◆原発再稼働差し止め判決に歓声
 第4回口頭弁論・報告集会

大飯原発差止京都訴訟第4回口頭弁論・報告集会

橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

救援新聞 京都版No.1211 2014年6月5日[366 KB](PDFファイル 365KB)
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 福井県の大飯原発の差し止めと賠償を求めて京都などの原告1963人が関西電力と国を相手に起こした訴訟の第4回口頭弁論が京都地裁 (第6民事部合議A係・堀内照美裁判長) 101号法廷で開かれ、弁護団・原告団、支援の傍聴者120人余りがぎっしり席を埋めた法廷では、裁判官の交代に伴う更新手続きが行われました。原告や、弁護団が新任の裁判官に、訴訟にあたっての意見陳述や準備書面の趣旨説明で危険な大飯原発の差し止めを訴えました。

 弁論終了後京都弁護士会館で開かれた報告集会では、冒頭、この日福井地裁 (樋口英明裁判長) で出された大飯原発の再稼働差し止めを命ずる勝訴判決が報告されると、会場は大きな拍手と歓声に包まれました。ニュース映像も映し出され、喜びに沸く裁判所前には「司法は生きている」の横断幕も。出口治男弁護団長は、記者団の質問に答えて、自ら裁判官を務めてきた経験からもこういう住民勝訴の判決は大変難しいと思っていたが、司法が住民の命と暮らしに向き合い、憲法が保障した人権を生かそうとの判断に立ったもの、私たちも未来をみすえて原発のない社会へ行政の政策転換をもとめてこの裁判でもたたかう、と述べました。

 この日の弁論では、最初に竹本修三原告団長(固体地球物理学・京都大学名誉教授)が意見陳述。竹本団長は、要旨次のように訴えました。「世界地図の0.25パーセントの狭い日本で世界の地震の20パーセントが起こっている。ここに50基もの原発が存在することが異常。しかも海溝型巨大地震が2030年代終わりに南海トラフ沿いで起こることも予測される。原子力規制委員会は、大飯原発敷地内を活断層の有無だけにしぼって結論を出しているが、これはむなしい議論だ。兵庫県南部地震のように過去の地震は活断層から離れたところでも発生している。地震の予知も確立していない。使用済み放射性廃棄物の処分問題も解決していない。福島第一原発の事故は、震災・津波・人災の複合災で、どの原発も同じような危険性をはらんでいることをしっかり認識していただき、子や孫の代に負債を残さないために、脱原発に向かって進んでいただきたい」
 
 つづいて原告弁護団の渡辺輝人弁護士が立ち、事故は起こらないという安全神話によりかかって対策をとってこなかった、電気事業体や行政の怠慢を批判。また、裁判所もこれにくみしてきたことを指摘。福島第一原発の1号機、3号機の爆発した動画、写真も流しながら、危険性を明らかにしました。さらに、三上侑貴弁護士が、避難の状況とその後、現在の状況について陳述。海洋汚染の画像や図を示し、被ばく検査を受けた実態を述べました。また、畠中孝司弁護士は、無人化した双葉町のアーケードの写真 (「原子力明るい未来のエネルギー」の文字がみえる) などを映し、「福島第一原発の事故は地域コミュニティを破壊し、正常な家族生活すら破壊しており、放射能汚染の危険がある限りその回復は望めません」と被害の甚大さを説きました。

 福島県南相馬市から二人の子どもを連れて京都に避難してきた原告の福島敦子さんは、自宅に帰った際持ち帰った庭の土です、とビンの土を高く掲げ、「1平方メートル当たり93万ベクレルありました。チェルノブイリなら移住必要地域に当たるレベルです。ここがチェルノブイリなら母たちは移住しているはずであります」と述べ、「裁判長、こどもを守ることに必死な、懸命な母親たちをどうか救ってやってください」と迫りました。

 原告弁護団の大河原壽貴弁護士は、原発の根源的危険性、としてとりわけ放射線被曝が人体に与える影響について簡明に解説。人体への被害が非常に深刻なものであるのに、放射線被曝から住民の生命・身体を守るための法定規制がきわめてズサンであることを指摘し、司法の果たすべき役割の重大さを強調しました。最後に森田基彦弁護士が原告第1準備書面の骨子について陳述。「大飯原発は必要な安全対策を備えていない」問題点を指摘しました。

 次回の第5回口頭弁論は、9月30日(火)午後2時から、101号法廷で。

「原発いらない」のデモも

 弁論に先立ち、午後0時10分過ぎには、弁護団・原告など50人が裁判所周辺をデモ行進しました。横断幕やノボリ、プレートをかかげ、「大飯は危険」「原発いらない」「子どもを守ろう」などと声を合わせ、太鼓などの鳴りものも交えて裁判所職員や市民にアピールしました。

6月7日に原告団総会

 原告団の総会は、6月7日(土)午後1時30分から、京都駅前のキャンパスプラザ京都で開催されます。なお、12時30分からは塩小路公園に集合し、関電京都支店前などへのデモ行進と市民アピールを計画しています。ご参加を。