老朽原発うごかすな!実行委員会」カテゴリーアーカイブ

◆原発に関わる最近の動き…(1)頓挫した原発輸出 (2)規制委審査大詰めの再処理工場

原発に関わる最近の動き
安倍政権の成長戦略の柱・原発輸出が頓挫

◆安倍政権は、福島原発事故後も、日本の原発は次世代自動車と並ぶ先進技術と位置づけ、原発輸出を「成長戦略の柱」として、官邸主導(トップセールス)で後押ししてきた。2012年に政権に復帰した安倍政権は、10年間で原発輸出の受注額を約7倍の2兆円に拡大するとしていた。しかし、今までに全ての原発輸出計画が頓挫した。

◆原発輸出頓挫の主たる原因は、福島原発事故以降、原発の安全基準が強化され、その結果、工費が福島事故前の1基5000億円程度から2倍以上の1兆円超に高騰したためであるが、それだけではない。福島原発事故の大きな犠牲の上に形成された脱原発・反原発の民意を背景とする脱原発・反原発運動の高揚、エネルギー使用削減への意識変革、省エネ機器や高効率発電法・蓄電法の進展、再生可能エネルギーへの転換の加速なども原発輸出を成り立たなくさせた大きな要因である。

◆全ての原発輸出が頓挫した事実は、少なくとも原発輸出に関する限り、安倍政権には世界の趨勢、経済の動向を予測する能力がないこと、安倍政権の経済政策が破綻したことを示しているが、安倍首相は口を閉ざしたままで、反省の言もない。安倍政権には、福島原発事故被害の深刻さ、その全社会、全世界に与える影響の重大性が理解できていないのではなかろうか。(なお、安倍政権の経済政策の破綻は、原発輸出に限ったものではない。)

頓挫した原発輸出の例

●日立製作所は、2020年代半ばの稼働を目指して、英国中部のアングルシー島に2基の原発の新設を計画していたが(計画に乗出したのは2012年)、1月17日、この計画の凍結を正式に決定した。安全対策費が当初計画の約1.5倍の3兆円超に高騰し、建設費回収の見通しが立たなくなっていた。日立は、事業凍結により約3000億円の損失を計上する。

なお、「原発日立が英国の原発から撤退」という報道があった1月11日、その瞬間から日立の株価が急騰し、2営業日で値上がり率は16%を超えた。日立が、3000億円という損失を計上しても、収益のマイナス材料である原発の泥沼から抜け出そうとしたことが評価されたことになる。原発は大企業にとってもお荷物・厄介者であることを如実に物語る。

●三菱重工業も、トルコでの原発計画を断念する見通しである(1月4日報道)。2013年に、安倍政権のトップセールスで黒海沿岸に4基の原発を2023年の稼働を目指して建設する計画を決定していたが、安全基準の強化で事業費が当初予想の2倍以上(約5兆円)に跳ね上がり、三菱は撤退の方向に転じた。トルコの通貨・リラが、昨年8月以降のトルコと米国の対立で暴落したことも原発建設コストを膨らませた。日本側は事業費を回収するために、電気料金の値上げを求めたが、国民の反発を恐れるトルコとの交渉は難航した。

なお、原子炉プラントに関するコンサルタント、導入する設備とそれに必要な資金の調達などでトルコでの原発建設計画に参画することを検討していた伊藤忠は、昨年4月に撤退の方針を固めていた。

●リトアニア・エネルギー省は、2016年11月、ヴィサギナス原発の建設計画凍結を勧告した。ヴィサギナス原発(130万 kw級、当初の建設費5000億円、2020年前後の運転開始が目標)は日立とバルト3国が出資し、日立と米・ゼネラルエレクトリック(GE)社が連携して建設することになっていた。

なお、リトアニアでは、2012年、ヴィサギナス原発の建設計画の是非を問う国民投票が行われ、6割以上の反対(賛成は3割台)によって事業が中断していた。

●ベトナム議会は、2016年11月、約9割の賛成で原発計画を白紙撤回した。その中には、日本がパートナーとなって開発を進めようとしていたニントュアン省ビン・ハイ原発1、2号機(2010年受注決定、2021年、22年運転開始予定)も含まれる。撤回理由は、
①原発には経済的競争力がない(建設費が1兆円から2.8兆円に急騰、発電単価が4.9セント/kWhから8セント/kWhへ上昇、他の電源が競争力をつけた)、
②電力需要の伸びが緩やかになり、原発なしでもやっていけるようになった、
③ベトナムの対外債務が深刻化した、
④廃棄物処理が手に負えない、
など。住民の脱原発意識も高まっている。

●アジアの中で日本についで早期に原発が建設された台湾は、3カ所(第1から第3原発)に2基ずつ、計6基を稼働させている。全てが、米国ウエスチングハウス(WH)またはGE製。1999年より建設中であった第4原発の直接受注元はGEであるが、1号機原子炉は日立、2号機原子炉は東芝、各発電機は三菱が受注し、実質的に日本からの輸出原発である。

第4原発について、2013年2月、台湾全住民による住民投票(「公民投票」)で建設の是非を問う方針が明らかにされたが、この「公民投票」を前に2013年3月には台北をはじめ各地で大規模なデモ(参加者10万人超)、2014年4月には台北で大規模なデモが行われたこと受けて、馬英九総統は1号機の稼働凍結と2号機の工事停止を表明。翌2015年7月に正式に建設が凍結された。

さらに、台湾の立法院(国会)は、2017年1月、「原子力発電設備の運転を2025年までにすべて終了する」との条項を含む電気事業法を可決し、蔡英文政権は脱原発を目指していた。しかし、2018年11月の国民投票ではこの条文の廃止が決まったので、政府は脱原発に期限を設けないとしたうえで、再生可能エネルギーの開発に取り組む姿勢を示している。

●安倍政権は、「核不拡散条約(NPT)」や「包括的核実験禁止条約(CTBT)」を批准もせず、核兵器を所有するインドの立場を認めて、「日印原子力協定」を締結した(2017年7月発効)。本来、二国間協定は、「核物質、原子炉等の主要な原子力関連資機材および技術を移転するにあたり、移転先の国からこれらの平和的利用等に関する法的な保証を取り付けるために締結するもの」であるが、このことは全く無視されている。さらに、この協定では、軍事転用可能なプルトニウムを取りだすことのできる再処理を認めている。

インドでは、22基の原発が稼働しているほか、建設中も5基あり、2050年には電力需要の4分の1を原発で賄う計画もあり、安倍政権には、有望な原発市場との期待がある。

協定締結前の2016年6月、米印両政府は東芝傘下のウエスチングハウス(WH)がインドで6基の原子炉を建設する計画で基本合意しており、この事業に東芝から部品を提供できなくなるのは困るから、安倍政権は日印協定の締結を急いだが、WHは経営破綻し、東芝は海外原発事業から撤退する事態に陥っている。

インド特有の問題として、事故が起きた場合、電力会社はメーカーに賠償を請求できるという法律がある。

●米国カリフォルニア州南部のサンオノフレ原発について、運営するエジソン社は2013年6月、全ての原子炉を廃炉にすると発表した。この原発は、三菱重工製の蒸気発生器の配管破損による水漏事故を起こし、稼働停止していた。この事故が起きたのは2012年1月。前年に交換したばかりの3号機の配管が破損し、微量の放射性物質を含む水が漏れ出した。定期点検中だった隣の2号機でも配管内の異常な摩耗がみつかった。その数は合計1万5千カ所以上に上り(配管の全長は約50 km)、米原子力規制委員会(NRC)は全基の稼働を禁じていた。NRCは、三菱重工側の設計ミスが事故原因と指摘した。

三菱重工はエジソン社など4社から約8500億円の損害賠償を請求されたが、国際商業会議所から契約上の責任上限額に近い約141億円を支払う仲裁裁定を受けた。

●米国スキャナ電力は、2017年7月、経営破綻した東芝傘下のウエスチングハウス(WH)に発注していたサウスカロライナ州サマー原発2、3号機の建設を断念すると発表した。2号機は2019年8月、3号機は20年8月の完成を予定し、建設費は約1.5兆円を見込んでいたが、工事の遅れで両基の完成は24年ごろ、建設費も約2.7兆円規模に膨らむ見通しになった。スキャナのCEOは声明で、WHが追加コストの負担を約束していた固定価格契約が、WH破綻で実施できなくなったことが、断念の引き金との考えを示した。同州法では、原発が完成してもしなくても、建設費を電気料金に転嫁でき、既に計18%の値上げが行われている。東芝がスキャナなどにWHの親会社として支払いを約束した債務保証21億6800万ドル(2432億円)は料金の抑制に使われる。


再処理工場の規制委審査大詰め

危険極まりない再処理工場の操業を許すな!

◆原発の使用済み核燃料を化学処理(再処理)して、燃料として再利用できるプルトニウムなどを取り出す日本原燃(原燃)の再処理工場を巡り、原子力規制委員会(規制委)は1月28日、審査会合を開いた。規制委は昨年9月までに、再処理工場の本格稼働に必要な審査の内、地震や津波対策などの主要な議論を終えたとして、事実上の合格証に当たる「審査書案」を作成していたが、議論が不十分な項目が判明し、原燃に追加説明を求めるために、今回、改めて審査会合を開いた。

◆この会合では、
①再処理工場で生じる濃縮廃液が冷却機器の故障などで蒸発し、放射性物質が放出される「蒸発乾固」、
②プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場での臨界事故の対策を中心に議論したが、規制委の審査チームは了承の姿勢を示し、原燃に最終「補正書」の提出を求めた
(原燃は、規制委に指摘された事故対策の事項などを反映させた「補正書」を3月末までに提出する意向)。

◆この会合によって追加の審査会合が終結し、審査で議論した安全対策全般を事務局がまとめる「審査書案」の作成作業は詰めの段階となり、作成された「審査書案」を規制委が了承すれば事実上の合格となり、意見公募などを経て正式合格となる。

◆再処理工場は、使用済み燃料を再利用する国策「核燃料サイクル」の中核施設。1993年の着工後、トラブルなどで完成が20年以上遅れているが、原燃は2021年度上半期の完成を目指している。総事業費は13兆9300億円の見通し。審査に正式合格しても本格稼働は完成以降になる。

◆使用済み燃料から抽出したプルトニウムは、核兵器に転用可能であり、単品で保管することは核不拡散の視点から避けなければならないので、MOX燃料として保管するが、MOX 燃料を燃やす原発の再稼働は進んでいない。そうした現状で再処理工場が稼働すればプルトニウムの大量保有につながりかねず、国際社会から厳しい目を向けられることになる。

◆なお、再処理工場が「合格」となれば、連動してMOX燃料加工工場も「合格」となる可能性が高い。

以上のような経緯で、安倍政権、原燃、規制委は、危険極まりなく、現在科学技術では制御できず、大量の高レベル、低レベル放射性廃棄物を生みだし、放射性物質(希ガス、ヨウ素、トリチウムなど)を環境に放出する再処理工場の早期操業に躍起である。嘘とねつ造で固められた政府が、「規制委審査」などを使って安全を「保証」しても、再処理工場の危険は取り除けるものではない。

なお、政府が再処理工場の操業を急ぐ理由の一つは、使用済み核燃料を再処理工場に持ち込み、原発の燃料プールを空け、原発の連続稼働を可能にしたいためである。許してはならない!

◆以下に核燃料再処理とその危険性について概説する。

核燃料再処理とは?

◆ウラン燃料が核反応する(燃焼する)と、燃料中には、各種の核分裂生成物(死の灰)、プルトニウム、マイナーアクチニド(ネプツニウム、アメリシウムなどのウランより重い元素:生成量は少ない)などが生成し、ごく一部のウランが反応した段階(大部分のウランは未反応のまま)で、原子炉の運転が困難になる。

◆そこで、使用済燃料を原子炉から取り出し、新しい燃料と交換する。使用済核燃料の中には、核燃料として利用できるプルトニウムが含まれるので、それを分離・回収する過程が再処理である。取り出されたプルトニウムはプルサーマル炉や高速炉で燃料として、場合によっては核兵器の材料として使用する。

◆使用済核燃料は、原子炉に付置された燃料プールで保管し、放射線量がある程度低下した後、乾式貯蔵容器に移して、再処理工場サイトにある貯蔵施設に運ばれる(日本では、青森県六ケ所村)。再処理工程では、燃料棒を切断して、鞘(さや)から使用済燃料を取り出し、高温の高濃度硝酸で溶解する。溶解までの過程で、気体の放射性物質(ヨウ素や希ガスなど)が放出される。白金に類似した物質は溶け残る。溶解したウラン、プルトニウム、核分裂生成物などを含む高濃度硝酸溶液中のウラン、プルトニウムは、これらの元素と結合しやすい試薬を含む有機溶媒を用いて取り出し、さらに精製して核燃料の原料とする。この過程で、硝酸の分解ガスが発生し、爆発したこともある。

◆また、死の灰などの不要物質が、長期保管を要する高レベル(高放射線)廃棄物として大量に発生する。その処理処分法は提案されているが、問題が多い。例えば、原燃はガラス固化体として保管するというが、この固化体が安定であるとの保証はない。保管を受け入れる場所もない。

核燃料再処理の危険性

◆使用済核燃料は高放射線であるから、再処理工程の多くは、流れ系を採用し、遠隔自動操作で運転される。そのため、再処理工場には、約10,000基の主要機器があり、配管の長さは約1,300~1,500 km にも及ぶ(うち、ウラン、プルトニウム、死の灰が含まれる部分は約60 km)。配管の継ぎ目は約40万ヶ所。高放射線に曝され、高温・高濃度硝酸と接する容器や配管の腐蝕(とくに継ぎ目)、減肉(厚さが減ること:溶解槽で顕著)、金属疲労などは避け得ず、安全運転できる筈がない。長い配管を持つプラントが、地震に弱いことは自明である。

◆再処理工場には、すでに2兆2千億円以上を投入し、原燃は2021年完成を目指しているが、再延期の可能性は高い。

◆使用済み核燃料は膨大な量の放射性物質の塊で、人間が近づけば即死するほど多量の放射線と高い熱を出し続ける。再処理工場では、こんな危険な使用済み燃料の入った鞘(燃料棒)をブツ切りにした後、化学薬品を使って溶解し、プルトニウム、燃え残りのウラン、死の灰(核分裂生成物)に分離する。溶解までの過程で、それまで燃料棒中に閉じ込められていた放射性物質は解放されるから、再処理工場では、たとえ事故でなくても、日常的に大量の放射性物質を放出する。高さ150メートルの巨大な排気筒からは、クリプトンをはじめ、トリチウム、ヨウ素、炭素などの気体状放射能が大気中に放出される。しかし、国は、これらの放射性物質は「空気によって希釈・拡散されるので問題はない」といっている。また、六ヶ所村沖合3kmの海洋放出管の放出口からは、トリチウム、ヨウ素、コバルト、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムなど、あらゆる種類の放射性物質が廃液に混ざって海に捨てられる。これについても国や原燃は「大量の海水によって希釈されるので安全」と説明している。なお、六ヶ所工場の当初計画ではクリプトンとトリチウムの除去が計画されていたが、経済的な理由から放棄され、全量が放出される。

◆以上のように、再処理工場は危険な放射性物質を垂れ流す最悪の核施設である。ヨーロッパでは、再処理工場周辺にまき散らされた プルトニウムなどの放射性物質が、鳥や魚、植物、そして人体からも確認されている。また、再処理工場で大事故が起これば、放射性物質は世界中に広がる。再処理工場は「原発1年分の放射能を1日で出す」と言われている。

◆使用済核燃料を再処理せず、燃料集合体をそのままキャスクに入れて、地中の施設に保管する「直接処分」の方が安全で、廃棄物量も少ないとする考え方もあり、米国はその方向であるが、10万年以上の保管を要し、これも問題山積である。


老朽高浜原発1、2号機、美浜原発3号機再稼動阻止!

3.24高浜現地全国集会、5.19関電包囲全国集会

主催…原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

ご賛同、ご参加をお願いします。ご賛同戴ける方は、下記事項を本チラシの連絡先へお知らせください。

個人賛同の場合:お名前、お名前公表の可否、ご住所、電話番号、E-メールアドレス(あれば)
団体賛同の場合:団体名、団体名公表の可否、代表者名、担当者名、担当者住所・電話番号・E-メールアドレス


2019年2月発行

連絡先;木原壯林(若狭の原発を考える会)090-1965-7102
FAX:075-501-7102 E-メール:kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp


◆2019年を、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機廃炉の年に!

【2019年1月4日,京都キンカンで配付】

◆新しい年が、原発のない世界、戦争のない世界に向かって大きく前進し、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現する突破口となることを祈念しながら連帯のご挨拶を申し上げます。

◆安倍政権は、今、憲法に規定する戦争放棄、表現の自由、集会・結社の自由、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、勤労者の団結する権利を蹂躙する政策を次々に推し進め、平和主義、国民主権、基本的人権を基調とする憲法の実質的な改悪を進めています。庶民の犠牲のうえに、大資本にのみ奉仕する国を造り、戦争の出来る国を造るための政策です。

◆原発関係でも、安倍政権は横暴を極めています。安倍政権と電力会社は、圧倒的な脱原発・反原発の民意を踏み躙(にじ)り、脱原発に向かう世界の潮流に逆らって、川内、伊方、高浜、大飯、玄海原発を再稼働させ、今年以降は、運転開始後40年をはるかに超える老朽原発・高浜1号機(45年越え)、2号機(44年越え)、美浜3号機(43年越え)まで再稼働させようとしています。

◆既存の原発全ての運転を60年まで延長して、原発電力を「巨大資本に奉仕する国を造り、戦争の出来る国を造る」ための基盤電源にしようとする「エネルギー基本計画」を強行するためです。関電はその露払いをしようとしているのです。

◆本来、原発の40年越え運転は「例外中の例外」であったはずです。安倍政権は、この約束もなかったものにしようとしています。人々を愚弄するにも程があります。

◆しかも、原発稼働によって蓄積する使用済み核燃料は行き場もないのです。関電は、1昨年暮れ、西川福井県知事に「2018年中に使用済み燃料保管地を福井県外に探す」と約束しましたが、この約束は反故(ほご)にされています。原発稼働への同意を取り付けるための「口から出まかせ」の空(から)約束であったことは明らかです。

◆このように、安倍政権や電力をはじめとする大資本は、嘘と欺瞞に溢れています。一刻も早く打倒し、人の命と尊厳が大切にされる社会、戦争のない世界を実現しなければなりません。ともに奮闘しましょう!

◆今年もよろしくお願い申し上げます。

2019年元旦

若狭の原発を考える会・木原壯林


老朽高浜原発1、2号機、美浜原発3号機
再稼動阻止全国集会
(高浜現地、関電包囲)に、
ご賛同、ご参加をお願いします。

◆原発が人間の手におえる装置でないことは、福島第一原発事故が、大きな犠牲の上に教えています。それでも、関電は、40年の運転期限を越え、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機まで、2019年9月~2020年3月にかけて再稼動させ、全国の原発の20年運転延長を先導しようとしています。

◆老朽原発再稼働阻止のため、来る3月に高浜現地で、5月には大阪関電本店前で、全国集会(及びデモ)を企画しています。ご賛同、ご参加、ご支援をお願いします。

① 3月24日(日)14時から
「老朽原発うごかすな!高浜全国集会」

・ところ:高浜町文化会館(福井県高浜町)

② 5月19日(日)13時から
「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」

・ところ:関西電力本店前(大阪市北区中之島)

①、②とも
・主催 原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
・呼びかけ
(1) オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)
(2) ふるさとを守る高浜・おおいの会
(3) 若狭の原発を考える会
・連絡先
(1) 林広員(オール福井反原発連絡会)090-8263⊸6104
(2) 東山幸弘(ふるさとを守る高浜・おおいの会)0770-72-3705
(3) 木原壯林(若狭の原発を考える会)090-1965-7102 FAX:075-501-7102
E-メール:kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp

3.24集会、5.19集会にご賛同いただける方は、
下記事項を上記連絡先へご連絡ください。

→個人賛同の場合:お名前、お名前公表の可否、ご住所、電話番号、E-メールアドレス(あれば)
→団体賛同の場合:団体名、団体名公表の可否、代表者名、担当者名、担当者住所・電話番号・E-メールアドレス


寄稿

海は人をつなぐ 母の如し

―韓国船遭難救護の記録・絵本「風の吹いてきた村」の紹介―

若狭の原発を考える会・木戸 恵子

◆「風の吹いてきた村」の舞台となった集落は、福井県遠敷郡内外海(うちとみ)村泊(とまり:現在の小浜市泊)です。

◆内外海半島の小浜市泊は、下記のように原発を拒否した地区ですが、住民は小浜湾を挟んで約5 kmの目前に迫る大飯原発を見ながらの生活を強いられています(大飯原発の立地・おおい町からは、山に隠れて、原発は見えません)。

◆泊地区に反原発のチラシを配りに行くと、お会いする方々は「政治が悪い!」、「あんなもん動かして、どうするつもりや!福島をみたらわかる」と、私たちに訴えられます。

◆以下では、内外海半島での原発建設を拒否した運動を概説し、現在でも反原発・脱原発がこの地域の民意であることを示す中日新聞の報道を紹介した後、絵本「風の吹いてきた村」を紹介します。絵本からは、ヒューマニズム(人間愛)とインターナショナリズム(国際主義)の原点を感じ取ることができます。

内外海半島での原発建設拒否の闘い

◆福井県で原発建設の動きが相次ぐ中、1968年、内外海半島の田烏に関電の原発設置計画が持ち上がりました。当時、田烏や矢代の集落から市街地まで車で行ける道がなかったため、道路の整備を求める田烏の住民や漁協が誘致に傾く中、周辺に漁業権を持つ内外海漁協が、「先祖代々受け継いできた田畑、山や海を美しいまま次の世代に伝えたい」として、反対の声を上げ調印を拒否しました。また、「道さえ良くなれば原発の金をもらわなくても生活は十分成り立つ」と県選出の国会議員に訴え、県道を作ることに成功しました。

◆その後は、原発誘致熱は冷めていったものの、推進派はあきらめませんでした。しかし、市民団体、労働組合、宗教団体が、小浜市への原発設置と若狭湾岸への原発集中化に反対する署名活動を第5次まで粘り強く取り組み、1972年、市長の誘致断念宣言を勝ち取りました。

大飯原発5 km 圏の小浜市民の大多数は廃炉を求めている

◆2018年5月8日の中日新聞朝刊に、小浜市内外海地区での世論調査の結果についての記事「小浜の 5 km 圏住民、反対が多数/大飯原発再稼働」が掲載されていました。以下は、その抜粋です。

◆関西電力大飯原発4号機の再稼働を前に、小浜市で原発から5 km圏内にある全戸を対象に本誌が実施した意識調査で、ほぼ半数が再稼働に反対し、8割以上が廃炉を求めていることが分かった。小浜市は一部が5 km圏にありながら原発の立地自治体ではないため、地元同意の手続きから外れている。調査では、住民の意思が反映されないまま再稼働が進んでいる実態が浮かんだ。

◆大飯原発は、立地自治体のおおい町と福井県が再稼働に同意し、既に3号機が稼働している。小浜市で事故時にすぐ避難が必要な原発5 km圏の「予防防護措置区域(PAZ)」にあるのは内外海地区の一部で、昨年4月時点の人口は267人。調査は居住を確認できた65戸を訪問し、59戸の住人が回答した。

◆大飯原発の再稼働の賛否では、「賛成」が11人(18.6%)、「反対」が28人(47.4%)、「わからない」が20人。賛否の理由を複数回答で尋ねたところ、反対理由は「避難計画に不安がある」を挙げた人が20人でもっとも多く、「原子力規制委員会や県が安全性を確認しても事故は起きる」が18人だった。賛成では「地域経済に必要とされている」が5人で最多。「国策だから」が3人続いた。

◆また、小浜市が地元同意手続きに対象に入っていないことについては、全体の66.1%が「同意が必要」との考えを示した。おおい町と県だけの同意で再稼働が認められる現状に「危険性はおおい町と変わらない」など訴える人もいた。大飯原発を今後どうすべきかとの質問には、49人が回答。「将来的に廃炉」が25人で最も多く、「即廃炉」を選んだ18人と合わせると87.7%が廃炉を望んだ。
(福井支社・中崎裕)


絵本「風の吹いてきた村」

(文/大森知良、絵/上原徳治:発行人/大森知良:2014年10月発行)

◆この絵本に書かれた韓国船遭難があった1900年頃は、日本が朝鮮半島を侵略し、朝鮮人の名前を日本名に強制的に替える「創氏改名」や日本語の強制、教育勅語による差別的な教育、田畑の略奪などを行い、朝鮮人を搾取した時代でした。その時代に、寒風吹き荒(すさ)ぶ中、危険を顧みず、韓国船遭難者全員を救出・保護した誇らしい歴史を、泊の人達は、今でも大切に語り継いでおられます。以下には、絵本のほぼ全文を紹介します。

◆1900年1月12日、北西の風が吹き荒れた翌日のことです。福井県遠敷郡内外海村泊(現在の小浜市泊)の浜には多くの漂着物が流れついていました。村の若衆・長太夫が浜に出ると、海はまだうねりがあり波が打ち寄せていました。沖を見ると船がいました。見たこともない船です。「これは日本の船とはちがう。外国の船に違いない。一大事や!」長太夫は村の衆を呼びに走りました。豊蔵、仲太夫、清蔵、兼松が来ました。「これはたいへんだ!えらいことや!」5人で手分けして村中を走り回り、人を集めました。区長の孫右衛門と輿太夫の指揮で小舟を出すことになりました。冬の荒海を懸命に櫓を漕いで沖の船に向かいます。

◆船に近づくと、人たちが手をふって何やら叫んでいます。しかし何を言っているか言葉がわかりません。困り果てていると、頭と思われる人が紙を出してきて何か書き始めました。それは漢字でした。

韓国人「ここは、いったいどこですか?」
村人「ここは日本国の北陸地方です。」
村人「この船はどこから来ましたか?」
韓国人「朝鮮です。」
村人「船に病人や死人はいませんか?」
韓国人「いません。」

◆筆談でおおよそのことは分かりました。乗船者は寒さと空腹でぐったりしている様子です。40名、いや50名、いやまだまだ船底にもいる様子です。「とにかく、舟に乗せて浜にあげよう。」小舟に乗れるだけ乗せて浜にあげました。船がまだ足りません。「皆の衆、出せる船は全部出してくれ!」 区長の指揮で船小屋にある船を出して沖に向かいました。そして、小舟に乗せて次々に陸にあげました。村の浜には村中の人が集まりました。浜に上陸した韓国船の乗船者は全部で93人もいました。助かった安どで泣き出す者もいました。

◆村人は、韓国人の身体を温め、村中の米を炊いて食べてもらいました。次は93人の宿泊ですが、皆で手分けして泊め、子供達も総出で風呂を焚いて、冷え切った体を温めてもらいました。生き返った喜びが村中にあふれたそうです。

◆翌日から村にある寺院・海照院に遭難救護の仮事務所が設けられました。内外海(うちとみ)村役場と小浜警察署から役人や警察官が来て取り調べが始まりました。

◆筆談で分かったことは、船の名前は、「四仁伴載(サインバンゼ)」、八百石積める木造船です。乗船者は、商人、運搬人、乗組員など93人。仕事で来ていたウラジオストックを出港し、大韓国の明川にある沙浦に向かっていたら、出港した日の夕方、急に嵐になり、激しい波風で木造船は帆が折れ、船内に海水が入ってきました。転覆を避けるために、多くの積み荷を投げ捨てました。真冬の中、わずかな乾米を分け合い、自分の尿を飲んで14日間漂流し、死も覚悟していたという悲惨な話でした。

◆韓国人の滞在は8日間続きました。言葉は通じませんが、応対の中でお互いの心が通じ合うようになり、好奇の感情から親しみの感情へと変わっていきました。最初の4日間は、韓国人に白米を1日1人1升5合食べてもらいましたが、5日目、官からの命令で、水難救護法に従って1日7合5勺に減らすよう言われました。村人は、韓国人の空腹の様子を見て気の毒に思い、内緒で芋や餅、大豆煮、韓国人の好きな生大根や蕪を村中皆で差し入れました。韓国人はたいそう喜び、村人に手を合わせ、それを見ると村人は憐れみを感じ、涙をこぼしたと言われています。

◆滞在8日後の1月19日、村の浜には、老若男女、子供に至るまで区民全員が集まり、村長が送別の挨拶を以下のとおりしました。

「大韓国吉州・明州にお住いの皆様は、海上で暴風に遭い、この地に漂流してこられました。わが村民は、皆様方全員を救助できましたことを光栄におもいます。この地で8日間お世話をしましたが、不便な土地ゆえ、十分なことはできませんでした。今日、皆様方を帰国させることになりましたが、別れるとなると胸がいっぱいになります。どうかご無事で、故郷へお帰りになりますよう心からお祈り申し上げます。」

◆韓国人を代表して崔卿汝(チェキョンヨ)がお礼の気持ちを書いた書状を渡したそうです。それには「夢にも思わずあなたの国へ着きました。飢えや寒さは耐え難く、死の境をさまよっていましたが、村の皆様方の小舟に助けられて上陸することができました。そして、きわめて深いおもてなしを受けました。ご飯も腹一杯食べさせていただきました。この恩は山の如く海の如くであります。私たちは本国に帰り、それぞれの故郷へ戻ります。いつまたお会いできるかわかりません。お別れするのはとてもつらく悲しいです。皆様方のお幸せとご健康をお祈り申し上げます。この御恩を万年の世まで語り伝えていくつもりです。」と書かれてありました。韓国人たちが眼に涙して別れを告げると、村人も涙を流し、その様子は親子兄弟の別れのようだったと言われています。

◆救援により93人の韓国人全員が救助され、93人は敦賀から大阪港へ行き、蒸気船「恐鴻丸」で釜山まで送られました。

◆事件から100年後の2001年1月、日韓の有志によって救護の現場を望む海岸に記念碑が建立されました。碑には「海は人をつなぐ母のごとし」と日本語と韓国語で刻まれています。


記念碑


絵本「風の吹いてきた村」


2019年1月発行

(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆原発にかかわる過去半年(6月~11月)の出来事

【2018年12月14日,京都キンカンで配付】

◆2018年も師走になりましたので、過去半年(6月~11月)の原発に関わる出来事を振り返ってみました。

◆福島では、原発事故被害者の人権がますます蹂躙され、不完全処理の汚染水がたまり続けるなど事故収束の目途はたっていません。原発関連の事故やトラブルは、相も変わらず多発でした。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・保管の困難さはますます明らかになり、中間貯蔵すら引き受けるところがありません。今年の夏は酷暑でしたが、停電にはならず、原発は不要であることが再確認されました。それでも、安倍政権の「大資本に奉仕する国づくり」、「戦争できる国づくり」のためのエネルギー政策に迎合するように、玄海、川内、高浜、伊方の原発が再稼働あるいは再稼働されました。さらに、政府と電力会社は、40年越えの老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機、東海第2の運転延長に躍起です。一方、司法は、3権分立の大原則をかなぐり捨て、政府と電力会社に媚びへつらった判決を乱発しています。

◆以下に、出来事を列挙します。

東芝、米原発新設から撤退(6月1日報道)

◆東芝が2009年に、米テキサス州で受注していた原発2基の新設計画を取り止めると発表。電力価格の下落、福島原発事故後の安全基準の強化に伴う建設費の高騰が原因。開発に投じた約862億円は、すでに損失として計上済み。

仏が高速炉計画大幅縮小へ(6月1日報道)

◆日本が国際協力を進めようとしている高速炉「アストリッド(ASTRID)」計画について、フランス政府が建設コスト増を理由に規模縮小を検討している。アストリッドは、仏国内に2023年以降に着工し、2030年代に運転再開を目指している。当初、出力規模を60万キロワットを想定していたが、10~20万キロワットに縮小すると日本政府に伝えた。数千億円から1兆円規模とみられる建設費の日仏による折半も打診した。日本政府は、実質的に破綻している「核燃料サイクル政策」にしがみつき、アストリッドを核燃料サイクル推進の当面の柱にしようとしていたが、大きな変更を迫られることになる。

柏崎原発で5400リットルの冷却水漏れ(6月4日)

◆東電柏崎刈羽原発6号機のタービン建屋で冷却用の海水が配管接続部から床に漏れていることを発見。

日立、英原発推進に前向き姿勢(6月8日表明)

◆日立は英国中部アングルシー島で計画する原発新設(2基)事業計画の継続に前向きな姿勢を示した。一方で、採算性が合わない場合には撤退する可能性もあることも示唆した。日立は、英原発子会社を通じてこの計画を進めてきたが、安全対策費などでコストが膨らみ、総事業費は、当初の想定を大幅に上回る3兆円規模になる見通しになったため、リスク回避に向けて英政府に資金支援を求めてきた。

むつ市長、使用済み核燃料の中間貯蔵について、電力会社や政府に説明を要求(6月4日)

◆関電が同社の原発から出る使用済み核燃料を青森県むつ市の中間貯蔵施設で一時保管することを検討しているとされる問題で、 宮下むつ市長は、国や電力会社に強い不信感を示し、説明を求めた。この問題では、関電が、むつ市の中間貯蔵施設の運営会社「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」に出資する方向で最終調整していると報道されていた(6月2日)。宮下市長は「一切聞いていない」とした上で、「RFSに出資している東電、日本原電とRFSに強い不信感を持っている」と述べ、3社に公共の場での説明を求めた、なお、関電は、2018年中に福井県内にある原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を福井県外に探すと福井県知事に約束している。

再稼働同意自治体の拡大6割が評価(6月7日)

◆日本原電東海第2原発の再稼働の条件となる事前同意の対象を、立地自治体だけでなく、周辺にも広げた「茨城方式」と呼ばれる安全協定が結ばれたことについて、共同通信が、全国の原発の30㎞ 圏にある周辺自治体にアンケート調査をしたところ、「妥当」あるいは「どちらかと言えば妥当」と答えた自治体は、約6割に上ることが分かった。また、「茨城方式」と同様な協定を検討すると答えた自治体も約4割に上った。

東海村再処理工場廃止へ(6月13日発表)

◆原子力規制委員会は、原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す日本原子力研究開発機構の「東海再処理施設」の廃止措置計画を認可した。作業終了までには、約70年を要し、国費約1兆円が投入される見込み。東海施設は、1977年に再処理を開始し、老朽化などによって2014年に廃止が決まっていた。この施設は、放射線レベルが極めて高い廃液をガラスと混ぜて固めた固化体約310本や廃液そのもの約360立方メートルを保管している。廃棄物の処分先は決まっていない。

原子力委員会、プルトニウム削減へ新指針(6月13日)

◆日本が保有する約47トン(原爆6000発分)のプルトニウムの削減に向けて、原子力規制委員会は、新指針を取りまとめた。
①2021年完成予定の六ケ所村の再処理工場では、プルトニウム製造量を通常の原発にMOX燃料として使用する量のみに限定する、
②再稼働が遅れている電力会社が海外に保有するプルトニウムを、原発を稼働させている他社に譲渡してMOX燃料として消費する、
などを盛り込んでいる。しかし、原発再稼働が進まず、プルサーマルも停滞しているので、削減策の実効性は不透明である。
(チラシ作成者の意見:プルトニウムは、MOX燃料として使用しても一部が消滅するだけ。プルトニウムを増やさないためには、原発を全廃し、再処理を止めることこそが肝要である。)。

東電が福島の全原発の廃炉を表明(6月14日)

◆東電は、福島第2原発の全原発(4基;福島第1原発事故後停止中)を廃炉にする方針を表明した。福島県内の全原発廃炉が実現する。裏には、福島原発全廃を表明することによって、福島第1原発の廃炉・汚染水を巡る交渉を前進させたい、とくにトリチウムを含む汚染水の海洋放出への知事や地元の協力を取り付けたいとの東電の思惑がうかがえる。

玄海原発4号機再稼働(6月16日)

◆九電は、玄海原発4号機を再稼働させた。新規制基準下の再稼働は、5原発9基目。

新電力に切り替えた家庭が10%越(6月18日発表)

◆経産省は、新規参入した電力会社(新電力)に切り替えた家庭が、電力小売り全面自由化から2年の今年3月末時点で初めて10%を超えたと発表した。東京電力管内が13.9%、関西電力管内が13.1%と、切り替えは都市部で目立ったが、地方でも進んでいる。

原発避難円滑化モデル事業で京都など3府県に補助金(6月22日)

◆中川原子力防災担当大臣は、原発周辺地域の避難経路の道路改修費等を補助するモデル事業として、福井県、京都府、愛媛県の計4事業を選んだと発表。本年度は、計4億9千万円が交付され、例えば、高浜町の狭い道路を部分的に拡幅する事業、伊方町の避難経路の土砂崩れ防止用のり面保護対策に使用される。
(チラシ作成者の意見:このようなはした金で、原発事故時の円滑な住民避難が保証されるはずがない。住民懐柔策であることは明らか。原発全廃こそ原子力防災!)

大飯原発でプルサーマル化方針(6月27日発表)

◆関電は、大飯原発3、4号機でプルサーマル運転に取り組み、余剰プルトニウムを消化していく方針を示した。関電は、高浜原発で2010年以降にプルサーマル運転を行っている。
(チラシ作成者の意見:プルサーマル運転は、ウラン燃料運転に比べて危険度が高く、放射線量や発熱量の下がり難い使用済みMOX燃料を生み出す。)

東通原発、地質調査開始を発表(6月29日)

◆東電は、福島原発事故で中断していた東通原発1号機の建設作業再開のために、今年度後半に地質調査を始めると発表した。この原発は、2011年1月に国の新設認可を得て地質調査を始めたが、福島事故で中断していた。なお、東通には、2005年に運転を開始し、現在停止中の東北電力1号機がある。

「エネルギー基本計画」閣議決定(7月3日)

◆政府は、「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定した。再生可能エネルギーを「主力電源化」と明記する一方で、原発は「重要なベースロード電源」と位置づけ、2030年の原発比率を20~22%にしようとしている。この目標達成には、30基程度の原発が必要で、老朽原発運転延長の加速が懸念される。原発の新増設の本音は封印した。二酸化炭素放出の大きい石炭火力比率も26%とした。

名古屋高裁、大飯原発差し止め認めず(7月4日)

◆名古屋高裁金沢支部は、大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた2014年5月の福井地裁判決を取り消し、住民側逆転敗訴の判決を言い渡した。福島原発事故以降に起こされた運転差し止め訴訟で、高裁判決は初めて。判決で、内藤裁判長は、原発の危険性の判断について、「新規制基準」や規制委の判断に不合理な点はないとし、原発の運転について、「福島事故の深刻な被害などに照らし、廃止・禁止することは大いに可能」としながら、「判断は、もはや司法の役割を超えている」と強調。3権分立下の司法の役割を、自ら放棄する判断である。

東海第2再稼働「合格」(7月4日)

◆原子力規制委員会は、日本原電が再稼働と最長20年の運転延長を目指す東海第2原発の再稼働に関する審査書案を了承した。事実上の再稼働合格で、2011年3月の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発では初めて。沸騰水型原子炉では、東電柏崎刈羽6、7号機に続き2例目。実際の再稼働には、21年3月までかかる安全対策工事が必要である。また、再稼働に必要な事前の地元同意には、立地自治体だけでなく、周辺自治体も加わる全国初のケースになる。この原発は、40年の運転期限となる11月までに、運転延長に関わる他の2つの審査もクリアしなければ廃炉となる。同原発の30 km 圏内には96万人が暮らす。

「もんじゅ」廃炉費総額1兆円超?(7月6日報道)

◆政府は、廃炉が決まっている「もんじゅ」の廃炉費用を3750億円と試算しているが、燃料処理費を含んでいない。これを含めると、廃炉費の総額は1兆円を超える可能性が出てきた。毒性の高いプルトニウムを多量に含む燃料を処理する施設は国内外になく、海外の業者に高額で委託するしかなく、施設の新設も含めて膨大な費用が掛かるという。

福島第一、トリチウム水処分へ(7月12日報道)

◆政府は、福島第1原発で汚染水を処理した後に残る放射性物質・トリチウムを含む水をためているタンクを撤去し、トリチウム水を処分する方針を固めた。トリチウム水を保管するタンクは年々増え続け、現在は約680基、約89万5千トンに上り、今後137万トンまで増やす計画。タンクを撤去した跡地は、燃料約1万体の保管や溶融核燃料(デブリ)の取り出し作業エリヤ・保管場所として利用する予定。トリチウム水の処分法について、更田原子力規制委員長は「海洋放出が唯一の方法」として東電に実現を迫っている。

日米原子力協定延長(7月17日)

◆日本が原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出して再処理することなどを認めた日米原子力協定が、発効から30年間の期限を迎え、自動延長された。今後は、日米いずれかが通告すれば、6カ月後に協定を終了でき、米国からの通告があれば、一方的に再処理できなくなる不安定な状態になる。米国は、日本が保有する大量のプルトニウムに懸念を強めており、日本の原子力政策に影響を与える可能性がある。

新設島根3号機審査申請(8月11日)

◆中国電力は、建設中の島根原発3号機(沸騰水型;出力は日本最大級の137万3千キロワット)の新規稼働に向け、原子力規制委員会に審査を申請した。2011年の福島原発事故当時に建設中であった原発が審査を申請するのは、電源開発大間原発に続き2例目。島根3号機は、原発本体の工事がほぼ終わり、隣接する2号機の審査が先行しているため、大間原発より早期に審査が進む可能性がある。

高浜4号機、放射性物質を含む蒸気漏れ(8月20日)

◆高浜原発4号機で、原子炉内部に温度計を入れるための菅と原子炉容器上蓋の接合部から。放射性物質を含む蒸気漏れを起こした。関電はこれを受けて。22日に予定していた定期点検後の再々稼働を延期した。4号機は、前日の19日にも事故時に冷却水を補給するポンプでオイル漏れを起こしている。

燃料集合体カバー欠損(8月23日報道)

◆沸騰水型原発で2012年以降、燃料集合体を覆う金属カバーに、溶接に起因する欠損が相次ぎ見つかっている。原子力規制委員会は、この金属カバーは、6電力会社の使用済み燃料集合体計32434体で使われていたと発表した(東電が最多の19432体)。大半は神戸製鋼所製。6社の計325体で欠損が生じていた。一方、カバーの溶接に問題があった未使用の燃料集合体は、4070体であった。

トリチウム以外の希釈放出も容認(8月23日報道)

◆福島第一原発で浄化後の汚染水にトリチウム以外の放射性物質(ヨウ素129、ルテニウム106、テクネチウム99など)が残留している問題で、原子力規制委員の更田委員長は、トリチウム以外も希釈して法令基準濃度を下回れば、海洋放出を容認する考えを示した。
(チラシ作成者の意見:希釈して放出しても生体濃縮、化学濃縮によって再び高濃度になることもある。希釈放出を処分法と呼ぶこと自体が許されない。海洋放出は犯罪。)

高浜原発、大飯原発同時発災を想定した避難訓練(8月25、26日報道)

◆両原発から30 km 圏の福井、京都、滋賀の住民約21600人が参加したとされるが、屋内退避が中心で、実際にマイカーやバスなどで移動したのは約2300人。それも日帰りの異動で、原発重大事故時の避難とはかけ離れたもの。なお、高浜原発から30 km 圏には約17万2千人、大飯原発から30 km 圏には約15万9千人が暮らしている。
(チラシ作成者の意見:原発大事故はきわめて長期にわたって故郷を奪うことは全く想定していない避難訓練は、原発稼働のための手続きとしか考えられない。原発がなければ、訓練は不要。原発全廃こそ原子力防災。)

高浜原発4号機再々稼働(8月31日)

◆関電は度重なるトラブルにも拘わらず、定期点検中の高浜原発4号機の稼働を強行した。

MOX燃料再処理断念(9月3日報道)

◆原発を持つ電力10社が、一度使ったMOX燃料を再処理して、再び燃料として利用するための費用の計上を、2016年度以降中止していた。政府は核燃料サイクル政策の一環としてMOX燃料を再利用する方針を掲げていたが、電力各社が費用計上をやめたことで資金面の根拠を失い、事実上、MOX再処理の断念となる。

大間原発また2年遅れ(9月5日)

◆Jパワー(電源開発)は、建設中の大間原発(フルMOX炉)の安全対策工事の開始時期を2018年後半から2年延期すると青森県、大間町に報告した。規制委の適合性審査が長期化しているため。延期は3回目。政府は、フルMOX炉・大間原発を保有プルトニウム削減の「切り札」として期待していた。

北海道で震度7;全域停電;泊原発、一時外部電源喪失(9月6日)

◆9月6日未明に厚真町で発生した震度7の地震で道内最大の苫東厚真火力発電所が停電し、残る発電所も連鎖して一斉にダウンした。このため、泊原発の3系統の外部電源の全てが9時間にわたって使用不能になった。震源から100 km も離れ、震度2程度の揺れであったにもかかわらず、一気に非常事態に陥ったことになる。非常用発電機6台が起動し、使用済み燃料プールなどを冷却して難を免れたが、外部電源喪失が長期にわたれば、福島原発事故のように、外部電源に加えて非常用電源も失われる事態になりかねず、原発のもろさを露呈した。

和歌山県白浜町長が核燃施設受け入れ拒否を表明(9月6日)

◆白浜町長は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の誘致が取りざたされている問題で、受け入れ拒否を町議会で表明した。なお、関電は、白浜町の旧日置町内に、原発建設を目的に購入した土地を所有している。

規制委、リアルタイム線量計の8割撤去を表明(9月11日報道)

◆福島原発事故後に、福島県内の学校、幼稚園、保育園、公園などに設置されたモニタリングポスト2974台のうちの約2400台を撤去する方針を規制委が表明。国は、原発事故やそれによる被害を終わったことにしようとしている。

広島高裁、伊方3号機運転差し止め取り消し(9月25日)

◆2017年12月、広島高裁は伊方原発3号機の期限付きの運転差し止め仮処分決定をしていたが、同高裁はこれに対する四国電力の保全異議を認め、決定を取り消した。異議審では、阿蘇山の噴火リスクが焦点となったが、決定では「国民の大多数は破局的噴火を格別に問題にしていない」とし、巨大噴火のリスクは「社会通念上容認される」とした原子力規制庁の考え方に従った。
(チラシ作成者の意見:原発事故は万が一にも起こってはならないとする認識がない。)。

大分地裁、伊方原発3号機運転西止め仮処分申請を却下(9月28日)

◆大分地裁は「原発の安全性は、社会通念を基準に判断すべきだ」とし、社会通念を反映した「新規制基準」に適合した原発に「具体的危険性がない」とした。
(チラシ作成者の意見:脱原発・反原発の圧倒的な民意が「社会通念」である。この決定は、「原子力ムラ」内での「社会通念」。)

汚染水、処理後も基準値越えが8割(9月29日報道)

◆東電は、福島第一原発のタンクにたまる汚染水について、浄化したはずの約89万トンのうち約75万トンが放出基準を上回る濃度の放射性物質を含んでいることを明らかにした。一部からは、基準値の2万倍の濃度が検出されていた。東電や経産省は、これまで多核種除去装置(ALPS)で処理すれば、トリチウム以外の放射性物質は除去できるとしていた。なお、現状の処理量は1日340トンにとどまり、基準値越えの汚染水を処理し直すと年単位の時間がかかる。一方、汚染水は年5万~8万トン増えており、敷地内のタンクの増設は、2020年に限界に達する。

原発事故住民避難計画の目安として「被曝100ミリシーベルト以内に」を規制委が明確化(10月18日報道)

◆原子力規制委員会は、原発の30 km 圏内の自治体が事故に備えて策定を義務付けられている住民避難計画について、事故発生1週間に住民が被曝する線量を100ミリシーベルト以内に抑える対策を講じるべきだとする目安を決めた。国際原子力機関(IAEA)は20~100ミリシーベルトを採用しており、その上限を採用したことになる。福島原発事故で、政府は当初、年間20ミリシーベルトを目安に避難区域を設定した。これに比べて、今回は、とんでもなく高い値に設定したことになる。

KYB免振不正:原発施設、五輪会場も(10月18日報道)

◆油圧機器メーカーKYBによる免震・制振装置のデータ改ざん問題で、浜岡原発、敦賀原発の非常用施設でも、調査が必要なダンパーが使われていた。KYBは不正の疑いのあるものも含めて、986件の建物に装置を納入している。

九電、2週間連続再生エネルギー出力制御(10月19日)

◆九電は、再生可能エネルギー事業者に一時的な発電停止を求める出力制御を実施すると発表した。週末としては、前の週に続き2週目。制御は頻発化する様相で、再エネ事業者にとっては打撃となりそうだ。出力制御は、日中に発電する再エネ発電機が増えすぎて、電力バランスが崩れ、北海道で生じたような大規模停電が起きることを予防する措置。
(チラシ作成者の意見:それでも原発は稼働し続けることは許せない。原発は停止・起動に時間がかかるからであろうが、再エネ発電いじめとしか考えられない。)

那珂市長、東海第二原発再稼働に反対(10月24日)

◆東海原発がある東海村に隣接し、「事前了解権」を持つ那珂市の市長は、市民団体の要望書提出を受け、再稼働に反対する意向を表明した。

女川原発1号機廃炉へ(10月25日)

◆東北電力は、停止中の女川原発1号機(出力52万4千キロワット、運転開始後34年)を廃炉にする方針を固めた。老朽化で安全対策困難が理由。

広島地裁、伊方3号機停止を求める申し立てを却下(10月26日)

◆広島高裁は、2017年12月、伊方原発3号機の運転差し止め仮処分を期限付きで決定した(異議審で取り消し)。これについて、松山、広島の住民4人が運転差し止めの継続を広島地裁に求めていた仮処分申請に対し、地裁は申し立てを却下した。「阿蘇巨大噴火の可能性は非常に低く、リスクは著しい損害や窮迫の危険に当たらない」とした。

伊方3号機未明の再稼働(10月27日)

◆四国電力は、脱原発の民意を蹂躙して、27日午前0時30分、伊方原発3号機(出力89万キロワット;1994年運転開始;MOX燃料使用)を再稼働させた。

高速実験炉「常陽」、安全対策費当初の3倍(10月27日報道)

◆日本原子力研究開発機構は、「常陽」の再稼働に必要な安全対策費が、当初想定の約54億円から、約170憶円に増えることを明らかにした。再稼働の目標時期も2021年度末から22年度末に延期した。
(チラシ作成者の意見:機構、政府、規制委員会は、「もんじゅ」での失敗を反省もせず、危険極まりない「常陽」をいい加減な安全対策で動かそうとしている。)

福島原発での過労死認定(11月6日報道)

◆福島第1原発で昨年10月、自動車整備士(57歳)が倒れて死亡したことについて、いわき労働基準監督署は、今年10月、長時間労働による過労が原因として労災認定した。死亡前1カ月の時間外労働時間は122時間を超え、半年間では月平均110時間を超えていた。遺族の支援団体「全国一般労働組合全国協議会」が明らかにした。

使用済み燃料中間貯蔵地に悩む関電(11月7日報道)

◆原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、関電の候補地選定が難航している。関電は、昨年11月、「2018年中に県外に候補地を探す」と福井県に約束し、見返りとして、大飯原発再稼働への同意を取り付けている。しかし、期限は目前に迫っている。青森県むつ市にある他社の中間貯蔵施設を利用する案が有力視されているが、反発は根強い。

東海第2最長20年延長(11月7日)

◆原子力規制委員会は、11月28日に40年の運転期限を迎える日本原電の東海第2原発の最長20年の運転延長を認めた。原発の運転を「原則40年とし、運転延長は例外中の例外」とする「40年ルール」は、いまや形骸化している。2011年3月の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発では初めてで、「沸騰水型」原発でも初めて。実際の再稼働は、安全対策工事が21年3月までかかるうえ、再稼働に必要な事前の地元同意には、立地自治体だけでなく、周辺の6自治体も判断に加わるので、難航は必至。

高浜原発3号機再々稼働(11月7日)

◆関電は、重大事故を引き起こせば、関西一円をはじめとする広域を放射能汚染させかねない高浜原発の再々稼働を強行した。

経産省、小型原発開発を目指す方針(11月14日)

◆経産省は、温室効果ガス削減には原発が必要として、小型原発の開発を進め、2040年頃までに実用化を目指す方針を固めたと、非公式の国際会議で資源エネルギー庁の原子力国際協力推進室長が表明した。2040年ごろに国内の原発の多くが寿命を迎えることを受けたものであるが。脱原発・反原発の世界的な流れに逆行して、原発の新増設に道を開くことになる。

原子力研究者の身元調査導入へ(11月14日)

◆原子力規制委員会は、大学や研究機関の原子力施設を利用する学生や研究者に対して、身元調査を義務づける規則案を了承した。テロリストの侵入を防ぐためとしているが、学問の自由、思想の自由を侵害しかねない。来年1月の施行を目指している。

高松高裁、伊方原発3号機運転差し止め認めず(11月15日)

◆愛媛県の住民10人が、伊方原発3号機の運転差し止めを求めて申し立てていた仮処分の即時抗告審で、高松高裁は、住民側の申請を退ける決定をした。この裁判で、高裁は「伊方原発は、日本の他の原発と比較しても、過酷事故発生時の避難には困難が予想される」ことは認め、避難計画が不十分としながらも、運転を認めた。裁判所は、住民の命を見捨てたに等しい。行政に追随し、三権分立を司法自ら否定したことにもなる。

原子力機構が保管する放射性廃棄物ドラム缶腐食;点検に50年を要する(11月21日)

◆日本原子力研究開発機構には、地下を掘って作った「ピット」(1964年から76年に整備された)があり、その中に低レベル放射性廃棄物入りのドラム缶約5万3千本が横向きの状態で積み重ねて保管されている。1987年から91年に1部を点検したところ、腐食や中身の漏出が見つかっていた。現在行っている年1回の目視点検では、下の方に積まれたドラム缶は確認できないので、機構は、50年かけて、ひと缶ずつ釣りあげて検査し、問題があるものは詰め替えや補修を行うとする計画を原子力規制委員会に示したが、委員は「50年もかかるのでは点検しないのと同じ」と述べている。

大山噴火時の火山灰降下量見直し(11月22日報道)

◆原子力規制委員会は、高浜、大飯、美浜の3原発から約200km離れた大山が噴火した場合、3原発敷地に降下する火山灰層の厚さを10cmと想定して、原発の安全性には問題はないとする関電の主張を妥当としていたが、規制委が現地調査を行った結果、8万年前の大山噴火による火山灰層の厚さは25 cm 程度に達し、関電の想定より大規模な噴火が起こっていたと認定した。それでも、規制委員会は、原発の稼働を見直そうとはしていない。

福井県議会、原発立地地域への自衛隊の配備を求める意見書を可決(11月26日)

◆福井県議会は、「福井県南部(嶺南地域)には原発15基があり、弾道ミサイル攻撃の脅威にさらされている。弾道ミサイル攻撃やテロの抑止力になり、地域住民の安心を確保するために、自衛隊を配備すること」という意見書を可決し、首相、防衛相、衆参両院議長に提出した。嶺南地域への自衛隊配備については、2016年8月に当時の稲田防衛省も取り組む考えを示し、原発立地市町が、県に要望していた。
(チラシ作成者の意見:自衛隊の配備を要するような原発を即時廃止せよ。)

高浜町長、中間貯蔵県内も選択肢と発言(11月30日)

◆関電が、使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」候補地を今年中に県外に探すと福井県に約束していることについて、高浜原発の立地・高浜町の野瀬町長は、「年内に候補地を示せないのなら、県内で核燃料を保管する選択肢も検討すべきだ」とする考えを示した。「中間貯蔵」に関しては、おおい町長も「原発構内での乾式貯蔵も選択肢の一つ」と8月28日に発言している。
(チラシ作成者の意見:使用済み核燃料プールを空けて、さらなる原発運転を可能にすることは許されない。先ず、使用済み核燃料を増やし続ける原発全廃を決定して、危険極まりない使用済み核燃料プールを空にしなければならない。また、現在科学・技術の総力を結集して、経済的利害は度外視して、使用済み核燃料の安全保管法を開発すべきである。それでも、完全な安全保管法の確立は不可能であろうが、少なくとも、東京、大阪などの大都市でも保管の受け入れが可能な方法を提案すべきである。)

2018年12月14日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)


老朽高浜原発1、2号機、
美浜原発3号機の再稼動を
許してはなりません!

老朽高浜原発再稼働反対行動への
ご賛同のお願い

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

◆原発が人間の手におえる装置でないことは、2011年の福島第一原発事故が大きな犠牲の上に教えています。そのため、原発全廃を目指す運動が全国・全世界的に広がっています。原発の再稼働・再々稼働を許してはなりません。とくに40年という期限を越えた若狭の老朽原発・高浜1、2号機(44年、43年越え)、美浜3号機(42年超え)の再稼動は何としても阻止しなければなりません。これを許せば、全国の全ての既存原発の20年運転延長の先例になると考えるからです。

◆老朽原発を動かそうとすれば、高額の安全対策費がかかり、経済的にも成り立たないことは明らかですから、私たちの闘い如何では、再稼働阻止も実現可能であると思います。関西と福井の総力を結集して、闘いたいと存じます。

◆私どもは、来年9月~10月に再稼働が目論まれている老朽高浜1、2号機の再稼働(美浜3号機は2020年3月とも言いわれています)阻止のため、来春3月に高浜現地で、同年5月には大阪関電本店前で、全国集会(及びデモ)を企画いたしました。皆様(個人、団体)には、ぜひご賛同いただければ幸いです。なお、賛同金は不要です。

①3月24日(日) 老朽原発うごかすな!高浜全国集会

◆と き:14:00
◆ところ:高浜町文化会館(福井県高浜町)
※駐車場あり
◇集会後、デモ

②5月19日(日)老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会

◆と き:13:00
◆ところ:関西電力本店前(大阪市北区中之島)
◇集会後、デモ

◎ ①、②とも
◆主催…原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
◆呼びかけ

(1) オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)
(2) ふるさとを守る高浜・おおいの会
(3) 若狭の原発を考える会

◆連絡先

・林 広員(オール福井反原発連絡会)090-8263-6104
・東山幸弘(ふるさとを守る高浜・おおいの会)0770-72-3705
・木原壯林(若狭の原発を考える会)090-1965-7102,FAX:075-501-7102,E-メール:kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp


3.24老朽原発うごかすな!高浜全国集会、
5.19老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会
賛同申し込み

(下記事項をご連絡ください)

◆個人の場合…お名前、お名前公表の可否、ご住所、電話番号、E-メールアドレス(あれば)
◆団体の場合…団体名、団体名公表の可否、代表者名、担当者名、担当者ご住所、担当者電話番号、担当者E-メールアドレス
≪FAXまたはE-メールでお申込の場合は、木原壯林にお願いします(上記連絡先参照)≫


カンパのお願い

上記の「高浜全国集会」、「関電包囲全国集会」は、手弁当で準備・実施されます。
経費のご支援を戴ければ幸いです。
カンパ振込先(郵便振り込み)

加入者名:若狭の原発を考える会
口座記号・番号:00930‐9‐313644
お振込みにあたっては、通信欄に「老朽原発再稼働阻止行動へのカンパ」とお書きください。

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
(問合せ先:木原:090-1965-7102)


◆老朽高浜原発再稼働反対行動へのご賛同のお願い

【2018年12月4日】

2018年12月4日

老朽高浜原発再稼働反対行動へのご賛同のお願い

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

◆原発のない社会の創造に向けた運動への日ごろのご指導・ご鞭撻に感謝申し上げます。

◆さて、原発は人間の手におえる装置でないことは、2011年の福島第一原発事故が大きな犠牲の上に教えています。そのため、原発全廃を目指す運動が全国・全世界的に広がっています。原発の再稼働・再々稼働を許してはなりません。とくに40年という期限を越えた若狭の老朽原発・高浜1、2号機(44年、43年越え)、美浜3号機(42年超え)の再稼動は何としても阻止しなければなりません。これを許せば、全国の原発の20年運転延長の先例になると考えるからです。

◆老朽原発を動かそうとすれば、高額の安全対策費がかかり、経済的にも成り立たないことは明らかですから、私たちの闘い如何では、再稼働阻止も実現可能であると思います。関西と福井の総力を結集して、闘いたいと存じます。

◆私どもは、来年9月~10月に再稼働が目論まれている老朽高浜1、2号機の再稼働(美浜3号機は2020年3月とも言いわれています)阻止のため、来春3月に高浜現地で、同年5月には大阪関電本店前で、全国集会(及びデモ)を企画いたしました。皆様(個人、団体)には、ぜひご賛同いただければ幸いです。なお、賛同金は不要です。

①3月24(日)老朽原発うごかすな!高浜全国集会

◆と き:14:00
◆ところ:高浜町文化会館(福井県高浜町)※駐車場あり
◇集会後、デモ

②5月19日(日)老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会

◆と き:13:00
◆ところ:関西電力本店前(大阪市北区中之島)
◇集会後、デモ

◎ ①、②とも
◆主催…原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

◆呼びかけ

(1) オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、
サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、
原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)
(2)ふるさとを守る高浜・おおいの会
(3)若狭の原発を考える会

◆連絡先…

林 広員(オール福井反原発連絡会)090-8263-6104
東山 幸弘(ふるさとを守る高浜・おおいの会)0770-72-3705
木原 壯林(若狭の原発を考える会)090-1965-7102 FAX:075-501-7102 E-メール:kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp

・・・・・切り取り・・・・・

3.24老朽原発うごかすな!高浜全国集会、
5.19老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会

賛同申込書

個人の場合

お名前⇒
≪お名前の公表の可否⇒ 可、否(何れかに○を)≫
ご住所⇒
電話番号⇒
E-メール⇒

団体の場合

団体名⇒
≪団体名の公表の可否⇒ 可、否(何れかに○を)≫
代表者名⇒
担当者名⇒
担当者ご住所⇒
担当者電話番号⇒
E-メール⇒

お申込み日⇒    年  月  日
≪FAXまたはE-メールでお申込の場合は、木原壯林にお願いします(上記連絡先参照)≫

◆キンカン参加者の皆様の省エネ生活

◆災害の続いた夏・秋を過ぎ、今年もあと1か月足らずとなりました。

◆さて、今春以来、キンカン行動で、ご参加の皆様に「私の節電・省エネ生活」アンケートを取らせて頂きました。6人の方から回答を頂きました。また、省エネ生活の達人がおられることを知りました。そのお二人から詳しいお話を伺いました。脱原発社会を展望する上で、ご参考になれば幸いと考えて、ここにご紹介いたします。ご協力を戴きました皆様、ありがとうございました。

報告 瀧川 恵子(若狭の原発を考える会)

1. キンカンアンケート回答(6名)


・人生最大の省エネは21~67才まで軽四輪で過ごしたこと。
・最近の省エネは2004年からTVをやめたこと。
・特に最近強く思うことは、日本人が賞味期限を消費期限、と間違った理解していること。
(匿名)


・ビルの5階に勤務しているが、朝一番は歩いて上がる。下りはすべて歩き。
・勤務先の会館全体(8階建てのビル)でも・・・7年前からトイレを消灯し使うときだけつけ廊下も三
分の一から半分くらい消灯し、蛍光灯をすべて省エネランプに替えてだいぶ節約できたという。
・朝、最寄りのJR駅までのバスと職場の最寄りJR駅からのバスをやめ、毎朝一時間歩いている。
・自宅の泥棒除けの周辺の灯りを太陽光に連れ合いがした。結構明るい。
(M.I さん)


・掃除はほうきと雑巾が中心です。掃除機は数日に1回。
・冬はエアコンを使用しない。座っているときは電気カーペッットと電気ストーブ。動いている。時は家
中動くのでダウンを部屋着にしている。あまり家にいないのですが。
・炊飯器では保温しない。(味も落ちるので)
・水筒を持って歩く。
・畳の部屋はフローリング風カーペットを敷いてほこりを出にくくしている。
・洛西ニュータウンは街なかに比べて涼しいと思います。少しでもクーラーの使用が少なくなるか?と思
います。
(Y.T さん)


・お風呂の残り湯を洗濯に使っている。
・関電から大阪ガスに電気の契約を変えている。大ガスは再生可能エネルギーの割合は大きくないが、関電の電気は使ってないので、そちらにしている。COOPの電気は不足分が大手電力になることから原発の電気を使うことになるので、再生可能エネルギーの割合が多くても面白くない。
・食洗機はあるが使っていない。
(K.N さん)


・掃除機はあまり使わない。雑巾でやっている。
・お風呂の残り湯はもちろん洗濯で使う。余ったら庭の木花にやる。
・ゴーヤはもちろん庭に植えている。(ゴーヤのカーテンいいですヨ・・。とてもいいです。)
・屋根上に太陽光発電をつけて発電している。
(T.N さん)


・こまめに電気を消す。
・コンセントから電気製品のプラグを抜く。
(匿名)

2. 私の節電生活 (K.M さん)

(原稿をいただきました。)

生活環境を節電できるように改善した。

  • ベランダの窓を二重サッシにし、夏はベランダに遮熱スクリーン、遮熱カーテン、冬は厚地の遮光カーテンをつけた。
  • 床に夏は竹製のラグ(敷物)、冬は保温アルミシートと布製のキルティングラグを敷いた。
  • 冷蔵庫は小型の省エネタイプに替えた。
  • 照明はLEDに替え、スポット照明とするためLEDのスタンドランプ、クリップランプ、太陽光発電のランタンを用意した。
  • ベランダに80 kwhの太陽光発電パネル2枚とバッテリーを購入した。
  • 充電式掃除機にした。

生活スタイル

  • テレビ・クーラーはなし、ベランダの太陽光発電でラジオ・ファックス・スタンドランプをつなぎ、掃除機の充電もします。
  • 電気製品は使用後、スイッチを切りコンセントを抜く、外出時は冷蔵庫のコンセント以外のブレーカを切る。
  • 日中は照明をほとんどつけません。常時生活の場であるダイニングキッチンで必要な局所のみでつける。寝室やバスルーム、廊下はランタンを使用する。
  • 夏は日中、窓と玄関を開け風を通す。夜はベッドを窓側に移動し、涼感パッドとガーゼケットかガーゼパジャマを使用し、窓を開けて寝る。(10階なので)
  • 冬は発熱パッドと2枚重ねの羽毛布団を使用。厚手のパジャマと発熱腹巻を着る。
  • 着衣は気温に応じて替える。真夏は縮みの下着と保冷首巻き、真冬は厚手の下着と重ね着、綿入れハンテン、巻きスカート、レッグウォーマー、ボアの室内履き、適宜ホカロン使用。
  • 洗濯 1~2回/週
  • 入浴 1回/2日

・ホットカーペットは体調不良時に備えて一応敷いておくが使用していない。
・ミニスリムファンも一応用意するがほとんど使用しないで過ごせる。
・今、考えていることは天気のよい日の太陽光発電をフル活用するために充電器を使って、充電器に充電し、冬の天気の悪い日など発電量が不足するときに使用する事。
・町中のマンション住まいでは難しいが、出来るだけオフグリッドに近い生活をしたいと思っている。

3. 節電チュウさんの縮小(省エネ)生活

(インタビューしてお聞きしたことを要約しました。)

(1) 生活を楽しむ中に省エネ生活がある。

◆私がこういう風に生活を考えるようになったきっかけは、長年高齢者の口腔ケアをしてきて、「人生」について考えさせられた経験からだ。(注:節電チュウさんはベテランの歯科衛生士さん)

◆ある看護師さんから、多くの高齢患者への「死ぬ前に語られる後悔」アンケートにおいて次のような結果が得られた、と聞いた。

  1. 自分自身に忠実に生きればよかった。
  2. あんなに一生懸命働かなくてもよかった。
  3. もっと自分の気持ちを表せばよかった。
  4. 友人関係を続けていけばよかった。
  5. 自分をもっと幸せにすればよかった。

◆それを知って、これからの人生を私は絶対に毎日楽しく過ごしたいと思った。

◆元々工夫することや手作りが好きだったこともあり、困ったこと・不便なことがあると、お金を出して買うのではなく楽しく工夫して補えないか、といつも考えるようになった。工夫したことを実践することはとても楽しい。

◆そして脱原発の声を上げる中で、「電気にあふれた今の生活!これでいいのか?」と疑問を感じるようになった。循環型の昔の生活は合理的だし自分の感覚に合っている。

◆そういう経緯があって気が付くと、私はかなり循環型省エネ生活を楽しんで送っている。

◆行詰まれば行詰まるほどファイトがわき、創意工夫のエネルギーが湧いてくる。

(2) 実践編

◆できるだけ自給する生活、工夫してすべて使い切る生活を心がけている。

<食に関して>

  • 野菜は安全農産センターから38 年間共同購入している。
  • 3.11後、お花畑だったマンション1階の庭を開墾して家庭菜園にした。干し野菜やジャムなど保存食も作る。すべて無駄にしていない。抜いた野菜はたい肥にして畑に返す。土がよくなる。
  • 自然に自生する野草は年中料理するし、干し野菜・野草茶にもする。野草についてはかなり勉強している。
  • 手に入らないものはお店で購入する。

<野草の利用法>

  • 野草を食べる。サラダ、お浸し、てんぷら・・・。ハコベで作ったハコベーゼはバジルのジュノベーゼともに好評です。
  • 薬として利用する。
  • お茶にして飲む。
  • 入浴剤として使う。

<ヨモギ風呂>

◆春にはヨモギの新芽を1年分多量に収穫する。ヨモギ団子など食用に使う分は冷凍しておくと年中楽しめる。多くはヨモギ風呂に使う。ヨモギには薬効があるので風呂の水の入れ替えは2~3回に1度ですみ、水の節約になる。
◆野草を求めて毎日のように走り回る(歩きまわる)生活はよい運動で健康維持に役立っている。

<エアコンなど冷暖房器具を使わない生活>

◆夏は網戸と扇風機、首冷え冷えなどで過ごしている。冬の暖房は湯たんぽだけ。まずは着るもので調節している。下記の「肩ぽかぽか」は考案したもの。

<工夫を楽しむ=簡単に買わない生活が基本>

(例1)「肩ぽかぽか」の紹介 (WAN:認定NPO法人ウィメンズアクションネットワークHPより→こちら。)

◆チャックを開けて、保温材を張り付けると、戸外でも長時間ぽかぽかしています。お腹を壊したときには、お腹に当てたり、その他患部に随時当てて湯たんぽみたいにしても使えます。中が、洗濯ネットになっているので、何回貼ったりはがしたりしても、生地は痛みません。もちろん洗濯もできます。

◆長時間持ちます。風邪ひきかけの時は、本当に何度助けられたか知れません。

◆入院中の母にも、実際に使ってモニターしてもらっていたのですが、リハビリの時にも邪魔にならず、体も冷えなくて評判は上々でした。肩だけでなく、膝ぽかぽかとしても、腰ぽかぽかとしても、首ぽかぽかとしても使えます。4waysです。

(例2)照明器具の笠が壊れた時には、イベントで物々交換した和紙があるのを思い出した。いい雰囲気のものができて気に入っている。

(3) まとめ

**********************
人の幸せ=財/欲望
**********************
と言われる。

◆私にとっての財は友人や工夫などの楽しみであり、たくさん持っている。物欲はあまりない。だから希望通り私は毎日幸せに暮らせている!

◆やり残しのないように人生を過ごして成仏したいと思っている!!

4. おわりに

◆キンカンの皆様それぞれが生活の知恵を持ち、自分に合った工夫をされていることがわかりました。また達人さんたちからは、冷暖房をほとんど使わない生活が条件によっては可能なことや、集合住宅のベランダのような狭いところでも小規模な太陽光発電が可能とのことで、災害時への備えのヒントも頂きました。

◆省エネ生活は単なるお金の節約ではなく、生き方を問うものですね! 自分を取り巻く環境・他者と共存してゆく平和につながる思想だと思います。

◆地震・大雨・台風など天変地異が次々起こった今年、停電や断水に見舞われた地域が京都、大阪、滋賀など近辺でもありました。

◆ボタン一つでなんでも動く便利な生活が停電によってどうにもならなかったことを、体験された方から聞いて知りました。私の家がたまたま大丈夫だっただけだ、と身震いする思いでした。

◆また、北海道の長期の停電は電気や水も含めて地産地消が正しいことを示しました。

◆これから確実にくる大災害に備えて考えていくべきことはたくさんあります。また皆さまと考えていけたらと思っております。

(瀧川恵子)


老朽高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の
再稼動を許してはなりません!

①3月24日(日)老朽原発うごかすな!高浜全国集会
②5月19日(日)老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会

◆主催…原発うごかすな!実行委員会@関西・福井
ご賛同、ご支援、ご参加をお願いします。


2018年12月7日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

 

◆原発の危険度は、運転期間とともに高くなる~老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

【2018年10月~,若狭で配付】

原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。例えば、次のような理由によります。

  • 高温、高圧、高放射線(とくに中性子の照射)に長年さらされた圧力容器、配管等では、脆化(ぜいか;下記【1】を参照)、金属疲労(下記【2】を参照)、腐食(下記【3】を参照)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の老朽化は深刻です。電気配線の老朽化も問題です。老朽原発には、難燃性でない電気配線も使われています。
  • 建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。最近、安全系と一般系の電気配線の分離敷設の不徹底なども指摘されています。
  • 建設当時の記録(図面など)が散逸している可能性があり、原発の安全管理の支障となります。
  • 建設当時を知っている技術者は殆どいないので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。
  • 高浜3、4号機(運転開始後33年越え)のようなウラン燃料対応の老朽原発でMOX燃料を使用することは、炉の構造上、問題山積です。

以下に、脆化、金属疲労、腐食について簡単に説明します。

【1】老朽原発圧力容器の脆化

◆原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境(加圧水型PWRの場合)で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、高温ではある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆(もろ)くなります。

◆圧力容器は原子炉運転期間が長くなると、硬化温度(脆性遷移温度)が上昇します。例えば、初期にはマイナス16℃で硬くなった鋼鉄も、1、18、34年炉内に置くとそれぞれ35、56、98℃で、40年を超えると100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が脆化していれば、ガラスを急冷したときのように、破損する(割れる)危険性があります。初期(使用前)の鋼鉄は、脆性遷移温度が零度以下ですから、水冷では破壊されません。とくに、不純物である銅、リン、炭素などの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化は深刻です。

◆なお、脆化の機構は解明途中であり、脆性遷移温度の評価法にも問題が多いことも指摘されています。

◆ちなみに、老朽原発の脆性遷移温度は、次のように推定されています(原子力資料室発行「別冊TWO SCENE」17、2018年夏号より)。

  • 高浜原発1号機(運転開始1974年):99℃
  • 玄海原発1号機(運転開始1975年;廃炉):98℃
  • 美浜原発2号機(運転開始1972年;廃炉):86℃
  • 美浜原発1号機(運転開始1970年;廃炉):74℃
  • 大飯原発2号機(運転開始1979年;廃炉):70℃

【2】老朽原発の金属疲労

◆金属疲労とは、金属材料に繰り返して(振動的に)「力」を加えたとき、はじめ小さな傷が生じ、やがて大きな破壊に至る現象です。「力」は機械的に加わるだけでなく、温度変化の繰り返しによって加わることもあります。金属が高温で膨張し、低温で収縮するためです。

◆1985年8月の日航ジャンボ機墜落(御巣鷹尾根)事故は、後部圧力隔壁の金属疲労が原因とされました。

◆1991年2月に、美浜原発2号機で蒸気発生器伝熱細管がギロチン破断(刃物で断ち切ったように真っ二つになる事)して一次冷却水が2次側に漏洩した事故の原因は、高サイクル振動による金属疲労と判定されました。この事故は、メルトダウンにつながりかねない深刻なもので、国内の原発で緊急炉心冷却装置(ECCS)が動作する最初の事例となりました。金属疲労による損傷は、ポンプやタービンによる機械的振動や配管を水や水蒸気が流れるときに生じる振動が長期にわたって加わったときにも生じます。

【3】老朽原発の金属腐食

◆金属の腐食とは、金属が接触している他種の金属、液体あるいは気体と化学反応して溶けたり、腐食生成物(いわゆる「さび」)を生成することです。表面が一様にさびる「全面腐食」、弱い部分から腐食が進行し、孔が開いたりする「局所腐食」があります。

◆原子炉内ではいずれの腐食も生じますが、老朽原発でしばしば問題となるのは「局所腐食」の一つ「応力腐食割れ」です。代表的な発生部位は、圧力容器内で燃料集合体、制御棒の周囲に円筒状に配置されているシュラウドと呼ばれる部品、再循環系配管、炉内計装管台などです。

◆1960年代末から1980年代初頭にかけて、特に沸騰水型プラントでは共通する不具合として問題になりました。当時発生した応力腐食割れの大半は炭素含有率が比較的高いステンレス配管の溶接部近傍(数mm 以内)で発生しました。ステンレスは、鉄に10~20%のクロムを混ぜて、さび難くした合金ですが、溶接時に600℃~800℃に加熱された部分ではクロム炭化物が生成し、クロム濃度が周囲より低くなる欠乏層(結晶粒界)が生じます。この部分に溶存酸素を含んだ炉水が接触しつつ引張応力(材料が引っ張られたとき、材料内部に生じる抵抗力)が加わると、応力腐食割れが発生、進展します。

◆「エロージョン・コロージョン」と呼ばれる腐食も生じますが、メカニズムは確定されていません。「エロージョン」とは、局所的沸騰(キャビテーション)あるいは液滴や固体粒子の衝突によって材料表面が徐々に脱離する現象(腐食;コロージョン)とされています。

◆1986年12月、米国のサリー原発2号機(加圧水型軽水炉で1973年5月に運転開始)の二次冷却系配管でギロチン破断事故が発生しました。この事故は、給水ポンプ入口側の90°エルボ部(湾曲部)で生じました。破断した配管の材質は、板厚12.7 mmの炭素鋼(鉄と炭素の合金:加工が容易で廉価)です。破断の原因は、エロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。この事故により破断部近傍で工事を行っていた4名が死亡し、2名が負傷しました。

◆2004年8月に、美浜原発3号機(1976年3月に運転開始)の二次冷却系の復水系配管が突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して、高温の蒸気となって周囲に広がった事故の原因もエロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。

◆この配管は、直径55 cm、肉厚10 mmの炭素鋼製で、破裂箇所の上流側には圧力差から流量を計測するためのオリフィスと呼ばれる狭窄(きょうさく)部(狭い箇所)が設けられています。オリフィスで生じた渦流によるキャビテーションは、徐々に配管内面を削り、運転開始から28年後の事故当時には、配管は肉厚1.4 mmにまで減肉していました。この状況で、配管は、150℃、10気圧という運転圧力と振動に耐えられず、大きく破裂したと考えられています。

◆本来は肉厚4.7 mmまで減肉する前に予防措置をとるという内部規則があり、1989年には配管を検査し1991年には取り替えることになっていたにもかかわらず、関西電力と検査会社の見落しで、点検台帳に登録されず、この個所は稼動以来28年間一度も点検されていませんでした。関電の危機管理能力が疑われます。この事故では5名が亡くなられ、6名が重軽傷を負われました。国内初の運転中の原発での死亡事故です。

【4】老朽原発の圧力容器や蒸気発生器に強度不足の鋼材が使用された可能性

◆上述のように、原子炉材料の品質不良は、重大事故の原因となりますが、最近でも、強度不足の鋼材が老朽原発で使用されていたと報じられています。

◆2015年4月、フランス原子力安全局 (ASN)は、建設中の加圧水型原発の原子炉容器上蓋などに使われている鋼材の組成に異常(ひび割れの発生など、機械的強度を低下させる炭素濃度の高い領域)が見つかったと発表しました。また、調査を続けたASNは、2016年6月に、「フランスで運転中の58基の加圧水型原子力プラントのうち、9原発18基の蒸気発生器で「水室」(蒸気発生器の一部)の機械的強度が想定より低い可能性がある」と発表しました。この「水室」の鋼材はフランスのクルゾ社と日本鋳鍛鋼(にほんちゅうたんこう:新日本製鐵グループ、三菱グループの共同出資)が鍛造(たんぞう:金属を加熱し、ハンマーなどでたたいて、金属内部の空隙をつぶし、結晶の方向を整えて強度を高めながら成形)したものです。

◆フランスでのこの事態を受け、日本の原子力規制委員会(規制委)は、2016年8月24日、各原発事業者に対し原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査を指示し、九州電力や東京電力、関西電力など電力6社は、同年9月2日に、「日本鋳鍛鋼」が国内8原発13基の原子炉圧力容器を製造していたと報告しました。しかし、電力6社の調査は、「メーカーに確認する」程度のもので、メーカーである日本鋳鍛鋼は、「強度不足につながる鋼材の不純物は顧客の指示通り切り捨てている」として強度基準を満たしているとの認識を示しています。

◆電力各社によると、日本鋳鍛鋼は、福島第二原発2、4号機、志賀1号機、高浜2号機、大飯1、2号機、敦賀2号機、伊方2号機、川内原発1、2号機、玄海2、3、4号機の圧力容器を製造していました。

◆フランスで2015年4月に強度不足問題が発覚し、ASNが調査を指示し、2016年6月に結果を発表しているにも拘らず、規制委は、問題発覚以降にも原子炉の致命的欠陥に関わるこの問題を無視して再稼働審査を続け、川内原発、高浜原発、伊方原発の新規制基準適合を発表し、老朽原発・高浜1,2号機、美浜3号機の運転延長も認めています。

原発再稼働時に、頻発するトラブル:
原発老朽化の深刻さ、
規制委審査の無責任さを露呈

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、2016年2月の再稼働準備中に、1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、発電機と送電設備を接続した途端に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の2016年7月、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管に直径1 cmの穴が開いていたそうです。本年8月末に再々稼働した高浜原発4号機は、8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプの油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されるという、深刻なトラブルを起こしました。

◆このように、再稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしています。トラブル率100%です。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、規制委員会が適合とした多くの原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委の審査が無責任極まりないことを物語っています。

規制委の審査は無責任で、科学とは縁遠い:
老朽原発審査は、さらに手抜き

◆老朽高浜原発1,2号機運転延長認可の発表にあたって、当時の規制委員長・田中俊一氏は、「あくまで科学的に安全上問題ないかを判断するのが我々の使命だ」と述べています。

しかし、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものです。規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠いものです。

◆実際に起こった最も重大な事実は福島原発事故です。福島事故に関して、事故炉内部の詳細は今でも分からず、事故の原因究明が終わったとするには程遠い状態にあります。「科学」を標榜するのなら、福島事故の原因を徹底的に解明して、その結果を参照して、原発の安全性を議論・考察するのが当然です。

◆しかも、老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機の再稼働審査は、とくに無責任かつ杜撰(ずさん)でした。杜撰さを、高浜1、2号機審査を例に紹介します。

・関電が、高浜1、2号機の新規制基準への適合審査を申請したのは2015年3月ですが、2016年4月に設置許可、6月10日に工事計画認可、6月20日に運転延長認可と、他の原発の審査に比べて、異例の短期で審査を終えています。
審査会合も27回と川内、高浜(3、4号機)、伊方原発審査時の約半分です。しかも、先に申請し、終盤を迎えていた他原発の審査を止めての拙速審査です。規制委からの認可取得期限が2016年7月7日に設定されていたために、規制委が審査を早めて、この期限に間に合わせたのです。規制委には、特に慎重であるべき老朽原発審査に対する誠意は感じられません。

・審査の手抜きも目立ちます。例えば、この審査では、ケーブール、コンクリート、目視可能な鉄筋など、簡単に点検や補修できる箇所については審査しても、点検が困難な冷却細管、点検・交換が不可能な圧力容器については、十分審査しているとは言えません。また、蒸気発生器の耐震性は美浜3号機の実証データで代用し、通常なら審査段階で行う耐震安全性の詳細評価を審査後で可とし、実証試験を使用前検査時に先延ばしにしました。さらに、20年延長評価は初めてにも拘らず、パブリックコメントなど、広く意見を求めることもしていません。このように、調査や改修の困難な部分については手抜きする審査は、「科学的」に安全を保証するためのものではありません。

相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号機、美浜3号機を
動かし、全国の老朽原発再稼働を
先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの行動如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を止めさせ、原発新設を止めさせれば、美浜町の原発は即時ゼロに、高浜町の原発は7年後にゼロになり、2033年には、若狭の全原発が廃炉に向かいます。もちろん、その前に重大事故が起こる可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。


脱原発・反原発の声を大きくし、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!
原発に頼らない新しい社会を展望しましょう!


2018年10月発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆関電は、再稼働で増やし続ける使用済み核燃料をどこで、どのように保管するのか

【2018年11月9日,京都キンカンで配付。】

関電は、再稼働で増やし続ける使用済み核燃料を
どこで、どのように保管するのか?

使用済み核燃料と使用済み燃料プール

◆原発を運転すると、核燃料の燃焼が進むにつれて、核分裂性のウランやプルトニウムが減少するので核分裂反応を起こす中性子の発生数と発熱量が低下し、また、核燃料中に運転に不都合な核分裂生成物(特に希ガスや希土類)が多量に蓄積し、核燃料の持続的な燃えやすさ(余剰反応度)が低下します。さらに、核燃料被覆材は、腐食や熱や振動によるストレス(応力)によって変形します。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、新燃料と交換せざるを得なくなります。そのため、使用済み核燃料がたまります。

◆交換直後の使用済み核燃料は、高放射線、高発熱量で移動させることが出来ませんから、原発内にある貯蔵プール(使用済み核燃料プール)で3年~5年ほど保管・冷却されます。このプールは深く、燃料の上部の水深は7~8 m程度あり、水によって冷却されるとともに放射線が遮蔽されています。プール内には、ラックと呼ばれる仕切りがあり、使用済み燃料集合体間の距離を一定以上離しています。燃料集合体が近づき過ぎると核分裂反応が起きる(臨界に達する)からです。(下図は使用済み燃料プールの概念図です。広瀬 隆著「白熱授業 日本列島の全原発が危ない!」を参照。)

◆燃料プールは、概念図のように、原子炉の上部横に設置されていて、水で満たされています。原子炉圧力容器中の使用済み核燃料を燃料プールに移送するにあたっては、原子炉上部の原子炉ウエルに水を満たした後、圧力容器の上蓋を空け、クレーンで圧力容器内の燃料棒を釣り上げます。沸騰水型では、プールゲートを開けて、燃料棒をプールに移動させ、プール内のラックの中に納めます。加圧水型では、燃料棒を原子炉ウエル中で横にして、トンネルを潜(くぐ)って燃料プールに移し、プールで直立させて、ラックに納めます。


▲沸騰水型原子炉の燃料プールの概念図


▲加圧水型原子炉の燃料プール(ピット)の概念図

燃料プールは「むき出しの原子炉」

◆使用済み燃料プールは、圧力容器から取り出した核燃料を何の防御もないプールで保管しているのですから、「むき出しの原子炉」とも考えられ、脆弱(ぜいじゃく)で、メルトダウンする危険性が高い施設です。例えば、地震によって配管が破断し、燃料プールの冷却水が喪失し、燃料が水から顔を出すと、ジルコニウム合金の燃料被覆菅が燃え上がり、発生した水素が爆発します。この状態になると、燃料は溶融し、核爆発に至ります。

◆原発重大事故に関して、原子炉本体の破滅的な事態の防止は重要な課題として検討されていますが、使用済み燃料プールに起因する重大事態の可能性についてはあまり関心が払われていません。例えば、原子炉は炉心溶融を避けるために、バックアップ・ポンプ、バックアップ電源供給システム、バックアップ冷却システムを有し、炉心溶融に備えて、放射性物質封じ込めシステムを持っていますが、使用済み燃料プールについては、それらに比較できるほどのシステムを持っていません。なお、原子炉圧力容器は、高温高圧にも耐える鋼鉄の閉じ込め容器ですが、使用済み燃料プールは、上部が解放されたプールで、閉じ込め効果はありませんし、プール倒壊の可能性も指摘されています。

リラッキングによって、
燃料プールはさらに危険になっている

◆先述のように、核燃料プール内では、ラックを用いて、燃料棒集合体の間隔を確保して、臨界を回避しています。ところが、使用済み核燃料の行き場に困窮した電力各社は、このラックを改造(リラッキング)して、燃料棒間の距離を近づけ、燃料棒をぎゅうぎゅう詰めにしてしまいました。例えば、高浜原発3、4号機では、2005年と2006年にリラッキングし、プールの貯蔵能力を2.67倍に増やしています。プールで核爆発が生じる危険性は大きくなったと言えます。

使用済み核燃料の中間貯蔵とは

◆水冷期間が過ぎて、放射線量、発熱量が低下した使用済み核燃料は、乾式貯蔵容器(キャスク;裏面の図参照)に保管することになっています。キャスクでは、水や電気を使わず、空気の自然対流(換気)によって燃料を冷却します。このキャスクの保管場所が中間保管地です。


▲使用済み核燃料乾式貯蔵キャスクの例
(周囲に空気を循環させて空冷。)
(日本原電→こちらより)

◆国の核燃料サイクル計画では、中間保管地の使用済み核燃料は再処理工場に移送して、ウラン、プルトニウムを取り出し、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX) 燃料として再利用し、他の放射性物質はガラス状固化体の高レベル放射性廃棄物とした後、地層中に処分することになっていましたが、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていません。そのため、使用済み核燃料の多くは、各原発の使用済み核燃料プールに溜めおかれています。

使用済み核燃料の永久保管はもとより、
中間保管すら引き受ける場所はない:
それでも増やし続ける関電

◆経産省は昨年、「科学的特性マップ」を発表し、高レベル放射性廃棄物の保管場所は、日本中どこにでもあるように宣伝しています。それでも、高レベル放射性廃棄物の保管を引き受けるところはなく、使用済み核燃料についても、中間保管でさえ引き受ける場所はありません。

◆現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールと日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の保管スペースを合計した貯蔵容量の75%以上が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。

◆日本原燃・再処理工場の一時保管スペース(容量3,000トン)の貯蔵量は、2012年9月で2,945トン(占有率は98%)に達しています。青森県は「現在一時預かりしている使用済み燃料は、再処理の前提が崩れれば、各原発に返すだけだ」と強調しています。

◆福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンですが、その7割近くが使用済み燃料で埋まっています。高浜、大飯の原発を運転し続ければ、6年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆それでも、関電は、高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機を次々に再稼働させ、行き場のない使用済み核燃料を増やし続けています。しかも、高浜原発3、4号機では、MOXを燃料に用いる危険度の高いプルサーマル発電を行い、大飯原発のプルサーマル化も企てています。MOX燃料が使用済み燃料になったとき、ウラン燃料に比べて、放射線量や発熱量が下がり難いため、長期の保管を要します(4倍程度の長期の水冷保管とそれに引き続く乾式保管が必要)。

「今年中に、使用済み核燃料保管地を県外に探す」と、
口から出まかせで、
福井県知事に約束した関電

◆関電の岩根社長は、昨年11月、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、「2018年内に、福井県外で具体的な計画地点を見出す」と西川福井県知事に、記者団の前で約束しました。しかし、年末が迫っている現在でも、候補地の名前すら示していません。この約束は、大飯原発3、4号機の再稼働への知事の同意を取り付けるための、何の成算もない「口から出まかせの約束」であったことは明らかです。

◆その関電が、高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機を次々に再稼働させ、行き場のない使用済み核燃料を増やし続けているのです。

◆なお、関電の使用済み核燃料の中間貯蔵に、青森県むつ市にある他社の中間貯蔵施設を利用する案も出ていますが、地元は強く反発しています。

口から出まかせを承知で
再稼働に同意した知事

◆昨年11月27日、西川福井県知事は、関電の岩根社長の中間貯蔵施設に関する発言を受けて、その発言の信憑性(しんぴょうせい)も検証せずに、大飯原発3、4号機の再稼働に同意しました。「口から出まかせの約束」を承知の上での出来レースとしか考えられません。県民の安心・安全など念頭にないのです。

関電と福井県知事は
約束が履行(りこう)されなければ、
責任を明らかにせよ!

◆県知事が公の場で約束したとき、その約束は、県民との約束です。したがって、「年内に中間貯蔵地を探す」という約束が守れなかった場合、関電は、全ての原発を即時停止し、県民に謝罪すべきです。また、県知事は再稼働への同意を取り消し、使用済み燃料を生み出す原発の全廃を求めるべきです。

約束が反故(ほご)にされたとき、関電と県知事の責任を断固として追及しましょう!


11月7日、関電が高浜原発3号機の再々稼働を強行。
「原発うごかすな!@関西・福井」呼びかけの
原発ゲート前抗議行動に60名が参加。

ご参加の皆様、お疲れさまでした。有難うございました。


▲2018年11月8日新聞朝刊

2018年11月8日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、韓国の文在寅大統領に要請文を提出しました

【2018年10月19日,京都キンカンで配付。】

「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、
韓国の文在寅大統領に要請文を提出しました

(韓国では、「反原発」を「反核」、「ツアー」を「巡礼団」と呼びます。
また、抗議集会などが禁止されているため、「記者会見」の名目で集会を行います。)

◆韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、2017年6月、韓国の最も古い原発・コリ原発1号機の閉鎖式典で、
①原発建設計画の撤回(6基)、
②老朽原発の寿命延長はしない、
③慶州ウオルソン1号機の早期閉鎖、
④新コリ原発5、6号機増設計画については市民が決める、
⑤脱原発ロードマップを策定する、
と宣言しました。しかし、同大統領は、その宣言を反故にし、2018年3月、韓国が外国で初めて請け負ったアラブ首長国連邦のバカラ原子力発電所の完工式に出席し、また、5基の新核発電所をコリとウルチンに建設を進めるとするなど、核マフィアとともに原発の稼働政策を進めています。

◆この状況の中、9月13日(木)~16日(日)、韓国の「核廃棄のための全国ネットワーク(準)」などが企画された「核と戦争のない世界のための日韓反核ツアー」に、「若狭の原発を考える会」などから13名が参加し、韓国の4か所(24基)で稼働する原発の内、2か所の原発の現地で反原発を闘う人達と交流するとともに、反基地を闘っている方たちとも交流を深めました。ツアーの中で、文在寅大統領に原発と基地に関する以下のような要請文を提出することが話し合われ、10月8日のソウルの青瓦台(大統領官邸)前広場で開かれた「記者会見」で伝達されました。


韓国 文在寅大統領殿

私たち「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、9月13日から16日まで、ソウル~大田(テジョン)~霊光(ヨングァン)~星州(ソンジュ)~慶州(キョンジュ)と延べ1000キロに及ぶ韓国の反核・反原発の現場、サード反対の現場をめぐって地域住民のお話を聞き、経験を分かち合い、討論をしました。

韓国政府と原発推進勢力は、3.11福島事故前の日本とまったく同じように、韓国の原発は世界一安全で、完全な安全対策が採られていると強弁しています。しかし私たちは訪問した韓国の各地域で、現実はまったく異なるという住民たちの具体的な声を聞きました。

原発立地である全羅南道の霊光では、韓国型原発である3、4号機建設時の手抜き工事や不良部品問題が明らかになり、住民はいつ重大事故が起こるか知れない不安の中で暮らしています。使用済み核燃料の中間貯蔵施設という、引き受け手のない政府の計画を原発立地の住民たちに引き受けさせるため途方もない金を使った分裂工作が行われています。

また慶尚北道慶州の月城原発に隣接するナア里の住民たちは、赤ん坊から高齢者まで体からトリチウムが検出され、移住の権利を求めて丸4年を超えるテントろう城闘争を続けています。テントの前に棺桶を用意して死ぬ覚悟で闘っています。地元住民の多くは、生活のために原発の定期点検時に派遣労働者として被爆労働につかざるを得ません。

韓国の原発推進勢力の拠点である原子力研究院がある大田では、原子力研究院が数々の汚職や不正の温床で、危険きわまりない使用済み核燃料再処理実験が行われている核施設であり、一日も早く解体すべきであることを地元住民や若者たちが告発しています。

韓国政府は、これら地元住民たちの訴えを黙殺し、原発を動かし続けています。原発を動かす限り増え続ける使用済み核燃料の貯蔵プールはすでに飽和状態になっているのに、貯蔵プールの危険な稠密化や使用済み核燃料再処理の嘘によって期限を引き伸ばしつつ2024年までに原発敷地内に中間貯蔵施設を作るとして世論を欺こうとしています。

さらに慶尚北道星州のソソン里では、朝鮮民主主義人民共和国の核ミサイルからの防御を口実に朴槿恵政権末期に2基、文在寅政権成立後に仮配備された4基、計6基のサードミサイルが未だに撤去されていません。朝鮮半島に吹いている平和の風はソソン里にはなぜ吹かないのか。警察権力の暴力と対峙して闘う地元住民の怒りと闘いに私たちは感動しました。

私たちは、4.27以降3回にわたる南北首脳会談によって朝鮮半島平和と非核化の道が切り開かれつつあることを心から歓迎しています。だからこそ朝鮮半島の真の平和のためには、サードミサイルシステムが星州ソソン里から撤去されねばならず、朝鮮半島の真の非核化のためには韓国から米軍の戦術核と原発がなくならねばならないと考えます。3.11原発事故の現場である福島、原発集中地域である若狭、また最大の原発電力消費地である首都圏と関西から参加した日本の参加者は、安倍政権の原発再稼働強行・原発新設・原発輸出策動、そして9条改憲や戦争政策を阻止するために努力するとともに、韓日民衆が共同して、核と戦争のない世界を実現するために、今後も全力を尽くします。

「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」の日本参加者と韓国各地からの参加者は、この旅で学んだことに基づき、文在寅大統領に以下のように要求します。

1. ロウソク市民の要求である脱核の公約を守り、原発全廃に向かえ!
1. 老朽原発の稼働、中間貯蔵施設の押し付け反対!原発新設・輸出を直ちに止めよ!
1. 核マフィアの総本山・原子力研究院を解体し、脱核時代のために再編せよ!
1. 日々被曝を強制される原発隣接地域住民の移住の権利を保障する法律を制定せよ!
1. 違法なサード配備を撤回し、住民への弾圧と監視を直ちに止めよ!
1. 文在寅大統領は、ナア里・霊光・大田・星州ソソン里の住民たちの声に耳を傾けよ!

核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団
参加者一同


2018年10月8日、韓国ソウルの青瓦台前広場で、核廃棄のための全国ネットワーク(準)などが取り組んだ「文在寅大統領に送る要請書」の伝達のための行動


▲(横断幕)文在寅大統領は脱核公約を履行し原発全面閉鎖に直ちにとりかかれ!


▲(丸いプラカード)電気は余ってる!核発電所、もうやめて!


相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号機、美浜3号機を動かし、
全国の老朽原発再稼働を先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの行動如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を止めさせ、原発新設を止めさせれば、美浜町の原発は即時ゼロに、高浜町の原発は7年後にゼロになり、2033年には、若狭の全原発が廃炉に向かいます。もちろん、その前に重大事故が起こる可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。

脱原発・反原発の声を大きくし、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!
原発のない新しい社会を創造しましょう!

2018年10月19日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

【2018年10月5日,京都キンカンで配付。】

原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。例えば、次のような理由によります。

・高温、高圧、高放射線(とくに中性子の照射)に長年さらされた圧力容器、配管等では、脆化(ぜいか;下記【1】を参照)、金属疲労(下記【2】を参照)、腐食(下記【3】を参照)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の老朽化は深刻です。電気配線の老朽化も問題です。老朽原発には、難燃性でない電気配線も使われています。

・建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。最近は、安全系と一般系の電気配線の分離敷設の不徹底なども指摘されています。

・建設当時の記録(図面など)が散逸している可能性があり、原発の安全管理の支障となります。

・建設当時を知っている技術者は殆どいないので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。

・高浜3、4号機(運転開始後33年越え)のようなウラン燃料対応の老朽原発でMOX燃料を使用することは、炉の構造上、問題山積です。

以下に、脆化、金属疲労、腐食について簡単に説明します。

【1】老朽原発圧力容器の脆化

◆原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境(加圧水型PWRの場合)で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、高温ではある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆(もろ)くなります。圧力容器は原子炉運転期間が長くなると、硬化温度(脆性遷移温度)が上昇します。

◆例えば、初期にはマイナス16℃で硬くなった鋼鉄も、1、18、34年炉内に置くとそれぞれ35、56、98℃で、40年を超えると100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が脆化していれば、ガラスを急冷したときのように、破損する(割れる)危険性があります。初期(使用前)の鋼鉄は、脆性遷移温度が零度以下ですから、水冷では破壊されません。とくに、不純物である銅、リン、炭素などの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化は深刻です。

◆なお、脆化の機構は解明途中であり、脆性遷移温度の評価法にも問題が多いことも指摘されています。

◆ちなみに、老朽原発の脆性遷移温度は、次のように推定されています(原子力資料室発行「別冊TWO SCENE」17、2018年夏号より)。
・高浜原発1号機(運転開始1974年):99℃
・玄海原発1号機(運転開始1975年;廃炉):98℃
・美浜原発2号機(運転開始1972年;廃炉):86℃
・美浜原発1号機(運転開始1970年;廃炉):74℃
・大飯原発2号機(運転開始1979年;廃炉):70℃

【2】老朽原発の金属疲労

◆金属疲労とは、金属材料に繰り返して(振動的に)「力」を加えたとき、はじめ小さな傷が生じ、やがて大きな破壊に至る現象です。「力」は機械的に加わるだけでなく、温度変化の繰り返しによって加わることもあります。金属が高温で膨張し、低温で収縮するためです。

◆1985年8月の日航ジャンボ機墜落(御巣鷹尾根)事故は、後部圧力隔壁の金属疲労が原因とされました。

◆1991年2月に、美浜原発2号機で蒸気発生器伝熱細管がギロチン破断(刃物で断ち切ったように真っ二つになる事)して一次冷却水が2次側に漏洩した事故の原因は、高サイクル振動による金属疲労と判定されました。この事故は、メルトダウンにつながりかねない深刻なもので、国内の原発で緊急炉心冷却装置(ECCS)が動作する最初の事例となりました。金属疲労による損傷は、ポンプやタービンによる機械的振動や配管を水や水蒸気が流れるときに生じる振動が長期にわたって加わったときにも生じます。

【3】老朽原発の金属腐食

◆金属の腐食とは、金属が接触している他種の金属、液体、気体と化学反応して溶けたり、腐食生成物(いわゆるさび)を生成することです。表面が一様にさびる「全面腐食」、弱い部分から腐食が進行し、孔が開いたりする「局所腐食」があります。原子炉内ではいずれの腐食も生じますが、老朽原発でしばしば問題となるのは「局所腐食」の一つ「応力腐食割れ」です。代表的な発生部位は、圧力容器内で燃料集合体、制御棒の周囲に円筒状に配されているシュラウドと呼ばれる部品、再循環系配管、炉内計装管台などです。1960年代末から1980年代初頭にかけて、特に沸騰水型プラントでは共通する不具合として問題になりました。

◆当時発生した応力腐食割れの大半は炭素含有率が比較的高いステンレス配管の溶接部近傍(数㎜以内)で発生しました。ステンレスは、鉄に10~20%のクロムを混ぜて、さびにくくした合金ですが、溶接時に600℃~800℃に加熱された部分ではクロム炭化物が生成し、クロム濃度が周囲より低くなる欠乏層(結晶粒界)が生じます。この部分に溶存酸素を含んだ炉水が接触しつつ引張応力(材料が引っ張られたとき、材料内部に生じる抵抗力)が加わると、応力腐食割れが発生、進展します。

◆「エロージョン・コロージョン」と呼ばれる腐食も生じますが、メカニズムは確定されていません。「エロージョン」とは、局所的沸騰(キャビテーション)あるいは液滴や固体粒子の衝突によって材料表面が徐々に脱離する現象(腐食;コロージョン)とされています。

◆1986年12月、米国のサリー原発2号機(加圧水型軽水炉で1973年5月に運転開始)の二次冷却系配管でギロチン破断事故が発生しました。この事故は、給水ポンプ入口側の90°エルボ部で生じました。破断した配管の材質は、板厚12.7 mmの炭素鋼です。破断の原因は、エロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。この事故により破断部近傍で工事を行っていた4名が死亡し、2名が負傷しました。

◆2004年8月に、美浜原発3号機(1976年3月に運転開始)の二次冷却系の復水系配管が突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して、高温の蒸気となって周囲に広がった事故の原因もエロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。

◆この配管は、直径55 cm、肉厚10 mmの炭素鋼(鉄と炭素の合金:加工が容易で廉価)製で、破裂箇所の上流側には圧力差から流量を計測するためのオリフィスと呼ばれる狭窄部が設けられています。オリフィスで生じた渦流によるキャビテーションは、徐々に配管内面を削り、運転開始から28年後の事故当時には、配管は肉厚1.4 mmにまで減肉していました。この状況で、配管は、150℃、10気圧という運転圧力と振動に耐えられず、大きく破裂したと考えられています。

◆本来は肉厚4.7 mmまで減肉する前に予防措置をとるという内部規則があり、1989年には配管を検査し1991年には取り替えることになっていたにもかかわらず、関西電力と検査会社の見落しで、点検台帳に登録されず、この個所は稼動以来28年間一度も点検されていませんでした。関電の危機管理能力が疑われます。この事故では5名が亡くなられ、6名が重軽傷を負われました。国内初の運転中の原発での死亡事故です。

【4】老朽原発の圧力容器や蒸気発生器に強度不足の鋼材が使用された可能性

◆上述のように、原子炉材料の品質不良は、重大事故の原因となりますが、最近でも、強度不足の鋼材が老朽原発で使用されていたと報じられています。

◆2015年4月、フランス原子力安全局 (ASN)は、建設中の加圧水型原発の原子炉容器上蓋などに使われている鋼材の組成に異常(ひび割れの発生など、機械的強度を低下させる炭素濃度の高い領域)が見つかったと発表しました。また、調査を続けたASNは、2016年6月に、「フランスで運転中の58基の加圧水型原子力プラントのうち、9原発18基の蒸気発生器で「水室」(蒸気発生器の一部)の機械的強度が想定より低い可能性がある」と発表しました。この「水質」の鋼材はフランスのクルゾ社と日本鋳鍛鋼(にほんちゅうたんこう:新日本製鐵グループ、三菱グループの共同出資)が鍛造(たんぞう:金属を加熱し、ハンマーなどでたたいて、金属内部の空隙をつぶし、結晶の方向を整えて強度を高めながら成形)したものです。

◆フランスでのこの事態を受け、日本の原子力規制委員会(規制委)は、2016年8月24日、各原発事業者に対し原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査を指示し、九州電力や東京電力、関西電力など電力6社は、同年9月2日に、「日本鋳鍛鋼」が国内8原発13基の原子炉圧力容器を製造していたと報告しました。しかし、電力6社の調査は、「メーカーに確認する」程度のもので、メーカーである日本鋳鍛鋼は、「強度不足につながる鋼材の不純物は顧客の指示通り切り捨てている」として強度基準を満たしているとの認識を示しています。

◆電力各社によると、日本鋳鍛鋼は、福島第二原発2、4号機、志賀1号機、高浜2号機、大飯1、2号機、敦賀2号機、伊方2号機、川内原発1、2号機、玄海2、3、4号機の圧力容器を製造していました。

◆フランスで2015年4月に強度不足問題が発覚し、ASNが調査を指示し、2016年6月に結果を発表しているにも拘らず、規制委は、問題発覚以降にも原子炉の致命的欠陥に関わるこの問題を無視して再稼働審査を続け、川内原発、高浜原発、伊方原発の新規制基準適合を発表し、老朽原発・高浜1,2号機、美浜3号機の運転延長も認めています。

原発再稼働時に、頻発するトラブル:原発
老朽化の深刻さ、規制委審査の無責任さを露呈

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に早速、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、2016年2月の再稼働準備中に、1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、発電機と送電設備を接続した途端に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。

◆さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の2016年7月、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管に直径1 cmの穴が開いていたそうです。本年8月末に再々稼働した高浜原発4号機は、8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプの油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されるという、深刻なトラブルを起こしました。

◆このように、再稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしています。トラブル率100%です。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、規制委員会が適合とした多くの原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委員会の審査が無責任極まりないことを物語っています。

規制委の審査は無責任で、科学とは縁遠い:
老朽原発審査は、さらに手抜き

◆老朽高浜原発1,2号機運転延長認可の発表にあたって、当時の規制委員長・田中俊一氏は、「あくまで科学的に安全上問題ないかを判断するのが我々の使命だ」と述べています。

しかし、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものです。規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠いものです。

◆実際に起こった最も重大な事実は福島原発事故です。福島事故に関して、事故炉内部の詳細は今でも分からず、事故の原因究明が終わったとするには程遠い状態にあります。「科学」を標榜するのなら、福島事故の原因を徹底的に解明して、その結果を参照して、原発の安全性を議論・考察するのが当然です。

◆しかも、老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機の再稼働審査は、とくに無責任かつ杜撰(ずさん)でした。杜撰さを、高浜1、2号機審査を例に紹介します。

●関電が、高浜1、2号機の新規制基準への適合審査を申請したのは2015年3月ですが、2016年4月に設置許可、6月10日に工事計画認可、6月20日に運転延長認可と、他の原発の審査に比べて、異例の短期間で審査を終えています。
審査会合も27回と川内、高浜(3、4号機)、伊方原発審 査時の約半分です。しかも、先に申請し、終盤を迎えていた他原発の審査を止めての拙速審査です。規制委からの認可取得期限が2016年7月7日に設定されていたために、規制委が審査を早めて、この期限に間に合わせたのです。規制委には、特に慎重であるべき老朽原発審査に対する誠意は感じられません。

●審査の手抜きも目立ちます。例えば、この審査では、ケーブル、コンクリート、目視可能な鉄筋など、簡単に点検や補修できる箇所については審査しても、点検が困難な冷却細管、点検・交換が不可能な圧力容器については、十分審査しているとは言えません。また、蒸気発生器の耐震性は美浜3号機の実証データで代用し、通常なら審査段階で行う耐震安全性の詳細評価を審査後で可とし、実証試験を使用前検査時に先延ばしにしました。さらに、20年延長評価は初めてにも拘らず、パブリックコメントなど、広く意見を求めることもしていません。このように、調査や改修の困難な部分については手抜きする審査は、「科学的」に安全を保証するためのものではありません。

相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号 機、美浜3号機を動かし、
全国の老朽原発再稼働を先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの闘い如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を阻止し、原発新設を阻止すれば、最悪でも、2033年には、若狭の原発はゼロになります。もちろん、その前に重大事故が起ころ可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。

関西、福井の総力を結集して、高浜、美浜の老朽原発をを廃炉に追い込みましょう!
そのための行動を討議するために、下記の拡大実行委員会を開催します。
老朽原発の再稼働を何としても阻止したいとお考えの方なら、
どなたでも、ご参加いただけます。
叡智を集めて大闘争を準備し、老朽原発を廃炉に追い込みましょう!


老朽原発再稼働を阻止するために! 行動を討議する
「拡大実行委員会」

◆とき:10月8日(月 休)14:00~17:00
◆ところ:京都テルサ(京都駅から南へ 徒歩 15 分、市バス九条車庫南)
★ア クセス→こちら
◆主催:「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」
◆連絡先:木原(090-1965-7102;kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp)


2018年10月5日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆世代と海を越えて連帯する―核と戦争のない世界のための日韓反核旅行―

【2018年9月28日,京都キンカンで配付。】

韓国・日本の脱原発・反原発運動の強固な連帯で、
互いの政府や電力会社を追い詰め、
手を携えて世界の原発の全廃を勝ち取ろう!

世代と海を越えて連帯する

―核と戦争のない世界のための日韓反核旅行―

若狭の原発を考える会・木戸 恵子

◆韓国のムン・ジェイン大統領は、2017年6月、韓国の最も古い原発・コリ原発1号機の閉鎖式典で、
①原発建設計画の撤回(6基)、
②老朽原発の寿命延長はしない、
③慶州ウオルソン1号機の早期閉鎖、
④新コリ原発5、6号機増設計画については市民が決める、
⑤脱原発ロードマップを策定する、
と宣言した。

しかし、同大統領は、その宣言を反故にし、2018年3月、韓国が外国で初めて請け負ったアラブ首長国連邦のバカラ原子力発電所の完工式に出席し、また、5基の新核発電所をコリとウルチンに建設を進めるとするなど、核マフィアとともに原発の稼働政策を進めている。

◆この状況の中、9月13日(木)~16日(日)、韓国の「核廃棄のための全国ネットワーク(準)」などが企画された「核と戦争のない世界のための日韓反核ツアー」に、日本から13名が参加し、韓国の4か所(24基)で稼働する原発の内、2か所の原発の現地で反原発を闘う人達と交流するとともに、反基地を闘っている方たちとも交流を深めた。

●13日(木)午後7時、ソウル円仏教教堂において、「日本の原発問題と反原発運動」と題して、若狭の原発を考える会の木原壯林さんが質疑応答を含め2時間の講演をおこなった。

・講演の概要は、
日本政府の原子力政策(エネルギー基本計画、危険かつ実現不可能に近い核燃料サイクルへの固執、日本政府は原発輸出を経済政策の目玉の一つに、日本の原子力政策の要点と政府のたくらみの暴露など)、
「新規制基準」と規制委員会審査の問題点(新規制基準は3つの用件で構成されるが、これらは計画に有無を審査するのであって、実行されたことを確認するものではないこと、防災計画と住民避難計画は規制委員会の審査対象外であること、それでもこの審査結果が原発稼働を左右すること、など)、
日本の原発が持つ問題点(原発集中;若狭には13基の商用原発と高速増殖炉「もんじゅ」、ウラン、プルトニウム混合酸化物燃料を使ったプルサーマル運転、40年越え老朽原発の運転、行き場のない使用済み核燃料など)、
日本の反原発運動
日本の脱原発訴訟
「若狭の原発を考える会」の目指すところ・過去1年間の主な活動・これらの行動で私たちが獲得した成果
などで、通訳を交えた講演であった。


▲ソウル講演会


▲テジョン 30 km連帯懇談会

・会場からの質疑応答には、
①日本政府が公表した「科学的特性マップ」の日本人の反応はどうだったか、
②プルサーマルは日本の全ての原発でできるか、
③日本の再処理は乾式か湿式か、
④世界的な気候変動の中、脱核のスピードを落とさなければいけないと聞いたが本当か、
⑤日本では使用済核燃料の処理に困っているのに、インドへの原発輸出の条件に、インドで出た使用済み核燃料を日本で引き受けるのは、矛盾しているのではないか、
など韓国と日本の状況の違いや、日本政府の矛盾点が指摘された。

・講演の最後に、「今、脱原発・反原発は世界の趨勢になりつつあります。韓国、日本の脱原発運動が強く連帯して、大きなうねりを創り、原発が技術的には人類の手に負えるものではなく、経済的にも成り立たないことを政府や電力会社に思い知らせ、手を携えて世界の原発の全廃を勝ち取りましょう!」と訴え、会場から惜しみない拍手がおくられた。

●14日(金)同じ内容で2回目の講演会が、テジョン市老隠図書館において行われた。

・講演終了後の質疑応答の中では、
①若狭の原発を考える会の4年間続けている、「地道に」、「骨身を惜しまず」の行動に拍手と連帯を送りたいと前置きして、韓国では湿式だから核拡散にならないと政府は言っているが本当か、
②高速炉とプルサーマルの違い、
③テジョンにある韓国原子力研究院の半径1.5 kmに25000人が住んでいるが、日本にも同じようなところがあるか、
④韓国では反対しているが、日本では40年間再処理をしているが、どういう状況か、
⑤木原さんのような専門家が反原発の運動をされていることに驚きと感銘を受けたが、今の日本では専門家による反対運動が出来る状況にあるのか、
など熱心討論が交わされた。

・その後、テジョン市の巨大な核マフィアの中心・韓国原子力研究院の前に反核団体が集まり、抗議行動の「記者会見」が展開された。私たちも、旗を立てて「共同声明」に参加した。韓国では集会が禁止されているため、記者会見という名目で抗議行動を続けている。困難な中、工夫して闘うことを教えられた集会だった。


▲「30km連帯」へ旗の贈呈


▲原子力研究院前の「記者会見」

・印象的だったのは、テジョンの教会で開かれた「30 km連帯、住民との懇談会」においての、15歳の少女のスピーチであった。

・「私は現在を生きていきたい」と訴え、
「福島の原発事故が起きた時は8歳だった。福島原発事故から7年目の時、原発に関心をもってほしいと張り子で作った黄色の核廃棄物のドラム缶に座りながら街中でチェロを演奏した。原子力研究院の人達が様々な事故を起こしたのをみて、彼らは賢くないことを学んだ」、
「皆で努力をして政権を変えることができたが、世界はそう簡単には変わるものではないことも学んだ」、
「自分が生きていく世界を自分で直接作るべきで、学校に行かなかったことで国会にも行けたし、皆さんに訴えることができた」
と彼女自身の生き方や感性に、聞いていた韓国と日本の皆さんから盛大な拍手が起こった。

・終了後、スピーチをした少女を若狭の原発を考える会の反原発の旗で囲んで、木原さんと橋田さんより「30 km連帯の方へ、世代や海を越えて、原発をなくしていくために、連帯の意味を込めて」というメッセージとともに「反原発」の旗が贈呈された。

●15日(土)午前中、韓国の東の端に立地するヨングァン原発に対して闘う現地の方々と、原発ゲート前で短時間の集会をおこなった後、生命平和村に移動し懇談した。

・参加者の、
「原発が近いので、農作物が安く買いたたかれる」、
「ムン・ジェインになって、反核運動が衰退した」、
「使用済核燃料を乾式で保管しようとする政府が、お金をちらつかせながら村人を分断しようとしている」
などの発言を聞き、日本の政府や電力会社と同じような姑息な手段で住民を分断している状況がよく分かった。

・午後7時、星州(ソンジュ)郡ソソン里のサードミサイルに反対するロウソク集会に参加。闘いの中で歯を折られ、痛々しいマスク姿の婦女会会長が
「サードが来ると聞いた時引っ越しをすればいいと思っていたが、今は未来の子どもたちのために、世界平和のために闘っている」
と村での命を懸けた反基地の闘いを報告された。全員で黙祷の後、韓国語で「ニム(あなた)のための行進曲」を歌う。最後の部分「私が先頭に立つから、生きている者は後からついてこい」と繰り返し歌った。

●16日(土)、韓国の西の端に立地するウオルソン原発の慶州(キョンジュ)市ナア里の移住対策委員会の方と懇談した。

・住民の住むところから1 km 以内に、カナダ式重水炉が4基と韓国製原発が2基あり、30世帯が闘っている。ナア里に向かうバスの中で、飲み水やお風呂の水も他から調達していると聞いた。ウオルソン原発展示館前に2015年から合法的にテントを建てて、移住を要求している。政府からは安全だと聞いてきたが、福島原発事故を見て、原発は事故を起こすと知り、この闘いは自分達の生存権の問題だと知ったと話された。毎週月曜日に、テント前に並べられた自分たちが入ると決意した「柩」を抱えて、ナア里の町中を歩く闘いを続けている。


▲サードに反対するロウソク集会


▲ナア里移住対策委員会テント前

◆今回の日韓交流は、韓国の反原発や反基地の行動的な闘い方に刺激を受けながら、世代と海を越えて原発の全廃を勝ち取るために、地道に、骨身を惜しまず訴えていきたいと、改めて思った旅であった。

橋田秀美さんの報告に移る