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◆関電、大飯原発1,2号機を廃炉?

【2017年10月27日,京都キンカンで配付。】

関電、大飯原発1,2号機を廃炉?

危険な原発の運転は、経済的にも成り立たない

◆10月17日~18日、報道各社は、「関電が、稼働して40年近くになる大飯原発1、2号機(両機とも出力は117.5万キロワット)の廃炉を検討している。これから2千億円を超えるとも言われる安全対策費を投じても、採算が取れない恐れが出ているため。11月中にも判断する見込み。」と発表した。この2基の原発は、構造が特殊で、安全対策工事に多額の費用を要することが廃炉に向かう一因である。ただし、関電は17日、「大飯1、2号機の運転方針に関する報道は、当社が発表したものでなく、廃炉の方針を固めた事実はなく、現在、原子炉設置変更許可申請の準備を進めている」と発表している。

◆東日本大震災後、原発の運転期間は原則40年と決められたが、政府は、最長20年の運転延長も認めている。大飯1号機は2019年3月に、2号機は2019年12月に稼働40年を迎えるが、それまでに「新規制基準」による運転延長審査が終了しなければ、自動的に廃炉となる。この審査には最短でも1年数か月を要するので、関電が近日中に運転延長申請をしなければ、大飯1、2号機の廃炉は決定される。なお、大飯1、2号機廃炉の報道について、福井県とおおい町は、「寝耳に水」とし、「地元に説明なく、廃炉を検討しているのであれば、立地自治体軽視。」とコメントしている。

大飯原発1,2号機は、特殊な構造をしていて、安全対策費がとくに膨らむ

◆原子力規制委員会(規制委)は、10月18日、重大事故時に格納容器(原子炉本体と重要機器を覆っている容器)の破損を防ぐための新たな炉内冷却装置の設置を義務化することを決めた。とくに、沸騰水型は、格納容器の容積が比較的小さく、冷却機能が失われると炉心温度の上昇で、内圧が高まりやすい。現行の規制基準では放射性物質(とくにヨウ素)を除去しながら内部の空気を外部に排気(ベント)するフィルター付きベント装置の設置などの対策を求めている(しかし、実際には設置を猶予している)。この日の会合で、規制委は、全ての沸騰水型と、格納容器の小さい加圧水型・大飯1、2号機に対し、格納容器内の水を外部で冷やして循環させながら原子炉の冷却に使う装置の設置を義務付ける案を提案した。事故時には、まず、この循環冷却装置を使用し、事態が収束しない場合には、フィルター付きベントを使用するとしている。この循環冷却装置は、柏崎刈羽原発6、7号機、東海第2原発が設置を決めている。

◆大飯原発1,2号機は、加圧水型であるが、すでに「新規制基準」審査に合格している3、4号機(加圧水型)に比べると、格納容器の体積が半分余りと小さいので、事故の際、沸騰水型と同様に炉心温度の上昇によって内圧が高まりやすく、格納容器を冷す対策をより厳しく行わなければならない。ただし、さまざまな機器や設備が入った狭い格納容器内での、配管の補修などの安全対策工事は難しい。一方、格納容器を覆う天井の厚さは、3、4号機の20%余りの30 cmほどで、事故の際、外部に放射性物質が漏れないようにするために天井を厚くする工事も必要である。

◆大飯原発1、2号機は、国内では例を見ない「アイスコンデンサー方式」といわれる過酷事故時冷却装置を採用している。格納容器の周りに設けられた1,944本のバスケットに、ブロック状の氷を入れ、事故時に発生する蒸気を急速に冷却し、圧力を下げて、格納容器の破損を防ぐ仕組みである。アイスコンデンサーには、計1,250トンの氷を常備している。格納容器を小さく抑えたため、過酷事故時に格納容器内の温度および圧力が上昇し易い原子炉で、アイスコンデンサーが有効に働かなければ、格納容器破損の恐れがあり、関電が1、2号機の審査を申請すれば、「アイスコンデンサー方式」の有効性が争点になり、規制委が大規模な改修を迫る可能性は高い。なお、大飯原発3、4号機には、格納容器のコンクリート壁内部にPC鋼撚(よ)り線(高強度線;テンドン、ピアノ線とも呼ばれる)を入れて、予め格納容器全体を締め付けておき、事故時に発生する圧力に耐える「プレストレスト・コンクリーㇳ(PC)方式」が採用されている。

原発廃炉の流れ

◆現在までに廃炉が決定されている原発は、美浜1号機(34万キロワット)、美浜2号機(50万キロワット)、伊方1号機(56.6万キロワット)、島根1号機(46万キロワット)、玄海1号機(55.9万キロワット)、敦賀1号機(35.7万キロワット)の6基であり、大飯1、2号機のような100万キロワット超の大型原発の廃炉は、事故を起こした東電福島第一原発を除いて、初めてである。100万キロワットを超える大型老朽原発の廃炉が決定されれば、老朽原発は規模を問わず廃炉となる可能性が高くなり、安倍政権の「2030年までに、ベースロード電源として、原発電力を20~22%とする。」という原発戦略にも影響する。それでも、関電にとっては、経営的に「背に腹は代えられない。」というところであろう。

◆原発比率を20%にするには、30基程度の再稼動が必要であるが、国内の原発45基のうち規制委の「新規制基準」審査に合格しているのは7原発14基で、再稼働した原発は5基のみである。福島第2原発を含む19基は再稼働申請をしていない。福島事故以降に規制基準が強化され(それでも、安全を保証するものではない!)、安全対策費が大幅に膨らんだことで、電力各社は、比較的古い原発の再稼働コストを見極めようとして躊躇しているのが実情である。

◆なお、関電は、高浜原発1~4号機、大飯原発3,4号機、美浜原発3号機の7基を動かすために8,300億円を投じる計画であるが、さらに大飯原発1、2号機を動かせば、額が1兆円以上に膨らむ。関電は、2基を動かして、火力発電の燃料費を減らしても、安全対策費に見合うメリットはないとの判断に傾きつつある。(今になって、安全対策費に多額を投入しなければならない事実は、福島事故以前には、原発が、極めて不安全な状態で運転され続けていたことを実証している。)

膨大な費用がかかるのは、安全対策費だけではない

◆関電が大飯原発1、2号機の廃炉に向かっているのは、事故を防止するための対策費が膨大なると考えたからであるが、原発運転には、重大事故は無くても、膨大な使用済み燃料、放射性廃棄物の処理・処分・保管費がかかる。また、福島原発のような過酷事故が起れば、その対策費は天文学的金額になる。これらを勘案すれば、原発は経済的にも成り立たないことは明らかである。

電力会社が老朽原発再稼働を躊躇する原因は、経費の問題だけではない

◆福島原発事故以降のほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっていて、脱原発、反原発が多数の人々の願いであり、民意であることを示している。規制委や電力会社といえども、この民意を無視することはできず、極めて不十分ながらも、安全性対策を強化しなければならず、それに多額を投じなければならないのである。原発全廃のために、原発事故の回避のために、脱原発、反原発の民意をさらに拡大しよう!

◆福井地裁の樋口判決、大津地裁の山本判決は、脱原発、反原発の民意を代弁し、脱原発、反原発を願う人々に大きな感動と勇気を与えた。一方、電力会社にとっては、運転中であっても運転中止を求めることができる司法の判断、いわゆる「司法リスク」に戦々恐々としなければならない事態となった。この「司法リスク」を避けるためにも、電力会社は安全対策を強化しなければならず、老朽電発の運転を躊躇せざるを得ないのである。「司法リスク」をさらに拡大しよう!

◆電力の地域独占の時代は終わり、家庭向け電力販売自由化で他業種からの参入が進み、激しい競争の中で、大手電力九社からの顧客流出が拡大している。脱原発、反原発の民意が顧客流出を加速している。再稼働すれば、経営が上向くという「経営神話」は、原発の「安全神話」と同様に崩壊している。関電を例にとれば、その発電量のうち、原発電力の割合は、福島事故前は40%程度であったが、福島事故後、企業や家庭で節電が進み、関電の16年度の電力販売量は、10年度の20%減となった。電力販売自由化で顧客流出が続く17年度には、さらに6%減が見込まれている。大飯の2基を廃炉にしても供給には余力がある。(それのみならず、原発は無くても電気は足りることは、経産省の外郭団体まで、公表している。)

脱原発は世界の潮流

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めている。そのため、周辺住民の反対運動、訴訟などが活発化し、また、安全対策などで原発の建設費、維持費、安全対策費、事故保険などが高騰して、原発はビジネスとしての魅力を失っている。さらに、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けている。イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止した。また、韓国でも、40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、 2基の建設を中断した。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいる。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本やフランスである。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げているが、この戦略が破綻していることは、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、明らかである。

老朽原発の廃炉を進めて、原発の新増設への反発を弱めようとする策動を許してはならない。
安倍政権の原発推進政策を断固阻止しよう!

◆安倍政権は、なくても何の支障もないことが福島原発事故以降の経験によって実証され、経済的にも成り立たないため、電力会社まで、撤退しようとしている原発を、強引に動かそうとしている。それは、

①使用済み核燃料や事故による損失を度外視すれば安上がりな原発電力によって、電力会社や大企業を儲けさせるためであり、
②原発の輸出によって、原発産業に暴利を与えるためであり、
③戦争になり、石油や天然ガスの輸入が途絶えたときの基盤電源を原発で確保するためであり、
④また、核兵器の原料プルトニウムを生産するためである。

すなわち、安倍政権下での原発の再稼働は、「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」の一環として行われている。

◆安倍政権の一部には、この政策の実現のために、原発の新設、増設を推進しようとする動きもある。また、老朽原発の廃炉を進めて、原発新増設への反発を弱めようとする狙いも見え隠れする。原発新増設の策動を許してはならない。


ご報告とお礼


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、
大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことはありません!

1、3月ともいわれる大飯原発3、4号機の再稼働を断固阻止し、
原発全廃を勝ち取りましょう!


12.3大飯原発うごかすな!現地集会・町内デモ

日 時:2017年12月3日(日)13時~
場 所:おおい町総合町民センター(町役場横)、集会後町内デモ
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議、若狭の原発を考える会、ふるさとを守る高浜・おおいの会


2017年10月27日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆10月20日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
……………………………………………………………………………

  1. 高浜原発3号機、4号機の再稼動に強く抗議します。再稼働後に出てくる使用済み核燃料は1日あたりどのぐらいありますか。その処理についての計画をお聞かせください。
  2. 北朝鮮のミサイルが脅威を及ぼしていますが、ミサイルに対して運転中の原発は危険極まりないものです。停止させることで幾分安全が確保できると考えますが、このことについての貴社の見解をお聞かせください。
  3. 大飯原発3号機を来年1月に、4号機を3月に再稼動させる計画と報道がありました。免震事務棟は整備中であり、テロや大規模自然災害に備えるという特定重大事故対処施設はできていない状態と発表されていますが、なぜ再稼働できるのですか。
  4. 高浜原発、大飯原発について住民の避難計画を提示してください。行政との連携と聞いていますが、具体的にどのような計画が進められているのか示してください。住民避難のバスは確保できるのですか。避難先はどこですか。老人・障がい者・病人など災害弱者への対応はできるのですか。ヨウ素剤の準備はできていますか。大地震・豪雪・豪雨など重篤な自然災害が伴う場合の対応はできるのですか。
  5. 電力自由化によって、貴社から他社へ切り替えた消費者は、9月30日時点で109万軒に及びます。原発の電気は使いたくないという理由で切り替えた消費者も多数います。原発に依存しない電力会社を望んでいるからです。顧客離れは今後も増加するでしょう。8月に値下げをされた結果をどのように評価しておられますか。

以上
……………………………………………………………………………
話し合いの内容
(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)

A(質問1について)高浜3,4号機の稼働に伴って出てくるのは、運転の仕方によって異なる。処理は六ケ所の稼働による。六ヶ所への搬出がなければ7年程度で満杯になる。大飯・美浜も含め、廃炉を除き9基が稼働しても、六ケ所が順調なら満杯は回避できる。

Q 1日あたりに出てくる量は?
A 数字はない。動いている日があったり動いていない日があったりするので、70%の利用率として計算している。

Q 使用済み核燃料は溜まる一方だ。安全性を危惧している。冷却水が抜けたらどうなるのか。
A 大飯原発について住民向けに説明会をしている。冷やす対策はしている。

Q 六ケ所の見通しはあるのか。
A(手持ちの書類を繰って調べる)

Q 六ケ所の稼働を期待しているということでしょう。
A いつと言うのはないが、今の状況で言うと、技術的課題が解決したことになっている。新規制基準への対応が少し残っている。審査は終わっている。

Q 六ケ所は、うまくいくはずでダメと言うことが続いてきた。後始末が確信できないことを心配している。そういう中での再稼動は不信を感じる。
A(質問2について)住民にもミサイルのことを聞かれた。弾道ミサイルで国が防衛システムを整備している。防衛大臣が破壊措置命令を出してくれる。着弾しても、ポンプなど堅牢な建物の中にあるので、直ちに大きなことは起きると考えていない。電源車、消防車など安全対策をとっている。国に言わせると、規制庁の回答では国が命令し、事業者に無理やり止めさせるが、事業者の判断で止められるとなっている。飛んでくると言ったらすぐ止める。

Q この前に飛んだ時は止めなかったではないか。できるかどうか不安だ。
Q 避難訓練はのどかなもので、地下に避難するとか机にもぐるとかいうことだったが、最も危険な原発は動いていた。すぐ止めるべきではないか。
Q 核施設を持っているということ自覚してもらいたい。上の人に伝えて。
Q 設計した人は、上に落ちたらどうしようもないと言っていた。
Q いまは破壊措置命令を防衛相は常時出している状態だ。危険と判断するべきだ。
A(質問3について)大飯3、4号機については稼動計画というより使用前検査を受けている状況だ。来年の再稼動は、見込みということだ。特定重大事故対処施設は、法律であとから出てきた。工事計画認可から5年の猶予となっている。設備はすぐにはできない。

Q 設備ができてから動かすのが常識ではないか。
Q 神戸製鋼は福島第2原発に搬入されたというが、関電はどうなっているのか。強度が満たないものは使わないでほしい。
A 神戸製鋼のものを使っているか調べてみる。配管が神戸製鋼のものかどうかで審査をしていない。

Q 審査は信用ならない。手抜きの材料が使われているかどうかだ。
A 基準にあった配管かどうかで審査をするので神戸製鋼かどうかということではない。

Q 規制委員会が実際に検査をするのではなく、神戸製鋼が出した書類で審査をしているのではないか。
A 調べてみる。

Q 日産の件はリコールになったが、原発はリコールの対象にできない。神戸製鋼製かどうか調べていないというのも不信だ。
A 私が知らないのかもしれない。他の部署で知っている人がいるのかもしれない。推測だが規制庁から何も言って来ないから大丈夫かと思う。

Q 規制庁は信用できない。ぜひ調べてもらいたい。
A すぐ調べてみる。

Q 大飯1,2号機が廃炉と言う報道があったが、どういう判断で廃炉にするのか。岩根社長が運転延長の申請をしたというわずか1か月後に廃炉となった。40年超のものを動かす方向と言っていたのに大転換だ。8月に値下げをしたが、顧客離れは減っていない。それが深刻なのではないか。
A 大飯1,2号機の運転延長を進めると社長が言ったのは事実だが…。

Q 廃炉は大変なことだ。あれは観測気球的なことか。
A 突然出てきた。社内は大混乱した。日経に出て、朝日、毎日にも出た。社内でどこから出たのかわからない。

Q 動かすつもりなのか。
A 動かす方向で準備している。

Q 電力自由化以降客離れのスピードが落ちていない。原発だから、高いからという両方と思うが、原発をやっているからという理由は大きい。それを見て廃炉にするのかと思った。
A 客離れは深刻だが、それでどうこう(廃炉か否か)ということではない。大飯原発の廃炉のことは関電が発表したものではない。

Q 高浜原発の安全対策にかかる費用は8300億円と聞いたが、大飯はどの位か。
A 1基あたり1000億円以上となる。運転延長申請の時に合算して、採算が取れるという金額で出す。

Q 経営が厳しくなり、経費削減して、労働強化や下請け労働者へのしわ寄せがあるのではないか。手抜きにつながると思うが、対策は。
A 対策をとる。経費をけずってはいない。

Q 経費を削った結果がクレーン事故だったのではないか。ほかにも事故が起きている。運転したときにどうなるか不安だ。安全最優先と言っているのに。
A 安全最優先ではない経営者はいない。安全最優先でやっている。

Q 安全最優先というなら、安全対策設備ができてから動かすのが常識ではないか。
Q お金がかかる火力を切り替えたいということで無理をしなくてはならなくなっているのではないか。結果的に手抜きをしなければならないほど切羽詰まっているのではないか。
A 修繕費もだいぶ削ってはいる。

Q それが大問題だ。大事故につながりかねない。火力の事故は原発よりもまし。原発はどうしようもない。
A 時間がないので、質問4について答えたい。避難計画は国、内閣府が京都府とやることになっている。京都では住民も入って第3回地域協議会が開かれた。第2回のものだが、協議会の内容が京都府のHPに出ている。

Q 関電がむしろ国に避難計画を言っていくべきではないか。
A 内閣府も意見を聞いている。私どもがやる立場にない。

Q 住民は不十分と考えている。京都府も立地県並みと関電は認めるべきだ。国に任せてあるでは済まされない。
A 訓練を一緒にやっている。

Q 福井県境で足止めになる。福島では米兵が急性被ばくに近い形で被曝し、9人死んだという。それに近い状況が起きる。
Q 市民の中でヨウ素剤を配ってほしいという要求がある。冬は交通マヒになる。現地で心配している。他人事ではない。
A 避難計画については内閣府が持ち帰り、道路をつくることを検討している。

Q 道路ができる前に再稼働するのはおかしい。屋内退避と言うが無理だ。危険と分かっているのになぜ再稼動するのか。
A 地域協議会のHPに規制庁、関電関連の資料も出ているので見てもらいたい。もう時間なので。

以上

◆大島堅一先生 講演会「原発の電気は高くつく」その報告

【報告】10/22(日)大島堅一先生 講演会「原発の電気は高くつく」……この講演会にお越しいただきました皆さま,台風が近づく雨の中,たいへんご苦労様でした。参加者は前回8/8よりも多くなりました。内容も質疑応答がひじょうに活発で,多くの疑問や意見が出て,大島先生には一つずつ回答していただけました。パタゴニアの会場が適当な広さで,座り心地の良い椅子が良かったですね(^o^)

◆第17回口頭弁論 原告提出の書証

証拠説明書 甲第369号証[87 KB](第39準備書面関連)
2017年(平成29年)10月27日

  • 甲第369号証[4 MB](=kou369-2.pdf)
    「新規制基準の考え方」検討報告書~原子力規制委員会の欺瞞~(脱原発弁護団全国連絡会)

    【注意】甲第369号証の旧ファイル「kou369.pdf」は、「p.164=ノンブルp.151、脚注203」記載の下記リンクが切れていましたので、削除しています。
    [リンクエラー箇所]203 奥山俊宏「震災4日前の水抜き予定が遅れて燃料救う福島第一原発4号機燃料プール隣の原子炉ウェル」
    http://judiciary.asahi.com/articles/2012030800001.html
    [新ファイル「kou369-2.pdf」では下記のように訂正してあります。ただし文字列はリンクとしては機能していないので、ブラウザにコピペしてご覧ください。]
    https://webronza.asahi.com/judiciary/articles/2712030800001.html

証拠説明書 甲第370~380号証[183 KB](第40準備書面関連)
2017年(平成29年)10月27日

  • 甲第370号証[273 KB]
    南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性について(南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査会)
  • 甲第371号証[5 MB]
    岩波科学2014年9月号『過酷事故のナイトメアシナリオ』(岩波書店・佐藤暁)
  • 甲第372号証[4 MB]
    原子炉事故に人を立ち向かわせるということ(岩波書店・佐藤暁)
  • 甲第373号証[292 KB]
    「実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力に係る審査基準」(原子力規制委員会)
  • 甲第374号証[5 MB]
    被告関電ホームページ(被告関電)
  • 甲第375号証[6 MB]
    「吉田昌郎の遺言―吉田調書に見る福島原発危機―」(一般財団法人日本再建イニシアティブ 民間事故調報告書検証チーム)
  • 甲第376号証[2 MB]
    聴取結果書(被聴取者吉田昌郎)(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局局員 加藤経将)
  • 甲第377号証[2 MB]
    聴取結果書(被聴取者吉田昌郎)(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局局員 加藤経将)
  • 甲第378号証[983 KB]
    聴取結果書(被聴取者吉田昌郎)(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局局員 加藤経将)
  • 甲第379号証[3 MB]
    福島第一原子力発電所の従業員に対するアンケート調査結果(国会事故調)
  • 甲第380号証[8 MB]
    NHKスペシャル『メルトダウン』取材班著『福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」』(第4章の抄)(鈴木章雄、岡本賢一郎、国枝拓)

◆脱原発への“関ヶ原”原発の電気は買わない~月刊むすぶ、槌田劭

槌田 劭(使い捨て時代を考える会)
(ロシナンテ社 月刊むすぶ 559号 2017.8「わたしたちは原発なしでくらせます」)
(2017-10-24)

■■原子力の時代は終末に近付いている■■

◆福島原発事故によって,「安全神話」は崩れた。大熊町の商店街に掲げられていた「原子力 明るい未来の エネルギー」の大看板はいつの間にか消えている。世論の多数は脱原発である。

◆そのような中で,関電は高浜原発の再稼働を強行した。大飯原発だけでなく,40年超の老朽原発も稼働を予定しているという。電力の安定供給のためには,電源構成のべストミックスとして,原発をべース電力と位置付け,今も「安定供給神話」に依拠している。原発ゼロでも電力不足はなく,発電能力に余裕のあることは周知の事実である。それどころか原発は事故のたびに,それも海外の原発重大事故でも停止する不安定さであった。

◆その愚劣に加えて,原発再稼働によって,電気代を値下げするという。原発の電気の「安価神話」にすがりついている。原発3神話は,事実と現実によって破綻しているにもかかわらず,関電は原発維持推進に執心である。高浜原発につづいて,大飯原発,そして40年超の老朽原発も稼働させようというのである。原発路線への執者は「安全第一に」と枕詞が付いているが,安全神話に自信があるわけでもない。原発再稼働以外に出口を見付けられない経営陣の無能力の結果である。原発再稼働に希望があるわけでもないが,政界・財界・学界が原子力マフィアを形成して,その金縛りの輪から抜ける勇気も知恵もないからである。

◆原子力産業の苦境は厳しい。福島事故後,安全性への厳しい社会的圧力を受け,その結果に巨額の出費が強いられている。東芝がこけたのは,アメリカでの子会社WHの原発受注の行き詰まりによるといわれる。原発新規の建設は極めて難しくなっている。原発に未来のないことが明らかになってきたということである。

■■電力自由化と消費者の主体的権利■■

◆このような脱原発の流れに決定的影響があるのが,電力自由化によって消費者が原発の電気を買うことをやめ,非原発新電力ヘ移行することができるようになったことである。消費者である市民が,電力を押し付けられていた状況から,自主的主体的に選択可能な権利を持ったのである。この自由化には新自由主義的な流れに対しての警戒の必要なことは言うまでもない。大独占体制下では,大が小を呑み込んで,理不尽を強制しがちだからである。電力業界は,地域独占が支配し,販売電力量に大きな格差があるだけでなく,技術力だけでなく,送電,配電も大電力が支配している。社会的公正さが担保されなければ何が起きるのだろうか。すでに,政府は原発を守るために,託送料,つまり,送配電のために大電力会社の保有する送電網の利用料を弱小新電力に課そうとしている。発電と送配電の完全分離への社会運動の必要性に注目しておく必要がある。

◆そのような新自由主義の理不尽に対する準備が十分とはいえない現状ではあるが,非原発新電力への契約変更,「原発の電気は買わない」の運動は,脱原発への直接的効果を有する段階に入った。原発のトップランナーである関電の経営状況に直接的に影響し,原発推進路線に打撃を与えることができるからである。

◆反原発・脱原発の運動は,道義的倫理的性格が強かった。私も原発の技術的不安・放射能の危険を科学的技術的に指摘するところから始めたのほ40年前のことになる。しかし,科学技術論争の不毛は聞く耳持たぬ連中相手の虚しさであった。そこで,社会の在り方,その社会での生き方へ重心をシフトさせた。都市で大電力を消費する社会が過疎地に原発を押し付ける理不尽を見つめ,節電への生活変革と,反原発運動をつなぐ道であり,現生世代が消えぬ放射性毒物をツケ回しする理不尽を見つめる倫理性を重視するようになった。原発事故の危険性も重大だが,大量の電気を消費して恥じぬ現状への反省を欠けば利己的であり,自己中ではないのか,ということでもあった。しかし,このような道義的論理的立場は,今も極めて大事なのであるが,原発推進派にとっては,蛙の面に何とか,である。かれらにとっては,「金だけ 今だけ 自分だけ」だからである。道義・倫理だけではすれ違ってしまうのである。

■■電力会社の経営に直結する電気料金■■

◆それに対して,「原発の電気は買わない」という運動は,金銭的に関電の経営を直撃することになるので,関電にとっても無視できない。そのことを直接実感したのは,値上げ問題で,公聴会が行われた一昨年の春のことである。福島事故後に,原発が停止となって,関電は大赤字に転落したが,その対応として,4年前に大幅値上げを行った。それでも赤字は解消せず,再度の大幅値上げを試みたのが,一昨年のことである。私は,原発依存の企業体質をそのままに,値上げは理不尽だという趣旨で公述人として応募した。そのとき,関電の経営事情を調べて驚いた。

◆放漫経営そのものなのである。原発が電気を生産していても,していなくても,原発発電費として約3000億円を固定的に支出している! 日本原電からは電気を全く購入していないのに,毎年300億円を電気代として支払っている! 他にも原発関連の無駄な出費がある上に,事故対応の準備や廃炉廃燃料の後始末への準備積立は軽視されている。こんな経営状態のままで値上げを認めろというのだろうか。その公聴会の内 容は厳しく,全公述人が反対。出席の八木社長以下,関電側の説明の窮する場面が続出,主催の経産省を困惑させた。そして,その結果は申請値上げを減額した上,反対世論の緩和のため,異例のことだが,二段階の分割値上げの経産省認可となった。関電の電気代は,この結果,極めて高いものとなり,理不尽な消費者負担を強いることになった。福島事故後の関電の決算を見てみると,福島事故の衝撃の大きさが分かる(第1表)。福島事故(2011・3・11)までの大黒字2251億円が,翌12年3月決算では,2766億円の大赤字に転落し,2013年の電気料金値上げも2013年度,2014年度の赤字を防げなかった。前述2015年度の値上げによって,やっと黒字回復に成功ということになるが,その結果,高い電気代が後述する価格による自由化競争で厳しい打撃となる。問題は原発路線維持に伴う過大な重荷にあるからである。2016年3月(2015年度)決算と2017年3月(2016年度)決算を比較すると,売上高(営業収益)を大きく落とし(2539億円減),営業利益も441億円減少している。黒字になったのは,燃料輸入価格の下落や円高により,火力の燃料費が1850億円も少なくて済んだからなのである。そのような好条件がなければ,赤字となる綱渡り状態であった。実態は黒字というよりも赤字なのである。

◆関電の経営の構造的危機は,原発維持推進路線にある。原発を維持するだけで巨額の固定支出が,重い足カセとなっているからである。原発再稼働が脱原発への世論の抵抗で思うように進まぬ現実は関電の経営にとって,深刻な危機である。

<img class=”alignnone wp-image-666 size-large” src=”https://syomeiweb.files.wordpress.com/2017/10/hyo-1-2.jpg?w=604″ alt=”” width=”604″ height=”375″>

■■関電の顧客離れを脱原発の声で■■

◆電力自由化によって,顧客争奪競争も激しくなっている。それでなくても,省エネと節電で電力需要そのものが減少している。縮小するマーケットで割高の電気が売れないのは当然であり,関電の販売電力量は激減である。

◆関電の販売電力量のピークは福島原発事故(2011・3・11)直前の2010年度の1511億kW時であったが,6年後の2016年度には,1215億kW時まで落ち込んでしまった。実に20%減である(第2表)。電力業界における地位も第2位から,第3位に転落(中部電力の2016年度は1218億kW時)と,苦境を象徴している。

◆この苦境を顧客離れが増大している。昨年3月の電力自由化以降の推移は著しい(第1図)。7月末現在で,96.7万件の新電力への契約変更が見られる。8月末には100万件を超えることになるだろう。関電管内の1250万世帯の実に8%である。この流れが続けば,10%を超えるときも年内のことだろうか。販売力が10%も下落すれば,一般的に言って,企業経営は危機どころではない。

◆この顧客離れは,料金の高さにあることはもちろんであるが,それだけが原因かどうか。脱原発の世論と思うのは我田引水なのだろうか。高浜原発再稼働の動きの強まった2月以降,契約変更のスピードが増している。昨年中は月平均4.2万件であったものが,2月以降は6.6万件と増えている。

<img class=”alignnone wp-image-667 ” src=”https://syomeiweb.files.wordpress.com/2017/10/zu-1.jpg?w=604″ alt=”” width=”500″ height=”669″>
<small>【注(1)】2017年に入って,顧客離れが加速しているのは,高浜原発再稼働の影響か。
【注(2)】2017年7月末…96.7万件,8月末…102.8万件,9月末…108.9万件←8月の関電の値下げの効果はない。年内に関電管内の1250万世帯の10%に達する可能性がある。</small>

◆ちなみに,私たち(使い捨て時代を考える会)は関電京都支店前で,福島事故の翌月から,毎月11日に,福島事故を忘れぬための街頭宣伝行動を6年余り続けている。そしてほぼ毎月,脱原発のために関電京都支店と交渉を重ねている。その中で,高浜の再稼働はしないように強く要望するとともに,「もし再稼働するなら,そのときに契約を新電力に移す」意志のある者の署名を背景に要望書を昨年10月4日に関電京都支店に提出した。この動きに賛同する動きは,京都の脱原発運動の輪の中に広がっていった。そして,大阪高裁が高浜原発の再稼働を認め,大津地裁の停止仮処分破棄を決定した3月28日以降,私たちの仲間の中でも契約変更が強まった。電気代が安くなろうが,高くなろうが,原発の電気は嫌だというわけである。関電社長宛の署名運動「原子力発電は止めて下さい。原発でつくった電気は,使いたくありません」を京都の動きから,全関西に拡大しつつある。「原発の電気はいらない署名@関西」として,さらに広げていきたい。この動きは原発推進の経営方針を直撃する内容を持つだけに,実質的に脱原発への圧力となるに違いない。

■■経営危機と,原発事故の危険■■

◆関電は,顧客離れにうろたえ始めている。料金値下げを夏明けには実行するだろうが,3~4%の小幅の値下げでは顧客の引き留めも難しい。大阪ガスとの価格競争は体力の落ちた関電にとって厳しい上に,その値下げも売り上げ減にも直結するから,進退窮まっていくに違いない。進退窮まったとき,原発維持依存の経営方針の転換にも目を向けることになるだろう。

◆経営状態の現実が厳しくなれば,徹底した経営の効率化,経費削減・合理化への内圧が高まるものである。従来,総括原価方式によって,下請けや関連企業に甘い支払いが可能であった上,過大経費を必要経費と認める経産省の原発推進政策で過大利益となる料金体系であった。この馴れ合いは,消費者に高料金を押し付け,還流する暴利は原子力マフィアの養育費用となって政官財,そしてマスコミと学界を堕落させてきた。自由化によって,その余裕もなくなった。原発推進の大電力,とりわけ,そのトップランナーの関電が直面しているのは,厳しい試練どころではない。

◆厳しい試練に直面して,関電の社内にも波紋が静かに広がっている。経費削減の深掘りは,手抜き作業と労働強化に結び付き,原発重視の経営路線への不満を呼ぶに違いないからである。現在のところは,強烈な原発推進だから,不満の声は表面化していないが,仄聞するところでは空気の変化はきざし始めているという。しかし,楽観はできない。肥大している原子力ムラ,いや,マフィアに支配される安倍政治が崩れぬ限り,路線転換は容易ではない。前の太平洋戦争でも,敗色明白となっても,敗戦を受け入れぬ勢力は「本土決戦・一億総玉砕」に局面の打開を求めようとした。

◆原発推進の流れも最終局面に入ったが,推進派も真剣である。高浜3・4,大飯3・4だけでなく,40年超の老朽原発の再稼働も準備している。関電が強気だからではない。経営的に出口はそれしかなく,追い詰められているからである。燃料代のかかる火力発電を稼働コストの少ない原発に置き換えることで,当面の出費を減らしたいのだが,その限界費用差を大きく6円/kW時と見込んだとしても,大飯3・4号の稼働で年間200億kW時の発電では,原発の固定支出3000億円の現実は重過ぎる。“金だけ,今だけ”の無責任経営で,大飯3・4号を稼働させただけでは全く不足である。40年超の原発を稼働させることに,局面の打開を求める以外にないのだろうが,極めて危険なことである。

◆危険といえば,具体的に現実化している。高浜原発で工事用クレーンが強風で倒伏した。再稼働申請業務の課長が過労死した。これらのことは,経費削減と労働強化の故であり,氷山の一角である。手抜きや不注意が大事故の前提であることを思えば,再稼働に前のめりな原発は危険そのものである。

■■“原発の電気は買わない”■■

◆蛙の面に何とか,であってもなお,脱原発へ向けて,放射能と事故の危険,未来世代への負の遺産,その道理と倫理の声をさらに高めねばならない。多年に渡る私たちの運動がボディブローのように原発推進路線の体力を奪ってきたのであり,その結果が現在の“脱原発の関ヶ原”を用意したのである。“金だけ 今だけ 自分だけ”の経営路線に,“お金の苦労”を強いることが今,現実の課題となっている。毎週金曜日のタ刻5時から7時,京都駅前の関電京都支店前に,毎週100人ほどの人々が集まり,脱原発のスタンディング・オペレーションが続けられている。マイクは再稼働の中止を要求し,「原発の電気は買わない」と呼びかけている。

◆東京電力の電気は首都圏の消費向けであった。その電気を使っていなかった福島の方々が被災によって,今も苦しんでいる。電力購入の選択が自由化された今,なお原発の電気を買い続けるのか,都市の消費者はその責任を問われている。
(つちだ・たかし)

◆原発のない町づくりを進めよう。

【2017年10月13日,京都キンカンで配付。】

大飯原発、玄海原発、伊方原発、柏崎刈羽原発の再稼働を許さず、
原発のない町づくりを進めよう

反原発・脱原発が民意です

◆原発重大事故の悲惨さは、福島原発事故が、大きな犠牲の上に教えるところです。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても不都合がないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は見出だせません。反原発は社会通念=民意 となっています。各種報道機関の世論調査でも、原発反対が賛成のほぼ2倍です。原発立地・若狭、伊予にも、脱原発、反原発の声は多数あります。新潟県民は、原発再稼働に慎重な知事を選んでいます。

世界も脱原発に向かっています

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めています。また、安全対策などで原発の建設費、維持費が高騰したこと、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けています。イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止しました。また、韓国でも、40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、 2基の建設を中断しました。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいます。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本やフランスです。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げていますが、この戦略が破綻していることは、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、明らかです。

重大事故が起る前に、
原発にたよらない町づくりを始めましょう

◆上記のように、国内でも、世界でも、脱原発は大きなうねりです。したがって、近い将来に、原発のない社会がやってきます。それなら、重大事故の起こる前に原発を全廃するのが賢明です。一日も早く、原発にたよらない町づくりを進め、現在および未来の人びとにとって、不安のない、希望あふれる社会を実現しましょう!

◆以下に、山崎隆敏著『福井の原発これまでとこれから』(サヨナラ原発福井ネットワーク)、山崎隆敏著『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか -県民的対話のための提言』(白馬社)、脱原発を考える四万十・耕地会議『フクシマそしてクボカワ』(高知新聞総合印刷)などを参照・引用して、原発が如何に地域振興を阻害するかを考察します。

原発は地域を豊かにするか?

◆次の表 1に、原発立地自治体(茨城県東海村)と原発のない自治体(三重県菰野町;こものちょう;隣は四日市市)の財政、福祉予算、教育予算が比較してある。両自治体の人口はほほ同様である。

●表 1 東海村と菰野町の財政、福祉、教育予算の比較

◆東海村には、原発、原子力機構、原子力企業に加えて、火力発電所や企業も多い。そのため、同村の自主財源は潤沢で地方交付税不交付団体であり、一般会計予算も、菰野町に比べて、原子力関係収入分だけ多い。それでも、菰野町より、健康保険、介護保険関係予算は少なく、手厚い教育になっているとは言えない。

◆なお、東海村は例外的に人口が増えている。他の原発立地自治体は、栄えているとは言えない。それまで地域を支えてきた産業は、ほとんど消えている。

◆次の表 2に、原発立地自治体と非立地自治体の製造品出荷額および人口が、原発建設以降どう推移したかを示してある。

●表 2 1965年→2001年の製造品出荷額の増加率と人口推移(出荷額の単位;億円)

【注】大飯町と名田庄町は2006年に合併しておおい町に、
三方町と上中町は2005年に合併して若狭町になった。

赤字*で示した原発立地自治体では、製造業の1965年から2001年の36年間での伸び率が、明らかに低い。人口の推移と原発の相関は顕著でない。

◆次の表 3に、原発が立地する嶺南(福井県のうち、若狭湾の沿岸で、敦賀市より南西の地域:江戸時代の小浜藩にほぼ街頭)と原発のない嶺北(福井県のうち、南越前町より北東の地域)の製造品出荷額および人口が、原発建設以降どう推移したかを示してある。

●表 3 1966年→2012年の製造品出荷額と人口の推移:嶺南と嶺北の比較(出荷額の単位;万円)

◆原発が立地する嶺南では、製造業の1966年から2012年の46年間での伸び率が低いことが「嶺南/嶺北の比」、「一人当たりの額」の変化から明らかである。人口の推移と原発の相関は顕著でない。

◆次の表 4に、原発が立地する嶺南と原発のない嶺北の観光客入込数(訪れた観光客の数)が原発建設以降どう推移したかを示してある。

●表 4 1968年→2002年の観光客入込数の推移:嶺南と嶺北の比較

◆美しいリアス式海岸や名所旧跡の多い嶺南は、本来は、漁業や観光で十分生活できる地域である。その嶺南への観光客入込数の伸び率が低いことが「嶺南/嶺北の比」の変化から明らかである。原発依存に偏重して、地場産業の育成や観光資源の活用がおろそかにされたのではなかろうか。

◆次の表 5に、福井県の財政を福井県と同程度の人口を有する徳島県の財政と比較してある。

●表 5 福井県と徳島県との財政比較(単位:億円)

【注】県税収入の( )内は電力会社からの法人県民税、法人事業税、核燃料税の合計。国庫支出金の( )内は電電源3法交付金。

◆徳島県には、( )内に示した原子力関連収入がないが、地方交付税交付金でその分を補てんできることがうかがえる。

若者、ファミリー世代の農山漁村への移住希望が増え、
30代女性の多くが「農山漁村での子育て」を志向している。
しかし、原発立地は選ばれない。

[明治大学農学部・小田切徳美教授の講演「田園回帰が創る地域の未来」報告(米田怜央氏)から引用]

●表 6 国民の農山漁村地域に対する意識(内閣府世論調査)(単位:%)

●都市からの移住者は5年間で4倍に

  • 20~30歳代を中心に農山漁村への定住希望者(とくに女性)の割合が上昇し、多くが農山漁村が子育てに適していると考えている。
  • 農山漁村では「ナリワイ」の多業化が進み、物を育て(第1次産業)、加工し(第2次産業)、販売する(第3次産業)いわゆる第6次産業を志向する移住者が多い。
  • I ターン(都市出身者の農山漁村への移住)がUターン(故郷である農山漁村への帰還)を刺激している。
  • 「地域づくり(磨き)」と「田園回帰」の好循環による地域づくりが求められている。
  • 食糧消費額74兆円と国内食用農水産物生産額9兆円の差65兆円が、第6次産業の経済規模となり得る。現在、自給率は12%であるが、これを増やすことが、新しい社会と生き方を作る。

以上のように、農山漁村が注目されているが、原発立地を選択するはずがない。原発を全廃すれば、安心して、移住できる町づくりを進めることが可能になる。事故が起ってからでは遅すぎる。一日も早く原発を全廃しよう。


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

集会後御堂筋デモ。ご結集をお願いします。

日 時:2017年10月15日(日)13時~14時45分
場 所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会


2017年10月13日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆柏崎原発再稼働を許すな

【2017年10月6日,京都キンカンで配付。】

柏崎原発再稼働を許すな!

東電に原発を動かす能力はなく、
規制委に再稼働を云々(うんぬん)する資格はない。

◆原子力規制委員会(規制委)は、10月4日、東電柏崎刈羽原発6、7号機の審査で、重大事故対策が新規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承した。事実上の再稼働審査合格で、東電の原発としても、福島事故炉と同型の沸騰水型原発としても初めての再稼動承認である。今後、1カ月のパブコメを経て、年内に正式決定の見通しという。

◆政府、規制委、電力会社は、これを皮切りに、次々に沸騰水型原発を再稼働させようとしている。

ころころ変わり、結局は「再稼働ありき」の規制委判断。

◆規制委の田中委員長は今年7月、小早川智明社長ら東電の新経営陣を呼び、「福島原発の廃炉をやりきる覚悟と実績を示さなければ原発を運転する資格がない」とし、福島第一原発の汚染水対策などを主体的に取り組むよう求め、東電の社会的・道義的責任を問う姿勢を示した。ところが、田中委員長は、8月に東電が社長名で「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」、「福島原発の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立させる」という内容の文書を規制委に提出するや、これをあっさり受け入れ、「決意表明」の文書だけで、東電は原発運転に適格とした。この文書には、東電の決意は書かれていたが、具体的な汚染水対策、廃炉作業の説明はなかった。

◆規制委の更田豊志新委員長は、9月22日の就任会見で、「福島に対する思いを持ち続け、最善をつくす」とは述べたが、東電の「決意表明」をどのような尺度で受け止め、どう評価するのかの説明はなかった。

◆一方、9月26日、東電福島第一原発1,2号機の廃炉工程が3年遅れることが明らかになり、9月28日、福島第一原発1~4号機周辺の地下水くみ上げ井戸の水位計設定のミスによって、4月から高濃度汚染水が外部に漏えいしていた可能性が大きいことが明らかになり、東電もそれを認めた。それでも、更田委員長は「技術的に再稼働の能力があるか否かだけで判断した」と釈明し、適格性議論を抜きに、「新規制基準」適合と判断した。再稼働ありきの規制委の姿勢は許されるものではない。

◆なお、東電は、福島事故に伴う損害賠償や・汚染水処理、除染などの費用を自力で工面できていない。そのような東電に巨大なリスクを抱える原発を新たに動かす資格などない。想定の2倍の21兆5千憶円に膨れ上がった福島事故処理費は税金や電気料金で賄われるが、再稼働によって事故が起きれば、さらに過酷な国民負担を強いられることは明らかである。

柏崎刈羽原発6、7号機は、新潟中越沖地震で破損し、
何度も放射能漏れを起こした原発で、活断層の真上に建設されている。

◆2007年7月16日に新潟中越沖地震が発生した。この地震の強さ(加速度)は、2,058ガルで、東電が想定していた834ガル(設計値)を大きく超えた。そのため不均等地盤沈下が起こり、3号機の変圧器では火災が発生した。消火は困難を極め、鎮火まで2時間を要した。一方、6号機では制御棒2本が引き抜けなくなり、緊急時の手順を適用して、同年11月27日にやっと引き抜けた。7号機の排気塔からは、7月18日夜までの間、放射性ヨウ素の放出が検出された。操作ミスよって、タービンの軸を封じる箇所から、復水器内の放射性物質が排気塔に流れでたためと報告された。

◆この他、次のトラブルも報告されている。
10月17日、炉内点検中の7号機で、制御棒1本が引き出せないことが判明した。

10月21日、点検中の7号機の原子炉建屋2階で、コンクリート壁にひびが入り、放射能を含んだ水が漏れだしているのを作業員が発見した。水は、巾約1ミリ、長さ約3.5メートルのヒビからもれていて、検査の結果、250ベクレルの放射能が検出された。

2009年5月、7号機で、緊急時に炉内に冷却水を送る冷却系などに不具合が生じる事故が起きた。

◆このように危険な柏崎刈羽原発の再稼働は、「胴体着陸した飛行機を再度飛行させるようなものだ」と言える。

◆なお、活断層の専門家・渡辺満久氏は、2007年9月、地球観測衛星「だいち」のデータを分析して、「柏崎刈羽原発は、活褶曲(しゅうきょく)という地形の下に潜む断層の真上にあるようだ」と発表している。

地元自治体は、「柏崎刈羽原発再稼働の必要性はない」と批判。

◆米山隆一新潟県知事は、今年4月、医師団体の会合に招かれ、「(原発は〉地域経済の貢献が大きいという話もあるが、なくてはならないものではない」、「東電が目指す6、7号機の再稼働を中止した場合に失われる利益は、農業や製造業の活性化で補完したい」と述べた。また、九電川内原発の再稼働を容認した三反園鹿児島県知事が「原発を止める権限はない」と話した点について、「『権限がない』と知事がいうのは困る。法的にも、知事には住民の安全を守る義務があり、東電と新潟県を結ぶ協定を根拠に、運転停止を求めることが出来る」と説明した。さらに、「もう1回事故が起きれば、人も、お金も対処できなくなり、日本が終わるというのを肝に銘じるべきだ」と原発の再稼働を批判した。

◆9月6日、規制委による柏崎刈羽6、7号機の「新規制基準審査」は適合の目途となった。これに対し、米山隆一知事は、新潟県独自で行っている福島第一原発事故の検証作業が終わるまでは、再稼働の議論に応じない方針を示した。また、地元の東電不信も根強く、米山知事は、「こちらとして(再稼働を)認めると言うつもりはない」と断言した。

◆一方、篠田 昭 新潟市長は9月7日の記者会見で、「東電には世界最大級の原発を再稼働して欲しくない。無理筋だ」と述べ、「福島第一原発事故を起こした東電は、原子力事業者としての適格性に欠ける」との考えを強調した。さらに、篠田市長は、2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発で起きた火災が鎮火するまでに長時間を要したことを挙げ、「日本海側に人が来なくなるような大変な風評被害を受けた」と指摘した。「規制委は、『安全』の面で判断されると思うが、県民と市民は安心感を持てない」とし、規制委は、県民や市民の立場には立っていないと批判し、再稼働に反対するとともに柏崎刈羽原発を廃炉にすべきとの考えを改めて示した。

政府、規制委は次々に沸騰水型原発を再稼働させようとしている。

◆柏崎刈羽6、7号機の再稼働を許せば、運転を休止中の他の沸騰水型原子炉の再稼働を認めてしまうことになりかねない。

◆更田規制委員長は、柏崎刈羽原発に導入する「新冷却装置」を全ての沸騰水型原発に義務付け、「新冷却装置」導入を条件に、女川原発(東北電力)、浜岡原発(中部電力)、志賀原発(北陸電力)、島根原発(中国電力)など、沸騰水型原発を目白押しに「新規制基準」適合とすることを目論んでいる。「福島に対する思い…」と述べた更田委員長の本心が見えてくる。なお、「新冷却装置」は、重大事故によって格納容器内の圧力が高まったとき、格納容器が破裂するのを防ぐための循環冷却システムであり、規制委は、フィルター付きベントに代って、第一の選択肢と位置付けている。単なる目新しさで国民を騙すもので、これによって、重大事故が防げるものではない。

◆福島原発事故から6年半経った今でも、汚染水は垂れ流され、廃炉作業は延期の連続で、何一つ解決していない現状で、危険極まりない原発の再稼働を行なおうとする国、東電、規制委を許してはならない。

(以上、若狭の原発を考える会・木戸惠子)

「新規制基準」は「安全基準」ではない!

◆前規制委員長までもが「“新規制基準”は安全を保証するものではない」と明言している。それでも、規制委、政府、電力会社は、“新規制基準”適合を原発再稼働認可と同等に扱っている。また、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と主張し、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」とする電力会社は、“新規制基準”を「安全基準」と宣伝している。「新しい安全神話」を作ろうとするものであり、電力会社や原発産業の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものである。「新規制基準」や規制委の審査は、極めて非科学的であり、欺瞞である。

1.新基準では「過酷事故も起きうる」ことを前提とした安全対策(?)を導入したという。

◆福島原発事故以前には、過酷事故を考えていなかった。また、炉心損傷に至らないとした設計基準を採用していた。「新規制基準」では、それを改めたという。新規制基準では、例えば、フィルター付きベント(排気)装置の設置、移動式の電源車、全電源喪失でも炉を冷やせる注水車の装備を義務付けた。これらの過酷事故対策は、すでに国際原子力機関(IAEA)が各国に求めていたが、日本の「原子力ムラ」は、日本の原発は完全な安全対策がとられており、過酷事故は起こり得ないとして、福島事故まで動かなかった。その同じ「原子力ムラ」が、福島大惨事の責任も取らずに、福島事故後には「新規制基準」を作り、「今度こそ安全だ」と言っているのである。「新規制基準」は、やっと世界基準に近付いただけである。

2. 福島原発の事故原因を深く追及していない「新規制基準」は、科学とは縁遠い。

◆事故から6年半経った今でも、事故炉内部の詳細は分っていない。それでも、政府は、事故から2年半もたたず、事故原因の議論も全く不十分な2013年7月、事故の教訓や知見を反映するものとして、「新規制基準」を施行した。

◆事故原因について、東電や政府は、事故直後に発表した「津波による全電源喪失」に固執している。事故原因は、冷却水配管の地震による破断など、この他にも種々考えられる。また、人災と考えられる部分も多い。事故原因が異なれば、対策も当然異なる。「新規制基準」では、そのことがほとんど勘案されていない。

◆なお、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものである。「新規制基準」や規制委の審査は、この過程を全く無視しており、科学とは縁遠い。

3.安全に不可欠でも、実現不能なことは要求しない「新規制基準」。

例1:かつて、原発立地について、[a] 重大な事故の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないこと、 [b] 重大事故を超えるような、技術的見地からは起こるとは考えられない事故の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを定める立地審査指針があったが、福島事故の被害はこの指針の定める枠を越え、この指針の下での原発稼働は不可能になったため、「新規制基準」では、この指針を廃止した。

例2:コアキャチャーや航空機落下に備えた二重ドームの設置は不要としている(設置に多額の費用と長時間を要するから)。

4.都合の良いデータのみ採用して適合とする規制委審査

◆例えば、炉心溶融時の水素の発生量について、出力規模、ループ数、格納容器型式などが同一である川内1、2号機と高浜3,4号機の審査を同じ基準で評価をすれば、高浜3,4号機では、水素濃度が爆轟(爆発)発生濃度を明らかに超えることが分かったため、高浜原発の審査書では、水素発生量の不確かさの度合いを、意図的に小さくして、基準をクリヤーしている。

5.杜撰(ずさん)かつ非科学的な事故対策でも容認する規制委審査

◆例えば、原発重大事故の対策として、空気中へ飛散した放射性物質は放水設備で打ち落とし、また、海への放射性物質流出は、吸着剤と吸着性シルト(沈泥)フェンスで食い止めるという。放水で放射性物質の拡散が防げるのはほんの一部であり、放水された水は結局汚染水になる。吸着剤とシルトフェンスだけで放射性物質を除去できるのなら、福島での放射性物質流出防止に適用すべきである。規制委の審査では、こういう子供だましの対策でも可と評価している。

6.杜撰、手抜きかつ虚偽の規制委審査

例1:「新規制基準」への適合評価は事業者(電力会社)任せ。

例2:地震による配管破断はほとんど考慮せず、対策を講じないなど、重大事故対策のシナリオ策定は事業者任せである。

例3:原発立地の表層数km以内の活断層の有無が、再稼働の大きな判断基準とされている。しかし、これまでの大地震のほとんどは、探査不能な地中数10 km の震源、いわゆる「未知の深層活断層」に起因している。表層に活断層が無くても、原発は地震で破壊される可能性がある。規制委は、都合の良いデータだけで審査しているとしか考えられない。

例4:想定した原発事故に関する解析のほとんどは、コンピュータによる計算結果に基づいていて、実験的検証は少ない。コンピュータ解析は、プログラムと入力データの質に強く依存するが、現代科学は実証された完全な条件やデータを持合わせていない。したがって、解析者の原発を動かそうとする恣意(しい)が大きく結果に反映される。

7.住民避難計画は審査の対象外であるが、それでも規制委の審査結果が再稼働を左右する。

◆原発事故時の避難計画について、規制委は立地自治体や周辺自治体に丸投げしている。一方、自治体は、どこかでできたパターンに沿って避難計画を作成している。そのため、避難計画では当該自治体の地理的、人的特殊性はほとんど斟酌(しんしゃく)されていない。また、事業者(電力会社)はその作成に責任を負っていない。しかも、自治体の作成した避難計画たるや、数日のピクニックにでも出かけるような計画であり、過酷事故では、永久に故郷を失うという危機感がない。また、避難地域は100 km 圏を超える広域におよぶという認識がない。さらに、避難指示解除に関して、住民の意向を聴かないし、避難指示が解除されても(放射線量20ミリシーベルト/年で解除)、帰還先は高放射線量で、必要な生活基盤も整っていないこと、帰還後一定期間の後には賠償金や支援が打ち切られること、種々の事情で避難継続を選択すれば、賠償や支援はないこと、などの非人道性も念頭にない。原発事故に関しては、「地方自治体住民の福祉の増進を図ることを基準とする」という地方自治法の精神は全く生かされていない。

◆原発の再稼働は、住民の生命・財産に大きく関わるので、それを判断する地方自治体には、原子力利用推進政策から独立した姿勢が要求される。また、原発の被害は、極めて広域におよぶので、原発立地自治体だけでなく、周辺自治体の住民の声を十分聴かなければならない。

8.とんでもないパブリックコメント(パブコメ)のとり方

◆規制委の審査結果に対するパブコメは、わずか1ヶ月間、「科学的・技術的」部分に限って募集されている。しかし、国民のほとんどは、原子力分野の専門家ではない。専門家でも、原子力のような広範囲の知識を要する分野へのコメントを1ヶ月で出すことは至難である。また、ある意見が「虚偽である」ことを実証するには大変な労力を要する。規制委は、プロでない国民が、片手間でできる筈がないことを見越して、非科学的審査書を作り、パブコメを求めている。さらに、国民の生命と財産に関わる原発再稼働に関しては、その是非や、防災・避難計画も含めて、国民的議論を展開すべきであるが、パブコメでは、その意見は受け入れていない。

原発は無くても電気は足りている。

人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことは無い! 今すぐ、全ての原発を廃炉にしよう!


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

集会後御堂筋デモ。ご結集をお願いします。

・日時;2017年10月15日(日)13時~14時45分
・場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
・主催:大飯原発うごかすな!実行委員会


2017年10月6日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆[声明]おおい町長の大飯原発再稼働容認を糾弾し、抗議する

【2017年9月29日,京都キンカンで配付。】

声 明

おおい町長の大飯原発再稼働容認を糾弾し、抗議する

◆原発が極めて危険な装置であり、原発重大事故が悲惨極まりない被害をもたらすことは、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故が教えるところです。したがって、最近のほとんどの世論調査でも、脱原発の声は原発推進の声の2倍以上です。今、脱原発は圧倒的な民意です。若狭にも、高浜町音海地区の例のように、脱原発・反原発の声は多数あります。

◆一方、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、原発は、事故対策費や使用済み核燃料の処理・処分費を考えれば、経済的にも成り立たないことは明らかです。そのため、国際的にも、イタリア、ドイツに続いて、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発を決意し、スイスが原発新設禁止を国民投票で決定しました。アメリカも原発縮小に向かっています。

◆それでも、おおい町議会「原子力発電対策特別委員会」は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を、関電と政府の言い分通りに“世界一厳しい安全基準”と見做し、これに適合した大飯原発3,4号機は安全として、去る9月8日、再稼動に同意しました。この特別委員会では、全ての委員が「再稼働ありき」で用意してきた意見を述べ(ほとんどが読み上げ)、討論は全くなく、その関電や政府への翼賛ぶりには唖然とさせられました。経済的利益のみを考え、町民の安全安心など頭の片隅にもない町議のみで構成される議会を持つ町民は、不幸としか言いようがありません。

◆他方、中塚 實 おおい町長は、再稼働ありきの立場に立ち、9月19日に大飯原発視察、21日に世耕経産大臣と面会という、手続き的行動を行い、本日9月25日に「再稼働について理解するとの判断に至った」と再稼動容認の態度を表明しました。クレーン倒壊事故に代表されるトラブル続きの関電に原発の安全を託せるとは考えられず、使用済み核燃料や放射性廃棄物の貯蔵地、保管法を政府や関電が確約、明言したわけでもありません。

◆ところで、若狭の原発で福島級の重大事故が起これば、若狭や京都、滋賀の北都はもとより、京都府、滋賀県の全域、関西のかなりの部分が放射性物質にまみれる可能性があります。この地域の500万人を超える住民が避難対象になりかねません。避難は不可能です。おおい町長や町議会は、おおい町民の安全安心に関する責任を負っていることは、当然ですが、こと原発事故に関しては、極めて広域かつ多数の周辺地域住民についてもその安心、安全を考える義務があります。大飯原発が重大事故を起こして、周辺自治体住民に被害が出たとき、おおい町は、どう責任をとるかを具体的に明らかにすべきです。

◆一方、福島原発事故以降の経験は、原発が無くても電気は足りることを教えています。さらに、経産大臣の認可機関である「電力広域的運営推進機関」までもが、原発は無くても、現在も10年後も、電気は十分 足りること、すなわち15%以上の余裕があることを認めています。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要はないのです。あなた方が原発再稼働を容認するのは、人の尊厳、生存の権利を犠牲にしても、経済的利益を優先させようと考えているからです。金儲けのために原発を動かすことは、倫理に反します。私たちは、事故の不安なく、安心して生活できる社会を求めます。

◆原発は、事故の確率の高い、人類の手に負えない装直です。二度と福島のような事故を起こさないために、全ての原発の早期廃戸を、立地自治体が率先して求めるべきです。

◆私たちは、原発の危険性を再三にわたって指摘してきました。おおい町長や町議会が、この指摘を無視して、原発運転を容認して事故が起ったら、それはおおい町長や町議会議員の故意による犯罪です。許されるものではありません。

以上のような理由により、大飯原発3,4号機再稼働容認を糾弾し、同容認を表明した中塚 實 おおい町長に抗議します。

2017年9月25日


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして
大きな犠牲を払うこと、事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
1、3月ともいわれる大飯原発3、4号機の再稼働を断固阻止し
原発全廃を勝ち取ろう!


10.l5大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

日時;2017年10 月15 日(日) 13時~14時45分
場所;関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
<集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。デモ出発:15時30分、デモ出発地:靭(うつぼ)公園(デモは難波まで)。


2017年9月29日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆9/8 おおい町議会報告 ◆9/21 MOX燃料搬入に抗議

【2017年9月22日,京都キンカンで配付。】

報 告

9月に入って以下2つの現地行動が行われましたので、その様子を報告します。

① おおい町議会「原子力発電対策特別委員会」(9月8日)にあたっての要請・抗議行動と同会の傍聴

② MOX燃料の高浜原発への搬入に当たっての抗議行動と関電への申入れ(9月21日)


9月8日おおい町議会「原子力発電対策特別委員会」

◆9月8日13時30分より、標記の特別委員会が、大飯原発再稼働への賛否を審議するために開催された。町長はこの審議結果を再稼働容認の拠り所にしてようとしている。

◆同日正午に、関西各府県および福井県内からおおい町役場前に結集した42人は、役場前で「再稼働を許すな!」の要請行動を行い、特別委員会が再稼働容認を決定した後には、この暴挙に断固として抗議した。

◆また、参加者の一部は、特別委員会の傍聴も行った。以下の「傍聴記」で述べられているように、委員会では全ての委員が「再稼働ありき」で用意してきた意見を述べ(ほとんどが読み上げ)、討論は全くなく、その翼賛会議ぶりには唖然とさせられた。町民の安全安心など頭の片隅にもない町議のみで構成される議会を持つ町民は、不幸としか言いようがない。

おおい町議会原子力発電対策特別委員会 傍聴記

大津市 澤田たか子

2017.9.8  13:30~  於:全員協議会室
◆協議事項:大飯発電所3,4号機再稼働に関する意見集約について
◆傍聴番号10番の私は、後で地元の方が来られ、立傍聴を認められた。できるだけ、発言しておられる委員の表情を知りたいと思って臨んだため、正確にメモを取れたわけではないので、ご容赦願いたい。

1.各委員、個人の考えを表明 (順不同)

◆委員①…5.24、大飯原発3、4号機が新規制基準を満たし、科学的見地を示された。8.31、視察をし、所長の安全対策に関する強い決意を聞いた。
(この後、「何故この時期に急いで会議を開くのか? 福島の現実を見よ!」と傍聴席から発言があり、一時中断。―――再開)

◆委員②…日々、住民の意見を聞いてまわった。大多数は地元経済の活性化を望んでいる。賛成。

委員③…規制委員会が厳格に審査された。基準値振動、津波対策など、そのつど理解できた。8.31現地で確認できた。関電常務の安全に対する決意を評価できる。町民の再稼働要望は多い。国や関係機関へ7項目要望する決議もした。同意。

委員④…福島原発事故を教訓に、世界で最も厳しい基準がつくられた。8.31関電は、社員に絶対事故をおこさないよう徹底されていた。7.20の町民説明会でも住民は概ね賛成だった。同意。

委員⑤…原発ができて40年たち、町民として誇らしく思う。40年間地元の経済や雇用を支えてきた。住民の思いはあるが、国でもいわれるように、原発を今すぐなくすことは難しい。原発が動かない事への不安があったが、動かしたらよいという人が多い。安全対策に関して、一般住民へ、議員にするのと同じように、継続的に説明すること。廃棄物問題は、国へ強く求めることが大事。同意。

委員⑥…町民への説明会も行われ、規制庁のビデオを見て住民も十分理解した。国民全体への理解を深めること、防災強化に取組むことを前提として、同意する。

委員⑦…町民の声としては、避難道路の整備、避難計画の改定を重ねてもらいたい。不安をもちながら、常に安全を求め、再稼働すべき。

委員⑧…十分な説明をうけ、現地でも確認できた。素人ながら、住民と話し、再稼働すべき。今後、使用済み廃棄物、最終処分については、国の責任でされる。万一事故が起きた場合、避難についても分かりやすい説明をすべきである。同意。

委員⑨…安全性の確認に関して、以前のレベルより数段高い規制基準になった。40年間国策に則り、基幹産業として経済界を支えており、誇りをもって原発で働いている。安定した電力を供給してきた。広域避難訓練を充実すべき。国が前面に立ち、責任をもってもらえる。国から求められる限り再稼働すべき。

委員⑩…安全対策は大丈夫か、避難経路は大丈夫か、使用済み燃料問題の課題はある。絶対事故を起さない姿勢は示された。自分は素人。新規制基準を信じるしかできない。基幹産業の原発が廃業ともなれば、経済が委縮し、人口も減少する。原発と共存共栄。賛成。

委員⑪…(お一人発言されたが、先の発言者にあきれて、メモ取れず。失礼しました。)

委員⑫…福島原発事故を教訓にした、世界一厳しい規制基準が定められ、合致できた。町の活性化と安心安全のため、再稼働に向けた6団体から要望もだされている。同意。

〈委員長の集約〉

再稼働に関しては、厳しい規制基準があり、4年間慎重に審議してきたこと、委員全員同意の発言をふまえ、委員会として同意に賛成する。(「異議あり」の傍聴席からの不規則発言あり。)

〈私・傍聴者の感想〉

◆この特別委員会を設置する必要性は、「まず住民の安全確保を第一に、原子力発電にかかわる諸問題の調査等を行い、かつ地域の振興や福祉等も考慮しながら取組んでいくこと」とされている。本会議でも原発関係の一般質問が毎議会行われているが、国の動向を確認し、原子力発電所を見、町が関係機関に要請をすれば、議員はそれで了とできるのだろうか。町民は、議会だよりでみて満足できているのだろうか?

◆真に住民の安全を確保するためには、おおい町議会議員のみなさんに福島第1原発事故から今日までの住民生活・自治体の維持・地勢や産業などの現実や、責任体制を直視していただきたいし、関西電力圏内にいる私たちも、立地自治体の住民のみなさんとともに、よく考え、将来にわたって安心できるエネルギー政策への転換を急ぐべきだと強く再認識した。

〈蛇 足〉

◆おおい町議会基本条例では、第1条で議会への民意の反映と議会の情報公開を充実させ、議決機関としての責任を果たすことを目的とし、第2条3項では、町民の多様な意見を的確に把握し(以下省略)とあるが、この会議では、どの委員も、多様な意見でなく、多数の意見を反映されたため、委員間論議もなく、結果的に再稼働同意になった。

◆「異議あり!」は不規則発言であっても、価値があったと思う。
特別委員会でも会議録に準ずるものを公表すべきである。


9月21日MOX燃料搬入に抗議

◆9月21日早朝6時半過ぎ、ウラン燃料より原発重大事故の確率を格段に増大させ、使用済み燃料になった時、発熱量、放射線量が減衰し難いMOX燃料が、武装した運搬船で、戦艦に守られて、フランスから、高浜原発に搬入された。

◆この早朝、高浜原発のある内浦湾の入り口の駐車場には、関西、福井から30数名が結集し、断固糾弾の声を上げた。さらに、原発先の展望台に移動し、展望台から原発北ゲートまでデモ行進した後、2時間にわたるゲート前抗議闘争を貫徹した。抗議集会の中では、参加者ほぼ全員が、「原発全廃」の思いを高浜原発に向かって、声高らかに訴えた。また、関電には「プルサーマル発電の即時停止と原発全廃を求める申し入れ」を行った。


申入書

関西電力株式会社
取締役会長 八木 誠 殿
取締役社長 岩根 茂樹 殿
高浜発電所長 宮田 賢司 殿

プルサーマル発電の即時停止と原発全廃を求める申し入れ

原発が極めて危険な装置であり、原発重大事故が悲惨極まりない被害をもたらすことは、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故が教えるところです。したがって、最近のほとんどの世論調査でも、脱原発の声は原発推進の声の2倍以上です。今、脱原発は圧倒的な民意です。

一方、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、原発は、事故対策費や使用済み核燃料の処理・処分費を考えれば、経済的にも成り立たないことは明らかです。そのため、国際的にも、イタリア、ドイツに続いて、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発を決意し、スイスが原発新設禁止を国民投票で決定しました。アメリカも原発縮小に向かっています。

それでも、あなた方・関西電力は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を“安全基準”と主張し、これに適合したから高浜原発は安全として、去る5月、6月に4号機、3号機を再稼動させました。

高浜原発3,4号機は、危険性が特に高い、一部MOX 燃料原子炉です。MOX燃料では、燃料被覆管が破損しやすく、MOX燃料は溶融しやすく、不均質化しやすく、超プルトニウム元素を生成しやすく、そのため、原子炉の制御が困難になり、とくに、一部の燃料をMOX に置き換えれば、事故の確率が増えることは、多くが指摘するところです。また、使用済みMOX 燃料の放射線量、発熱量は減少し難く、長期の水冷保管を要し、保管時の危険度が大きくなることも良く知られているところです。それにも拘らず、関西電力は、今回も含めて、次々にMOX燃料を搬入し、さらにMOX燃料の割合を増やそうとしています。高浜原発の危険性はますます増加しています。なお、原子力規制委員会の新規制基準適合審査における重大事故対策の有効性評価の解析対象は、ウラン炉心のみであり、MOX炉心については何ら評価されていません。杜撰極まりない審査といわれるのも当然です。

ところで、若狭の原発で福島級の重大事故が起これば、若狭や京都、滋賀の北部はもとより、京都府、滋賀県の全域、関西のかなりの部分が放射性物質に塗れる可能性があります。この地域の500万人を超える住民が避難対象になりかねません。避難は不可能です。

一方、福島原発事故以降の経験は、原発が無くても電気は足りることを教えています。さらに、経産大臣の認可機関である「電力広域的運営推進機関」までもが、原発は無くても、現在も10年後も、電気は十分足りること、すなわち15%以上の余裕があることを認めています。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要はないのです。あなた方が原発を動かすのは、人の尊厳、生存の権利を犠牲にしても、経済的利益を優先させよう考えているからです。金儲けのために原発を動かすことは、倫理に反します。私たちは、事故の不安なく、安心して生活できる社会を求めます。

原発は、事故の確率の高い、人類の手に負えない装置です。関西電力が進めるプルサーマル発電は、重大事故の確率が特に高い発電法です。二度と福島のような事故を起こさないために、プルサーマル発電の即時停止と全ての原発の早期廃炉を求めます。

私たちは、原発の危険性を再三にわたって指摘してきました。あなた方が、この指摘を無視して、原発を運転して事故が起ったら、それはあなた方の故意による犯罪です。許されるものではありません。

あなた方が、あくまで再稼働を進めるならば、私たちは、あらゆる手段で、粘り強く全原発の廃炉まで闘うことを宣言します。

2017年9月21日
原子力発電に反対する福井県民会議
若狭の原発を考える会
MOX燃料搬入を許さない!緊急現地集会参加者一同


2017年9月22日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆9月20~22日頃、高浜原発にMOX燃料が搬入!MOX燃料搬入を許さない!

【2017年9月15日,京都キンカンで配付。】

9月20~22日頃、高浜原発に
MOX燃料が搬入されようとしている!
断固とした抗議に起とう!

MOX燃料の製造と輸送

◆関電は、2008年に原子燃料工業(原燃工)を通して、原燃工が委託契約しているアレバNC社(フランス)に2回、計48体のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の製造を発注していたが、アレバNC社は、16体の製造を今年3月に終えた。この16体は、高浜原発4号機に使用されるもので、7月6日にフランス・シェルブール港から積み出され、9月19日に高浜原発に搬入されようとしている。今回の高浜原発向けMOX燃料には、736キログラムのプルトニウムが含まれる。燃料輸送にあたっているのは、2隻の軽微な武装を施した輸送船、パシフィック・ヘロンとパシフィッグ・イグレットである。

◆なお、関電は、今年7月31日にも、高浜原発3、4号機用のMOX燃料32体の製造契約を原燃工と結んでいる(原燃工は。アレバNC社に製造を発注)。MOX燃料の製造契約は、東電福島第1原発事故後、全国で初めてである。発電所での受け入れまでに2~3年かかる見通しという。関電は国内外に8.7トンのプルトニウムを保有しており、今回発注の32体で約960キログラムを利用する。

MOX燃料とは?

◆ほとんどの原発[普通の水(軽水)で冷却されるから軽水炉といい、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)がある]では、燃料としてウラン酸化物(二酸化ウラン)を用いている。この燃料のウランは、天然にあるウラン(天然ウラン:ウラン235約0.7%、ウラン238約99.3%を含む)とは異なり、核分裂し易いウラン235を2~5%(通常約4%)になるように濃縮したものである。ウラン235が核分裂したとき放出される中性子をウラン燃料の主成分=ウラン238が吸収するとウラン239になるが、ウラン239は、2度のβ-崩壊(電子の放出)を経てプルトニウム239に変化する。そのプルトニウム239も核分裂する。その結果、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均約30%となる(プルサーマル発電を行わない場合でも、運転中の軽水炉の中にはプルトニウムが存在している)。

◆一方、MOX 燃料は、ウラン238とプルトニウム(239が主体)の混合酸化物 (Mixed Oxide;MOX) であり、プルトニウムの富化度(含有量)は4~9%である。MOX燃料は、原子炉で使い終えた核燃料を溶解して、燃え残ったウランや新たにできたプルトニウムなどを分離抽出して(再処理して)つくる。すなわち、MOX燃料の製造には、危険極まりない再処理が不可欠である。

◆MOX燃料の値段は公表されていないが、通常のウラン燃料の約9倍の燃料棒1本あたり9億円程度とも言われている。燃料集合体1体は、例えば264本の燃料棒で構成される。

◆なお、高速増殖炉でもMOX燃料が使用されるが、プルトニウムの富化度は20%前後である。

プルサーマル発電とは?

◆プルサーマル発電とは、プルトニウムを一般的な原子炉(軽水炉)で燃やす発電方法のことであり、MOXを燃料としている。プルサーマルという用語は、プルトニウムの「プル」とサーマル・ニュートロン・リアクター(熱中性子炉)の「サーマル」を合わせた和製英語である。サーマル(熱運動する)・ニュートロン(中性子)すなわち熱中性子とは、高速で原子核から飛びだした中性子が、冷却材である水(軽水)の水素に衝突し、水素を跳ね飛ばしながら熱運動の速さまで減速した中性子のことである。この速度に減速された中性子は、ウラン235やプルトニウム239に吸収されて、これらを核分裂させる。なお、熱運動とは、水中でインクが拡散したり、空気中で匂い物質が拡散するような速度の運動である(温度が高いほど速い)。

◆プルサーマル発電において、原子炉内の燃料の1/3程度をMOX燃料、残りをウラン燃料とした場合、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均50%強となる。

高浜原発のMOX燃料

◆高浜3、4号機に装荷されたMOX燃料は、各々24体(全157体中)、4体(全157体中)である。関電は今回搬入されるMOX燃料16体を2018年の高浜4号機の定期点検での燃料交換で装荷すると考えられる。

MOX燃料の危険性は、ウラン燃料より格段に高い

◆既存原発のプルサーマル化では、元々ウラン燃料を前提とした軽水炉のウラン燃料の一部をMOX燃料で置き換えて運転するので、技術的な課題が多い(全MOX炉も制御困難)。なお、原子力規制委員会の新規制基準適合審査における重大事故対策の有効性評価の解析対象は、ウラン炉心のみであり、MOX炉心については何ら評価されていない。過酷事故を起こしたときには、猛毒のプルトニウムや超プルトニウム元素が飛散して、深刻な内部被ばくを起こす危険性も格段に高い。

重大事故の確率が高い

◆・燃料被覆管が破損しやすい。例えば、プルトニウムの核分裂では、酸素と結合し難い白金族元素が生成し易いので、プルトニウム酸化物中でプルトニウムと結合していた酸素が遊離するが、遊離した酸素が被覆管を腐食する。また、プルトニウムはヘリウムの原子核であるα粒子を放出(α崩壊)し易く、放出されたα粒子はヘリウムガスになるので、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させる可能性がある。

◆・MOX燃料の融点は、ウラン燃料の融点より高いが、MOX燃料の熱伝導率は低く、電気抵抗率が高いので、燃料温度が高くなり、溶けやすくなる。

◆・当初はMOX燃料中のウラン、プルトニウムを均質に混合していても、核分裂によって高温になった燃料中では、不均質化(プルトニウムスポットの生成)が起こりやすい。そのため、燃料の健全性が失われる。

◆・ウラン燃料と比べて、MOX燃料では燃焼中に核燃料の高次化(ウランより重い元素が生成する)が進み易い。とくに、中性子吸収断面積の大きい(中性子を吸収しやすい)アメリシウム等が生成され易くなる。そのため、高次化が進んだ燃料を含む原子炉では、運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下する。さらに高次化が進むと、核分裂反応が阻害され、臨界に達しなくなり、核燃料として使用できなくなる。事故が発生した場合には、従来の軽水炉よりプルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどの超ウラン元素の放出量が多い。これらは、吸入したとき、深刻な内部被曝を与えるα粒子を放出する。

◆・MOX燃料は、中性子束(中性子の密度)が大きいため、高出力である。したがって、MOX燃料装荷によって 運転の過渡時(出力の増減時)に炉の制御性が悪くなる。(1/3程度しかMOXを装荷できない。)

◆・一部の燃料棒のみをMOX燃料と入れ替えると、発熱量にムラが生じる。温度の不均衡が進行すると、高温部の燃料棒が破損しやすくなる。

使用済みMOX燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難い

◆核分裂によってMOX燃料から生じる元素(死の灰)の種類は、ウラン燃料から生じるものとは異なり、使用済み核燃料になったとき、放射線量や発熱量の減衰速度も異なる。使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難いため、長期にわたって(使用済みウラン燃料の4倍以上)プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態にはならない。取り出し後50年~300年の使用済みMOX燃料の発熱量は、使用済みウラン燃料の発熱量の3~5倍である。また、使用済みMOX燃料の発熱量を、50年後の使用済みウラン燃料の発熱量レベルに下げるには300年以上を要する。MOX燃料は、その意味でも、極めて厄介な核燃料である。

◆なお、若狭の原発の使用済み燃料プールは近い内に満杯になるが、長期の水冷保管を要するMOX使用済み燃料が増えれば、燃料プール不足はさらに深刻になる。そこで危惧されるのは、空冷できるまでに発熱量の下がった使用済み燃料を空冷キャスクに移して、燃料プールに空きを作ろうとする策動である。空冷キャスクに入れられた使用済み燃料を受け入れる場所は無いので、結局、若狭の原発敷地内に居座ることになる。

◆ここで、使用済み燃料保管プールが、脆弱であり、冷却水を喪失しやすいことは、福島原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明らかである。この燃料プールで長期保管をしなければならない使用済みMOX燃料の増加は、重大事故の確率をさらに増加させる。

MOX燃料製造で発生した高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の行き場はない

◆フランスでのMOX燃料の製造過程では、高放射線量の核のごみが発生する。この核のごみは、国内に返還されることになっているが、その最終処分地は決まっていない。政府は、処分場になり得る地域を示した「科学的特性マップ」を、選んだ科学的な根拠も示さずに、7月28日に公表したが、核のごみの保管を歓迎する場所はない。

なぜプルサーマル発電を進めようとするのか

◆日本は、核兵器の材料となるプルトニウムを利用目的なく持たないことを国際公約しているが、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決定した現在、プルトニウムの利用手段を高速炉とすることはできない。そこで、政府や電力会社は、プルトニウムをプルサーマル発電で消費するとしている。一方で、政府は、プルトニウム保有量をさらに増加させる再処理工場の稼働を策動している(実際にはこの危険極まりない再処理工場の稼働は、至難である)。このことから、政府は、全国の原発のプルサーマル化を狙っているとしか考えられない。原発の危険性は、どんどん増加していく。

以上のように、ウラン燃料でも危険な原発の燃料をMOX燃料に代えて発電(プルサーマル発電)すれば、さらに危険度が増し、さらに厄介な使用済み燃料を残す。許してはならない。

そこで、このMOX燃料搬入に抗議するために、次の行動を計画しています。万障お繰り合わせの上、ご参加下さるようお願いいたします。


MOX燃料搬入を許さない!緊急現地集会とデモ

■日時;9月20日(水)~22日(木)[未確定](当初,19日の予定でしたが、変更しています。)
■集合場所;高浜町音海地区の駐車場(高浜原発ゲート前を通過して約3 km、道路が突堤に到って行き止まる場所にある駐車場
■行動予定;6時から抗議行動を開始し、通過するMOX燃料運搬船を徹底糾弾。後、原発ゲート先の展望所に車で移動し、展望所から原発北ゲートに向かってデモ行進。北ゲート前の広場で、抗議行動と申入
れ。後、解散。
■呼びかけ団体; 原子力発電に反対する福井県民会議、若狭の原発を考える会
■連絡、お問い合わせ先;木原壯林(090-1965-7102)、宮下正一(090-1395-2628)


重大事故が起ってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年9月14日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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