◆福井地裁判決の報告集会in京都
 (2014年6月28日)の報告

[0] 当日のビデオ映像

  • IWJ  [Independent Web Journal]
    福井地裁判決報告集会in京都…ビデオ映像(動画)
  • ビデオその1…1/2(13:27~ 3時間0分)
      (1)主催者あいさつ
        05分~ 木原壯林氏(汚染水問題を憂う京都府民の会、京都工芸繊維大学名誉教授)
        11分~ 竹本修三氏(京都脱原発訴訟原告団、京都大学名誉教授)竹本氏あいさつ
      (2)「福井から原発を止める裁判の会」からの報告
        17分~ 松田正氏(原告団事務局長)
        43分~ 安部剛氏(弁護団事務局次長) 
        1時間28分~ 中嶌哲演氏(原告団代表、明通寺住職)
        2時間24分~笠 原一浩氏(弁護団事務局長)
  • ビデオその2…2/2(16:27~ 41分間)
        00分~ 笠原氏〔続き〕  
        02分~ 質疑応答
      (3)京都地裁・大飯差止訴訟の現状と今後について
        12分~ 出口治男氏(京都脱原発弁護団)
      (4)集会アピール
        34分~

[1] 当日の配付資料

  • 全16ページ。PDFファイル、140628_haihusiryou(557KB)
    5/21福井地裁判決の「第4 当裁判所の判断」の全文を含んでいます。
    イベントツリーの図あり。
  • 福井地裁判決の内容、テキストファイルなどについては→こちら

会場の様子

[2] プログラム

  • 13:00~ 受付開始
  • 13:30~13:45 開会,開会挨拶
    (司会は、藤井悦子、坂本真由美、吉田明生)
    実行委員会より(木原 壯林 汚染水問題を憂う京都府民の会 代表世話人)
    京都脱原発原告団より(竹本 修三 団長)(福井からの報告者の紹介を兼ねる)
  • 13:45~14:45 福井からの報告(前半)
    松田 正 福井原告団事務局長(約20分)
    安部 剛 福井弁護団事務局次長(約30分),のち質疑応答
  • 14:45~15:00 休憩
  • 15:00~16:30 福井からの報告(後半)
    中嶌 哲演 福井原告団代表(約50分)
    笠原 一浩 福井弁護団事務局長(約30分),のち質疑応答
  • 16:30~16:50 京都地裁での訴訟の現状と今後の方向
    出口 治男 京都弁護団長(約20分)
  • 16:50~17:00 集会アピールの提案と採択(提案:林 玉枝 京都原告団事務局次長)
  • 京都原告団拡大などの訴え,閉会(吉田 明生 京都原告団事務局長)

[3] 集会の内容

  • 会場は350人を超えて、盛況でした。
  • 実行委員会より。木原 壯林(汚染水問題を憂う京都府民の会 代表世話人)の挨拶。→こちら
  • 京都脱原発原告団より。竹本 修三 原告団長の挨拶。→こちら
  • 福井からの4人の報告。→IWJのビデオ映像でご覧ください。
  • 京都地裁での訴訟の現状と今後の方向…出口 治男 京都弁護団長。→こちら
  • ご参加の皆さんのご意見用紙の内容→こちら

福井原告団事務局長・松田正さんの報告
 
福井弁護団事務局次長・安部剛弁護士の報告
 
福井原告団代表・中嶌哲演さんの報告
 
福井弁護団事務局長・笠原一宏弁護士の報告

[4] 「1万人原告をめざす脱原発アピール」賛同団体や個人

  • 脱原発の社会的な運動を,ネットワークとして拡げていきましょう。
  • 「福井地裁判決の報告集会in京都」の実行委員会は, 「1万人原告をめざす脱原発アピール」に賛同される団体,個人を募ってきました。
  • 集会開会までの賛同団体,個人(敬称略)(賛同順,175団体・個人)→こちら

[5] 「福井地裁判決の報告集会in京都」の集会アピール

【福井地裁判決について】
☆「福井から原発を止める裁判の会」による大飯原発の運転差止訴訟で,5月21日,福井地裁は,原告勝訴,大飯原発3,4号機の運転差止を命ずる判決を出しました。 ☆この福井地裁判決は,憲法上の人格権を最優位において,原子力発電の根源的な危険性を指摘している点で,日本のすべての原発の運転を認めない立場を明示しています。 ☆この判決について,私たちは本日の集会で,福井訴訟の原告団,弁護団からの報告をうけました。そして,この判決は,全国各地に広がる脱原発をめざす社会的な運動の大きな成果であり,この判決の歴史的な意義を確認し,今後の脱原発運動に生かしていくことを,共通の認識にしました。 ☆被告の関西電力は判決文をきちんと読んだのかどうかも疑わしいまま,これを不服として直ちに高裁に控訴しています。関西電力には控訴の取り下げを求めるとともに,私たちは,福井判決を高裁でも維持し,発展させるよう,さらに運動を拡げ強めていきます。

【京都地裁の大飯原発差止訴訟について】
☆現在,京都地裁に提訴している大飯原発差止訴訟においても,「福井地裁判決」を踏まえ,大飯原発全機の運転差止を命じる「京都地裁判決」を勝ち取りましょう。 ☆京都地裁における大飯原発差止訴訟は,2012年11月29日に1107名の原告で第一次提訴を行いましたが,その後,2013年12月3日に856名で第二次提訴を行いました。その結果,原告総数は1963名になっています。 ☆すべての原発をなくし,再稼働を許さないため,現在,さらに新しい原告を募集しています。脱原発の声を社会的に大きくするため,いっそう大きな原告団をつくる方針をかかげています。1万人の原告で裁判所を包み込みましょう。今年中に3千人の原告団を実現しましょう。

【連帯とネットワークについて】
☆私たちは,脱原発を求める日本や世界の人々との連帯をめざします。 ☆各地域に草の根に広まっている脱原発運動との連帯を強め,さらに,脱原発運動の全国的なネットワークに参加しましょう。 ☆福島での原発事故の原因が分からないまま,その上,誰一人として責任を取らないまま,日本の原発の再稼働を進めることは,けっして認められません。また,被曝の危険の拡散および国際的孤立,核軍拡競争激化に直結する原発輸出は,即時,中止するよう求めます。世界のすべての原発廃炉を,全世界とすべての人々に訴え  ていきます。 以上,本日の集会参加者の総意として,決議します。
2014年6月28日
福井地裁判決報告集会in京都 参加者一同

[6] 京都地裁での訴訟の現状と今後の方向

出口治男・京都弁護団長の報告(板書は笠原弁護士による)
…出口治男・京都弁護団長の報告……

(はじめに)
 まず、福井地裁判決を生み出した福井訴訟原告・弁護団の皆様に深甚の敬意を表します。私に与えられたテーマは「京都訴訟の現状と今後の方向について」というものですので、最初に「京都訴訟の現状」についてお話しをし、次いで「今後の方向」について申し上げます。

1 京都訴訟の現状について

(1)京都訴訟は2012年11月29日、原告数1107名で提起されました。京都地裁では、過去に例をみない多数の原告となりました。次いで、2013年12月3日、原告数856名で第二次訴訟が提起され、現在1963名の原告団で闘っています。原告団の団長は竹本修三京大名誉教授です。

(2)
審理の状況は次のとおりです。
 第1回期日は2013年7月2日、第2回が同年12月3日、第3回が2014年2月19日、第4回が同年5月21日に行われ、第5回が同年9月30日に予定されています。

 審理の中身について簡単に申し上げますと、
 第1回期日では、まず原告団の竹本団長と、原告福島敦子さん、同大庭佳子さんが陳述しました。
 竹本団長は「地震国ニッポンで、原発は無理!」というテーマで、パワーポイントを駆使しながら、専門の立場から「原子力規制委員会は、大飯原発敷地内の重要施設の直下を通る「F-6破砕帯」が活断層であるかどうかに焦点を絞って検討を進め、「活断層ではない」との結論を出したが、これは空しい議論である」とされ、その根拠を詳しく挙げられました。

 また基準地震動について、次のような具体的事例を指摘されました。「1 984年の長野県西部地震のときに、1km×3kmという狭い範囲ではあったが、埋まっていた石が飛んだ。単に置いてある石なら、980ガルをこえる地震動の加速度が動けば浮く。しかし、埋まった石が飛ぶためには、それよりもずっと大きな加速度が働かねばならない。京大防災研の研究者の計算では、埋まっている石が飛び出す為には、15000ガル以上の加速度が働かなければならない。地球の重力加速度の15倍である。非常に局所的ではあるが、M6.8の地震で、こんな大きな加速度が働いた例がある。関電が基準地震動を700ガルから856ガルに見直したといっても、それで安全だということには全くならない。15000ガルの加速度に耐えうる設備を作るのは技術的にも経費面でも不可能である。関電は直ちに廃炉に踏み切るべきだ」と結ばれました。

 又福島県から避難してこられた福島敦子さんと大庭佳子さんは、避難を余儀なくされた福島県の人々の苦難の実情を、深い憤りと悲しみを込めながら、静かに訴えられました。福島さんは「司法が健全であることを信じています。日本国民は、憲法より守られていることを信じています。」と結び、法廷は深い感動と共感で満たされました。

 玄海原発等の差止訴訟に奔走しておられる熊本県の板井優弁護士に応援弁論をして頂き、差止の必要性を強く訴えて頂きました。弁護団はパワーポイント、動画等を用いて訴状を分担して陳述し、原発の安全神話の崩壊、原発事故による甚大で取り返しのつかない被害を直視して、原発を差し止めるように訴えました。

 第2回の原告本人の陳述は、聖護院門跡の宮城泰年さんが、宗教者の立場から危険な原発の稼働は認められないと、諄々と説かれ、腸にしみ入るお話しをして頂きました。弁護団は、福島の人達の悲惨な避難の状況を具体的に、写真等をまじえて明らかにし、原発事故がいかに多くの人達の人間としての尊厳を傷つけているかを訴えました。

 第3回は、宮本憲一元滋賀大学長が原告として意見陳述され、専門の公害環境研究者の立場から、福島第一原発事故によって多くの住民が故郷を失った苦難の事実を指摘し、福島第一原発事故は、足尾銅山鉱毒事件によって消滅した谷中村の悲劇よりもさらに大きい、わが国史上最大最悪の公害事件であると指摘されました。

 弁護団は、放射線被爆が人体に及ぼす影響の仕組みと、チェルノブイリ原発事故が人々に及ぼした巨大な影響を明らかにするとともに、これらの放射線による被害の重大さにくらべて、政府がこれまでにとってきた放射性物質に関する法規制がいかに杜撰であったか、そしていまもなお具体的な法規制の整備が行われていない、にもかかわらず大飯をはじめとする各地の原発の再稼働を推し進めようとしていることは、福島第一原発事故を経験してもなお、政府や電力会社が「安全神話」を捨てていないと強く批判しました。

 そして、このような状況下において、司法の果たす役割は極めて重大で、裁判所は、大飯原発を含むあらゆる原発の危険性を正しく認識し、市民の生命、身体の安全と健康を守るため、子ども達の未来を守るため、大飯原発の運転を許さない判断を下すことを求めました。

 第4回は、裁判官全員が交代したので、第1回から第3回迄行ってきた意見陳述と弁論を、再度全てではないが再現しました。これらの意見陳述と弁論には、裁判官も時折うなづきながら静かに耳を傾け、意見陳述、弁論のおわり毎に起きる傍聴席からの拍手を制止することはありませんでした。

 なお、裁判では、毎回傍聴希望者が多数のため、法廷へ入廷できる原告団、傍聴者の数が限られるので、裁判と同時平行で、弁護士会館の大会議室を借り切り、弁護団が役割分担をして、法廷でその日に行われている内容を再現するという工夫もしているところです。
以上がこれ迄の状況です。

2 今後の方向について

(1)
提訴に当たり、私達は、福島第一原発事故によって原発の危険性が明らかになったにもかかわらず、政府、電力会社が臆面もなく原発再稼働に遮二無二突き進んでいる姿勢を厳しく批判し、訴訟をとおして原発の危険性を徹底的に浮き彫りにすることによって、脱原発を実現する第一歩として、大飯原発の差止めを目指すことを確認しました。しかしながら、この訴訟の取組みをとおして、脱原発を求める広範な国民世論を大きく広げることこそが最も重要であり、このことをぬきにして、訴訟での勝利の展望を切りひらくことはできないと考えました。

 私達は、法廷での戦いと法廷外での運動を車の車輪と位置づけ、法廷外の運動を推し進めるうえで、この訴訟の原告をさらに大きく広げていくことが重要であると考え、原告団弁護団ともに、引き続き追加提訴にむけて全力を傾けています。

 又法廷での弁論も、安易な技術論争に入り込むのではなく、シビアアクシデントが避けられず、そして一旦それが生じたときにはコントロールすることも不可能で、放射性物質が外部に大量に放出されて取り返しのつかない広範で深刻な被害を引き起こすことを、チェルノブイリや福島での事故をもとに具体的に明らかにしていくことを考えています。このような方針のもとで、これ迄私達は取り組んできました。

(2)
5・21福井地裁判決は、私達が追求してきた方向が正しかったことを明らかにしてくれました。この判決は、もはや晴れることはないであろうと感じていた司法の暗闇に、一筋の大きな光を与えてくれました。裁判所にはなお、このような判決を出す裁判官たちが存在する。そのことを実感できました。

 私達はこの判決を今後の闘いの橋頭堡として、一歩たりとも後退させず、私達の訴訟と運動両面にわたる導きの星としていきたいと考えています。

(3)
他方、原子力規制委員会では、地震の専門家である島崎邦彦委員が、官産学の一致した強い意向によって、任期満了により再任されませんでした。そしてあろうことか、というか恥知らずにも、政府は原子力ムラの田中知という人物を規制委に送り込みました。今後、規制委が、再稼働に向けてフル活動することは目に見えています。

 福井地裁判決を契機として、私達の原発再稼働阻止、原発廃炉を求める闘いの大きな大きな意義を改めて確認し合い、全国の仲間たちとともに裁判での更なる勝利と再稼働阻止、原発廃炉実現を目指して互いに闘っていきましょう。

 本日は参加して頂いた多勢の方々、特に福井の皆さんに心から感謝の意を表して、私の報告といたします。どうもありがとうございました。
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 [7] 実行委員会より挨拶

実行委員会より……木原 壯林(汚染水問題を憂う京都府民の会 代表世話人)

 汚染水問題を憂う京都府民の会の木原です。本集会の実行委員会の一員として、ご挨拶を申し上げます。木原壯林さんの挨拶

 さて、5月21日には、福井地裁で、「人間の生きる権利は経済に優先する。したがって、原発の再稼働は認めない。」とする、私たちの叫びを代弁してくれる格調高く、美しくもある画期的な判決が出ました。人間を経済の奴隷にしようとする現在社会の暗闇の中に、一条の光を見出だした思いです。私たちは、この勝訴の趨勢を燎原の炎の如く全国に拡大しなければなりません。 

 本日は、この福井の勝利判決を京都につなげ、全ての原発の運転を止めさせるために、福井地裁判決の報告集会in京都を企画しましたところ、皆様にはご多用のところ、多数ご参加くださりありがとうございます。また、福井の原告団、弁護団に「福井から原発を止める裁判の会」のご報告をお願いいたしましたところ、原告団代表の中島哲演さんを始め、原告団事務局長、弁護団事務局長、事務局次長には、快くお引き受けくださり、誠にありがとうございます。なお、本集会の実行委員会は「1万人原告をめざす脱原発アピール」に賛同される団体、個人を募ってまいりましたが、本日までに、本集会資料に記しましたように、175の団体と個人のご賛同をいただいております。

 さて、福井の判決では、電力や政府の安全軽視の姿勢を指摘・弾劾しています。また、原子力規制委員会が拠って立とうとする科学技術が原発の安全を保障するには極めて不十分であることも明快に指摘しています。したがって、この判決は、全国の原発の再稼働にNOを突きつけるもので、政権、電力に衝撃と恐怖を与えるものです。それ故、今後、政府、電力とその操り人形の原子力規制委員会は、さらに、躍起になって再起動を画策してくるものと考えられます。
政府が原発再稼働に慎重な島崎邦彦氏の規制委員への再任を拒否し、原発推進で良く知られる田中 知東大教授を指名したのはその手始めです。

 ところで、私は、50年近く原子力を含む理工学なかんずくChemistryに携わってきたものとして、如何に政府や電力が虚偽と欺瞞に満ちた議論のうえに安全性を主張しようとも、原発は人類と共存し得ないと確信しています。

 その理由の第一は、核反応のエネルギーはミリオンエレクトロンボルトの高エネルギーレベルで、これは、通常の化学反応エネルギーの百万倍から数千万倍に相当し、現代科学はこれをコントロールできるほど進歩していないということです。

 理由の第二は、次のような原発事故の特徴です。
すなわち、①原発で冷却水が途絶えると、秒単位の速度で、大惨事につながること、②原発事故では、原爆とは比較にならない量の放射能が放出されること、③放出された放射能を消滅させる方法はないこと、④事故炉は容易に再臨界に達すること、⑤原発事故による放射能汚染は極めて広域であることです。
理由の第三は、使用済核燃料、放射性廃棄物を消滅させる方法はなく、何万年もの長期間安全保管するための処理、保管法もないことです。

 残余の理由は割愛しますが、このように、原発は人類の手におえるものではありません。それでも政府、財界、電力は、規制委や政府の意を何でも受け入れ、安全性や事故時の避難法には頬かむりする九州電力の川内原発の再稼働を実現し、川内原発での審査を手本として、高浜、大飯、伊方などの原発の再稼働を一気に推し進めようとしています。

 人類と共存し得ない原発を稼働させてはなりません。原発全廃のための重要な手法が原発差し止め訴訟です。

 世論調査などによりますと原発再稼働には国民の6割から8割が反対していて、再稼働反対は多数派です。このことが選挙に反映されていないのは誠に残念でありますが、全国の訴訟に次々に勝利すれば、反対の声は、必ずや広がります。福井に引き続いて、京都をはじめとする全国でも、差し止め訴訟に勝利しましょう。また、裁判を支え、再稼働を阻止するための多彩な運動を広範に展開しましょう。

 最後に、この集会は、京都脱原発訴訟原告団の皆様の献身的な努力によって開催に至りました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。共に頑張りましょう。
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[8] 京都脱原発原告団より挨拶

京都脱原発原告団より……竹本 修三 原告団長

 ご紹介いただいた竹本です。本日は沢山の方にお集まりいただき、誠にありがとうございます。竹本修三原告団長からの挨拶

 皆さん、ご存じのように5月21日の午後3時に福井地裁で大飯原発差止訴訟の原告側勝訴の歴史的な判決が出ました。この日は、午後2時から京都地裁で大飯原発差し止めの京都訴訟の第4回口頭弁論が行われていましたが、午後3時過ぎに口頭弁論が終わって法廷の外に出ると、福井地裁で原告側勝訴のニュースを知らされました。早速、弁護団から中島晃弁護士、原告団からの私の二人が福井に向かい、報告集会が開かれていた福井県教育センターに駆けつけ、福井の人々と喜びを分かち合いました。

 この大飯原発差止の福井訴訟の勝利判決をわれわれの京都訴訟につなげたいと考え、現地の原告団・弁護団の方々に京都で福井訴訟の報告集会を開きたいので協力してほしいとお願いしたところ、快諾していただきました。京都に戻った私は、京都訴訟原告団の吉田明生事務局長と相談して福井訴訟報告集会の準備を始めたところ、「キンカン」運動に集う京都の多くの団体や個人の方々との協力による集会を開くことになりました。そしてこれらの広範な人々に支えられて実行委員会が組織され、宣伝活動を繰り広げて本日を迎えた訳です。実行委員会の皆さまのご努力に深く感謝いたしております。

 さて、本日福井からお招きしている4名の方々のなかで中嶌哲演原告代表は小浜・明通寺の住職で著名な方ですが、1960年代の終わり頃に関電が小浜に原発を作ろうとしたときに、それに反対する市民の声をまとめて関電と対峙し、ついに関電に小浜原発建設計画を断念させて以来、40年以上にわたって反原発の立場を貫いている筋金入りの活動家です。これに対して私は、恥ずかしながら3年前の福島第一原発の事故が起こるまでは、「安全神話」を深く疑ってみることもせず、化石燃料資源の乏しいわが国においては、膨大な電力需要を賄うためには原発依存も仕方ないかと思っていました。科学者としてお恥ずかしい話です。

 福島第一原発の事故が起こる約10か月前に、私の息子と娘のところにそれぞれ女の子が生まれました。この二人の孫娘が可愛くて仕方ありません。福島の子供達が原発事故で大変な苦労を強いられているニュースを見て、うちの孫の世代にあんな苦労をさせてはいけないと強く思いました。そこで、地震国ニッポンにおける原発稼働の危険性について調べてみました。私の専門は固体地球物理学・測地学で、いま原子力規制委員会の委員長代理をしている島崎邦彦さんといっしょに地震予知連絡会の委員を務めたこともあります。

 資料に基づいて調べた結果、福島第一原発の事故が「想定外」で、例外中の例外ではなく、地震や火山活動が活発な日本においては全ての原発が同様な事故に見舞われる危険性を有していることを知って慄然としました。津波の影響は、日本海側は太平洋側に比べると小さいのであまり考えなくてもよいと言われていますが、これも問題です。海岸付近の山体崩壊や海底の斜面崩壊(地すべり)によって局所的に大きな津波が押し寄せることもあるのです。

 ハイテクの粋を集めた原発でも、それを扱うのは人間です。立っていられない程の地震動に襲われたときなど冷静に対応できず、思わぬ操作ミスも起こり、非常時に制御不能が心配されます。こんな危険な原発を一刻も早く停止させることは、子や孫の代に負債を残さないために、我々の世代の課せられた義務だと考えます。そこで、福井地裁での原告側勝利判決に続いて京都地裁でも勝利判決を勝ち取り、これを足がかりとして全国の原発を廃炉に追い込みたいと考えておりますので、皆さまに一層のご支援をお願いいたします。

 さて、本日お招きした4人のなかで、中嶌哲演原告代表とは昨年10月に「原発ゼロをめざす城陽の会」の開沼淳一事務局長と明通寺でお目にかかっています。そのときお聞きした話で一番印象に残っているのは、「小浜には原発を作らせなかったし、その後は使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設の動きがありましたが、やはり市民たちの力で阻止しました。しかし、すぐ近くの大飯や高浜に同様の問題がもちあがったときに自分の問題として向き合えずに、原発を設置させてしまったことに、忸怩(じくじ)たる思いがします。」ということでした。私も福島の事故が起きるまでは若狭湾の原発は遠い存在で、これを自分の問題として捉えることができませんでした。今回の福井地裁の判決では樋口英明裁判長が、原発から250km以内の地域は事故のときに被害が出る可能性があることを示しています。日本地図でそれぞれの原発から半径250kmの範囲をコンパスで描いてみますと、北海道の一部と沖縄を除いた日本のほとんどの地域がこの範囲に含まれます。つまり、日本国民全体が原発問題を他所事でなく、自分の問題として捉えなければならないということです。中嶌哲演さんの「忸怩たる思い」をみんなでかみしめてみましょう。

 次に、福井原告団事務局長の松田正さんには、今年5月21日に福井県教育センターで初めてお目にかかりました。福井県坂井市で印刷・出版業を営なんでおられるそうで、裁判の会を始める以前は、もんじゅ事故があったときに「大事なことはみんなで決めよう、県民投票条例」などに取組んでこられたほか、人権問題をライフワークとして、在日外国人の参政権、日本軍従軍慰安婦問題や教科書問題などにこだわってこられたそうです。福井の裁判の会は原告の数も少なく、一時は松田さんお一人で原告団を支えた時期もあったそうで、苦しい中、今回のような嬉しい判決が出されたことに感謝しておられるそうです。今日は、福井で裁判が始まった経過や会の動きなどを報告していただけると思います。

 弁護団からおいでいただいた笠原一浩事務局長と阿部剛事務局次長は、お二人とも京大理学部の出身で私の後輩です。笠原弁護士は私と同じ地球物理学教室の出身で、私は第一講座(測地学)ですが、彼は第二講座(海洋物理学)の出身です。平成10(1998)年に大学卒業後、幅広く環境問題に取り組みたいという志をもっていて、故郷の福井の社会福祉法人に就職しましたが、その間に法律を勉強して、平成4(2002)年に司法試験に合格しました。弁護士になってからは、日弁連公害環境委員会エネルギー・原子力部会長なども務めておられるほか、大飯原発差止訴訟では福井弁護団事務局長として活躍しておられます。

 阿部剛弁護士は京大理学部の数学教室の出身で、学生時代の彼の指導をしたのは私の教養部時代の同級生の井川満京大名誉教授(解析学)です。この報告集会に井川さんも出席してくれているはずですが…。あ、あそこにいました。阿部さん、あとで井川さん挨拶しておいてください。井川さんの話によると、阿部さんはとても優秀な学生で、卒業後は別の分野に進みたいと言われたとき、手放すのを残念に思ったそうです。阿部さんは笠原さんの4年下です。

 大飯原発差止・福井訴訟の弁護団の中心になって戦っているこの二人の若い弁護士が京大理学部の私の後輩であることを嬉しく思います。今日は、阿部さんには福井訴訟の経緯と判決文の要点、笠原さんには関電が控訴したいま、これからの戦いの見通しを中心にお話していただければありがたいと考えております。ではどうかよろしくお願いいたします。
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