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◆原告第2準備書面
 第6 十分な安全性を備えない原発の設置・稼働は許されないこと

原告第2準備書面 -大飯原発における地震・津波の危険性- 目次

第6 十分な安全性を備えない原発の設置・稼働は許されないこと

1 原発に求められる安全性は被害の深刻さや広範さも踏まえて判断されるべきこと

 原子力発電所が活断層上に存在する場合には上記のとおり運転が許されないことは当然であるが、十分な安全性を備えておらず、運転によって生命・身体を違法に侵害するおそれが認められる場合、同原発を運転することが許されないこともまた論を俟たない。原発の危険性について活断層のみに着目することは極めてナンセンスなのである。
 この「原発の安全性」について、求められる安全性のレベルは、万が一の事故が起こった場合の被害の深刻さ、広範さとの兼ね合いで考えられなければならない。福島第一原発事故では、大地が、大気が、河川が、湖沼が、海洋が、都市が、人々が、家畜が、木々が、草花が、あらゆるものが、高濃度の放射性物質に汚染され、未だに15万人もの人たちが故郷を奪われて帰宅する目途すら立っておらず、今後膨大な数の人たちが低線量被ばくによる健康被害の恐怖に怯えながら生活しなければならない等、その被害は極めて広範かつ深刻である。しかも、それだけではなく、一歩間違えれば複数の原子炉が次々と爆発し、急性放射線障害によって多数の死者が出るのみならず、東北地方から首都圏に至る広範な土地が人の住めない土地になってしまう危険が現実のものであった*23
 今回の事故によって日本は、原発集中立地の恐怖を目の当たりにした。 将来、若狭湾の原発で地震による過酷事故が起こった場合、1基が爆発を起こすと、もはや原発敷地近傍に人間が近寄ることはできないから、地震等によって損傷している他の号機も次々と爆発し、近畿、北陸、東海地方は、人が住めない土地になってしまう危険があるのである。

 *23 実際、田坂広志内閣官房参与(当時)は、首都圏3000万人の避難を検討していたことを明らかにしており(甲52)、原子力安全委員会も、首都圏の避難を想定したシナリオを作成して菅総理に提出していた(甲53)。首都圏の避難を検討するという事態は空前絶後であり、首都圏を含むより広範囲が放射能に汚染されるおそれがあることは、当時極めて現実味のある目前に差し迫った事態だったのである。被害が現状に留まったことは、単なる偶然の、幸運の産物にすぎない。

2 地震・津波に対して原発に求められる安全性は少なくとも「既往最大」を基準とすべきこと

 このように、若狭地方で原発の過酷事故が起こった場合に想定される被害の深刻さ、広範さを踏まえると、原発に求められる安全性は極めて高度なものでなければならないというべきである。そして、そのためには、地震対策、津波対策については、少なくとも「既往最大」、すなわち、人間が認識できる過去において(地球の歴史に比較すれば一瞬に過ぎないが)生じた最大の地震、最大の津波を前提にした対策を採らなければ、十分な安全性を有しないと解するべきである。
 この「既往最大」の考え方は、中央防災会議の「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」が2011年9月28日に取りまとめた「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告」(河田恵昭部会長)(甲54)にも採用されている。すなわち、同報告では、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討」し、「発生頻度は極めて低いものの、甚大な被害をもたらす最大クラスの津波」を想定すべきであるとされているのである。また、原発の耐震安全性を検討する国の作業部会の主査と委員を同年7月末に辞任した纐纈一起東京大学教授も、毎日新聞社のインタビューにおいて、「立地を問わず、過去最大の揺れと津波を同じ重みをもって安全性を考慮するよう改めるべき」であり、「過去最大というのは、原発の敷地でこれまでに記録したものではなく、日本、あるいは世界で観測された最大の記録を視野に入れることが重要」であると述べている(甲55)。

3 少なくとも「既往最大」を基準として十分な安全性を備えていない原発を運転することは許されないこと

 そうすると、地震や津波に関していえば、問題は当該原子炉施設が少なくとも「既往最大」を基準としても十分な耐震性を有しているか否かという点に帰することとなる*24
 然るに、第5で述べるとおり、大飯原発は「既往最大」を基準としてさえ十分な耐震性等を備えていない。以下でまとめるとおり、大飯原発周辺では大規模な地震・津波が発生する危険性が高く、十分な耐震性を備えていない大飯原発で一たびそのような災害が発生すれば、原子炉施設に甚大な損傷が発生し、放出された放射性物質等によって原告らを含む無数の住民の生命・身体を違法に侵害することは明らかである。よって、大飯原発の運転は直ちに差し止められなければならない。

 *24 ただし、公知のとおり東北地方太平洋沖地震では想定を遥かに上回る規模の巨大地震と巨大津波が発生し、言語を絶する極めて甚大な被害が極めて広範な範囲に、極めて長期間にわたって発生し続けているのであり、このような経験を踏まえれば、「既往最大」を上限値として基準とすることも十分ではない。想定を上回る規模の地震・津波は常に発生しうるのであり、「既往最大」を上限として想定することは、想定を上回る現象が発生した東北地方太平洋沖地震における過ちと同様の過ちを繰り返すことになるからである。

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 第5 活断層上に重要な原子炉施設があってはならないこと

原告第2準備書面 -大飯原発における地震・津波の危険性- 目次

第5 活断層上に重要な原子炉施設があってはならないこと

1 新基準等の内容

 (1) 「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」(平成25年原子力規制委員会規則第5号)は、以下のとおり定める。

 (設計基準対象施設の地盤)
  第三条
  2 耐震重要施設は、変形した場合においてもその安全機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。
  3 耐震重要施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。

 (2) これを受けて原子力規制員会の策定した「基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価に係る審査ガイド」は、以下のように定める。

 「原子炉建屋等が設置される地盤は、将来も活動する可能性のある断層等の露頭が無いことが確認された地盤」でなければならず、特に「耐震設計上の重要度分類Sクラスの建物及び構築物が設置される地盤には、将来も活動する可能性のある断層等が露頭していない」ことが要求される。

 (3) このように新基準は、原発における重要施設が活断層の直上にあってはならないとしている。そして、活断層上に原発が存在することの危険性からすれば、活断層の存在が100パーセント完全に否定されない限り、設置することは許されないというべきである。

2 大飯原発において指摘される活断層の存在

 この点、大飯原発については原子力規制委員会が、「大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」を設置して活断層の有無について議論を行ってきたところ、平成25年9月になって、大飯原発には活断層は存在しないとの方向での取りまとめを行った。しかし、同会合の結論については異論が極めて強い。それどころか、同会合の内部でも、大飯原発には活断層が存在する、あるいは存在しないとする被告関西電力の主張の根拠は薄弱であるなどとする意見が多く出され、活断層の有無について必ずしもコンセンサスが得られているものではない。
 本来の活断層の定義からすれば、同会合が問題にするような過去40万年間に同断層が動いた形跡があるかどうかではなく、より長期のスパンで検討すべきであるから、同会合での活断層に関する議論は極めて不十分である。断層が現に存在するということは、同断層が過去に動いたことは上記のとおり明白なのであるから、かえって活断層が存在するというべきである。疑わしきはより安全性を確保しうる方向で事実認定を行うことが、万が一の事故の発生を防止して国民の生命・身体を守るために必要であるから、有識者会合の中においてさえ意見が割れ、同会合の取りまとめに対する批判が強いことなどからすれば、むしろ、大飯原発の敷地には活断層が存在するか、少なくともその存在を完全に否定することはできないといわなければならない。

3 活断層の存在が否定できない大飯原発の稼働は許されないこと

 よって、活断層の直上に存在する、あるいは活断層の存在が完全に否定することができない場所に設置された大飯原発は、活断層上に重要施設を設置してはならないとする新基準を充たしておらず、その運転を継続することは違法であるから、直ちに運転が停止されなければならない。

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 第4 日本・若狭湾における原発の設置・稼働は許されないこと

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第4 日本・若狭湾における原発の設置・稼働は許されないこと

1 日本・若狭湾での原発の設置・稼働の危険性

 以上のとおり,狭い国土の中に世界の地震の10~20パーセントが集中し,しかも東北地方太平洋沖地震を契機に地震活動が活動期に入る中,数多くの断層・活断層が存在し,近畿地方では巨大地震が頻発しているにもかかわらずその空白地帯となっている若狭湾においては,地震の危険性が極めて高い。津波についても,日本各地や近畿地方でこれまで大津波が発生してきた中,若狭湾でも津波の発生が予測されており,東北地方太平洋沖地震では想定を遙かに上回る津波が現に発生していることからすれば,危険性は極めて高い。
 このように,地震・津波の非常に大きな危険性の存在する日本・若狭湾において原発を設置・稼働することは,いかなる事情があっても許されないということが大原則である。

2 大飯原発の稼働のさらなる危険性

 このようにそもそも,日本・若狭湾において原発を設置・稼働することはいかなる事情があっても許されない。しかも,以下に述べるとおり,大飯原発については敷地内の活断層の存在を完全に否定することができないこと,対応すべき規模の地震・津波に対して必要な耐震・耐津波措置が執られていないことからすれば,危険性はさらに高い。
 大飯原発の稼働は,なおさら許されないのである。

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 第3 日本及び近畿地方(特に日本海側)における津波

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第3 日本及び近畿地方(特に日本海側)における津波

1 津波大国日本

 (1) 地震大国であることは津波大国でもあること

 津波は、主に海底での地震の発生による海底地形の急変によって発生するものであるから、地震が頻繁に発生するということは、当然津波の発生回数も多いということを意味する。実際、東北地方太平洋沖地震以降に限っても、国内では津波警報が3件、津波注意報が13件発令されている。
 また、気象庁の発表によると、日本で明治以降に大きな被害を発生させた地震で津波の発生を伴うものとして12件が挙げられている。例えば1896年の明治三陸地震では2万1000人を超える死者を、1927年の北丹後地震や1933年の昭和三陸地震ではそれぞれ数千人の死者を、近年の1983年の日本海中部地震、1993年の北海道南西沖地震でもそれぞれ100~200人の死者を出しているのである。特に、北海道南西沖地震では最大波高16メートルを超える津波が発生している。
 もちろん、津波による最も甚大な被害を発生させた地震が2011年の東北地方太平洋沖地震であることは述べるまでもない。次図は同地震での津波の高さに関する各調査の結果を取りまとめて表したもの〈東日本大地震で確認された津波の高さ 省略〉であり、次々図は気象庁の観測データを元に津波の高さを図示したもの〈津波観測状況 省略〉である。 このように、気象庁の観測でも16メートルを超える津波が発生しており、その余の調査では20メートルを超える津波が観測されているのである*19。さらに同地震では、海岸島から津波が内陸へ駆け上がる高さを示す「遡上高」において43.3メートルが観測されており、極めて広い範囲に津波が到達し、被害を発生させていたことが明らかとなっている。

 *19 ただし、気象庁の観測データは、釜石や大船渡、石巻、相馬など最も津波が高かった地域については「データなし」としてデータが得られておらず、16メートルを上回る津波が発生したことを否定するものではない。

 (2) 津波は日本海側でも発生すること

 プレート型地震によって津波が発生する太平洋側と異なり、通常は内陸型地震によって津波が発生する日本海側では津波が生じにくいといわれることもあるが、これは誤りである。津波が海底地形の急変によって発生するものである以上、そのような変化が発生すれば海陸のプレート境界でなくとも津波は発生するからである。

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2 近畿地方における大津波

 (1) 天正大地震による大津波

 一例として、1586年1月18日の天正大地震を挙げる(甲41)。
 内陸型地震とされる天正大地震の推定規模マグニチュードは7.9ないし8.1という大規模であり、震源域は、現在の福井県、石川県、愛知県、岐阜県、富山県、滋賀県、京都府、奈良県に相当する広大なものであった。同地震により北陸、東海及び近畿に甚大な被害が生じ、地割れ、波、山崩れ、液状化現象及び家屋の倒壊が多数発生し、死者も多数出たと記録されている。琵琶湖では、現長浜市の集落が液状化現象により水没し、越中国では木船城が倒壊し、城主前田秀継夫妻外多数が死亡した。飛騨国では帰雲城が大規模な山崩れによって埋没し、城主内ケ島氏理とその一族が全員死亡し、周辺の集落数百戸も同時に埋没の被害に遭っている。郡上では、奥明方(現群上市明宝)の水沢上の金山や60~70軒からなる集落が崩壊し、あたり一面の大池になったと言われている。その他、美濃の大垣城、近江の長浜城、三河の岡崎城及び伊勢の長島城が全壊、大破あるいは焼失したとされ、京都では三十三間堂の600体の仏像が倒れ、八坂神社が一部損壊、壬生地蔵堂等が倒壊などしており、大和では多門院築垣が倒壊したとされている。
 当時の文献(吉田神社〔京都市左京区所在〕の宮司・吉田兼見の手による歴史資料「兼見卿記」、ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスの「日本史」等)には、この天正大地震によって、若狭湾沿岸には大津波が押し寄せたことが記録されている(甲42)*20

 *20 これに対して被告関西電力は、ボーリング調査の結果、上記大地震の際の津波の痕跡は発見できなかったとしている。
 しかし、平成23年12月27日に都内で開かれた原子力安全・保安院主催の意見聴取会では、同調査における調査地点の妥当性や調査結果の持つ意味等について専門家からの意見が相次いだこと(甲44)や、産業技術総合研究所の岡村幸信脱断層地震研究センター長の意見(甲45-1,2)に照らせば、上記ボーリング調査の結果は天正大地震の際に大津波が若狭湾沿岸に押し寄せた事実を否定する根拠とはならない。実際にも、被告関西電力の行った若狭湾の津波調査に対しては、多くの専門家から批判が寄せられているところである(甲46-1,2)。

 (2) その余の大津波

 ア 例えば2011年4月29日福井新聞は、「福井県美浜町の常神半島東側に過去、大津波が押し寄せ、村が全滅したとの記述が『三方郡西田村誌』(1955年発行)にある。険しい断崖が連なる常神半島の東側には現在集落はないが、過去には『くるみ浦(久留見村)』と呼ばれる村があったとされる。25年前に美浜町内の民家で発見された、三方五湖やその周辺の集落を描いた江戸時代初期の絵図にも所在が記されている。西田村誌では『クルビ村』の項に『小川の浦の山を越した日本海岸を血の裏といい、そこには以前クルビという村があったが、ある晩村人が出漁中に大津波が押し寄せて、人社と寺と民家1 軒だけを残して全滅した』と書かれている。『小川』は常神半島西側の若狭町小川を指す。村が滅んだ時期は他の古文書の記載などから、中世とも江戸時代とも推測されるが具体的には不明で本当に大津波が原因なのかも分かっていない。」と報じている(甲43)。

 イ また、若越国境の関峠(佐田)には石の地蔵尊があり、これを「波よけ地蔵」という。昔、大津波があったとき、打ち寄せた津波が同地点まで到達したことの証である。

 ウ 佐田の東南にある乗鞍岳(標高650メートル)の中腹には、「のたくぼ」「のた平」という場所がある。「のた」とは「波」のことであり、そこには津波で逃げた人々が使用した粉引き用の石臼があるという。

 エ 古代の坂尻は数百戸の部落であったが、大津波のために海中に没して跡形もなくなった。この大津波のとき、坂尻の天王山(標高約180メートル)へ逃げた者は腰まで水に浸かり、山上の御嶽山(同約520メートル)へ逃げた者でも足が水に浸かったという。

 オ 京都府宮津市の天橋立の北端、籠神社の真名井神社の境内にある「真名井原波せき地蔵堂」には、「昔15大宝年間(約1300年程以前)に大地震の大津波が押し寄せたのをここで切返したと伝えられ、以後天災地変から守る霊験と子育て、病気よけの妙徳も聞こえる。」と案内板にて記載されている(甲47)。
 現地は海抜40メートルの地点であり、宮津湾の切りこんだ裏手に位置しており、このような地点まで大津波が押し寄せたことの証である。

 カ 舞鶴市史・通史編(上)には以下のような津波に関する記述もある(甲48)。
 「津波 地震によると思われる津波の記録が一件ある。
 寛保元年(一七四一)酉ノ七月十九日小橋村 野原村高浪痛家八拾軒内弐拾八軒ハ潰家依之ニ小屋かけ材木相願御公儀より願之通ニ被遺候縄四百二十束藁五千六百束ハ大庄や八組割ニ被仰付候 世間ニたとへ申様ニハ津浪と申候俄ニ出来申し浪差而大風も吹不申ニ出来申波ニ而候(『金村家文書』)  
 七月十九日大入(大丹生)村近所四五ヶ村津波打(『田村家文書』)
 同日、蝦夷松前領に大津波、死者1467人、流失家屋729戸に及んだ(『年表日本歴史』筑摩書房)とあり、日本海沿岸地方に大きな被害があったものと思われる。当時、このことを記録した人は、津波の起因を大風も吹かないのに、にわかにできる波としている。」

 キ また、2011年12月11日付読売新聞も、以下のように報じている(甲49)。
 「『丹後・若州・越州、浦辺波を打ち上げ、在家ことごとく押し流す、人死ぬ事数知らずと云々―』
 これは、戦国時代の京都の神主吉田兼見の日記『兼見卿記』の一節だ。 1586年の天正地震の際、大津波が京都から福井にかけて若狭湾沿岸を襲い、民家を押し流し、数え切れない死者が出たと記されている。
 しかし、400年以上前の記録のため、この津波の実態はよく分かっておらず、福井県の地域防災計画には反映されていなかった。東北地方太平洋沖地震を受け、同県は津波の被害想定の見直しを始め、『兼見卿記』などの過去の文献も調べ直している。
 過去の津波の記録は各地に残されており、今回の震災を機に再検証が進んでいる。慶長三陸地震(1611年)では、これまで信頼性が疑問視されていた資料があったが、今回の震災の被害状況などと照らし合わせると『十分信頼できる』という研究報告も出ている。
 同地震を調査している東北大学の蝦名裕一・教育研究支援者(日本史)は『古文書には、先人たちが大災害に直面しながらも、克服していく姿も記されている。復興という視点からも、様々な資料を読み直すことは重要だ』と話す。」

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3 若狭湾周辺で想定すべき大津波

 (1) これまでにも想定されてきた大津波

 北陸以西の沖合の日本海海底には、相当数の活断層が存在する。若狭湾の北~北北西の沖合の隠岐トラフ南東縁には全長80キロの北西-南東走向の逆断層群があり、この部分で地震が発生すると、比較的小規模であっても島根半島・隠岐諸島から能登半島までの広範囲で1メートルを超え、場所によっては2~3メートルを超える津波が押し寄せること、想定地震規模を大きく見積もれば広域に少なくとも4メートルを超える津波が押し寄せることは、既に予想されている(甲50)。

 (2) 東北地方太平洋沖地震を踏まえて想定されるべき大津波

 然るに、現時点で想定されている津波の規模は、大飯原発では1.86メートル*21にすぎず、一般的な予想を遙かに下回る高さでしかない。これは、一般的な予想に反する上に、津波が岬の先端部で高くなるおそれが高いという性質をも無視したものであって、著しく低いというべきである。
 しかも、東北地方太平洋沖地震では当初の想定を9メートル以上上回る巨大な津波が現に発生している*22のであるから、「既往最大」の考え方に立ち、大飯原発においても想定を遙かに上回る規模の大津波が発生する危険性を想定すべきである。

 *21 この点に関し被告関西電力は、「想定する津波高さを『T.P.+2.85m』と評価している」と主張する(答弁書26頁)が、根拠が何一つ示されていないことから、本書面では考慮しない。  なお、「T.P.」とは「東京湾平均海面(Tokyo Peil)」の意である。
 *22 福島第一原発を襲った津波は高さ15.5メートルのものであった(甲3・188頁)が、従前の土木学会の津波高さの評価値とこれに基づく東京電力の想定は5.7メートルにすぎず(同・85頁)、実際に発生した津波はこれを10メートル近くも上回る高さの津波であった。想定がいかに甘く、過小であったかを端的に基礎づける事実である。

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◆原告第2準備書面
 第2 日本及び近畿地方(特に日本海側)における地震

原告第2準備書面 -大飯原発における地震・津波の危険性- 目次

第2 日本及び近畿地方(特に日本海側)における地震

1 地震大国日本

 (1) 狭い国土に原発が集中する日本

 日本は地震大国であるといわれるが、その理由は次図〈世界の地震分布図 省略〉から明らかであろう。世界で唯一4つのプレート境界がひしめく結果、世界中で発生する地震の1割が日本に集中し、マグニチュード6以上の地震に限れば約20%が集中する。単位面積当たりの地震の発生確率で見ると、日本のそれは地球全体の平均値の約130倍にもなる。日本列島のどこにも、大地震と大津波の危険性のない「安全な土地」と呼べる場所は存在しないのである。
 次図は世界における原発の分布を示したもの〈Distribution Nuclear Power Prants(2001) 省略〉である。そもそも日本には全世界の稼働中の原発の11パーセントが集中しているといわれるが、それ自体、日本の国土は地球の陸地のわずか0.25パーセント程度を占めるにすぎないことからすれば、異常な集中を示す数字である。しかも、そのように原発が異常に集中する狭い日本は、地震大国なのである。 これほどの地震大国に、これほどの原発が集中する国は、世界中を見ても他に例がなく、ただ日本のみである。

 (2) 活動期に入った日本の地震活動

 しかも、阪神大震災後、我が国は地震の活動期に入っているといわれてきたが、とりわけ、東北地方太平洋沖地震によって日本列島の地殻は大きく移動した。それまでは東西方向に圧縮されていた日本列島が、同地震によって太平洋プレートと北米プレートとのいわばタガが外れたため、今後、日本列島各所で地震がおきる可能性がさらに高まっている状況にある。

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2 近畿地方における巨大地震

 (1) 近畿地方で繰り返されてきた巨大地震

  ア 別紙地震一覧表について

 近畿地方に関して、被害の具体的な記述がある地震は、別紙地震一覧表のとおりである。これは、自然科学研究機構国立天文台が毎年発行している「理科年表」の平成25年版(丸善出版株式会社発行)の「日本付近のおもな被害地震年代表」(甲58)の中から、近畿地方に関連するもののうち震度の記載のあるものを抽出したものである。
 なお、1884年までの震度は次の文献に基づく。

  •  宇佐美竜夫 「最新版 日本被害地震総攬」 東京大学出版会 2003年
  •  宇津徳治 「地震活動総説」 東京大学出版会 1999年

 1885年ないし1923年7月の震度は以下の文献に基づく。

  •  茅野一郎・宇野徳治「日本の主な地震の表」(「地震の辞典」第2版 朝倉書店)

 1923年8月以降の震度は、気象庁がFTPサイトで公開した数字である。
 地域は1884年までは被災地等であり、1885年以降は震央地名(1923年以降は気象庁の区分)を表す。

  イ 別紙地震一覧表からわかること

 これによれば、近畿地域及び福井県で推定震度の記録のある地震のうち、西暦599年~1995年の1396年間でM7.0以上のものが21回、M8.0以上のものが6回である。従って、M7.0以上の地震は66.47年に1回(1396年間÷21=66.47年)、M8.0以上の地震は232.66年に1回(1396年間÷6=232.66)の割合で発生していることになる。
 また、別紙地震一覧表によれば、プレート内地震(内陸型地震)が多数発生していることもわかる。これはプレート境界から離れた地域にある若狭地域においても、プレート内地震(内陸型地震)が発生する可能性があることを示している。しかも、そうした内陸型地震が、大飯原発の位置する若狭の周辺地域においても過去に繰り返し発生していることもわかる。1325年には地震で敦賀の気比神宮が倒潰しているし、1662年には広大な地域に大きな内陸地震が発生し、1948年には「福井地震」、1952年には「大聖寺沖地震」、1963年には「越前岬沖地震」等が発生しているのである。
 さらに、陸地だけでなく若狭湾周辺の日本海でも地震が発生していることがわかる。例えば、1952年の「大聖寺沖地震」(福井・石川)、1963年の「越前岬沖地震」等である。
 そのほか、東海地震・南海地震あるいは両者が連動した東南海地震が歴史上何回も発生しており、これらの巨大地震が近畿地方に大きな影響を何回も与えている。例えば、887年にはM8.0~8.5の巨大地震が発生し、「五畿・七道:京都で民家・官舎の倒壊多く、圧死多数。津波が沿岸を襲い、溺死多数。特に摂津で津波の被害が大きかった。」と報告され、これは「南海トラフ沿いの巨大地震と思われる。」と評価されている。他にも、1096年、1099年、1361年、1520年、1707年、1854年にも、東海地震・南海地震あるいは両者が連動した東南海地震の巨大地震が発生し近畿地方に大きな影響を与えている。また、この歴史経過をみると、連動型巨大地震はほぼ150年~250年周期で発生しており、最後の1854年からは現在(2013年)まで約160年を経過している。従って、地震学者も東海地震・南海地震あるいは両者が連動した東南海地震が近い将来発生する可能性が大きいと警告していることは周知の事実である。
 また、これらの巨大地震は前後に連続して発生している場合も少なくなく、例えば以下のような地震を指摘できる。

  •  881年(京都)・887年(南海トラフ沿いの巨大地震と思われる)・890年(京都)
  •  1093年・1096年(東海沖の巨大地震とみられる)・1099年(南海道・畿内)
  •  1350年(京都)・1361年8月1日(畿内諸国)・1361年8月3日(畿内・土佐・阿波)(南海トラフ沿いの巨大地震と思われる)
  •  1854年(東海地震、その32時間後の南海地震)・1858年(飛騨・越中・加賀・越前、丹後宮津)
  •  1936年(北丹後地震)・1948年(福井地震)・1952年(大聖寺沖地震)・1952年(吉野地震)・1963年(越前岬沖地震)

  ウ 東北地方太平洋沖地震後に地震が頻発していること

 また、2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0、Mw9.1)によって我が国が地震の活動期に入ったことを述べたが、このことは余震や誘発地震の発生状況から裏付けることもできる。すなわち、同地震以後に発生した同地震の余震・誘発地震はM7.0以上で6回、M6.0以上で97回にも及んでおり、さらに2011年3月12日には同地震の遠方誘発地震として、その震源地から遠く離れた内陸部の長野県・新潟県の県境地域でM6.7(Mw6.3)の地震が発生しているのである。
 このことからすれば、東南海沖には近い将来巨大地震が発生する危険性が指摘されているが、これに伴う遠方誘発地震が近畿地方の内陸部ないし日本海側に発生する危険性も大といえるのである。

  エ 以上のとおり、近畿地方でも巨大地震が繰り返されていることは史実から明らかであり、また、東海沖地震との連動による巨大地震が発生する可能性も十分に存在するのである。

 (2) 近畿地方ないし若狭湾周辺で大地震が発生する危険性は高いこと

 若狭湾周辺には多数の活断層があり、もともと地震の多発地帯である。 しかるに、上述のとおり近年は大きな地震に見舞われておらず、他方でその周辺地域では、濃尾地震(1891年、マグニチュード8.0)、北丹後地震(1927年、マグニチュード7.3)、福井地震(1948年、マグニチュード7.1)、鳥取県西部地震(2000年、マグニチュード7.3)等の大地震が発生している。そうすると、1×10のマイナス4乗の歪みが蓄積した段階で地震が起こる危険性が高いということを踏まえれば、大飯原発周辺は地震の空白域になっており、現在は歪みが蓄積し続けている状態であるといえる。
 よって、次の大地震が、地震の空白域である大飯原発周辺で発生する可能性は決して低くない。

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3 若狭湾周辺に存在する断層・活断層

 (1) 断層・活断層の存在は地震発生の危険性を強く示すこと

 上述のとおり、地震はいつどこで発生するか分からず、断層がないからといってその場所で地震が起こりえないということにはならない。しかし、現に断層が存在すれば、過去にそこで地震が発生したことは明白であり、将来的に同じ場所で地震が発生する可能性が高いことが看取できる。そこで、断層の存在は、当該地域における地震発生の可能性を示す重要な要素である。

 (2) 若狭湾周辺地域にも断層・活断層が存在すること

 この点、若狭湾周辺地域には多数の断層がある。とりわけ、美浜原発はC断層の直上に、大飯原発はFO-A断層・FO-B断層の直近に位置する。また、美浜原発の直近には白木-丹生断層があり、それ以外にも若狭湾周辺には、野坂断層・B断層・大陸棚外縁断層、和布-干飯崎沖断層、甲楽城断層、柳ケ瀬断層、ウツロギ峠北方-池河内断層、浦底―内池見断層、白木-丹生断層、敦賀断層、三方断層、熊川断層、上林川断層等がある*18。当然、断層との距離が近いほど地震によって受けるエネルギーは大きくなり、地震動とともに、隆起や地割れなど地形が変形する影響も大きくなる。
 それにもかかわらず、世界で活断層から1キロメートル以内に原発があるのは、もんじゅ、敦賀、美浜の3機だけなのである(2011年5月11日の衆院経済産業委員会における、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問に対する寺坂信昭原子力安全・保安院院長の答弁)(甲39)。

 *18 このうちの活断層は、訴外日本原電が認めているものだけでも、C断層(約18㎞)、野坂断層(約12㎞)、B断層(約21㎞)、大陸棚外縁断層(約14㎞)、和布-干飯崎沖断層(訴外日本原電が認めている断層長さ約42㎞、以下同じ)、甲楽城断層(約19㎞)、柳ケ瀬断層(約31㎞)、ウツロギ峠北方-池河内断層(約23㎞)、浦底―内池見断層(約18㎞)、白木-丹生断層(約15㎞)、敦賀断層(約23㎞)、三方断層(約27㎞)がある。更に、和布-干飯崎沖断層と甲楽城断層、大陸棚外縁断層、B断層と野坂断層は、いずれも同時活動を考慮しなければならず、その場合の断層長さは、前者が60㎞、後者が49㎞になり、予想地震規模は、前者がマグニチュード7.8、後者がマグニチュード7.7に達するとされる。

 (3) 地震学者も若狭湾一体の原発のリスクの高さを指摘していること

 世界有数の地震・津波大国である日本に原発を集中立地することが危険極まりないことは既述のとおりであるが、さらに若狭湾周辺では、密集する断層に世界でも例がない極めて近接した箇所に原発が設置されており、とりわけ危険性が高いのである。実際、地震学者の石橋克彦神戸大学名誉教授は、2011年5月23日に開催された参議院公聴会において、浜岡原発(静岡県御前崎市)の次にリスクの高い原発がどの原発かとの質問に対し、「若狭一帯の原発」と答えているところである(甲40)。

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◆原告第2準備書面
 第1 地震・津波の基礎

原告第2準備書面 -大飯原発における地震・津波の危険性- 目次

第1 地震・津波の基礎

1 地震

 (1) 地震とその特徴

 地震とは、地下の震源断層面でずれが発生する*1ことによって震源断層面上に破壊が生ずることであり、その結果地震波が地中を伝わることによって発生する地表面の揺れを「地震動」と呼ぶ。すなわち、岩盤に応力(ストレス)が加わることによって当該岩盤内の一定範囲がひずみ、ストレスが岩盤の強度の限界まで達すると、そのひずみ(ストレイン)が解放され、岩盤が破壊されて破壊面に沿って動き、地震が発生して、地表面では地震動が生ずるのである。
 このような破壊は岩盤の中のある点から始まり*2、破壊面が一定の方向(基本的には応力の働く方向と45度傾いた方向)へ急激に成長・拡大するような形で発生する。地震波は震源断層面の全体から発生して全方位に伝搬するため、震源断層面の大きな地震ほど放射される地震波が強くなり、地震動も大きくなる。よって、震源断層面がどの程度の大きさであるかは、地震動の強さを判断するうえで極めて重要な要素である。

 *1 これを「震源断層運動」という。
 *2 このように岩盤内で破壊の始まる点が「震源」と呼ばれる。

 (2) 地震を発生させる力

 ア リソスフェアとアセノスフェア

 上記のとおり、地震は岩盤に力が加わることによって発生するものであるが、その力の源は、いわゆるプレートテクトニクスによって説明される。
 我々は地球の固体部分の表面で生活しており、地球をゆで卵で例えれば、それはちょうど卵の殻に相当する部分になる。その「殻」は「リソスフェア(lithosphere)」と呼ばれ、比較的硬く、厚さは70~150キロメートル程度(一番上部には地殻と呼ばれる部分がある)であり、大小数十枚に別れた状態で地球表面を覆っている。その1枚1枚を「プレート」と呼び、日本付近には、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートと、合計4つのプレートが集中し、接していると考えられている。
 リソスフェアの下の深度100~300キロメートルの間には、「アセノスフェア(asthenosphere)」と呼ばれる、物質が部分溶融し、比較的流動性を有している部分が存在している*3。マグマは、ここで発生する。

 イ プレートの移動によるプレートの境界での地震の発生

 アセノスフェアから熱い岩が上昇して冷え固まることでプレートが生産され、それが継続することによってプレートが更新され、移動していく*4。他にも、プレートが出会って押し合う境界部分や、一方のプレートの下に他方のプレートが沈み込み、アセノスフェアまで潜り込んでいる境界部分もある*5
 海洋底を移動してきたプレートが潜り込む部分では、陸側のプレートの端を引きずり込んで沈降させようとする力が働くため、場所によっては陸側プレートの端が大きく引きずり込まれている。それが割れて跳ね上がると巨大地震となり、また、海底でプレートが跳ね上がるため、大津波が発生することもある。このようにプレートが潜り込む部分で発生するのが、「プレート境界型地震」である。

 ウ プレート移動の圧力による内陸での地震の発生

 また、プレートが出会う境界には、生産されるプレートに押し出されることで圧力がかかり、岩盤が圧縮される結果、陸側プレート内にひずみがたまっていく。このひずみによって発生する地震を、「内陸型地震」と呼ぶことにする。

 *3 リソスフェアのさらに下部には、「メソスフェア(Mesosphere)」と呼ばれる流動性のほとんどない部分が存在している。
 *4 このように、プレートが対流するマントルに乗って移動していくと説明するのが、プレートテクトニクス(プレート理論)であある。
 *5 プレートが海の中で潜り込むとき、そこには「海溝」(大洋底の水深6000メートル以上の細長い谷地形)や「トラフ」(海溝よりも浅い谷状の部分)と呼ばれる、細長く深い海底の谷ができる。南海トラフ地震にいう「トラフ」も、このことである。

 (3) 地震の種類

 このような地震は、その発生するプロセスの違いからいくつかの種類に類型化することができる。

 ア プレート境界型地震

 上記で述べたように、プレート同士のひずみによってそれらの境界で発生する地震であり、2011年の東北地方太平洋沖地震が典型である。

 イ プレート内地震(内陸型地震)

 プレート境界から離れた箇所で震源断層面がずれることによって発生する地震であり、1995年の兵庫県南部地震が典型である。
 この場合、震源は深さ10~20キロメートル地点にできることが多く、概ねマグニチュード7前後の大地震において、震源断層面が地表に到達し、地表地震断層として現れる場合がある。現代の地質・地形学の分野では、陸上や海底に存在する断層のうち、「極めて近き時代迄地殻運動を繰返した断層であり、今後も尚活動す可き可能性の大なる断層」(多田文夫「活断層の二種類」:1927年)を「活断層」という*6。その部分は既に一度破壊された面であるため、岩盤にストレスがかかり続けてその面の持つ固着力を超えた場合*7、再び震源断層面がずれ、再度大地震を発生させることになる。その意味で、活断層は過去に震源断層運動を繰り返してきた証であって、将来もそこで大地震が起こる可能性は極めて高い。
 ただし、逆に言えば地表に姿を現す活断層はごく一部であり、震源断層面が全て活断層として特定されているわけではなく、未知の震源断層面も無数に存在する。しかも、震源断層面のない場所であっても新たにそれが発生するおそれのあることは震源断層面の生ずるプロセスを見れば自明である。よって、既知の活断層が存在しない場所でも、あるいは震源断層面すら存在しない場所であっても、地震は発生しうるのであり、こうした点を踏まえれば、「活断層が地震を起こす」という表現は正確ではない。
 なお、発生する地震のマグニチュードは活断層の長さと相関関係があり、活断層の長さが20キロメートルであればマグニチュードは7. 0程度、40キロメートルであれば7.5程度、80キロメートルであれば8.0程度の規模の地震となる。よって、想定した活断層の長さと実際に動いた活断層の長さとが一致していない場合、想定した地震規模よりも大きな規模の地震が発生することになるのである。

 *6 もっとも、ここでいう「最も近き時代」とは地質学的な意味であり、一般的に新生代第四紀(現在の定義では258万年前から現在まで)以降を指す。これに対して平成24年10月23日、原子力規制委員会は、原発の耐震設計上考慮すべき活断層の定義を「過去40万年間に活動したもの」と改めているが、一見して明らかであるように、なお地震学における通説的理解からは大きく外れている。
 *7 岩盤のずれは断層面全体にわたって一様に生ずるのではなく、大きくずれるところとほとんどずれないところとがある。震源断層面にあり、通常は強く固着していて歪みを蓄積し、あるとき急激に大きくずれて地震波を出す領域を「アスペリティ」と呼ぶ。このため、アスペリティのサイズが大きくなれば、放射される地震波も多くなり、巨大な地震となる。

 (4) 地震の大きさを表す単位

 ア マグニチュード

  (ア) マグニチュード(M)

 地震の規模を表す指標として一般に用いられるマグニチュード(M)は、通常、考案者の名を冠して「リヒター・スケール」と呼ばれるものであり、地震計の最大振幅A(μm)を震央からの距離100キロメートルのところの値に換算したものの対数を用いて決定される。よって、地震波の振幅が10倍大きくなるごとに、マグニチュードが1ずつ上がることとなる。

  (イ) モーメントマグニチュード(Mw)

 「リヒター・スケール」によるマグニチュードの欠点は、概ねM7~8程度を超える規模の地震についてMの値が頭打ちとなってしまい、正確に算出できないという点にある。この点を改善するために用いられるようになったのが、地震モーメント*8の対数を用いて決定される「モーメントマグニチュード(Mw)」である*9

  (ウ) 気象庁マグニチュード(Mj)

 その他、日本の気象庁が独自に用いている値として、気象庁マグニチュード(Mj)がある。
 これは速報性に優れるが、基本的には「リヒター・スケール」によるマグニチュードと同様の算出方法であるため、やはりマグニチュードが頭打ちとなって巨大地震に対応しにくいという欠点がある。実際、東北地方太平洋沖地震の際は、発生当日に発表された気象庁マグニチュードは速報値で7.9、暫定値で8.4であったが、後日発表されたモーメントマグニチュードは9.0であった。

 イ 震度

 地震の規模を表すマグニチュードに対し、ある地点での地震による揺れの大きさを示す指標が、震度である。
 原則として震源からの距離が遠いほど震度は小さくなるが、地表付近の地盤の固さや地下の構造の違いによって揺れが増幅したり減衰したりするため、観測地点によって震度に差が生ずることもある。また、原則としてマグニチュードが大きな地震ほど震度も大きいという比例関係にあるが、地盤の固さや震源の深さなどにより最大震度は比例関係から外れる場合もある。
 日本では気象庁震度階級が用いられており、震度0から7までに分かれている(震度5及び6は、それぞれ「強」と「弱」にさらに分かれる)。

 ウ ガル(gal)

 ある地点での地震による揺れの大きさを表す指標として震度があるが、厳密さ・詳細さには欠けているため、より厳密な指標として、地震動の加速度を表すガル*10が用いられる。
 これは一秒間にどれだけ速度が変化したかを表す加速度の単位であり、加速度すなわち速度が変化したということは、当該物体に対して力が作用したことを意味するから、ガルは人間や建物にかかる加速度の大きさを表す指標でもある*11。同じ地震でも観測地点の位置や対象物によって異なる値となることは、震度と同様である。ガルは大きいほど揺れが激しいことを示すが、震度や被害は建物の構造や地震動の継続時間などによっても大きく影響を受けるため、ガルの大きさとこれらとは直接結び付くわけではない。
 地球上の物体には常時重力による力が働いているため、地上で物体が自由落下するとき、当該物体には重力による加速度が発生し、その値は約980ガルである*12。よって、地震によって生じた加速度が重力加速度980ガルを超える場合、その物体は瞬間的に無重力状態となり、さらにガルが大きくなれば、重力とは反対方向(すなわち直上)に向かって飛び上がることとなる。
 地震による揺れの尺度の一つであるガルに着目して地震動の強さを見た場合、岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日)の際に観測されたとされる4022ガルが地震による世界最大の加速度であるといわれるが、一般財団法人国土技術研究センターの公開する別図1によれば、2004年の新潟県中越地震では1678ガルが、2007年の中越沖地震では柏崎刈羽原発で1699ガルが、東北地方太平洋沖地震では最大で2765ガル(宮城県栗原市築館)、その他にも1807ガル(宮城県仙台市)や1284ガル(宮城県大崎市古川大宮)が観測されたとのことである。その他、1993年の北海道南西沖地震でも1576ガルが観測されたとされている。
 さらに、1984年の長野県西部地震では、1キロ×3キロという限られた範囲ではあるものの、埋まっていた石が飛んで移動していたことを京大防災研の研究者らが報告している。埋まった石が飛ぶためには、当該研究者らの計算・実験結果によれば、15000ガル以上の加速度が働くことが必要とのことであり、観測・測定等はされていないものの、これまでの各大地震で数1000~10000を超えるような加速度が発生していた可能性は十分に存在する。

 *8 地震モーメント(Mo)とは、断層運動の力のモーメント(エネルギー)の大きさを表す値であり、つまり地震によるずれの総量を示す値である。
  断層面の剛性率をμ(Pa)、震源断層面積の合計をA(m×m)、断層全体での変位(すべり)量の平均値をD(m)としたとき、地震モーメントMo(ニュートンメートル〔N・m〕)は、Mo=μADによって表される。よって、震源断層面積の大きさや断層全体での変異の量は地震モーメントを決定する要素であり、モーメントマグニチュードを決定する要素でもある。
  なお、東北地方太平洋沖地震の地震モーメントは、4.0×10の22乗ニュートンメートル程度であるとされている。
 *9 地震モーメント(Mo)とモーメントマグニチュード(Mw)との関係は、Mw=(logMo-9.1)/1.5のように表される。
 *10 ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)にちなんだもの。速度が毎秒1センチずつ速くなる加速状態を1ガルと定義される(1gal=1cm/sec×sec)。
 *11 「物体に力が働くとき、物体には力の同じ向きの加速度が生じる。その加速度aの大きさは、働いている力の大きさFに比例し、物体の質量mに反比例する(すなわち、a=F/m)」というのがニュートンの運動第二法則である。このように加速度と力は比例する関係にあることから、加速度が大きいほど物体にかかる力は大きくなる。
 *12 これを「1G(ジー)」と呼び、例えば月の重力は約1/6Gである。

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2 内陸型地震

 上記で述べた内陸型地震について、やや敷衍して述べる。

 (1) 大地震は活断層が特定されていない場所でも発生すること

  ア 活断層の特定されてこなかった場所で繰り返し大地震が発生してきたこと

 活断層として特定されている断層は震源断層面のごく一部であることなどの理由により、大地震は活断層の特定されている場所でのみ発生するわけではなく、特定されていない場所であっても大地震の危険性は優に存在する。実際にこれまでにも、活断層が確認されていなかった場所で、以下のとおりM7を超える大地震が数多く発生している。

  •  陸羽地震(1896年8月31日):M7.2
  •  宮城県北部地震(1900年5月12日):M7.0
  •  秋田仙北地震(1914年3月15日):M7.1
  •  北丹後地震(1927年3月7日):M7.3
  •  鳥取地震(1943年9月10日):M7.2
  •  福井地震(1948年6月28日):M7.1
  •  北美濃地震(1961年8月19日):M7.0
  •  兵庫県南部地震(1995年1月17日):M7.3
  •  鳥取県西部地震(2000年10月6日):M7.3

  イ 活断層が確認できない場所で大地震が生じる原因

 活断層が確認できない場所で大地震が生じる原因としては、以下の点も指摘されている。

   (ア) 浅い大地震でも地表に地震断層が残らない場合があること

 浅い大地震が起こっても、震源断層面の上端がその後の地表面の堆積により地下に埋まってしまい、地表に地震断層が見られない場合がある。そのような事象が続くと、地表のズレの累積が生じないため活断層が見つからないこともある。

   (イ) 地表地震断層が浸食されて消滅する場合があること

 もう一つの場合として、あるときに大地震が起こり、地表地震断層が出現したが、次の大地震が起こるまでに非常に長い時間が経過したことにより、雨風や洪水で浸食され地表のズレが消えてしまうというケースがある。
 多雨で湿潤な日本列島では、至るところで上記のような現象が起こりうる。変形の蓄積速度が小さく大地震の発生間隔が長い場所では、上記の現象が繰り返され、地表のズレが累積することがないため、活断層と認識されないこともある。

   (ウ) 地震学会における通説

 地震学会でも、日本においては、いつ、いかなる場所でM7を超える大地震が起きてもおかしくないということは通説とされている。
 例えば福島第一原発事故について国会が設置した原発事故調査委員会の委員を務める神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は、耐震設計審査指針の「震源を特定せずに想定する地震動」に関して、M7クラスの内陸地震はどこでも起こりうると考えるべきであるとの意見を述べているところである。また、2002年6月12日に開かれた中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」においても、「地表に現れた地震断層は活断層に区分されるものもあるが、M7.3以下の地震は、必ずしも既知の活断層で発生した地震であるとは限らないことがわかる。したがって、内陸部で発生する被害地震のうち、M7.3以下の地震は、活断層が地表に見られていない潜在的な断層によるものも少なくないことから、どこでもこのような規模の被害地震が発生する可能性があると考えられる。」としている。なお、同会議において、M7.4以上の地震についても、必ず地表に現れている活断層で発生するとは言い難いとの指摘もある。

  ウ 小括

 以上のとおり、日本では活断層が確認されていない場所で大地震が発生した事例が多数存在し、いつ、いかなる場所で大地震が起きてもおかしくないという理解が地震学会の通説である。
 原子力発電所の事故が万が一にも生じないようにするためには、このような地震*13も当然想定し、対処しなければならない。もちろん大飯原発においても、少なくとも過去の最大規模の地震を想定し、これに耐えられるよう設計されるべきは当然のこととなるのである。

 *13 このような地震を、「震源を特定せず策定する地震動」と呼称し、原子力発電所の耐震設計においても適切に評価することが求められている。

 (2) 特定された活断層で再び大地震が発生するには一定の周期があること

  ア 広範囲で歪みが1×10のマイナス4乗に達した場合には大地震が発生する可能性が高いこと

 上記のとおり、内陸型地震とは、プレート境界から離れた箇所で震源断層面がずれることによって発生する地震をいい、岩盤にストレスがかかり続けて震源断層面の持つ固着力を超えることによって再度大地震が発生することになるが、どの程度のストレスが岩盤にかかれば固着力を超え、破壊が発生するかという点については目安が存在する。すなわち、地盤に力が加わり続け、同地盤に生じた歪みが遅くとも1×10のマイナス4乗に達した場合(1メートルの長さのものであれば、0.1ミリ縮んだ状態)、破壊が発生して地震となると言われているのである*14
 そのため、一度地震が発生してこの歪みが解消されても、一定期間の経過によって再び同程度の歪みが蓄積すれば、再度地震が発生することになる。これが地震の周期性であり、地震予知の1つの根拠ともなっている。

  イ 近畿地方で想定される大地震の周期

 国土地理院の述べるとおり近畿地方では東西方向に縮み(歪み)が発生しており、その進行は約1×10のマイナス7乗/年である(すなわち、1年で100キロメートルの距離が1センチずつ縮んでいることとなる)。そうすると、単純計算で、100年が経過すれば歪みが1×10のマイナス5乗に、1000年が経過すれば歪みが1×10のマイナス4乗になるため、近畿地方では遅くとも1000年周期で大規模な地震が発生することになるのである。
 この例として、国土地理院がホームページで公開している基線変化グラフのうち、福知山-彦根間(約100キロメートル)の基線変化グラフを以下に示す〈基礎変化グラフ 省略〉。同グラフが示すとおり、福知山-彦根間は毎年1センチ弱ずつ縮み続けており、東北地方太平洋沖地震によって多少解消されたものの、現在もなお相当程度の歪みが蓄積していることが分かるのである。近畿地方において1000年余りに1度程度の頻度で大地震が発生することは、数値上も明らかなのである。

 *14 通常の岩石実験の場合、歪みが1×10のマイナス3乗から2乗程度に至った段階(1メートルの長さのものであれば、1ミリないし1センチ縮んだ状態)で破壊が発生することが多い。
 しかし地震の場合、1927年の丹後地震の調査では3×10のマイナス4乗の歪みが発生していたと推測され、その後の調査でも概ね1×10のマイナス5乗から4乗程度の歪みで震源断層面がずれることが確認されている。岩石の場合よりも小さい歪みで震源断層面がずれる理由は、実験に用いられる岩石が均質で割れ目がないのに対して、地殻は物理的性質の異なる様々な岩石の集合体であり、過去に一度ずれた弱い部分も含むからである。

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3 津波

 (1) 津波とその特徴

 津波は、地震や火山活動によって海底地形が急激に変化した場合に、その動きに合わせて海水が大規模に動くことで海洋に生ずる大規模な波の伝搬現象である。海底が急激に隆起した場合、それとともに海面が盛り上がり、盛り上がった海面は重力の作用で元の状態に戻ろうと上下動を繰り返すため、その部分から周辺へと津波が広がっていくこととなる。
 津波には波高が巨大になりやすいという特徴があり*15、通常の波とは異なり海水が巨大な塊となって移動する現象であるため運動エネルギーも巨大となり、しかも海岸に接近して海底が浅くなるにつれて波高が高くなるという性質を有する。津波が陸地に到達すると、まず数分ないし数十分間にわたって波が押し寄せ続け(これを「押し波」という)、その後逆に海洋に戻ろうと海水が引き寄せられ(これを「引き波」という)、かつこれらが繰り返されることによって、建物、物品、動植物、そして人間を押し流し、大きな被害を発生させることになる。

 *15 津波が海岸に近づくと水深が浅くなるため速度は遅くなるが、他方で津波の後方ではまだ水深が深いままであるため速度が落ちておらず、前方の津波に後方から来た津波が乗り上げるような形になり、波高がどんどん高くなるのである。  その高さは水深の4乗根に反比例し、例えば水深4000メートル地点で高さが1メートルでも、水深40メートル地点では高さ3メートル余り、海岸では高さ約5メートルになる計算となる。

 (2) 津波の高さは諸条件によって大きく異なり得ること

 地震の規模と津波の高さとは必ずしも一致せず、しかも津波の高さは海岸付近の地形によって大きく変化し、津波が陸地を駆け上がる(遡上する)こともあるため、どのような地震であっても巨大な津波が発生するおそれは十分にある。
 さらに、リアス式海岸などの岬の先端やV字型の湾の奥などの特殊な地形の場所では、周囲から回り込んだ波が集中して重なり合うため、著しく高い波が発生することが知られている*16。前者は、津波には常に水深の浅い方へと向きを変える性質*17があるところ、岬の先端ではその形に沿って前方に浅い海が広がっていることが通常であり、そのような浅い部分で曲がった津波が岬の先端部分に集中する結果、波が重なり合うことによって著しく高い波が発生するためである。後者も、V字型の奥へと波が集中するため、重なり合いによって波が高くなることは同様である。〈岬の先端に津波が集まるようすの図 省略〉

 *16 大飯原発の立地する若狭湾は典型的なリアス式海岸であり、大飯原発は若狭湾大島半島の先端に位置する。
 *17 速度の遅い方へと曲がる性質を有する波としての基本的性質を津波も有するところ、水深の浅い方が伝搬速度が遅いため、津波は水深の浅い方へと曲がるのである。

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◆原告で,宮本憲一 元滋賀大学学長・大阪市立大学名誉教授(環境経済学)による意見陳述

予防の原則から運転停止を

福島原発災害は史上最大最悪の公害である。これまで日本史上公害の原点といわれた足尾鉱毒事件は鉱害によって農漁業に被害が発生しただけでなく、反対した谷中村が廃村にされ,流浪の民を出したことが、最も大きな悲劇とされてきた。今回の原発災害はそれ以来始めて2市7町3村の15万人を超える住民が放射能公害によって強制疎開に会い、その多くの人々が故郷に帰ることはできず、おそらく永久に廃止される自治体も生まれるであろう。これは水俣病など戦後の深刻な公害事件にもない足尾鉱毒事件以来の最悪の公害といってよい。このような原発の被害が続き、その全貌が把握できず、その原因の究明が終わらず、またその対策が汚染水防止や除染作業のめどが立たず、経済的被害の救済も始まったばかりの状況の下で、大飯原発の運転が再開されることは、環境政策の予防の原則から許されることではない。

予防の原則は1992年国連リオ会議で採択された「リオ宣言」の第15原則で採用された。「環境を保護するための予防的方策は各国により、その能力に応じて広く適用しなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きな対策を延期する理由としてはならない。」近年ではこの予防の原則がPPP(汚染者負担原則)や拡大生産者責任原則とともに、公害対策やリスク防止の基本原則となっており、欧米では具体的な適用がされている。最近の水俣条約{水銀使用禁止の国際条約}もその例であろう。大飯原発の運転再開は明らかに予防の原則を踏みにじる暴挙であり、再開の停止を要求する。

私は1964年に『恐るべき公害』(庄司光共著、岩波新書)を出版して以来環境問題を研究してきたが、その歴史的教訓と予防の原則に立ち、次の5点から、大飯原発の運転再開に反対である。

第1に原発事故は企業と政府が原発の安全神話を信じ、予防を怠った明らかな失敗で、いまだに放射能公害を規制できる法制や行政が確立していない状況の下で、今日の再開はさらに大きな失敗の繰り返しとなろう。1967年公害対策基本法ができる時に、学界だけでなく、政治の分野からも放射能汚染を公害に入れて規制すべきであるという声が強かった。国会では論議になり、政府も放射能汚染は公害として規制することは法案の中で認めたが、実際の運用は原子力基本法などの関連法に任せた。これは原発の安全を規制官庁から推進官庁にゆだねることになった。このことはその後も問題になり、1993年環境基本法制定の際も、野党の対案では、チェルノブイリ事故を踏まえ、原発の段階的解消が明文化されていた。しかし政府はこの要求を無視し、環境基本法でも公害対策基本法と同じ取り扱いをすることによって、原発の推進を進めた。環境科学の分野では、例えば、1971年から公害研究委員会(代表都留重人)が岩波書店から発行している雑誌『公害研究』の初期から、原発の導入はゲーテの小説『ファースト』のなかでファーストが魂を悪魔に売ったように、人間社会の安全を企業・政府に売りに出す『ファースト的取引』という批判をした。そして事故の起きるたびに原発の停止を要求してきた。これに対し「原子力ムラ」は安全性の神話を掲げ、政府はそれを信じてきた。確率論を土台に原発事故は飛行機の事故などと比べて、確率はゼロに近いので安全であり、エネルギー資源のない日本では原発は絶対に必要であるとし、電源3法などによる政策支援を行ってきた。これまでのスリーマイルズ島、チェルノブイリ、そして福島の事故に見るようにゼロではなく、大事故が一世代に一度は発生し、運転中の事故もかなりの頻度で、発生している。しかもいったん事故が起これば、健康・経済被害に加えて、コミュニティの消滅という取り返しのつかない被害が発生する。また放射能公害はストック(蓄積)公害であって、超長期にわたって被害が発生する。日本は災害多発国であり、中でも地震や津波・高潮は避けがたく、その正確な予測は困難である。つまりいつ起こっても不思議でない高度のリスクを抱えている。いったん事故が発生すればいま目の当たりに見るように膨大な未解決の被害が継続する。しかも放射能被害を公害として規制の対象にしたとはいえ、具体的な基準のための法律も規制組織も未整備である。もしも事故が発生すれば、関西1200万人の水源の琵琶湖の汚染は致命的な被害をもたらす。まだ大飯原発事故に備えた防備施設は完成せず、避難訓練も十分にはできていない。予防の原則からするならば、大飯原発の運転再開は中止すべきである。

第2はこれまで原発は他のエネルギーに比べてコストが安く、経済的に効率が高いとされてきた。しかし大島堅一の研究で明らかになったように、1970~2010年度平均の発電の実際コストは原子力が10.25円/KW時で、火力9.91円、水力7.19円よりも高い。直接コストが比較的安かったのは、これまで原発が政府から研究開発や立地政策について、優先的な援助を受けてきたためである(大島堅一『原発のコスト』岩波新書、2011年、P.112参照)。進行中の事故後の賠償や汚染排除・防止費、さらに放射能廃棄物の処理費などを加えるとさらに原発のコストは高くなるであろう。あえて再稼働せねばならぬ理由は、国民経済の問題でなく、関電など電力企業の問題である。

第3は原発を再稼働させなくても、経済は正常に動いている。夏の電力需要のピークも乗り切っている。これは節電が効果を上げたためである。まだまだ節電の余地はある。さらに原発の代替は最も安全で、環境への負荷の少ない再生可能エネルギーの開発によって可能である。日本は再生可能エネルギーの技術では世界のトップクラスだが、これまでの政府と電力業界の原発依存の政策のために実業化が著しく遅れ、エネルギー源の1%にしか達していない。この再生可能エネルギーの開発に当たっては価格支持制度だけではなく、分散する供給源が自立できるように発電と送電の分離が必要であり、9電力の独占体制の改革が必要である。供給主体をドイツの様に供給主体が協同組合や自治体(公社)となって、分権化して、地域に分散するシステムが必要となるがすでに飯田市などで始まっている。

第4に原発は放射能廃棄物の処理やリサイクリングが不可能あるいは著しく困難な産業であることだ。これは原発が科学技術的に致命的な欠陥を持っていることを示している。「トイレなきマンション」のようだという比喩はぴったりしている。ドイツの倫理委員会の原発廃止の最大の理由はこの放射能廃棄物の処理の困難と後の世代に半永久的に持続する危険性が倫理的に許せないということにある。仮に事故がなく、運転が安全だとしても、放射能廃棄物は10万年以上にわたって、被害を出す可能性がある。総合資源エネルギー調査会はバックエンドコスト(原発の解体・廃炉や放射能廃棄物の処理・保管にかかわる費用)を18兆8000億円としている。このコストが仮に電力費に算入できるとしても、放射能廃棄物が将来世代に及ぼす影響を無視することはできない。これは市場の論理で判断すべきことでなく、将来世代に対する責任の倫理の問題である。

第5に原発立地の市町村の経済・財政の問題である。原発立地が肯定される理由の一つは、過疎地域の振興における原発の役割である。田中内閣が電源3法を作った時に、立地反対の声を説得し、地元の地域開発にはあまり役に立たぬ危険施設を認める迷惑料として交付金制度が作られた。この交付金と原発の固定資産税が、街の経済・財政を膨張した。原発のエネルギーは大都市圏に送られ、地元は原発関連産業以外の地域開発は進まなかった。立地町村の産業構造は他の地域と比べると、3次産業に偏り、農漁業や製造業などは小さくなっている。固定資産税のうち最大の償却資産税は16年間で、ゼロになる。他方、財政が膨張した時代に作った施設の維持費が負担となり、財政は周期的に危機になる。このため、再び三度原発の誘致が行われた。他の国に例を見ないような、特定地域に原発基地が密集したのは、この原発による地域開発の構造にある。しかしこのような地域開発が、いつまでも持続できるわけはない。原発立地のような差別的な政策はやめ、持続可能な内発的な発展への模索ができるだけ早い機会に必要なのである。

◆原告第1準備書面-国際水準の安全対策の不備-

原告第1準備書面-国際水準の安全対策の不備-

2013年(平成25年)11月28日

  第1準備書面[265 KB]

目次——————————————–

第1 はじめに

第2 原子力安全対策の不備
 1 深層防護という考え方
 3 世界に遅れた日本の安全対策
 4 小括

第3 大飯原発を再稼働させてはならない
 1 新規制基準
 2 強引な大飯原発3・4号機の稼働
 3 小括

本文——————————————–

第1 はじめに

 訴状第1乃至第3で詳しく述べたとおり、原発は、放射線被ばくによる危険という特有の性質をもち、ひとたび事故が発生すれば、取り返しのつかない大きな被害が発生する。
 福島第一原発事故は、深刻な事故は万が一にも起こらないという「安全神話」が幻想であることも明らかにした。そして、同事故は、原発の根本的な危険性(訴状12頁第2)に起因し、人口が密集して巨大地震が多発する日本においては、安全性を満たした原発は存在し得ないことをも明らかにした。
 それにもかかわらず、国、関電が、現在なお、日本で求められる安全性よりも低い水準であるはずの国際水準すら充たさないまま、大飯原発を再稼働させようとしていることについて以下に述べる。

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第2 原子力安全対策の不備

1 深層防護という考え方

 (1) 世界的には、原子力安全対策において、「深層防護(Defense in Depth。多層防護、多重防護と訳されることもある)」がもっとも重要な指導理念とされてきた。深層防護とは、多重に安全防護のための障壁を備えることを意味する。

 (2) 深層防護が有効に機能するためには、①「階層間の独立」と②「前段否定の論理」が充たされなくてはならない。
 まず、①階層間の独立」とは、深層防護の各階層で、前後の階層に依存することなく最善の安全対策を尽くすべきであるという方法論である。
 つぎに、②「前段否定の論理」とは、各階層で最善を尽くして完璧に近い防護対策がなされているところに、あえて防護対策が破られると仮定し、防護対策を講じるべきであるという方法論である。例えば、第5層(後述)の防災対策の準備がこれに当たる。原子力発電所では、完全に安全と断言できる状態を目指して努力をする一方で、万一の事故を想定して、原子力災害に備えた準備をすることで、放射線の放出による市民の健康被害を回避できる。(甲32:国会事故調参考資料237頁より)

 (3) 深層防護の内容
 世界の原子力の安全に対する考え方は、スリーマイル島などの原発事故の教訓を経て進歩してきた。特に1986年のチェルノブイリ事故後、深層防護の概念は、万一の事故が起こった場合の対策をも考慮したものとなった。つまり、世界的には、福島第一原発事故の以前から、「安全神話」など存在しなかったのである。
 以下、国際機関であるIAEA及び世界一の原発立地国である米国の例を示す。

  ア IAEAの5層の深層防護
 IAEA(原子力の平和利用のため、国連による協議を経て設立された国際原子力機関)は、1990年代後半には、下記のような5層の深層防護の概念を提起していた(甲33:政府事故調核心解説86頁表3-1より。ただし( )内は原告らにて補充)。

 防護レベル  防護の対象・目的
第1防護レベル(第1層) 通常運転からの逸脱の防止
第2防護レベル(第2層) 異常事象の検知・事故への進展の防止
第3防護レベル(第3層) 設計基準事故時(設計時において想定・考慮された事故)の影響緩和
第4防護レベル(第4層) 過酷事故(設計基準事故を大幅に超える事故。シビアアクシデントともいう)への対応
第5防護レベル(第5層) 事故に起因する放射性物質の放出への対応

  イ 米国の6層の深層防護
 米国では、NRC(アメリカ合衆国原子力規制委員会)が、1994(平成6)年には第5層の深層防護の考え方を提起していた。その後、さらに第6層として「立地」を定義し、地震や、内部火災、強風・トルネードなどの外的事象を考慮するようになった(甲3:国会事故調報告書118~119頁)。
 以下、国会事故調査報告書(甲3)118頁の図を引用する。

3 世界に遅れた日本の安全対策

 (1) 国会事故調査委員会及び政府事故調査委員会は、いずれも、福島第一原発事故の時点で、日本における安全対策が不十分であったと指摘している。
 具体的には、まず、日本においては、IAEAの5層の深層防護の第1~3層にあたる対策しか考えられておらず、第4層の過酷事故対策については事業者の自主目標にすぎなかった。しかも、「決して第3レベルまでの深層防護も十分に講じられていたとみなすことはできない」と評価されている(甲33:政府事故調核心解説87頁)。  また、第5層について実効的な対策が講じられていなかったことにより、事故発生後の国の対応は混乱を極め、住民の被害は拡大した(甲3:国会事故調報告書第3、第4部)。

 (2) もっとも、日本においても、深層防護という指導理念が理解されていなかったわけではない。
 1998(平成10)年4月から2000(平成12)年4月まで原子力安全委員会委員長を務めた佐藤一男は、2006(平成18)年に「改訂 原子力安全の論理」という著書を発表し、一般の読者を対象に、深層防護の概念に基づいた原子力安全の考え方を詳しく解説している(甲34:「原子力安全の論理」51~53頁)。つまり、国は、早い段階で深層防護の必要性を認識していたのである。

 (3) ではなぜ、日本は、大きく法規制が遅れたのか。両調査委員会は、ともに、福島第一原発事故の原因は「人災」であるとして、この点を詳細に検討している。ここでは、過酷事故対策が自主目標とされた原因として、国が訴訟リスクを回避するためにあえて法規制を行わなかった事実に言及する箇所を以下に引用する。

 第1は、訴訟リスクの回避である。すなわち、1970年代から本格化した原子力発電所の建設を巡って、各地で原子炉設置許可処分の取り消しを求める行政訴訟が起こっていた。国側は、訴訟において現行規制で原子炉の安全は十分確保されているとの論理を展開した。そのため、新たに過酷事故対策を法令・規制要求事項とすると、現行の規制には不備があり、建設された施設にも欠陥があるということになってしまい、裁判の展開に悪影響が出るという判断があったのである。(甲33:政府事故調核心解説 90~91頁)

 規制当局は訴訟提起の可能性の有無によって法規制に技術的知見等を反映するかどうかを決めるといった、本末転倒な判断を行いがちになり、規制当局の姿勢にゆがみが生じた。(甲3:国会事故調報告書533頁「6.1.2 原子力法規制の在り方の視点」)。

4 小括

 以上、日本の原子力安全対策が、深層防護の概念という世界標準の安全対策から大きく後退していたことを述べた。そして、国、東電において、万が一にも事故を起こさないという対策が不十分であったばかりか、事故が起こったときの備えも欠いていたことを明らかにした。つまり、日本においては、市民の安全という、本来の原子力安全対策の目的が忘れ去られ、既存の原発の稼働に差し支えない範囲の対策しか検討されなかったのである。
 もっとも、深層防護の概念は、あくまで理論上のものにすぎない。特に、福島第一原発事故のように、原発施設外の自然現象を原因とし、それとの複合的な被害が発生する事故に対しては、深層防護の概念に基づく有効な対策の実現は非常に困難、あるいは不可能というべきであろう。例えば、地震や津波により建物が倒壊し、道路が寸断されるという状況の中で、事故の発生を防ぎ、また、周辺住民を迅速・的確に放射線汚染から避難させることは不可能に近い。国、及び、大飯発電所周辺自治体(おおい町、高浜町、舞鶴市、宮津市、及び、綾部市)による災害時の避難計画(方法)が実施困難なものである点については、次回以降詳述する。

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第3 大飯原発を再稼働させてはならない

 福島第一原発事故は、安全であると喧伝されてきた日本の原子力施設が、地震、津波等自然災害に対して必要な耐性を有していなかったことを明らかにしただけでなく、日本の原子力安全対策全体の不備をも明白にした。
 しかしながら、被告国も被告関電も、いまだ最低限の安全対策すら備えないまま、大飯原発を強引に稼働させ、また再稼働させようとしている。

1 新規制基準

 2013(平成25)年7月8日に施行された新規制基準は、国が策定すべき法規制の一部にすぎない。これをもって、原子力の安全対策が整備されたなどとは、到底いえない。
 すなわち、新規制基準は、原発施設の設計上の安全を評価するためのものである。市民の安全にとって重要な、IAEAの深層防護の第5層にあたる原発施設外の安全対策は、いまだ未整備である。例えば、原発周辺自治体の住民の避難計画の策定は進んでいない(甲35:日経新聞記事)。また、福島第一原発事故時に問題となった被ばく医療体制も、見直しがはじまったにすぎない(甲3:国会事故調査報告書4.2.3病院の全患者避難、甲36:朝日新聞記事)。

2 強引な大飯原発3・4号機の稼働

 大飯原発3・4号機は、新規制基準策定の前に、政治判断によって稼働させた唯一の原発である(訴状54~55頁)。
 そればかりでなく、被告国も被告関電も、大飯原発3・4号機が新規制基準にすら適合していないことが明らかとなってもなお、稼働を停止するという判断を行わなかった。
 すなわち、大飯原発第3・4号機については、2013(平成25)年4月19日から6月24日まで、原子力規制員会において「大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」が開催され、事実上の事前審査が行われていたのである。そして、新規制基準施行直前の同年7月3日、「関西電力㈱大飯発電所3号機及び4号機の現状評価書」(甲37:以下「現状評価書」という)が、原子力委員会において承認された。
 この現状評価書では、結論において、「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」とされてはいるものの、「新規制基準施行後審査においては対応すべき課題があり、これらに対し適切に対策を講じることが必要である。」と評価された(甲37:現状評価書44頁)。例えば、設計基準に関する評価においては、「いくつかの点において、新規制基準を満たしていない点が認められた。」と明確に指摘されているのである(同45頁)。

3 小括

 以上のとおり、新規制基準すら満たさないまま、強引に大飯原発第3・4号機を稼働させ続けた被告らの行為は、原告らの安全を侵害する行為である。このような被告らの行為は、到底許されるものではない。
 また、市民の安全への対策は、新規制基準策定のみで達成できるものではない。したがって、被告らは、仮に大飯原発3・4号機が新規制基準に適合したとしても、それをもって再稼働させてはならない。

以上

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◆原告第2準備書面
 -大飯原発における地震・津波の危険性-
 目次

原告第2準備書面
-大飯原発における地震・津波の危険性-

2013年(平成25年)11月28日

 第2準備書面[2 MB]

目次

第1 地震・津波の基礎
 1 地震
 2  内陸型地震
 3 津波

第2 日本及び近畿地方(特に日本海側)における地震
 1 地震大国日本
 2 近畿地方における巨大地震
 3 若狭湾周辺に存在する断層・活断層
 

第3 日本及び近畿地方(特に日本海側)における津波
 1 津波大国日本
 2 近畿地方における大津波
 3 若狭湾周辺で想定すべき大津波  

第4 日本・若狭湾における原発の設置・稼働は許されないこと
 1 日本・若狭湾での原発の設置・稼働の危険性
 2 大飯原発の稼働のさらなる危険性 

第5 活断層上に重要な原子炉施設があってはならないこと
 1  新基準等の内容
 2 大飯原発において指摘される活断層の存在
 3 活断層の存在が否定できない大飯原発の稼働は許されないこと

第6 十分な安全性を備えない原発の設置・稼働は許されないこと
 1 原発に求められる安全性は被害の深刻さや広範さも踏まえて判断されるべきこと 
 2 地震・津波に対して原発に求められる安全性は少なくとも「既往最大」を基準とすべきこと
 3 少なくとも「既往最大」を基準として十分な安全性を備えていない原発を運転することは許されないこと

第7 大飯原発の耐震性等は不十分であり、運転することは許されないこと
 1 大飯原発における地震・津波の危険性
 2 地震に関する新基準の概要と「基準地震動」
 3 大飯原発に関して被告関西電力が策定した基準地震動の概要
 4 被告関西電力の策定した基準地震動は「既往最大」の考え方にさえ立脚 しておらず誤りであること
 5 大飯原発の耐震性は不十分であること
 6 大飯原発の耐津波性は不十分であること
 7 大飯原発の耐震性・耐津波性は著しく不十分であり、直ちに運転が差し止められるべきであること

別紙地震一覧

◆第2回口頭弁論 原告提出の書証

甲第1~31号証
甲第32~37号証(原告第1準備書面関連)
甲第38~58号証(原告第2準備書面関連)

※このサイトでは下記書証データ(PDFファイル)[甲38号証以外]は保存していませんので、原告団の事務局の方にお問い合わせください。


証拠説明書 甲第1~31号証[192 KB]
2013年12月3日

  • 甲第1号証
    コンセンサス2011(電気事業連合会)
  • 甲第2号証
    福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書(一般財団法人 日本再建イニシアティブ)
  • 甲第3号証
    国会事故調報告書(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)
  • 甲第4号証
    文部科学省HP「東京電力株式会社福島第1及び第2原子力発電所周辺の放射線量等分布マップ(平成23年4月)」(文部科学省)
  • 甲第5号証
    「東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故・トラブルに対するINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の適用について」(原子力安全保安院)
  • 甲第6号証
    「排出基準量を超える放射性物質濃度の排水の海洋への影響について」(原子力安全・保安院)
  • 甲第7号証
    「原子力安全」調査専門委員会福島第一原子力発電所事故に関する緊急シンポジウム(平成23年5月21日)クリーンアップ分科会高橋史明の報告(一般社団法人 日本原子力学会)
  • 甲第8号証
    「環境モニタリング結果の評価について」(原子力安全委員会)
  • 甲第9号証
    福島県県民健康管理調査「基本調査(外部被ばく線量の推計)、甲状腺検査」の概要について(福島県「県民健康管理調査」検討委員会)
  • 甲第10-1,2号証
    原発事故の被害と補償(大島堅一・除本理史)
  • 甲第11号証
    「チェルノブイリ原発事故:何がおきたのか」(今中哲二)
  • 甲第12号証
    「原子力緊急事態宣言」(首相官邸)
  • 甲第13号証
    官房長官発表「原子力発電所周辺地域の避難のあり方の見直しについて」(官房長官)
  • 甲第14号証
    第18回原賠審資料「自主的避難関連データ」(原子力損害賠償紛争審査会)
  • 甲第15号証
    復興庁「事故前の居住状況に基づく線量区分毎の人口分布(機械的計算)」(復興庁)
  • 甲第16号証
    ウクライナ国家法(衆議院チェルノブイリ原子力発電所事故等調査議員団報告書より抜粋)(調査議員団 団長小平忠正)
  • 甲第17号証
    「原子力発電所の事故リスクコストの試算」(内閣府原子力政策担当室)
  • 甲第18号証
    「震災関連死に関する市町村等ヒアリング」における市町村等職員からの意見(復興庁)
  • 甲第19号証
    震災関連死の主な原因(復興庁)
  • 甲第20号証
    新聞記事平成23年4月19日(読売新関電子版)
  • 甲第21号証
    肉用牛繁殖農家及び酪農家の緊急立入調査結果について(農林水産部畜産課)
  • 甲第22-1号証
    新聞記事平成23年10月11日(朝日新聞)
  • 甲第22-2号証
    新聞記事 同上(朝日新聞)
  • 甲第23号証
    「細野環境相記者会見録」(環境庁)
  • 甲第24号証
    今夏の電力需給について(首相官邸)
  • 甲第25号証
    新聞記事平成24年9月5日(朝日新聞社)
  • 甲第26号証
    平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査 概要(環境省)
  • 甲第27号証
    環境への取組み~電気を作るとき~火力発電の熱効率維持・向上(被告関西電力)
  • 甲第28号証
    京都府高浜原発飛散予想(1~4月)(京都府)
  • 甲第29号証
    京都府高浜原発飛散予想(5~12月)(京都府)
  • 甲第30号証
    原子力規制庁シミュレーション(原子力規制庁)
  • 甲第31号証
    首相官邸ホームページの印刷文書 平成25年6月11日(内閣官房内閣広報室)

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証拠説明書 甲第32~37号証[56 KB](原告第1準備書面関連)
2013年12月3日

  • 甲第32号証
    国会事故調査報告書―参考資料(東京電力福島原子力発電所事故調査)
  • 甲第33号証
    福島原発事故はなぜ起こったか―政府事故調核心解説(畑村洋太郎他)
  • 甲第34号証
    原子力安全の論理(佐藤一男)
  • 甲第35号証
    日経新聞記事H25・10・22(日本経済新聞社)
  • 甲第36号証
    朝日新聞記事H25・11・5(朝日新聞社)
  • 甲第37号証
    関西電力(株)大飯発電所3号機及び4号機の現状評価書(原子力規制委員会)


証拠説明書 甲第38~58号証[152 KB](原告第2準備書面関連)
2013年12月3日

  • 甲第38号証[268 KB] (PDFファル 267KB)
    陳述書(2013年7月2日,同年11月19日訂正版)(竹本修三)
  • 甲第39号証
    衆院経済産業委員会議事録(衆議院)
  • 甲第40号証
    参議院行政監視委員会議事録(参議院)
  • 甲第41号証
    歴史地震の研究(1)(飯田汲事)
  • 甲第42号証
    新聞記事H23.6.16(しんぶん赤旗)
  • 甲第43号証
    新聞記事H23.4.29(福井新聞)
  • 甲第44号証
    新聞記事H23.12.28(中日新聞)
  • 甲第45-1号証
    新聞記事H24.1.11(京都新聞)
  • 甲第45-2号証
    新聞記事H23.12.22(京都新聞)
  • 甲第46-1号証
    新聞記事H24.1.11(朝日新聞)
  • 甲第46-2号証
    新聞記事H23.1.11(しんぶん赤旗)
  • 甲第47号証
    新聞記事H23.12.3(京都新聞)
  • 甲第48号証
    舞鶴市史・通史編(上)(舞鶴市)
  • 甲第49号証
    新聞記事H23.12.11(読売新聞)
  • 甲第50号証
    日本海の未知の大地震による津波のシュミ レーション:若狭湾北方沖の場合(石橋克彦、原田智也)
  • 甲第51号証
    福島第1原子力発電所事故を踏まえた若狭地域の原子力発電所の安全対策の実施状況について(原子力安全・保安院)
  • 甲第52号証
    インターネット新聞記事H23.10.14(読売新聞)
  • 甲第53号証
    インターネット新聞記事H23.12.31(読売新聞)
  • 甲第54号証
    東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告(河田恵昭)
  • 甲第55号証
    インターネット新聞記事H23.8.13(毎日新聞)
  • 甲第56号証
    内陸部の地震による工学基盤の揺れの強さの考え方(中央防災会議)
  • 甲第57号証
    震源断層より短い活断層の長期予測(島崎邦彦東大地震研究所教授)
  • 甲第58号証
    「日本付近のおもな被害地震年代表」(出典:自然科学研究機構国立天文台が発行した「理科年表」平成25年版)(自然科学研究機構国立天文台)

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