◆関西電力 闇歴史◆053◆

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◆“裏工作の仲介役”を担った森山栄治元助役が
 関電の弱みを握った発端の一つがフナクイムシ問題(1981~87年)

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 関西電力幹部が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏から多額の金品を受領していた問題で、第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)が2020年3月14日、最終報告書を公表し、大阪市内で記者会見を行った。報告書は関西電力が1970年代から80年代にかけて進めた高浜原発3、4号機の建設をめぐり、森山氏が“裏工作の仲介役”を担い、関西電力の弱みを握る形になったことが金品問題の発端となったことを明らかにした。その一つが、フナクイムシ問題。
(「第三者委員会」については→◆041◆

 高浜原発からの温排水によりフナクイムシが増加し、地元企業が保管していた木材に関する食害が生じたとして、この地元企業が保有する約3万坪の土地・建物の買い取りを関電に求めた際、森山氏は関電と地元企業の仲介役をつとめた。

 当初、関電は電気事業者として利用価値のない土地の取得はできないとして、買い取りを拒否していたが、森山氏が仲介に立ち、最終的に購入を了承。当初、関電側が鑑定した評価額の約2倍近い11億円で、関電が地元企業の不動産を買い取るという不透明な手段によって解決したという。第三者委員会はこうした不透明な解決を図った内情が明らかになれば「不適切な取引との批判を免れ得ない取引」と指摘した。

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「第三者委員会 報告書」71~73ページの結論部分
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 フナクイムシ問題においては、関西電力が森山氏の仲介によって、発電所の運営に関する地元企業との紛争を、最終的に当該地元企業の所有する不動産を買い取ることによって解決したことが認められる。関西電力から提供を受けた資料からは、森山氏がこの仲介に当たり違法ないし不当な手段を用いたことは認められないが、関西電力は、地元企業との紛争を解決するために、利用計画のなかった不動産を自らが取得した鑑定結果に基づき正常価格と考えていた価格よりも4億5000万円余りも高額な金額で購入し、森山氏らの要請に応じて、高浜町が誘致した企業を救済する結果となっている。

 このフナクイムシ問題に端を発する本件地元企業との不動産取引は、原子力発電所の運営に関する地元企業との紛争を不動産の高額買取という不透明な手段によって解決するとともに、関西電力自身が当初、電気事業者として利用計画のない土地を取得することはできない、また、町が誘致した地元企業を関西電力が救済することは事業の性格上不可能であり、各方面で諸種の問題を起こすことを理由に土地の買取りを拒絶していたとおり、その内情が世間に明るみに出れば、そもそも、高浜町において発電所を設置・運営する電気事業者として不適切な取引であったとの批判を免れ得ない取引であった。

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「フナクイムシ問題」の全文(第三者委員会 報告書より)
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PDFファイル[709 KB]。ファイル名:「daisansya-71-73.pdf 」

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