◆関西電力 闇歴史◆087◆

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◆関電の小売部門が送配電子会社の情報に不正アクセス
 「電力システム改革」の重要課題に違反
 関電のコンプラ意識がさらに問われる事態
 【付 電力システム改革】

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[4] 大手電力、各社で同じ違法行為がまん延
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 大手電力による顧客情報の不正アクセスは、関西電力のほかに、東北電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力でも報告されている。電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は、大手電力に遠慮して、監視の役割を果たしていない。

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[3] 子会社「関電システムズ」からも不正に情報入手
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 関西電力は2022年10月まで4年半の間、システムの運営などを委託する子会社「関電システムズ」に依頼し、競合する新電力の顧客氏名や、スイッチング(契約切り替え)情報などを不正に入手していた。子会社側は関電の求めに応じ、送配電のシステムから共有を禁じられているライバル社の情報を渡していた。(2022/1/17 報道)

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[2] 電取委への報告で明らかな法令無視の姿勢
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 関西電力は、2023/1/13、社員および委託先社員を対象にしたアンケート調査の結果を発表。電力・ガス取引監視等委員会に報告書を提出。2022年9月から12月にかけての3か月間で、社員および委託先社員730人によるライバル関係にある新電力の顧客情報への不正なアクセスは、あわせて1万4657契約とのこと。このうち関西電力社員239人の4割が「電気事業法上の問題になり得る」と認識していた。社員30人が「関電として提案活動を行うため」と「オール電化」の営業活動に利用していた。関電の松村幹雄副社長は記者会見で「電力の公正な競争を揺るがすことと認識している」と謝罪した。「事業活動よりコンプライアンスを優先するという意識徹底が不十分であった」と。

・関電の「新電力顧客情報の取扱いに係る調査結果の報告について(電力・ガス取引監視等委員会からの報告徴収への報告)2023/1/13」→こちら

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[1] 不正アクセス事件とカルテル事件
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 関電の小売部門が子会社の送配電会社「関西電力送配電株式会社」の情報に不正アクセスしていたという報道があった(2022年12月27日)。この不正アクセス事件は、カルテル事件(◆024◆)と並んで、関電の「電力システム改革」無視、法令無視、倫理観欠如の姿を明らかにしている
【参考】森と暮らすどんぐり倶楽部 ブログ「関電  新電力の顧客情報不正閲覧!」→こちら

 報道では、関電とライバル関係にある新電力の情報が筒抜けだった可能性があり、不正アクセスが常態化していた恐れもあるとされている。電気事業法が禁止する行為として、電力・ガス取引監視等委員会は両社に報告を求める通知を出した。経済産業省は、今回の事態を重くみて、他の大手電力9社についても同様の問題がないかを速やかに調査、経産相は、調査結果を踏まえ適切な対応を取るとのこと。

 しかし、大手電力の意向に沿ってすすめてきた「電力システム改革」の当然の結末の一つだろう。カルテル事件でも、電力・ガス取引監視等委員会(電取委)はその不法行為を見逃していたことになる。どうして電取委は、カルテルにも気づかず、送配電部門の中立性確保ができていないことにも気づかなかったのか。

 新電力の関係者は「やっぱり」「今さら」「氷山の一角」と言うだろう。新電力と契約している客の名前や連絡先、電気の使用量などの情報が関電にもれていれば、関電の小売営業はひじょうに助かるはずだ。関電は、とくに高圧、特別高圧で新電力に流れた顧客を取り返す「取り戻し営業」に力を入れている。

【取り戻し営業】

・いったん関電から離脱して新電力に移った顧客を、再び、関電の契約に引き戻すという,関電の営業政策。とくに、法人の大口顧客の流出に対して、値下げを含めた「取り戻し営業」を強化。
・京阪電気鉄道は、2018年5月、大阪府や京都府を走る「京阪本線」の動力用の電気について、購入先を新電力のエネット(東京)から関電に切り替えた。関電の取り戻し営業が成功した例とされる。
・岩根茂樹社長(2018年当時)は、昨秋(2017年秋)以降の営業の動向について「企業向けでは顧客の取り戻しが離脱を少し上回るようになった」と言っている。
(産経新聞→こちら
安値、値引き攻勢「取り戻し営業」からカルテルへ◆024◆
「関西電力 闇歴史」番外編(1)関西電力 この11年(2022年末)こちら

【関電社内のコンプライアンス感覚】

・ 関電のプレスリリース(→こちら)によると、「本件は、12月9日、当社社員が新電力顧客情報を閲覧できることに気付き、12月13日に関西電力送配電株式会社に照会し、判明したもの」となっている。

「電力システム改革」の中でもっとも重要な課題に関して、当該の電力従業員らは何も知らないのか。知っていても、素知らぬ顔をしていたのか、あきれかえって、言うべき言葉もない。コンプライアンスは、お題目ではない。日々、職場の中で実践されるべき課題なのに、関電とは、何という会社か…分かっていることだが、改めて怒りがこみあがるニュースだ。

・電力システム改革の中で最重要課題の一つとも言える「送配電部門の中立性確保」について、一人の「当社社員」以外、関電社員は何も知らないのか。「12月6日から12日までの1週間で少なくとも329人の関電の営業部門の社員が1327件の顧客情報にアクセス」と報道されている。329人は、何を考えていたのか。自分の営業成績だけか。「行為規制」を知らなかったとしても、知ってて無視したとしても、重大な違反行為だ。

・知らなかったとしても、知っていても無視し続けてきたとしても、関電社内のコンプライアンス感覚がまったく最低レベルであることを示して余りある事態だ。

関電の広報には「厳格な情報遮断」を記載】

・「発送電分離は、小売全面自由化と並ぶ電力システム改革の大きなポイント」として、その「中立性の確保に向けて」の項目では、「日本では中立性を確保する方法として、送配電を行う会社を電力会社とは切り離し別会社とし……両者の間で厳格な情報遮断等を行うというものになります。」とある。

・言葉が踊っているだけ。「厳格な情報遮断」が聞いて呆れる。表面を取り繕うだけで、まるで内容がなく、社外向けの建前広報だけ。

【大手電力は解体して再編を】

・大手電力の権益温存をはかって進められている「電力システム改革」は、カルテル事件、今回の不正アクセス事件で、その限界が明らかになった。

・ 関電の発電部門、小売部門、送配電部門は、それぞれ完全に独立した別の会社にすべきだ(所有権分離)。9電力会社の地域独占の送配電会社は、統合して、全国単一の送配電網に整備すべきだ。
関電解体!

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【付 電力システム改革】
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(1) 2012年以来の「電力システム改革」とは
・第一段階…電力広域的運営推進機関(OCCTO、オクト)の設置(2015年度~)
・第二段階…小売全面自由化(2016年度~)
・第三段階…送配電部門の中立化=法的分離(2020年度~)、
 料金規制の撤廃(2020年度からは実施予定であったが、新電力未成長により未実施)

(2) 電力の小売自由化の中で、常に指摘されているのが、全面自由化後も日本の発電所の約80%を大手電力が所有しており、発電分野での競争が働かない状況が続いている点である。このため、大手電力が自社小売部門(もしくはグループの小売会社)と新電力を差別せず、公平に扱うこと「内外無差別」(「大手電力の発電部門と小売部門の相対取引」と、「大手電力と新電力との間の相対取引」とのイコールフッティングが担保されていること)が実現されない。そして、もう一つ、常に議論されてきたのが「送配電部門の中立性確保」の必要性。
そして、後者のためには、以下の措置がとられてきた。

(3) 2003年…「会計分離」が実施される
(例)関電の中で、送配電部門とその他の部門の会計を分ける。しかし、送配電部門の中立性確保が不十分との指摘が絶えなかった。
(例)関電など大手電力の小売部門と送配電部門が共同して、新電力の小売営業を妨害するようなこと。

(4) 2020年…送配電部門の「法的分離」が実施される。ただし、この分離では、資本関係は維持される。
そこで、送配電会社の中立性、独立性を保つために「行為規制」が課されている。
(例)送配電部門を完全に独立した別会社にする「所有権分離」がもっとも厳格な制度であるが、関西電力送配電株式会社は関電の100%子会社。大手電力に配慮した政策。


▲資源エネルギー庁資料(→こちら)による。

(5) 行為規制…大手電力と新電力が、送配電網を公平に利用できるようにするための規制。会計分離以来、重要課題であったはずなのに、関電社員にはこれがまるで頭に入っていない。
・送配電部門(送配電会社)が託送業務を通じて知りえた情報の、目的外利用の禁止
・送配電部門(送配電会社)と発電・小売部門(親会社)との内部相互補助の禁止
・託送業務について、親会社と新電力との間での差別的取扱の禁止
・送配電会社と親会社で、取締役・執行役の兼職を禁止

(6) つまり、関電の場合では、以下の通り。
関西電力株式会社…発電部門、小売部門からなる。小売部門は、自社の顧客情報はもっているが、新電力顧客情報は知りうる立場にない、アクセスすることができないのが建前。

関西電力送配電株式会社…関電の100%子会社で、地域独占の送配電部門。関電エリア全体の顧客情報をもつが、親会社と情報が遮断されていることになっている。

(7)「発送電分離」の陰で進む大手電力会社による新電力潰しの実態
こちら(2020/4/24)

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