◆報告とお礼~8.30 美浜3号再稼働 現地緊急抗議行動に35人

【2022年9月2日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

関電またも暴挙
わずか22時間前の予告で
トラブル続きの老朽原発・美浜3号機を再稼働(8月30日)
現地緊急抗議行動に35人結集

 電力会社、政府、財界などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

「原発依存社会」を画策する岸田首相

 この状況に乗じた岸田首相は、8月24日、自ら昨年10月に閣議決定した「原発の新増設やリプレースは想定しない」とする「エネルギー基本計画」まで無視し、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、唐突に、原子力政策を転換する意向を示しました。

その中では、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●すでに新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基を今冬に、残る8基を来年以降の早期に稼働させる方策を検討するとしています。

福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。

電気は足りています

 原発推進勢力が原発推進の口実としているのは、電力の需給ひっ迫ですが、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。とくに、圧力容器の脆化が進み、配管トラブル多発の蒸気発生器を持ち、原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働などもっての外です。

危険この上ない老朽原発

 関電は老朽原発・美浜3号機の再稼動(並列)を10月から8月12日に前倒しすると発表していましたが、その再稼働を目前にした8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。

 関電は美浜3号機の水漏れについて、「昨年6月の定期検査中に、下請け作業員が、容器のふたを閉めるボルトを規定の5分の1の弱い力で締め付けていたため、隙間を塞ぐ円形のゴム(Oリング:パッキング)に圧力がかかり、破損した」としました。手順書に誤った規定値が記載されていましたが、作業員はそれに従ったのです。これは、あきれ返るミスです。今回のようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。「こんな数値では、水圧に負ける!」と。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

 関電は、水漏れした美浜3号機の23日再稼働を目指していましたが、21日にまた「美浜3号機の運転上の制限の逸脱」が関電から発表され、再稼働はさらに先送りされました。「アキュムレータ圧力が保安規定に定める運転上の制限値4.04MPa(約40気圧)を下回って、警報が発信した」のです。原子炉冷却水喪失事故時など、1次冷却系統の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系統に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力が低下していることが確認されたのです。

 関電は、このトラブルの原因について、「アキュムレータ本体、周辺機器の外観点検を行った結果、安全弁に打痕を観察したとし、打痕は、当該弁近傍で行われた足場設置作業の資材が接触したために生じた」としています。安全上極めて重要な機器に資材を接触されるという、とんでもない不注意が発生しているのです。

 以上のように、関電の原発は、稚拙な原因による」トラブル続きです。「先端科学技術」といわれた原子力は、今や、「腐敗した科学技術」の象徴であることを物語ります。
(再処理工場稼働の26回延期、
東海再処理工場高レベル廃液処理の中断頻発、
もんじゅの廃炉と廃炉作業の遅れ、
福島事故炉の廃炉作業の遅れ、
使用済み燃料貯蔵地探し期限の再三の延期、
原発特重施設の建設の遅れ、
などなどもこのことを実証しています。)

8月30日「美浜3号再稼働抗議
現地緊急行動」に35人決起!

 関電は、8月29日午後3時過ぎ、トラブル頻発の美浜3号機を30日に再稼働させると発表しました。

 このように直前の再稼働予定の発表は、極めて異例のことです。しかも、この再稼働については、立地自治体である美浜町とも、福井県とも公式の事前協議をしていないのです。関電の傲慢な体質を如実に示しています。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は「老朽原発完全廃炉を勝ち取るまで粘り強く、何度でも何度でも決起する」の決意の下に、29日午後、可能な全ての手段を駆使して、再稼働当日・30日の美浜原発前および関電原子力事業本部前緊急抗議行動を呼びかけました。

 8月30日11時過ぎ、美浜原発前には、緊急の呼びかけにも拘わらず、京都、大阪、滋賀、兵庫などの関西、福井市方面、若狭各地、美浜町内から約35人が、自家用車などで結集しました。参加者は、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙してトラブル続きの老朽原発・美浜3号機の再稼動を企む関電に、満腔の怒りのシュプレヒコール、抗議の声を叩きつけました。

 それでも関電は、13時に再稼働を強行したため、参加者は、関電原子力事業本部に移動して、さらに抗議行動を続行した後、「老朽原発の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現する」ことを確認し合い、この日の行動を終えました。

8.30行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機
廃炉に向けてさらに前進しましょう!

2022年9月1日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)



▲美浜原発前


▲関電原子力事業本部前


▲福井新聞 2022年8月31日


▲日刊県民福井・中日新聞 2022年8月31日


▲毎日新聞 2022年8月31日