老朽原発うごかすな!実行委員会」カテゴリーアーカイブ

◆報告とお礼~3/21関電本店-4/2高浜原発リレーデモを延べ900人の参加で貫徹

【2023年4月4日。京都キンカンほかで配付】
【PDF→tirasi2023-04-04[1 MB]

報告とお礼

『老朽原発うごかすな!』
『岸田政権の「原発依存社会」への暴走を許すな!』
関電本店-高浜原発リレーデモを延べ900人の参加で貫徹

 岸田政権は、一昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、決定から1年も経ない昨年8月、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、「原発依存社会」への方向転換を表明しました。

 岸田政権は、①原発の停止期間を運転期間から除くことによって、原発の60年を超える運転を可能にしようとしています。しかし、世界にも、60年を超えて原発を運転した経験はありません、最古の原発でも、運転期間は53年です。なお、原発の老朽化は、停止中であっても進行します。

 また、②廃炉になった原発の代わりに革新型原子炉、新型小型原子炉を建設するとしていますが、これらの原子炉は、過酷事故の危険性や何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す点では、従来の大型原子炉と変わりません。「革新」や「小型」の言葉遊びで人々を騙そうとしているのです。

 さらに、③破綻した高速炉、60年以上も膨大な研究予算を投下し続けたにもかかわらず、いまだに実用の兆候も見えない高温ガス炉や核融合の開発を新しいテーマのごとく取り上げて、膨大な予算を投下しようとしています。

 岸田政権は、原子炉の安全対策、原子炉材料、放射性廃棄物の処理処分などの科学・技術にほとんど進歩がないにも拘わらず、原発関連大企業などの「原子力ムラ」の救済のために、原発推進を「決断と実行」(自民党ポスター)しようとしています。岸田首相がどう願望しようとも、経済的利益や政治的思惑で科学・技術が急に進歩することはありません。

 岸田政権は、「原発依存社会」に向かって、開会中の通常国会での関連法案改悪を目指して、5法案(原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法、再生可能エネルギー特別措置法)を、エネルギーの安定供給、脱炭素に関わるとして、束ねて(「束ね法案」として)審議しています。「束ね法案」は「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」と名付けられ、原発関連法改悪をその中に紛れ込ませて(「原発」の文字を隠して)いるのです。人々を、だまし、あざむく行為です!

 この「束ね法案」では、原子力の憲法・原子力基本法(1955年に「自主・民主・公開」による原子力の平和利用と原発の安全確保をうたって制定)を改悪し、原発活用で電力の安定供給や脱炭素社会の実現に貢献することを「国の責務」と位置づける項目を第2条に新設するとしています。また、原発運転期間に関する規定を、環境省(規制側)所管の原子炉等規制法から削除し、経産省(利用側)所管の電気事業法に移そうとしています。福島原発事故の教訓の上に、原発の「利用と規制」を分離した経緯を無視し、運転期間の判断を利用側の経産省に委ねる改悪です。

 「原発依存社会」へ暴走する政府の先兵が関電です。関電は、運転開始後46年を超えた、老朽原発・美浜3号機を運転し、48年、47年超えの老朽原発・高浜1、2号機を、近々(早ければ、4月末?)再稼働させようとしています。しかし、関電の原発では、トラブルが頻発しています。中でも、高温・高圧水が流れる、蒸気発生器伝熱管などの一次冷却系配管の損傷の多発は深刻です。一次冷却系配管が完全破断すれば、一次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る危険があるからです。また、去る1月30日に高浜4号機で発生した制御棒の異常挿入も、制御棒は原子炉のブレーキであるだけに、深刻です。さらに、老朽原発・美浜3号機でも、再稼働以来1年にも満たないにもかかわらず、4度ものトラブルが発生していることも見過ごせません。原発過酷事故の不安は、ますます大きくなっています。

 今、電気は足りています。余っています。電力がひっ迫するのは、1年のうちの数日です。それも1日数時間です。このような一時的な電力ひっ迫は、節電によって乗り切れます。電力逼迫をことさら喧伝し、負の遺産・使用済み核燃料を増やし、過酷事故を起こしかねない原発を推進する政府や電力会社を許してはなりません。

 今こそ、目に見える行動に立たなければなりません。トラブル続きの老朽原発・美浜3号機の運転を止めさせ、老朽原発・高浜1、2号機の再稼動を阻止し、それを突破口に、原発全廃の大きなうねりを形成しましょう!

「3.21関電包囲大集会」
「3.21-4.2関電本店-高浜原発リレーデモ」
「13自治体への申し入れ」で
「原発のない社会」をアピール

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、3月21日に開催した「関電包囲大集会」(380人参加)を旅立ちとして、関電本店(大阪)から、京都、琵琶湖東岸を経て、4月2日に高浜原発に至る230 km、13日間のリレーデモ(延べ900人が参加)を実施し、原発重大事故では避難者になりかねない沿道各地の皆様に「老朽原発即時廃炉」を訴えました。彦根では井戸謙一弁護士、米原市では平尾道雄市長より激励を頂きました。リレーデモの通過した沿線13自治体には「老朽原発運転の危険性」「原発過酷事故時の避難の困難さ」を指摘し、住民の安全・安心を守る立場にたって「原発のない社会を目指す決意」を表明するよう申し入れました。また、関電京都支店、高浜原発では、関電経営陣に「老朽原発うごかすな!」「原発全廃」を申し入れました(裏面参照)。リレーデモでは、デモを見守る数多くの皆様からご激励とご声援をいただき、「原発全廃」、とりわけ「老朽原発うごかすな!」は民意であることを再確認しました。

 なお、リレーデモに関して、「老朽原発うごかすな!リレーデモニュース」が毎日発行され、「老朽原発うごかすな!ニュース」92号~95号が発行されました。(→こちら

ご参加、ご支援いただきました皆様、
ありがとうございました。

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先090-1965-7102(木原)

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◆リレーデモの記録
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▼3.21 大阪市内

▼3.22 北摂(茨木市)

▼3.24 京都市内

▼3.26 京都市内を行く街宣車

▼3.26 大津市内琵琶湖岸

▼3.27 近江八幡市内

▼3.28 南彦根駅前、井戸弁護士が激励

▼3.28 米原駅前、平尾米原市長が激励

▼3.30 長浜市内

▼4.1 小浜駅前

▼4.1 小浜駅前、中嶌哲演さんが挨拶

▼4.1 おおい町内

▼4.2 高浜原発北ゲート

▼4.2 関電への申し入れ(高浜原発で)

▼2023年4月2日福井新聞

▼2023年4月3日福井新聞

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◆関電への申し入れ(4/2 高浜原発で提出)
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関西電力株式会社:
  取締役会長 榊原 定征 様、
  取締役社長 森望様、
  原子力事業本部長 松村 孝夫 様、
  高浜発電所長 木島 和夫 様

申し入れ書

 福島原発事故から12年が経ちましたが、避難者の多くは今でも故郷を奪われたままです。事故収束の見通しは立たず、トリチウムだけでなく、除去されなかった放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置ではありません。

 その原発が老朽化すれば、原子炉圧力容器の脆化や配管、配線の損傷などが進み、過酷事故の危険度が急増することは多くが指摘するところです。

 また、原発を動かせば、何万年もの保管を要する使用済み核燃料が溜りますが、その永久保管はおろか、中間貯蔵すら引き受ける所もないことは、貴関西電力(関電)がよくご存じのことです。

 さらに、昨年2月に始まったウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 それでも、岸田政権は、原発運転期間は原則40年、最長でも60年とした法律を骨抜きにし、原発の60年超え運転への道を開こうとし、今、開会中の通常国会で関連法案の改悪を画策しています。しかし、世界にも、60年を超えて運転した原発はありません、最も老朽な原発でも、運転期間は53年です。地震、火山噴火、津波の多発する日本での原発60年超え運転は、無謀で、福島原発事故の犠牲と教訓を蹂躙するものです。

 一方、貴関電は、運転開始後46年を超えた、老朽原発・美浜3号機を運転し、48年、47年超えの老朽原発・高浜1、2号機を、近々、再稼働させようとしています。しかし、関電の原発では、トラブルが頻発しています。中でも、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる、蒸気発生器伝熱管などの一次冷却系配管の損傷の多発は深刻です。これらの配管が完全に破断すれば、一次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る危険があるからです。また、去る1月30日に高浜4号機で発生した制御棒の異常挿入も、制御棒は原子炉のブレーキであるだけに、深刻です。さらに、老朽原発・美浜3号機でも、一昨年の再稼働以来、運転期間は1年にも満たないにもかかわらず、4度ものトラブルが発生していることも見過ごせません。原発過酷事故の不安は、ますます大きくなっています。

 岸田首相や電力会社がいかに願望しようとも、政治的あるいは経済的な判断で、科学・技術が急に進歩することはありません。原発の老朽化を防ぐ技術、原発の安全性を高める技術、使用済み核燃料の処理・処分法が急に向上することはありません。急な原発推進への転換には、何の根拠もありません。

 そもそも、岸田政権の「原発依存社会」への暴走は、福島原発事故以降の政権や電力会社経営陣が、事故の教訓を生かさず、原発維持にこだわり、自然エネルギーへの全面切り替えを怠った結末です。失敗の政治、失敗の経営の「つけ」がまわったのです。日本は、太陽光にも、水にも、風にも、地熱にも恵まれています。もし、先見の明がある政権や電力会社経営陣であったなら、原発に費やされた膨大な税金や電気料金を、自然エネルギーを利用する電源、大容量の蓄電法、省エネ機器の開発と普及に回わし、今頃、核燃料、化石燃料の必要のない社会を実現し、世界をリードしていたでしょう。

 ところで、今、電気は足りています。余っています。電力がひっ迫するのは、1年のうちの数日です。それも1日数時間です。このような一時的な電力ひっ迫は、節電によって乗り切れます。このことは昨年3月の地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。したがって、放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産・使用済み核燃料を残す原発を稼働させる必要は全くありません。

 私たち「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、去る3月21日に開催した「関電包囲大集会」を旅立ちとして、関電本店から高浜原発に至る230 km、13日間のリレーデモを実施し、原発重大事故では避難者になりかねない沿道各地の皆様に「老朽原発即時廃炉」を訴え、本日、高浜原発に到着しました。リレーデモの通過した沿線13自治体には「老朽原発運転の危険性」「原発過酷事故時の避難の困難さ」を指摘し、住民の安全・安心を守る立場にたって「原発のない社会を目指す決意」を表明するよう申し入れました。リレーデモでは、デモを見守る数多くの皆様からご激励とご声援をいただき、「原発全廃」、とりわけ「老朽原発うごかすな!」は民意であることを再確認しました。

 以上のように、原発は、トラブルが多発し、何万年もの未来にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残し、一旦過酷事故を起こせば、事故終息は絶望的に困難で、多くの人々の故郷と生活基盤を奪い去り、戦争になれば、格好の攻撃目標になります。原発は、人類の手に負える装置ではありません。したがって、「原発全廃!」とりわけ「老朽原発うごかすな!」は圧倒的多数の願いとなっています。

 このような視点に立って、私たちは、貴関西電力に以下を申し入れます。

【1】危険極まりない老朽原発・美浜3号機の運転を中止し、老朽原発・高浜1、2号機の再稼働を断念し、これらの原発の即時廃炉を決定してください。
【2】原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。貴社の有する全ての原発を停止し、安全な廃炉を進めてください。
【3】一刻も早く原発と決別し、核燃料、化石燃料を使わない発電に転換してください。公益事業体として、環境の保全と人類の明るい未来のために、自然エネルギーによる発電法、大容量蓄電法、省エネ技術の開発と普及に努めてください。

 なお、昨年7月13日の東京地裁「東京電力株主代表訴訟」判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故によって東電に与えた損害・13兆円の賠償を命じています。貴職らが、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働しようとしていることは「安全意識や責任感が根本的に欠如している」との批判を受けて当然です。圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2023年4月2日
「老朽原発うごかすな!
関電本店―高浜原発リレーデモ」参加者一同

◆老朽原発・美浜3号、高浜1、2号を廃炉に

【2023年1月5日。アメーバ用チラシ、京都キンカンで配付】
【PDF→tirasi2023-01-05[913 KB]

老朽原発・美浜3号、高浜1、2号を廃炉に
過酷事故が起こる前に
岸田政権の「原発依存社会」への暴走を許すな!

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後12年になろうとする福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。一方、昨年2月に始まったウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、電力会社、政府、原発立地自治体などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

岸田政権は「原発依存社会」を画策

 政府は、1昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない昨年8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、「原発依存社会」への方向転換を表明しました。

 岸田政権は、原発の停止期間を運転期間から除くことで、原発の60年超え運転への道を開こうとしています。しかし、原発の老朽化は、停止中であっても進行します。

 一方、廃炉になった原発の代わりに革新型原子炉、新型小型原子炉を建設するとしていますが、これらの原子炉は、過酷事故の危険性や何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す点では、従来の大型原子炉と変わるところがありません。「革新」や「小型」の言葉遊びで人々をだまそうとしているのです。

 さらに、岸田政権は、「もんじゅ」の廃炉によって破綻が明らかになった高速炉、60年以上も膨大な研究予算を投下し続けたにも拘らず、いまだに実用の兆候も見えない高温ガス炉や核融合を新しいテーマのごとく取り上げて、さらに膨大な予算を投下しようとしています。

 岸田政権は、原子炉システム、原子炉材料、放射性廃棄物の処理処分、安全対策などの科学・技術に何ら進歩がないにも拘らず、「原子力ムラ」の救済のために、自民党のポスターにあるように、原発推進を「決断と実行」しようとしているのです。福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、人の命と尊厳を蹂躙するものです。岸田首相がどう願望しようとも、政治的判断で科学・技術が急に進歩することはありません。

7年後(2030年)に15基もの老朽原発

 原発の60年運転が認められ、停止期間分の追加運転が認められれば、国内の原発15基(高浜1~4号機、敦賀2号機を含む)が2030年に、28基(若狭の全原発を含む)が2040年に超危険な老朽原発になります。過酷事故が起こりかねません。一方、「40年超え運転」を認めず、原発を新設しなければ、2033年に若狭から、2049年に全国から稼働可能な原発が無くなります。

原発はトラブル頻発の装置

 老朽原発・美浜3号機で相次ぐトラブル

 関電は、運転開始後45年を超えた(当時)老朽原発・美浜3号機を1昨年6月23日に再稼働させましたが、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか3ヶ月の営業運転で停止を余儀なくされています。しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。そのうちの一つは、電源が断たれて蒸気発生器中の2次冷却水が失われたとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかったものです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かすために、10年近く準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 さらに、関電は、特重施設が完成したとして、美浜3号機の再稼動を、当初予定の昨年10月から8月12日に前倒しすると発表しましたが、直前の8月1日、放射性物質を含む水7トンの漏洩が発覚し、再稼動は延期されました。

 美浜3号機では、次の再稼動を目論んだ8月23日の直前・21日にも、「緊急時に1次冷却系に注入するほう酸水を蓄えている蓄圧タンク(アキュムレータ)」の圧力が低下していることが確認され、再稼働はさらに延期されました。原子炉から冷却水が失われ、1次冷却系の圧力が低下した時や、制御棒の挿入に失敗した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系に緊急注入しなければなりませんが、そのほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながる蓄圧タンクに蓄えられています。このタンクの異常は、重大事故に繋がりかねず、深刻です。

 関電は、8月1日の水漏れの原因は、下請け作業員が容器のふたを閉めるボルトを規定の5分の1の弱い力で締めていたため、21日の蓄圧タンクの圧力低下の原因は、近傍で行われた足場設置作業の資材が同タンクの安全弁に接触したためとしています。以上のような、美浜3号機で1昨年来発生したトラブルの原因は、あきれ返るほど稚拙なミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。

 しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識の乏しい、技術者、作業者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗し、たるみ切っているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

高浜3、4号機、大飯3、4号機でもトラブル頻発

 美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年に到っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。とくに、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、昨年3月、定期点検中の高浜原発3号機では、蒸気発生器伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。蒸気発生器の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびが発生しているともいわれています。同様な伝熱管損傷は、高浜4号機でも発生しています。

 関電は、去る10月21日、定期点検中に伝熱管多数の損傷が発覚した高浜4号機の再稼慟を目指しましたが、さらにトラブルを発生させ、再稼慟を延期しました。(再稼動は、11月4日に強行されました。)

 高浜4号機で新たに発生したトラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の異常』です。原子炉で緊急事態が発生したとき、1次冷却系に緊急給水しなければなりませんが、1次冷却系の圧力が高すぎると、水が入りません。「圧力逃し弁」は、このようなとき、1次冷却系の圧力を逃がすための弁で、この弁が正常に働かなければ、緊急給水できなくなる場合があります。

 高浜4号機は、運転開始後40年に至っていない(37年超え)にも拘らず、上述のようにボロボロです。46年を超えた老朽原発・美浜3号機、48年、47年超えの高浜1、2号機の運転など、もっての他です。なお、関電は、高浜1、2号機の再稼働を来る6月、7月に画策しています。
 トラブル続きで、過酷事故を起こしかねない原発は、一刻も早く全廃しましょう!

電気は足りています

 今、政府は電力需給のひっ迫を喧伝し、原発の推進に躍起です。しかし、日常的には、電気は足りています(余っています)。一時的に電力ひっ迫が発生しても、節電によって乗り切れます。このことは昨年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、昨夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

【節電協力で電力需給ひっ迫を乗り切った例】

 昨年3月22日、東北、東京エリアで、地震による発電所の停止と寒波の到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。このひっ迫を乗り切れたのは、揚水発電と広域での電力融通に加え、次のような節電が行われたからです。

 当日8~23時の時間帯で約4000万kW時(W;ワット)、また、需要の大きな17時台の1時間に、約500万kWの節電が実行されています。原発5基分(1基約100万kWとして)もの節電が可能であることを示しています。

 なお、「節電で余剰電力を得ることは、発電所を新設することと同じ価値がある」との考えから「発電所の代わりに節電所を」の提案もあります。国民(約1億2500万人)一人ひとりが100W節電すれば、1250万kW(原発10基分以上)の電力需要を抑制できます。

 電力需給ひっ迫時だけでなく、日常からの節電も重要です。電気機器やシステムのエネルギー効率のよいものへの更新、断熱などの「省エネルギー化」も節電です。

電力需給量を正しく把握し、適度な節電に心がければ、
大規模停電になることもありません。

 大規模停電は、地震などによって一気・多量の電力供給不足が生じたときに起こります。通常の電力需要増加で大規模停電に至った例はありません。

 原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性があります。

 電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

「原発過酷運転(酷使)」を画策する政府、電力会社

 岸田政権が1昨年10月22日に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成に占める原子力の割合を20~22%としています。(なお、先述のように、岸田首相は、8月24日、この「エネルギー基本計画」を無視し、これを遙かに上回る原発推進政策を打ち出しています。)

 政府は、「エネルギー基本計画」を達成するために、2030年には15基となる老朽原発の再稼働と建設中の3原発の稼働を画策するだけでなく、以下のように、原発の過酷運転を行い、原発利用率を引き上げようとしています。

●定期検査間の運転期間の長期化
 現在は13ヶ月ごとに定期検査していますが、18~24ヶ月に変えようとしています。

●手抜き検査による定期検査の効率的実施と原発酷使
 現在の定期検査では、原子炉を停止し、平均90日をかけて一斉分解点検していますが、これを短縮するために、

①「状態監視保全」方式(早めの部品交換をせず、機器ごとに劣化状況に合わせて保守する方式)を導入し、機器を限界まで酷使しようとしています。また、
②原子炉を止めないでおこなう検査「運転中保全」を導入しようとしています。

原発を酷使すれば、
重大事故の危険度が急増します。
危険極まりない老朽原発の運転、
原発過酷運転を許してはなりません。

原発重大事故時、避難は不可能

 政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。

 政府や自治体の「原発災害時の避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視しています。「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 ところで、政府や自治体の避難計画では、若狭の原発で過酷事故が起こったとき、原発から5km圏内の住民は即時避難となっていますが、それ以外の住民は屋内退避となっていて、放射能汚染レベルが自然放射能の1万倍の500マイクロシーベルトになって、やっと避難を始めることになっています。一斉避難は不可能であるから、原発周辺住民のほとんどは、大量被ばくするまで待ちなさいと定めているのです。

 避難先も非現実的です。例えば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、美浜町の皆さんの避難先は、おおい町または大野市になっています。しかし、人口約8100人のおおい町が、9600人を超える美浜町の皆さんを一週間以上の長期にわたって受け入れることは不可能です。人口約33600人の大野市でも不可能です。

 過酷事故を起こしかねず、事故が起これば大量被ばくを強いる老朽原発再稼働を許してはなりません。原発廃炉こそが、最大の安全対策です。即時廃炉を求めましょう!

処理法も行き場もない使用済み核燃料
それでも老朽原発再稼働まで画策

 関電は、2017年、「2018年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言しました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、「候補地提示期限を2020年末まで」と再約束して、原発の運転を継続し、使用済み核燃料を増やし続けました。さらに関電は、再約束の期限もホゴにし、1昨年2月12日には、候補地提示期限を「2023年末まで」と先送りし、「この期限が守られなければ老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を停止する」として、福井県に老朽原発再稼働への同意を求めました。これを受けて、杉本知事は、それまでの「中間貯蔵地を示すことが再稼働議論の前提」とした発言を一転させ、再稼働同意へと変節しました。なお、関電が「2023年末を期限」とした拠り所は、青森県むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性ですが、宮下むつ市長は、これを否定し、猛反発しています。

 関電は、何の成算も無く「空約束」を繰り返し、平気でそれをホゴにした、倫理のかけらも持ち合わせない企業です。こんな関電に原発を安全に運転できるはずがありません。

老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の
再稼働を許さず、即時廃炉を!

企業倫理と責任感が欠如した電力会社は
原発過酷事故を起こしかねません

 昨年7月13日、東京地裁は「東電株主代表訴訟」判決で、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故による損害・約13兆円の賠償を命じています。

 今、関電経営陣が、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働させるのは「安全意識や責任感の根本的欠如」のためとしか言いようがありません。「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故に至った場合、それは関電経営陣の故意による犯罪です。

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原子炉過酷事故の危険性が高い
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の
運転を許してはなりません!
老朽原発完全廃炉を突破口に、
原発全廃を実現し、
過酷事故の心配のない、
人の命と尊厳が大切にされる街づくりを!
└────────────────────────────────┘

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)

◆報告とお礼~大阪地裁「美浜3号機運転禁止仮処分」申立てを却下

【2022年12月23日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

三権分立、民主主義の危機
大阪地裁「美浜3号機運転禁止仮処分」申立てを却下

 福井、滋賀、京都在住の9人が大阪地裁に申し立てていた「老朽美浜3号運転禁止仮処分」は、7月末に最後の審尋を終え、早期の決定申し渡しが求められていました。しかし、大阪地裁は、4カ月以上も経た12月2日になってやっと「12月12日~20日の間に決定を出す」と不可解な予告をし、また、決定の交付日時を12月20日午後2時と確定して発表したのは公布日の前日という、異例の暴挙を行いました。司法の公共性・公正性を放棄し、申立てに注目する人々を翻弄するもので、怒りを禁じ得ません。

原発推進に暴走する岸田政権に追従し、
司法の独立性をかなぐり捨てた大阪地裁

 12月20日の決定で、大阪地裁は標記仮処分の申し立てを却下しました。

 以下に、大阪地裁決定の概要を述べますが、決定は「却下を決めておいて、理由を後付けした」ものであり、「原子力規制委員会(規制委)の審査を追認するだけでなく、関電の言い分をそのまま認め、ことごとく関電を救済している」ものです。裁判官自らは、何らの判断を示さず、司法の役割と責任を放棄した決定です。裁判官にとっては、福島原発事故の悲劇は忘却の彼方であり、現政権に忖度することのみが関心事であると推量されます。

 詳細は「脱原発弁護団全国連絡会」のホームページ(→こちら)に掲載の、決定要旨、決定書、弁護団声明をご覧ください。

申立人、関電の主な主張と決定内容

①原発老朽化について
(申立人)老朽化に伴って設備や機器が想定外に劣化し、重大事故を起こす可能性が高い。
(関電)点検・管理で劣化状況を調べ、部品を取り換え、60年運転になっても安全性は十分に確保している。
(決定)関電は新規制基準が求める対策を実施している。原子力規制委員会の審査も問題ない。

②地震対策について
(申立人)原発の耐震設計で想定する基準地震動には、原発周辺の活断層の影響が正確に反映されていない。原発から約1kmに活断層があり、真下には破砕帯が通り、地盤にずれが生じる可能性がある。
(関電)震源想定の断層の長さや面積は、大きく見積もって基準地震動を策定している。活断層は影響を考慮する距離ではなく、破砕帯は12万年~13万年前以降活動しておらず、将来動く可能性はない。
(決定)活断層は考慮する距離ではないとした規制委の判断や、関電の破砕帯についての評価に不合理な点はない。

③避難計画について
(申立人)避難場所や経路に他の原発周辺エリアが含まれ、巨大地震での多発的原発事故を想定したルートが策定されておらず、避難計画の設定に実効性がない。
(関電)国の原子力防災会議で「具体的かつ合理的」と了承され、国や自治体との防災訓練で実効性は向上している。
(決定)具体的な危険性について十分な証明がない。避難計画の不備も認められない

不当決定を許さない!怒りの声噴出

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、決定交付の日時が12月20日午後2時と判明した直後(19日午後)から、あらゆる手段を駆使して、かねてより準備してきた行動への参加を呼びかけ、実行しました。

 20日11時、関電本店前に有志十数名が集合し、大阪地裁までのヒトリデモ(各人が数10m離れて歩くデモ:集団示威行為ではないので届け出不要)を敢行しました。旗、幟、プラカードを掲げ、街宣文をスピーカーで流しながら「老朽原発うごかすな!」を道行く人に訴えましたが、スマホを向けたり、手を振って声援くださる人に励まされました。

 12時からの大阪地裁前前段集会には、福井、関西、名古屋、東京などから、決定を見守ろうと約120人が結集し、申立人や弁護団から語られる、仮処分申し立ての経緯や、決定に寄せる思いなどに耳を傾けました。午後2時前になって、「大阪地裁は公正な判断を行え!」などのシュプレヒコールで入廷行進を盛り上げた後、決定の旗出しを固唾をのんで待ちました。

 多くのマスコミがカメラを構える中、出された旗には、「不当決定ゆるさず、即時抗告へ!」「決着は大阪高裁だ!」の文言が・・・。一同落胆のため息が漏れる中、カメラのシャッターを切る音が響き渡りました。弁護団から簡単な報告を受けた後、「大阪地裁は美浜3号の事故責任がとれるのか!」「司法の原発政策への忖度を許さないぞ!」など怒りのシュプレヒコールで大阪地裁決定を糾弾しました。

 その後、記者会見と報告会へと向かう人以外(約30名)は、抗議行動のため、関電本店に向かいました。関電前では、冷たいビル風が吹く中、不当決定への怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、原発に固執し、トラブル頻発、原発マネー不正還流など関電の腐敗した体質を糾弾するアピールが続きました。最後に、「決定に一喜一憂することなく、更なる『老朽原発うごかすな!』の大行動を!」と誓い合いました。

12.20行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。

 この仮処分の申し立て人、弁護団は、大阪高裁への即時抗告を決定しました。

市民運動と裁判闘争が結合した大きなうねりを創造し、
原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に
向かって前進しましょう!

▼入廷行進

▼決定交付後の旗だし

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先090-1965-7102(木原)

▼2022年12月21日毎日新聞朝刊

▼2022年12月21日朝日新聞朝刊

▼2022年12月21日京都新聞朝刊

▼2022年12月21日しんぶん赤旗

◆報告とお礼~12.4 関電包囲全国集会に900人

【2022年12月6日から配布、京都キンカンでは12月9日配付】

報告とお礼

老朽原発うごかすな!
「超危険!美浜3号もう廃炉」を訴え
関電包囲全国集会に900人(12月4日)

危険この上ない老朽原発を体制老朽化の関電が運転

 関電は、運転開始後46年を超えた(本年12月現在)老朽原発・美浜3号機の8月12日再稼動を目指していましたが、目前の8月1日、放射性物質を含む水7トンの漏洩が発覚し、再稼動は延期されました。また、次の再稼動を目論んだ23日の直前の21日に、「緊急時に、原子炉の暴走を防ぐために、1次冷却系に注入するほう酸水を蓄えている蓄圧タンク」の圧力低下が確認され、再稼働はさらに延期され、30日にやっと再稼働に漕ぎつけました。

 これらのトラブルの原因は、あきれ返るほど稚拙なミスです(詳細割愛)。技術者がしっかりしていれば、このようなミスには簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識の乏しい、技術者、作業者、監督者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が老朽化・腐敗しているのです。

 なお、その関電は、48年、47年超えの高浜1、2号機の再稼働を来年6、7月に画策しています。

「原発依存社会」を画策する岸田首相

 電力会社、政府、財界などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

 この状況に乗じた岸田首相は、8月24日、自らが昨年10月に閣議決定した「原発の新増設やリプレースは想定しない」とする「エネルギー基本計画」まで無視し、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、唐突に、原子力政策を原発の建て替えや長期運転へと転換する意向を示しました。

 福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。

電気は足りています

 原発推進勢力が原発推進の口実としているのは、電力の需給ひっ迫ですが、電気は足りています(余っています)。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。過酷事故の危険性が高い、老朽原発の再稼働などもっての外です。

900人が怒りの「老朽原発うごかすな!
関電包囲全国集会」、御堂筋デモ

 12月4日(日)13時、関電本店周囲は「老朽原発うごかすな!」の怒りと熱気に溢れた。

 集会は、シュプレヒコールから始まった。

 主催者挨拶で中嶌哲演さんは「首都圏や関西への電力供給のために福島や若狭に原発が押し付けられた理不尽」「被ばくを強いる避難計画の不合理」「老朽原発運転の危険性」を強調した。

 井戸謙一弁護士は、
①大阪地裁での「美浜3号機運転差止仮処分」裁判の決定が2カ月以上も遅れて12月中旬に出されること、この裁判と決定の遅れの原発情勢への影響、
②12月1日に大阪地検が「関電幹部の金品受領」「不正・不適切な発注」「役員報酬減額分、追加納税分の補填」の全てを「嫌疑不十分」で不起訴としたことの不当性、
③関電、中部電、中国電、九電が顧客獲得に関するカルテルを結んで、公取委から独禁法違反とされ、関電以外の3社が計1000億円超の課徴金を求められた事件で、関電は、公取委の立ち入り調査前に自主申告(密告)していたこと
などについて述べ、企業倫理に欠ける関電による老朽原発再稼働を許してはならないと結んだ。

 次いで、老朽原発立地の住民からのアピールを受けた。

 美浜3号機から10km圏に住む山本貴美子敦賀市議は、美浜町で行ったアンケート結果によって、避難計画の非合理性、避難の困難さ、原発について公けに語れない住民の不安が浮き彫りにされと述べた。

 高浜町民の東山幸弘さんは、メッセージを寄せ(小浜市民の会代読)、運転開始後37年を超えた高浜原発3、4号機の40年超え運転の認可が申請されたことについて触れ、蒸気発生器伝熱管などのトラブルを頻発させている超危険なこれらの原発の再稼働阻止を訴えた。

 運転開始後43年を超え、3.11で被災した東海第2原発の地元からは、披田信一郎さんが、東海第2原発の再稼働を止める会および東海第2差止訴訟原告世話人の一人としてアピールした。

 運転開始後38、37年になり、運転延長を申請した川内原発1、2号機の立地からは、ストップ
川内原発!3.11鹿児島実行委員会の向原祥隆さんが「たかが40年の原発のために、何万年も住み続けている我々がなぜ避難しなければならないのか?」と怒りの発言。

 若狭の原発の風下にある東海からは、原子力規制委員会を相手に裁判を闘う老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の草地妙子さんが「規制委は、関電の提出したデータを鵜吞みにして運転認可している」と規制委のいい加減さを追及した。

 発言後、東海、鹿児島、東海の代表に、実行委員会から「老朽原発うごかすな!」の幟が贈呈された。

 この後、関東、福島、伊方など全国から参加された皆さん、メッセージを頂いた全国各地の団体が紹介された(メッセージは、配布プログラム冊子に収録)。

福島から避難し、国と東電の責任を追及し、被害賠償を求めて闘っている原発賠償3訴訟(京都、ひょうご、関西)の原告は「原発事故は終わっていない」「普通の暮らしと避難の権利を保障せよ」「公正な裁判を」と訴えた。

 続いて、関電に向かってポテッカーアクションを行った後、カンパが要請された(177,971円のカンパを頂いた)。

 関西各地からのアピールが続いた。「脱原発を目指す東びわこ市民の会(沢井清さん)」「原発ゼロの会・大阪(庄司修さん)」「関電の原発マネー不正還流を告発する会(末田一秀さん)」「脱原発播磨アクション(玉田れい子さん)」「原発ゼロ・被災者支援奈良の集い実行委員会(堀田みえこさん)」から、滋賀、大阪、兵庫、奈良の脱原発運動の現状が披露された。

 労働組合からの挨拶で、
大阪ユニオンネットワークの西山直洋代表は「原発の40年廃炉は約束であるから履行させなくてはならない」と、
フォーラム平和・人権・環境の谷雅志副事務局長は「原発に反対の声は多数であることを政府に突きつけよう」と、
全労連近畿ブロックの菅義人議長は「原発をなくし、自然エネルギーを進める議員、議会を増やし、岸田政権を退陣に追い込もう」と訴えた。

 最後に、集会決議(裏面参照)、緊急のアピール(下記参照)が提案・採択され、デモ行進についての説明を受け、関電に向けた「老朽原発うごかすな!」の力強いシュプレヒコールで集会を終えた。
デモは、うつぼ公園から御堂筋を経て難波までのコースで、市民、通行人に「原発全廃」を訴えた。

12.4行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。

緊急のお願い

 福井、関西在住の9人が、大阪地裁に申し立てていた「美浜3号機運転禁止仮処分」裁判については、早期の決定が待たれていましたが、大阪地裁は、12月2日になってやっと「12月中旬に決定を出す」と発表しました。日時の詳細は、1週間前に井戸弁護団長宛に連絡されます。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、決定発表の日、入廷行進の1時間前より、地裁前で前段大集会を開催し「美浜3号うごかすな!」を訴えます。また、決定受取り後には、弁護団からの簡単な報告を受け、関電本店前に移動して、「老朽原発うごかすな!」集会を開催します。

 皆様のご賛同、ご参加をお願いします。

 市民運動と裁判闘争が結合した大きな闘いのうねりを構築し、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に向かって前進しましょう!

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12.4「関電包囲全国集会」に関する
決議文、写真、新聞報道は以下をご覧ください。
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12.4「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」決議
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超危険な老朽原発を廃炉にし、
原発のない明日を実現しよう!

 今、岸田政権は、原発の60年超え運転を画策するだけでなく、「革新」や「小型」の言葉をもてあそび、人々をだまして、原発の新増設も企てています。また、60年以上も膨大な研究費を投下してきたにも拘らず、実用化の兆しも見えない高温ガス炉や核融合、破綻が明らかな高速炉を新しいテーマのごとく取り上げて、さらに膨大な予算を投下しようとしています。「原子力ムラ」の経済的救済のためであり、福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、人の命と尊厳を蹂躙するものです。

 一方、関電と政府は、運転開始後48年、47年、46年を超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の稼働に躍起です。

 このうち、昨年6月に再稼働したものの特定重大事故等対処施設の設置が間に合わず、わずか4カ月の稼働の後に停止していた美浜3号機については、8月10日再稼動を目指していましたが、目前の8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。また、次の再稼動を目論んだ8月23日の直前の21日に、「緊急時に、1次冷却系に注入するほう酸水を蓄えているタンク」の圧力低下が確認され、再稼働はさらに延期され、8月30日になってやっと再稼働に漕ぎつけました。

 トラブルによる再稼働延期は、運転開始後40年に満たない高浜原発4号機でも発生しています。関電は、去る10月21日、伝熱管損傷などのトラブル多発の高浜4号機の再稼慟を画策しましたが、私たちの予測通り(??)、さらにトラブルを発生させ、再稼慟は11月4日にずれ込みました。トラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の異常』です。

 これらの原発過酷事故を招きかねない極めて深刻なトラブルの原因は、あきれ返るほど稚拙なミスです。下請け任せの上、責任感と科学的常識の乏しい、技術者、作業者、監督者などが原発を動かそうとしていることを示します。原発を動かそうとする体制自体も老朽化しているのです。

 その関電は、老朽原発・高浜1、2号機の来年6月、7月稼働も画策しています。許してはなりません。

 今、電気は足りています(余っています)。一時的な電力需給のひっ迫はあっても、節電によって乗り越えることができます。したがって、放射線被ばくを強い、過酷事故で人々に塗炭の苦難を与えかねず、何万年もの未来にまで負の遺産・使用済み核燃料を残す原発を稼働させる必要は全くありません!

 本日、「老朽原発うごかすな!」を合言葉に関電を包囲した私たちは、老朽原発の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会の実現に向けて邁進することを決議します。

2022年12月4日
「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」参加者一同

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関電本店前を埋め尽くす集会参加者
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(1)

(2)

(3)

(4)

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ARDドイツテレビが取材
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御堂筋を堂々のデモ
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(1)

(2)

(3)

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2022年12月2日 毎日新聞(集会の案内)
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2022年12月5日 しんぶん赤旗
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老朽原発うごかすな!実行委員会
2023年の予定
・関電本店-高浜原発200kmリレーデモ、
  3.21(火、休)関電本店前を出発、
  4. 2(日)高浜原発着
・「老朽原発・高浜1、2号機うごかすな!高浜全国集会」
  4.29(土、休)、高浜文化会館
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2022年12月6日老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先;木原(090-1965-7102)

◆報告とお礼~11.22 「MOX燃料搬入を許すな!」 緊急抗議行動に20数人が結集

【2022年11月25日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

11.22 「MOX燃料搬入を許すな!」
緊急抗議行動に早朝より20数人が結集

 去る9月17日に、2隻の輸送船でフランス、シェルブール港を出港したMOX (ウラン・プルトニウ厶混合酸化物)燃料が、11月22日の早朝に高浜原発に到着しました。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」の緊急の呼びかけに応えて、早朝より高浜町音海地区の「物揚げ広場」(高浜原発が面する内浦湾の入口)に結集した20数人は、以下のように満腔の怒りを込めた抗議行動を展開しました。

①午前6時に高浜町音海地区の「物揚げ広場」で抗議行動
②7時過ぎに高浜原発から音海地区より300mの展望所に車で移動し、デモ行進で、高浜原発北ゲート前に移動
③北ゲート前で抗議行動(9時10分頃解散)

緊急の呼びかけにも拘わらず、
ご結集、ご支援いただいた皆様、
有難うございました。

 日本向けのMOX燃料のフランスからの輸送は、1999年に始まり、今回が8回目です。前回は、昨年9月にシェルブールを出港し、同11月に高浜原発に到着しています。

 今回到着のMOX燃料は、フランスの原子力大手•オラノが製造したもので、高浜原発3、4号機で使用されます。原料のプルトニウムは、関電の原発の使用済み核燃料からラアーグ再処理工場で分離して取り出されたものです。関電は2017年、MOX燃料の集合体32本の製造を日本の会社を介してメロックス工場に委託していましたが、同工場では、ウランとプルトニウ厶が均等に混ざり合わない不良品が続出して、16体は昨年11月に高浜原発に到着したものの、残りの到着は約1年遅れていました。
 MOX燃料出港に際して、環境団体グリーンピースは「世界が極めて不安定な中、危険な物質を輸送するのは全く無責任だ」と批判し、抗議行動を展開しています。なお、今回のMOX燃料の出港は、シェルブール港のクレーンが故障して、燃料の一部を輸送船に積み込めなかったため、10日間遅れています。

MOXを燃料とする原発プルサーマル運転は、
ウラン燃料運転に比べて、格段に危険です。

【1】酸化物であるMOX中のプルトニウ厶が核分裂すれば、酸素と結合し難い白金族元素が多く生成し、酸素が余り、余った酸素が燃料被覆管を腐食します。また、プルトニウムからは、核分裂生成物ガスとヘリウムガスであるアルファ線の放出が多く、燃料棒內の圧力が高くなり、被覆管の破損を招きます。

【2】MOX燃料では、プルトニウムの高次化によって、中性子を吸収しやすいアメリシウムが生成し、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

【3】MOX中のプルトニウムが集まって核燃料が不均質化(いわゆるプルトニウムスポットの生成)します。

【4】MOX燃料では、中性子束(中性子密度)が大きく、高出力で、過渡時(すなわち出力の増減時)に原子炉の制御がより困難です。

【5】使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難く、使用済みウラン燃料の4倍以上も長期にわたって燃料プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。

 高浜原発1、2号機は、運転開始後48、47年超えの老朽原発です。蒸気発生器伝熱管などの1次冷却系配管のトラブルを頻発させている3、4号機も、もうすぐ38年超えになり、老朽原発の仲間入り直前です。3、4号機は、危険極まりないプルサーマル運転を続けています。したがって、

高浜原発は、世界一危険な原発

と言っても過言ではありません。
 老朽原発•高浜2号機、美浜3号機(12月で46年超え)の廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発全廃に向けて前進しましょう!

老朽原発うごかすな!実行委員会・木原壯林


11月22日早朝の緊急抗議行動





▼2022 年11月23日 福井新聞 朝刊

▼2022年11月23日 県民福井・中日新聞 朝刊

▼2022年11月23日読売新聞 朝刊


12.4「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会
-超危険な美浜3号、もう廃炉-」
に総結集を!

 福井、滋賀、京都の9人が大阪地裁に申し立てた「美浜原発3号機運転差し止め仮処分裁判」は、7月31日に最終審尋が行われ、9月中の運転差し止め決定が期待されましたが、未だに決定は出ていません。(決定の出る日は、1週間前には大阪地裁から連絡されることになっています。)

 そのような中で、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、次の行動を提起しています。皆様のご参加、ご支援をお願いいたします。

 大阪地裁仮処分裁判に勝っても負けても、仮処分決定が出ていなくても、12月4日(日)、「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」を開催し、御堂筋デモを敢行します。ご支援、ご参加をお願いします。

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12.4集会概要

日時:12 月 4 日(日)13:00~14:30(集会)
場所:関西電力本店前
(地下鉄肥後橋駅、京阪中之島線渡辺橋)
集会後、うつぼ公園に移動して、
15:00 にデモ出発。16:30頃なんばで解散。
主催:老朽原発うごかすな!実行委員会

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以下は、12.4集会のチラシの裏面です。


老朽原発うごかすな!
超危険な美浜3号、もう廃炉!

「12・4関電包囲全国集会」に総結集を!

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後11年半を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。一方、ウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻擊目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、政府や電力会社は、ウクライナ紛争によるエネルギーひつ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

 政府は、昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、

•次世代原発の建設検討、
•原発運転期間の60年超への延長、
•新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基の今冬、残る8基の来年以降早期の稼働

を打ち出しました。福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、さらなる原発推進を打ち出したのです。

 一方、関電は、昨年6月に再稼働したものの「特重施設」の設置が間に合わず、わずか4力月の稼働の後停止していた老朽原発•美浜3号機(運転開始後45年超)の稼働を去る8月30日に強行しました。この原発は、昨年の再稼慟以降に、過酷事故につながりかねない深刻なトラブルを4度も発生させています。しかも、トラブルの原因は、いずれもあきれ返るほど稚拙なミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け依存の上に、責任感の薄い、関電および下請けの技術者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。

 その関電は、運転開始後48年、47年になろうとする老朽原発・高浜1、2号機の来年6、7月稼働も画策しています。

 今、原発の推進のために電力需給のひつ迫が喧伝されています。しかし、日常的には、電気は余っています。一時的に電力ひつ迫が発生しても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、今夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 一時的な電力需給ひつ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、負の遺産・使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

 美浜3号機、高浜1、2号機の廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発のない社会を実現しましょう!

岸田政権の原発推進への暴走を許すな!

老朽原発うごかすな!実行委員会(090-1965-7102)

◆MOX燃料・プルサーマル運転をゆるすな!

【2022年11月18日,京都キンカンで配付】

去る9月17日に、2隻の輸送船でフランス、シェルブール港を出港したMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料が、11月21日(月)~24日(木)の何れかに高浜原発に到着するという情報が入りました。

 日本向けのMOX燃料のフランスからの輸送は、1999年に始まり、今回が8回目です。前回は、昨年9月にシェルブールを出港し、同11月に高浜原発に到着しています。

 今回到着のMOX燃料は、フランスの原子力大手・オラノが製造したもので、高濱原発3、4号機で使用されます。原料のプルトニウムは、関電の原発の使用済み核燃料からラアーグ再処理工場で分離して取り出されたものです。関電は2017年、MOX燃料の集合体32本の製造を日本の会社を介してメロックス工場に委託していましたが、同工場では、ウランとプルトニウムが均等に混ざり合わない不良品が続出して、16体は昨年11月に高浜原発に到着したものの、残りの到着は約1年遅れていました。

 MOX燃料出港に際して、環境団体グリ-ンピースは「世界が極めて不安定な中、危険な物質を輸送するのは全く無責任だ」と批判し、抗議行動を展開しています。なお、今回のMOX燃料の出港は、シェルブール港のクレーンが故障して、燃料の一部を輸送船に積み込めなかったため、10日間遅れています。

MOXを燃料とするプルサーマル運転は、以下のように、ウラン燃料運転に比べて、格段に危険です。

【1】酸化物であるMOX中のプルトニウムが核分裂すれば、酸素と結合し難い白金族元素が多く生成し、酸素が余り、余った酸素が燃料被覆管を腐食します。また、プルトニウムからは、核分裂生成物ガスとヘリウムガスであるアルファ線の放出が多く、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管の破損を招きます。

【2】MOX燃料では、プルトニウムの高次化によって、中性子を吸収しやすいアメリシウムが生成し、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

【3】MOX中のプルトニウムが集まって核燃料が不均質化(いわゆるプルトニウムスポットの生成)します。

【4】MOX燃料では、中性子束(中性子密度)が大きく、高出力で、過渡時(すなわち出力の増減時)に原子炉の制御がより困難です。

【5】使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難く、使用済みウラン燃料の4倍以上も長期にわたって燃料プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。

老朽原発うごかすな!実行委員会は、MOX燃料到着日には、早朝より抗議行動を展開する予定です。到着日が確定し次第、ご案内しますので、皆様のご参加をお願いします。

MOX燃料搬入日の行動予定

①午前6時に高浜町音海地区の「物揚げ広場」(国道27号より高浜原発に向かい、原発を通り過ぎて音海地区の最先端・行き止まりの駐車場)で抗議行動
②7時過ぎに高浜原発から音海地区より300mの展望所に来るまで移動し、デモ行進で、高浜原発北ゲート前に移動
③北ゲート前で抗議行動(9時30分頃解散)

行動の詳細および関西よりの配車については、お問い合わせください。
老朽原発うごかすな!実行委員会・木原壯林(090-1965‐7102)

◆報告とお礼~10.21 高浜原発4号機再稼働阻止緊急行動に25人が結集

【2022年10月28日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

高浜原発4号機再稼働阻止緊急行動に
25人が結集(10月21日)
高浜4号機は、圧力逃し弁異常で再稼働できず

 去る10月21日、関電は、伝熱管損傷などトラブル多発の高浜4号機の再稼慟を画策していましたが、私たちの予測通り(??)、さらにトラブルを発生させ、再稼慟を延期しました。(高浜4号機は、運転開始後37年の原発で、40年超えの運転を目指して特別点検を始めています。また、MOX燃料とするプルサーマル運転を行っています。)
 関電が21日再稼働を予告したのは、前日の20日でした。去る8月30日に再稼慟した美浜3号機の再稼働予告も前日でした。従来の例からすれば、極めて異常なことですが、関電は、直前の再稼働予告を定常化しようとしているのです。人々、立地自治体などへの原発情報の提供を極力避けようとしているとしか考えられません。許されるものではありません。

 ところで、高浜原発4号機で21日発生したトラブルは、以下のように深刻なものです。

 トラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の出口の温度が上昇しているとの警報が鳴り(1時間で42℃から77℃に上昇)、そのため、加圧逃し弁の元弁を閉止した』というものです。原子炉内で緊急事態が発生したとき、1次冷却系に緊急給水しなければなりませんが、1次冷却系の圧力が高すぎると、水が入りません。「圧力逃し弁」は、このような事態に至ったとき、1次冷却系の圧力を逃がすための弁で、緊急事態に対処する場合に、極めて重要なものです。この弁が正常に働かなければ、緊急給水できなくなる場合があります。高浜4号機には、3台設置されています。

 高浜4号機では、今回だけでなく、たびたびトラブルが発生しています。とくに、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、本年6月3日からの定期点検中に蒸気発生器伝熱管12本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊(スケール)がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。関電は、蒸気発生器中を薬品洗浄していますが、高浜3号機の例では、洗浄1回で、1基あたり約1トンもの鉄分(スケール、スラッジ、鉄イオン)が除去されたとしています。ただし、洗浄後にも相当量の鉄分が残存し、配管を損傷していることも認めています。

 蒸気発生器伝熱管の損傷は、定期点検のたびに見つかり、高浜4号機では、3基の蒸気発生器中の合計10146本の伝熱管の4.1%(415本)が使用不能になり、栓がされています。

 高浜4号機は、運転後40年に至っていないにも拘らず、上記のようにボロボロです。45年を超えた老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の運転などもっての他です。

 美浜3号機、高浜1、2号機の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない社会を実現しまし
ょう!

 10月21日には、再稼働阻止現地闘争に、緊急の呼びかけにも拘わらず、20数人が結集されました。ご結集の皆様、ご支援いただきました皆様、有難うございました。

▼10月21日の現地闘争

老朽原発うごかすな!実行委員会(090-1965-7102)

▼2022年10月22日 県民福井、中日新聞

ご参加、ご支援のお願い

 福井、滋賀、京都の9人が大阪地裁に申し立てた「美浜原発3号機運転差し止め仮処分裁
判」は、7月31日に最後の審尋が行われ、9月中の運転差し止め決定が期待されましたが、未だに決定は出ていません。(決定の出る日については、1週間前には大阪地裁から連絡されることになっています。)

 そのような中で、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、次の行動を提起しています。皆
様のご参加、ご支援をお願いいたします。

大阪地裁「美浜原発3号機運転差し止め仮処分裁判」決定当日の、
地裁前「前段行動」、
関電本店前「関電糾弾闘争」に結集しよう!

 決定が出る日には、入廷行進の前に、大阪地裁前で1時間程度の大規模前段集会を行いま
す。決定文を受け取り、旗出しの後には、大阪地裁前での短時間の報告集会の後、関電本店に移動し、関電糾弾集会を行います。奮ってのご参加をお願いします。

12月4日(日)
「老朽原発うごかすな!
関電包囲全国集会
―超危険な美浜3号、もう廃炉―」
に総結集を!

 大阪地裁仮処分裁判に勝っても負けても、仮処分決定が出ていなくても、12月4日(日)、「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」を開催し、御堂筋デモを敢行します。ご賛同、ご支援、ご参加をお願いします。

 以下は、12.4集会のチラシです。
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(チラシ表面)
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(チラシ裏面)
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老朽原発うごかすな!
超危険な美浜3号、もう廃炉!
「12.4関電包囲全国集会」に総結集を!

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないこと、発生後11年半を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。一方、ウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、政府や電力会社は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

 政府は、昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基の今冬、残る8基の来年以降早期の稼働
を打ち出しました。福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、さらなる原発推進を打ち出したのです。

 一方、関電は、昨年6月に再稼働したものの「特重施設」の設置が間に合わず、わずか4カ月の稼働の後停止していた老朽原発・美浜3号機(運転開始後45年超)の稼働を去る8月30日に強行しました。この原発は、昨年の再稼慟以降に、過酷事故につながりかねない深刻なトラブルを4度も発生させています。しかも、トラブルの原因は、いずれもあきれ返るほど稚拙なミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け依存の上に、責任感の薄い、関電および下請けの技術者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。

 その関電は、運転開始後48年、47年になろうとする老朽原発・高浜1、2号機の来年6、7月稼働も画策しています。

 今、原発の推進のために電力需給のひっ迫が喧伝されています。しかし、日常的には、電気は余っています。一時的に電力ひっ迫が発生しても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、今夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 一時的な電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、負の遺産・使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

 美浜3号機、高浜1、2号機の廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発のない社会を実現しましょう!

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12.4集会概要

日時:12月4日(日)13:00~14:30(集会)
場所:関西電力本店前(地下鉄肥後橋駅、京阪中之島線渡辺橋)
集会後、うつぼ公園に移動して、
15:00にデモ出発。16:30頃なんばで解散。
主催:老朽原発うごかすな!実行委員会
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岸田政権の原発推進への暴走を許すな!

老朽原発うごかすな!実行委員会(090-1965-7102)

◆報告とお礼~8.30 美浜3号再稼働 現地緊急抗議行動に35人

【2022年9月2日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

関電またも暴挙
わずか22時間前の予告で
トラブル続きの老朽原発・美浜3号機を再稼働(8月30日)
現地緊急抗議行動に35人結集

 電力会社、政府、財界などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

「原発依存社会」を画策する岸田首相

 この状況に乗じた岸田首相は、8月24日、自ら昨年10月に閣議決定した「原発の新増設やリプレースは想定しない」とする「エネルギー基本計画」まで無視し、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、唐突に、原子力政策を転換する意向を示しました。

その中では、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●すでに新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基を今冬に、残る8基を来年以降の早期に稼働させる方策を検討するとしています。

福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。

電気は足りています

 原発推進勢力が原発推進の口実としているのは、電力の需給ひっ迫ですが、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。とくに、圧力容器の脆化が進み、配管トラブル多発の蒸気発生器を持ち、原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働などもっての外です。

危険この上ない老朽原発

 関電は老朽原発・美浜3号機の再稼動(並列)を10月から8月12日に前倒しすると発表していましたが、その再稼働を目前にした8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。

 関電は美浜3号機の水漏れについて、「昨年6月の定期検査中に、下請け作業員が、容器のふたを閉めるボルトを規定の5分の1の弱い力で締め付けていたため、隙間を塞ぐ円形のゴム(Oリング:パッキング)に圧力がかかり、破損した」としました。手順書に誤った規定値が記載されていましたが、作業員はそれに従ったのです。これは、あきれ返るミスです。今回のようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。「こんな数値では、水圧に負ける!」と。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

 関電は、水漏れした美浜3号機の23日再稼働を目指していましたが、21日にまた「美浜3号機の運転上の制限の逸脱」が関電から発表され、再稼働はさらに先送りされました。「アキュムレータ圧力が保安規定に定める運転上の制限値4.04MPa(約40気圧)を下回って、警報が発信した」のです。原子炉冷却水喪失事故時など、1次冷却系統の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系統に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力が低下していることが確認されたのです。

 関電は、このトラブルの原因について、「アキュムレータ本体、周辺機器の外観点検を行った結果、安全弁に打痕を観察したとし、打痕は、当該弁近傍で行われた足場設置作業の資材が接触したために生じた」としています。安全上極めて重要な機器に資材を接触されるという、とんでもない不注意が発生しているのです。

 以上のように、関電の原発は、稚拙な原因による」トラブル続きです。「先端科学技術」といわれた原子力は、今や、「腐敗した科学技術」の象徴であることを物語ります。
(再処理工場稼働の26回延期、
東海再処理工場高レベル廃液処理の中断頻発、
もんじゅの廃炉と廃炉作業の遅れ、
福島事故炉の廃炉作業の遅れ、
使用済み燃料貯蔵地探し期限の再三の延期、
原発特重施設の建設の遅れ、
などなどもこのことを実証しています。)

8月30日「美浜3号再稼働抗議
現地緊急行動」に35人決起!

 関電は、8月29日午後3時過ぎ、トラブル頻発の美浜3号機を30日に再稼働させると発表しました。

 このように直前の再稼働予定の発表は、極めて異例のことです。しかも、この再稼働については、立地自治体である美浜町とも、福井県とも公式の事前協議をしていないのです。関電の傲慢な体質を如実に示しています。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は「老朽原発完全廃炉を勝ち取るまで粘り強く、何度でも何度でも決起する」の決意の下に、29日午後、可能な全ての手段を駆使して、再稼働当日・30日の美浜原発前および関電原子力事業本部前緊急抗議行動を呼びかけました。

 8月30日11時過ぎ、美浜原発前には、緊急の呼びかけにも拘わらず、京都、大阪、滋賀、兵庫などの関西、福井市方面、若狭各地、美浜町内から約35人が、自家用車などで結集しました。参加者は、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙してトラブル続きの老朽原発・美浜3号機の再稼動を企む関電に、満腔の怒りのシュプレヒコール、抗議の声を叩きつけました。

 それでも関電は、13時に再稼働を強行したため、参加者は、関電原子力事業本部に移動して、さらに抗議行動を続行した後、「老朽原発の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現する」ことを確認し合い、この日の行動を終えました。

8.30行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機
廃炉に向けてさらに前進しましょう!

2022年9月1日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)



▲美浜原発前


▲関電原子力事業本部前


▲福井新聞 2022年8月31日


▲日刊県民福井・中日新聞 2022年8月31日


▲毎日新聞 2022年8月31日

◆老朽原発・美浜3号、高浜1、2号を廃炉に~過酷事故が起こる前に

【2022年8月29日まで、美浜町などで配付】

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後11年を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 一方、去る2月に始まったウクライナ紛争では、欧州最大の原発・ザポリージャ原発やチェルノブイリ(チョルノービリ)原発が占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、電力会社、政府、原発立地自治体などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

岸田首相は「原発依存社会」を画策
説明も議論もなく、政策を転換

 岸田内閣は、昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設やリプレースは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、唐突に、原子力政策を以下のように転換する意向を示しました。

 岸田首相は、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●すでに新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基を今冬に、残る8基を来年以降の早期に稼働させる方策
を検討するとしています。

 福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。このように原発に前のめりな政策がまかり通れば、急ぐべき再生可能エネルギー活用が後回しにされ、世界の趨勢からも取り残されます。

原発はトラブル頻発の装置
過酷事故を起こしかねない

老朽原発・美浜3号機で相次ぐトラブル

 関電は、運転開始後45年を超えた老朽原発・美浜3号機を昨年6月23日に再稼働させましたが、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか3ヶ月の営業運転で停止を余儀なくされています。しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。そのうちの一つは、電源が断たれて蒸気発生器中の2次冷却水が失われたとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かすために、10年近く準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 さらに、関電は、特重施設が完成したとして、美浜3号機の再稼動(並列)を、当初予定の10月から8月12日に前倒しすると発表していましたが、再稼働を目前にした8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。

 関電は、水漏れについて、「昨年6月の定期検査中に、下請け作業員が、容器のふたを閉めるボルトを規定値の5分の1の弱い力で締め付けていたため、隙間を塞ぐ円形のゴム(Oリング:パッキング)に圧力がかかり、破損した」としました。作業員が、誤った規定値の記載された手順書に従ったのです。これは、あきれ返るミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者・・・が原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体がたるみ切っているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

 美浜3号機では、8月21日にも「運転上の制限の逸脱」が生じました。「アキュムレータの圧力が保安規定に定める運転上の制限値4.04MPa(約40気圧)を下回り、警報が発信した」というものです。原子炉冷却水喪失事故時などで1次冷却系の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力低下が確認されたのです。「アキュムレータ圧力の低下」の原因は明らかにされていませんが、1次冷却水喪失時や、制御棒の挿入に失敗した時に働かなければならない装置のトラブルは、重大事故に繋がりかねず、深刻です。

高浜3、4号機、大飯3、4号機でもトラブル頻発

 美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年に到っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。とくに、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、本年3月、定期点検中の高浜原発3号機では、蒸気発生器伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。蒸気発生器の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているともいわれています。同様な伝熱管損傷は、一昨年11月、高浜4号機でも起こっています。
 トラブル続きで、過酷事故を起こしかねない原発は、一刻も早く全廃しましょう!

電気は足りています

 今、政府は電力需給のひっ迫を喧伝し、原発の推進に躍起です。しかし、日常的には、電気は足りています(余っています)。一時的に電力逼迫が発生しても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

【節電協力で電力需給ひっ迫を乗り切った例】

 3月22日、東京、東北エリアで、地震による発電所の停止と急激な寒波到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。この需給ひっ迫を乗り切れたのは、揚水発電と広域での電力融通に加え、次のような節電が行われたからです。

 当日8〜23時の時間帯で約4000万kW時(W;ワット)、また、需要の大きな17時台の1時間に、約500万kWの節電が実行されています。原発5基分(1基約100万kWとして)もの節電が可能であることを示しています。

 上記は要請に応えた節電の例ですが、「節電で余剰電力を得ることは、発電所を新設することと同じ価値がある」との考えから「発電所ではなくて節電所を」の提案もあります。国民(約1億2500万人)一人ひとりが100W節電すれば、1250万kW(原発10基分以上)の電力需要を抑制できます。

 電力需給ひっ迫時だけでなく、日常からの節電も重要です。電気機器やシステムのエネルギー効率のよいものへの更新、断熱などの「省エネルギー化」も節電です。

電力需要量と供給量を正しく把握し、
適度な節電に心がければ、
大規模停電=ブラックアウトに
なることもありません

 大規模停電は、地震などによって一気・多量の電力供給不足が生じたときに起こります。通常の需要増加で大停電に至った例はありません。原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性があります。

 電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

「老朽原発依存社会」を招く
政府、電力会社

 原発の運転期間について、2012年6月の原子炉等規制法の改正で「原発の運転期間は40年とし、例外中の例外として20年の延長を認める」と規定しています。

 したがって、運転開始後40年を超えた全原発の運転延長を認めた原子力規制委員会の姿勢は、明らかに法令違反です。なお、「40年」の根拠について、細野原発事故担当相(当時)は、「電力会社が、ほとんどの原子炉の運転年数を40年と想定して認可申請している」からと答弁しています。「40年」は、電力会社が求めたものです。

 それでも、政府、経団連、電力会社は「40年超え運転」を「例外」から「原則」に変えようとし、福島原発事故後の運転停止期間を運転年数から除外し、停止期間分を追加運転しようとしています。さらに、60年超え運転も画策しています。法令違反を公然と行おうとしているのです。

 もし、「40年超え運転」を認めず、原発の新設を阻止すれば、2033年に若狭から、2049年に全国から稼働可能な原発が無くなります。

 一方、「40年超え運転」が「原則」となり、建設中の3基の原発(大間原発、島根原発3号機、東電東通原発)の運転が強行されれば、
8年後(2030年)には、稼働可能な原発36基のうちの15基が老朽原発に、
18年後(2040年)には、稼働可能な原発32基のうちの24基が老朽原発に、
28年後(2050年)には、稼働可能な原発23基のうちの20基が老朽原発
になります。さらに、停止期間分の追加運転を許せば、
2030年には、稼働可能な原発36基のうちの15基が老朽原発に、
2040年には、稼働可能な原発36基のうちの28基が老朽原発に、
2050年には、稼働可能な原発30基のうちの27基が老朽原発
になります。

政府や電力会社は「老朽原発依存社会」を
作ろうとしているのです。
「原発過酷運転(酷使)」を画策する
政府、電力会社

 岸田政権が昨年10月22日に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成に占める原子力の割合を20〜22%にしようとしています。(なお、先述のように、岸田首相は、8月24日、この「エネルギー基本計画」を無視し、これを遙かに上回る原発推進政策を打ち出しています。)

 政府は、「エネルギー基本計画」を達成するために、2030年には15基となる老朽原発の再稼働と建設中の3原発の稼働を画策するだけでなく、以下のように、原発の過酷運転を行い、原発利用率を引き上げようとしています。危険極まりない老朽原発運転と原発過酷運転を許してはなりません。

●定期検査間の運転期間の長期化 現在は13ヶ月ごとに定期検査していますが、18ヶ月〜24ヶ月に変えようとしています。

●検査内容の変更による定期検査の効率的実施と原発酷使 現在の定期検査では、原子炉を停止し、平均90日をかけて一斉分解点検していますが、これを、米国の30日にならって短縮しようとしています。短縮のために、
①「状態監視保全」方式(早めの部品交換をせず、機器ごとに劣化状況に合わせて保守する方式)を導入し、機器を限界まで酷使しようとしています。
②原子炉を止めないでおこなう検査「運転中保全」を導入しようとしています。

 以上の検査内容の変更は2009年に行われていましたが、実行は福島原発事故で中断されていました。

 なお、上記は政府の計画ですが、電気事業連合会(電事連;電力10社で構成)は、さらにスザマシイ目標を掲げています。電事連は、2030年の原発比率29%を目標とし、そのために、原発36基全ての早期稼働と稼働率90%を目指しています。原発60年運転の推進、定期検査の効果的な実施、運転サイクルの長期化をかかげ、原発80年運転への法改正も画策しています。

老朽原発を酷使すれば、
重大事故の危険度が急増します。
原発重大事故時、避難は不可能

 政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。しかし、政府や自治体で考えている「原発災害時の避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視しています。「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 ところで、政府や自治体の避難計画では、若狭の原発で過酷事故が起こったとき、原発から5km圏内の住民は即時避難となっていますが、それ以外の住民は屋内退避となっていて、放射能汚染レベルが自然放射能の1万倍の500マイクロシーベルトになって、初めて避難を始めることになっています。一斉避難は不可能であるから、原発周辺の住民のほとんどは、大量被ばくするまで待ちなさいと定めているのです。

 避難先も非現実的です。例えば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、美浜町の皆さんの避難先は、おおい町または大野市になっています。しかし、人口約8100人のおおい町が、9600人を超える美浜町の皆さんを一週間以上の長期にわたって受け入れることは不可能です。人口約33600人の大野市でも不可能です。

 過酷事故を起こしかねず、事故が起これば大量被ばくを強いる老朽原発再稼働を許してはなりません。原発廃炉こそが、最大の安全対策です。即時廃炉を求めましょう!

処理法も行き場もない使用済み核燃料
それでも老朽原発再稼働まで画策

 関電は、2017年、「2018年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言しました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、「候補地提示期限を2020年末まで」と再約束して、原発の運転を継続し、使用済み核燃料を増やし続けました。さらに関電は、再約束の期限もホゴにし、昨年2月12日には、候補地提示期限を「2023年末まで」と先送りし、「この期限が守られなければ老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を停止する」として、福井県に老朽原発再稼働への同意を求めました。これを受けて、杉本知事は、それまでの「中間貯蔵地を示すことが再稼働議論の前提」とした発言を一転させ、再稼働同意へと変節しました。なお、関電が「2023年末を期限」とした拠り所は、青森県むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性ですが、宮下むつ市長は、これを否定し、猛反発しています。

 関電は、何の成算も無く「空約束」を繰り返し、平気でそれをホゴにした、倫理のかけらも持ち合わせない企業です。こんな関電に原発を安全に運転できるはずがありません。

老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の
再稼働を許さず、即時廃炉を!
企業倫理と責任感が欠如した電力会社は
原発過酷事故を起こしかねません

 7月13日、東京地裁は「東電株主代表訴訟]判決で、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故による損害・13兆円の賠償を命じています。

 今、関電経営陣が、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働するのは「安全意識や責任感の根本的欠如」のためとしか言いようがありません、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故に至った場合、それは関電経営陣の故意による犯罪です。
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原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2
号機の運転を許してはなりません!
老朽原発完全廃炉を目指して、
若狭、関西および全国での
行動に総決起を!

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老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)

◆安倍晋三氏の国葬に反対する!

【2022年8月19日,京都キンカンで配付】

福島原発事故を招き、それでも事故被害者の
切り捨てを謀り、原発推進に奔走し、米国との
核共有を主張した安倍晋三氏の国葬に反対する!

若狭の原発を考える会・木原壯林

 つい10年前までは、節約を否定して消費をあおる、物価高を招いてインフレを進める、格差を広げる、嘘をつく、捏造する、公文書を改ざん・破棄する、歴史認識を歪曲する、市民の権利を制限する、戦争を準備する、政治的立場を利用して私利私欲を誘導することは、悪であった。しかし、長期に亘って政権に居座った安倍晋三氏は、これらを全て推進し、浪費をあおり、物価高を招き、格差を拡大させ、嘘で固めた政治を重ね、かつての悪を当たり前のこととした。大仰に言えば、有史以来の倫理観を逆転させ、改ざんしようとしたのである。その安倍晋三氏が、殺害され、国葬が行われようとしている。理不尽この上ない。

安倍氏は、原発に関しても、以下の例のような大罪を犯している。

●原発全電源喪失に関わる警鐘を無視して、福島原発事故を招いた

 例えば、2006年12月、共産党の吉井英勝衆議院議員は「質問主意書」を第一次安倍政権に提出し、「原発からの高圧送電鉄塔が倒壊すると、原発の負荷電力がゼロになって原子炉が停止するだけでなく、停止した原発の機器冷却系を作動させるための外部電源が得られなくなるのではないか」と質したが、安倍首相は「外部電源から電力の供給を受けられなくなった場合でも、非常用所内電源(バックアップ電源)からの電力により、原子炉の冷却は可能」と答弁している。吉井議員はさらに、スウェーデンのフォルスマルク原発では、4系列あったバックアップ電源のうち2系列が事故で機能しなくなった事実を示し、日本の原発の約6割はバックアップ電源を2系列しか持たないが、2系列で同時に事故が発生すると、冷却不能になる」と指摘し、非常用電源喪失に関する調査や対策強化を求めたが、安倍首相は「我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所とは異なるから、同様の事態が発生するとは考えられない」とこれを一蹴している。

 福島原発が重大事故を起こした最大の原因は、バックアップ電源の喪失である。もし、安倍首相がバックアップ電源を検証し、海外並みに4系列などに増やしていたら、福島原発事故は避けえたかもしれない。安倍首相がバックアップ電源対策を拒否し、事故を未然に防ぐ最大のチャンスを失したことは、明らかに犯罪行為である。

●嘘で固めて、オリンピックを招致

 2013年9月、安倍首相は、ブエノスアイレスでのIOC総会で、福島原発の汚染水問題に関して、「状況は完全に制御されている」「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」という大嘘をつき、世界の人々を騙して、オリンピックを東京に招致した。

 福島原発事故から11年を経た今でも、事故を起こした原発の内部は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていない。大量の放射性物質汚染水が溜り続け、太平洋に投棄されようとしてる。「コントロール不能」であることは明白である。

●首相を辞めた後も、原発と核兵器の拡大に奔走

 安倍元首相は、首相辞任後の2021年4月、自民党の「最新型原子力リプレース推進議員連盟」の最高顧問に就任し、原発と核兵器の拡大を画策している。

 安倍元首相は、2月に始まったウクライナ紛争に因るエネルギー逼迫に乗じて、「原発再稼働」を進めるだけでなく、「リプレイスも考えなければならない」とし、小型モジュール炉への建て替え、高温ガス炉などの推進を画策している。また、戦争の危機をあおって、米国との「核共有」を主張している。火事場泥棒のような行為としか言いようがない。

 以上のように、安倍元首相は、福島原発事故を回避する方策をとらなかったのみならず、圧倒的な脱原発の民意を蹂躙して、福島事故後も原発推進に奔走している。また、福島原発事故避難者の支援の打ち切りをほのめかし、まだまだ放射線レベルの高い福島原発被害地への避難者の帰還を強要する棄民政策を実行している。

 その大罪人・安倍晋三氏の国葬は、許されるものではない。