◆6月29日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

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1.高浜町元助役森山栄治氏が関与した高浜原発に関する金品受領に関して、貴社が元取締役5人に対して損害賠償の提訴をするとの報道がありました。さらに問題発覚前に知りながら取締役会で報告しなかったということで、森本社長も含めた新旧役員22人に対して損害賠償を求める株主代表訴訟も起こされたとの報道もありました。企業ぐるみの犯罪であり、公益事業であるということも、消費者から電気料金を徴収して運営しているということも、元取締役はじめ経営陣は自覚されていないように見えます。社内調査の隠ぺいなど常識では考えられないことが次々発覚し、愕然とします。貴社に原発を動かす資格はなく、現在動かしていることに恐怖を感じます。現在の状況についてどのようにお考えですか。原発を止めることが先決ではありませんか。

2.新型コロナウイルスの感染拡大により大飯原発3号機の5月8日から開始予定であった定期検査を2~3か月程度延期するとのことです。原子炉は閉鎖的な空間であり、作業員の感染が心配されるので、原子炉内での作業を行わないことは賢明な判断と思いますが、定期検査を遅らせるのではなく、新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、直ちに停止させるべきではないかと考えます。万が一事故が起きたら事故処理に当たる作業員も避難する住民も三密は避けられず、二次災害で感染が起きることは明らかです。このことについて貴社の見解をお聞かせください。また、4月から電力会社が24か月まで運転延長、定期検査の期間の短縮などを決められるように変わったとのことですが、どのように変更になったのか教えてください。

3.40年越えの原発、高浜原発1号機・2号機、美浜原発3号機の安全対策工事が2~4か月遅れるとのことですが、多額の対策工事費をかけてなぜ再稼働する必要があるのでしょうか。工事費はどのぐらいでしょうか。今後の稼働次第では採算の取れない可能性もあると思われますが、その見通しはどうでしょうか。40年越えの原発再稼働も金品受領問題と無関係と思えません。そういう背景での老朽原発の再稼働は不安です。なぜ再稼働を急ぐのですか。

4.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。使用済みMOX燃料の処理は前進していますか。原発を稼働させて日々使用済み核燃料を増やすことに疑問はないのですか。また六ケ所核燃料再処理工場が原子力規制委員会の基準適合という判断が出ましたが、この施設についてどのように判断されていますか。いつ建ったのか、どういう経緯をたどったか、いつ稼働するのかを示してください。

5.貴社は、温暖化対策も考えて原発を維持していると説明していますが、神戸製鋼が2021年に稼働しようとしている大規模な石炭火力発電所の電力を購入するため神戸製鋼と電力需給契約を結び、温暖化ガスをはじめ環境負荷の非常に高い石炭火力発電を推進しています。説明が矛盾しているのではないでしょうか。環境負荷の高い原発も石炭火力もやめるべきではないでしょうか。また貴社の再生可能エネルギー部門について、どういう部署を設置されているか、そこに何人配置されているか教えてください。また今後の見通しとして「何年までに再生可能エネルギーの割合をどのぐらいにするか」という計画を示してください。

6.厳しい経営環境下で経費削減の努力をしておられると思いますが、原子力設備への投資が増え、しわ寄せが他部門に及んではいないでしょうか。また顧客離れが進んでいますが、貴社の原発推進や原発マネー問題など原発依存の経営姿勢が問われているということではないでしょうか。

高浜原発で露見した汚職で貴社に対する社会的信用は失墜しています。その汚職原資を高い電気代に転嫁し続けたとの疑惑が危険な原発への危惧と重なって、貴社からの契約離脱は300万件を超えたと言われています。どのような状況か、またどのようにお考えでしょうか。

上記の状況下で電力販売量は落ちています。にもかかわらず黒字決算となっているようですが、その収益の根拠は何ですか。

原子力部門は経理経営上の重荷になっていると、社内でも批判的に語られ始めていると仄聞いたします。発電部門ごとの発電量と部門支出を、福島原発事故前と事故後について年次ごとにお教えください。福島事故後、原発部門は会社にどの程度の貢献をしているのか教えてください。廃炉や使用済み燃料の後始末など技術的未解決課題が積み残されており、将来巨額の出費となるのではないでしょうか。原発推進によって経営破綻となるのではないでしょうか。

以 上

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話し合い内容
Q(こちら側の発言)
A(関電の発言)

A 新型コロナで面談を控えていただきありがとうございます。毎回意見は本店にあげて共有しているが、文書回答はしていない。

Q 25日の株主総会は驚いた。この面談の機会はありがたいが、ユーザー目線と言いながらそうではない。社内の風通しを良くすると言いながらそうなっていない。株主総会は設定も進行も「これはなんだ」という感じだった。株主は怒っていた。新聞報道は一部だ。森本社長が議長で3時間立ったままやっていたのはすごいと思ったが、議長が何度も発言を制止した。印刷した資料が全くなかった。ふつうはどんな会議でも準備するものだ。議長が1分経つと「時間だから」と制止していた。発言中もたびたび制止した。普通は司会者がタイムキーパーをする。議長の社長が自ら静止していたが、時間ばかり気にして質問を聞いていなかったのではないか。会場からの「本社に行っても関電と会えない」という発言にも「今後そういうことはやめます」とも言わなかった。

Q 消費者は不信感を持つ。スライドがあったが株主からの提案4~29は一括で表示していた。何号議案を議論しているのか全く分からない状態だった。

A コロナのことで質問を短縮した。

Q コロナを口実にしているに過ぎない。不信感が高まっている。このことを告訴すると多くの人が決めたと思う。河合弁護士がそう言っていた。京都市の発言もあったが、1分では何も言えない。失礼ではないか。役員の態度はひどかった。

A ご意見を共有させてもらう。

Q 共有などできるはずがない。全く意見を聞く気がない。

A(質問1について) 会社としては損害賠償をすることになった。迷惑をかけて、信頼を裏切って申し訳ない。内向きの経営姿勢にメスを入れる。3月末の改善計画で実施したものを6月末に出す。

Q 株主総会は本気で考えていると思えない雰囲気だった。橋本元大阪市長を役員にするということも説明なしにNOとした。言葉は美しいが、どう実態で説明するのか。

A ご指摘は認識している。計画を立てただけでは意味がない。魂を込めて、なぜ起きたかなど対応していく。

Q なぜ起きたかの説明はなかった。それが不誠実ということの根拠だ。あなたはどう考えるか、なぜ起きたのか、それが言えないと意味がない。

A 個人としてか、会社としてか。

Q 会社がどう考えているのか答えてほしい。

A 立地において福井には多大な協力をいただいている。誤った行き過ぎがあったと判断した。

Q なぜそう判断したのか。なぜ起きたのか。原因は何か、どう対処するのか、言葉がきれいでも伝わらない。原因は原発でしょ。安全神話も、安定神話も、安価ということもみんな嘘だった。

Q 不信感があって消費者離れは高い。議案書が出る3月ごろは1か月で12万件だった。このようなことはかつてなかった。総会準備過程でそうだったから今後はもっと進む。

Q 原発がすべての原因だ。電気代で不祥事があったとき、消費者から1円返せという提案があった。それを受け止めることなく反対した。そういうことが森山問題を起こした。

株主総会のことはきりがないからこの辺で。

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A(質問2について)定検は福井県外の他県から来るので、2週間水際対策とし待機してもらって実施することにしていたが、延期にした。運転についてもコロナ対応を実施している。感染が拡大しないように出退社も管理し、可能な限り在宅にしている。

Q 定検をなぜ延期したのか。

A 夏の供給のために法定より前倒しで5月8日から定検をすることになっていた。法定では8月の予定だった。

Q 手抜きが起こりがちで危惧している。

Q 4月から電力会社で定検を変更できると聞いたが、電力会社の自由裁量で決めることができるとは怖い。とくに検査の短縮が怖い。定検はキチンと入ってほしい。ちゃんとやるのか。

A 4月に改正されたが、間隔を13か月、18か月、24か月とすることはすでに改正されていた。大飯の場合13か月のタイミングは8月の予定だったが、前倒しして実施することにしていた。(関電は)およそ13か月を超えない範囲で定検を実施している。安全に立って行っている。

Q 今後もその期間で実施してほしい。<関電から定検の資料をもらう>

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A(質問3について)(40年越え原発の安全対策工事費は)2019年は1937億円、累計で7,000億円だ。

Q 大変な出費だ。過去の実績は採算が取れていないことを示している。負担になり、重荷になっている。良かったことはない。電力料金に上乗せしている。何度聞いても納得できない。

A(40年越えの原発を動かす理由は)資源が乏しい。ベストミックスとして維持している。競争力も考えて進めていく。

Q ベストミックスは世界的に信じられていない。平和利用ということばで、商業利用してごまかしてきた。原発が重荷ということは事実が示している。社内でもわかっているはずだ。

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A(質問4について)MOXの処理について具体的に示せることはない。MOXは他の使用済み燃料と同じく再処理するということしか決められていない。

A 国内外でMOX処理の実績がある。日本ではJAEAで実績がある。

Q 商業炉のものか。実証実験を言っているのか。

A (答えてはみたものの混乱、よくわかっていない)

Q プルトニウムを再利用しないとなったら、ウランも使えない。どうしてそれにこだわるのか。軍事なら採算無視だけど商業目的ではないか。

Q 高浜では今後4分の1までMOX燃料を使うと聞いた。その場合MOX中のプルトニウムは1.7tと聞いているが、最大でどのぐらいになるのか聞きたい。もんじゅでも炉心部分では1.4tだ。

A 次回まで調べておく。

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A(質問5について)石炭火力の効率や有害物質対策などは改善されてきている。一定程度活用していくと整理している。バランスの取れたエネルギーとして入れているが、再生エネルギーにも力を入れている。再生エネルギー事業本部という部門で開発しており、関西圏以外でも、例えば秋田の洋上とか海外も含めて開発している。2030年代には600万kWにする。200万kWの新規開発を進めている。現在は447万kWと公表しており、390万kW運転している。

Q 将来計画としてのベストミックスが考えられていない。ベストミックスというなら将来計画を考えてもらいたい。再エネにどのぐらい投資しているのか調べたら、わずか数億円だ。原発には1000億円以上投資しているのに。再エネへの投資は2017年に7億円、2018年に5億円と減らしているではないか。再生エネルギー専任の技術者、職員は何人いるのか。アリバイ的にやっているとしか思えない。

Q 再エネにシフトしないと社会が持たない。コロナ禍のことも考えると再エネへの転換を真剣に考えるべきだ。

Q 再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けている。原発にお金がかかって再エネに回せないのか。コロナ禍が起きている中で、国は原発事故の際の避難所では、換気しないという指針を出した。放射能を防ぐために、コロナ感染防止をしないということだ。原発を止めたら放射能の問題は解決する。ベストミックスに原発は入れるべきではない。石炭も温暖化でだめだ。自然エネルギーに力を入れるべきだ。再エネにどのぐらいの資金・人員をかけているか、将来計画も示してもらいたい。

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Q(質問6について)今どのぐらい離脱しているのか、株主総会では触れなかった。

A スイッチングは5月末で338万件だ。

Q 電力の売り上げは落ちているのに、なぜ黒字になっているのか。

A 販売電力量は減っている。燃料代の低減など一過性のものもあるが、通信と不動産で黒字になった。

Q 昨年の実績でそうなっているのか。他部門で回復できるほど伸びていない。他部門での売り上げが電力売り上げを上回っているなら納得できる。ムダ金を削るのは良いが必要なところまで削っていないか。

A 有価証券報告を見て言っているのか。

Q そうだ。それしか見ることができない。どこで頑張っているか聞けたら納得する。

A 決算は手元にあるが、販売のことがどう反映しているのか今は答えられない。次回までの宿題にする。

Q 原発の燃料代が安いのは、すでに持っているからだ。それはどのぐらい効果があるのか。ウラン燃料と火力燃料費ではウランは火力の10分の1だが、過去5年間の部門別発電量で計算すると原発は33円、火力は10円である。原発は維持するだけで負担になる。

Q 株主総会をみると責任をもって経営しているのか疑問だ。経営者は無能だ。無能でないことを説明してほしい。

A 発電コストは国が出しているが。

Q 国が出している数字はデタラメだ。私は関電の出している数字に基づいて計算している。

A 確かに、計算できますね。

Q 公表されていないものもあるなら問題だ。部門別発電費とどれだけ発電したかの5年実績を示し、改善できるという見直しを提示してもらいたい。経営という観点でもデタラメだ。10万年先にも消えない毒を作り出している。

Q 汚職を社員も知っているはずだ。原発部門が中心で、配送電部門を切り離したが、配送電部門は窓際のような扱いをされていたと思うが、そもそも配送電部門のようなところが頑張って電力を支えてきたはずだ。配送電部門の社員は本当に情けない思いだろうと思う。将来破綻する。破綻は困る。みなさんの感想を聞きたい。

A 詳しいことはわからないので勘弁してもらいたい。再エネは国内でも限界ある。

Q 例えば農業と共同で行う発電などあるが、そういうことを実際に実験したことはあるのか。再エネの具体的な人員配置など裏付けを知りたい。2017年から2018年に投資が減っているのはなぜか。

Q 個人宅の太陽光に対するケアを減らした。真剣に再エネを考えていないのではないか。コロナ禍が起きている中で、将来エネルギーについても考えてもらいたい。原発は危険だ。太陽光はむしろ優遇するべきではないか。現状と将来設計を聞きたい。

Q 株主総会はひどかった。義を尽くしてやりたいが、そういかなくなる。この場のことは社長さんに伝えてもらいたい。

A 上にあげます。

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株主総会後だったので、関電の不誠実さ、反省のなさに言いたいことがたくさんあり、なんと1時間40分にわたる話し合いでした。関電側の社員は3人。時間超過にも制止することはなく、こちらから「もうそろそろやめましょうか」と言ったぐらい。お客様の文句にはひたすら耐えるようにと指示されているのでしょうか。