◆6/27の第3回原告団総会
…原告団長の開会挨拶

◆原告団長の開会挨拶

  • 原告団長・竹本修三
  • 今年5月に第7回口頭弁論が開かれましたが、それに合わせて被告・関電側は準備書面(3)[17 MB]を提出してきました。これは、168ページのボリュームがあり、専門用語をちりばめたコケ脅かしの書面ですが、内容はたいしたことはありません。要するに関電は、古くは1981年の原子力安全委員会の指針、最近では2013年の東北地方太平洋沖地震後の原子力規制委員会の「新規制基準」に照らして厳密な「現状評価」を行い、原子力委員会の指針を忠実に守り、対策を講じてきたのだから、「原告らが主張するような“人格権”を侵害する具体的危険性が生じることはない」と、言いきっています。しかし、原子力規制委員会の「新規制基準」が原子力発電所の安全性を確保するもではないとすれば、関電側の主張は根底から崩れることになります。
  • 今年の2月12日に規制委員会の田中俊一委員長は、九州電力川内原発1, 2号機と関西電力高浜原発3, 4号機が新規制基準に基づく審査に合格したと発表しました。そして同年2月18日の記者会見で、同委員長は、「地元は絶対安全、安全神話を信じたい意識があったが、そういうものは卒業しないといけない」と述べたうえで、規制委員会は、「運転に当たり求めてきたレベルの安全性を確認した」が「絶対安全とは言わない」と繰り返し説明していたそうです。要するに規制委員会は、「安全審査」を行う機関ではなく「適合性審査」を行うものであるということです。
  • これに対して、4月14日に高浜原発の仮処分を決定した福井地裁の樋口英明裁判長の見解では、「万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を地震の平均像を基に策定することに合理性は見い出し難いから、基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っていることになる」と述べたうえ、「新規制基準は、穏やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない」と断じています。この見解は、大飯原発差止京都訴訟において、われわれ原告側が述べてきた主張と軌を一にしておりますので、次回10月の第8回口頭弁論では、この点をさらに厳しく追及して関電側と対峙しようと考えておりますので、皆さんのご支援を期待します。
  • このほか、関電側の準備書面(3)の不備に関して、大飯原発周辺の複数の活断層が連動して動く可能性は低いと述べていることに対しては、1995年1月に起こったM7.3の兵庫県南部地震、いわゆる阪神淡路大震災では、淡路島から神戸に至る長さ50kmを超える震源領域と一致するような大きな活断層は事前に認識されておらず、神戸市側で短い断層が雁行する六甲断層系と淡路島側で野島断層などの短い断層が何本か存在することは知られていたに過ぎませんでした。そこで、複数の活断層が連動して起こることも当然考えておかなければならないのに、そのようなケースに備えた関電側の対応が不十分です。
  • また、近くにある上林川断層の東端部を延長すると、大飯発電所の敷地に向っています。2005年3月に発生した福岡県西方沖地震の場合は、それまで知られていた陸域の警固(けご)断層の延長上にある海域の空白域でM7.0の地震が起こっています。このことから、関電は上林川断層の東端部の延長上の空白域で内陸地殻内地震が起きた場合も想定して基準地震動を求めるべきです。そうすれば、現在関電が設定している基準地震動の856ガルという値は変更せざるを得ないでしょう。

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