◆11/26 第45回口頭弁論の報告

京都地裁の「大飯原発差止訴訟」第45回期日は11月26日(火)午後に行われました。

今回は、石橋克彦さん(神戸大学名誉教授、専門:地震学)の証人調べでした。

石橋さんは『大地動乱の時代』(岩波新書、1994年刊)などの著作物を通じて地震災害への備えを説いてこられました。とりわけ『阪神・淡路大震災の教訓』(岩波ブックレット、1997年刊)で、「原発震災」という用語で原発と地震の関連について警告されたことは今日においても注目すべきものです。

今回の証言でも、石橋さんは、地震学者としての研究、原発関連各種委員会等における調査・提言などをふまえて、2時間を超える証言をしていただきました。

証言内容は、事前に提出された「意見書」の内容にもとづくもので、主な論点はつぎのとおり。

●地震現象の基本的なこと地震とは「震源断層運動」であり、それがくりかえされた結果できあがる地形を作った「古傷」を「活断層」とよぶ。「活断層」は将来地震を引き起こすことが想定される。ただ、「活断層」がなくても地震がおきることもある。

●2024年能登半島地震が再提起した「原発と地震」の課題2024年能登半島地震は、日本海側では最大級の内陸地殻内地震で、活断層の連動によるものとされているが、地下の「地震発生可能断層帯」は一続きの長いもので、その一部や全体が動いて地震をおこし、別々に見える活断層を作っているとも考えられる。地震時地殻変動をとらえることは重要なことで、今回、100kmにわたって、4mもの隆起があったことは、海底活断層を推定するうえでも重視しなければならない。

●新規制基準と適合性審査の問題点原発について新規制基準による適合性審査が行われるようになったが、基準そのものの不備が少なくないうえ、審査が基準に違反している事例も見られる。「基準地震動」と「検討用地震の選定」に関わっての問題点が少なくない。川内原発の審査は問題を残した。海洋プレート内地震(スラブ地震)についての検討は重要なことであるが、十分な検討がされていない。

●大飯原発3、4号機の審査書の誤り大飯原発3、4号機の審査においても「検討用地震の選定」について南海トラフ巨大地震や海洋プレート内地震(スラブ地震)の影響についての考慮がされていないのは誤り。2024年能登半島地震で確認された隆起海成段丘と地震時地殻変動は「原発と地震」にとって重要な点であるが、この点でも不備、誤りがある。

●今後の広域地震活動と大飯原発日本列島はどこでも地震が起こる可能性がある。フイリピン海プレートの影響とともに、アムールプレート東縁変動帯として地震発生の場であることも注意すべきである。若狭湾とその周辺は歴史上複数の大地震が起こっており、海底活断層も複数知られていることから、近い将来の大地震を考える必要がある。なかでも小浜湾は「大地震空白域」であり、警戒すべきである。大飯原発の重大事故の影響はとても大きい。場所と時間を決めた地震発生予測ができない以上、予防原則に徹して、大飯原発の運転を停止すべきである。

(以上は、証言傍聴メモの不十分な部分を「意見書」で補ったものです)

今回の、石橋さんの証言についての反対尋問は2025年3月6日の予定です。

「大飯原発差止訴訟」は、2012年11月提訴以来、いよいよ最終段階を迎えています。

「原発回帰・推進」の流れが強まる中、「脱原発」の声を大きく広げる必要があります。「大飯原発差止訴訟」についてひきつづき注目していきたいと思います。

(文責:原 強)