◆関西電力 闇歴史◆011◆

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◆特命発注で地元企業に特別の便宜(2021年)
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 2021年2月、関電は「競争入札を経ない発注特命発注)などにより地元企業の活用に努める」として、美浜町長の美浜3号機再稼働への同意を取り付けた。
(地元業者が特別に儲かる関電からの発注例→◆039◆

(老朽原発・美浜原発3号機の再稼働をめぐり、戸嶋秀樹美浜町長と関電の松村孝夫原子力事業本部長らが2月10日、同町役場で面談した。町が関電に求めていた地元企業の育成などについて、関電側は「合理性のある特命発注(競争入札を経ない発注)などにより、地元企業の活用に努める」などと答え、戸嶋町長は「前向きで誠意ある回答」などと評価した。)

 特命受注とは、建設工事などを競争入札とは異なり、発注者が特定の業者に直接依頼するもので,官公庁では原則として行わない。公共性が高く、税金に準じる性質を持つ電気料金で運営される電力会社が、特命発注の乱発など許されるはずがない。これは、関電の経営体質は、原発マネー不正還流事件◆018◆)の後に行った「人事刷新」によっても全く変わっていないことを物語っている。

【参考(3)】
▼関電は競争入札の比率が小さい。
東電データ:日刊工業新聞2017年5月26日記事。
関電データ:「電気料金の値上げについて」関西電力 平成27年5月。その後の資料は非公開。

上のグラフ、以下の説明とも、末田一秀さん「環境と原子力の話>関電の旧役員を市民が提訴(関電株主行動ニュース No119)」(→こちら )、および、2021年10月6日 関電の原発マネー不正還流事件、会社訴訟(脱原発株主代表が訴訟参加)の第1回口頭弁論における末田一秀さんの意見陳述による。

・福島原発事故を起こした東京電力は賠償金支払いのために、外部から委員を招いて2012年に「調達委員会」を設置、資材購入や工事発注で従来慣行を見直して大幅なコストダウンを進めました。1件当たり10億円以上の契約を点検し、改善を指示してきたそうです。その結果、2010年に15%だった競争入札の割合が2015年には65%になり、調達平均単価は2016年度には2010年度比20%もの減少になったのです。(参考日刊工業新聞)

・対して関電はどうでしょう。2015年に電気料金を値上げした際に、経産省からさらなる経営効率化を指示され、そのメニューの一つに競争発注比率の拡大があげられていて15%を30%超にするとされています。

・新しいデータ。末田一秀さん「環境と原子力の話>裏金を捻出していた不正な発注は?(関電株主行動ニュース No133)」→こちら

【参考(2)】
 関電幹部は、高浜町の森山栄治元助役から多額の金品受け取っていた(◆018◆)が、森山氏はその原資を、関電の原発関連工事を請け負う吉田開発(高浜町)から受けとっていたことが金沢国税局の税務調査で明らかになっている。吉田開発は2014年9月1日から2017年末までの間、関電から直接、22件の工事を請け負っていたが、10件は入札をしない「特命発注」で優先されていた。

【参考(1)】
関電の原発マネー不正還流を告発する会」の大阪第2検察審査会あて 補充書4 より。
関電は、電気料金の値上げ時には、特命発注を見直すなど、効率的な経営をする旨を説明していたにもかかわらず、裏では、高値で発注、高値での賃貸借を行っていた。(→◆062◆
(1) 2013年5月 一度目の電気料金値上げのとき…「競争比率が低いので、調達コストの削減が必要」と述べていた。
(2) 2015年6月 二度目の電気料金値上げのとき…東電は競争発注比率が60%なのに関電の競争入
札率は低すぎると指摘されて、関電は「26 年度の下期には、目標の 30%に近いところまではふやしております。東電さんの 60%というのは、我々としてはまだなかなか非常に大変なものだと思っていますが、・・・ 頑張ってまいりたい」としていた。

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