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◆原告第47準備書面
第2 日本海西南部の津波についての研究の現状

2018年(平成30年)3月23日

原告第47準備書面
―1026年の万寿津波と大飯原発の危険性―

目 次(←第47準備書面の目次に戻ります)

1 日本海における大規模地震に関する調査検討委員会
2 調査検討会による最大津波高の分析と評価
3 島崎教授の講演
4 日本海地震津波調査プロジェクト
5 津波地震
6 海底地すべり



第2 日本海西南部の津波についての研究の現状


1 日本海における大規模地震に関する調査検討委員会

2013(平成25)年1月から、2014年8月にかけて、調査検討会の会議が合計8回開催された。最後の会議では、日本海を震源とする地震が発生した場合に起きる津波について、16都道府県173市町村で想定される津波の高さと到達時間が初めて公表された。

ところで、調査検討会は、委員長を阿部勝征東京大学名誉教授が務め、その他学識経験者から構成され、国土交通省のほか、内閣府や文科省が協力、国土交通省の水管理・国土保全局が事務局となっている。

そして、調査検討会は、道府県による津波浸水想定の作成を支援し、将来起こり得る津波災害の防止・軽減のため、全国で活用可能な一般的な制度を創設し、ハード・ソフトの施策を組み合わせた「多重防御」による「津波防災地域づくり」を推進することを目指したものである。

その背景としては、日本海側では、過去に渡り、津波を伴う巨大地震が度々発生しているものの、太平洋側で発生する海溝型地震のように、同一場所で繰り返し発生が確認されるようなものではなく、また、地震の規模も、太平洋側に比べると小さいことから、発生メカニズムのモデル化が難しいとされてきた。そこで、今回、歴史資料や、津波痕跡高、津波堆積物調査を収集・整理するとともに、産業技術総合研究所(以下「産総研」という)、海洋研究開発機構等による構造探査データ及び地震発生メカニズム等に関する最新の科学的知見なども踏まえ、日本海側における津波の発生要因となる最大クラスの津波断層モデル(海底断層の位置、長さ、幅、傾斜角、すべり量等を60断層について調査したものである。

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 2 調査検討会による最大津波高の分析と評価

上記60断層による津波規模を把握するため、各津波断層モデルに大すべり域の場所を変えて、計253ケースの津波高の概略計算を実施し、知床半島から平戸市までの日本海沿岸を50メートルメッシュ(区画)に分割して沿岸の津波高を算出した。概略計算の結果から、北海道から福井に至る日本海沿岸東部では、15メートル以上のところもあったが、おおむね高いところで5~12メートルであった。それに対して、京都から九州北部の日本海沿岸西部では、高いところでも概ね3~4メートルであった。もっとも、日本海の海底地形の影響で、東北沖での津波が中国地方で高くなる場合があったと記載されている。

甲429号証[3 MB]の2頁、図1に、この調査検討会で導かれた日本海側の16道府県の最大津波高が示されている。これによれば、福井県は坂井市で7.7m、京都府伊根町では7.2mである。

図1 (日本海側の16府県の最大津波高(m))【図省略】

日本海沿岸東部は、北米プレートとユーラシアプレートの2つの大陸性プレートの境界に沿って、1940年の積丹半島沖地震(Mw7.6)、1964年の新潟地震(Mw7.6)、1983年日本海中部地震(Mw7.7)、1993年北海道南西沖地震(Mw7.7)が発生している。これらの最近の活動から見ると、日本海東縁部の領域では、約10年から20年間隔で大きな津波を伴う地震が発生している。

一方、日本海沿岸西南部では、2000年鳥取県西部地震(Mw6.8)、2005年福岡県西方沖地震(Mw6.7)などの日本海沿岸近くの内陸部で被害を伴う地震が発生しているが、東縁部に比べると地震活動は低調で、大きな被害を伴う津波の歴史資料は現時点では確認されていないという。このことが図1の結果にも反映された。

上記分析に対し、竹本教授は、2000年鳥取県西部地震や2005年の福岡県西部沖地震のほか、日本海沿岸西南部で津波を伴ったM7級の地震として、1700年の対馬沖地震、1872年の浜田地震、1927年の北丹後地震も考慮すべきとしている。

また、地震予知連絡会会報90巻(2013年)の松浦律子博士の報告「日本海沿岸での過去の津波災害」によれば、日本海の地震の津波マグニチュード(Mt)は、モーメント・マグニチュード(Mw)より0.2程度大きく、同じ地震規模ならば太平洋側より日本海側のほうが津波が大きいと指摘している。また、1983年の日本海中部地震や、1993年の北海道南西沖地震の経験から、日本海側の地震は、地震規模が小さくても津波が高くなる傾向がある。この原因は、岩石の弾性係数の差に起因するとされている。

次に、調査検討会は、日本海側の9つの原発立地点におかる最大津波高を示した(甲429[3 MB]の3頁、図2)。これによれば、大飯原発が2.8m、高浜原発が3.3mとされているが、他方、上記に述べた通り、図1によれば、福井県の最大津波高は坂井市の7.7m、京都府は伊根町の7.2mであり、原発立地点の津波高の算定が過少ではないかの疑問がある。

図2 (各原発立地点の最大津波高(m))【図省略】

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 3 島崎教授の講演

2015年11月28日、原子力規制委員会の委員長代理であった島崎邦彦東京大学名誉教授は、岡山市で開かれた日本活断層学会2015年度秋季学術大会で、「活断層の長さから推定される地震モーメント:日本海『最大』クラスの津波断層モデルについて」という表題で講演を行った(甲430[460 KB]参照)。それによると、調査検討会の見解は、能登半島以西で地震規模が従来の手法に比べても、過小評価の恐れがあるという。この見解は、自治体が作る防災計画に大きな影響を及ぼすだけに、島崎教授は、「このままでは東日本大震災のような『想定外』を繰り返しかねない」と警鐘を鳴らした。また、同教授によれば、日本海側の津波が「東高西低」だが「西日本は過小評価」とされることについて、津波を引き起こす海底断層の大きさを推定するのに、武村の式(武村1998)を使わずに、入倉―三宅の式(入倉・三宅2001)を用いていることに大きな原因があるとしている。日本海西部に発生する津波は、垂直な海底断層、あるいは垂直に近い断層によって生じるが、これらの断層の地震モーメントを推定するのに入倉―三宅の式を使うと、武村の式を使った場合の4分の1程度にしかならないということである。

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 4 日本海地震津波調査プロジェクト

上記島崎教授の講演に先立ち、文部科学省は、2013年度より日本海沿岸地域での津波の波高予測・強震動予測を一層強化するため、「日本海地震津波調査プロジェクト」を開始した。開発・事業期間は、2020年度までの8年間で、このプロジェクトは、東日本震災の津波被害を受け、政府が2011年に「津波対策の推進に関する法律」を制定し、津波の発生機構の解明と津波の規模等に関する予測精度の向上についての調査研究を国が行うことを明示したことに基づいている。また、第4期科学技術基本計画(2011年8月に閣議決定された)では、大規模な自然災害の発生に際し、人々の生命と財産を守るための取組を着実に進めることの必要性を挙げ、生活の安全性と利便性の向上に関する施策を重点的に推進するため、地震などに関する調査観測や予測、防災、減災に関する研究開発や、防災体制の強化、災害発生時の迅速な被害状況の把握及び情報伝達、リスク管理も含めた災害対応能力の強化に向けた研究開発を推進するとしている。

太平洋側とは違い、海・陸のプレート境界にない日本海側には、巨大地震は発生しないと考えられてきたため、日本海側の津波予測の研究は研究途上であると言える。

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 5 津波地震

陸域に被害をもたらす津波には、地震を原因とする以外にも色々な原因がある。

まず、通常の海域における断層活動に伴う地震・津波による被害の例に加えて、津波地震(ゆっくり地震)を説明する。東大地震研究所・瀬野徹三名誉教授のホームページによれば、津波地震とは、断層地震のマグニチュードが小さい割には矢鱈と大きな津波を発生する地震である。震度が小さいと思い安心していると大きな津波に襲われることになるので、極めて危険な地震と言える。1896年明治三陸地震がそのような津波地震の典型例で、この地震のマグニチュードは7程度であったが、三陸海岸に沿って、津波で2万2千人の人命が失われ、史上最悪の津波被害を出したと書かれている。このような津波地震は、日本ばかりでなく、1946年のアリューシャン地震のように世界中で知られている。

日本海側に着目すると、1983年の日本海中部地震や1993年の北海道南西沖地震は、地震のマグニチュードに比べて大きな津波があったことはすでに述べた通りである。日本海側で発生した最大の津波は、1641年の寛保津波で、瀬島大島の噴火に伴う火山体の崩壊が原因であると考えられている。

火山体の崩壊が原因で津波が発生したケースとして、「島原大変肥後迷惑」という言葉で表された災害がある。1792年5月に、肥前国の島原(長崎県)で発生した雲仙岳の火山性地震及びその後の眉山の山体崩壊(島原大変)と、それに起因する津波が島原や対岸の肥後国(熊本県)を襲った(肥後迷惑)という災害である。このほか、火山体の崩壊に起因した大規模海底地すべりは、ハワイ半島やカナリー諸島などでも認められているという。

産総研の岡村行信博士は、海底断層の活動による地震に伴う津波ばかりでなく、日本海西南部沿岸の海底堆積性斜面の大規模崩壊による津波の可能性を指摘しており、大地震が起こりにくい場所でも稀に大規模な海底斜面崩壊が起こり、津波を発生させると述べていることに注目すべきである。

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 6 海底地すべり

電力土木技術協会は、海底地すべりについて、ホームページで以下のように書いている。

「海底地すべりとは、海底斜面に存在する未固結堆積物が、崩壊などによって引き起こす比較的急速な物質移動、すなわち堆積物のある程度の大きさの塊が重力の作用により斜面を滑り落ちる現象をいう。海底地すべりが詳細に調査されている海域はまだ少なく、まだ海底地すべりの大部分は水深200~300m以深の大陸斜面やその基部の緩やかな斜面の海域で発生するために、その運動様式に関する長期的な観察・観測例がほとんどない。海底地すべりの特徴は、その規模が陸上に比べて極めて大きい。」

このように、多くの文献では、海底堆積性斜面の大規模崩壊と海底地すべりは、ほぼ同じように説明されている。

産総研の池原研博士は、2005年に日本地すべり学会の講座「すべりに伴う物質の移動と変形(第5回)」において、「海底地すべり」と題する講演を行った(甲431[349 KB])。そこには「海底地すべりの特徴は、陸上の地すべりでは地すべり土塊の体積は大きいものでも数十k.であるのに対して、海底地すべりでは、数千km3~数万km3のものもあり、移動距離も数十km~数百kmに及ぶものもある」と書かれている。東北大学大学院工学研究科の阿部郁男博士(現富士常葉大学社会環境学部)らは、規模は小さいが、日本海で海底地すべりが津波を生じさせた例として、2007年能登沖地震の際に、富山湾内で発生した津波について述べている。日本海でもこのような海底地すべりによる津波が発生しているという。

これに関連して、1998年7月17日にパプアニューギニア北西部のシッサノ・ラグーン沖約35kmの地点でM7.0の地震が発生した。この地震でラグーン付近は15mに達する津波に襲われた。地震のマグニチュードに比較して、この津波高は大きく、地震に伴う海底地すべりの影響であると考えられている。気象庁は、ホームページの「津波の基本知識」の中で、これを海底地すべりの例として扱っている(甲429[3 MB]の5頁、図3)。この機序をいうと、沖合30~50kmで大規模海底地すべりが発生し、大量の土砂がその右側のニューギニア海溝の2000~3500mの深さに流れ落ちた。その部分の水深が急激に低下した。その結果、海底地すべりが発生した場所に周囲から海水が押し寄せた。そのためラグーン付近の第1波は引き波となった。その後、ニューギニア海溝に流れ落ちた大量の堆積物により、この海溝部分の水深が浅くなり、上昇した海水が周囲に流れた。その結果、ラグーン付近に15mに達する押し波が寄せ、マングローブの林をなぎ倒したということである。この例は、この後述べる1026年の万寿津波のメカニズムを考えるうえで非常に参考になる。

図3 【図省略】

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◆原告第47準備書面
第1 問題の所在

2018年(平成30年)3月23日

原告第47準備書面
―1026年の万寿津波と大飯原発の危険性―

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第1 問題の所在

原告らは、第2準備書面において、近畿地方の日本海側において、過去に多数の地震が発生していることを述べた。具体的には、1948年の福井地震、1952年の大聖寺沖地震、1963年の越前岬沖地震、1891年の濃尾地震、1927年の北丹後地震、2000年の鳥取県西部地震などである。また、原告らは、過去に日本海側で、大きな津波が発生したことも主張した。1586年の天正大地震では、北陸・東海・近畿に甚大な被害が出たとともに、若狭湾沿岸に大津波が押し寄せたとの文献も証拠提出した。このほか、日本海側に津波が到来した伝承も多数あることを立証した。

さらに、原告らは、第14準備書面においては、津波の定義と津波高の試算方法として土木学会の「津波評価技術」が用いられていることを紹介した。他方、大飯原発の構造上、押し波でT.P.(東京湾平均海面)+8.0を上回るか、引き波でT.P.-2.62を下回る津波が発生する可能性が万一にでも認められれば、海水ポンプ施設の稼働に影響の出る具体的危険性があると述べた。そして、被告関西電力の津波高試算は、上記「津波評価技術」を援用しているものの、活断層や古津波の検討が不十分であり、安全裕度に乏しいことなどを指摘、その内容は不合理であることを主張した。

これらの主張に対し、被告関西電力は、日本海側では巨大地震による大津波を警戒する必要は無いとしている。その根拠の一つは、2014年8月に、「日本海における大規模地震に関する調査検討会(以下「調査検討会」という)」が公表した日本海側の津波高の予測であり、その結論が日本海沿岸西南部の原発立地点の津波の高さが3~4メートルというものである。

しかし、このたび、1026年に島根県益田地方を襲った万寿津波について、京都大学の竹本修三名誉教授の論文が発表され(甲429号証[3 MB])、万寿津波のメカニズムが解明された。伝承されている20メートルを超える高さの津波の到来につき、十分信用性があることが分かった。

被告関西電力の根拠の一つである、上記調査検討会の発表は、この万寿津波の存在を考慮しておらず、再考が必要となる。以下、論ずる。

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◆原告第47準備書面
―1026年の万寿津波と大飯原発の危険性―
目次

2018年(平成30年)3月23日

原告第47準備書面
―1026年の万寿津波と大飯原発の危険性―

原告提出の第47準備書面[2 MB]

目 次

第1 問題の所在

第2 日本海西南部の津波についての研究の現状
1 日本海における大規模地震に関する調査検討委員会
2 調査検討会による最大津波高の分析と評価
3 島崎教授の講演
4 日本海地震津波調査プロジェクト
5 津波地震
6 海底地すべり

第3 島根県益田地方を襲った万寿津波
1 文書に現れた万寿津波
2 万寿津波の発掘調査
3 大規模な海底斜面崩壊による津波の可能性
4 万寿津波のメカニズムについて

第4 竹本論文のまとめ

◆人類の手に負えない原発の即時全廃を!

【2018年3月23日,京都キンカンで配付。】

◆福島原発事故から 7年を経ましたが、この事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命を奪い、人の尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活基盤を奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。

◆福島の事故炉は、現在でも廃炉の見通しが立たず、汚染水は垂れ流され続けています。一方、この事故で避難された10 数万人の多くは今でも故郷を奪われたままです。長期の避難生活が健康をむしばみ、家族の絆を奪い、大きな精神的負担となっています。多くの方々が、避難生活の苦痛で病死され、自ら命を絶たれました。癌の苦しみ、発癌の不安にさいなまれています。1昨年暮れのNHKテレビでも報道されましたが、福島事故から4年経った2015年から、自殺者が急増しています。原発事故でなければ、もう復興の目途が立っているはずですが、原発事故は、復興の希望をも奪っているのです。

政府は、避難者を高放射線量地域へ帰還させています。

◆そのような状況の中で、政府は、年間放射線量が20ミリシーベルト(mSv)以下になった地域(福島県浪江町、飯舘村、川又町山木屋地区、富岡町のうち、帰還困難区域を除く)の避難指示を、昨年3月31日と4月1日に一斉解除し、生活基盤も整っていない高放射線地域への避難者の帰還を強要しています。また、これ以前に、一部や全域が「避難指示解除準備区域」や「居住制限区域」であった田村市(2014年6月)、川内村(2014年10月)、楢葉町(2015年9月)、葛尾村(2016年6月)、南相馬市(2016年7月)の指定解除も行っています。これらの解除は、東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためです。

◆図1に避難指示が解除された地域、図2に現在の避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域を示します。


図1 緑色斜線部分が避難指示が解除された地域


図2 現在の避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区

◆なお、政府は2015年6月に「避難指示解除の要件」を次の①~③のように閣議決定し、この決定を避難者に押し付けています。

空間線量率で推定された年間積算線量が20 mSv 以下になることが確実であること。
電気、ガス、上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスが概ね復旧すること、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること。
県、市町村、住民との十分な協議。

本チラシ作成者のコメント:①について、政府は「年間積算線量が20 mSv 以下」が「世界の基準」としていますが、国際放射線防護委員会(IPRP)が定めた一般公衆に対する空間線量限度は年間1 mSvであり、「20 mSv以下」は最高でもこの値と言っているにすぎません。「20 mSv以下」は、人の安全と生命を軽んじる国民だましです。②が満たされたとするにはほど遠いにもかかわらず、帰還を推進しています。

◆政府は、解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域を次のように定義しています。

【避難指示解除準備区域】
➔放射線の年間積算線量が20 mSv以下となることが確実であると確認された地域。当面の間、引き続き避難指示が継続されるが、復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民が帰還できるよう環境整備を目指す。

【居住制限区域】
➔事故を起こした原子炉が冷温停止状態に達した後、それまでの警戒区域・避難指示区域(計画的避難区域)を見直して新たに設定されたもので、放射線の年間積算線量が20 mSvを超えるおそれがあり、引き続き避難の継続を求める地域。除染を計画的に実施して、基盤施設を復旧し、地域社会の再建を目指す。

【帰還困難区域】
➔事故を起こした原子炉が冷温停止状態に達した後、それまでの警戒区域・避難指示区域(計画的避難区域)を見直して新たに設定されたもので、放射線の年間積算線量が50 mSvを超えており、5年を経過しても20 mSvを下回らないおそれのある地域。

◆次の表に、避難指示解除から1年近く経た3月上旬の浪江町、飯舘村、川又町山木屋地区、富岡町への帰還者の状況を示します(自治体のホームページより編集)。この表には、他の市町村の状況も加えてあります。

【表】本年2月28日あるいは3月1日時点での福島県下の市町村の避難者の状況(川内市は昨年12月1日時点)
(-は、不明を示しますが、2011年3月11日の人口と現在の避難者数や現在の居住者数の比較、あるいは、現在の住民基本台帳人口と現在の居住者数の比較から、避難の現状を理解できます。)


③、②:田村市のうち、①は旧避難指示解除準備区域(20 km 圏)内について、②は旧緊急時避難準備区域(20~30 km 圏)内について。
③:南相馬市全域。
③:南相馬市のうち旧避難指示区域内について。

本チラシ作成者のコメント:浪江町、飯舘村、川俣町(山木屋地区)、富岡町、大熊町、双葉町、葛尾村、南相馬市(旧避難指示区域内)の帰還率は極めて低く、帰還者の多くは高齢者です。

脱原発、反原発は民意です。

◆上記のように、原発重大事故は、人々に塗炭の苦痛を与えます。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても何の支障もないことが実証されました。そのため、今、脱原発、反原発は圧倒的な民意となっています。

◆若狭の原発を考える会は、毎月4日間かけて、若狭の隅から隅まで歩きながら反原発を訴え、チラシを各戸配布する、アメーバデモと呼ぶ行動を、3年以上継続し、住民1000人以上から、直接お話をうかがってきましたが、その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、脱原発、反原発が民意なのです。

「トラブル続きの関電」と
「戦争できる国づくりの安倍政権」が
原発再稼働に躍起です。

◆関電や政府は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”に適合したことを拠り所にして、昨年、高浜原発3、4号機を再稼働させ、この3月14日には大飯原発3号機を再稼働させ、5月中旬には、4号機の再稼働を企てています。

◆脱原発、反原発の民意を蹂躙し、関電や安倍政権の利己的利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。また、脱原発に向かう、世界の潮流に逆らうものでもあります。

◆しかも、原発の再稼動を進める関電は、事故だらけで、トラブル続きの企業です。

◆関電のトラブル続きの根っこは、神戸製鋼などのデータ改ざん、日産やスバルの不正検査、米軍機や自衛隊機の相次ぐ墜落・炎上・部品脱落、JR新幹線車両の杜撰製造などと共通しています。

◆自民党政権が、50年以上にわたって続けた人間性無視の政策、すなわち、極端な合理化、派遣労働、非正規雇用の助長、過剰な科学技術依存、後先考えぬ教育破壊、労働組合破壊、農業破壊、基地拡大政策の付けが回ってきたのです。

◆一方、安倍政権は、2030年までに、いわゆるベースロード電源として、原発電力を20~22%にまで、増加させようとしています。それは、

①原発の製造と輸出によって、原発産業に暴利を与えるためであり、
②戦争になり、天然ガス石油の輸入が途絶えたときの、基盤電源を原発で確保するためであり、また、
③核兵器の原料プルトニウムを生産する

ためです。すなわち、原発の再稼働は「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」の一環として行われているのです。

◆こんな社会を許してはならず、一日も早く変革しなければなりません。

原発再稼働を阻止し、
原発全廃を勝ち取りましょう!

◆原発重大事故は、職場を奪い、農地を奪い、漁場を奪い、生活の基盤を奪い去ります。重大事故が起こる前に、あらゆる手段を駆使して、粘り強く原発全廃を勝ち取らなければなりません。

◆そのために、昨年8月に結成された、大飯原発うごかすな!実行委員会は、去る10月15日に「関電包囲全国集会」と御堂筋デモを呼びかけましたが、衆院選の直前で豪雨という悪条件にも拘らず、600名もの結集を得ました。また、12月3日にはおおい町現地全国集会と青空の下の町内デモを500人の参加を得て闘いとり、本年2月25、26日には、延べ220名の参加を得て、若狭湾岸一斉チラシ配布いわゆる拡大アメーバデモと関電原子力事業本部までの美浜町内デモを貫徹しました。さらに、去る3月13日、14日には、大飯原発3号機再稼働阻止のために、それぞれ100名、70名の結集を得て、おおい町現地でのデモと原発ゲート前抗議闘争を果敢に闘いました。

◆再稼働を許したことは、本当に悔しいことですが、少人数とはいえ、現地での連続闘争を貫徹しえた意義は計り知れないと考えます。これらの現地闘争の中でも、住民からの暖かいご声援を得ることができました。原発立地と言えども、脱原発、反原発の声が多数あることを、この度も実感しました。ご参加、ご支援を戴いた皆さんに心より感謝申し上げます。

◆関電は、大飯原発4号機を、5月中旬にもに再稼働させようとしています。座視することはできません。
4月22日(日)に「大飯原発うごかすな!」関電包囲全国集会と御堂筋デモも企画しています。皆様のご参加、ご支援をお願いします。


「大飯原発うごかすな!」
4月22日(日)、関電包囲全国集会と御堂筋デモへも大結集を!


主  催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:
(1)オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)、
(2)ふるさとを守る高浜・おおいの会、
(3)若狭の原発を考える会

◆関電は、大飯原発3号機を3月14日に再稼働させ、
◆5月中旬には、4号機を再稼働させようとしています。
◆断固抗議、阻止する行動にたちましょう!


・お問い合わせは右記まで;090-1965-7102(木原)、090-2741-7128(宮下)
ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644:お振込みにあたっては、通信欄に「大飯原発うごかすな!実行委員会へのカンパ」とお書きください。)


2018年3月23日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆4/8投票の京都府知事選は「福山和人」さんを推薦します

◆京都府知事選が3月22日に告示されます。投票日は4月8日です。
◆京都脱原発原告団は,3月17日の世話人会で,福山和人さんを推薦することを決めました。
◆3月1日,立候補を表明されている二人のかたに,下記,文書を送り,原発に関する政策を尋ねました。福山和人さんからは回答があり,もう一人のかたからは回答がありません。質問と回答の全文は,以下の通りです。
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2018年府知事選の候補者へのお願い

(2018年3月1日)

若狭に集中的に立地している原発は,京都府に接して存在しています。もし事故が起これば,京都府民に大きな影響をあたえます。京都脱原発原告団としては,府民の関心となっている下記の点について,候補者としてのお考えをお聞きしたいと考えています。
お手数をおかけしますが,回答は文書またはメールにて,各項目多くても200字までくらいで,3月10日までにお願いします。

(1)若狭の原発で福島なみの事故が起こった場合における,放射能の拡散シミュレーション,被害シミュレーションを,京都府の責任の下で実施すること。

→[福山和人]原発に100%の安全が期待できない以上,過酷事故を想定してシミュレーションを行うことは,住民の安心・安全に責任を負うべき都道府県として,当然のことです。隣接する滋賀県や兵庫県も,すでに独自のシミュレーションを行っており,京都府でもただちに実施すべきと考えます。

(2)若狭の原発で福島なみの事故が起こった場合の財産的被害の積算。京都府の場合,世界遺産などが多い国際的な観光地なので,その点を加味した想定をたてること。

→[福山和人]ご指摘の通り,京都には貴重な文化財が多数存在しているため,原発事故に伴う財産的被害も,その点を考慮したものを想定する必要があります。被害額の積算は当然実施すべきです。

(3)若狭の原発で福島なみの事故が起こった場合における避難計画の実効性の検証と見直しを行うこと。

→[福山和人]この間,避難計画の策定が行われてきましたが,地震で屋内退避ができない場合の対策,避難手段とされるバスや福祉車両の確保,避難路が使えない場合の代替手段など,未解決の問題が多数残されており,十分な実効性があるとは到底言えません。机上の空論ではなく,さまざまな状況に対応できる避難計画となるよう,不断の検討と改善を図ることが必要です。実効性のある避難計画がないままで,再稼働が認められないのは当然です。

(4)希望者に対する安定ヨウ素剤の事前配布。

→[福山和人]緊急時配布だけでは限界があるのは明らかであり,舞鶴市・綾部市などで,事前配布を求める声が上がっているのは当然です。政府も自治体判断での事前配布は可能としており,島根原発ではすでに実施されています。兵庫県篠山市では,地元医師会の協力の下,丁寧な説明とアレルギー検査を行ったうえでの事前配布を行っています。こうした取り組みにも学んで,希望者へ事前配布をただちに実施すべきです。

(5)福島などから避難している「自主避難者」への支援。

→[福山和人]政府と福島県は,住民の帰還を促すために住居の無償提供を打ち切りましたが,避難指示が解除されたといってもいまだ放射線量が高く,また地域コミュニティも復活しているとは言い難い下で,帰還は避難者の意思を最大限に尊重すべきです。帰還困難区域等からの避難者と同様,いわゆる「自主避難者」にたいしても,避難の継続を望む限り期限を決めずに支援すべきです。住宅無償提供の再開を求めつつ,京都府独自の支援を拡充します。

(6)高浜原発,大飯原発,美浜原発の再稼働について。

→[福山和人]過酷事故の可能性を否定できず,また実効性ある避難計画がないもとで,原発再稼働はすべきではありません。美浜3号機や,高浜1・2号機については,稼働開始から40年を経過した老朽原発で,とりわけ危険なことからすれば,ただちに廃炉にすべきです。

(7)原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟の発表している「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」について。

→[福山和人]同法案は,福島第1原発事故で原発の危険性と高コスト体質が明らかになったことをふまえ,全ての原子力発電の廃止と自然エネルギーへの全面転換をめざすものです。基本方針として,運転中の原発は直ちに停止すること,停止中の原発を今後一切稼働させないこと,太陽光など自然エネルギーを最大限に導入して2050年までに100%をめざすことなどを掲げており,実現に向けて協力したいと思います。

(8)立憲民主党が示している「原発ゼロ基本法」について。

→[福山和人]すべての原発を「速やかに停止,廃止する」という基本理念のもと,原発の運転期間延長や再稼働を認めず,新設や建て替えも禁止することで,施行後5年以内にすべての原発の廃炉を決定するとしており,原発に依存したエネルギ一政策を大きく転換するものと言えます。与野党を超えた賛同により成立することを期待します。

(9)復興庁が2017年12月に出した「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」について。

→[福山和人]政府は,“福島第一原発事故に伴う風評を払拭し,放射線への正しい理解を促す”としていますが,そのために,放射線被ばくによる健康被害のリスクをことさら小きく描き,「安全性」を一面的に強調しているのは問題です。放射線の健康リスクについては,長期にわたる調査・研究によって明らかになる事柄であり,「わからない」部分は予防原則で対応すべきです。福島復興を口実に,原発事故を無理やり終結させる試みは許されません。

◆2月25~26日 若狭湾岸一斉チラシ配布で聞かれた声

【2018年3月9日,京都キンカンで配付。】

2月25日-26日若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)で聞かれた声

◆去る2月25、26日に、「大飯原発うごかすな!実行委員会」の主催で、若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)が実施されました。拡大アメーバデモでは、約30グループに分かれて、旗を持ち、鳴り物を鳴らし、マイクで「脱原発、反原発」を訴えながら、高島市、敦賀市、美浜町、若狭町、小浜市。おおい町、高浜町、舞鶴市の隅から隅まで歩きながら、チラシの各戸配布をしました。25日には約120人、26日には約100人が参加され、5万数千枚のチラシを配布し、多くの住民の方と対話することが出来ました。

◆25日夜は、35人が三方(若狭町)に宿泊し、アメーバデモで見聞きしたことや感想を述べあいました。多くの参加者が、出会ったほとんどの住民が暖かくチラシを受け取って下さったことへの感激を述べました。原発立地といえども、表立ってはいないものの、脱原発・反原発が多数の願いであり、民意であることを実感されたようです。

◆26日は、午前中、各所でアメーバデモの後、美浜町に集結し、デモおよび関電原子力事業本部に申し入れを行いました。晴天下のデモには約90人が参加され、美浜町役場、関電原子力事業本部、民家の多い旧街道を経由して美浜駅の約2.8 kmの行程を行進しました。美浜町役場、関電原子力事業本部前では、一段と大きなコールで「原発全廃」を訴えました。デモの途中でも、処々に、手を振って下さる住民、暖かいご声援を下さる住民がありました。

◆以下は、拡大アメーバデモで聞かれた若狭および舞鶴市、高島市の住民の声です。原発立地、原発周辺地域の現状の理解に役立てば幸いです。

◆東舞鶴

  • 「原発なんて怖いもんはいらん。事故があったら、ここらは被害を受けるだけ。」舞鶴市の避難先の神戸から来たことを告げると、「ご苦労様」と言われた。(60歳代 女性)
  • 車で外出先から帰って来られたので、チラシを渡すと、「大飯原発で働いているので結構です」と言われた。(30歳代 女性)
  • 原発反対のチラシですと言うと、「帰って虫メガネで読ませてもらうわ!」  (80歳代 女性)
  • 「わしは原発賛成や。それで飯食べとるんや! 広島生まれやけど、原爆も原発も一緒か。」、最後に「ごくろうさん」といってくれた。(70歳代、男性)
  • 「難しい問題やね。原発で生活している人もいるしね。でも、がんばってください」と言われた。(70歳代 女性)

◆おおい町

  • チラシを渡すと「原発のことね。はい、わかりました。ご苦労様やね」 (80歳代 女性)
  • 「どこからですか?」大阪からですと言うと、「はいはい、後で読みます。原発のことやね。ご苦労さんやね。」(70歳代 男性)
  • 「原発のことやね。ご苦労さん」(70歳代 男性)
  • チラシ配りしていると「うちに何かようですか。」と聞かれて、原発反対のチラシですと言って渡すと、「いつも見てますよ。興味深く読んでいます。いいことを書いてありますよ。」(30~40歳代 男性)
  • 「あんたたちが、こうして反対運動をやってくれるから、まだしも事故が防げていると思う。」もし、反対運動がなかったら、福島のような事故が起きていたのではないか。私たちはなかなか運動できないけど、こうして外からきて反対してくれる人がいることはありがたい。」(本郷付近 男性)
  • 「夏の大風でも家に被害が出た。原発が安全なはずがない。あんたらが、もっと早く、しっかりした反対をやってくれなかったから、原発ができてしまった。」(名田庄、70歳代 男性)
  • 3人の70歳代の女性にチラシを渡すと「この辺に原発賛成の人なんかいない。」とおっしゃるので、「でも町会議員さんには賛成の人が選ばれている。」と言うと、「それが分からんのや。」とのこと。(名田庄、70歳代 女性)

◆小浜市

  • 「原発内で仕事をしている。ドラム缶の周囲の清掃をしていると気分が悪くなる。」(40歳代 男性)
  • チラシを渡すと歓迎してくれて、「原発問題は政治問題だよ。地元でもこんなものはいらないが、いらないと声をあげにくい。外から来た人たちが、パワーをだしてほしい。ごくろうさま。」(70歳代 男性)
  • 「うち、留守をするのでポストをつけてないけど、もらっとくわ。」小さな女の子に、私のアンパンマンを指さして喜んでもらえた。(30歳代 男性)
  • 「ごくろうさんです。同感です。」(50歳代 男性)
  • アパートにチラシを入れていたら、アパートから出てきた男性にこんにちはと挨拶すると、「ごくろうさん。」と言われた。(20歳代 男性)
  • 庭先で娘さんと立ち話中の方に渡すと、「こんなに遠くまで。読ませてもらいます。ありがとう!」(60歳代 女性)
  • チラシ配布の趣旨を説明したときは聞いてくれたが、「原発に勤めているからいらない。」と申し訳なさそうに断られた。(70歳代 男性)
  • そっけなく「要りません」(70歳代 男性)
  • 東小浜では、気持ちよくチラシを受け取ってくれた人が多かった。
  • 庭先で喋っておられた女性2人に、チラシ配布の趣旨を説明すると、「ここらは(原発から)近いから、事故があったらとんでもないことになる。福島原発事故はほんと他人事ではない。でも現実感がないのよねえ。」と顔を見合わせてうなずいておられたが、被害情報を知らないのだと気が付いた。(60-70歳前後 女性)
  • 建設現場で一服していた人に渡したら、気持ちよく受け取ってくれた。振り返ると、読んでくれていた。(30歳代 男性)
  • 2日目は、チラシを要らないという人はいなかった。
  • 「原発はほんとに怖いです。」(60歳代 女性)
  • 「皆さん、遠くから来てくださり、有難うございます。ごくろうさまです。」(70歳代 女性)
  • メガホンで街宣をしていたら、大声で「そのとおり!」。早速チラシを渡して反原発談義(60歳代 男性)
  • メガホンで街宣をしていたら、にこやかに手を振っていただいたのでチラシを渡そうとしたら、「昨日。郵便受けに入っていたので読みました。」とのこと。(50歳代 男性)

◆高浜町

  • 「反原発」の旗を見て,自転車から降りてきて、「ごくろうさん。ありがとう。」と言って下さった。(70歳代 女性)
  • 家の前の庭をいじっている人にチラシを渡したら、「もう原発あかんな。私も反対。ごくろうさん。」と言われた。(70歳代 女性)

◆高島市

  • 別荘も多い。定住の人が話もよく聞いてくれて、チラシもよく受け取ってもらえた。(50歳代 女性)
  • 「安全な原発ってないわな! 国のいうことやから仕方ない。琵琶湖がやられる。ここら、被害地元や!」(70歳代 男性)
  • 「原発は安全って言うてるし、無毒化できるようになったって聞いたけど、違うの?」原発から出る放射能は子々孫々まで無毒化できない、危険なものですと話した。(60歳代 女性)
  • 「原発事故が起こったら逃げ場がないからね。恐ろしいよ。」(80歳代 男性)
  • 「原発止めてもらいたいけど、仕方ないわね。石油を輸入しなければならなくなるから。」(30歳代 女性)
  • 「原発は皆、賛成しているんでしょう?」神戸から原発反対のチラシを配っていますが、大多数の方が原発反対ですよと話した。(60歳代 女性)
  • 「原発やめてほしい言うてもなあ。なかなかなあ。国会みてたけど、なかなか変わらんやろうなあ」(70歳代 女性)
  • 話はよく聞いてくれて、「ごくろうさん」と言ってくださった。(60歳代 男性)
  • 「寒い中ごくろうさま。風邪をひかないようにね。」と労われた。(70歳代 女性)
  • 「頑張ってください。チラシは読まないのでいりません。」私たちが車に乗った後も手を振ってくれた。(10歳代 男性)
  • 洗車している男性2人に渡すと、チラシを受け取って、話を聞くだけだった。(40歳代 男性)
  • 家の前で赤ちゃんを抱いている人とそのお母さん二人にチラシを渡すと、「私たちは原発に反対です。でも、たくさんの雇用があるし、交付金などで町が運営されている現実もあるし。しかし、反対です。」(20歳代・50歳代女性)
  • ビニールハウスの組み立てをしている3人の男性「俺たちは原発賛成。再稼働賛成。」なぜ?と聞くと、「電気代が安くなるから。」(50歳代-60歳代 男性)
  • スーパーで買い物中、美浜に今から原発反対のデモに行くと話してチラシを渡したら、「ありがとう」と受け取ってくださった。(60歳代 女性)
  • 老朽原発の危険性の話をしたら、「今、停まっているでしょう。」と言われ、裁判で逆転判決が出て大飯原発が再稼働することを話した。(50歳代 女性)
  • 琵琶湖の飲み水が原発で汚染されぬよう、美浜で行われるデモに行くと話したら、「ごくろうさま」と言われた。(80歳代 男性)
  • 「せっかく自然に囲まれているからと、ここに住んだのに。原発なしでいけるのだからやめたらいい。頑張ってください。高島も中平さんらが頑張っています。(50歳代 女性)
  • 「皆が選んだ政治家が決めることだから仕方がない。どうしてそんな人を選ぶのかと思う。」(70歳代 男性)

(取りまとめ:大飯原発うごかすな!実行委員会・木戸恵子)


「大飯原発うごかすな!」
3月13日(火)、おおい町現地でのデモとゲート前集会に大結集を!

3.13おおい町現地デモ、ゲート前集会

主催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)、ふるさとを守る高浜・おおいの会、若狭の原発を考える会

◆関電は、大飯原発3号機を3月13日に再稼働させようとしています。重大事故が起これば、人の命、尊厳、生活基盤を奪い去る原発の再稼働を座視することはできません。断固抗議、阻止する行動にたちましょう。3月13日には、正午に、おおい町大島に結集の後、デモ行進にて大飯原発ゲートに向かい、ゲート前で抗議行動を展開します。奮ってご参加ください。

◆なお、再稼働は14日あるいはその後にずれ込むともいわれています。その場合も、連続闘争として現地闘争を闘います。断固とした行動に起ちましょう!

◆京都、大阪、滋賀、福井などからバスや自家用車を配車します。お問い合わせは下記まで。
行動全般について;090-1965-7102(木原)、090-2741-7128(宮下)
乗車申し込みなどについて
福井県以外の方 090-5676-7068(橋田)、福井県内の方 090-8263-6104(林)
乗車申し込み方法;実行委員会の用意する車を利用される方は、ご氏名、電話番号(できれば携帯電話)、希望乗車場所を上記の橋田または林までお知らせください。なお、現在のところ、京都からのバスは、9時に京都駅八条口南、アバンティ北側のバスプールより発車の予定です。8時40分までにお集まりください。他の地域の配車場所は、お申し込み時にお知らせします。


「大飯原発うごかすな!」
4月22日(日)
関電包囲全国集会と御堂筋デモへも大結集を!

主催:大飯原発うごかすな!実行委員会


2018年3月9日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆3/27の第19回口頭弁論のお知らせ

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大飯原発差止訴訟[京都地裁]の原告の皆さまへ
次回 3/27(火)の裁判期日のお知らせ
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第19回口頭弁論について

3/27(火)14:00より,京都地方裁判所において開かれます。
多くの皆さまにご参加いただきますよう,ご案内します。

次回の法廷の概略…次の通りです。

(1)原告の意見陳述…舞鶴市の小西洋一さん「小学校における原子力防災」について。

(2)弁護団から(予定)
①福島第一原発の廃炉作業について。
②廃棄物の処理について。
③事故時の避難計画についての批判。
④万寿(まんじゅ)地震(1026年)と津波について。遠方の海底地すべりや海底大規模崩壊で津波が発生する可能性について。


3/27の裁判に参加する方法…以下,三つの方法があります。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に,原告として入ります。被告の正面になります。

・原告団が氏名を裁判所に通知します。希望される場合は★3月18日(日)★までに電話,FAX,葉書などで末尾記載の事務局宛ご連絡ください。
・E-Mailでの応募と合わせて先着順とし,定数に達するまで募集します。
・合計35名ほどの原告が参加できますので,先着順で定数に達するまで募集します。

【注意】2017年に原告申込をされた方(=第六次原告)は,原告席に入ることができません。ご自分が第六次原告かどうか,わからない場合,事務局宛にお問い合わせください。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あり,そこに入るには,裁判所が抽選を行います。

・13:20~13:35の間に,京都地裁正面玄関前で,抽選リストバンドが配布されます。
・13:35からの抽選,傍聴券の配布は,地裁の北側正面玄関前となります。
・傍聴席は,原告でない方も,誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合は,下記の模擬法廷にご参加ください。

★傍聴におこしください★ 最近の口頭弁論では,関電の関係者と思われる傍聴希望者が20名ほど来ていて,抽選の結果,10数名が傍聴席に入っています。関電の社員に私たち原告の主張を聞いてもらうのは良いことですが,原告の皆さん,脱原発を願う支援の皆さんの傍聴機会がなくなるのは困ります。3/27の傍聴席は,脱原発の声で埋めたいと思います。原告席に参加されない場合でも,ぜひ傍聴にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:00開始)。

そこに参加するには,
・京都地裁の構内の南東角にある「京都弁護士会館・地階大ホール」へ,直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく,弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば,その解説も行います。


報告集会の開催

・法廷の終了後(15:00頃から)「京都弁護士会館・地階大ホール」にて報告集会を開催します。
・裁判に関するご質問なども,弁護団から説明いたします。


開廷前のデモ

・市民に脱原発を訴えるため,従来通り,12:10 までに京都弁護士会館前(京都地裁構内の南東角)に集合して裁判所周辺のデモを行います。多くの皆さまが参加されるよう,訴えます。
・出発は12:15 です。30分程度で終わる予定です。
・デモ後に,裁判所の傍聴席の抽選に応募することができます。


◆若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)の報告とお礼

【2018年3月2日,京都キンカンで配付。】

2月25~26日
若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)に
延べ220人参加:美浜町デモには90人
敦賀原子力規制事務所、関電原子力事業本部に申し入れ
ご参加、ご支援下さった皆様ありがとうございました。

◆若狭湾岸一斉チラシ配布[拡大アメーバデモ(下記注参照)]は、高島市、敦賀市、美浜町、若狭町、小浜市。おおい町、高浜町、舞鶴市で、約30グループに分かれて実施され、25日には約120人、26日には約100人が参加されました。一部(9人)は、25日、敦賀原子力規制事務所に申し入れを行いました。

◆25日夜は、35人が美浜町に宿泊し、アメーバデモで見聞きしたことや感想を述べあいました。参加者の多くが、出会ったほとんどの住民がチラシを暖かく受け取って下さったことへの感激を述べました。原発立地といえども、表立ってはいないものの、脱原発・反原発が多数の願いであり、民意であることを実感されたようです。

◆26日は、午前中、各所でアメーバデモの後、美浜町に集結し、デモおよび関電原子力事業本部に申し入れを行いました。晴天下のデモには約90人が参加され、美浜町役場、関電原子力事業本部、民家の多い旧街道を経由して美浜駅の約2.8 kmの行程を行進しました。美浜町役場、関電原子力事業本部前では、一段と大きなコールで「原発全廃」を訴えました。

◆下に、敦賀原子力規制事務所、関電原子力事業本部への申し入れ文があります。


[注]アメーバデモとは、3~10数人が1グループとなって、地域の隅から隅まで、旗や横断幕を掲げ、鳴り物を鳴らし、拡声器で呼びかけながら歩き、チラシを各戸配布する行動です。出会う人、畑にいる人には話しかけ、車で通りかかる人には会釈をします。小、中、高校生にも声をかけ、役場にもチラシを届けます。







【ニュース】27日、美浜町議会選挙は無投票で立候補者全員が当選と決定した。脱原発・反原発を訴える議員は、今まで定足数(14人)中1人であったが、この選挙で一挙に4人となった。


「大飯原発うごかすな!」
3月13日(火)、おおい町現地・デモとゲート前集会
主催;大飯原発うごかすな!実行委員会

◆関電は、大飯原発3号機を3月13日に再稼働させようとしています。重大事故が起これば、人の命、尊厳、生活基盤を奪い去る原発の再稼働を座視することはできません。断固抗議し、阻止する行動にたちましょう。当日は、正午におおい町大島に結集の後、デモ行進にて大飯原発ゲートに向かいゲート前で抗議行動を展開します。奮ってご参加ください。
京都、大阪、滋賀、福井などからバスや自家用車を配車します。詳細は下記まで。

◆行動全般について;090-1965-7102(木原)、090-2741-7128(宮下)
◆乗車申し込みなどについて;
・福井県以外の方は 090-5676-7068(橋田)、
・福井県内の方は 090-8263-6104(林)



大飯原発3・4号機の再稼働中止を求める要請書

原子力規制委員会・委員長 更田豊志 様
原子力規制委員会・地域原子力規制総括調整官 西村正美 様

2011年3月11日に発災したあの東京電力福島第一原発事故は、国土を放射能汚染し続け、数万の国民に塗炭の苦しみを強いており、今なお進行中です。

この事故を教訓として、私たちは同様の大事故の再発を防ぐため、貴委員会が大飯原発3・4号機の再稼働中止を決断されることを要請いたします。以下にその理由の一端を述べます。

1.福島事故の真因の解明がなされていないこと。
設備の実物に当たって検証されなければ、発災の真実は解明されない。従って、現状では、有効万全の対策は取れない。

2.適切な管理、処分のできない使用済み核燃料が増え続けること。
廃炉時代以降の子孫にも数10万年に亘って被害を与える。

3. 基準地震動の算出に、政府の地震調査委員会の新知見(2016年12月)が反映されていないこと。
旧来の算出法を踏襲しているため、実際より過小評価になっている疑いが地震学者側より指摘されている。

4.大山噴火による大飯原発周辺への火山灰降下量の評価は過小評価(現状10 cm)であり、京都市右京区での30㎝ の火山灰露頭が確認されたことを受けて、審査のやり直しの必要が生じていること。
因みに火山噴火時期の予見は至難であることは、草津白根山等の噴火でも、実証されている。

5. 避難計画が、規制基準に盛り込まれていないこと。
今月5,6日の北陸豪雪で、国道8号線は大渋滞となり、物資やガソリンが底をつく状況に陥りました。福島事故同様の事故が若狭で起これば、道路や橋は寸断され、たとえ豪雪でなくても同様な大渋滞が処々で起こって、住民の避難が困難になることは明白です。米国では「住民避難」までを規制委員会が責任を持って監督し、この条件を満たされないため廃炉になった原発もあります。

6. ミサイル、飛行物体対策の2重ドームや、溶融対策のコアキャッチャーもなく、フィルタ―つきベント装置や免震事務棟は猶予されています。
諸外国では、9.11以降速やかに取り入れられたテロ対策が、北朝鮮の対岸に位置し、ミサイルの危機が国中で叫ばれている現在も、規制基準として盛り込まれていません。

以上、6項目は、原発の事故を防ぎ、国民の生命と財産を守るために欠かすことのできない重要なもので、本来貴委員会が厳しく律するべき案件です。貴委員会のホームページでも、更田委員長自ら、「福島第一原子力発電所事故の教訓に基づき、独立した規制機関として設置されました。これまで、高い透明性の確保や、国内外で起きた教訓事例・最新知見の規制への反映に努めてきました」との言葉を述べられています。しかし現状は、貴規制委員会が原発推進側に組し、「組織としての評価を得ようとして、一番大切な安全性の基準を緩めてしまう組織体質にあること」を残念に思います。日本の電力は、高コスト高リスクの原子力発電に依らなくても十分足りています。ましてや世界の趨勢が、脱原発・脱化石で経済発展を遂げる方向に大きく転換している今、貴委員会が独自の検証能力を涵養し、本来の責務に立ち返り、大飯原発3・4号機の再稼働中止を命ずることを強く要請いたします。

2018年2月25日


申し入れ書

関西電力株式会社
取締役会長 八木 誠 様、
取締役社長 岩根茂樹 様、
取締役原子力事業本部長 豊松秀己 様、
大飯発電所長 吉田裕彦 様

今冬の豪雪は、若狭の原発群で「フクシマ」が再発した場合の大惨禍をわたしたちに如実に想像させるものでした。交通途絶による避難不能、豪雪に閉じ込められる住民の大量被ばくなど、原子力ムラ・行政の安全・避難対策や責任の口約束がいかに根拠もなく、脆弱であるかを万人に思い知らせたのではないでしょうか。

わたしたちが高浜や大飯の原発の再稼働に反対せざるをえない理由は、決して上記に尽きるものではありません。

先ず、福井地裁の樋口判決が生きており、名古屋高裁金沢支部の判決が出されていないにも拘らず、貴社は大飯原発3・4号機の再稼働を強行突破されようとしています。大津地裁の仮処分決定を覆し、大阪高裁で再稼働のお墨付きを得たのだから―という弁明にも、原発マネーに汚染された「地元同意」のみですべての手続きを推進してこられた従来の姿勢に対する一片の反省すらも見られません。係争中の地震・津波・火山灰などへの対応(元規制委員長代理・島崎邦彦氏の証言無視など)だけでなく、こうした貴社の拙速で不誠実な対応に危惧を抱かざるをえないのです

原発の再稼働・延命に巨額の対策費を要する一方、貴社の顧客離れが加速・拡大していることによって、安全対策や消費者へのサービスを縮減・削除されている貴社の現状にも、大事故誘発の不安を禁じえません。

何よりも、大飯3・4号機が1年間再稼働すれば、死の灰が広島原爆2,000発分、プルトニウムが長崎原爆60発分も新たに生成・増加され、後世代に負の遺産をのこすだけでなく、大事故で環境放出されればいかに過酷な事態が現世代のわたしたちたち自身にも襲いかかるかは、「フクシマ」が実証しているところです。そもそもそれ故にこそ、原発電力を大量に消費する関西大都市圏を避け、若狭の過疎地域に貴社の11基の原発群が集中立地させられたのだと言えましょう。フクシマ後において、この差別的な立地構造を温存したまま再稼働することを、わたしたちは断じて認めることができません。

大飯3・4号機を強引に再稼働し、たとえ年間数千億円の電気料金を獲得されるとしても、貴社の顧客たちの新電力会社への切り替えをむしろ促進するだけではないでしょうか。それよりも、再稼働の中止・断念、脱原発への方針転換の英断こそ、貴社の健全経営に資し、消費者・顧客たちの共感と踏み止まり、支持を得られることにもなりましょう。

わたしたちは若狭の原発地元・周辺地域で過去4年間で150日近くにわたって宣伝行動を行い、1,000人以上の住民の方から直接お話をうかがってきましたが、今や全国の世論と同じように、若狭の住民の大多数が、潜在的にではあっても、原発再稼働に反対であることを痛感しています。

今国会では、「原発ゼロ・自然エネルギー推進法案」が上程され、本格的な議論も展開されようとしています。国会外の市民・国民の注目と期待、世論と運動も広がるでしょう。

先ずは、高浜3・4号機の速やかな停止と、大飯原発3・4号機の再稼働予定の撤回・中止・断念を、貴社が英断されるよう強く要請する次第です。

以 上
2018年2月26日


申し入れ者はいずれも
大飯原発動かすな!実行委員会

・オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発問題住民運動福井嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)
・ふるさとを守る高浜・おおいの会
・若狭の原発を考える会


2018年2月28日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆原発、最近の出来事(本年1月~)

【2018年2月9日,京都キンカンで配付。】

◆安倍政権は、福島原発事故炉の内部の様子もほとんど分からず、汚染水は垂れ流され続けているにもかかわらず、福島事故は収束したかのように、世界をだまして、オリンピックに邁進し、福島の避難者に、高放射線で、インフラも整っていない故郷への帰還を強要しています。一方、脱原発・反原発の民意をないがしろにして、全国の原発を次々に再稼働させようとしています。経済的利益のために、人の命と尊厳を踏みにじるものです。

◆以下に、2018年になってから話題になった原発関連の出来事をまとめてみました(出来事の発生日順)。脱原発、反原発運動をさらに高揚させ、原発のない社会を展望する上で、参考になれば幸いです。

日立が進める英原発新設計画に官民で3兆円の融資方針

【1月3日報道】
◆日立製作所が英国で進める原発新設プロジェクトに、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクと、国際協力銀行(JBIC)を含む銀行団が総額1.5兆円の融資を行う方針を固めた。事故などによる貸倒れに備えて、日本政府がメガバンクの融資の全額を債務保証する。政府系の日本政策投資銀行(政投銀)も出資を行い、中部電力などの電力各社も出資を検討している。総額3兆円規模に上る原発輸出を政府主導の「オールジャパン体制」で後押ししている。投融資の対象となるのは、日立の英国子会社が2020年に稼働を目指して英中部アングルシー島で進める原発新設プロジェクトである。

◆この融資方針だけを見ても、安倍政権が、大資本に暴利を与えるために原発を推進していることは明らかである。なお、JBICや政投銀は政府系であるので、事故などで、損失が発生すれば、最終的には国民にツケが回ってくる。

関電は福井の使用済み核燃料を青森で中間貯蔵する方針:むつ市は拒否

【1月7日報道】
◆関電が若狭の3原発から出た使用済み核燃料を、青森県むつ市の中間貯蔵施設に搬入し、一時保管する方針を1月6日に固めた。関電は、福井県から県外への搬出を求められており、今年中に決定すると明言していた。使用済み燃料は、各原発のプールに保管されているが、容量に限界がある。国は、関電以外にも相乗りさせ、使用済み燃料をむつ市に集中させる方針で検討している。むつ市の中間貯蔵施設は、東電と日本原子力発電の共同出資で建設され、両者の使用済み燃料のみを受け入れる予定であったが、福島事故などの影響で稼働していない。関電が出資する代わりに一部のスペースを使用する計画である。関電など西日本に多い加圧水型原発の燃料を本格的に受け入れるには、今後、改造や増設が必要になるという。

◆この関電の計画について、7日、宮下むつ市長は、「仮に関電にそうした計画だあったとしても、事業者の立場で判断できるレベルの話ではない。地域の気持ちを無視したやり方では到底受け入れられない」と拒否の考えを示した。

原発即時停止に賛成は49%

【1月15日報道】
◆共同通信社が1月13、14日に行った全国世論調査で、全原発の即時停止に賛成は49.0%、反対は45.2%であった。調査は、全国の有権者を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける方法で行われた。有権者がいる世帯の固定電話739件に電話がかかり、507人から回答を得た。また、1122件の携帯電話に電話がかかり、506人から回答を得た。

日米原子力協定自動延長に

【1月16日報道】
◆米国は、原子力技術を他国に供与する際、核不拡散の立場から、原子力協定で核物質や関連施設の取り扱いを規制している。日米原子力協定では、非核保有国の日本に、使用済み核燃料からのプルトニウムの抽出(再処理)、混合酸化物(MOX)燃料としての再利用、ウラン濃縮などの核燃料サイクル事業を行うことを特例的に認めている。

◆1988年7月に発効した日米原子力協定は今年7月16日に期限の30年を迎えるが、その6か月前までに、日米いずれかが終了を通告しなければ、自動延長されることになっているため、1月16日に自動延長が事実上確定した。この自動延長により、再処理などの日本の核燃料サイクル政策は継続できることになる。なお、延長後は、日米いずれかが通告すれば、半年後に協定を終了できる。

◆核燃料サイクルは、高速増殖炉と再処理を基軸にしているが、「もんじゅ」の廃炉が決まり、危険極まりなく、トラブル続きの再処理工場(青森県)は運転の目途がたっていない。核燃料サイクルはとっくに破綻している。それでも、安倍政権は核燃料サイクル政策の維持に躍起である。

◆日本は、再処理で得たプルトニウムを国内外に47トンも保有し、再処理工場を運転すれば、年間最大8トンのプルトニウムが増える。核兵器に転用できるプルトニウムを消費するあてのないまま大量に持つことは、核の拡散防止の視点から問題が多い。中国や韓国との間に緊張をもたらし、米国からも懸念の声が上がる。なお、プルトニウムをMOX燃料にして軽水炉で燃やすプルサーマル発電を2基(高浜3、4号機)で実施しているが、ウラン燃料軽水炉に比べても格段に危険度が高く、使用済み核燃料になったとき、ウラン燃料の4倍もの冷却期間を要し、経済性もない。

福島2号機、事故後7年にして、やっとデブリ(溶け落ちた核燃料)の一部を確認

【1月20日報道】
◆東電は、1月19日、福島第1原発2号機でカメラ付きパイプを使って原子炉格納容器(原子炉本体である圧力容器を格納する容器)内を調査し、燃料集合体の一部が、溶けてできた圧力容器の穴を通って格納容器の底部に落下していること、また、その周辺にデブリと考えられる堆積物があることを確認した。

◆調査は、格納容器の貫通部から長さ13 m のパイプを挿入、圧力容器の真下にある作業用足場の脱落部分から、先端のカメラをケーブルで釣り下ろして撮影することによって行われた。昨年1~2月の前回調査では、圧力容器から落ちたとみられる金属などの溶融物が作業用の足場を広範囲に脱落させ、足場の下から水蒸気が立ち上がる様子を観察していた。今回は、格納容器底部全体に広がる小石状の堆積物(デブリと考えられる)と粘土状の堆積物(デブリかどうかは不明)が観察されている。小石状堆積物をデブリと断定した根拠について、東電の原子力・立地本部長代理は「燃料集合体の部品が近くにあること、デブリでないという方が難しいから」としている。科学的な説明とは程遠い。

◆この調査で、圧力容器の直下の空間放射線量は毎時7~8シーベルトで、温度は21度であったこと、また、前回調査で毎時70シーベルトが観察された圧力容器を支える土台の外側は、今回の測定では毎時15~42シーベルトであったことを明らかにしている。デブリ取り出し作業などは、このような高放射線下(人は1時間以内に確実に死ぬ)で、遠隔操作で行わなければならす、困難を極めることが予測される。

◆原発事故から7年近くたった今回の調査でやっとデブリが確認されたが、確認までにこのように長期を要すること自体が、原発事故収束の困難さを物語っている。なお、この観察作業を行った作業員の被曝は相当なものではないかと懸念される。

草津白根山が噴火:火山の噴火予測は至難

【1月26日報道】
◆1月23日、草津白根山が噴火し、訓練中の自衛隊員が亡くなられ、11人が負傷した。草津白根山は、活動が低下していた火山で、噴火前には、地下で熱水やマグマが動いたとき発生する火山性微動は観測されていたものの、気象庁が設定する噴火警戒レベルで、危険性が最も低いレベル1であった。レベル1は、かつては「平常」とされていたが、2014年に御岳山がレベル1の状態から噴火したことを受け、「活火山であることに留意」へと変更された。御岳山や草津白根山の噴火は、「現在の火山学では予測不可能な噴火」であった。

◆噴火の可能性のある「活火山」は国内に111ヵ所ある。このうち、気象庁などが異常がないかを常時観察しているのは、50火山に絞られる。観測体制が敷かれていても、いつ、どこで噴火するかを予測することは難しい。

◆火山噴火に関連して、昨年12月13日、広島高裁は、伊方原発3号機運転差止めの決定を出した。9万年前の阿蘇山の噴火では、火砕流が伊方原発まで届いており、今後もこのような噴火で、原発に大きな損傷を与える可能性があると判断したためである。なお、9万年前の阿蘇の大噴火では、北海道に15 cm、関東に20 cm、関西に1 mの火山灰が積もり、日本中が火山灰に覆われたといわれている。

◆前述のように、日本には阿蘇以外にも多くの火山があり、したがって、日本中の全ての原発が火山灰や火砕流に襲われる可能性がある。草津白根山の噴火はこのことを裏付けている。

◆現在科学技術は、火山の噴火や大地震の発生を予知するにはほど遠いものである。人間にはなすすべがない自然の脅威は沢山ある。火山大国、地震大国に原発があってはならない。

「空きゼロ」とされた送電線の利用率は23%に過ぎない:原発稼働のために空けている

【1月28日報道】
◆基幹送電線の利用率は19.4%に過ぎないと、京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽特任教授が分析した。このことは、全国の送電線には十分な余裕があり、この余裕を利用すれば、風力や太陽光で発電した電気を送ることが十分可能であることを意味する。それにもかかわらず、大手電力会社は、「空き容量ゼロ」として、新たな再生可能エネルギー設備への接続を認めない送電線を続出させている。

◆電力各社の高電圧(50万ボルトや27万5千ボルトなど)の基幹送電線399路線について、電力広域的運営推進機関(広域機関)が公表しているデータ(2016年9月~17年8月)をもとに調査した送電線利用状況である。1年間に送電線に流せる電気の最大量に対する実際に流れた量の割合を「利用率」としている。

◆全国の基幹送電線の平均利用率は19.4%、東京電力が最も高く27.0%、最低は東北電力で12.0%であった。一時的に利用率が100%を超える「送電混雑」が1回でも起こったのは60路線で、東京電力が22路線を占めた。

◆一方、「空き容量ゼロ」とされた基幹送電線は、139路線であったが、実際の平均利用率は23.0%であった。「空き容量ゼロ」は運転停止中の原発や老朽火力がフル稼働した時の送電量を想定したもので、実際の送電量ははるかに少ない。送電線に余裕があるのに、「空き容量ゼロ」とする理由は、「原発電力をベースロード(基幹)電力として優先して利用しよう」という、安倍政権の政策の実行のために送電線を開けておきたい意図があるからである。なお、欧米では、実際の電気量を基にしたルールで送電線を運用していて、そのために、再生可能エネルギーの大量導入が進んでいる。

東電、旧保安院の津波見直し試算勧告を無視

【1月30日報道】
◆東電は、福島原発事故の9年前に、福島沖での津波地震のシミュレーション(試算)を勧告されていたにもかかわらず、反発し試算を見送っていたことが、原発避難者が国などを相手に起こした訴訟で、千葉地裁に提出された陳述書で判明した。東電がこの段階で試算していたら、津波対策に早く着手でき、事故を避け得た可能性もある。

◆福島原発事故は、想定外の津波によって電源が喪失し、冷却水が送れなくなったために発生したとされている。福島第1原発では、1号機の建設当時(1971年)は、最大の津波を高さ海抜約3.1 m と想定していた。しかし、2002年7月に政府の地震調査委員会が、大津波の危険性を指摘する長期評価を発表したため、当時の経産省原子力安全・保安院は、東電に、福島沖で津波地震が起きた時のシミュレーションを勧告した。しかし、東電は反発し、動かなかった。東電がやっとシミュレーションを行ったのは、2008年春、国の原発耐震指針改定を受けた安全性見直し作業によるものであった。この作業では、敷地の高さを大きく超える最大15.7 m の津波の危険性が示されたが、東電はこの結果を、3.11事故の直前まで原子力安全・保安院に報告せず、具体的な対策も取らなかった。傲慢で、安全を軽視し、経済的利益のみに奔走する東電が、福島事故を引き起こしたともいえる。

大飯原発の揺れに関する規制委の算定法は「不十分」、地震を「過少評価」

【1月30日報道】
◆東京新聞や中日新聞によると、大飯原発の安全審査の主要な判断基準=基準地震動(最大の揺れ)の算定方式をめぐり、算定元である政府の地震調査委員会(調査委)内で、原子力規制委員会(規制委)の認識を否定する見解が示されていた。規制委は、2つある計算手法(①地震を起こす活断層の形状をあらかじめ設定して算出する、②地表で確認できる活断層の長さから算出する)のうち1つだけ(①だけ)で再稼働を認めたが、算定方式(レシピ)を定めた調査委は「1つでは不十分」との見解を示していた。

◆レシピでは、2つの手法の使用を義務付けてはいないが、規制委が審査中の2016年9月、調査委の強震動評価部会では、①の手法について、「知見が不足している」、「不確実性が残っている。両方やることに賛成」などの意見が出、より精度の高い計算手法の確立には「3年くらいかかる」との見方も示された。しかし、規制委の更田委員長は、「関電が採用した計算手法で信頼できる」とした。規制委の姿勢や審査のあり方が問われている。

大飯原発3号機、2月9日に燃料装填(そうてん)を開始

【2月2日報道】
◆関電は2月1日、神戸製鋼所や三菱マテリアル子会社のデータ改ざんに関わる調査結果を福井県に報告したが、その際、大飯原発3号機の再稼働に向け、原子炉への核燃料の装填を9日から始めることを明らかにした。関電によると、三菱マテリアル子会社製のゴム製品が使われ、品質基準を満たしているか否かを確認できなかった大飯原発3、4号機の装置約100台のうち、3号機の約50台の交換が1日に終り、4号機は2月中旬に交換を終えるという。データ改ざんのあった神戸製鋼所製の製品は使用していないとしている。関電は、3号機を3月中旬、4号機を5月中旬に再稼働させようとしている。

◆原発は万が一にも事故を起こしてはならない装置である。神戸製鋼所や三菱マテリアル子会社の製品のみのモグラたたき的な検査や交換で、原発の安全が保証されるとは考えられない。事故が起こる前に、原発は全廃しなければならない。

東京地裁、東電に対して南相馬市住民への賠償支払いを命令

【2月8日報道】
◆福島原発事故で避難指示区域になった南相馬市小高区の住民321人が「ふるさとの暮らしを奪われて精神的苦痛を受けた」として、東電に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、318人に計約11億円(1人当たり原則330万円)の支払いを命じた。

◆故郷に生きる権利を認め、「生活基盤の大幅な変容という過去に類を見ない極めて甚大な被害が生じた」と避難生活による損害を認めた点では評価できるが、人が安全に、安心して生きる権利の代償としては、額が極めて不十分である。したがって、原告側は控訴を検討中という。なお、南相馬市小高区の人口は、事故前には約1万2800人であったが、昨年12月時点で実際に居住しているのは約2400人にとどまっている。


2月25日(日)— 26日(月)大飯原発うごかすな!
若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)

主催:大飯原発うごかすな!実行委員会
ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644)
(お振込みにあたっては、通信欄に「若狭湾岸一斉チラシ配りへのカンパ」とお書きください。)


2018年2月9日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆大飯原発うごかすな!原発に頼らない社会をつくろう

【2018年2月25~26日,若狭湾岸一斉配布。】

◆原発は、事故の多さ、事故被害の深刻さ、使用済み燃料の保管や処理の困難さなど、あらゆる視点から、人類の手におえる装置ではありません。一方、福島原発事故以降の経験は、原発はなくても、電気は足り、何の支障もないことを教えています。そのため、ほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっています。脱原発、反原発が人々の願い・民意なのです。

◆それでも、関西電力(関電)は、前原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と繰り返す“新規制基準”への適合を拠り所にして、高浜原発3,4号機を再稼働させました。また、来る3月、5月には、大飯原発3,4号機の再稼働を狙っています。関電の利益のために、民意を蹂躙し、人の命と尊厳をないがしろにするものです。許されるものではありません。

◆以下、原発を現代科学技術で安全に制御できない理由、とくに脆弱(ぜいじゃく)な使用済み核燃料プールの危険性、“新規制基準”の問題点を考え、原発が人類の手におえない装置であることを再確認したいと考えます。

【1】原発の安全確保は、最新の科学技術でも困難です

◆私たち人類を取り巻く環境は、化学反応で維持されています。化学反応ではエネルギーがやり取りされますが、この化学反応(例えば、石油の燃焼)のエネルギーを使って得られる温度は精々数1000℃です。一方、原発内で生じる核反応では、化学反応の100万倍ものエネルギーが放出され、数億度℃以上の温度が得られます。言い換えれば、核反応1反応によって100万に近い化学反応が爆発的に起こることになります。膨大なエネルギーを放出する核反応を化学結合でできた材料によって閉じ込めておくことは極めて困難であることは明らかです。

・原発は事故を起こし易く、被害は広域・長期に及び、事故収束は困難・大惨事は瞬時に進行する

◆核反応エネルギーは膨大ですから、原子炉は大量な水で冷やし続けなければならず、水がなくなると、瞬時に大惨事になります。原発の重大事故時には、膨大な核反応エネルギーに起因する熱によって、核燃料や被覆材などの原子炉材料が溶融し、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発(水の爆発的蒸発)が引き起こされ、メルトダウン、メルトスルーにつながります。

◆そのように瞬時に進行する事故への対応は至難で、進み始めた事故を止めることは困難です。例えば、重大事故に際して、海水を大量注入してメルトダウンを防ぐ判断を、会社の上層部や政府に仰いでいる暇はありません(海水の原子炉への大量注入は何千億円もする原子炉を使用不能にしますから、現場でその決断はできません)。事態を把握し、議論している間に、原子炉が深刻で取り返しのつかない状況になります。なお、今までの全ての重大事故では、事故を深刻でないとする判断(願望も含めて)を行い(例えば、計器の指示ミスと判断)、事態をより深刻にしています。

・原発重大事故は、原爆とは比較にならない量の放射性物質を放出する

◆原爆は、一瞬の核分裂で生成した放射性物質(死の灰)が放出されます。一方、原子炉内には、数年にもおよぶ長期の核分裂反応で生成した放射性物質が蓄積していて、原発重大事故では、それが放出されます。例えば、100 万キロワットの原子炉を1年間運転したときの生成放射性物質量は約 1トンで、広島原爆でばらまかれた放射性物質量750 グラムの約1,300倍です。放出された放射性物質を完全回収できるほど現在科学技術は進歩していないことは、福島事故の経験が教えるところです。

・原発の重大事故の被害は広域におよぶ(火災が10 km 先に飛火することは無い)

◆原発重大事故によって放出された放射性物質は、事故炉近辺を汚染させるだけでなく、風で運ばれた後、雨で降下しますから、汚染地域は極めて広範囲に広がります。福島事故でも、約50 km 離れた飯舘村も全村避難になり、約200 km 離れた東京や千葉にも高濃度の放射性物質が降下しました。海に流出した放射性物質は海流に乗って広範囲の海域を汚染します。避難計画や原発稼働への同意などでは、30 km圏(UPZ)内が対象とされますが、被害は30 kmをはるかに超えて広域におよびます。

◆若狭の原発の重大事故では、関西はもとより、中部、関東も高濃度の放射性物質で汚染される可能性があります。京都駅、大津駅は高浜原発、大飯原発から60数km、大阪駅は80数kmの位置にあります。250万人が住む京都府、150万人が住む滋賀県のほぼ全域が100 km 圏内にあり、この全域からの避難が不可能であることは自明です。琵琶湖の汚染は、1,450万人の飲用水を奪います。原発からの汚染水は日本海にたれ流されますが、日本海は太平洋に比べて比較にならないほど狭い閉鎖海域ですから、高濃度に汚染されます。美しい海岸線を持ち、漁獲豊かな若狭湾の汚染はさらに深刻です。

・放射性物質による被害は長期におよぶ

◆火事は長くても数十日で消火できますが、放射性物質は、半減期(半分になるまでの時間)に従って消滅するまで、放射線とそれによる熱を発生し続けます。例えば、半減期2万4千年のプルトニウムを1/10000に減少させるには約32万年かかります。それでも、安全なレベルになるとは限りません。

・原発事故の収束には、途方もない時間を要する;住民は故郷を奪われる

◆放射性物質は長期にわたって放射線を出し続けますから、事故炉の廃炉は困難を極めます。また、放射線による熱発生のため、冷却水が途絶えると、核燃料が再溶融し、再び核分裂を始める可能性もあり、長期間冷却水を供給し続けなければなりません。福島原発事故炉の完全廃炉には、50年以上を要するとの見解もあります。

◆原発事故では長期の避難を強いられ、住民は故郷を奪われ、家族のきずなを断たれ、発癌の不安にさいなまれます。通常の災害では、5年も経てば、ある程度、復興の目途が立ちますが、原発事故は、生活再建の希望も奪い去ります。福島事故では、4年経った2015年から、絶望のために自ら命を絶たれる避難者が急増していると報道されています。

【2】原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す

◆原発を運転すると、核燃料の中に運転に不都合な各種の核分裂生成物(死の灰)が生成します。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、燃料となるウランやプルトニウムは十分残っていても、新燃料と交換せざるを得なくなり、そのため、使用済み核燃料がたまります。現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールや再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%が埋まっています。原発が再稼働されれば、貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆なお、混合酸化物(MOX)燃料が使用済み燃料となったとき、放射線と発熱量の減衰速度は、ウラン燃料の4倍程度遅く、4倍以上長く水冷保管しなければなりません。その点からも、MOX燃料は厄介です。

◆一方、日本には、低レベルおよび高レベル放射性廃棄物が200リットルドラム缶にしてそれぞれ約120万本および約1万本蓄積されていますが、その処分は極めて困難で、永久貯蔵はおろか中間貯蔵を引き受ける所もありません。

◆数万年を超える保管を要する使用済み核燃料、放射性廃棄物の蓄積の面からも、原発は全廃しなければなりません。


福島原発事故以降の経験は、原発はなくても電気は足りることを実証しました。
重大事故を起こしかねない原発を動かす必要はありません。


【3】使用済み燃料プールが危ない

◆前述のように、使用済み燃料プールは満杯に近づいています。若狭の原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設でも、7割近くがすでに埋まっています。その使用済み燃料プールは、原子炉本体である圧力容器に比べて、圧倒的に脆弱です。

◆燃料プールは、原子炉の上部横に設置されていて、水で満たされています。原子炉圧力容器中の使用済み核燃料を燃料プールに移送するにあたっては、原子炉上部の原子炉ウエルと言われるプールに水を満たし、圧力容器の上蓋を空け、クレーンで圧力容器内の燃料棒を原子炉ウエルに釣り上げます。沸騰水型では、原子炉ウエルの水中を移動させて燃料棒を隣にあるプールに移動させ、プール内のラックと呼ぶ仕切りの中に納めます。加圧水型では、燃料棒を原子炉ウエル中で横にして、トンネルをくぐって燃料プールに移し、プールで直立させて、ラックに納めます。プール中の水は、冷却材の役目だけでなく、放射線遮蔽材の役目も果たし、その水深は燃料棒の上端から7~8 m 程度です。

・使用済み燃料プールの水が減少すれば、燃料溶融に至り、核爆発を起こす

◆鋼鉄ででき、高温高圧にも耐える圧力容器とは異なり、使用済み燃料プールには何の防御もないので、「むき出しの原子炉」とも考えられ、脆弱(ぜいじゃく)で、冷却水を喪失して、メルトダウンする危険性が大です。例えば、地震によって、燃料プールの水位が下がって、燃料が水から顔を出すと、水が沸騰し、無くなります。そうすると、ジルコニウム合金の燃料被覆管が燃え上がり、発生した水素が爆発します。燃料は溶融し、核爆発に至ります。直近にある原子炉本体も制御困難になります。

・福島第1原発4号機の燃料プールは、崩壊の危機にあった

◆福島原発事故当時、4号機の燃料プールには、使用済み核燃料1,535体が保管されていました。含まれる放射性物質の量は、事故で放出された放射性物質の量の27倍と推定されています。この4号機では、水素爆発のために、プールの下の支えが破壊され、プールは崩壊寸前でしたが、コンクリートで補強して危機を回避しました。当時、近藤俊介原子力委員長は、管直人首相に、プール崩壊による「首都圏壊滅」の最悪の事故シナリオを伝えていました。

・一刻も早く原発を全廃し、燃料プールを空にしよう!

◆人類は、原発を運転するという、大きな過(あやま)ちを犯してしまいました。この原発を全廃するには、生じた使用済み核燃料、放射性物質の処理と保管について、考えざるを得ません。これらを、盥(たらい)回しをしていても、原発廃炉は進みません。以下は、使用済み核燃料についての提案です。

① まず、原発の廃炉を決定し、危険極まりない使用済み燃料プールを一日も早く空にしましょう。満杯になったプールを空けて、新しい使用済み燃料の受け入れを可能にし、原発運転を継続しようとする策動を許してはなりません。

② 原発から取り出した使用済み核燃料は、耐震性、耐災害性を強化した使用済み燃料プールで一定期間保管して、放射線量、発熱量の減少を待ったのち、一刻も早く空冷保管可能な状態にしましょう。現在のプールでは、保管中に発生する大災害に耐えられません。少々改造しても、安全なプールの建設は不可能ですから、一刻も早くこれを空にし、使用済み核燃料をより安全性の高い空冷容器(キャスク)で乾式貯蔵しましょう。空冷保管法として、膨大な費用がかかっても、東京や大阪のような都市(原発電気の消費地)で保管しても不安が無いような、頑丈な方法を開発しましょう。

③ 危険極まりなく、放射性廃棄物を増やすだけの使用済み核燃料再処理は断念しましょう。再処理のように、それまで鞘(さや)に封じ込めていた使用済み核燃料を切断・溶解することは廃棄物を増やすだけです。また、再処理で出る高濃度放射性廃液はガラス固化することになっていますが、ガラス固化体は安全でもなく、廃棄物容量を膨大にするだけです。なお、将来、別の保管法が見つかったとき、放射性物質をガラス固化体から取り出して、新保管法を適用することは困難です。

【4】“新規制基準”に適合したからと言って原発は安全ではない

◆“新規制基準”、原子力規制委員会(規制委)審査は、次のように、原発の安全を保証するものではありません。

・福島原発事故の原因、知見、教訓に学んでいない“新規制基準”

◆福島原発事故で溶け落ちた原子炉は、高放射線で、内部の様子は事故から7年近く経った今でもほとんど分かっていません。したがって、福島事故が大惨事に至った真の原因が究明されたとは言えません。一方、汚染水はたれ流され続け、汚染土壌は、有効な除染法がないため、はぎ取ってフレコンバッグに袋詰めしているだけです。その袋も風化でボロボロになろうとしています。

◆このように、事故の収束の見通しも立たず、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震や火山噴火の発生時期や規模を予測することも不可能な状態が科学・技術の現状です。最新の科学・技術といえども原発の安全運転を保証するものでないことは明らかです。それでも、電力会社や政府は、福島事故から2年半もたたない2013年7月に施行された“新規制基準”を福島事故に学んで作った「安全基準」とし、“新規制基準”適合を拠り所にして、原発の再稼働を進めています。

・杜撰(ずさん)かつ非科学的な事故対策でも容認する規制委審査

◆関西電力は、重大事故対策の目玉として、原発重大事故で空気中へ飛散した放射性物質は放水銃で打落すといい、海へ流出した放射性物質は、吸着剤と吸着性シルト(沈泥)フェンスで食い止めるといいます。放水で放射性物質の拡散が防げるのはほんの一部であり、放水された水は結局汚染水になります。吸着剤とシルトフェンスだけで放射性物質を除去できるのなら、福島での放射性物質流出防止に適用すべきです。規制委の審査では、こういう子供だましの対策でも可と評価しています。

・住民避難計画は規制委審査の対象外:それでも規制委の審査結果が再稼働を左右する

◆原発事故時の避難計画について、規制委では審査せず、立地自治体や周辺自治体に丸投げしています。一方、自治体は、どこかでできたパターンに沿って避難計画を作成しています。そのため、避難計画では当該自治体の地理的、人的特殊性はほとんど考えられていません。しかも、自治体の作成した避難計画たるや、数日のピクニックにでも出かけるような計画であり、過酷事故では、永久に故郷を失うという危機感がありません。

◆また、避難地域は100 km 圏を超える広域に広がり、若狭の原発事故では、京都、大阪、滋賀の数100万人の住民避難の可能性もあるという認識がありません。さらに、避難指示解除に関して、住民の意向を聴きませんし、避難指示が解除されても、帰還先は高放射線量で(放射線量20ミリシーベルト/年で解除)、必要な生活基盤も整っていないこと、帰還後一定期間の後には賠償金や支援が打ち切られること、種々の事情で避難継続を選択すれば、賠償や支援はないこと、などの非人道性も念頭にありません。

【5】原発に頼らない社会を創りましょう!

◆「大飯原発うごかすな!」実行委員会を構成する団体は、福島原発事故以降、若狭やその周辺地域で、多くの住民の方々のご意見を直接うかがってきました。その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地・若狭でも、表の声にはなっていないけれども、脱原発、反原発が民意なのです。今、原発を推進している人の多くまでもが脱原発時代は来ると考えています。関電も、昨12月に老朽大飯原発1、2号機の廃炉を決定しました。一方、原発の新設を企む議論は全くと言ってよいほどありません。したがって、原発のない時代は近いうちにやってきます。日本の原発の多くは老朽ですから、60年運転されたとしても、2030年には18機、2049年には0になります。

◆しかし、それを待っている間にも、老朽原発が重大事故を起こし大惨事になる可能性があります。事故が起こる前に、目先の便利さや経済的利益のためにのみ運転される原発を全廃し、人間の尊厳(人格権)を大切にし、地球に負の影響を与えない社会を考えましょう。

◆今、若者、ファミリー世代の農山漁村への移住希望が増え、30代女性の多くが「農山漁村での子育て」を志向しているといわれています。実際、都市から農山漁村への移住者は、2009年から2014年の5年間で4倍に増加したと報告されています。移住者の多くは、いわゆる6次産業[農業、漁業(1次産業)+産物の加工(2次産業)+産地直送販売(3次産業)]を生業(なりわい)としています。日本の食糧消費額は74兆円ですが、国内食用農水産物生産額は9兆円に過ぎず(現在自給率12%)、差の65兆円が6次産業の経済規模です。1%の移住者がいれば、地域が維持されるといわれます。

◆上記のように、農山漁村の魅力は再発見されつつあります。しかし、原発に依存する市町村がその対象にされることは難しいと考えられます。

◆若狭には、豊かな漁場と美しい海岸があり、第6次産業や観光に適した資源があります。例えば、これらの資源を生かした町づくりも考えられます。この他にも、様々な町おこし策があるはずです。原発は早晩なくなります。今から「原発に頼らない社会」を考えることは、現在に生きる私たちの未来に対する責務ではないでしょうか。


重大事故が起こってからでは遅すぎます。原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!
事故の原因=原発を廃止することこそ原子力防災です


2018年2月

大飯原発うごかすな!実行委員会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)