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◆関電と原発 memo No.8–六ヶ所村再処理工場の恐怖

六ヶ所村再処理工場の恐怖
高レベル廃液タンクに迫る爆発の危険性

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六ヶ所村の高レベル廃液は1m3放出されただけで、北海道南部と東北地方全域が壊滅する。
その223倍の量があるのだから、爆発して全量が出れば、やはり日本が消えるわけです。
東海村の再処理工場にも高レベル廃液が430m3あり、プルトニウム溶液も3.5m3保管されている。
(『広瀬隆 白熱授業 日本列島の全原発が危ない』による)
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危険どころの話ではない 青森県六ケ所村再処理工場・核燃料サイクル施設と事業主体=日本原燃の驚愕の姿勢

(青森県・岩手県・宮城県・北海道の7市民団体による日本原燃との質疑応答・要請)

★2016年6月20日、青森県、岩手県、宮城県、北海道の7市民団体が、日本原燃へ「六ケ所再処理工場の落雷事故やガラス固化、その他」に係る質問状を提出し文書で回答を得、7月20日説明会において質問や要請を行った。

★落雷による事故の事実関係の確認:本格稼働中ならば重大事故になっていた!
【説明会でわかったこと】
→2015年8月2日に起きた落雷事故(落雷26)による計測器被害は主要建屋の全てで生じた。絶対に故障してはならない重要なものが15件もあった。仮に本格操業中の落雷事故であったとすると大事故に発展した可能性がある。

★高レベル廃液とガラス固化情報の公開:ガラス固化された廃液量、核種の放射能量は非公開!
【説明会でわかったこと】
→過去の試験で使用済み燃料を425トンせん断溶解し得た高レベル廃液量、その中に含まれているセシウム137とストロンチウム90の放射能量、ガラス固化体として固定された両核種の放射能量は「運転情報等に当たるため回答できない」とのこと。日本独自とされるガラス固化の技術は、本当に確立されているのか?

★水素爆発に至る時間:高レベル廃液貯槽は電源喪失時に7時間で水素爆発へ!そして日本壊滅!
【説明会でわかったこと】
→これまでは約35時間とされてきた高レベル廃液の放射線分解による水素が爆発濃度限度8%に到達する時間は最も早い貯槽で約7時間ということ。このことは六ヶ所再処理工場で電源喪失や掃気系のパイプ等が破損した場合7時間で復旧しなければならないことを意味する。
→従来は水素濃度4%が爆発下限濃度とされており、実際は7時間よりも短い時間で水素爆発の下限濃度になる可能性がある。福島原発1号機は津波到来後約24時間で建屋が水素爆発し破壊された。高レベル廃液貯槽が約7時間で水素爆発とは、原発よりも急速に大事故へと進行する恐ろしい現実。
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◆2月20日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;3名。

話し合いに先立ち以下の抗議文を提出しました。

抗議文…………………………………………………………………………………………
危険な原発運転は許せません
高浜4号機の再稼働に抗議します
原発から撤退してください

高浜原発4号機を2月に再稼働させるため1月30日に起動をしたとの報道がありました。
このことに強く抗議し、直ちに停止させることを求めます。

 高浜4号機は昨年10月の定期検査中に蒸気発生器伝熱管の損傷が見つかりました。蒸気発生器につながる配管に作業員が入って点検した際、異物が混入し、その異物が運転に伴って移動して、伝熱管に接触したのが原因と推定したとのことです。2018年の定期検査時に混入したものと推定されていますが、約一年間もこの状態が放置されて気づかなかったということに愕然とします。細管の減肉が進んだら大事故につながったのではないかと恐れます。簡単な人為的な原因だけに、防ぎようのないこととも言えます。どんなに気をつけてもこのようなミスは生じます。原発を動かすこと自体が限界なのではないでしょうか。原発の安全は止めること以外にあり得ません。高浜原発を再稼働させず、直ちに停止することを求めます。

 10月に発覚した金品受領問題の全容も明らかになっていません。原発を動かすのに金品が介在したとはあまりにも破廉恥なことであり、危険な設備を動かしているという自覚のなさにあきれはてます。この問題で原発関係の役員が交替し、全容が明らかになった時点での岩根社長の辞任も伝えられています。経営体制の混乱のさなかでの原発運転は無責任であり、危険の極みと言わざるを得ません。常識では考えられないことです。重大な事故が起きたら責任ある対応ができるのでしょうか。住民の安全はだれが守るのでしょうか。

 また、大飯原発、高浜原発の大山噴火による火山灰の層厚評価について規制委員会も認めた新知見が明らかになったにもかかわらず、対策を取ろうとせず、先延ばしにしていることも大変な問題です。東電では津波対策を先送りにしたことが大事故につながりました。
稼働中の大飯原発も直ちに停止させてください。
直ちに原子力からの撤退を表明してください。
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このあと事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

質問書…………………………………………………………………………………………
1.高浜町元助役森山栄治氏が関与した高浜原発に関する金品受領に関して、第三者委員会が設置されましたが、2019年末までとされた調査報告は延期され、いまだに真相解明に至っていません。いったいいつになったら金品受領の実態が明らかになるのでしょうか。経営トップが辞任するという事態の中で原発を動かし続けていますが、もし重大事故が起きたらだれが責任をもって対処するのでしょうか。高浜原発再稼働は、いわゆる「原発マネー」の不正なやり取りで進められたということが明らかになりましたが、安全性を第一にという貴社の主張との間に齟齬(そご)はないのでしょうか。

2.高浜原発4号機の蒸気発生器の損傷が発見されましたが、原因は定期検査時の作業時に異物が混入したと「推定」したとのことです。「推定した」とは「原因がわかっていない」ということと同義と考えますが、それでも再稼働を進めることは常軌を逸しているとしか思えません。なぜ動かすことができるのか、安全第一という貴社の方針と齟齬がないのでしょうか。

3.高浜3、4号機のテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の完成が遅れているとのことですが、大飯原発、美浜原発に関してはどうなっているのでしょうか。

4.1月27日に高浜原発3号機から使用済みのMOX燃料を取り出したとの報道がありました。使用済みMOX燃料はどのように処理するのでしょうか。

5.貴社の大山噴火に伴う火山灰等の影響評価が過少であると批判されていますが、これについて貴社の見解をお聞かせください。

6.貴社は、温暖化対策も考えて原発を維持していると説明していますが、神戸製鋼が2021年に稼働しようとしている大規模な石炭火力発電所の電力を購入するため神戸製鋼と電力需給契約を結び、温暖化ガスをはじめ環境負荷の非常に高い石炭火力発電を推進しています。説明が矛盾しているのではないでしょうか。環境負荷の高い原発も石炭火力もやめるべきではないでしょうか。

7.電力自由化によって貴社から他社へ切り替えた消費者を取り戻す動きが活発化していますが、まずは社内の浄化を先に行うべきではないでしょうか。

8.厳しい経営環境下で経費削減の努力をしておられると思いますが、原発の安全性や送配電の健全性は十分に配慮、維持されているのでしょうか。
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話し合いの内容
(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)

Q (抗議文読み上げのあと)公益事業ということを自覚していると思うが、まさか高浜4号機を動かすとは思っていなかった。減肉はずっと問題になっている。総交換はお金がかかるから見つかるたびに栓をしてきた。減肉が大きいところだけ栓をしているが技術的に分かっていない。金品問題もある中で再稼働はとんでもない話だ。抗議文は岩根社長に届けてもらいたい。

A 本店に伝える。

(質問1 金品受領について)

A 私どもも新聞報道で知ったのだが、2/7の報道によると(金品受領の)報告は来月出るということだ。調査の進捗状況については承知していない。最終報告が出たら再発防止に取り組む。安全性ということだが、報告が出るまでは岩根が責任を持ってやっていく。地元や現場作業員と密に連絡を取ってやっている。(安全第一という)主張との齟齬はないと考えている。

Q 金品受領を岩根さんのもとで解明するということは、都合の良い「第三者」ではないのか。常識では退いて第三者に託すものだ。なぜ岩根さんはとどまっているのか。

Q 社内での協力が足りなくて調査に時間がかかっているという見方があるが、岩根社長のもとで進んでいないのではないか。問題は小さいという「圧力」があるのではと、社会的にみられている。調査が遅れていること自体がそれを表しているのではないか。そういう状態でなぜ再稼働させるのか。

A 12月に中間報告があった。報告は年内がめどだったが達成できなかった。解明するのに時間がかかっている。協力が進んでいないとは中にいて実感できない。対象が広がっているのではない。調査にはきちんと対応する。

Q 社内調査でだいたいわかっていたはずだ。第三者委員会も当事者以外のものが選考するはずが疑問だ。根の深さを感じる。

Q 学校のイジメ事件では教育委員会が第三者委員会を立ち上げるが、被害者は納得せず外部に第三者委員会を立ち上げ実態が分かるというケースが多い。それと同じではないか。ひどい実態でないように誘導する、社長は退かない―これではダメだ。

A 教育委員会の第三者については存じていないが、日弁連のガイドラインに則って決めたので、代表は但木弁護士で相撲部屋の暴力事件に対処した方であり、どちらに寄っているということはないし、主観的に決めたのではない。当社の役員との接点はない方だ。岩根が選んだわけではない。

Q 日弁連のガイドラインには幅がある。マスコミも含めて疑念がある。

A 承知している。

Q 今までの疑念ではなくて汚職まみれの中で進められてきた再稼働には格別の不信感がある。そういうお金で動かしてきたことを自覚してほしい。

Q 発注もそうだ。危険だ。

(質問2 高浜4号機の損傷について)

Q どうして動かせるのか。安全点検では細管を全部取り換えるのではなく不具合があったら替えると聞いた。減肉の程度もすごい。金属片で削られたのではなく化学的な理由ではないか。調査が十分にできていない。どこで何が起きているのかわからない。栓をしていないところで何が起きているかわからない。なぜ再稼働を急ぐのか。運転したら何が起こるか分からない。金の問題がかかわっているだろう?

A 「推定」とはいろいろ可能性を検討して、それ以外あり得ないということだ。

Q あいまいにして稼働を進めるのは常識で考えてありえない。可能性を消していってとは信じられない発想だ。

Q 学校の採点なら点数がつけられない回答だ。他の細管でも起きているのではないかと考えるのが当然だ。

A (同席の男性が答えた)傷を確認したら摩耗減肉と考えられるとした。

Q 犯人を特定せずなのか。

A (同席の男性が答えた)モノ(異物)は見つからなかったけど再現試験をした。傷は異物ででき減肉した。点検時に異物が入ったのだろう。

Q どういう方法で確認したのか。

A 通常は閉じているので入ることはない。

Q この件についての報告書をもらえるか。どんな再現試験をしたのか確認したい。異物は何かわかっていないとは不思議なことだ。

A 報告書については検討する。

(質問3 特定重大事故等対処施設について)

A大飯原発は2022/8/24、美浜は2021/10/25だが約1.5年延長で間に合わない。高浜は定検に入る。工期短縮に努力している。

Q 高浜は止まるということか。

A  そうだ。

A (男性)2019年4月から規制庁との意見交換を行っており、早期完成に向けて取り組んでいる。どのくらい遅れるかは未定である。

Q必要だと分かった施設が今はできていないのになぜ動かしているのか。規制委員会があいまいなことを言っているから、といって関電はそれでいいのか。そんなことは起こらないだろうとしていて東電は事故を起こした。関電の存亡がかかっている。事故で会社はつぶれる。動かしているということは規制委員会が間違ったことを言っているという表明に他ならない。理不尽に規制委員会が規制しているとしているのではないか。規制委員会に頼まれて再稼働しているのか。

A 原子力事業は重要なので再稼働している。特定重大事故等対処施設はテロ対策施設で航空機などによるテロから冷却装置を守るものであるが、冷却機能をもつ施設で、冷却には他でも備えているが念には念を入れてという施設と認識し、早期完成を目指している。

(質問4 MOX燃料について)

A これまで8回取り出した。再処理までの間、MOX使用済み燃料ピットで保管している。処理については明確なことは示せない。再処理に間に合うように処理方法を確立させる。

Q MOXは発熱量が大きい。中心部の温度が高くなる。技術的に不安定だ。制御が難しい。四国電力は小量でも難儀している。MOXは核燃料サイクル維持のために実験もどきのことをこの段階でやっている。

Q 処理法の確立までにどれぐらい年月が必要なのか。

A 具体的なめどがあるか確認しておく。

Q  四国電力が立ち往生していることをどう考えるのか。プルトニウムとウランの分離は不可能だ。

Q  日本はプルトニウムを持ちすぎていると国際的に批判されている。これ以上増やしてどうするのか。

(質問5 火山灰について)

A 大山のことはブレーンストーミングをして検討した。過少に評価しているとは思はない。

A 2019年6/19に規制委員会から層厚評価の見直しを言われ、9/26に再計算した。それが過小評価であるという批判か。

Q そうだ。

A 風向きのケースをシミュレーションして12月は19.3㎝、22㎝で申請した。矮小化したものではない。噴出も厳しい条件でやっている。

(質問6 石炭火力について)

A 日本はエネルギー自給率が低い。エネルギーの多様性を考えている。石炭は入手が安定している。

Q 日本は石炭に偏っていると世界から批判されている。再生可能エネルギーにもっと力を入れてもらいたい。最近は買取価格の低減など切り捨てる方向にあるのではないか。再エネをつぶす方向で動いていますね?

(質問7、8 経営について)

Q 電気料金が安くなるという宣伝が送られて来ているが、関電の経営は厳しいのではないか。

A はい。

Q 経営努力なのか。どこから黒字を出しているのか。固定資産と営業経費の削減か。有価証券報告書で調べ、福島事故前と後で比較すると原子力部門は増えているが、他は大幅に減っている。送電は27%の削減だ。そういう状況で送電が維持できるのか。削減できるとすると今まで高い電力を売っていたと思える。独占禁止法違反ではないのか。発電、配電を関電が押さえている。値下げの資金はどこからきているのか。数字を挙げて説明してもらいたい。
設備の削減とすると、そのことがもとで強風で送電線が倒れたら電力供給はできなくなる可能性もある。経費をへらせばいいというものではない。

A 次回に説明したい。

A (もう一人の男性社員)もう時間ですから。

Q 関電は一流ブランドなのに倫理感、正義感がなさすぎる。社員の皆さんに頑張ってもらいたい。
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高浜4号機のことや原発マネー事件に時間を費やし、後半の質問に対して十分な説明が得られないまま、追及する時間がなかった。問題が多すぎるせいだが、もっと質問を絞る必要があるかも。次回は経営内容についてじっくり説明してもらう予定。

◆【緊急】【重要】3/3の期日は取消

大飯原発差止訴訟[京都地裁]の原告の皆さまへ。
【転送歓迎】

新型肺炎の流行が懸念される中,2/27,弁護団の渡辺輝人弁護士より以下のような連絡がありました。

裁判所が、3月3日の弁論期日を取り消ししたいと言ってきました。期日を維持する場合でも、傍聴者を減らして欲しいとのことです。弁護団としては今回の予定の内容を6月に合わせてやることも可能ではあるので、無理矢理やる必要まではないと思っているのですが、原告団の意向が一番重要かな、と思っております。この辺、どう思われますか。

竹本団長と相談し,世話人会MLで世話人の皆さんに確認しまして,裁判所には,今日2/28の午後一番に次のように返答することにしました。開廷前のデモ,模擬法廷なども含めて,3/3のすべての予定がキャンセルとなります。

1. 傍聴者を減らすと言ってもほとんどが原告なので,原告に参加を遠慮してもらう形は,望ましくない。しかし,感染は心配な状況となっている。

2. 次の6/2は,新裁判長の下での最初の期日となるので,弁論の更新は,冒頭に竹本団長と福島さんの陳述に十分な時間をとってもらいたい。先送りになる準備書面がある場合,いつもより長めの時間をとってもらいたい。

3. 以上を確認して,3/3の期日は取消で致し方ない。

◆3/3の第26回口頭弁論のご案内

◆3/3の第26回口頭弁論は,取消になりました→こちら

◆関電はこれまで大飯原発や高浜原発の再稼働を強行してきましたが,次は,既に40年を超え,事故リスクの高い老朽原発,高浜1,2号機や美浜3号機の再稼働をはかっています。今回発覚した3.2億円の原発マネー還流問題からも明らかなように,関電には原発を運転する資格はありません。

◆最近は,広島高裁で伊方原発の運転差止を認める仮処分決定がでましたが,大阪高裁では大飯原発の運転差止を求める仮処分裁判で,原告の訴えが退けられてしまいました。

◆しかし,原発に反対する世論はつねに多数派となっています。京都脱原発原告団は,原発をとめるために,法廷では司法の責任を問いつつ,司法が自らの役割を果たすよう迫っています。京都地裁の次回口頭弁論に多くの皆さまが参加されるよう訴えます。京都地裁の私たちの裁判は,4月に裁判長が交代する見込みです。そして,その新しい裁判長の下で,いよい終盤になります。

◆法廷での闘いのほかに,5月17日「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」の1万人集会,関電役員を告発する運動などの市民運動もさらに強めていきましょう。

◆原告の意見陳述

・京都府南丹市日吉町の吉田邦子さん。大飯原発で事故が起こった場合の避難の困難性などを陳述します。

◆弁護団からの準備書面

・大飯原発の地盤特性,基準地震動の設定について,関電の主張に対する反論。

◆タイムテーブル

・12:10…弁護士会館の前に集合
12:15…裁判所の周辺のデモに出発。13:00頃まで
13:25…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも可能です。
13:40…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了
 直ちに抽選→傍聴券の配布
 抽選にもれた方,入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は
 14:30までに弁護士会館・3階大会議室の模擬法廷へどうぞ
14:30…開廷,弁論開始。同時刻に模擬法廷を開始
・15:30ごろから…閉廷後,弁護士会館・地階大ホールで報告集会。30~60分程度

◆原告の方は原告席へどうぞ

・原告の方は,事前に申し込んでいただければ,原告席で参加できます。
・郵送希望原告には,郵便でお知らせをお送りします。
・メーリングリストに登録されている方は,メールでお知らせをお送りします。
 


▲開廷前恒例の裁判所周辺デモ(前回2019/11/28)

◆関電と原発 memo No.5–関電の小口顧客離れ300万件に

関電の小口顧客離れ300万件に

◆OCCTO(オクト)[電力広域的運営推進機関]スイッチング支援システムの利用状況によると、2019年1月末の関電の小口顧客離れは、300万件を超えました。

◆関電の契約数は1200万件と言われているので、その4分の1に達しました。
(2018年 8月に100万件超え)
(2019年11月に200万件超え)
(2020年 1月に300万件超え)

◆なお、電力自由化が始まった2016年は月平均5.8万件、2017年は6.3万件、2018年は6.6万件、2019年は7.7万件の減少となっており、年を追うごとに、関電離れが進行しています。


(低圧のほか500kW未満の高圧の需要者を含む。2~3%程度)
(厳密には「新電力から関電へ」のスイッチング件数も含まれます)

関電純減は226万件

◆上記のデータは、OCCTO(オクト)[電力広域的運営推進機関]の「スイッチング支援システムの利用状況」からみたスイッチング件数データです。毎月10日までに前月分が発表され、速報性が高いものです。ただし、このデータでは、500kW未満の高圧需要者も含まれているうえ(そのため「小口」と表記)、「新電力から関電へ」戻るスイッチングも件数としてカウントされています。

◆自由化が始まった当初は、「新電力から関電へ」戻るといったケースは少数と思われましたが、関電がガスとのセット販売(2017年4月~)を強化したり、失った顧客の取り戻し営業を強めるようになった現状では、必ずしも関電の純減「関電から新電力へ」のデータとは言えなくなってきました。

◆そこで、電力・ガス取引等監視委員会による「電力取引の状況」の低圧データを下記に示します。データの発表までに2か月半くらいかかるり、速報性はありませんが、「関電純減」数が分かります。

◆これによると、電力自由化以来の関電の低圧での顧客離れ「関電純減」は、昨年10月末までの累積で226万件にのぼります。関電が取り戻した件数(「新電力→関電」)の累積は12万件弱です。(2020/1/15発表)

◆関電と原発 memo No.3–多発する高浜原発のトラブル

◆2016~2019年。関電のWebで「プレスリリース」のページによる。
◆トラブルの中で、蒸気発生器伝熱管の損傷がめだつ。
(下記の年月日はプレスリリースの日付で、
 当該トラブルの発生日とは異なる場合がある。)
◆有名なハインリッヒの法則は、1つの重大災害や重大な事故1件につき、軽微な事故が29件、さらにその背後に隠れた事故寸前の案件が300件あるというもの。元々労働災害に関する経験則だが、普遍的な意味がある。


(1)高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の損傷)
 2019年10月17日

(2)高浜発電所1、2号機安全対策工事における協力会社作業員の負傷について
 2019年9月19日

(3)高浜発電所4号機の保全品質情報について
(A蒸気発生器主蒸気流量計の一時的な指示値低下に伴う運転上の制限の逸脱および復帰について)
 2019年9月17日

(4)高浜発電所1号機格納容器内における火災について
 2019年3月6日

(5)高浜発電所1号機格納容器上部遮蔽設置工事における協力会社作業員の負傷について
 2018年10月6日

(6)高浜発電所協力会社作業員の計画線量超過について
 2018年9月12日

(7)高浜発電所3号機の定期検査状況について
(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果の原因と対策等について)
 2018年9月12日

(8)-1 高浜発電所2号機クレーン倒壊の原因と対策について
 2017年2月8日

(8)-2 高浜発電所構内でのクレーンブームの損傷について
 2017年1月21日

(9)高浜発電所3号機の定期検査状況について
(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果)
 2017年1月12日

(10)高浜発電所4号機の原子炉施設故障等報告書の提出について
(高浜発電所4号機発電機自動停止に伴う原子炉自動停止について)
 2016年3月9日
 2月29日14時01分に並列操作を実施した際、発電機が自動停止するとともに、タービンおよび原子炉が自動停止した件。

(11)高浜発電所4号機における管理区域内での水漏れに係る原因と対策について
 2016年2月22日

◆何故、原発には汚い原発マネーが付きまとうのか?

【2020年1月17日,京都キンカンで配付】

◆関電が支払った原発関連工事費などが、多額の金品として関電幹部(20人)に還流されていたことが明らかになり(9月23日)、多くの人々の怒りを買っている。
(10月9日;会長、役員4人辞任:社長は電事連会長、会長は関経連副会長を辞任。)

◆この関電幹部に還流された資金は、もとを質せば電気料金として、電力消費者から関電に支払われたものである。電力供給は公益性が高く、電気料金は税金に準じる性格を持つことを考えあわせるとき、水増しして支払った工事費を還流させることなど、許されることではない。
(還流仲介の元助役からは、109人の福井県職員、元高浜町長、小浜警察署幹部などへも金品贈与:関連して野瀬高浜町長が町発注事業を受注する企業から1500万円を超低金利で借入していたことが発覚。)

◆ところで、渦中の関電役員のほとんどが、原発推進に奔走した幹部であったことは、原発が立地住民の安心・安全や電力消費者の利益をないがしろにする経営の中で推進されたことを裏付けている。

◆一方、この資金還流に中心的に介在した人物が町政に大きな影響力を持つ元助役であったことから、原発の導入や再稼動への町の同意など、原発推進の町運営が疑惑に溢れた原発マネーの影響を受けたことも容易に想像できる。

◆なお、関電は原発を再稼働させるために安全対策費を1兆200億円以上使い、老朽高浜1、2号機、美浜3号機の安全対策費に5000憶円以上を費やそうとしている。これらの資金が総括原価方式の中で、電気料金として徴収され、ゼネコンなどに垂れ流されているのであるから、今後さらに大きな疑惑が浮上するであろう。
(全国11電力の安全対策費は5兆4000億円超。)

◆原発は、1954年3月(ビキニ水爆実験の月)、「学者がボヤボヤしているから札束でほっぺたをひっぱたく」ことによって推進すればよい(中曽根康弘発言とされる)として成立した予算に始まった(日本学術会議は平和利用3原則付きで承認)。このように、原発には、当初から汚い原発マネーが付きまとっていた。ここでは、その理由につぃて考えてみたい。

【1】誰が原発を推進したのか?

◆原爆が投下されたのは1945年であるが、その10年後の1955年には原子力基本法が成立し、その10年後の1965年には、東海原発1号炉が商業運転開始している。

◆このように、大急ぎで、議論もそこそこに原発を導入した勢力は、再軍備、資本主義的発展(原子力による産業革命)を画策する、正力松太郎(警察官僚・特高の総元締・戦後CIAの日本戦略の要)、渡辺恒雄、中曽根康弘(元海軍主計大尉)、福田赳夫、岸信介(東條内閣の商工大臣)、児玉誉士夫(日本軍の物資調達)、佐藤栄作 [非核3原則を標榜し、核の傘依存を主張する一方、核エネルギー の平和利用(核兵器の潜在能力)を促進し、裏で沖縄への核持込み密約の疑惑も]らの反共産主義者であった。

◆彼らは、旧財閥の復活を目論み、1956年に日本原子力産業会議を発足させ(2012年4月より、日本原子力産業協会)、三菱、日立、住友、東芝、古河、 自治体、大学等を総動員して、旧財閥に暴利を誘導し、基幹産業と軍事の担い手に育て、日本を巨大資本主義国にしようとした。

◆原発建設は巨大な公共投資である。電源3法交付金などによって膨大な税金が垂れ流される一方、総括原価制度(発送電費、工事費、買収費、賄賂・・・・全てをコストとして電気料金に反映)で電力消費者から独占的に電気料金を(税金のように)徴収して、原発の建設や安全対策工事を通して、旧財閥系企業に垂れ流されている。

◆これらの原発マネーは麻薬のような性格を持つから、
・原発建設で暴利を得る人々は麻薬の生産者であり、
・エネルギーの拡大を通して、利益を上げたい人々は、麻薬の売人であり、
・原発エネルギーとそれによってもたらされる物質的便利さ、擬似的幸福を欲しがる人々は、麻薬患者であり、
・核兵器を欲しがり、戦争をしたがる人達は、麻薬で錯乱の人たちであるといえる。

【2】原発は膨大なエネルギー源であるが、現在科学技術で制御できない

[1]核反応エネルギーは化学反応エネルギーの数百万倍

◆人類を取り巻く環境は、化学結合と化学反応によって成り立ち、化学反応ではeV(エレクトロンボルト:エネルギーの大きさを表す単位)レベルのエネルギーのやり取りが行われる。このレベルのエネルギーで達成できる温度は精々数1000℃である。生体内で生じる化学反応の多くは、0.1 eV 以下のエネルギーのやり取りで生じる。このことは、100℃までの温度で化学反応が生じることを意味し、したがって、100℃を越えて生きる生物は稀である。

◆一方、原発内では、核反応が生じるが、核反応ではMeV(ミリオンエレクトロンボルト)レベルのエネルギーが放出される(M = 100万)。このレベルのエネルギーでは、数億度℃以上を達成できる。事実、核融合反応(放出エネルギーは核分裂反応より小さく、1/10以下)が生じている太陽内部は1500万℃といわれている。

◆以上のエネルギーの関係は、核反応1反応によって100万に近い化学反応が生じ(結合が切断される)、核反応によって、化学反応は爆発的に起こることを意味する。

◆したがって、核反応エネルギーを化学結合でできた材料で閉じ込めて置くことは極めて困難であり、例えば、原発の重大事故時には、膨大なエネルギーに起因する熱(核反応熱;核分裂で出る熱、崩壊熱;放射線を出して別の物質に変わるときに出る熱)によって核燃料や被覆材などの原子炉材料が溶融し、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発(水の爆発的蒸発)を引き起こし、大惨事(メルトダウン、メルトス ルー)に至る。また、体内に取り込まれた放射性物質から出る放射線による内部被曝では、原理的には、1000万に近い体内の化学結合が切断される。

[2]原発は事故を起こし易く、被害は広域・長期におよび、事故収束は至難(詳細は別稿に譲る)

◆核反応は、膨大なエネルギーを放出するので、原発は事故を起こし易く、原発での大惨事は瞬時に進行する。また、事故によって溶け落ち、飛散した核燃料は、膨大な熱で溶融して集合し、再臨界(核分裂開始)に達する。したがって、溶け落ちた核燃料は、大量の水で長期間冷却し続けなければならない。

◆一方、原発内には、何年もの運転によって発生した放射性物質(死の灰)が蓄積しているので、原発重大事故時には、原爆炸裂時(瞬時の核反応)とは比較にならないほど多量の死の灰を放出する。また、放出された死の灰は、風に乗り、海に流れて、きわめて広域にまき散らされる(火災が10km先に飛火することはほとんど無い)。さらに、死の灰を消滅させる方法はなく、半減期にしたがって減少することを待つしかないので、死の灰による被害は長期におよぶ。また、福島原発事故で明らかなように、原発事故で溶け落ちた核燃料は、膨大な放射線と熱を出し続けるので、原発事故の収束には、途方もない時間と労力を要する(被曝労働も深刻である)。

[3]原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す(詳細は割愛)

◆以上のように、原発は、人類の手に負える装置ではないことは議論の余地がない。

【3】何故、原発は汚い金にまみれなければ 推進できないのか?

◆戦後の復興と高度成長前期(1955年から65年)に、生産力向上による利潤と便利さを追及した資本主義経済(とくに都市部と近郊)がエネルギー(電力)の生産の拡大を要求した。この要求と核兵器開発の潜在力を得たいとする願望が相まって、原発の導入が画策された。

◆しかし、前述したように、
原発は現在科学技術で制御できない装置であるから、これを喜んで引き受けるところなど何処にもない。

◆そのため、高度成長で切り捨てられつつあった農業、漁業を主産業とする人口の少ない地域に原発を持ち込み、押し付けることになった。

◆原発を引き受けさせる見返りとして、国と電力会社は、地域自治体、企業、住民に原発マネーをバラマキ、「人の命と尊厳」を犠牲にして「経済的利益」を選択すること強いた。このとき、「原発立地地元の同意は、原発の稼働の法的要件」とし、いかにも地元重視であるかのように見せかけた(原発稼働の責任を地元自治体に押し付けた)。

◆一方で、電力会社は、立地自治体と企業(ゼネコンなどの大企業と現地の下請け企業)に直接、間接の原発マネー垂れ流しを行い、電力供給の面からだけでなく、経済活性化の面からも、日本資本主義成長の一端を担った。なお、電力会社には、総括原価方式で電気料金を徴収する限り、無限の財源がある。

【4】原発マネーは地域を豊かにするか?

◆以下のように、原発立地の給与、福祉、教育が、他自治体に比べて、優れているとは言えない。

(1)自治体職員の給与

◆例えば、原発立地・高浜町[人口:10,397人(男:5196人、女5201人)、世帯数:4331世帯)の、2017年度会計の総額は158億4,856万7千円であり、30%が「電源立地交付金」、「核燃料税交付金」などの国などからの自治体への交付金(この他、関電などからの寄付金)である。

◆筆者は、原発マネーを有する高浜町職員の給料は、他の自治体に比べて、少しは優遇されているであろうと考えていたが、以下のように予想に反していた。

・初任給月額…大学卒:168,600円、短大卒:156,800円、高校卒:147,100円
・平均給与月額…一般行政職(平均年齢:39.2歳)279,500円、技能労務職(平均年齢:53.6歳):230,800円
・特別職給与月額…町長:850,000円、副町長:670,000円、教育長:560,000円、議長:300,000円、副議長:245,000円、議員:235,000円

(2)福祉、教育予算

◆人口の類似した東海村と菰野町の比較。原発は地域を豊かにするとは限らない。

◆東海村(原発、原子力機構、原子力企業に加えて、火力発電所や企業も多いので、自主財源は潤沢で地方交付税不交付団体:人口38,000人)
・一般会計予算166億円(55億円が原子力関係収入)
・国民健康保険関係:33億円、介護保険:25億円
・保育園6園中3園が私立。幼稚園6園中1園が私立
・小学校6校。中学校2校。
◆菰野町(こものちょう:三重県,隣は四日市市、人口40,000人)
・一般会計予算113億円。
・国民健康保険関係:42億円、介護保険:28億円
・保育園6園中1園が私立。幼稚園5園全てが町営
・小学校5校。中学校2校。

(3)県の債務

◆[1960年代に原発立地を拒否した徳島県(人口82万人)と福井県(人口82万人)の比較(2007年度)]原発を持たない徳島県の方が借金が少ない。

◆福井県の原発税収は県税収入の1割。一般会計と特別会計を合わせた歳入に占める割合は2%。

◆県債(借金)残高
・福井県…7,990億円(県民1人当たり93万円)
・徳島県…6,330億円(県民1人当たり78万円)

【山崎隆敏著『なぜ、「原発で若狭の振興」は失敗したのか』(白馬社)を参照】

(4)原発進出を断った町が貧困にあえいでいるわけではない

◆原発や再処理工場が立地した市町村の数は22ヶ所、それらを断った市町村は34ヶ所以上ある。数で言えば、原発を受け入れた自治体よりも断った自治体の方が圧倒的に多い。これ以外にも、最初の打診を受けた時点で早々に断ってしまい、議論にもならなかった自治体も少なくない。

【原発を拒否している地域…31(実験炉1を含む),
 再処理を拒否している地域…3,
 廃棄物処理を拒否している地域…28,
 中間所蔵を拒否している地域…3 】

◆原発が立地している自治体は、原発が無くなると自治体の経済が成り立たないと大げさにアピールしているところが少なくない。

◆それでは、原発を断った自治体が、現在貧乏をかこっているかといえば、そんなことはない。それらの自治体も自然の立地条件は、海岸沿いの過疎地であり、原発を受け入れた自治体と紙一重だったのだが。

【「筒井新聞」313号(2016年10月8日)「原発進出を断わった町」より抜粋、改変】

【5】政府が、脱原発の民意を蹂躙して、福島事故後も原発に固執する理由

◆この理由は、「エネルギー基本計画(改定案;経産省;2018年7月3日)」から読み取ることができる。
・2010年度(震災前)
 …LNG29%、石炭26%、再生可能エネルギー10%、原子力25%、石油10%
・2015年度(現状)
 …LNG40%、石炭32%、再生可能エネルギー15%、原子力1%、石油12%
・2030年度(計画)
 …LNG27%、石炭26%、再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%、石油3%

◆この計画では、再生可能エネルギーを「主力電源化」する方針を打ち出す一方で、原発については、「依存度は可能な限り低減していく」としつつも、「重要なベースロード電源」として、2030年度時点の発電電力量に占める原発の比率を20~22%とする目標は据え置いた。

◆この目標の達成のためには、30基以上の原発が必要となり、40年超え老朽原発の稼働も必要になる。

・この「基本計画」では、CO2排出量の多い石炭火力はほぼ据え置いている。
→CO2対策でないことは明らか。
(先日開催されたCOP25で、日本は、温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」を2回受賞!)

・LNG、石油を大幅に減少させ、戦争でこれらの輸入が途絶えたときのために、自前で調達できる電力(石炭、再生可能エネルギー、原子力)を増やそうとしている。

・原子力を増やし、原発をトンネル機関として、巨額の原発マネーをゼネコンや原発関大企業へ垂れ流そうとしている。
(例えば、福島事故以降に高浜原発に投入された安全対策費は1兆200 億円以上、今後も5,000憶円以上が投入される予定。)

【6】原発再稼働・維持に使う巨費と労力で原発のない町づくりを!

◆1月16日の新聞は、2013年に新規制基準導入後、全国の商用原発で必要となった再稼働のための安全対策費(2019年12月時点)と施設の維持費(2013年度‐2018年度の実績)の総計は、約12兆6,077億円、廃炉(17基:福島の事故炉は含まない)の解体費は約8,492憶円と報道している。

◆安全対策費には、特重施設(テロ対策施設)の新設費用が含まれていず、数千億円が追加される可能性がある。また、維持費は今後も必要で、年間1兆円(電力11社の合計)規模が積み上がる見通しである。

◆これらの巨費は、総括原価方式の下で、電気料金に上乗せされるので、長期の国民負担となる。

◆圧倒的な民意によって原発を拒否し、原発の再稼働・維持に要する巨費と労力を、原発のない社会創りに振り向けようではありませんか!

金まみれ、利権まみれの原発から
一刻も早く脱皮しよう!
老朽原発を即時廃炉にしよう!


2020年1月発行

連絡先;木原壯林(若狭の原発を考える会)
電話:090-1965-7102


◆関電と原発 memo No.1–関電の原発–2020年1月の現状

★1月末に細管損傷原因不明のまま再稼働!

【高浜4号】定期検査(2019/9~)で蒸気発生器細管の減肉傷(損傷個所の肉厚はわずか0.5ミリ)発見。原因とされる「異物」の特定のないまま、1月末に運転再開へ。
2020/10/8に特重施設(「特定重大事故等対処施設」、マスコミでは「テロ対策施設」)の設置期限で停止(1年ほど停止予定)

★1~4月に使用済みMOX燃料取り出し

【高浜3号】使用済み核燃料から回収したプルトニウムにウランを混ぜた「MOX燃料」で、プルサーマル発電中。核燃料157体のうち28体がMOX燃料。2020/1~4月の定期検査で、発電に使えなくなったMOX燃料8体を初めて取り出す計画(伊方原発に続いて2例目。伊方原発では制御棒まで抜いてしまうトラブル発生)。使用済みMOX燃料はたいへん危険。
2020/8/3に特重施設の設置期限で停止(1年ほど)

★6~7月に迫る老朽原発再稼働…老朽原発うごかすな!

【高浜1号】老朽原発再稼働2020/6の予定。特重施設の設置期限2021/6/9で停止(2年半ほど)
【美浜3号】老朽原発再稼働2020/7の予定。特重施設の設置期限2021/10/25で停止(1年半ほど)

★原発依存は大事故まねく!

【高浜2号】老朽原発再稼働2021/1の予定。特重施設の設置期限2021/6/9で停止(2年半ほど)
【大飯3号】定期検査2019/5済み。特重施設の設置期限2022/8/24で停止(1年ほど)
【大飯4号】定期検査2019/9済み。特重施設の設置期限2022/8/24で停止(1年ほど)


(朝日新聞 2019/10/18)


(朝日新聞 2019/12/26 関電続く「経営空白」)

◆1.30高浜原発4号機再々稼働阻止現地行動および「老朽原発うごかすな!」高浜町申し入れ行動

1.30高浜原発4号機再々稼働阻止現地行動
および
「老朽原発うごかすな!」高浜町申し入れ行動
奮ってご参加を!!

原発うごかすな!実行委員会@関西・福井

関電は、定期点検中であり、トラブルによって再稼働が遅れていた高浜原発4号機を1月末に起動すると言われています。トラブル続きの4号機の再稼働を許してはなりません!

◆「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」は、1月30日(木)に、高浜原発に向かって下記の要領で抗議行動を展開します。

併せて、町政に大きな影響力を持つ元助役が原発マネーを関電幹部に還流させていた高浜町に、原発マネーの流れの中で同意した原発再稼働を取り消し、原発政策を見直すこと、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機の再稼働に同意するなどもっての外であることを申し入れたいと考えます。

◆多くの皆様のご参加をお願いします。

1月30日(木)の行動

◆11時50分に高浜町役場に集合。抗議行動と申し入れの後、高浜原発北門より300 m先(音海地区側)の展望台に移動し、14時よりデモで原発北門に移動し、抗議行動を行います。途中、関電に申し入れ(14時30分)を行います。
のぼり、旗、パネル、鳴り物など持って、多数ご参加ください!
********************************************************************************************************
<1月30日、京都、滋賀、大阪から高浜へ配車します>
■京都発 8:45 集合(京都駅八条口側 アバンティ前)→ 9:00 出発
■滋賀発 9:15集合(大津地裁前)→9:30 出発
■大阪発 8:15集合(大阪駅西側、大和ハウスビル前 ※旧大阪中郵前を西へ200m )→8:30出発
ご乗車ご希望の方は、下記申込事項を橋田にご連絡ください。
連絡先;橋田(090-5676-7068)Eメール dkddw406アットkyoto.zaq.ne.jp

・・・・・・・・1.30高浜現地行動・乗車申込書(切り取り)・・・・・・・・

① お名前;

② ご住所;

③ 乗車希望場所; 京都   大阪   滋賀  (いずれかを〇でお示し下さい)

④ 電話番号(できれば携帯電話);

★乗車費用は実費をお願いします。
★諸注意 ①当日の昼食は、各自ご持参ください。②寒さが予想されます。防寒対策を。
★集合時間は厳守してください。

◆12月16日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

 前回,11/18の話し合いの時に提出した要請書(下記)に文書で回答するように口頭で申し入れたが、「文書回答はできない、話し合いの場で回答する」と言われ、この日は要請書への関電の回答を聞くということから始まった。

要請書…………………………………………………………………………………
 経営トップが辞任する事態での危険な原発運転は許せません
直ちに停止することを求めます

 貴社の役員等20名が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏から約3億2千万円の金品を受領していたことが明らかになり、八木会長、岩根社長をはじめとする役員の辞任が報じられています。経営陣のトップが辞任するという混乱のさなかでの原発稼働は通常にもまして大変危険です。重大な事故が起きたら責任ある対応ができるのでしょうか。住民の安全はだれが守るのでしょうか。直ちに原発を停止することを求めます。

 不正な金品の原資は、貴社の発注した原発関係の工事費からの還流であるといわれています。不正還流は明らかになっている期間だけでも8年間で、それ以前の30年にわたる期間であるとも考えられています。長期間にわたって動いた汚れた金は最終的には消費者の支払う電気代であります。高い電気代が汚れた使途に流れ、50万円の洋服となって着服されたのだと知ると、庶民の感覚と違いすぎて声もありません。

 このような不正の中で進められた原発の建設・稼働は許されるものではありません。直ちに原子力からの撤退を表明してください。この要請に責任ある経営者からの返答をお待ちいたします。よろしくお願いします。
……………………………………………………………………………………………

話し合い内容 Q(こちら側の発言),A(関電の発言)

A 要請の趣旨は理解した。役員の金品受領についてはお詫び申し上げるしかない。信頼を裏切った。第三者委員会による調査の中間報告があったが、具体的な中身はわからない。越年で調査することになったことは報道で知った。真摯に対応し膿みを出し切る。明確な答えはまだ出せないが、セキュリティー、安全性を確保して、温暖化対策も考えて、バランスの良い電源構成でやっていく。安全確保は一定規模で維持するように考えている。安全性は死守していきたい。安全が最優先だ。この要請を本社に伝えた。会社の総意で回答している。 以上が回答である。

Q とにかく今の状況で動かすのは理解できない。すぐに止めてと要請しているのだ。

A 安全という観点で日々やっている。新体制のもとに指揮命令系統も作っている。

Q  社長だけ代わっていないが、トップだけ代わったのではないでしょう。原子力事業の中心は代わっているのか。

A 本部長など役職にある人は代わった。

Q お金を受け取った人は交替しているのか。

A 第三者委員会で調査している。

Q 本人が知っているはずだ。受け取った人自身はわかっているのに変ではないか。

A 私たちの知りえないことなので…。

Q トップが辞任したりするような事態であるときに危険なものを動かしているのは非常識だ。

Q 急に代わった人や、調査されている原発部署の責任者などは、は気もそぞろであると思うが、それでやれるのか。

Q どういう論理で動かせると言えるのか。現場担当者が(金品受領対象に)どれだけ出てくるのか。内部はわかっているはずだ。

Q 安全というが、原発を止める以外に安全はあり得ない。

Q 事件が公に出てから2~3か月たつが、動かし続けていることに怒りを感じる。

Q もし事故が起きたら大変なことになる。関係者は調査対象に何人いるのか。その中で安全第一とはどういう論理か。我々の怒りは納得できるか。怒りは深まっていくばかりだ。

Q 調査対象は何人か現時点で答えてもらいたい。その後の対処はどうなっているのか。

Q 交替したら慣れないから安全とは言えない。このことに疑問はあるか。

A おっしゃることはよくわかる。何人かは現時点ではわかっていない。

Q この三人(対応している社員三人のこと)で答えられるほど軽い問題ではない。

Q この建物で金品授受が行われたなんて生々しいですよね。

Q 受け取った人はどうしているのか。

A ここには今はいない。

Q 住民の関電に対する怒りはすごい。12月8日の関電包囲に1100人が集まった。告訴人は1000人と考えていたが3200人になった。この怒りを感じているか。トップはどのぐらい感じているのか疑問だ。国が後ろにいるから守られていると思っているのか。

Qいつ地震が起きるかわからない状況で、避難はどうなるのか。先日の避難訓練では悪天候で海への避難を見合わせたというが知っているか。

A 知っている。

Q (京都府の避難ガイドを見せて)被爆の安全に取り組んでいるのか。

A 避難訓練には当社も参加した。粛々と進めている。

Q 福島は原発からおよそ30キロ圏で、帰還困難区域になった。京都府はもっと近いところにあり、住民が強い被爆をする危険性があるが、被曝線量の測定体制もできていない。そういう危険な施設を扱っているのだ。大変なことだ。はっきりするまで止めてもらいたい。

Q 事故はいつ起きるかわからないということは切実な問題だ。

Q 関電から聞いたことはすべてウソだった。安全第一と言うなら、不祥事が起きたら止めるべきではないか。不祥事を起こした人、代わった人、それで運転できるのか。今、平然と運転しているなんて考えられない。止められないならそのことを証明してもらいたい。安全というが、福島の前は「事故は起きないから安全だ」と言っていた。隕石よりも確率が低いと言っていた。この間チェルノブイリ、福島で起きたではないか。絶対安全とはウソだ。経済的に成り立っているというのもウソだ。

Q しわ寄せは皆さん(社員)にもいっている。社債発行ができなくなった。原発が動けば経営が成り立っていたというのもウソだ。電気が足りないというのもウソだった。

A  ……

Q 原発を擁護することはみんなウソだった。森山事件でみんな納得するようになった。大ウソがすべて露出した。失礼な言い方かもしれないけど。
ウソでなかったのか聞かせてもらいたい。社内ではどうなのか。社内の努力は評価するが。
システムに疑問を感じている。これで再稼働はない。岩根さんに手紙を書くつもりだ。(らちが明かないなら)無期限断食をしようと思っている。

Q 社員のほうが不信感を持っているのではないか。

Q キンカン行動をしているが、政党でも団体でもなく一人一人がやっている。みんな一人になってもやろうと思っている。良心持っている人もいると思う。市民も良心を持っている。声を上げなくても応援してくれている。

Q 経営は赤字になるはずが黒字になっていて、原発以外の部門で固定資産が減っている。営業費は各部門とも減っている。努力していると思うが、どのぐらい減っているのか教えてもらいたい。

Q本来やるべき業務に影響はないか。たとえば斜めに傾いた電柱がほったらかしになっている。経費削減の対象なのではないか。皆さんも無理をしているのではないか。

Q ハピタ君のコマーシャルがなくなったがどうしたのか。

A この状況で見合わせている。

Q 関電に戻ってきてほしいという電話が来たが、値下げの原資はどこにあるのか。独禁法に抵触する不当行為ではないのか。関電は体力があるからやれている。森山資金を作った電気代は総括原価方式による高い電気代だ。

Q 森山資金のもとになった建設資金などに公金は使われていないか。

A 確認する。

Q 原発がらみで自治体にお金が入っている。

Q ふつうは10%削減だったらただ事ではない。わかりますか。

A はい

Q 東電の経営も厳しい。設備の維持に無理をしている。そのせいで千葉県の森田知事は大変だった。電柱の維持などは東電の責任だ。

Q 高浜4号機の不具合についてどこまでわかったか。原因がわからないのに再稼働とは安全第一ではないではないか。普通は再稼働できない。規制委員会が止めているが、もし規制委が止めなかったら関電は動かしていたと思う。破断したら大変だ。

Q 蒸気発生器の細管はウィークポイントであるということを関電はご存じのはず。細管の交換ができないので、栓をして動かしてきた。最近は技術は上がっているとは思うが。

Q ほかでも減肉しているのではないか。60%の減肉は大変なことだ。細管は交換できない。黒い金をばらまいて黙っててくれという以外ない。

Q 消費者が離れてきている。月に7万件が離れている。売り上げが落ちている。構造的流れに不安と危険を感じる。送配電を任せておけない。独禁法違反で、これで値下げというのは不当ダンピングだ。電気は公益事業だ。

Q 原発やめたら関電に戻りたいと思っている。

A 個人としてはよく理解できるが、すべてその通りではない。

Q たとえば?

A 電力不足と言って世間に知らせたことは、トータルで積み上げたら足りないという試算だったからだ。

Q でも足りていたではないか。すごく甘く見ていると思った。3.11以降の関電の原発重視の姿勢が理解できなかった。ベストミックスとかバランスといって、さっきの説明でも、原発推進を温暖化問題の対策の為と言っていたが、神戸製鋼の石炭火力発電所はどうするのか。関電はここから電力を買うということで、この石炭火力発電所建設を推進している。秋田などでの石炭火力計画はやめたそうだが、神戸では推進している。温暖化対策に完全に反しているではないか。そもそも石炭火力は水銀などの有害物質も大量に放出すると言うではないか。直ちにやめてもらいたい。ベースロード電源の考え方はおかしい。欧州では再生可能エネルギーをベース電源にしている。他のエネルギーにお金を使ってもらいたい。

Q 関電に温暖化を語る資格はない。関電は再生エネルギーに関心を持っていない。独占・政府援助で回っている。末期症状ではないか。

Q 世界のSDGsの動きとずれている。

A SDGsには取り組んでいる。

Q 火力、原発を含めてSDGsを考えてもらいたい。

Q 子や孫の世代のことをしっかり考えてもらいたい。お金のことしか考えていないように見える。

Q なぜ原発をやめられないのか。原発(の社会的構造)に組み込まれているからやめられないのか。資産投入でやめたら欠損が出るからか。原発に関係する職員は何人いるのか。

Q 簡単にやめられないからこそ今すぐやめるべきだ。原発はやめても後始末が大変だ。廃炉の工事計画も、核のゴミ処理計画すら立っていない。そのツケは森山問題だけではない。放射能をこれ以上増やすべきでない。原発やめてどうするかみんなで検討するべきだ

Q MOXは処理できない。増えていく。高浜に保管と言っているが、保管しなければならない期間がすごく長い。

Q そういうことも含めて今すぐやめるべきだ。

Q いますぐ原発を止めること、原発から撤退することしかない。

Q 関電の裁量で、定期検査の間の期間を長くすることが可能になると聞いたが、それは危険だ。不具合を見つけるのが遅くなり、メルトダウンする可能性もある。

Q 蒸気発生器は破断の危険性がある。ECCS(緊急冷却装置)がついているが、実証できていない。実証はできない。伊方裁判で明確になったが、国側は答えられなかった。数字のつじつま合わせはできるが、60%減肉で運転は信じられない。40年たつがその問題は解決していない。

Q 1991年の美浜原発の蒸気発生器破断事故では緊急冷却装置の作動がぎりぎりで、メルトダウン危機一髪だったと聞く。蒸気発生器の破断は非常に深刻だ。そのことをわかっているのか?

Q 大飯も調べるのか。

A 調査対象になっている。

Q 高浜1号機の圧力容器は脆性温度が99度まで高くなっていると聞いている。国内の稼働可能な原発の中でももっとも脆性遷移温度が高いと聞いている。冷却したら破断するのではないか。

Q この事件の主人公は関電だ、被害者のように装うのはおかしい。関電の体質を変えてもらいたい。

Q 資料を示して答えてもらいたい。技術の分かる人に来てもらいたい。

Q この話し合いは2011年3月11日以降続けてきたが、大阪本社では署名もガードマンが受け取る事態だし、国会議員が行っても会わない。話し合いは大事だ。

A 大事なことは理解している。

Q 値上げの公聴会の後にこの話し合いに経理の分かる方が説明に来た。そういうこともあったということを伝えたい。

Q 値上げをしたら大黒字になり不信感を招いた。原発は厄病神だ。経営の分かる人に同席してもらいたい。

A意見は伝えて、社内で相談する。

以上

【感想】
「話し合いで返答」した内容は最初の数行。何も答えていないのと同じ。その後はこちらが言いたい放題で約1時間20分話し合った。関電側は低姿勢でこちらが言うことを聞くのみ。いつもは関電側が「そろそろ時間ですから」と促すけど、今回はそれもなし。