◆関西電力 闇歴史◆117◆

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◆九州電力、関西電力は「免震重要棟」建設を ネグレクト 軽視!
 九電は約束していた免震重要棟の建設を再稼働後に撤回、
 関電がこれに追従、いざという時の備えなし!
 電力各社は規制委をなめ、安全性をないがしろにしている!
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【1】福島第一原発では事故の8か月前に免震重要棟が完成】

 福島第一原発では、事故発生8か月前、2010年6月に免震重要棟が完成した。2011年3月の事故時には、前年7月に運用を開始したばかりの免震重要棟に対策本部が置かれ、吉田昌郎所長以下、 最大600~500人が昼夜をたがわず詰めた。免震重要棟内部は、 一時電源が切れて真っ暗になりながらも、原子炉制御機能と通信機能は生き残っていて、原子炉建屋の爆発が相次ぎ、放射性物質が漏れ出す中、原子炉の冷却にあたる最前線となった。東電「仮に免震重要棟がなければ(事故の)対応は継続不可能だった」。

【2】免震重要棟整備のきっかけは新潟県中越沖地震】

 2007年7月16日、新潟県中越沖地震が発生。東京電力柏崎刈羽原発では緊急時対策室の扉がゆがんで社員が入れず、野外の駐車場にホワイトボードを並べて仮の対策本部とするなど大混乱を呈した。そのため、当時の泉田新潟県知事は免震棟の設置を強く求めた。地震の後、東電は福島第一、 第二と柏崎刈羽の3原発に免震重要棟を整備した。免震重要棟は、 震度7クラスの地震が発生しても、初動対応に必要な設備の機能を確保できるよう、地震の揺れを抑える免震構造を採用している。

【3】九州電力、約束していた免震重要棟の建設を再稼働後に撤回】

 福島事故後の原発再稼働で先頭を切っていた九電は、最初は免震重要棟の建設を約束して新規制基準適合審査を申請していた。2013年の申請の際には2015年度に免震重要棟を設置すると明記していた。2015年8月に許可が出て川内原発1号機を再稼働させたが、免震重要棟の建設は2015年12月には撤回してしまった。この余りにひどい姿勢に対し、規制委は再稼働許可を取り消すこともなく、「不快感」の表明しかしていない。規制委もなめられたものだ。

【参考(1)…この項【3】について、詳しくは以下を参照のこと】
東京新聞(2016/1/27)の記事…約束ほご 九電に不信 規制委「免震棟撤回、根拠を」 川内原発・玄海原発
こちら

【4】規制委は免震重要棟建設を求めたが、及び腰】

 規制委は免震重要棟建設を電力各社に求めていた。しかし、巨額のコストがかかるので、コスト面での配慮から、免震棟設置を「中期目標」にし、すぐに建設しなくてもいいようにしていた。九電はこれをみて免震棟建設を撤回し、これに関電が追従した。両電力会社はいざという時の備えを著しく欠きながら、原発再稼働を強行している。

【参考(2)…この項【4】は以下を参照しました】
守田敏也さん明日に向けて(2457)」(20240904)
Blog→こちら
Web→こちら
電力各社は規制委員会をなめきり安全性をないがしろにしている
こんな会社に原発の稼働を続けさせてはダメ

【参考(3)…この項【4】には異論があります–以下、ご指摘のメール】
関西電力は「免震重要棟」建設をネグレクト!、ですが、福島事故後、規制委は「免震重要棟」建設を再稼働時要件にしたので、関電も7階建ての「免震重要棟」を立てますと公言していたのですが、いざ建てるとなると建設費用がかかるため、ごねて「免震」を「耐震」に変えて2階建てのもの(外部との連絡用だけで、それぞれの原子炉の状況監視計測・制御はできない—これは福島第一の吉田所長がいた部屋と同じ)を建てました。その後に4階建て(?)の免震棟(要員の待機や資材保管)を建てたと言っています。高浜は北門すぐ左手の建物らしいです。大飯や美浜は確認はできていませんが、一応、関電は建設をネグレクト、はしていない、と思っています。

【参考(4)】…美浜の会「福井県原子力安全専門委員会への特別要請書」では
要請書に引用されている福井県原子力安全専門委員会の資料(2021/7/22)によれば、関電は高浜、大飯、美浜原発において緊急時対策所(耐震)と免震事務棟とを計画。→こちら
なお、
免震=建物と基礎の間に免震装置を設置し、地盤と切り離す。建物に地震の揺れを直接伝えない構造。
耐震=地震の力に対し、おもに壁の強度を上げて耐える構造。建物が頑丈でも地震の揺れは建物内部に伝わる。2階、3階と上がるほど、揺れが増幅。

【5】電力会社、政府、規制委が一体となって次の原発過酷事故の道へ】

 電力各社は規制委をなめ、安全性をないがしろにして経済性を最優先しているし、規制委の方もきちんとした「規制」を行わず政府や電力会社の方針に追従している。こうした現状は、次の過酷事故に直結する道ではないか。

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