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◆関西電力送配電、国や大阪府への虚偽報告で副社長が辞任!
1998年ごろから柱上変圧器のPCB問題を把握するも
2018年の台風被害で初めて認識したと装うよう隠ぺいを指示し
25年以上も放置(2024年10月発覚)
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2024年10月1日、関西電力送配電(白銀隆之社長)は、低濃度のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む柱上変圧器をめぐり、不適切な取り扱いがあったと発表した。25年以上前から事態を把握していたが、国や大阪府などに虚偽報告をしたとして、当時「隠ぺい」を指示をした高市和明・副社長に辞職を勧告。高市氏は同日付で退任、「長年続いていたとは言い出せなかった」と話しているという。白銀社長は「コンプライアンス最優先の組織改革が道半ばであると痛感した。再発防止を徹底していく」と述べた。なお、関電から送配電部門が分社化したのは2020年だから、これは関電時代からの不祥事といえる。
PCBは電気を通さない性質から変圧器などに利用されたが、1968年に発覚した「カネミ油症事件」をきっかけに毒性が問題になり、72年に生産と輸入が禁止された。1980年代末には、電力各社で電柱の変圧器に低濃度のPCBが混入していることが発覚。関電は90年から修理と新品への交換を進め、2019年からは新品への交換のみに対応を切り替えていた。
1998年と2002年のサンプル調査で、PCBを除く修理を経た変圧器の絶縁油からも環境基準を超える低濃度PCBが検出されたのに、調査や修理方法の変更などの対応をしなかった。しかし、2019年に、前年の台風で被災した修理済み変圧器から基準を超える低濃度PCBが検出されたため、修理をやめて全て新品に交換することにした。2019年に国や大阪府などに対して説明したとき「2018年に初めて修理品への低濃度のPCB混入を把握した」と虚偽の説明をした。
こうした問題は2023年11月、社外に設けている公益通報の窓口に相談があり、発覚。社外弁護士らに依頼し調査した。同社は「法令違反は確認できていない」としつつ、「一部の人間だけが関わって組織として問題を把握することができなかった。重大な問題だと認識している」と説明している。
関電送配電には、2024年3月末時点で柱上変圧器が約189万台あり、うち約163万台はPCBを含まないことを確認したという。残る約26万台のうち、PCBを含む可能性がある約19万台も26年度末までに取り換える方針としている。