投稿者「meisei」のアーカイブ

◆原告第38準備書面
-上林川断層について-

原告第38準備書面
-上林川断層について-

2017年(平成29年)7月20日

原告第38準備書面[779 KB]


目次

1 上林川断層は被告関西電力の想定よりも長い
2 被告関西電力の想定の恣意性
3 共役断層としての上林川断層



1 上林川断層は被告関西電力の想定よりも長い

上林川断層について被告関西電力は,平成17年の地震調査研究推進本部の公表内容を踏まえ,上林川以北では断層に沿ってリニアメントが確認できなかったことなどを理由に断層の存在が明確な範囲は約26キロであるとしつつ,同断層の西端部が不明瞭であることから福知山付近まで延長し,保守的に39.5キロと評価したとする(準備書面〔3〕53頁,甲丙28・右上「55」以下など)。

被告関西電力は同断層を北東方向に延長しない理由について,断層に沿ってリニアメントが確認できないことを挙げるが,しかし,リニアメントが確認できないとしても,その程度の調査では活断層が存在しないということはできない。
リニアメントは,空中写真から地表に認められる直線的な地形の特長(線状模様)の有無を見るにすぎないからである。トレンチ調査やボーリング調査などのより詳しい調査を行なえば明瞭に活断層が確認される可能性は十分にあるし,それどころか,そもそも事前に確認されていない場合であっても実際には活断層が存在する場合のあることは,直近の熊本地震を実例にするなどして詳細に述べたとおりである。

また,断層や活断層が確認されていない場合であっても既知の活断層の延長線上でM7クラスの大地震が発生した例はほかにもある。平成17年3月20日に発生した福岡県西方沖地震では,以前より陸域に警固断層という活断層の存在が知られていたが,下図のとおり,同地震では同断層の北西延長上の玄界灘の地震空白域で地震が発生している。同地震後には,福岡県西方沖地震「の地震の余震域と警固断層は,直線状にほぼ連続していることから,一連の活断層体であると考え,これらをまとめて警固断層として扱っています」としており,同地震発生前には知られていなかったものの実際には玄界灘まで続く活断層が存在していたと述べている。

地震調査研究推進本部ホームページ(http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f108_kego.htm)より抜粋【図省略】

そもそも被告関西電力は,上林川断層の北東端について,故屋岡町付近(下図A地点付近)【図省略】において活断層が存在しないことを確認したとしているが,原子力発電所のある福井県との県境付近でちょうど「活断層が存在しないことを確認した」というのは余りにも不自然である。次に述べるとおり,また下図からも明らかなとおり断層自体は存在するにもかかわらず,県境付近でちょうど活断層ではなくなるということは,恣意によるものといわざるを得ない。

よって,被告関西電力が上林川断層の北東端であるとしている地点よりもさらに北東方向に活断層が存在する可能性は十分にあり,同被告の活断層評価は過小であって,ましてや上林川断層を「保守的に評価した」とは到底言えるようなものではない。

ページトップへ


2 被告関西電力の想定の恣意性

このように上林川断層の北東方向に活断層がさらに存在する可能性が十分にあるのであるが,少なくとも同方向には地質断層(断層)が存在しており,先に挙げた図のとおり,超丹波帯と丹波帯との境界の断層が存在することは被告関西電力の調査からも明らかとなっている。

この地質断層としての上林川断層は,亀高らの調査によれば,福井県大飯郡おおい町笹谷付近まで追跡される(甲365)。そうすると,活断層・断層としての上林川断層は,被告関西電力の想定よりも10キロ近く長いということになる。同地点は,本件原発からわずか15キロ程度の地点である。もちろん,その地点が断層の終点であるという保障もない。

地質断層としての上林川断層は左横ずれ断層であり,活断層である上林川断層の右横ずれ断層とは変位センスが一致しない。しかしこの点については,上林川断層はもともとは丹波帯の褶曲構造形成後に活動した左横ずれ断層であり,現在の活断層である上林川断層はその一部を利用した右横ずれ断層であるとされている。このような断層の運動方向の逆転は特に西南日本内帯では多く見られ,その成因としては,海洋プレートの沈み込み方向の変化による応力場の変換のほか,地塊(日本列島)の回転による断層方向の変化があると考えられている。つまり,両者はもともと1つの断層だったのである(甲365[111 KB]甲366[111 KB]甲367[5 MB])。そうすると,両者が一体として活動する危険性は十分に認められる。保守的に評価して西方には延長するが北東方向には延長しないというのは恣意的というほかない。

ましてや被告関西電力は,FO-A~FO-B断層と熊川断層について,当初これらは連動しないと考えていたものの,その後より安全側に考えることとして連動を想定し,断層長さ63.4キロ,マグニチュード7.8の地震を想定して基準地震動を求めている。そうすると,地質的連続性のないFO-A~FO-B断層と熊川断層についてさえ「より安全側に考え」連動を想定するのであるから,活断層としての上林川断層と地質断層としての上林川断層が連動することは「より安全側に考え」当然考慮すべきであり,両者がもともと一体の断層であったことからすればなおさらである。それにもかかわらず上林川断層についてのみそのような想定をしないのは,恣意的というほかない。真に「より安全側に考える」のであれば,北東方向にこそ延長して検討すべきなのである(甲368[821 KB])。

さらに,上林川断層を北東方向にそのまま延長すると,本件原発付近へと至ることは下図からも明白である。また,FO-C断層との連動も「より安全側に考える」のであれば十分にあり得る。被告関西電力が北東方向に延長しない理由は,これらの事情に鑑みてのことと考えざるを得ないのである。

若狭湾周辺の主な活断層の分布(関電側準備書面(3)51頁より引用)【図省略】

ページトップへ


3 共役断層としての上林川断層

共役断層とは,同一の応力下で互いに90度程度斜交した断層面が形成され,断層のずれの向きが互いに逆向きを示すものをいう。例えば下図【図省略】で力(応力)の主軸が東西方向を向いている場合,(1)北東-南西方向に走行を持つ右横ずれ断層と(2)北西-南東に走行を持つ右横ずれ断層の組み合わせが共役断層となる。

このような共役断層の例としては,飛騨高地の北部の富山県南部から岐阜県北部にかけて分布する跡津川断層(北東-南西方向で右横ずれ)と,岐阜県・長野県に跨がる阿寺山地と美濃高原との境界に位置する阿寺断層(北西-南東方向で左横ずれ)や,兵庫県淡路市にあり阪神大震災を引き起こした活断層の1つである野島断層(北東-南西方向で右横ずれ)と,岡山県東部から兵庫県南東部にかけて分布する山崎断層(北西-南東方向で左横ずれ)などが挙げられる。また,本件大飯原発の西側にある山田断層と郷村断層も共役断層である。

そして,上林川断層とFO-A~FO-B-熊川断層とも共役関係にある。それは,当該地域ではほぼ東西方向に1×10-7/年程度の縮みのひずみが発生しており,正に上記図のような形で共役断層が存在すると解するのが合理的だからである。よって,FO-A~FO-B断層と熊川断層の3連動の想定地震と同じウェイトで,上林川断層の北東延長上の空白域でもM7クラスの地震が発生することを考慮すべきである。それをしない被告関西電力の想定は,過小であるというほかない。

以上

ページトップへ

◆第16回口頭弁論 原告提出の書証

甲第361~362号証(第36準備書面関係)
甲第363~364号証(第37準備書面関係)
甲第365~368号証(第38準備書面関係)



証拠説明書 甲第361~362号証[90 KB](第36準備書面関係)
2017年(平成29年)7月20日

甲第361号証[2 MB]
原子力災害避難計画(京都市防災会議)

甲第362号証[90 KB]
京都市ホームページ(京都市)

ページトップへ


証拠説明書 甲第363~364号証[126 KB](第37準備書面関係)
2017年(平成29年)7月20日

甲第363号証[813 KB]
柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性向上の取り組み状況(東京電力株式会社)

甲第364号証[705 KB]
東京電力ホームページ 「地震対策」2007年10月26日段階のもの(東京電力株式会社)

ページトップへ


証拠説明書 甲第365~368号証[122 KB](第38準備書面関係)
2017年(平成29年)7月20日

甲第365号証[111 KB]
京都府北部,上林川断層の横ずれインバージョン(亀高正男ほか)

甲第366号証[111 KB]
舞鶴・小浜地域の地質:超丹波帯・丹波帯の地質構造(亀高正男ほか)

甲第367号証[5 MB]
京都府北部,上林川断層および三峠断層の古地震調査(吉岡敏和ほか)

甲第368号証[821 KB]
大飯原子力発電所近傍の活断層の挙動に関する一考察(竹本修三ほか)

ページトップへ

◆原告第36準備書面
-京都市原子力災害避難計画の問題点について-

原告第36準備書面
-京都市原子力災害避難計画の問題点について-

2017年(平成29年)7月19日

原告第36準備書面[177 KB]


目次

第1 京都市原子力災害避難計画の作成

第2 京都市原子力災害避難計画の問題点について
1 迅速的確な情報伝達の非確実性
2 避難手段について
3 滋賀県のシミュレーションを踏まえていない
4 「避難」を選択することの困難性

第3 結論


原告第6準備書面において、避難困難性について述べたが、本準備書面では京都市における避難計画の問題点について追加の主張を行う。


第1 京都市原子力災害避難計画の作成

京都市防災会議は、平成25年3月18日、京都市地域防災計画原子力災害対策編を策定し、同対策編において、原子力災害避難計画(以下「京都市原子力災害避難計画」という。)を定めた(甲361号証[2 MB])。これまで、原告が、各地の避難計画について主張したとおり、京都市の避難計画においても、具体的な事態や個々の避難者の個別事情を想定して作成されていないのであり、避難計画としては、全く対策となっていない。

さらに、京都市防災会議は、平成26年3月20日、同年11月10日、平成27年11月9日、の合計3回、京都市地域防災計画原子力災害対策編の修正をおこなった(甲362号証[90 KB])。しかし、京都市原子力災害避難計画については、全く修正がなされておらず、問題点の改善がなされていない。

このことこそが、現実的な避難計画を作成することが不可能であることを示しているのである。

ページトップへ


第2 京都市原子力災害避難計画の問題点について


 1 迅速的確な情報伝達の非確実性

京都市原子力災害避難計画においては、国の災害対策本部長(内閣総理大臣)が、屋内退避の勧告又は指示が迅速になされ、京都市が正確に情報を受け取ることができることを前提として作成されている(甲361号証[2 MB]126頁)。

しかし、福島原発事故では停電により情報発信そのものが十分できなくなったり、処理能力を超えてメール等の送受信ができなくなったことにより、迅速的確な情報伝達は行われなかったりしたことを考慮すると、上記前提自体が覆される可能性が高い。

京都市原子力災害避難計画が策定されてから、4年以上が経過しているにもかかわらず、上記問題点は一切改善されていない。


 2 避難手段について

京都市原子力災害避難計画は、「避難又は一時移転」の方法として、下記のとおり定めている。

「本部長は、直ちにUPZごとに緊急輸送に必要な車両及び緊急輸送を行う者(以下「緊急輸送車両等」という。)を手配するとともに、避難者の緊急輸送を依頼する。緊急輸送車両等の手配要領は、原則として次のとおりとする。
(ア)UPZ付近にある公用車両を活用する。
(イ)UPZ付近にある民間事業者等の協力を要請する。
(ウ)交通部の保有する馬主
(エ)京都府バス協会にバス輸送の協力を要請する。

しかし、同規定は、地域ごとの具体的な避難人数を前提としてどれだけの輸送車両が必要となり、その輸送車両が、現実に確保できるのかといった検討が全くないままに定められており、非現実的である。

ページトップへ


 3 滋賀県のシミュレーションを踏まえていない

滋賀県が2014年1月24日に公表した琵琶湖の汚染予測調査の結果(ベクレル)(甲89)は、福島第一原子力発電所事故に、滋賀県が策定した放射性物質の拡散モデルを適用し、琵琶湖へのセシウム137と、ヨウ素131沈着量の予測を行ったものである。具体的な条件としては、大飯原発または美浜原発から、2011年3月15日(福島第一原発の事故において最も排出量の多かった日)の24時間の放射性物質排出量が排出された場合をシミュレーションし、琵琶湖流域に最も影響が大きいと考えられる日を抽出したものである。

この結果、セシウムについて、琵琶湖表層の浄水処理前の原水について、IAEAが飲料水の摂取制限の基準であるOIL6(経口摂取による被ばく影響を防止するため、飲食物の摂取を制限する際の基準。セシウム137について飲料水で200Bq/Lとされる)を超過する面積比率が事故直後には最大20%程度(北湖)となり、またこうした水域が長い場合で10日間前後残る可能性が示された。

また、ヨウ素については、琵琶湖表層の浄水処理前の原水について、同様の分析をしたところ、OIL6を超過する面積比率が事故直後に北湖で最大30%程度、南湖で最大40%程度となる事例が見られ、北湖では10日間程度で、南湖では7日間程度はその状態が続く可能性があることが判明した。

なお、この調査では専ら琵琶湖の汚染に焦点が当てられているが、同時に、人間の居住地域を含む土地の汚染が発生することは言うまでも無い。京都府は、滋賀県と隣接する都道府県であるにもかかわらず、京都市原子力災害避難計画は滋賀県のシミュレーションの内容を全く踏まえていない。

ページトップへ


 4 「避難」を選択することの困難性

京都市原子力災害避難計画は、原子力災害において、「避難」を選択することを前提として避難方法などについて定めている。しかし、そもそも、それまで、長年住み続けてきた地域から、仮に「避難」を選択する場合、それまで居住してきた住居を手放し、現在行っている仕事を退職するなど、重大な決断を行う必要があり、容易に「避難」を選択できるものではない。


第3 結論

このように、京都市原子力災害避難計画は、具体性・現実性が全く無く、避難計画としては、全く対策となっていないのである。策定されてから、4年以上が経過しても、同計画の問題点が何らの改善もされていないことこそが、現実的な避難計画を策定することが不可能であることを示している。

以上

ページトップへ

◆原発立地・地元の声

【2017年7月21日,京都キンカンで配付。】

最近のアメーバデモなどで聞いた
原発立地・地元の声

取りまとめ:若狭の原発を考える会・木戸恵子

 アメーバデモとは、毎月2回4日間、大阪、兵庫、京都、滋賀から原発立地の若狭に集まり(イベント時には、関東など全国からの応援も得て、総勢50人になることもあります)、3~4人が一組になり、太鼓や鈴を鳴らしながら、また、「反原発」の赤旗を持ち、肩にかけたスピーカーで原発全廃を呼びかけながら、A3用紙に赤と黒で印刷した原発全廃を訴えるチラシを全ての集落の隅から隅まで配り歩く行動です。音を聞いた人が出てきて、チラシを受け取り、話をします。

 以下に、4月30日~7月9日に行われたアメーバデモおよびチラシ配りでお聞きした地元の声の典型例をまとめました。チラシを受け取らない人はほとんどなく、反原発は民意であることを、アメーバデモで実感しています。

◆原発で働く人が周りにいるから大きい声では言えないが、原発は反対や。福島原発事故をみたらわかる。(高浜町薗部 男性)

◆昔は原発で働いていた。線量計を付けていたが、作業をしているみんなのアラームが鳴るので誰が鳴っているかわからない。あんな怖いものとは知らされず、仲間の多くは70才で死んだ。(美浜町 男性)

◆遠いところからごくろうさまです。この辺りは避難区域なんです。(美浜町 女性)

◆原発に土地を売った。一緒に住んでいる嫁が原発を怖がる。(高浜町鎌倉 男性)

◆老婦人が3人で立ち話をしていたところにチラシを渡すと「原発は駄目やなあ」、「原発反対や」、「そおや」と3人の反原発談議が続いた。(滋賀高島町)

◆ご苦労様です。先日、井戸弁護士のお話を聞きました。原発はダメですね。(高島市 女性)

◆「チラシはいりません。ごめんね。家族が関電で勤務しているから。」(高浜町音海 女性)

◆高浜原発が正面に見える内浦湾、「昔はわかめが採れていたけど、原発が来てからは温排水が流されるから、わかめは取れず、藻も生えなくなった」(高浜町上瀬 女性)

◆ご苦労さんの上に、好意的に周辺の空き家情報を教えてくれた。(高浜町城山荘付近 女性)

◆原発反対と言った50代女性は、草取りを止めて、チラシを読んでいた。(美浜町役場の奥)

◆チラシを直接手渡したら、ご苦労さんと言われた。(美浜町美浜原発に近い集落)

◆「私の里も京都の八幡や」という人は、こんなきれいなところで原発事故が起きたら全部パーやねと言うと、「ほんまや!」

◆「安倍があほや。あんたらこんなチラシ配ってたら捕まるで。」(美浜町役場寄り耳川付近)

◆世界は福島事故をみて原発から撤退していると言ったら、「日本はあかん!」(美浜町役場寄り耳川付近)

◆原発のチラシですと言ったら、「反対か!」そうですと言ったら、「ほんならもらうわ」(美浜町役場寄り耳川付近:同様な声は、高浜町旧役場付近でも)

◆チラシを渡すと「原発はもういらんな!」(美浜町佐柿関所跡付近)

◆農作業を終えた4人が集まって話をしていた。ビラを渡すと、「原発がなくなるとどうなるんや」と聞かれ、「一時的には電気代は上がるでしょう」と答える。「福島原発事故みたいになったら大変ですからね」と言うと、「あれはずさんすぎる。関電はそんなことないで」と言い、「関電もたいがいずさんでっせ」と答えた。(美浜町織田神社付近)

◆「原発事故が起きたら、ここだけの問題だ。」琵琶湖の水を関西一円で使っているのでここだけの問題ではない、と答えた。(美浜町久々子)

◆「今、介護で大変だが、原発事故の危機感はある。福島原発事故で若狭の原発事故が一層身近な問題だ。」(美浜町久々子 女性)

◆日曜日のため、多くの人が外に出ていて話せた。原発賛成の人には会わなかった。

◆チラシの見出しを声を出して読み、「地震が多いから原発危ないわな。やっぱりない方がいいわ。ごくろうさん」(美浜町 男性)

◆玄関に座っている80代男性、「暑いのにご苦労さんやなあ」(美浜町)

◆「あんた、原発は反対か」。原発全廃を訴えてチラシを配ってますと答えると、「原発は反対や」(美浜町 男性)

◆玄関先に座っている80代女性にチラシを渡すと「あんた電気使っているやろ」、掃除機や電子レンジを使わず、コンセントをまめに抜いて、10年前より電気代が1/3に減りましたと言うと、「おお、頑張ってるんや。ご苦労さん」(美浜東小学校付近)

◆暑い昼下がり、草取りをしている女性に渡すと「遠方ご苦労様」といって、すぐチラシを読んでいた。(高浜町立正佼成会辺り)

◆「どこから来られたの?」京都、滋賀、大阪から来ています。意外と若狭の原発から近いのですよ。それに私たちは皆、琵琶湖の水を飲ましてもらっていますから切実ですというと、「それはそうやね! 飲み水がやられたら大変やな。そんな遠くから?ご苦労さんです。」

◆1回目「ありがとう。」と手を出して丁寧に受け取って下さった。2回目、覚えておられたようで「いつもご苦労さんです。」と笑顔で受け取って下さった。

◆通りの小さな体操(ヨガ?)教室にビラの説明をして1枚渡そうとしたら「私もほしい。」と言われ皆さん(数人)に渡した。

◆40歳ぐらいの女性に手渡したところ「この辺の方ですか?」、京都、滋賀、大阪から来ていますと答えると、「福井は原発地元なのに原発の情報がほんとに少なくてこういう詳しいのをもらうととてもうれしい。助かる。この辺の新聞は地方紙をとっている人が多いが、一つは政府寄り、もう一つもさらっと一通りのことしか書かない。」と言われ、若狭の各地に毎月来ているというと「頑張ってくださいね。」

◆校門近くで下校する高校生に渡した。半分ぐらいの生徒は受け取ってくれた。興味深そうにその場で読みながら行く生徒もいたし、全く関心なさそうな生徒もいた。

◆保育園、幼稚園近くではお迎えのお母さんたちはチラシをよく受け取ってくれた。

◆家庭菜園の畑に出かけようとしていた70歳前後の女性。「自分のうちで食べる分をお金の節約と楽しみで作っている。年金生活なので畑で賄えるのは大きいよ。今の生活が気にいってる。原発は怖いなぁ。何かあったらここに住んでこういう生活できなくなるんやから・・・。原発関係で働いている人がこの辺多いから言えないけど私は原発反対。」

5月8日~12日の高浜町-福井市リレーデモの途中で多く聞かれた声

◆5月7日の高浜原発前集会、高浜町内での現地集会、高浜町内デモの翌日、福井市までのリレーデモに出発して1時間、家の玄関が開けられていて、通りすがりに中を見ると、上りかまちの薄暗がりの中で3人の方がデモ隊に何度も会釈をされていた。私も帽子を取って会釈した。(高浜町)

◆アメーバデモの鳴り物、スピーカーから流れる原発全廃を訴える声と反原発の赤旗をみて、草刈りの途中だった男性、鎌を持ったまま玄関に表れて「原発反対や、がんばってや」(越前市 男性)と言われた。

◆チラシをポストにいれていたら、音を聞いて玄関前まで出てこられて、「わしは原発反対や、原発は危ない」(越前市男性)と訴えられて、後から来た街宣車に乗っているHさんにも訴えておられた。

◆高齢の男性は、リレーデモに手を合わせておられた。

◆女性が、リレーデモをわざわざ追ってこられ「一緒に歩けませんが・・・」とカンパをくださった。

◆福井市内に入った時、鳴り物やスピーカーから流れる音を聞きつけて、路地からリレーデモを見に来られ
た男性は、ちらしを他所のポストに入れているのを見て、「わしにもください」と走って来られた。


【最近のニュースから】

最大原発依存国・フランスでも
脱原発が進んでいる!

◆フランスエコロジー相は、会計検査院の勧告により最大17基の原発の廃炉を発表した。(NHK BSニュースがフランスドゥの報道として伝えた。(放送時刻 7月12日4時18分)

◆フランス会計検査院はすでに、2025年に向けて原発エネルギーを50%削減するように勧告していたが、これに沿うものである。

◆フランスには、現在、19箇所に原発があり、58基が稼働中である。全てフランス原子力公社が保有している。このうち6箇所の15基は35年以上経過した老朽原発であり、これが廃炉の対象となる。フランスに豊富に存在する、風力、水力、太陽光、地熱に置き換えようとするものである。17基廃炉されれば、原子力エネルギーを25%削減できる。

◆「この発表は、あと30年の運転を見込んでいたフランス原子力公社にとっては大打撃であるが、フランスの原子力産業にとっては革命になるかも知れない」とフランスドゥはコメントしている。

◆この報道はNHKBSニュースだが、全てのメディアは報道せず。地上波NHKも報道していない。国民には知らせたくないニュースらしい。

東電、汚染水の海洋放出を明言

田中原子力規制員長も海洋放出を求めている

◆福島第一原発では、凍土壁の効果もほとんどなく、汚染水は増え続けている。したがって、この汚染水を浄化した処理水も増え続けている。処理水は、除くことが出来ず、内部被曝による障害が深刻なトリチウムだけでなく、除ききれなかった他の放射性物質も含んでいる。

◆薄めれば、海に流しても良いとするのは大きな誤りである。風評被害のみでなく、生物濃縮の危険性も大である。

◆今後、海洋放出が既成事実化し、拡大する可能性も大きい。

海洋放出以外に処理法が無い放射性物質を生む原発を動かしてはならない。


▲2017年7月14日京都新聞朝刊

2017年6月8日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆最新=8/4講演・討論会in若狭 & 交流企画 チラシ改訂版

8.4 講演・討論会 in 若狭
原発にたよらない町づくりを目指して

講演 山崎隆敏さん…和紙会社経営、サヨナラ原発福井ネットワーク
本年4月発売の『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか -県民的対話のための提言』の著者

講演 韓国で脱原発運動を進める若者
韓国で、脱原発運動を展開し、原発のない町づくりを考える若者の代表

討論 原発のない町づくりについて、質疑応答、討論をします。

場所;JR若狭高浜駅2階 「まちの駅ぷらっとHome高浜」

日時;8月4日(金)13時~16時45分 入場無料
京都、滋賀などから配車の予定です(4日9時出発)

主催;若狭の原発を考える会。本講演・討論会開催の趣旨、参加申込み、乗車申込み
については以下をご覧ください。


「8.4 講演・討論会 in 若狭」後、和田海岸に移動し、バーベキューと交流の夕べを催します。

交流企画 キャンプ at 若狭和田ビーチ

日時;8月4日18時より
定員;40人
以下の2つのコースを用意しています。
①バーベキューと交流を楽しんだ後、テントに宿泊して5日午前解散
②バーベキューと交流を1時間半程度楽しんだ後、帰路に(宿泊なし)
参加費;実費;3000円程度(①宿泊あり)、2000円程度(②宿泊なし)
なお、5日は韓国からの訪問者とともに、高浜原発を見学し、周辺の集落でアメーバデモを行います。お時間の許す限りご参加下さい。
[注] アメーバデモ:4~5人の少人数に分かれて、「反原発」の赤旗を掲げて、鳴り物を鳴らしながら、若狭と周辺地域の隅から隅までを歩いて巡り、スピーカーで反原発を訴えながら、チラシを各戸配布する行動


【8.4講演・討論会開催の趣旨】

反原発・脱原発が民意です

◆原発重大事故の悲惨さは、福島原発事故が、はかり知れない犠牲の上に教えるところです。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても不都合がないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は見出だせません、反原発は社会通念=民意 となっています。各種報道機関の世論調査でも、原発反対が賛成のほぼ2倍です。若狭にも、表には出ていないけれども、脱原発、反原発の声は多数あります。

世界も脱原発に向かっています

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めています。また、安全対策などで原発の建設費、維持費が高騰したこと、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けています。

◆イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止しました。また、韓国でも、文在寅新大統領が「原発建設計画を白紙撤回する」ことを宣言し、 40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、 2基の建設を中断しました。最大の原発依存国・フランスでさえ、17基の35年越え老朽原発の廃炉を発表しました(7月12日報道)。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいます。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本などの少数です。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げていますが、この戦略が破綻していることは、東芝の例を挙げるまでもなく、明らかです。

重大事故が起る前に、
原発にたよらない町をつくりましょう

◆上記のように、国内でも、世界でも、脱原発は大きなうねりです。したがって、近い将来に、原発のない社会がやってきます。それなら、重大事故の起こる前に原発を全廃するのが賢明です。一日も早く、原発にたよらない町づくりを進め、現在および未来の人びとにとって、不安のない、希望あふれる社会を実現しましょう!

8.4講演・討論集会が「原発にたよらない町づくり」を考える一助になることを願っています。是非、ご参加下さい。


8.4 講演・討論会 in 若狭「原発にたよらない町づくりを目指して」
および交流企画「キャンプ at 若狭和田ビーチ」参加申込み

ご氏名;
ご住所;
連絡先  [電話;     E-メール;     ]
参加希望(ご希望に○をお付け下さい)
①8.4 講演・討論会 のみ
②8.4 講演・討論会 および交流企画の両方(宿泊する)
③8.4 講演・討論会 および交流企画の両方(宿泊しない)
④交流企画のみ(宿泊する)
⑤交流企画のみ(宿泊しない)
乗車予約 [京都、滋賀などから配車の予定です(4日9時出発)。
ご乗車ご希望の方は乗車場所をご指定の上、お申し込みください。
詳細は、後日ご案内します。]
→乗車希望場所 [          ]
→帰路の希望
・5日帰路へ
・4日、集会後すぐ帰路へ(京都には20時30分頃到着予定)
・4日、集会後1時間半程度交流企画に参加した後、帰路へ(京都には21時30分頃到着予定)


連絡先;若狭の原発を考える会
木原(090-1965-7192)
橋田(090-5676-7068)
瀧川(080-8327-5588)

◆第16回口頭弁論 意見陳述

第16回口頭弁論意見陳述

市川章人

私は市川章人と申します。1948年1月7日生まれの69才で、京都市伏見区に家族4人ですみ、すぐ近くには娘夫婦が幼い孫2人と住んでおります。住まいは大飯原発から直線距離でわずか66kmであり、原発事故と放射能被害に対する不安と恐怖から、この訴訟に加わりました。

【被曝事故の経験と日本での原発過酷事故の予感】

私の原発と放射能に対する不安と恐怖は47年前の体験に始まります。大学で原子物理学を学びましたが、放射能の実験中に被曝事故にあい、それ以来がんへの恐怖を抱えて来ました。同じ頃の1970年大阪万博へ美浜原発から送電が始まりましたが、処理方法のない放射性廃棄物を大量生産する原発に疑問を持ち、学友と議論し、いずれ大問題になる、今儲ければよくて後は野となれ山となれ式の商業運転をやめるべきだという結論に達しました。

その後、1999年の東海村JCOウラン燃料工場の臨界事故とその時の国の対応は、チェルノブイリに続く過酷事故は日本で起きるに違いないという私の予感を一気に高め、不幸にして福島原発事故として的中しましたが、しかし想像を超える深刻さに身が震えました。

【恐怖の中でも福島から避難できなかった親戚】

福島第一原発から61.5kmの福島市内に私の親戚が住んでおり、事故の直後に法事で会いました。その時5人の子供を抱えた夫婦が涙ながらに訴えたのが放射能への恐怖でした。「事故直後からテレビ画面に白い点がいっぱい飛ぶ。これは何か?」と問われ、私は屋内で放射性物質が浮遊し、強い放射線エネルギーで発光するのではと疑いました。彼らに避難先として福知山市夜久野町で空いている私の実家の提供を約束しましたが、結局避難は叶わず、彼らは恐怖の中で生活せざるを得ませんでした。それは、福島における職を夫婦ともに失うことであり、5人もの子どもを抱えての生活のめどが立たないこと、さらに年老いた両親を残して自分たちだけ避難することは、家族を一番に大切にする強い宗教的信念で結ばれ共に生きてきた夫婦にとっては耐えがたいことであったからです。

【我が家は安定ヨウ素剤が必要な被曝範囲】

福島原発事故の後、重大事故の発生を前提にした原発の再稼働を認め、避難計画を安全審査の対象としない原発政策に変わることで、私たちも原発と活断層の集中する若狭湾で原発の過酷事故が発生する危険に怯えることになりました。

避難計画でUPZの範囲は大飯原発から半径32.5㎞に設定されましたが、その元になった規制庁の放射性物質拡散シミュレーションは被曝量の高い側のデータを削除しており、そのデータも使えばほぼ2倍の半径になることが指摘されています。滋賀県によるシミュレーションでも、北風の場合、大飯原発から66kmの我が家は、安定ヨウ素剤の服用が必要な範囲にすっぽり入ります。また、滋賀県は私たちの飲料水である琵琶湖が汚染されたら、放射性ヨウ素のために約1週間水が飲めないという試算もしています。

したがって私たちにも避難と安定ヨウ素剤の服用は不可欠ですが、京都市原子力災害避難計画にそのような対策は一切記載されていません。

【原災指針の改悪は30㎞以遠住民を危険の中に放置するもの】

2015年の原子力災害対策指針の改悪で不安は一層増しました。それは、避難よりも屋内退避を強調し、さらにUPZ以遠の地域で当初予定していた放射性プルーム対策としてヨウ素剤を服用する区域PPAを廃止し、ヨウ素剤配布はやめ屋内退避で十分としたからです。

これでは、事故の際、私たちには行政による対策も指示もなく、自分で身を守るしかなくなります。しかし、公的にはUPZ以遠の住民に何の知識も与えられておらず、正しい判断も適切な行動も困難です。情報も届かず、放置される危惧さえあります。

もし、緊急避難が必要になったとしても、私たちには指定避難先はありません。屋内退避で十分とされていることも大いに疑問です。私の学生時代の被曝事故は他の実験班の放射線をコンクリートの壁を通して浴びたものです。このように放射線遮蔽は普通のコンクリート壁でも不十分であり、木造家屋の屋内退避では効果はほとんどありません。

とりわけ心配なのは、保育園に通っている私の孫です。仮に、孫が保育園で保育を受けている際に、原発事故が起きた場合、きちんと避難出来るのでしょうか。この点について、京都市原子力災害避難計画は、一切具体的な対策を記載していません。

長期避難が必要な場合、私たちの移住先は夜久野町の実家しかありませんが、そこは大飯原発から64㎞、高浜原発から51kmであり、放射能に強く汚染される危険性があります。

そもそも、今の居住地を捨てるのは、福島の親戚と同様、耐え難いことです。私たち夫婦は年金で何とか生活できるかもしれませんが、我が子は仕事の継続が困難になり、生活の術を失います。中でも長男は、10年以上も展望の見えない就職活動を続け、37歳になった昨年ようやく就職できたもので、この職を失うわけにはいきません。私の子や孫たちには移住という選択肢もないのです。

【命と生活を最優先にした裁判所の判断を】

今、日々成長する幼い孫たちに接しながら命の輝きと尊さを深く実感しています。この幸せと被曝すれば影響を最も受ける孫たちの命と未来を守るために、他の技術とは異質の被害をもたらす原発で万が一の危険も冒すわけにはいきません。原発廃止こそ最大の安全対策であり、命と生活を最優先にした判断を裁判所が下されるよう切に願うものです。

以上

ページトップ

◆原告第37準備書面
-被告関電は大飯原発の地盤特性を把握していないこと-

2017年(平成29年)7月20日

原告第37準備書面
-被告関電は大飯原発の地盤特性を把握していないこと-

原告第37準備書面[1 MB]


目次

第1 2007年新潟県中越沖地震のメカニズムについて
1.2007年新潟県中越沖地震は想定外の地震であったこと
2.同地震が「想定外」になったことに関する東京電力の後付けの説明の内容

第2 大飯原発の地盤特性がほとんど把握されていないこと
1 陸域の反射法調査は地下500m位までしか反射面が確認されていないこと
2 海域については更に浅い範囲でしか把握されていない
3 地震波干渉法では低速度帯の存在が示唆されること

第3 まとめ


本書面は原告第34準備書面第35準備書面を踏まえた上、さらに、被告関西電力が大飯原発の地盤特性を把握していないことを述べるものである。

 


第1 2007年新潟県中越沖地震のメカニズムについて

 

 1.2007年新潟県中越沖地震は想定外の地震であったこと

2007年新潟県中越沖地震及びそれによる東京電力柏崎刈羽原発への被害については、すでに第34準備書面11頁以下で述べた。
要旨以下のことを述べている。

活断層が認識されていなかった海底で地震が発生したこと
地震後も海底の地震断層が発見されなかったこと
営業中の原子力発電所の構内で想定を遙かに上回る地震動が発生したことについて事前に原因を予測できなかったこと
その原因を後付けで探し出したこと
マグニチュード6クラスの地震でも原発の重要設備に深刻な損害が生じた可能性があり、10年が経過した現在も設備健全性に関する報告書が提出されていない原子炉が3つあること

 

 2.同地震が「想定外」になったことに関する東京電力の後付けの説明の内容

訴外東京電力は、同地震により柏崎刈羽原発に「想定外」の地震動が到達したことについて、下図のように3つの要因によって説明している。

東京電力「柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性向上の取り組み状況」より【図省略】

要因1:地震規模から推定される揺れが通常より大きかった(約1.5倍)
要因2:発電所周辺の地表から4~6kmの深部地盤の傾きにより波が同時集中した(約2倍)
要因3:発電所の地下2kmの敷地地盤の褶曲構造により1~4号機に波が集中した(約2倍)

これらの「要因」のうち2と3については、科学的に正確な調査をおこなうことも、再現性の検証を行うことも、少なくとも現代の文明社会の経済感覚、時間感覚では不可能であり、仮説の域を出るものではないというべきだろう。

そして、2007年の新潟県中越沖地震の前に作られたと思われる東京電力は、ホームページ上で、原発の「地震対策」として「揺れの少ない強固な岩盤上に建てています。」「原子力発電所の重要な機器・建物等は、表層の軟らかい地盤を取り除き、地震による揺れが小さい固い岩盤の上に直接固定して建設しています。岩盤上の揺れは、新しい年代の軟らかい地盤の揺れに比べ1/2から1/3程度になることが分かっています。」などと記載していた。この東京電力のページは、インターネット上のアーカイブサイトに保存されていたものであるが、現在の東京電力のホームページにはこのページは存在していない【図省略】。

ページトップへ


第2 大飯原発の地盤特性がほとんど把握されていないこと

いずれにせよ、仮説レベルのものであれ、発電所周辺の地表から4~6kmの深部地盤及び発電所の地下2kmの敷地地盤という地盤特性に原因が求められたのである。

 

 1 陸域の反射法調査は地下500m位までしか反射面が確認されていないこと

大飯原発については、原子炉周辺のA側線、B側線について、反射法地震調査が行われている(丙28号証「大飯発電所の基準地震動について」17~18頁)。A側線について丙28号証の17頁を図示すると以下の通りである【図省略】。

ここでは、そもそも、1500mまでの深さまでしか断面図が存在しない上、「地下500m位まで反射面が確認され、その範囲内では特異な構造は認められていない。」と記されている(傍点は原告代理人が付した【ここでは下線】)。

同号証18頁では、B側線についても同様の記載がみられる【図省略】。

この地下500m程度の範囲でも、特異な構造が認められることはすでに第34準備書面でのべたところであるが、被告関西電力は、地下500m位より深い場所については、そもそも反射法による地盤特性を把握していないことになる。

 

 2 海域については更に浅い範囲でしか把握されていない

また、関西電力は、FO-B、FO-A、熊川断層の連動の可能性の評価やFO-C断層の評価をするについて、周辺海域の反射法の調査を行っている様子が見てとれる(丙29号証20頁、丙50)。逆に言えば、その目的以上での調査はそもそも行っていないと思われる。

この点、丙29号証の関電職員の陳述書では20頁で以下のような断面図が示されており、FO-A断層の評価との関係でせいぜい地下122.5m程度までしか断面図が示されていない反射法の調査結果が示されている【図省略】。

また、丙50号証では、FO-C断層の評価との関係でせいぜい地下75mまでしか断面図が示されていない反射法の調査結果が示されている【図省略】。

その他、被告関西電力が本訴訟に証拠で提出していない、インターネット上で収集可能な資料を前提に善解しても、海域については、せいぜい、地下2~300mまでしか地盤特性が把握されていないうえ、原発周辺海域を網羅的に調査するものではない。

 

 3 地震波干渉法では低速度帯の存在が示唆されること

関西電力は、地震波干渉法による調査に基づく評価を地下4kmまで行ったとしているが、これが恣意的なものである上、地震波を増幅させる低速度帯の存在が示唆されることについては、すでに、第34準備書面で述べた。

ページトップへ


第3 まとめ

結局、2007年新潟県中越沖地震の前には、揺れの少ない強固な地盤の上に立っているはずだった柏崎刈羽原発は、実際に想定外の1699ガルの地震動に襲われ、大きなダメージを受けた。その原因は後付けで、地下4~6kmの周辺地盤、地下2kmの敷地地盤の特性に求められたが、これは仮説の域をでないものである。

仮にこの仮説を援用するにしても、関西電力は敷地及び周辺について、せいぜい地下500mまでの範囲でしか地盤特性を把握していないし、その範囲でも特異な地盤特性の存在が示唆されている。

そして、東京電力が2007年新潟県中越沖地震で問題にしたような、地下4~6kmとか地下2kmの地盤特性については、そもそもまともな調査すらされていない。

被告関西電力が、大飯原発の地盤特性を把握していないことは明らかである。
このような状態を「特異な地盤特性は存在しない」などと評価することは不可能であり、むしろ、自然界に多数存在する複雑な要因を発見できていないだけと考えるべきだろう。

以上

ページトップへ

◆「原発の電気はいらない署名@関西」の呼びかけ人会議

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「原発の電気はいらない署名@関西」の呼びかけ人会議
・日時…8/8(火)18:00~18:40くらいまで。
・場所…ひと・まち交流館京都
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆「原発の電気はいらない署名@関西」の呼びかけ人,呼びかけ団体になっていただき,ありがとうございます。(これから呼びかけ人になっていただきたい方にも,お送りしています。)

◆私たちの署名運動はゆっくりとしたペースではありますが,着実に脱原発への道を拓きつつあります。関西電力は福島事故から何も学ばず,高浜原発の再稼働を強行し,さらに大飯原発,それも40年超えの原発まで再稼働させようとしています。世論を無視する理不尽の極みですが,原発再稼働以外に経営危機の打開策を持たない無能経営の故です。何としても阻止したいものです。

◆ご承知の通り,関電の販売電力量は,福島事故前の2010年度のピーク時に比べると,昨2016年度は20%も減少しています。総括原価方式によって政府公認の高い電力を売ってきたことにより,電力自由化による新電力会社との価格競争力を失って,顧客離れが進んでいるからです。

◆その結果,昨年4月から8月までの4か月間で毎月4万件の消費者が契約を変更し,現在では累計90万件にのぼっています(6月30日現在)。深刻な顧客離れを止めるためには,料金の値下げが求められるわけですが,その資金余力はありません。昨年度の決算では営業利益として1645億円をあげていますが,それは火力燃料費が安く,一昨年と比べて1845億円も少なくて済んだからです。その事情がなければ,赤字不可避の状況です。値下げに必要な原資もないのです。

◆値下げしなければ,顧客離れで販売量が減り,値下げすれば,販売収入を減らす。進退極まった泥沼状況なのです。限界費用の小さい原発再稼働以外に知恵のない無能経営です。

◆関電からの契約変更は,このペースで進めば,8月末には100万件を超えるものと予想されます。関電の契約口数1250万件に比して,8%減です。脱原発の大きな世論を,原発の電気は買わないという形にして広げることによって,関電の原発推進路線に具体的なノーを突きつけることができます。

◆関電の電気は,少しの値下げをしても,経済合理性の観点から消費者(小口の家庭,大口の企業とも)の理解を失うほどのレベルです。事故リスク,司法リスクが大きく,ますますコスト高になっている原発に頼っていて,今後,関電の経営は大丈夫か,という視点からの訴えも現実味をおびてきました。今「原発の電気は買わない!」との声を広げることは,脱原発の「関ヶ原」となっています。8月8日の「学習講演会」と,その直前に行う「呼びかけ人会議」には,ぜひ多くの皆さまがご参加いただきたく,お願いいたします。

◆[案内]8/8 『原発の電気は高くつく』大島 堅一 さん学習講演会

—————————————————
日 時:8月8日(火)19:00~
場 所:ひと・まち交流館京都(市バス「河原町正面」すぐ。京阪電車「清 水五条」下車西へ徒歩8分,地下鉄烏丸線「五条」下車東へ徒歩10分, 河原町通東側)
講 演:『原発の電気は高くつく』大島 堅一 さん(龍谷大学政策学部教授) 主催者側より「原発の電気はいらない署名」の呼びかけ,説明の後, 大島さんを交えて参加者の質疑,討論を行います。 友人,知人,お誘い合わせの上,ご参加ください。参加費:無料。資料代500円のカンパをお願いします。
主 催:原発の電気はいらない署名@関西
〒600-8061 京都市下京区筋屋町141(富小路通仏光寺下ル)
[E-Mail]sindenryoku.kyotoあっとgmail.com
[Fax]075-361-0251
—————————————————

◆関西電力は世論を無視して,高浜原発を再稼働し,営業運転に入りました。

◆関西電力は世論を無視して,高浜原発を再稼働し,営業運転に入りました。 福島事故から何も学ばず,目先の企業利益すなわち--金だけ,今だけ, 自分だけ--の暴走です。

◆福島事故後,関電は経営破綻を電気代値上げで対処した結果,価格競争力 を失ってしまったのです。電力販売が自由化された結果,販売電力量は8 割に落ち込んでしまっています。顧客離れはさらにすすみ,昨年4月の自 由化以降,83.6万件の契約を失って,大慌ての状況です。値下げをしたく ても,その原資は多くはないのです。販売減の中では値下げは必要。しか し,売上げ激減では……。悩み深き暴走はどうなるか。

◆今こそ,脱原発への現実的チャンスが生まれています。関電の内部からも, 原発依存の方針に疑念の声が出はじめています。そして“経費節減の努力” の中で,若狭で重大事故が起こる危険性も強まっています。

◆原発の電気は買わない!その世論が脱原発への道を開くでしょう。

◆7/21(金)第16回口頭弁論のご案内

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■
大飯原発差止訴訟(京都地裁)の原告の皆さまへ。
【転送歓迎】

7/21(金)14:00から第16回口頭弁論が開かれます。原告の多くの皆さまが裁判にご参加いただききますよう,訴えます。原告席,傍聴席とも大勢の原告でうめつくし,裁判所と裁判官をつつみこんでいきましょう。原告になっていない方も,傍聴にさそってください。

・京都地方裁判所…京都市中京区菊屋町
(丸太町通柳馬場東入ル)(地下鉄烏丸線 丸太町駅1・3・5番出口から東へ徒歩5分)

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■

■ 具体的な内容は,以下の通りです。

(1) 原告の意見陳述……市川章人さん(京都自治体問題研究所)が,避難の問題について陳述します。
(2) 弁護団から……上林川(かんばやしがわ)断層[ 連続するFO-A(エフオーエイ)断層,FO-B(エフオービー)断層,熊川(くまがわ)断層の三つの断層に対して,共役(きょうやく)断層となっている断層 ]についての主張。さらに前回に続いて,大飯原発の地盤特性や地域特性についての関電の書面の誤りについて主張します。また,名古屋高裁金沢支部で証言した島崎邦彦さん(元原子力規制委員会委員長代理)の調書を提出します。

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■

●概略●裁判に参加するには,三つの方法があります。

[1] [満席で締め切りました]原告席で参加……法廷の中(柵の内側)に原告として入ります(抽選なし)。この場合,メールで応募してください。「原告団が」決めてその氏名を裁判所に通知します。
★7/12(水)★を締切日としますので,
★弁護団事務局宛のメール↓★で応募してください。
kyotodatsugenpatsubengodanあっとgmail.com
(「原告席希望」と書き,お名前をご連絡ください)
先着順を基本とし,定数に達し次第,締め切りますが,いつも追加で募集していますので,積極的にご応募ください。

[2] 傍聴席で参加……当日の抽選にご参加ください。「裁判所が」決めます。
13:20~13:35の間に,裁判所が正面玄関前で,抽選リストバンドを配布しますので,応募してください。
傍聴席に入ることができなかった方は,模擬法廷にご参加ください。

[3] 模擬法廷で参加……傍聴席に入れない(入らない)場合。
弁護団が用意しております模擬法廷に参加してください。
京都地裁の構内の南東角にある京都弁護士会館・地階大ホールへ。
本番の法廷と同じで,14:00開始です。

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■

●詳細●以下は,上記の[1]~[3]の参加方法の詳細です。

[1] 原告席で参加

・法廷の中(柵の内側)の原告席に入る原告は,「原告団が」決めます。その名簿を1週間前(7/14)に裁判所に届けています。そこで,原告で原告席参加ご希望の方は,
★7/12(水)★を締切日としますので,
◆事務局宛のメール↓★に「原告席希望」と書いて応募してください。
kyotodatsugenpatsubengodanあっとgmail.com

・合計35名ほどの原告が参加できますが,次の順で優先します。
(1)呼びかけ人
(2)世話人
(3)世話人の推薦する原告(各若干名)
(4)脱原発運動その他のいろいろな活動を担っている方
応募メールに付記してください。(前回までと同様です)
(5)MLでの公募…先着順です。
前回も,この枠で25~30名の原告が原告席に入っていただきました。

・裁判当日は,京都地裁1Fの101号法廷前に待機しています弁護団・原告団世話人より,原告席の券を受け取っていただき,法廷に入ってください。

★ご注意★今年(2017年)原告申込をされた方(=第六次原告)は,原告席に入ることができません。傍聴席抽選に応募されるようお願いします。
★自分が原告席で参加可能かどうか(第六次原告かどうか)不明の場合はメールや電話でお問い合わせください。

[2] 傍聴席で参加

  • 法廷の傍聴席は88席ほどですが,こちらは「裁判所が」抽選で決めます。
  • 原告の方,原告でない方も,資格を問わず,誰でも応募できます。
  • 13:20~13:35の間に,京都地裁正面玄関前で,抽選リストバンドが配付され,配付終了後すぐに抽選結果が発表されます。(傍聴者が少ない場合は,抽選はありません。)

[3] 模擬法廷で参加

  • 入廷を希望されない方,原告席や傍聴席の抽選にもれた方は,弁護団による模擬法廷にご参加ください。
  • 14:00開廷。京都弁護士会館(地裁構内の南東隅)地階大ホールへ。
  • 実際の法廷よりもわかりやすく,弁護団が解説します。
  • 事前に提出されている被告側書面があれば,その解説も行います。

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■

●定例のデモ●

  • 市民に訴えるために裁判所周辺のデモを行います。
  • 従来と同じく,12:10 までに弁護士会館前集合,出発は12:15 です。
  • 30分以内に終わる予定です。
  • デモ後に,裁判所の傍聴席抽選に応募することができます。
  • 裁判所地階の食堂は,13:30まで昼食があります。

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■

●全体的なタイムテーブル●

  • 12:10…弁護士会館の前に集合。
  • 12:15…裁判所の周辺のデモに出発。30分程度。
  • 13:20…裁判所による傍聴券の抽選リストバンド配布開始。@京都地裁正面玄関前。
  • 13:35…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了。直ちに抽選→傍聴券の配布。
    抽選にもれた方,入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は,14:00までに弁護士会館・地階大ホールの模擬法廷へどうぞ。
  • 14:00…開廷,弁論開始。
    同時刻に弁護士会館・地階大ホールで模擬法廷を開始。
  • 15:00ごろ…閉廷後,弁護士会館・地階大ホールで報告集会。30分程度。

■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□■