◆原告第5準備書面
第1 はじめに

原告第5準備書面
-新規制基準の瑕疵について- 目次

第1 はじめに

 福島第一原発事故後、被告国は、原子力法規制を修正した。これには、法体系の見直しと規制組織体制の見直しが含まれる。
 平成24年9月には、旧規制機関にかわり、新規制機関として原子力規制委員会が発足し、法改正をふまえて、新規制基準(後述)を策定し、既存原子炉施設の再稼働審査がなされることとなった。
 しかしながら、この新規制基準は、本来福島第一原発事故をふまえて必要とされる審査基準が設定されていない。そればかりか、旧審査基準で採用されていた「立地審査指針」が、いつのまにか排除されたという経緯がある(甲61:平成25年度第2回新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会議事録)。
 本来審査対象とすべき事項を審査しないまま原子炉を再稼働するということは、福島第一原発事故の結果明らかとなった既存原子炉施設に内在する「具体的な危険」を存置することに他ならない。
 本書面では、新規制基準及び新規制機関の概要を示すとともに、現在指摘されている、新規制基準の欠陥を述べる。