◆原告第64準備書面
第4 纐纈教授の指摘を踏まえて

原告第64準備書面
-被告関西電力準備書面(16)に対する反論等-

2019年7月26日

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第4 纐纈教授の指摘を踏まえて
1 入倉・三宅の式が過小評価となる危険性
2 原子力規制委員会の基準では過小評価の危険性があることを具体的に指摘


第4 纐纈教授の指摘を踏まえて


 1 入倉・三宅の式が過小評価となる危険性
纐纈教授は、岩波書店の雑誌「科学」2012年6月号(原告第16準備書面6頁以下)に続き近時も、過去の経験からの予測式(原発に関しては入倉・三宅の式)から「予測されたもの(注:地震動)よりも数段の大きいものが実際に起こってしまう」こと、「同じようなことが起きないっていうことは・・・科学の方からは、保証できない」ことを指摘している(甲500・3頁)。

かかる指摘は、これまでの原告らの主張と整合するものである(原告第16準備書面29頁以下同23準備書面12頁以下)。

 2 原子力規制委員会の基準では過小評価の危険性があることを具体的に指摘

また、纐纈教授は、地震動の大きさを計算する前提となる断層の長さについても、熊本地震を例に、「事前の予測というのはどうしても小さい見積りになってしまう」と指摘している(甲500・4頁)。これまで述べてきたように、断層のすべてが地表から確認できるわけではないから当然のことである。

纐纈教授は、そのような事態に対処するため、例えば松田式を用いれば、熊本地震では実際の値に近いマグニチュードを計算することができ、非常に有効な方法であると述べている()。そして、地震調査研究推進本部の強震動部会では、熊本地震を受け、「科学的にきっちりやる方法」(入倉・三宅の式を用いる方法。レシピ(ア)の方法)と「便宜的にやる方法」(松田式を用いる方法。レシピ(イ)の方法)を合わせて用い、大きい方の値を用いるのが安全側の想定になると改訂を行った(原告第43準備書面)。

しかし纐纈教授は、こと原発に関してはそのような方法は執られていないこと、ばらつきを考慮すれば足りるというような問題ではなく、より根本的な問題点があること、例えば「少し大きくなるということになったら、ばらつきも大きくばらつかせていただく必要がある」こと、を述べている(甲500・5頁)。原子力規制委員会の定める、レシピ(ア)の方法と(イ)の方法とを併せて用い、より大きい値を用いるということをしていない基準では過小評価の危険がなお大きいというのが、「我々」(甲500・5頁)、すなわち地震調査研究推進本部の強震動部会の結論なのであり、基準地震動の過小評価の危険性を具体的に示すものとして重要である。

以 上