は2013年6月に廃炉となりました。

 このように、蒸気発生器は、「加圧水型原発のアキレス腱」と言われるほど、トラブルが頻発する装置ですが、上記(2)、(3)で述べた減肉は、さらに深刻な問題を提起しています。それは、減肉の原因が、規制委の審査では想定されていない「混入した異物による損傷」であることです。「異物の混入」は、防ぎきれない人為ミスによっても起こりますが、炉内での腐食や破損によっても起こります。例えば、規制委の審査では、炉内構造物を固定するバッフルフォーマーボルトの応力腐食割れによる損傷数は60年運転時点で全体の20%以下であるから安全を維持できるとしていますが、破損ボルトが異物として炉心や配管を損傷する可能性もあります。

 腐食、減肉、損傷の頻発する蒸気発生器を持つ加圧水型原発は、重大事故を起しかねません。運転開始後45年、44年、43年超えにもなる老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

【2】老朽原発再稼働準備工事での人身事故

(1)昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設建設用のトンネル内で溶接作業中の9人が一酸化炭素中毒で救急搬送され4人が集中治療室に入りました。このトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。

(2)今年3月13日、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、発破用の火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、病院に搬送されましたが、3時間後に亡くなられました。はねられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。

(3)4月11日には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。
これらの人身事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

【3】老朽原発運転を企む関電幹部の不祥事

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが暴露され、今年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填していたことが公表されました。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。原発が、汚れた原発マネーによって推進されたことを示します。

 それでも関電は、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させようとしています。また、関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとし、旧経営陣を告発していますが、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 上記【1】~【3】のトラブル、事故、不祥事は、原発の安全にとって看過できないものであり、関電が原発を安全に運転できる資質、能力、体制を持ち合わせていないことを物語る証左です。老朽原発の運転などもっての他です。

 なお、人の命と尊厳より自らの利益を優先させる関電は、新型コロナウイルス(「新型ウイルス」と略)の危機の中でも、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働準備工事まで継続しています。

 「新型ウイルス」蔓延の中で原発が重大事故を起したら、集団避難のバスの中で、避難先で何年も続く集団生活の中で「新型ウイルス」の感染を防ぐことは至難です。一方、原発内で感染が拡大すれば、原発の運転が困難になるばかりでなく、検査も行き届かなくなり、原発の安全が保たれなくなります。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会は、貴原子力規制員会に、以下を申し入れます。

【1】高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の運転期間延長認可を取り消し、これらの原発の即時廃炉を決定して下さい。

【2】「新型ウイルス」の危機下でも運転中の大飯原発3、4号機、高浜原発4号機の即時停止を求めて下さい。「新型ウイルス」の危機下でも継続され、人身事故が多発している老朽原発再稼働準備工事の即時停止を求めて下さい。

2020年6月23日

「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会
(連絡先;木原壯林 090-1965-7102)


 文中に「サン・フレスノ原発」と書かれていますが、『一般的には「サン・オノフレ原発」と表記するのがよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか』というご指摘を受けました。確かにそのとおりですので、「サン・オノフレ原発」に訂正させていただきます。なお、「サン・フレスノ原発」という表現も一部では使われています。


◆美浜町の戸嶋英樹・町長あて申し入れ。美浜町役場にて

【2020年6月23日,美浜町役場にて申入】

美浜町・町長 戸嶋 秀樹 様

申 入 書

 原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料の処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。それでも、原子力規制委員会(規制委と略)は、2016年6月20日および2016年11月16日、関西電力(関電と略)高浜発電所(高浜原発と略)1、2号機および美浜原子力発電所(美浜原発と略)3号機の40年超え運転を、拙速審議によって認可しました。

 しかし、この認可以降に、関電の原発に関連して、下記のように、トラブル、事故、不祥事が頻発しています。これらは、認可の過程では想定されなかった、あるいは重要視されなかったものです。原発の40年超え運転が理不尽であることを示しています。

【1】原発でのトラブルの例

(1)高浜原発4号機では、2018年8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出される深刻なトラブルを起しました。

(2)高浜原発4号機では、2019年10月、3台の蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。関電と規制委は、伝熱管の減肉や損傷は、伝熱管内に異物が混入し、配管を削ったためとしましたが、蒸気発生器の1台からはステンレスの小片が見つかったものの、他の2台の蒸気発生器では、異物は特定できていません。

(3)高浜原発3号機でも、本年2月、蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷が見つかりました。関電は、異物の混入のためとしました。

 上記のトラブルの中でも蒸気発生器伝熱管の損傷はとくに深刻です。約160気圧、摂氏約320度の高温・高圧水が流れている伝熱管が完全に破断すれば、高圧の原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があります。実際、1991年に美浜原発2号機でそのような伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。損傷した伝熱管も多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、、2018年9月段階で約1万本の伝熱管の3.6%にあたる364本が摩耗による減肉、腐食、応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされています。

 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器が取り替えられたのは、1996年、1994年、1996年であり、約25年も経過しているにも拘わらず、これらの原発の運転が認可されています。

 蒸気発生器は、「加圧水型原発のアキレス腱」と言われるほど、トラブルが頻発する装置ですが、上記(2)、(3)で述べた減肉は、さらに深刻な問題を提起しています。それは、減肉の原因が、規制委の審査では想定されていない「混入した異物による損傷」であることです。「異物の混入」は、防ぎきれない人為ミスによっても起こりますが、炉内での腐食や破損によっても起こります。例えば、規制委の審査では、炉内構造物を固定するバッフルフォーマーボルトの応力腐食割れによる損傷数は60年運転時点で全体の20%以下であるから安全を維持できるとしていますが、破損ボルトが異物として配管や核燃料を損傷する可能性もあります。

 腐食、減肉、損傷の頻発する蒸気発生器を持つ加圧水型原発は、重大事故を起しかねません。運転開始後45年、44年、43年超えにもなる老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

【2】老朽原発再稼働準備工事での人身事故

(1)昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設建設用のトンネル内で溶接作業中の9人が一酸化炭素中毒で救急搬送され4人が集中治療室に入りました。このトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。

(2)今年3月13日、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、発破用の火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、3時間後に亡くなられました。はねられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。

(3)4月11日には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。
これらの老朽原発再稼働準備作業中の人身事故は、老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

【3】老朽原発運転を企む関電幹部の不祥事

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが暴露され、今年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填をしていたことが公表されました。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。原発が、汚れた原発マネーによって推進されたことを示します。

 それでも関電は、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させようとしています。また、関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新し、旧経営陣を告発していますが、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 上記のトラブル、事故、不祥事は、原発の安全上、看過できないものであり、関電が原発を安全に運転できる資質、能力、体制を持ち合わせていないことを物語る証左です。老朽原発の安全運転など到底無理です。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会は、美浜町・町長に、以下を申し入れます。

①原発マネー不祥事は,原発を推進した関電幹部には、事の善悪を判断し、法令を遵守する資質と能力が欠如していたことを明らかにしました。
 美浜町は、その関電による美浜原発の運転を容認してきましたが、この姿勢を白紙に戻し、重大事故を起しかねず、何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す原発の稼働の是非を再審議して下さい。

②危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・美浜3号機の運転を認めないことを宣言して下さい。

③関電が進める老朽原発・美浜3号機の再稼働準備関連工事の即時停止を求めて下さい。

2020年6月23日

「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会
(連絡先;木原壯林 090-1965-7102)


【1】の(2)
「関電と規制委は、伝熱管の減肉や損傷は、伝熱管内に異物が混入し、配管を削ったためとしました」
とある個所は,
「関電と規制委は、伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が配管を削ったためとしました」
とするほうが適切です。


◆危険すぎる老朽原発

【2020年5月15日,京都キンカンで配付】

原発は現代科学技術で制御できない

◆福島原発事故から 10年目になりました。この事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。原発事故の被害は長期におよびます。避難された方の多くは今でも、避難先で苦難の生活を送っておられます。事故を起した原子炉の内部の様子は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。汚染された土壌の除染法はなく、ごく表層をはぎ取ってフレコンバックに保存する他はありませんが、そのフレコンバックも、放射線と風化によって破損し始めています。トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が溜り続け、太平洋に垂れ流されようとしています。

◆福島原発事故は、原発が重大事故を起せば、放出された放射性物質が風に乗って運ばれ、被害は広域におよぶことを実証しました。事故炉から50 km離れた飯舘村も全村避難になり、200 km以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。これは、若狭の原発が重大事故を起せば、約260万人が住む京都府、約140万人が住み琵琶湖を有する滋賀県を始め、関西や中部の多くの部分が放射性物質に汚染されかねないことを示します。

原発は、事故を起さなくても、運転すれば、長期の保管を要する使用済み核燃料を残しますが、その行き場はなく、何万年もの未来にまで負の遺産を押し付けることになります。また、トリチウムを含む冷却水を垂れ流します。

福島事故後に再稼働した原発でもトラブル続きです(以下はトラブルの例です)。

  1. 川内原発1号機;2015年8月再稼働、再稼働10日後、復水器冷却細管破損。
  2. 高浜原発4号機;2016年2月、再稼働準備中、1次冷却系脱塩塔周辺で水漏れ。
  3. 伊方原発3号機;2016年7月、再稼働準備中、1次冷却水系ポンプで水漏れ。
  4. 高浜原発4号機;2018年8月再々稼働、再々稼働準備中、8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプの油漏れ。20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出される深刻なトラブル。
  5. 玄海原発3号機;2019年3月再稼働、再稼働1週間後、脱気装置からの蒸気漏れ(配管に1 cmの穴)。
  6. 高浜原発4号機;2019年10月、再々稼働準備中、3台設置されている蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることを発見。関電と規制委員会は、高浜4号機の伝熱管の減肉や損傷は、伝熱管 蒸気発生器 内に異物が混入し、配管を削ったためとしたが、蒸気発生器の1台からはステンレス片の小片が見つかったものの、他の2台の蒸気発生器では、伝熱管が破損した異物は特定できず。それでも、関電は、破損した伝熱管に栓をして、高浜4号機の再々稼働を本年1月末に強行。
  7. 高浜原発3号機;本年2月、再々稼働準備中、蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷。関電は、異物の混入のためとし、再々稼働を12月まで延期した。

◆このように、再稼働、再々稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしています。これは原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいることを示しています。また、傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。とくに、蒸気発生器へのたび重なる異物の混入は、原発の保守や点検がずさんな体制で行われていることを示します。さらに、規制委員会が適合とした多くの原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委員会の審査が無責任極まりないことを物語っています。

◆なお、トラブルの中でも蒸気発生器伝熱管の損傷はとくに深刻です。蒸気発生器は、原子炉から出てくる高温・高圧の熱湯によって蒸気を発生させる装置で、伝熱管の内部には、約160気圧、摂氏約320度の高温・高圧水が流れています。もし、この伝熱管が完全に破断すれば、高圧の原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになり、ついにはメルトダウンする可能性があります。実際、1991年に美浜原発2号機でこのような伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。損傷した伝熱管も多数に上ります。例えば、高浜原発3号機には伝熱管が約1万本ありますが、一昨年9月段階でその3.6%にあたる364本が摩耗による減肉や腐食と引っ張る力の共同作用で生じるひび割れ、いわゆる応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされています。

原発は老朽化すると危険度が急増

◆上記のトラブルを起こした原発は、1984年7月(川内1号機)、1985年1月(高浜3号機)、1985年6月(高浜4号機)、1994年3月(玄海3号機)、1994年12月(伊方3号機)に運転を開始していますから、トラブルを起こした時点で、運転開始後21年~35年超えでした。このように、運転開始後40年に満たない原発であっても、腐食や摩耗が進み、また、ずさんな点検・保守によって、重大事故を起しかねない状況にあります。

その原発が、老朽化すると、重大事故の確率が急増します(運転開始後40年を超えた原発を老朽原発と呼びます)。老朽化すれば、例えば、高温、高圧下で大量の放射線(中性子)に曝(さら)され、交換することのできない圧力容器(原子炉本体)などが脆化(ぜいか;もろくなること)し、配管が腐食などによって減肉(やせ細ること)するからです

◆また、40年以上も前に建設された原発では、建設時には適当とされていたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。しかし、その全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能な圧力容器などです。
さらに、老朽原発では、建設当時を知る技術者は殆ど退職していますので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。一方、建設当時の図面などの記録が散逸している可能性があり、原発の安全管理の支障となります。

◆それでも、関西電力(関電)と政府は、今年、運転開始後45年超え、44年超え、43年超えになる老朽原発・高浜1、2号機,美浜3号機の再稼動を画策しています。また、原発の40年超え運転は「例外中の例外」としていた政府は、この約束も反古(ほご)にしようとしています。

老朽原発運転を企むのは、
原発で私腹を肥やす関電

◆昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されていたことが明らかになり、また、今年3月には、電気料金値上げの際にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填をしていたことが明らかになり、多くの人々の怒りをかっています。

◆このお金は、元をただせば私たちが支払った電気料金です。私たちの電気料金を建設業者などに垂れ流し、汚れた原発マネーとして関電幹部に還流させたのです。

しかも、お金を受けとった関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。この事は、危険極まりなく、喜んで引き受ける場所がない原発を引き受けさせる見返りとして、地域自治体、企業、住民に汚れた原発マネーをバラマキ、「人の命と尊厳」を犠牲にして「経済的利益」を選択することを強いたことを物語っています。関電とその幹部たちは、住民の安心・安全や電力消費者の利益をないがしろにして、私服を肥やしていたのです。とんでもないことです。

◆このように、原発が汚れた原発マネーによって推進されたことは明らかですが、それでも関電は、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させようとしています。また、不祥事を反省して役員人事を刷新したと言っていますが、会長に、不祥事の原因である原発の推進を掲げる榊原前経団連会長を就任させようとしています。関電幹部には、人の命と尊厳を大切にするための企業倫理や法令を遵守する姿勢がないことは明らかです。

老朽原発再稼働準備工事で
人身事故多発

◆昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。一人は、滋賀県の病院にドクターヘリで運ばれ、集中治療室で治療を受け、ほかの8人は小浜市の病院に搬送され、3人が集中治療室に入りました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。

◆今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、発破用の火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、病院に搬送されましたが、3時間後に亡くなられました。はねられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。このトンネルは、テロ対策施設建設用に掘削されていました。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

◆さる4月11日には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

これらの最近起こった人身事故は、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働準備が、悲劇を呼んでいるのです。

◆危険な原発、とりわけ危険な老朽原発再稼働のための工事の即時停止を求め、老朽原発の即時廃止を実現しましょう!

原発のない若狭は
実現できる!

◆今、関電や政府は、45年超えにもなろうとする老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を再稼働させ、全国の原発60年運転を先導しようと懸命です。人の命と尊厳をないがしろにする原発社会の延命を図っているのです。許してはなりません!

◆いま、脱原発・反原発は圧倒的な民意ですが、老朽原発の運転に反対する声はさらに大きく、運転を認める声などほとんどありません。

原発の40年超え運転を阻止すれば、美浜町からは即時、高浜町からは5年後に、おおい町からは13年後に、原発がゼロになります。2033年には若狭から、2049年には全国から、運転中の原発が無くなります。

◆原発反対の行動が高揚すれば、もっと早く原発をなくすことも可能です。原発のない社会は、すぐそこです。原発ゼロに向けて、大きく前進しましょう!

「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会
連絡先:木原(若狭の原発を考える会090-1965-7102)


9月6日(日)
「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」

に総結集し、老朽原発の廃炉を実現しよう!

場所;大阪市内(詳細は決定次第公表します)


◆新型コロナウイルス蔓延下でも原発の運転を続け、老朽原発再稼働準備工事を続ける関電に抗議と申入れ。高浜町、おおい町にも申入れ

◆新型コロナウイルス(「新型ウイルス」と略)が蔓延し、全世界がこれを封じ込める対策に苦心・奮闘しています。

◆しかし、この「新型ウイルス」の蔓延下でも、関電は大飯原発3、4号機、高浜原発4号機の運転を続け、45年超えにもなろうとする老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働準備工事を続けています。

◆今、原発で重大事故が起これば、避難者は、放射線被ばくに加えて、避難の過程や避難先で、「新型ウイルス」感染の危機に見舞われます。一方、原発内で「新型ウイルス」の感染が拡大すれば、原発の安全が保たれなくなります。

◆私たち「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」実行委員会は、住民の安全をないがしろにして原発運転および老朽原発再稼働準備工事を継続している関電に強く抗議し、これらの即時中止を求めて、下記の「抗議および申入れ」書を関電の原発関連部署(取締役社長、原子力事業本部長、高浜原発所長、大飯原発所長)に提出しました。また、原発立地町である高浜町には、高浜原発4号機の運転中止および老朽原発再稼働準備工事の中止を関電に要請し、老朽原発の運転を認めないことを宣言し、今までの原子力政策を見直すことを求める申入書を提出し、同じく立地町であるおおい町にも、大飯原発3、4号機の運転中止を関電に要請し、今までの原子力政策を見直すことを求める申入書を提出しました。

◆なお、「抗議および申入れ」書や申入書は、当該箇所に持参する予定でしたが、現下の「新型ウイルス」情勢を考慮して、郵送しました。また、それらのコピーは、報道関係にも郵送し、電子媒体等で広く全国に配信しました。

◆以下は、「抗議および申入れ」書および高浜町長への申入書です。なお、おおい町長への申入書は割愛します(おおい町長への申入書は、高浜町長への申入書と類似のものですが、老朽原発に関わる部分は削除しています。)


関電への「抗議および申入れ」書

関西電力株式会社
取締役社長 森本 孝 様
原子力事業本部長 松村孝夫 様
高浜発電所長 木島和夫 様
大飯発電所長 文能一成 様

抗議および申入れ

 今、新型コロナウイルス(以下、「新型ウイルス」と略)が蔓延し、全世界の人々がこれを押し込める対策に腐心、努力しています。 ところで、この「新型ウイルス」の感染は、原発施設にも広がろうとしています。すでに、九州電力玄海原発の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)の建設工事関係者や、東京電力柏崎刈羽原発に勤務する東京電力社員から感染者が見つかっています。九州電力では、工事を一時中断し、請負業者の約300人を出勤停止にしています。

 しかし、関西電力(以下、関電と略)は、「新型ウイルス」の感染が全国に拡大している今でも、高浜原発4号機、大飯原発3、4号機の運転を継続しています。

 関電で原発運転に責任のある皆様は、「新型ウイルス」蔓延の中で原発が重大事故を起したら、どうなるとお考えですか?

 集団避難のバスの中での、あるいは避難先で何カ月も何年も続く集団生活の中での「新型ウイルス」感染を防ぐことは至難です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。そのようにお考えになりませんか?

 しかも、高浜原発、大飯原発から100 kmの圏内には福井県、京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の多くの部分が含まれます。福島原発事故では、事故炉から50 km以上離れた飯舘村も全村避難になったことを考えあわせますと、高浜原発や大飯原発が重大事故を起せば、これらの地域が避難対象になる可能性もあります。例えば、両原発から約30~70 kmに位置する京都市が避難対象になれば、市民約150万人が放射線被曝に加えて「新型ウイルス」感染の危機にさらされます。それでも貴社・関電は、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働まで画策しているのです。

 一方、「新型ウイルス」感染が原発内に拡がったらどうなるのでしょう?

 原発では、通常運転時で1500人規模、定期点検時には約3000人の作業員が働き、通勤時のバスの中、作業前後の放射線測定のための待機場所、脱衣所、中央制御室を含む勤務場所、休憩室などで「密閉、密集、密接(3蜜)」の環境にさらされます。作業員の中には、関西など「新型ウイルス」が猛威を振るう地域から来る人も多数います。

 例えば、高浜原発は、1班12人で構成する5つの班が、1日3交代で運転していますが、感染者が出た場合、当該シフトの運転員のみならず、他のシフトの運転員も濃厚接触となり、5班体制の維持が困難になります。感染発生のために、原発を停止させたとしても、停止後も冷却や安全管理のために専門的な知識や技術を有する作業者が多数必要です。その人々の間に「新型ウイルス」が蔓延するような事態になれば、原発の安全が保たれなくなることは、関電の皆様なら十分ご想定のことだと推察します。

 ところで、最近、関電の原発関連工事で、人身事故が続いています。

 昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機のいわゆるテロ対策施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったと報道されています。

 今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の協力会社社員が、後退してきたトラックにはねられ亡くなられました。お亡くなりになった社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたと報道されています。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

 しかし、その直後の4月11日にも、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故の全てが、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理に動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働の準備が、悲劇を呼んでいるのです。

 昨年9月に発覚した原発マネーに関する不祥事は、関電には、企業倫理を大切にし、法令を遵守する意識が欠落していることを明らかにしています。この不祥事は、脱原発・反原発の民意を蹂躙して危険極まりない原発を推進する過程で生じたものです。関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとしていますが、新役員が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 「新型ウイルス」蔓延の中でも原発の運転や再稼働準備工事を継続し、人身事故を多発させている貴社・関電が、原発マネー不祥事を反省しているとは考えられず、原発の安全運転を保証する体制にあるとは考えられません。

 以上のような視点に立って、私たちは、「新型ウイルス」の感染拡大の中でも、関電が若狭の原発を運転し続けていることに強く抗議し、以下を申し入れます。

①「新型ウイルス」感染拡大の中でも運転中の高浜原発4号機、大飯原発3、4号機を即時停止してください。

②関電が原発マネー不祥事の原因となった原発の運転を即時停止し、老朽原発再稼働のために進めている工事を中止して、社会に誠意を示してください。原発稼働の是非に関する議論は、企業倫理、法令遵守を徹底する体制が確立し、社会からの信頼を回復した後に、一からやり直してください。

③とくに、危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転反対は圧倒的な民意であることに鑑み、老朽原発の廃炉を決断してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働し続けて、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えておきます。

2020年4月29日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」実行委員会


高浜町長への申入書

高浜町・町長 野瀬 豊 様

申入書

 新型コロナウイルス(以下、「新型ウイルス」と略)が蔓延し、その対策にご腐心、ご苦労のことと拝察し、感謝申し上げます。

 ところで、この「新型ウイルス」の感染は、原発施設にも拡がろうとしています。すでに、九州電力玄海原発の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)の建設工事関係者や、東京電力柏崎刈羽原発に勤務する東京電力社員から感染者が見つかっています。九州電力では、工事を一時中断し、請負業者の約300人を出勤停止にしています。

 しかし、高浜原発では、「新型ウイルス」の感染が全国に拡大している今でも、4号機が運転中で、3号機や運転開始後45年超えにもなろうとする老朽原発・1、2号機の再稼働のための工事が進められています。

 高浜町長は、「新型ウイルス」蔓延の中で高浜原発が重大事故を起したら、どうなるとお考えですか?

 集団避難のバスの中での、あるいは避難先で何カ月も何年も続く集団生活の中での「新型ウイルス」感染を防ぐことは至難です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。そのようにお考えになりませんか?

 しかも、若狭の原発から100 kmの圏内には福井県、京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の多くの部分が含まれます。福島原発事故では、事故炉から50 km以上離れた飯舘村も全村避難になったことを考えあわせますと、若狭の原発が重大事故を起せば、これらの地域が避難対象になる可能性もあります。例えば、高浜原発から約30~70 kmに位置する京都市が避難対象になれば、市民約150万人が放射線被曝に加えて「新型ウイルス」感染の危機にさらされます。それでも関電は、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働まで画策しているのです。

 一方、「新型ウイルス」感染が原発内に拡がったらどうなるのでしょう?

 原発では、通常運転時で1500人規模、定期点検時には約3000人の作業員が働き、通勤時のバスの中、作業前後の放射線測定のための待機場所、脱衣所、中央制御室を含む勤務場所、休憩室などで「密閉、密集、密接(3蜜)」の環境にさらされます。作業員の中には、関西など「新型ウイルス」が猛威を振るう地域から来る人も多数います。

 高浜原発は、1班12人で構成する5つの班が1日3交代で運転していますが、感染者が出た場合、当該シフトの運転員のみならず、他のシフトの運転員も濃厚接触となり、5班体制の維持が困難になります。感染発生のために、原発を停止させたとしても、停止後も冷却や安全管理のために専門的な知識や技術を有する作業者が多数必要です。その人々の間に「新型ウイルス」が蔓延するような事態になれば、原発の安全が保たれなくなります。

 ところで、最近、関電の原発関連工事では、人身事故が続いています。

 昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機のいわゆるテロ対策施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったと報道されています。

 今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の協力会社社員が、後退で進んできたトラックにはねられ亡くなられました。亡くなられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

 しかし、その直後の4月11日にも、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故の全てが、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働の準備が、悲劇を呼んでいるのです。

 昨年9月に発覚した原発マネーに関する不祥事は、関電には、企業倫理を大切にし、法令を遵守する意識が欠落していることを明らかにしています。この不祥事は、脱原発・反原発の圧倒的な民意を蹂躙して危険極まりない原発を推進する過程で生じたものです。関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとしていますが、新役員が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 「新型ウイルス」蔓延の中でも原発の運転や再稼働準備工事を継続し、人身事故を多発させている関電が、原発マネー不祥事を反省しているとは考えられず、原発の安全運転を保証する体制にあるとは考えられません。

 以上のような視点に立って、私たちは高浜町長に以下を申し入れます。

①「新型ウイルス」の感染拡大の中でも運転中の高浜原発4号機の即時停止を求めてください。

②「新型ウイルス」の感染拡大の中でも続けられ、人身事故が多発している高浜1、2、3号機の再稼働準備工事の即時停止を求めてください。

③危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・高浜1、2号機の運転は認めないことを宣言して下さい。

④原発マネー不祥事によって、原発は、事の善悪を判断する能力を持たず、法令遵守を徹底する機能と資質を持ち合わせていない関電によって推進されたことが明らかになった今、高浜町が今までに行った原発の運転や再稼働に関する同意を御破算にして、重大事故を起しかねず、何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す原発を稼働させることの是非について再審議してください。

2020年4月29日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」実行委員会


老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか

に総力結集を!

日時:2020年9月6日(日)午後

場所;大阪市内(詳細は確定次第公表します)

主催;「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会


2020年5月1日発行

作成・木原(若狭の原発を考える会:090-1965-7102)


◆何故、原発には汚い原発マネーが付きまとうのか?

【2020年1月17日,京都キンカンで配付】

◆関電が支払った原発関連工事費などが、多額の金品として関電幹部(20人)に還流されていたことが明らかになり(9月23日)、多くの人々の怒りを買っている。
(10月9日;会長、役員4人辞任:社長は電事連会長、会長は関経連副会長を辞任。)

◆この関電幹部に還流された資金は、もとを質せば電気料金として、電力消費者から関電に支払われたものである。電力供給は公益性が高く、電気料金は税金に準じる性格を持つことを考えあわせるとき、水増しして支払った工事費を還流させることなど、許されることではない。
(還流仲介の元助役からは、109人の福井県職員、元高浜町長、小浜警察署幹部などへも金品贈与:関連して野瀬高浜町長が町発注事業を受注する企業から1500万円を超低金利で借入していたことが発覚。)

◆ところで、渦中の関電役員のほとんどが、原発推進に奔走した幹部であったことは、原発が立地住民の安心・安全や電力消費者の利益をないがしろにする経営の中で推進されたことを裏付けている。

◆一方、この資金還流に中心的に介在した人物が町政に大きな影響力を持つ元助役であったことから、原発の導入や再稼動への町の同意など、原発推進の町運営が疑惑に溢れた原発マネーの影響を受けたことも容易に想像できる。

◆なお、関電は原発を再稼働させるために安全対策費を1兆200億円以上使い、老朽高浜1、2号機、美浜3号機の安全対策費に5000憶円以上を費やそうとしている。これらの資金が総括原価方式の中で、電気料金として徴収され、ゼネコンなどに垂れ流されているのであるから、今後さらに大きな疑惑が浮上するであろう。
(全国11電力の安全対策費は5兆4000億円超。)

◆原発は、1954年3月(ビキニ水爆実験の月)、「学者がボヤボヤしているから札束でほっぺたをひっぱたく」ことによって推進すればよい(中曽根康弘発言とされる)として成立した予算に始まった(日本学術会議は平和利用3原則付きで承認)。このように、原発には、当初から汚い原発マネーが付きまとっていた。ここでは、その理由につぃて考えてみたい。

【1】誰が原発を推進したのか?

◆原爆が投下されたのは1945年であるが、その10年後の1955年には原子力基本法が成立し、その10年後の1965年には、東海原発1号炉が商業運転開始している。

◆このように、大急ぎで、議論もそこそこに原発を導入した勢力は、再軍備、資本主義的発展(原子力による産業革命)を画策する、正力松太郎(警察官僚・特高の総元締・戦後CIAの日本戦略の要)、渡辺恒雄、中曽根康弘(元海軍主計大尉)、福田赳夫、岸信介(東條内閣の商工大臣)、児玉誉士夫(日本軍の物資調達)、佐藤栄作 [非核3原則を標榜し、核の傘依存を主張する一方、核エネルギー の平和利用(核兵器の潜在能力)を促進し、裏で沖縄への核持込み密約の疑惑も]らの反共産主義者であった。

◆彼らは、旧財閥の復活を目論み、1956年に日本原子力産業会議を発足させ(2012年4月より、日本原子力産業協会)、三菱、日立、住友、東芝、古河、 自治体、大学等を総動員して、旧財閥に暴利を誘導し、基幹産業と軍事の担い手に育て、日本を巨大資本主義国にしようとした。

◆原発建設は巨大な公共投資である。電源3法交付金などによって膨大な税金が垂れ流される一方、総括原価制度(発送電費、工事費、買収費、賄賂・・・・全てをコストとして電気料金に反映)で電力消費者から独占的に電気料金を(税金のように)徴収して、原発の建設や安全対策工事を通して、旧財閥系企業に垂れ流されている。

◆これらの原発マネーは麻薬のような性格を持つから、
・原発建設で暴利を得る人々は麻薬の生産者であり、
・エネルギーの拡大を通して、利益を上げたい人々は、麻薬の売人であり、
・原発エネルギーとそれによってもたらされる物質的便利さ、擬似的幸福を欲しがる人々は、麻薬患者であり、
・核兵器を欲しがり、戦争をしたがる人達は、麻薬で錯乱の人たちであるといえる。

【2】原発は膨大なエネルギー源であるが、現在科学技術で制御できない

[1]核反応エネルギーは化学反応エネルギーの数百万倍

◆人類を取り巻く環境は、化学結合と化学反応によって成り立ち、化学反応ではeV(エレクトロンボルト:エネルギーの大きさを表す単位)レベルのエネルギーのやり取りが行われる。このレベルのエネルギーで達成できる温度は精々数1000℃である。生体内で生じる化学反応の多くは、0.1 eV 以下のエネルギーのやり取りで生じる。このことは、100℃までの温度で化学反応が生じることを意味し、したがって、100℃を越えて生きる生物は稀である。

◆一方、原発内では、核反応が生じるが、核反応ではMeV(ミリオンエレクトロンボルト)レベルのエネルギーが放出される(M = 100万)。このレベルのエネルギーでは、数億度℃以上を達成できる。事実、核融合反応(放出エネルギーは核分裂反応より小さく、1/10以下)が生じている太陽内部は1500万℃といわれている。

◆以上のエネルギーの関係は、核反応1反応によって100万に近い化学反応が生じ(結合が切断される)、核反応によって、化学反応は爆発的に起こることを意味する。

◆したがって、核反応エネルギーを化学結合でできた材料で閉じ込めて置くことは極めて困難であり、例えば、原発の重大事故時には、膨大なエネルギーに起因する熱(核反応熱;核分裂で出る熱、崩壊熱;放射線を出して別の物質に変わるときに出る熱)によって核燃料や被覆材などの原子炉材料が溶融し、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発(水の爆発的蒸発)を引き起こし、大惨事(メルトダウン、メルトス ルー)に至る。また、体内に取り込まれた放射性物質から出る放射線による内部被曝では、原理的には、1000万に近い体内の化学結合が切断される。

[2]原発は事故を起こし易く、被害は広域・長期におよび、事故収束は至難(詳細は別稿に譲る)

◆核反応は、膨大なエネルギーを放出するので、原発は事故を起こし易く、原発での大惨事は瞬時に進行する。また、事故によって溶け落ち、飛散した核燃料は、膨大な熱で溶融して集合し、再臨界(核分裂開始)に達する。したがって、溶け落ちた核燃料は、大量の水で長期間冷却し続けなければならない。

◆一方、原発内には、何年もの運転によって発生した放射性物質(死の灰)が蓄積しているので、原発重大事故時には、原爆炸裂時(瞬時の核反応)とは比較にならないほど多量の死の灰を放出する。また、放出された死の灰は、風に乗り、海に流れて、きわめて広域にまき散らされる(火災が10km先に飛火することはほとんど無い)。さらに、死の灰を消滅させる方法はなく、半減期にしたがって減少することを待つしかないので、死の灰による被害は長期におよぶ。また、福島原発事故で明らかなように、原発事故で溶け落ちた核燃料は、膨大な放射線と熱を出し続けるので、原発事故の収束には、途方もない時間と労力を要する(被曝労働も深刻である)。

[3]原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す(詳細は割愛)

◆以上のように、原発は、人類の手に負える装置ではないことは議論の余地がない。

【3】何故、原発は汚い金にまみれなければ 推進できないのか?

◆戦後の復興と高度成長前期(1955年から65年)に、生産力向上による利潤と便利さを追及した資本主義経済(とくに都市部と近郊)がエネルギー(電力)の生産の拡大を要求した。この要求と核兵器開発の潜在力を得たいとする願望が相まって、原発の導入が画策された。

◆しかし、前述したように、
原発は現在科学技術で制御できない装置であるから、これを喜んで引き受けるところなど何処にもない。

◆そのため、高度成長で切り捨てられつつあった農業、漁業を主産業とする人口の少ない地域に原発を持ち込み、押し付けることになった。

◆原発を引き受けさせる見返りとして、国と電力会社は、地域自治体、企業、住民に原発マネーをバラマキ、「人の命と尊厳」を犠牲にして「経済的利益」を選択すること強いた。このとき、「原発立地地元の同意は、原発の稼働の法的要件」とし、いかにも地元重視であるかのように見せかけた(原発稼働の責任を地元自治体に押し付けた)。

◆一方で、電力会社は、立地自治体と企業(ゼネコンなどの大企業と現地の下請け企業)に直接、間接の原発マネー垂れ流しを行い、電力供給の面からだけでなく、経済活性化の面からも、日本資本主義成長の一端を担った。なお、電力会社には、総括原価方式で電気料金を徴収する限り、無限の財源がある。

【4】原発マネーは地域を豊かにするか?

◆以下のように、原発立地の給与、福祉、教育が、他自治体に比べて、優れているとは言えない。

(1)自治体職員の給与

◆例えば、原発立地・高浜町[人口:10,397人(男:5196人、女5201人)、世帯数:4331世帯)の、2017年度会計の総額は158億4,856万7千円であり、30%が「電源立地交付金」、「核燃料税交付金」などの国などからの自治体への交付金(この他、関電などからの寄付金)である。

◆筆者は、原発マネーを有する高浜町職員の給料は、他の自治体に比べて、少しは優遇されているであろうと考えていたが、以下のように予想に反していた。

・初任給月額…大学卒:168,600円、短大卒:156,800円、高校卒:147,100円
・平均給与月額…一般行政職(平均年齢:39.2歳)279,500円、技能労務職(平均年齢:53.6歳):230,800円
・特別職給与月額…町長:850,000円、副町長:670,000円、教育長:560,000円、議長:300,000円、副議長:245,000円、議員:235,000円

(2)福祉、教育予算

◆人口の類似した東海村と菰野町の比較。原発は地域を豊かにするとは限らない。

◆東海村(原発、原子力機構、原子力企業に加えて、火力発電所や企業も多いので、自主財源は潤沢で地方交付税不交付団体:人口38,000人)
・一般会計予算166億円(55億円が原子力関係収入)
・国民健康保険関係:33億円、介護保険:25億円
・保育園6園中3園が私立。幼稚園6園中1園が私立
・小学校6校。中学校2校。
◆菰野町(こものちょう:三重県,隣は四日市市、人口40,000人)
・一般会計予算113億円。
・国民健康保険関係:42億円、介護保険:28億円
・保育園6園中1園が私立。幼稚園5園全てが町営
・小学校5校。中学校2校。

(3)県の債務

◆[1960年代に原発立地を拒否した徳島県(人口82万人)と福井県(人口82万人)の比較(2007年度)]原発を持たない徳島県の方が借金が少ない。

◆福井県の原発税収は県税収入の1割。一般会計と特別会計を合わせた歳入に占める割合は2%。

◆県債(借金)残高
・福井県…7,990億円(県民1人当たり93万円)
・徳島県…6,330億円(県民1人当たり78万円)

【山崎隆敏著『なぜ、「原発で若狭の振興」は失敗したのか』(白馬社)を参照】

(4)原発進出を断った町が貧困にあえいでいるわけではない

◆原発や再処理工場が立地した市町村の数は22ヶ所、それらを断った市町村は34ヶ所以上ある。数で言えば、原発を受け入れた自治体よりも断った自治体の方が圧倒的に多い。これ以外にも、最初の打診を受けた時点で早々に断ってしまい、議論にもならなかった自治体も少なくない。

【原発を拒否している地域…31(実験炉1を含む),
 再処理を拒否している地域…3,
 廃棄物処理を拒否している地域…28,
 中間所蔵を拒否している地域…3 】

◆原発が立地している自治体は、原発が無くなると自治体の経済が成り立たないと大げさにアピールしているところが少なくない。

◆それでは、原発を断った自治体が、現在貧乏をかこっているかといえば、そんなことはない。それらの自治体も自然の立地条件は、海岸沿いの過疎地であり、原発を受け入れた自治体と紙一重だったのだが。

【「筒井新聞」313号(2016年10月8日)「原発進出を断わった町」より抜粋、改変】

【5】政府が、脱原発の民意を蹂躙して、福島事故後も原発に固執する理由

◆この理由は、「エネルギー基本計画(改定案;経産省;2018年7月3日)」から読み取ることができる。
・2010年度(震災前)
 …LNG29%、石炭26%、再生可能エネルギー10%、原子力25%、石油10%
・2015年度(現状)
 …LNG40%、石炭32%、再生可能エネルギー15%、原子力1%、石油12%
・2030年度(計画)
 …LNG27%、石炭26%、再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%、石油3%

◆この計画では、再生可能エネルギーを「主力電源化」する方針を打ち出す一方で、原発については、「依存度は可能な限り低減していく」としつつも、「重要なベースロード電源」として、2030年度時点の発電電力量に占める原発の比率を20~22%とする目標は据え置いた。

◆この目標の達成のためには、30基以上の原発が必要となり、40年超え老朽原発の稼働も必要になる。

・この「基本計画」では、CO2排出量の多い石炭火力はほぼ据え置いている。
→CO2対策でないことは明らか。
(先日開催されたCOP25で、日本は、温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」を2回受賞!)

・LNG、石油を大幅に減少させ、戦争でこれらの輸入が途絶えたときのために、自前で調達できる電力(石炭、再生可能エネルギー、原子力)を増やそうとしている。

・原子力を増やし、原発をトンネル機関として、巨額の原発マネーをゼネコンや原発関大企業へ垂れ流そうとしている。
(例えば、福島事故以降に高浜原発に投入された安全対策費は1兆200 億円以上、今後も5,000憶円以上が投入される予定。)

【6】原発再稼働・維持に使う巨費と労力で原発のない町づくりを!

◆1月16日の新聞は、2013年に新規制基準導入後、全国の商用原発で必要となった再稼働のための安全対策費(2019年12月時点)と施設の維持費(2013年度‐2018年度の実績)の総計は、約12兆6,077億円、廃炉(17基:福島の事故炉は含まない)の解体費は約8,492憶円と報道している。

◆安全対策費には、特重施設(テロ対策施設)の新設費用が含まれていず、数千億円が追加される可能性がある。また、維持費は今後も必要で、年間1兆円(電力11社の合計)規模が積み上がる見通しである。

◆これらの巨費は、総括原価方式の下で、電気料金に上乗せされるので、長期の国民負担となる。

◆圧倒的な民意によって原発を拒否し、原発の再稼働・維持に要する巨費と労力を、原発のない社会創りに振り向けようではありませんか!

金まみれ、利権まみれの原発から
一刻も早く脱皮しよう!
老朽原発を即時廃炉にしよう!


2020年1月発行

連絡先;木原壯林(若狭の原発を考える会)
電話:090-1965-7102


◆1.30高浜原発4号機再々稼働阻止現地行動および「老朽原発うごかすな!」高浜町申し入れ行動

1.30高浜原発4号機再々稼働阻止現地行動
および
「老朽原発うごかすな!」高浜町申し入れ行動
奮ってご参加を!!

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

関電は、定期点検中であり、トラブルによって再稼働が遅れていた高浜原発4号機を1月末に起動すると言われています。トラブル続きの4号機の再稼働を許してはなりません!

◆「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」は、1月30日(木)に、高浜原発に向かって下記の要領で抗議行動を展開します。

併せて、町政に大きな影響力を持つ元助役が原発マネーを関電幹部に還流させていた高浜町に、原発マネーの流れの中で同意した原発再稼働を取り消し、原発政策を見直すこと、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機の再稼働に同意するなどもっての外であることを申し入れたいと考えます。

◆多くの皆様のご参加をお願いします。

1月30日(木)の行動

◆11時50分に高浜町役場に集合。抗議行動と申し入れの後、高浜原発北門より300 m先(音海地区側)の展望台に移動し、14時よりデモで原発北門に移動し、抗議行動を行います。途中、関電に申し入れ(14時30分)を行います。
のぼり、旗、パネル、鳴り物など持って、多数ご参加ください!
********************************************************************************************************
<1月30日、京都、滋賀、大阪から高浜へ配車します>
■京都発 8:45 集合(京都駅八条口側 アバンティ前)→ 9:00 出発
■滋賀発 9:15集合(大津地裁前)→9:30 出発
■大阪発 8:15集合(大阪駅西側、大和ハウスビル前 ※旧大阪中郵前を西へ200m )→8:30出発
ご乗車ご希望の方は、下記申込事項を橋田にご連絡ください。
連絡先;橋田(090-5676-7068)Eメール dkddw406アットkyoto.zaq.ne.jp

・・・・・・・・1.30高浜現地行動・乗車申込書(切り取り)・・・・・・・・

① お名前;

② ご住所;

③ 乗車希望場所; 京都   大阪   滋賀  (いずれかを〇でお示し下さい)

④ 電話番号(できれば携帯電話);

★乗車費用は実費をお願いします。
★諸注意 ①当日の昼食は、各自ご持参ください。②寒さが予想されます。防寒対策を。
★集合時間は厳守してください。

◆老朽原発うごかすな! キャンペーン、200 kmリレーデモ、関電包囲大集会 報告とお礼

【2019年12月13日,京都キンカンで配付】

老朽原発うごかすな!
キャンペーン、200 kmリレーデモ、関電包囲大集会
報告とお礼

◆原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さ、使用済み核燃料の処理処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことは明らかです。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。

◆それでも、関西電力(関電)と政府は、来年には運転開始後45年、44年、43年を超える老朽原発・高浜1、2号機,美浜3号機の再稼動を画策しています。

◆私利私欲にまみれた関電に、万が一にも重大事故を起してはならない原発を運転する資格が無いことは明らかです。老朽原発の運転などもってのほかです。

◆「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」は、老朽原発の廃炉を実現し、それを突破口にして、原発のない社会、科学技術に過剰に依存しない社会、人の命と尊厳が大切にされる社会を展望したいと考え、10月1日~11月22日に「老朽原発うごかすな!キャンペーン」期間、11月23日~12月8日に「老朽原発うごかすな!高浜原発-関電本店200 kmリレーデモ」、12月8日に「老朽原発うごかすな!関電包囲大集会」を設定し、関西、福井、愛知で老朽原発廃炉を求める行動を展開しました。

◆これらの「老朽原発うごかすな!キャンペーン」、「リレーデモ」、「関電包囲大集会」は、今までになく幅広い、600を超える市民団体、労働団体、政党、個人のご賛同、ご参加を得て成功裏に遂行されました。

ご賛同、ご支援、ご参加いただきました皆さんに感謝とお礼を申し上げます。

◆行動の詳細は、『老朽原発うごかすな!キャンペーンニュース』(9月19日創刊、26号まで発行)および『老朽原発うごかすな!リレーデモニュース』(11月23日創刊、12月12日現在16号まで発行)によって、広報しています(「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」のブログをご覧ください→こちら)。以下は、行動の概要です。

◆「老朽原発うごかすな!キャンペーン」の期間中、福井では、10月7日にあわら市を出発し、11日に若狭町に至るリレーデモを、兵庫では、11月2日に姫路市を出発し、12月8日に関電本店に至る94 km を徒歩でつなぐリレーデモを完遂しました。11月2日、神戸市でリレーデモ出発集会が開催され、老朽原発の危険性と原発全廃運動について考えました。

◆「キャンペーン」期間中には、協賛する10回の集会(うち8回はデモも)が行われました。
・10月5日、京都市で大島堅一さんが「電力システム改革と原発延命政策」と題して、与謝野町で樋口英明元福井地裁裁判長が「わたしが、大飯原発を止めたわけ」と題して講演されました。
・10月8日の高浜緊急集会には70名が結集し、高浜原発前で関電の「原発マネー」癒着を糾弾し、高浜町に申し入れを行いました。
・10月12日、台風直撃下の米原集会では、井戸謙一福井原発訴訟(滋賀)弁護団長の「原発には未来がない」と題した講演と平尾道雄米原市長の激励をいただきました。
・10月16日には、名古屋地裁での「老朽原発40年廃炉訴訟」の傍聴に関西、福井から大挙して出かけ、原告の皆さんと交流しました。
・10月19日の大津集会、11月4日の舞鶴集会では、老朽原発の危険性に関する長沢啓行さんの講演を聴講し、デモ行進しました。
・11月17日の近江八幡集会では、中嶌哲演さんが原発立地の苦悩と原発電力消費地元の運動に関して講演されました。同日、大津市でも「老朽原発うごかすな!」集会が開催されました。
・11月20日の宇治集会では、筆者(木原)が「こんなに危険老朽原発!」と題して講演しました。

◆11月23日からは、「老朽原発うごかすな!」を訴える16日間のリレーデモを、延べ900人の参加を得て実行し、途中の自治体への申し入れも行いました。リレーデモの沿道では、賛同する多くの皆さんのご声援をいただきました。途中の11月30日、高島市で、嘉田由紀子参議院議員の講演会を大盛況のうちに開催しました。リレーデモと並行して、奈良市では関電奈良支社への抗議・申し入れとデモ(約50名参加、11月29日)、東大阪市では反原発集会(約100名参加、12月1日)、伊丹市では「さよなら原発集会」(560名参加、12月1日)が行われました。

▼2019年10月9日朝日新聞朝刊

▼2019年11月5日朝日新聞朝刊

▼2019年11月4日赤旗

▼2019年11月5日朝日新聞朝刊

▼2019年11月24日朝日新聞朝刊

◆リレーデモが関電本店に到着した12月8日には、全国から1100名の結集を得て「老朽原発うごかすな!関電包囲大集会」が開催され、各地のリレーデモ実行委員会、全国の原発立地で闘う団体、原発運転差し止め訴訟原告団、脱原発をめざす関西の市民団体、労働団体など、30を超える団体、個人から熱烈な連帯の挨拶をいただきました。名古屋の「廃炉訴訟」費用についてのクラウドファンディングが成功したこと、「関電の原発マネー不正還流を告発する会」の告発人が3000人を超えたことも発表されました。

▼関電本店前で反原発派の抗議集会「老朽原発は廃炉に」
朝日新聞デジタル。2019年12月8日19時27分
(ビデオもあり→こちら
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高浜原発、美浜原発、このまま廃炉」などと関西電力本店に向かってシュプレヒコールを上げる参加者ら=2019年12月8日午後、大阪市北区、小川智撮影

・老朽化した原発の再稼働に反対する抗議集会が8日、大阪市北区の関西電力本店前であった。運転開始から40年を超える関西電力高浜1、2号機や美浜原発3号機がある福井県や、京都府、兵庫県など16都道府県から約1100人(主催者発表)が参加した。

・福井県や京都府などの反原発団体でつくる「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」が主催。各地から集まった脱原発に向けて活動している市民団体の代表ら約30人が発言した。

・原発ゼロの会・大阪の山本謙治さん(72)は「稼働34年の高浜原発4号機では、蒸気発生器配管で異常が発生している。40年を超える老朽原発の再稼働など到底認められない」と発言。「若狭の原発を考える会」の木原壮林さん(76)は「普通の機械なら40年たてば新品と交換できるが、原発の圧力容器や一次冷却水の配管は放射能が強すぎて交換や点検ができない。高温高圧で動いてきた老朽原発は廃炉にすべきだ」と訴えた。

・最後に参加者らは「地震列島、原発危ない」「全ての原発、今すぐ廃炉」などと関西電力本店に向かって拳を突き上げ、シュプレヒコールを上げた。
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▼2019年12月10日赤旗

▼ABC関西ニュース(ビデオもあり→こちら)
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・運転開始から40年以上経った原発の廃止を訴えるデモが関西電力本店前で行われました。

・午前10時ごろ、大阪市北区の関電営業所前を出発したデモは、午後2時ごろに関電本店に到着しました。デモは、先月23日に福井県の高浜原発前からスタートし、参加者は運転開始から40年を超える原発3基の運用反対を訴えました。原発をめぐっては、関電幹部らが高浜町の元助役から、大量の金品を受け取っていた問題で、現在、第三者委員会が調査を進めています
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◆今、原発の安全対策費は高騰し、原発に依存する電力会社からの顧客離れが進み、原発は経済的にも成り立たなくなっています。また、原子力規制委員会は、「特重施設」が期限までに完成しなければ、原発は運転中であっても、停止させると決定しました。一方、関電幹部に高額の原発マネーが還流された不祥事によって脱原発・反原発の声はさらに大きくなっています。従って、今は老朽原発廃炉、原発全廃に向かって大きく前進する絶好の機会です。

◆上記の「老朽原発うごかすな!キャンペーン」、「リレーデモ」、「関電包囲大集会」は、今までになく幅広い、600を超える市民団体、労働団体、政党、個人のご賛同、ご参加を得て成功裏に遂行されました。この成功を礎として、来年早々には万余の民衆が結集する大行動を準備し、その力によって老朽原発の廃炉を勝ち取り、原発全廃に向けて大きく前進しましょう。


2019年12月10日
原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
木原壯林(若狭の原発を考える会 090-1965-7102)


◆高浜で抗議と申入◆米原集会◆原発の全廃を!

【2019年10月18日,京都キンカンで配付】

「10・8高浜原発および高浜町長への抗議と申し入れ行動」
「10.12老朽原発うごかすな!米原集会」
報告とお礼

◆標記の行動と集会は「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」の主催で開催されました。
10月8日には、緊急の呼び掛けにもかかわらず、70名の方がご参加くださり、私利私欲のために原発を推進した関電と高浜原発に怒りの抗議と原発全廃を申し入れ、高浜町長には原発稼働への同意の撤回を申し入れました。
(以下「関電不祥事を、原発全廃の好機にしよう!」の項にて記載)

◆10月12日には、台風の襲来でほとんどの催しが中止される中、「老朽原発うごかすな!」の決意に燃える52名が米原集会に結集し、平尾道雄米原市長(脱原発をめざす首長会議世話人)の激励を受け、福井原発訴訟(滋賀)弁護団長の井戸謙一弁護士の「原発には未来がない」と題する講演を聴講しました。

ご参加、ご賛同、ご支援をいただきました皆様に、
深く感謝し、お礼申し上げます。

「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」木原壯林(若狭の原発を考える会)

▲2019年10月9日毎日新聞朝刊

▲2019年10月9日朝日新聞朝刊

▲2019年10月9日福井新聞朝刊

▲2019年10月9日朝日新聞朝刊

▲2019年10月9日中日新聞朝刊


▲2019年10月12日 台風を吹き飛ばす熱気の中で開かれた「老朽原発うごかすな!米原集会」


関電不祥事を、原発全廃の好機にしよう!

◆関電が原発立地・高浜町の建設会社に支払った原発関連工事費などが、元高浜町助役を介して、多額の金品として関電幹部に還流されていたことが明らかになり、多くの人々の顰蹙(ひんしゅく)と大きな怒りを買っています。しかも、金品を受け取った関電幹部には、この資金還流を自らの不正として反省する姿勢がなく、その責任を他界した個人の人格に帰着させ、自らは被害者を装っています。関電は、10月9日になってやっと八木会長らが辞任し、事態の幕引きを図っていますが、原発を巡る腐敗の根は深く、財界、政界を問わず、さらに多くの疑惑が顕在化するでしょう。

◆還流された資金のもとを質(ただ)せば、電気料金として顧客から関電に支払われたものです。関電は、工事発注は適正に行われたと主張していますが、関電幹部に多額の金品を還流してもなお利益が出るほど高額な工事費であった事実は、工事費が水増しされていたことを物語るに十分です。このように原発マネーを垂れ流すから、受注業者がそれに群がり、発注元に「賄賂」として還流するのです。電力供給は公益性が高く、電気料金は税金に準じる性格を持つことを考えあわせると、許されることではありません。

◆ところで、今回の金品受領に、関電の役員の多くが関わっていたことは、不正が構造的なものであり、関電が事の善悪を判断し、コンプライアンスを徹底する機能と資質を持ち合わせていないことを示しています。とくに、渦中の役員のほとんどが、原発部門出身であったことは、立地住民の安心・安全や電力消費者の利益をないがしろにする経営の中で原発が推進されたことを裏付けています。

◆原発が重大事故を起せば、被害は広域かつ長期におよび何百万もの人々に塗炭の苦しみを与えかねません。原発を運転すれば、何万年もの保管を要する使用済み核燃料が蓄積します。

◆私利私欲にまみれた役員が中枢を占める関電に、万が一にも重大事故を起してはならない原発を運転する能力と資格が無いことは明らかです。45年超えにもなろうとする老朽原発の運転などもってのほかです。

◆一方、原発の導入や再稼働にあたって、立地自治体の意向は大きく反映されますので、その発言と責任はきわめて大きいと言えます。そのため、高浜町の元助役が、関電に対して大きな発言力と権力を持つに至ったのです。なお、重大事故に関する立地自治体の責任の範囲は、重大事故被害の広域性から、立地自治体内に限らず、例えば若狭の原発では、広く関西、中部などにもおよぶと考えられます。

◆以上のような視点に立って、「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」および「高浜原発、高浜町役場前抗議・申入れ行動参加者」は、10月8日、関電の八木会長、岩根社長、木島高浜発電所長に以下の抗議・申入れを行いました。

●不透明かつ不正な原発マネーの流れの中で、関西電力が、関西電力およびその役員の私的利益のために進めた原発の建設、再稼働に強く抗議します。

●関西電力のコンプライアンス体制が地に落ちていることが明らかになった今、関西電力が所有する全ての原発の即時停止と廃炉を求めます。
(なお、この抗議・申入れでは「関電が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働し続けて、重大事故が起こった場合、それは会長、社長らの故意による犯罪であり、許されるものではない」ことを申し添えました。)

◆一方、野瀬高浜町長には以下を申し入れました。

●高浜町は、黒い原発マネーにまみれ、事の善悪を判断する能力を持たず、コンプライアンスを徹底する機能と資質を持ち合わせていない関西電力が進める原発推進政策への同意を見直してください。

●今回明らかになった疑惑に高浜町元助役が重要人物として関与していたことについて、高浜町は、過去の出来事として片づけることは許されません。高浜町は、かつて森山栄治氏を町の要職である助役に選任したのですから、選任した経緯を調査し、この助役の私的利害や個別企業の利害が原発政策に反映されなかったか否かを調査し、明らかにしてください。森山氏は、助役を退任した後にも、町に大きな影響力を持ち、都市計画審議会委員や教育委員も務めたと報道されています。退職後の森山氏と関電との癒着関係の中で、高浜町の原発政策がその影響を全く受けなかったとは考えられません。森山氏の影響のもとで行った原発の運転や再稼働に関する同意を一端御破算にして、再審議してください。

●森山氏を助役に選任した浜田元町長は、高浜原発1、2号機の建設に深くかかわり、3、4号機の建設にも森山氏とともに関わっています。また、町長辞任後には、関電の子会社の顧問として報酬を受け取っています。このことと今回明らかになった福井県の幹部も金品を受領していた事実を考えあわせると、高浜町も疑惑の目で見られるのは自然の流れです。高浜町としても、町の姿勢を再点検してください。

●高浜町は、今回の不幸な出来事を契機に、重大事故の深刻さ、使用済み核燃料の処理処分など、人類の手に負えず、未来が全く見えない原発ときっぱり決別し、原発に依存しない、明るい未来を展望できる町づくりを進めてください。


2019年10月発行

若狭の原発を考える会
(連絡先;木原壯林 090-1965-7102)