老朽原発うごかすな!実行委員会」カテゴリーアーカイブ

◆報告とお礼~11.17「MOX 燃料搬入抗議!緊急現地行動」に早朝から約30 人

 去る9 月8 日にフランスを出港したMOX 燃料は、11 月17 日(水)午前8 時前に高浜原発に到着しました。

 原発は事故確率の高い装置ですが、MOX 燃料を使用してプルサーマル運転すれば、以下のような理由で、重大事故の確率がさらに高くなります。

①燃料被覆管が破損しやすい。例えば、酸素と結合し難い白金族元素が生成しやすく、余った酸素が被覆管を腐食します。また、核分裂生成物ガスとヘリウムガスであるアルファ線の放出が多く、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させやすくなります。

②MOX 燃料では、中性子を吸収しやすいアメリシウムの生成量が多く、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

③核燃料の不均質化(プルトニウムスポットの生成)を招きやすい。

④MOX 燃料では、中性子束(中性子密度)が大きく、高出力で、過渡時(出力の増減時)に原子炉の制御が難しくなる。

⑤使用済みMOX 燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難い。そのため、使用済みウラン燃料の4 倍以上も長期にわたって燃料プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。燃料保管プールが脆弱であり、冷却水を喪失しやすいことは、福島原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明らかです。

 なお、高浜原発では現在、3 号機で20 体、4 号機で16体のMOX 燃料が使用されていて、両機ともに、最大40 体までの使用が認可されています(全燃料体は157 体)。現在MOX 燃料を使用して、プルサーマル運転を行っている原発は、玄海3 号機(2009 年から)、伊方原発3 号機(2010 年から)、高浜原発3 号機(2011 年から)、4 号機(2016 年から)の4 基です。

「老朽原発うごかすな!実行委員会」の呼びかけに応えて、関西、福井から結集した約30 人は、17 日の早朝・6時頃より、高浜町の音海地区最先端の駐車場で、危険きわまりないMOX 燃料の搬入への抗議行動を展開し、その後、8 時過ぎに高浜原発北ゲートから300 m の「展望所」に移動し、北ゲートに向かってデモ行進の後、ゲート前で抗議集会を行いました(10 時頃まで)。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

2021年11月20日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)



▲2021 年11 月18 日 毎日新聞朝刊

▲2021年11月18日 中日新聞朝刊



▲2021年11月18日 福井新聞朝刊


▲2021 年11 月18 日 日刊県民福井朝刊


11.23-11.27
「老朽原発このまま廃炉リレーデモ」、
12 月5 日
「老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」
ご支援、ご参加を!

 危険きわまりない老朽原発・美浜3 号機は、特重施設の設置が期限(10 月25 日)に間に合わなかったため、僅か3ヶ月の営業運転で、10 月23 日、停止に追い込まれました。しかも、この原発は、短期間の運転の間に、二度も重大なトラブルを起こしています。

①稼働して間もない7 月2 日には、事故時に蒸気発生器に給水するポンプに大きな圧力がかかる異常を発生させています。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。多量の鉄さびは、今後も、配管破損や目詰まりを引き起こしかねません。このトラブルは、老朽原発を全国に先駆けて動かそうと準備してきたにもかかわらず、鉄さびによるフィルターの目詰まりにも気づかなかった関電と規制委員会のいい加減さを物語ります。

②10 月6 日には、非常用ディーゼル発電機で、回転異常を示す警報が作動し、自動停止したと発表されました。この発電機は、地震などで外部電源の供給が途絶えた時に、自動的に起動して安全上重要な機器を作動させるためのものですから、少なくとも、修理が完了するまでは、原発を停止するのが企業倫理であり、規制基準でも定められていることです。それでも関電は、もう1 台の発電機が正常に作動することが確認できたとして、3 号機の運転を続けました。許されることではありません。

 ところで、10 月23 日に停止した美浜3 号機の特重施設の完成には約1 年を要するといわれています。一方、特重施設の設置が期限の6 月9 日に間に合わず、当面の再稼動を中止した老朽原発・高浜1、2 号機の特重施設の完成は早くても2023 年5 月、6 月頃といわれています。しかし、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023 年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電は「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023 年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。

 ただし、10 月初めに誕生した岸田政権は、原発推進内閣、核依存内閣です。炭酸ガス排出削減を口実にして、原発の60 年運転の推進を掲げるだけでなく、80 年運転への道を開こうとしています。また、新型小型原子炉や核融合の開発を画策し、核燃料サイクルを推進しようとしています。これらの策動を葬り去るためにも今は正念場です。

 老朽原発の運転停止に追い討ちをかけ、「老朽原発このまま廃炉」を勝ち取り、原発全廃へと前進しましょう!

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、1600 人が結集した昨年9 月6 日、1300 人が結集した本年6 月6 日の「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」をさらに拡大し、来る12 月5 日に、大阪市西区のうつぼ公園で、「老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」を開催し、10 月23 日(美浜3 号機停止日)~12 月4 日を「老朽原発このまま廃炉!キャンペーン期間」として、老朽原発廃炉に向けて「やれることは全てやる」ことを決定しています。

(12.5 大集会、IWJ によって全国に中継されます。)
 なお、「10.23 – 12.4 老朽原発このまま廃炉!キャンペーン期間」に協賛する50 以上の行動が関西、福井をはじめ全国ですでに展開され、あるいは企画されています。

 行動の一つは、11 月23 日(火、休)~27 日(土)に以下の行程で実施される高浜-美浜リレーデモです。ご参加をお願いします。

・11 月23 日(火、休)11 時30 分に高浜原発北ゲートから約300 m 先の展望所に集合、デモで北ゲート前に向かい、抗議行動(12 時30 分まで)。高浜町役場まで車で移動。13 時30 分に町役場前で簡単な抗議行動の後、デモ出発。16 時頃にJR 和田駅着。

・11 月24 日(水)10 時におおい町役場からデモ出発。尾内まで。昼食後、小浜公園まで車で移動し、13 時30分にデモ開始、15 時30 分頃にJR 小浜駅着。

・11 月25 日(木)10 時にJR 東小浜駅からデモ出発。国道27 号線の一筋山側の道の国分付近まで。昼食後、国道27 号線天徳寺前信号付近まで車で移動し、13 時30 分にデモ開始、15 時頃に三宅の神社前着。

・11 月26 日(金)10 時に道の駅「若狭熊川宿」からデモ出発。関、瓜生を経て、農村総合公園で昼食後、同公園から13 時にデモ出発。JR 十村駅まで。相田付近まで車で移動し、15 時頃に相田からデモ出発。16 時頃にJR 三方駅着。

・11 月27 日(土)10 時にJR 美浜駅集合。車で移動し、10 時20 分に久々子西端からデモ出発。JR 美浜駅まで。昼食後、13 時に美浜駅からデモ出発。関電原子力事業本部前で40 分程度の抗議行動の後、デモを継続し、15 時30 分頃に佐柿の若狭国吉城跡付近着。リレーデモ終了。

 12.5「老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」「10.23 – 12.4 老朽原発このまま廃炉!キャンペーン行動」で老朽原発全廃を!

 原発の40 年超え運転を阻止すれば、2033 年に若狭から、2049 年に全国から稼働する原発がなくなります。老朽原発廃炉を突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!


2021年11月20日老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102


◆10/25「老朽原発・美浜3 号機もう動かすな!現地行動」の報告とお礼 [付]関電あて申し入れ書

【2021年10月27日,実行委MLで配付】

報告とお礼

10.25「老朽原発・美浜3 号機もう動かすな!現地行動」に約63 人

 危険きわまりない老朽原発・美浜3 号機は、特重施設の設置が期限(10 月25 日)に間に合わなかったため、僅か3ヶ月の営業運転で、10 月23 日、停止に追い込まれました。しかも、この原発は、短期間の運転の間に、二度も重大なトラブルを起こしています。

 ①稼働して間もない7 月2 日には、事故時に蒸気発生器に給水するポンプに大きな圧力がかかる異常を発生させています。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。多量の鉄さびは、今後も、配管破損や目詰まりを引き起こしかねません。このトラブルは、老朽原発を全国に先駆けて動かそうと準備してきたにもかかわらず、鉄さびによるフィルターの目詰まりにも気づかなかった関電と規制委員会のいい加減さを物語ります。

 ②10 月6 日には、非常用ディーゼル発電機で、回転異常を示す警報が作動し、自動停止したと発表されました。この発電機は、地震などで外部電源の供給が途絶えた時に、自動的に起動して安全上重要な機器を作動させるためのものですから、少なくとも、修理が完了するまでは、原発を停止するのが企業倫理です。それでも関電は、もう1 台の発電機が正常に作動することが確認できたとして、3 号機の運転を続けました。許されることではありません。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、10 月25 日、「美浜3 号もう動かすな!現地行動」を呼びかけ、実行しました。関西、福井から参加した63 人は、美浜原発から海を隔てて望む「シーパーク丹生」で集会の後、美浜原発ゲート前を往復するデモで「老朽原発もう動かすな!」を訴えました。その後、美浜町「ハートピア」駐車場に移動の後、町内デモで関電原子力事業本部に向かい、事業本部前で45 分の抗議集会を行うとともに、関電への申入れを行いました(★裏面をご覧ください)。さらに町内デモを行い、美浜町役場前では、老朽原発再稼働に同意した美浜町を糾弾し、同意の取り消しを訴えました。町内デモでは、玄関や窓を空けて手を振られる町民、会釈をされる町民のエールに励まされました。ご参加の皆様、有難うございました。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

 この他、「10.23 – 12.4 老朽原発このまま廃炉!キャンペーン期間」に協賛する行動が各地で展開されています。

 「老朽原発このまま廃炉!」の声をさらに拡大させましょう!原発の40 年超え運転を阻止すれば、2033 年に若狭から、2049 年に全国から稼働する原発がなくなります。

12月5日「老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」
「10.23 – 12.4 老朽原発このまま廃炉!キャンペーン行動」で
老朽原発全廃を!

 10 月23 日に停止した美浜3 号機の特重施設の完成には約1 年を要するといわれています。一方、特重施設の設置が期限の6 月9 日に間に合わず、当面の再稼動を中止した老朽原発・高浜1、2 号機の特重施設の完成は早くても2023 年5 月、6 月頃といわれています。しかし、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023 年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電は「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023 年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。

 ただし、10 月初めに誕生した岸田政権は、原発推進内閣、核依存内閣です。炭酸ガス排出削減を口実にして、原発の60 年運転の推進を掲げるだけでなく、80 年運転への道を開こうとしています。また、新型小型原子炉や核融合の開発を画策し、核燃料サイクルを推進しようとしています。これらの策動を葬り去るためにも今は正念場です。

 老朽原発の運転停止に追い討ちをかけ、「老朽原発そのまま廃炉」を勝ち取り、原発全廃へと前進しましょう!

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、1600 人が結集した昨年9 月6 日、1300 人が結集した本年6 月6 日の「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」をさらに拡大し、来る12 月5 日に「老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」を開催し、10 月23 日(美浜3 号機停止日)~12 月4 日を「老朽原発このまま廃炉!キャンペーン期間」として、老朽原発廃炉に向けて「やれることは全てやる」ことを決定しています。

 皆様のご賛同、ご参加をお願いします。

 老朽原発廃炉を突破口に、原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しましょう!

2021年10月27日老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2021年10月26日県民福井朝刊

▼2021年10月26日福井新聞朝刊

▼2021年10月26日中日新聞朝刊

▼2021年10月26日毎日新聞朝刊


関西電力株式会社:
 取締役会長 榊原定征 様、
 取締役社長 森本孝 様、
 原子力事業本部長 松村孝夫 様、
 美浜発電所長 高畠勇人 様

申し入れ書

 美浜原発3 号機の特重施設設置期限日の本日、関西電力(以下関電と略)原子力事業本部前に結集した私たちは、以下の理由により、老朽原発・美浜3 号機、高浜1、2 号機をはじめとする全原発の即時廃炉を申し入れます。

①原発を動かせば、何万年もの保管を要し、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料を生み出しますが、その処理・処分法はなく、中間貯蔵すら引き受ける場所がありません。

②政府や自治体は、私企業である電力会社が運転する原発の重大事故を想定した避難訓練を、血税を使って行っていますが、それは、原発は重大事故を起こしかねないことを政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体が実施している「避難訓練」は、僅かの人数が僅かの期間だけ参加する訓練です。政府や自治体は、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしていると言っても過言ではありません。原発過酷事故時の避難は、訓練ができないほど深刻で困難なのです。

③関電の原発に関して、各種のトラブルが頻繁に発生、発覚しています。

 最近では、1 昨年10 月、高浜4 号機で、昨年2 月、高浜3 号機で蒸気発生器伝熱管の外側からの損傷・減肉が発覚しました。関電は、「持ち込まれた金属片」が配管を削ったためとしました。高浜4 号機では、昨年11 月にも蒸気発生器伝熱管の損傷・減肉が発覚しました。関電は、この損傷・減肉は、自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削って生じたとしました。なお、高浜4 号機の2 次冷却系には鉄さび約2.5 トンが蓄積していると報道されています。

 蒸気発生器に関わるトラブルは、6 月23 日に再稼働した老朽原発・美浜3 号機でも早速起こっています。7 月2 日には、緊急時に蒸気発生器に給水するタービン動補助給水ポンプの点検中に、同ポンプに大きな圧力がかかるトラブルが発生しています。関電は、「ポンプ入り口にあるフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と規制委員会のいい加減さを物語ります。10 月6 日には、非常用ディーゼル発電機を起動したところ、回転数異常を示す警報が作動し、自動停止したと発表されました。関電は、もう1 台の非常用発電機の正常作動を確認できたとして、原発の運転を続けました。この発電機は地震などで外部電源が途絶えた時に自動的に起動して安全上重要な機器を作動させるためのものですから、少なくとも、修理が完了するまでは、原発を停止するのが、企業倫理です。

 7 月3 日に再稼働し、7 月30 日に本格運転に入ったばかりの大飯3 号機でも、8 月4 日、タービンを回した蒸気を冷やす復水器に、海水を送る配管から水漏れが見つかりました。2系統ある配管の1 系統が雨水によって腐食し、直径4 cm の穴が開いていたのです。関電や規制委員会は、このような目視できる腐食さえ見落としているのです。

 上記の数々の配管トラブルは、若狭の原発の配管は相当危険な状況にあることを示します。老朽原発だけでなく、運転開始後40 年に満たない原発でも重大事故を起こしかねません。老朽原発の運転など、もってのほかです。

④若狭の原発の耐震性は疑問です。例えば、美浜3 号機は、活断層の巣の中にあり、原発敷地内にも多数の破砕帯がありますが、耐震性の評価にあたって、震源が近くにあることの配慮はなく、地盤変位に対する考察もありません。また、地震は、通常、繰り返し襲ってきますが、地震が繰り返された場合の考慮が不十分です。さらに、美浜3 号機の基準地震動の評価は、405 ガル、750 ガル、993 ガルと増大していますが、それに見合って原発の耐震性が強化されているとは言えません。原発には、取り替えることのできない部分が多数あるからです。「当初の安全余裕の食いつぶし」といわれる所以です。

 なお、昨年12 月4 日の大阪地裁森鍵一裁判長の判決は、原発敷地での基準地震動の推定について、原子力規制委員会が採用したのは平均値であり、バラツキを考慮していないので過小評価であるとしています。この判決に基づけば、同様な方法で推定された全ての原発敷地の基準地震動も過小評価していることになります。

⑤原発電力のコストは上限を試算できないほど高額です。去る7 月に試算された2030 年の原発の1 キロワット時あたりの発電コストは、前回15 年試算時の「10.3 円以上」から「11 円台後半以上」に1 割程度上昇しています。安全対策費が、1 基当たり約1369 億円と15 年試算時の約601 億円
から倍増したためです。福島原発事故の処理費用の見積もりが15 年の「12.2 兆円以上」から「23.8 兆円以上」に膨らんだことも響いています。一方、再生可能エネルギーは技術開発や普及によるコスト低減効果を織り込み、事業用太陽光の8 円台前半~11 円台後半を筆頭に、住宅用太陽光の9 円台後半~14 円台前半、陸上風力の9 円台後半~17 円台前半などと軒並み下がり、原発の優位性は否定されています。なお、他の電源のコストの上限は算出されていますが、原発だけ上限がありません。事故処理費用がどれだけ増えるか見込みづらいためです。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・保管費を含めれば、原発の発電コストは膨大になります。

⑥関電は、運転開始後40 年をはるかに超えた老朽原発の再稼働を巡って、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。それでも、福井県知事が4 月28 日に同意を表明した直後に、特重施設が設置期限・6 月9 日までに完成しない高浜1、2 号機の再稼働断念を発表しました。このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れています。このことと、一昨年来の原発マネー不祥事、使用済み核燃料中間貯蔵地探しに関わる再三の約束違反を考えあわせますと、関電は、企業倫理に欠け、の成算もなく約束し、それを平気で反古にする企業と言わざるを得ません。このような関電が、事故なく原発を運転できるとは考えられません。

 以上のように、原発は、使用済み核燃料の蓄積、重大事故時の避難の困難さ、トラブルの多さ、耐震性の低さ、発電コストの高さ、電力会社の企業倫理の低さ、規制委員会審査のいい加減さ、いずれの面からも、稼働を容認できる装置ではありません。原発は万が一にも重大事故を起こしてはならない装置です。即時廃炉を決断してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2021 年10 月25 日
「老朽原発・美浜3 号機もう動かすな!現地行動」参加者一同
老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先;木原:090-1965-7102)

◆10月停止の老朽原発・美浜3号機をそのまま廃炉に

【2021年8月27日,京都キンカンで配付】

トラブル、不祥事、約束違反続きで、
企業倫理に欠ける関電が運転する老朽原発
10月停止の老朽原発・美浜3号機をそのまま廃炉に追い込み、
原発全廃に前進しよう!

原発は老朽化すると危険度が急増
全原発の40年超え運転は法令違反

 福島原発事故から10年半になりますが、この事故は、原発は事故の確率が高く、現在科学技術で制御困難な装置であることを、大きな犠牲の上に教えています。その原発を長期間運転すれば、危険度はさらに高くなります。したがって、政府は、2012年6月の原子炉等規制法の改正で「原発の運転期間は40年とし、例外中の例外として20年の運転延長を一度だけ認める」と規定しました。「原発の運転期間・40年以内」は、法律で定められているのです!

 そのため、40年超えの原発は老朽原発と呼ばれています。2021年8月現在、高浜原発1号機(46年超え)、2号機(45年超え)、美浜原発3号機(44年超え)、東海第2原発(42年超え)が老朽原発です。

 原発が老朽化すれば、交換することのできない圧力容器(原子炉本体)などが脆化(ぜいか;もろくなること)し、配管が腐食などによって減肉(げんにく;やせ細ること)あるいは応力腐食割れ(腐食と引っ張る力の相乗効果で生じる亀裂)などが生じます。

 また、老朽原発では、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当な部分が多数あります。しかし、その全てが改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中には交換不可能なもの(圧力容器など)があります。

 それでも、原子力規制委員会(規制委)は、2016年、関西電力(関電)の老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転を、拙速審議(時間、回数は通常の約半分)によって認可しました。また、2018年、日本原子力発電(日本原電)の東海第二原発の運転を認可しました。全ての40年超え老朽原発の運転認可は、明らかに法令違反です。

トラブル、人身事故、不祥事、
約束違反続きの関電が原発を運転

 関電が運転する若狭の原発では、トラブル、人身事故が頻発し、原発マネーに関わる不祥事、使用済み核燃料中間貯蔵地に関わる約束違反、などが発生・発覚しています。その中の多くは、規制委による再稼働認可審査の過程では想定されていなかったことです。

 原発の運転が、人の命や尊厳を軽視し、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可していることを示しています。

 以下は、一昨年以降に発生したトラブル、人身事故、不祥事、約束違反の例です。

①トラブル

  • 高浜4号機で1昨年10月に、高浜3号機で昨年2月に、蒸気発生器伝熱管(直径約2.2cm、厚さ約1.2mm)の外側が削れて管厚が半分程度に減少していることが見つかりました。関電は、混入した「異物(金属片)」が配管を削ったためとしました。
  • 高浜4号機では、昨年11月にも蒸気発生器伝熱管の外側からの減肉・損傷が発覚しました。関電は、この減肉・損傷は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削って生じたとしました。
  • 大飯3号機では、昨年9月、原子炉と蒸気発生器をつなぐ配管から枝分かれした直径約11cm、厚さ約14mmの配管(加圧器スプレー配管)の溶接部に、深さ約4.6mm、長さ約6.7cmの亀裂が発覚しました。原因は応力腐食割れとされています。この配管は、伝熱管に比べて格段に大きいため、破断すれば、伝熱管破断の場合よりはるかに急速、深刻な冷却材喪失を引き起こします。
  • 6月23日に再稼働した老朽原発・美浜3号機では、7月2日、緊急時に蒸気発生器に給水するタービン動補助給水ポンプの点検中に、同ポンプに大きな圧力がかかるトラブルが発生しています。関電は、「ポンプ入り口にあるフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と規制委のいい加減さを物語ります。
  • 7月3日に再稼働し、7月30日に本格運転に入った大飯3号機でも、8月4日、タービンを回した蒸気を冷やす復水器に海水を送る配管から水漏れが見つかりました。2系統中の1系統の空気抜き弁枝管の付け根付近が雨水によっ腐食し、直径4cmの穴が開いていたのです。

 上記の数々の配管トラブルは、若狭の原発の配管は相当危険な状況にあることを示します。老朽原発だけでなく、運転開始後40年に満たない原発(例えば、大飯原発3号機は運転開始後29年の原発)でも重大事故を起こしかねません。老朽原発の運転など、もってのほかです。

 なお、配管トラブルの中でも、高温(約320℃)、高圧(約160気圧)の一次冷却水が流れる蒸気発生器配管の損傷は深刻です。この配管が完全に破断すれば、冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があるからです。

②人身事故

  • 1昨年9月、高浜1、2号機の特重施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込むダクトが設置されていなかったそうです。
  • 昨年3月には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中のトンネルで、発破作業の安全監視中であった協力会社社員が、火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、亡くなられました。この社員は耳栓をし、トラックに背を向けていました。
  • その他、脚立や足場からの転落事故も多発しています(1
    昨年9月、美浜3号機:昨年4月、高浜原発1号機など)。

 これらの内、高浜、美浜の事故は、老朽原発再稼働準備中に起こったものです。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

③不祥事

 1昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが暴露され、昨年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填していたことが公表され、多くの怒りを買っています。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。「原発マネーの垂れ流しの中でしか維持できない原発」の全廃を求める声はさらに拡大しています。

 関電は、原発マネーに関わる不祥事発覚後も、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させました。関電は、不祥事を反省して役員人事を刷新したとしていますが、関電が企業体質を抜本的に改善したとするには程遠い状態にあります。例えば、関電は、去る2月、「競争入札を経ない発注(特命発注)により、地元企業の活用に努める」として、美浜町長の美浜3号機再稼働への同意を取り付けました。これは、関電の経営体質は、「人事刷新」によても全く変わっていないことを物語るものです。公共性が高く、税金に準じる性質を持つ電気料金で運営される電力会社が、特命発注の乱発など許されるはずがありません。

④約束違反

 関電は、2017年11月「2018年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言し、西川前福井県知事の大飯原発再稼働への同意を取り付けました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、候補地提示期限を「2020年末まで」と再約束して、原発の運転を継続し、使用済み核燃料を増やし続けました。

 さらに、関電は、本年2月、再約束期限を2023年末へとまたも先送りし「この期限が守られなければ老朽原発を停止する」として、老朽原発再稼働への福井県知事の同意を取り付けました。この先送りは、むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性を拠り所にしたものですが、宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発しています。

 このように、関電は、何の成算も無く「空約束」し、平気でそれをホゴにする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業です。原発を安全に運転できるはずがありません。

自社都合で人々や自治体をもて遊ぶ、
企業倫理に欠ける関電

 関電は、老朽原発・美浜3号機を、6月23日に再稼動させました。一方、特重施設(いわゆるテロ対策施設)の設置が期限の6月9日に間に合わなかった老朽原発・高浜、2号機の当面の再稼動を中止しました。

 この再稼働を巡って、関電は、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。それでも、福井県知事が4月28日に同意を表明した直後の30日、2週間後の5月12日に、突然、高浜2号機、1号機の再稼働断念を発表しました。

 このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れているのです。企業倫理に欠け、私利私欲に走る傲慢企業と言わざるを得ません。

 2017年12月、関電は、福井県やおおい町に相談することなく、突然かつ勝手に大飯原発1、2号機の廃炉を決めました。これも関電の傲慢さを示す例です。このような事態が生じるのであれば、原発立地自治体は、その将来設計を描けなくなります。原発立地町は、突然の原発廃止のように、相互信頼を顧みない関電や国であっても、その意向に逆らわず、今でも原発政策を続けています。

トラブル、不祥事を起こし、企業倫理に
欠けるのは関電だけではない

 四国電力の伊方原発では、昨年だけでも、制御棒が誤って抜かれた状態が約7時間続き、使用済み燃料プール内で燃料落下を示す信号が発信し、原発内のほぼ全ての電源が一時喪失するなど、深刻なトラブルが起こり、また、重大事故対応のために宿直していた社員が2年間で5回も無断外出して、会社のガソリンチケットを無断で使っていたことが発覚しています。

 東京電力の柏崎刈羽原発では、テロ対策工事や火災対策工事が多くの箇所で未完了にも拘わらず工事完了と報告していたことが暴露されています。同原発では重要施設への出入りに使用するIDカードの不正使用も行われていました。

 日本原電敦賀原発では、敷地直下を通る活断層に関わるデータの改ざんや記載ミスが明らかになっています。

 このように、原発を運転する電力会社の企業倫理は、救いようがないほど、地に落ちてます。

原発マネーにすがる自治体議員や首長

 翻(ひるがえ)って、関電と政府の意を汲み、原発マネーにしがみつく高浜町、美浜町の議会と町長は、昨年11月から本年2月にかけて、老朽原発再稼働への同意を表明しました。また、杉本福井県知事は、国から5年間で1原発最大25億円の交付金(高浜、美浜の2原発で計50億円)を引きだし、経産大臣の「原子力を持続的に活用する」との言質を取り付け、4月28日、再稼働同意を発表しました。

 結局、原発立地自治体は、「自治体住民の安全・安心の保全が地方自治の基本」であることを忘れ、住民の安心・安全を犠牲にして、原発マネーを得ようとし、政府は、税金によって立地自治体を買収して、老朽原発再稼働を強行しようとしたのです。

避難訓練を行わなければならないほど
危険な施設は原発だけ

 政府や自治体は、原発重大事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体で考えている「避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、避難に要するバスの台数も避難する場所も全く足りません。政府や自治体は、原発重大事故では、住民の多くが何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 若狭の原発から100km圏内には、76万人が住む福井県のみならず、257万人、141万人が住む京都府、滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県、愛知県の多くの部分が含まれます。若狭の原発で重大事故が起こったとき、これらの地域の何100万人もが避難対象になりかねません。避難は不可能です。重大事故では、至近にある琵琶湖(美浜原発から28km)が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。若狭湾が汚染され、観光や漁業が壊滅します。

原発のない若狭は実現できる!

 いま、脱原発・反原発は圧倒的な民意です。老朽原発の運転に反対する声はさらに大きく、運転を認める声などほとんどありません。

 原発の40年超え運転と新設を阻止すれば、美浜町からは即時、高浜町からは4年後に、おおい町からは12年後に、敦賀市からは6年後に、稼働する原発が無くなります。若狭の原発は2033年に、全国の原発は2049年にゼロになります。原発反対の行動が高揚すれば、もっと早く原発をなくすことも可能です。

原発全廃に前進の好機

 6月23日に再稼働した美浜3号機は、特重施設の完成が期限(10月25日)に間に合わず、わずか3ヶ月の営業運転で停止に追い込まれます。美浜3号機、高浜1、2号機の特重施設の完成は早くても2022年9月頃、2023年5月、6月頃といわれています。

 ところで、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電が「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です。

原発ゼロ基本法案を実現し、
原発に依存しない若狭を!

 原発地元の自治体や経済界は、脱原発をしたら地域経済が成り立たなくなると宣伝しています。

 しかし、国会の経産常任委員会に付託された「原発ゼロ基本法案」では、
①全ての原発の速やかな停止→廃止、
②電気需要量の削減、
③再生可能エネルギー電気供給量の増加を謳うとともに、
④原発を停・廃止する「事業者への支援、周辺地域の雇用・経済対策」を行うための「法制上、財政上、税制上、または、金融上の措置」を条文として要求しています。「原発ゼロ基本法案」が施行されれば、原発に頼らない地域の構築に向かって踏み出すことができます。

 3年余りも棚ざらしのこの法案の審議を要求し、経済的不安をも克服して、脱原発社会を目指しましょう!

重大事故が起こる前に
原発を全廃しましょう!

12月5日開催の
「老朽原発このまま廃炉!大集会inおおさか」
に総結集を!


2021年8月30日
老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先;木原(090-1965-7102)


◆トラブル続きの原発~不祥事、約束違反続きの関電が運転する原発~重大事故が起こる前に廃炉に!

【2021年8月20日,京都キンカンで配付】

トラブル続きの原発
不祥事、約束違反続きの関電が運転する原発
重大事故が起こる前に廃炉に!

原発は現在科学技術で制御できない

◎福島原発事故から10年半になりますが、この事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、学校を奪い、生活基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。

原発が重大事故を起せば、放出された放射性物質が風や海流に乗って運ばれ、被害は広域におよびます。福島原発事故では、事故炉から50km離れた飯舘村も全村避難になり、200km以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。

原発事故の被害は長期におよびます。福島原発事故では、避難された方の多くが今でも、避難先で苦難の生活を送っています。事故を起した原子炉の内部は、高放射線のためごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。汚染された土壌の除染法はなく、ごく表層をはぎ取ってフレコンバックに保存する他はありません。トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が溜り続け、政府は太平洋に垂れ流そうとしています。

処理法も行き場もない使用済み核燃料

 原発を運転すれば、処理法がなく、何万年もの長期保管を要する「負の遺産」・使用済み核燃料を残しますが、その永久貯蔵どころか中間貯蔵すら引き受けるところもありません。

 関西電力(関電)は、使用済み核燃料の中間貯蔵について、2018年末までに福井県外で候補地を探すと明言していました。しかし、その約束を反古(ほご)にして、期限を昨年(2020年)末に延期したにも拘わらず、原発の運転は継続し、使用済み核燃料を増やし続けました。さらに、昨年末、またも約束を反古にし、期限を2023年末へと先送りしたのです。この先送りは、むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性を拠り所にしたものですが、宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発しています。

 関電は、何の成算も無く「空約束」し、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業であることを裏付けています。

 こんな企業に原発を安全に運転できるはずがありません。

原発は老朽化すると危険度が急増

 原発は事故の確率が高い装置ですが、長期間運転すれば、危険度はさらに高くなります。したがって、政府は、2012年6月の原子炉等規制法の改正で「原発の運転期間は40年とし、例外中の例外として20年の運転延長を一度だけ認める」と規定しました。

「原発の運転期間は40年以内」は、法律で定められているのです!

 そのため、40年超えの原発は老朽原発と呼ばれています。

 2021年8月現在、高浜原発1号機(46年超え)、2号機(45年超え)、美浜原発3号機(44年超え)、東海第2原発(42年超え)が老朽原発です。

 原発が老朽化すれば、交換することのできない圧力容器(原子炉本体)などが脆化(ぜいか;もろくなること)し、配管が腐食などによって減肉(げんにく;やせ細ること)あるいは応力腐食割れ(腐食と引っ張る力の相乗効果で生じる亀裂)などが生じます。

 また、老朽原発では、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当な部分が多数あります。しかし、その全てが改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中には交換不可能なもの(圧力容器など)があります。

 それでも、原子力規制委員会(規制委)は、全ての40年超え老朽原発の運転を認可し、関電、日本原電、政府は老朽原発運転に躍起です。明らかに法令違反です。

老朽原発の運転認可後に、想定外の
トラブル、人身事故、不祥事が頻発

 規制委は、2016年、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の40年超え運転を、拙速審議(時間、回数は通常の約半分)によって認可しました。しかし、この認可以降に、関電の原発では、トラブル、人身事故、原発マネーに関わる不祥事などが頻繁に発生・発覚しています。規制委による審査の過程では想定されていなかったことばかりです。

 原発の40年超え運転が、人の命や尊厳を軽視し、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可していることを示しています

蒸気発生器で多発する配管損傷はとくに深刻

 頻発するトラブルの中でも蒸気発生器配管の損傷はとくに深刻です。関電の原発のような加圧水型原発の格納容器の中には、圧力容器と蒸気発生器(3~4器)があります(左下図参照)。圧力容器内には核燃料があり、蒸気発生器の中には、外経約2.2cm、肉厚約1.3mmの伝熱管(あるいは伝熱細管)
と呼ばれる細管が約3400本あります。圧力容器で約160気圧、約320℃の熱湯となった1次冷却水は、蒸気発生器伝熱管内を巡って、伝熱管の外を流れる2次冷却水を沸騰させて、約60気圧、約280℃の水蒸気にします。この水蒸気は、発電機に連結されたタービンを回します。

 もし、高温・高圧の一次冷却水が流れる蒸気発生器配管が完全に破断すれば、冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があります。

 そのため、「蒸気発生器は、加圧水型原発のアキレス腱」と呼ばれています。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。

 最近では、1昨年10月、高浜4号機で、蒸気発生器伝熱管の外側が削れて管厚が半分程度に減少していることが見つかりました。関電は、混入した「異物(金属片)」が配管を削ったためとしました。また、昨年2月、高浜3号機でも、蒸気発生器伝熱管の外側からの減肉が発覚しました。関電は、これも「異物(金属片)」が配管を削ったためとしました。

 高浜4号機では、昨年11月にも蒸気発生器伝熱管の外側からの減肉・損傷が発覚しました。関電は、この減肉・損傷は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削って生じたと
しました。なお、高浜4号機の2次冷却系には鉄約2.5トンが蓄積していると報道されています。

加圧水型原発の仕組みと最近の破損個所

 一方、大飯3号機では、昨年9月、原子炉と蒸気発生器をつなぐ配管か枝分かれした直径約11cm、厚さ約14mmの配管(加圧器スプレー配菅)の溶接部に、深さ約4.6mm、長さ約6.7cmの亀裂が発覚しました。原因は応力腐食割れ(しばしば未熟な溶接技術によって生じる)とされています。この配管は、伝熱管に比べて格段に大きいため、破断すれば、伝熱管破断の場合よりはるかに急速、深刻な冷却材喪失を引き起こします。関電は、大飯3号機の損傷個所を取り替えて、計画より9ヶ月近く遅れて、7月3日に再稼働せました。

 破断すれば重大事故を招く蒸気発生器配管の損傷は多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、2018年9月段階で約1万本の伝熱管の内、364本が摩耗によって使用不能になり、栓がされています

 蒸気発生器の破損は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・オノフレ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を新品に取り替えましたが、2012年、両機ともに3000本以上の蒸気発生器伝熱管に早期摩耗が発見され、2013年6月に廃炉となりました

 このように損傷し易い蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、更新後、約25年も経過しています。それでも、規制委はこれらの原発の運転を認可していま

 蒸気発生器に関わるトラブルは、6月23日に再稼働した老朽原発・美浜3号機でも早速起こっています。

 美浜3号機では、7月2日、緊急時に蒸気発生器に給水するタービン動補助給水ポンプの点検中に、同ポンプに大きな圧力がかかるトラブルが発生しています。関電は、「ポンプ入り口にあるフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と規制委のいい加減さを物語ります。

 7月3日に再稼働し、7月30日に本格運転に入ったばかりの大飯3号機でも、8月4日、タービンを回した蒸気を冷やす復水器に海水を送る配管から水漏れが見つかりました。2系統あ配管の1系統の空気抜き弁枝管の付け根付近が雨水によっ腐食し、直径4cmの穴が開いていたのです。漏れた海水は約20
トンとされています。この配管が大きく破損すれば、十分に原子炉を冷やせなくなる恐れがあります

 上記の数々の配管トラブルは、若狭の原発の配管は相当危険な状況にあることを示します。老朽原発だけでなく、運転開始後40年に満たない原発でも重大事故を起こしかねません。老朽原発の運転など、もってのほかです。なお、大飯原発3号機は運転開始(1991年)後29年の原発です。

原発重大事故時、避難は不可能
避難訓練を行わなければならないほど
危険な施設は原発だけ

 政府や自治体は、原発重大事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体で考えている「避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、避難に要するバスの台数も避難する場所も全く足りません。政府や自治体は、原発重大事故では、住民の多くが何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 若狭の原発から100km圏内には、76万人が住む福井県のみならず、257万人、141万人が住む京都府、滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県、愛知県の多くの部分が含まれます。若狭の原発で重大事故が起こったとき、これらの地域の何100万人もが避難対象になりかねません。避難は不可能です。重大事故では、至近にある琵琶湖(美浜原発から28km)が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。若狭湾が汚染され、観光や漁業が壊滅します。

老朽原発運転を企むのは、
自社都合のみで、企業倫理に欠ける関電

 関電は、運転開始後44年を超えた老朽原発・美浜3号機を、6月23日に再稼動させました。一方、特重施設(いわゆるテロ対策施設)の設置が期限の6月9日に間に合わなかった老朽原発・高浜1、2号機の当面の再稼動を中止しました。

 この再稼働を巡って、関電は、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。それでも、福井県知事が4月28日に同意を表明した直後の30日、5月12日に、特重施設が設置期限・6月9日までに完成しない高浜2号機、1号機の再稼働断念を発表しました。

 このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れているのです。

 このことと、一昨年来の原発マネー不祥事、使用済み核燃料中間貯蔵地探しに関わる再三の約束違反を考えあわせますと、関電は、企業倫理に欠け、何の成算もなく約束し、それを平気で反古にする企業と言わざるを得ません。

原発マネーにすがる自治体議員や首長

 翻(ひるがえ)って、関電と政府の意を汲み、原発マネーにしがみつく高浜町、美浜町の議会と町長は、昨年11月から本年2月にかけて、老朽原発再稼働への同意を表明しました。また、杉本福井県知事は、国から5年間で1原発最大25億円の交付金(高浜、美浜の2原発で計50億円)を引きだし、経産大臣の「原子力を持続的に活用する」との言質を取り付け、4月28日、再稼働同意を発表しました。

 結局、原発立地自治体は、「自治体住民の安全・安心の保全が地方自治の基本」であることを忘れ、住民の安心・安全を犠牲にして、原発マネーを得ようとし、政府は、税金によって立地自治体を買収して、老朽原発再稼働を強行しようとしたのです。

原発のない若狭は実現できる!

 いま、脱原発・反原発は圧倒的な民意です。老朽原発の運転に反対する声はさらに大きく、運転を認める声などほとんどありません。

 原発の40年超え運転と新設を阻止すれば、美浜町からは即時、高浜町からは4年後に、おおい町からは12年後に、敦賀市からは6年後に、稼働する原発が無くなります。若狭の原発は2033年に、全国の原発は2049年にゼロになります。原発反対の行動が高揚すれば、もっと早く原発をなくすことも可能です。

原発全廃に前進の好機

 6月23日に再稼働した美浜3号機は、特重施設の完成が期限(10月25日)に間に合わず、わずか3ヶ月の営業運転で停止に追い込まれます。美浜3号機、高浜1、2号機の特重施設の完成は早くても2022年9月頃、2023年5月、6月頃といわれています。

 ところで、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電が「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進する好機です

原発ゼロ基本法案を実現し、
原発に依存しない若狭を!

 原発地元の自治体や経済界は、脱原発をしたら地域経済が成り立たなくなると宣伝しています。

 しかし、国会の経産常任委員会に付託された「原発ゼロ基本法案」では、
①全ての原発の速やかな停止→廃止、
②電気の需要量の削減、
③再生可能エネルギー電気の供給量の増加をうたうとともに、
④原発を停・廃止する「事業者への支援、周辺地域の雇用・経済対策」を行うための「法制上、財
政上、税制上、または、金融上の措置」
を条文として要求しています。「原発ゼロ基本法案」が施行されれば、原発に頼らない地域の構築に向かって踏み出すことができます。3年余りも棚ざらしにされているこの法案の審議を要求し、経済的不安をも克服して、脱原発社会を目指しましょう!

重大事故が起こる前に
原発を全廃しましょう!


老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先:木原(090-1965-7102)


◆7/3、おおい町で関電に申し入れ書を提出

関西電力株式会社
 取締役会長 榊原定征 様
 取締役社長 森本 孝 様
 原子力事業本部長 松村孝夫 様
 大飯発電所長 決得恭弘 様

申し入れ書

 福島原発事故から10年経ちましたが、避難者の多くが故郷を奪われたままです。事故炉の内部は未だに掌握できず、事故終息は見えず、トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 それでも、貴関西電力(関電と略)は、昨年7月20日より定期点検入りし、加圧器スプレイライン配菅の損傷のために運転停止が長期化していた大飯原発3号機を再稼働させようとしています。

 しかし、以下【1】~【6】のような状況にある現在、原発の稼働は理不尽この上なく、許されるものではありません。

【1】関電の原発に関連して、蒸気発生器配管の減肉、亀裂を始めとする各種のトラブルが頻発しています。例えば、昨年だけでも、高浜3号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷、大飯3号機加圧器スプレイライン配管で亀裂、高浜4号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷が発見され、高浜4号機でケーブル火災が発生しています。この事実は、原発はトラブルを多発させる装置であることを物語っています。中でも、高温・高圧の1次冷却水が流れる配管の損傷は、原子炉空焚きの引き金となりかねず、深刻ですが、損傷を避ける抜本的な対策はありません。

【2】関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を、2018年内に福井県外で探すと明言していましたが、この約束を反古にし、中間貯蔵候補地提示期限を2020年内と再約束して、大飯原発3、4号機再稼働への西川前福井県知事の同意をとり付けました。しかし、関電は、この約束もまた反故にして、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続したのみならず、本年2月、期限を2023年末へとさらに先送りして、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機再稼働への杉本福井県知事の同意を取り付け、6月23日、美浜3号機を再稼働させました。なお、期限の先送りは、むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性を拠り所にしたものと考えられますが、宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発しています。この間の約束不履行は、関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業であることを裏付けています。

【3】去る12月4日、大阪地裁・森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長は、大飯原発3、4号機の設置許可の取り消しを命じました。原子力規制委員会は、原発敷地で起こり得る地震規模の推定について、経験式で得られる規模は平均値であり、バラツキを考慮すればさらに大きな地震が発生する可能性があるから「バラツキを考慮せよ」と規定しています。しかし、この規定にも拘らず、規制委員会は、原発運転の認可にあたっては平均値を採用し、平均値に見合った耐震性で可としています。大阪地裁は、これが過小評価であるとしたのです。このバラツキに関する議論は、いやしくも科学・技術に携わる者なら、誰しも納得できるものです。関電は、基準地震動の再評価を行い、それに見合った耐震対策を施すべきです。

【4】大飯原発から100 km 圏内には、約76万人が住む福井県のみならず、257万人が住む京都府、141万人が住む滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県の多くの部分が含まれます。大飯原発で重大事故が起これば、原発周辺の住民のみならず、何100万人もの人々が避難対象になりかねません。避難は不可能です。重大事故では、琵琶湖が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。若狭湾が汚染され、観光や漁業が壊滅します。

【5】1昨年来の原発マネーに係わる不祥事の調査は,未だに納得できるものではなく、関電が企業体質を抜本的に改善したとするにはほど遠い状態にあります。例えば、去る2月、関電は「競争入札を経ない発注(特命発注)などにより地元企業の活用に努める」として、美浜町長の美浜3号機再稼働への同意を取り付けました。公共性が高く、税金に準じる性質を持つ電気料金で運営される電力会社が、特命発注の乱発など許されるはずがありません。これは、関電の経営体質は、原発マネー不祥事後に行った「人事刷新」によっても全く変わっていないことを物語るものです。

【6】関電は、昨年来、美浜3号機および高浜1、2号機を再稼働させるとして、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。にも拘らず、福井県知事が4月28日に同意を表明した直後の30日に、高浜2号機の安全対策工事が遅れ、当面の再稼動が不可能になったと発表し、5月12日に、特重施設が設置期限までに完成しない高浜1号機の当面の再稼働も断念したと発表しています。一方、特重施設の完成が設置期限・10月25日に間に合わず、僅か3ヶ月しか営業運転できない美浜3号機を無理矢理再稼働させる暴挙を行いました。このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れる、傲慢極まりない企業と言わざるを得ません。こんな企業が、人々の安全・安心を最優先して原発を運転するとは考えられません。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!実行委員会」および「7.3申し入れ・抗議行動参加者一同」は、貴関西電力に、以下を申し入れます。

  1. 原発は、事故確率が多い装置であることは、福島原発事故および福島原発事故以降に多発したトラブルが教えています。危険で、一端重大事故を起こせば、人の命と尊厳(人格権)を奪い去る大飯原発の稼働を即時断念してください。
  2. 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。全ての原発を即時停止し、安全な廃炉を進めてください。
  3. 使用済み核燃料の安全な処理・保管法を早急に提示してください。また、使用済み核燃料の安全な保管地を早急に示してください。
  4. 関電の原発が重大事故を起こせば、その被害は若狭をはるかに超えて関西や中部にもおよぶ可能性があります。原発を稼働させようとするのなら、広範な周辺自治体の意見にも十分耳を傾け、同意を得てください。
  5. 関電の原発で最近起こったトラブル、事故、原発マネー不祥事の原因は解明され尽くされているとは言えません。原因が十分解明され、対策が施された後に、原発稼働の是非を1から再議論してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。
2021年7月3日

老朽原発うごかすな!実行委員会
7.3申し入れ・抗議行動参加者一同
(連絡先;木原:090-1965-7102)

◆報告とお礼~7.3「大飯原発3号機再稼働糾弾・抗議」おおい町緊急行動に60人超

【2021年7月9日,京都キンカンで配付】

報告とお礼
7.3「大飯原発3号機再稼働糾弾・抗議」
おおい町緊急行動に60人超

 関電は、昨年7 月20 日から定期点検で運転を停止していた大飯原発3 号機を7 月3 日に再稼働させました。関電は当初、昨年10 月の運転再開を画策していましたが、8月の超音波試験で、原子炉圧力容器と蒸気発生器を繋ぐ配管(加圧器スプレイライン管)などに損傷が見つかったため、運転停止が長期化していました。加圧器スプレイライン管は、高温高圧(320℃、157 気圧)の1 次冷却水が流れる直径11 cm の配管です。破断すれば、一挙に1 次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる深刻な事故に至ります。なお、関電の原発(加圧水型)では、加圧器スプレイライン管だけでなく、高温高圧水が流れる蒸気発生器伝熱管の損傷、減肉もたびたび発覚しています。

 ところで、昨年12月4日、大阪地裁・森鍵一(もりかぎ・はじめ)裁判長は、大飯原発の設置許可取消の判決を出しました。「規制委員会の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」として、大飯原発3、4号機の原発設置許可を取り消したのです。この判決は、規制委員会審査のいい加減さを端的に指摘しています。また、大飯原発のみならず、全ての原発が、過小評価された地震動を基に耐震設計されていることを暗示しています。

  • 配管損傷などのトラブル続きで、耐震性も全く不十分な大飯原発再稼働を、許してはなりません!
  • 原発を動かせば、処分法も保管地もない使用済み核燃料が溜ります。
  • 大飯原発から100 kmの圏内には、福井県、京都府、滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県、愛知県の多くの部分が含まれます。大飯原発で重大事故が起これば、何100万人もの人々が長期にわたる避難を強いられます。重大事故では、琵琶湖が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。

7月3日、おおい町に結集した60人超が、
大飯3号機の再稼働を糾弾し、
抗議する緊急行動に起ちました。

 同日13時、おおい町大島「おおい町はまかぜ交流センターしーまいる」付近の公園に集合した参加者は、大飯原発ゲート前までデモ行進し、原発ゲート前で15時まで抗議集会および申入れの後、「塩浜海水浴場駐車場」までデモ行進し、断固とした関電への抗議の声を上げ、おおい町の皆さんに原発全廃を訴えました。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

 なお、7月2日、6月23日に再稼動した美浜3号機では、事故時に蒸気発生器に給水するポンプ(タービン動補助給水ポンプ)に大きな圧力がかかるトラブルが発生しています。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。これが事実であれば、配管の中には多量の鉄さびが懸濁していることになり、この懸濁物が、配管の減肉やフィルターの目詰まりの原因になり、今後もトラブルを引き起こしかねないことになります。何よりも、老朽原発をは全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と規制委のいい加減さを糾弾しなければなりません。

点検も審査もいい加減な関電や規制委に
原発を安全に動かせるはずがありません。

老朽原発うごかすな!実行委員会 連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2021 年7 月4 日中日新聞朝刊

▼2021 年7 月4 日中日新聞朝刊

▼2021 年7 月4 日福井新聞朝刊






 

 

 

 

 

 

 


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◆6月の諸行動の報告とお礼

【2021年6月25日,京都キンカンで配付】

6月11日(金)、18日(金)
関電本店(大阪)緊急抗議集会
6月23日(水)
美浜現地緊急全国集会

 関電と政府は、危険極まりない老朽原発・美浜3号機を6月23日に再稼働させました。

 関電は、昨年来、美浜3号機および高浜1、2号機を再稼働させるとして、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。にも拘らず、福井県知事が4月28日に同意を表明した直後の30日に、高浜2号機の安全対策工事が遅れ、当面の再稼動が不可能になったと発表し、5月12日に、特重施設が設置期限までに完成しない高浜1号機の当面の再稼働も断念したと発表しています。このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れる、傲慢極まりない企業です。

 こんな企業であるから、特重施設の完成が設置期限・10月25日に間に合わず、僅か3ヶ月しか営業運転できない美浜3号機を無理矢理再稼働させる暴挙を行ったのです。

 ところで、上述のように、関電に高浜1,2号機の当面の再稼働を断念させ、美浜3号機の再稼働を5ヶ月も遅れさせたのは、圧倒的な脱原発の民意に支えられた脱原発運動の成果といっても過言ではありません。もっともっと大きな行動を展開すれば、危険極まりない老朽原発を廃炉に追い込み、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現できます、

 そう考えた「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、1300人が結集した6月6日の「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」に引き続いて、関電本店前(大阪市)で6月11日、18日(各々70人、75人が参加)に、関電原子力事業本部前および美浜原発前(美浜町)で6月23日(350人が参加)に、標記の緊急行動を行いました。11日、23日には関電宛てに申し入れも行いました。

ご参加、ご支援いただきました皆様、
有難うございました。

 なお、6月21日には「老朽美浜原発3号機運転禁止の仮処分」を求める申立てが大阪地裁に提出されましたが、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、この裁判闘争に連帯する行動も展開しました。

▼6月11日(金)、18日(金)関電本店(大阪)緊急抗議集会

 

 

▼6月21日(月)大阪地裁に仮処分提出

 

▼6月23日(水)美浜現地緊急全国集会

 

 

▼2021年6月22日 京都新聞(美浜差し止め仮処分を申請)

▼2021年6月24日 朝日新聞(原発40年ルール 何だった)

▼2021年6月24日 しんぶん赤旗(「再稼働するな」デモ)

▼2021年6月24日 毎日新聞(老朽/経済効果…思い交錯)

▼2021年6月24日 中日新聞(老朽うごかすな!市民団体デモ行進)

▼2021年6月24日 福井新聞(「老朽原発うごかすな」市民団体がデモ)


「老朽原発うごかすな!実行委員会」連絡先・木原(090-1965-7102)


◆関電が7月3日(土)に大飯原発3号機再稼働を画策

【2021年6月25日,京都キンカンで配付】

 関電は、昨年7月20日から定期点検で運転を停止していた大飯原発3号機を7月3日に再稼働させようとしています。関電は当初、昨年10月の運転再開を画策していましたが、8月の超音波試験で、原子炉圧力容器と蒸気発生器を繋ぐ配管(加圧器スプレイライン菅)などに損傷が見つかったため、運転停止が長期化していました。加圧器スプレイライン菅は、高温高圧(320℃、157気圧)の1次冷却水が流れる直径11 cmの配管です。破断すれば、一挙に1次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる深刻な事故に至ります。なお、関電の原発(加圧水型)では、加圧器スプレイライン菅だけでなく、高温高圧水が流れる蒸気発生器伝熱管の損傷、減肉もたびたび発覚しています。

 ところで、昨年12月4日、大阪地裁・森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長は、大飯原発の設置許可取消の判決を出しました。「規制委員会の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」として、大飯原発3、4号機の原発設置許可を取り消したのです。この判決は、規制委員会審査のいい加減さを端的に指摘しています。また、大飯原発のみならず、全ての原発が、過小評価された地震動を基に耐震設計されていることを暗示しています。

・配管損傷などのトラブル続きで、耐震性も全く不十分な大飯原発再稼働を、許してはなりません!
・原発を動かせば、処分法も保管地もない使用済み核燃料が溜ります。
・大飯原発から100 kmの圏内には、福井県、京都府、滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県、愛知県の多くの部分が含まれます。大飯原発で重大事故が起これば、何100万人もの人々が長期にわたる避難を強いられます。重大事故では、琵琶湖が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。

大飯原発3号機再稼働を糾弾しましょう!
原発全廃を求めましょう!

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大飯原発への抗議行動にご参加下さい。

 集合場所:おおい町大島「おおい町はまかぜ交流センターしーまいる」
 集合日時:2021年7月3日(土)13時
 行動予定:集合場所から大飯原発ゲート前までデモ行進し、ゲート前で15時30分まで抗議集会および申入れ(予定)の後、「塩浜海水浴場駐車場」までデモ行進し、16時頃解散。
 主催:老朽原発うごかすな!実行委員会
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おおい町へ配車(マイクロバスまたは自家用車)します。

 ・新大阪駅1階正面より 8時45分集合、9時00分出発
  乗車申込および問合せ 松原(☏090-9540-1959)まで
 ・京都駅南 アバンティ西南(コンビニ横)より 8時45分集合、9時00分出発
  乗車申込および問合せ 橋田(☏090-5676-7068)まで
 ・大津地裁まえより 8時15分集合、8時30分出発
  乗車申込および問合せ 稲村(☏080-5713-8629)まで
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老朽原発うごかすな!実行委員会(連絡先;木原☏090-1965-7102)


◆報告とお礼~6.6「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」に1300 人

【2021年6月11日,大阪関電本店前抗議行動、京都キンカンで配付】

 関電と政府は、運転開始後 45 年を経た危険極まりない老朽原発・美浜3号機を6月23日に再稼働させようとしています。

 原発は現在科学・技術で制御できる装置でなく、原発が重大事故を起こせば、極めて広域が長期にわたって、甚大かつ悲惨な被害を被ることを、福島原発事故、チェルノブイリ原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 美浜原発が重大事故を起こしたとき、風向きによっては、若狭のみならず、関西、中部の多くの部分が高濃度放射性物質で汚染される可能性があります。何100 万人もが避難対象になりかねません。避難は不可能です。美浜原発から最短で 28 km に位置する琵琶湖が汚染されれば、1400 万人以上が飲用水を失います。閉鎖水域である若狭湾が高濃度に汚染され、壊滅的被害を受けます。

 電気は、原発でなくても作れます。自然エネルギーによる発電法、蓄電法も進歩し、省エネ機器の開発も進み、節電の機運も高まっています。わざわざ危険な原発を動かす必要はありません!

美浜 3 号機再稼動阻止の決意を
新たにした大集会と御堂筋デモ

 6.6「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」には、コロ緊急事態宣言発令中にも拘らず、「老朽原発再稼働阻止」の固い決意の下、1300人以上が参加し、果敢な御堂筋デモで「老朽原発うごかすな!」を訴えました。
 

 

 集会では様々な地域、多様な団体からの発言がありました。

◆中嶌哲演さんの「福島原発事故記憶が風化しつつある一方で、3372人による関電企業倫理を告発する運動、1600人が結集した昨年の9.6大集会、小口顧客の30%以上の関電離れなど、新しい動きも始まっている。この動きを原発ゼロ基本法案成立に結実させよう」などを訴える主催者挨拶に続き、

◆避難計画の虚構・問題点の指摘、原発のために右往左往させられる理不尽(反原発自治体議員・市民連盟 山下けいきさん)、

◆規制委員会に老朽原発調査の原データすら提出していない関電と国を糾弾し、福島事故の教訓を生かそう(老朽原発 40 年廃炉名古屋訴訟市民の会 草地妙子さん)、

◆水戸地裁・前田英子裁判長による画期的な東海原発運転差し止め判決、来年12月の再稼働への地元同意を目指す地元原発推進派の動き(東海第二原発の再稼働を止める会 披田信一郎さん)、

◆高浜原発から 5 km 圏のPAZを含む8万人が暮らし、避難計画・訓練も全く不十分にも拘らず、老朽原発再稼働に前のめりな舞鶴市長と議会(京都府舞鶴市の住民 山本良治さん)、

◆美浜原発から20 km、多くの人や生き物を育むびわこを抱え、自然豊かな高島市の原発廃炉を求める声(高島市議 是永 宙さん)、

◆福島事故避難から避難先での現在までの社会的、経済的苦悩(原発賠償京都訴訟原告団 萩原みゆきさん)

◆カンパのお願い(実行委員会 橋田秀美さん)

◆全国から:
不祥事だらけの関電、新規制基準に合格したからと言って安全を保証するものではないと開き直る規制委員会、嘘で固め国民を騙す経産省は許せない(再稼働阻止ネット木村雅英さんと首都圏からの参加者)、

悪夢の原発事故から10年、まともな政策もなく、汚染土壌まで金儲けや政治的宣伝の材料にしようとし、汚染水や汚染土を拡散させようとする政府と東電に対する怒り(福島から 放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会 和田央子さん)

◆関西各地から:
原発被害は広域におよぶ、人と地球を守りたい、原発は止めてください(千葉県のホットスポットから滋賀に避難されてきた山崎圭子、朋さん親子)、

原発は人を病気にする、殺す、わたしの妻は今春、すい臓がんで亡くなった(埼玉から岐阜に避難された 川根眞也さん)、

若狭で8年間チラシの各戸配布を続けて、若狭でも、隠れた脱原発の声は圧倒的であることを知った(若狭の原発を考える会 小林正明さん)、

原発や核燃施設は、3.11事故前夜の危険な状態にある、中でも再処理工場は超危険(ストップ・ザ・もんじゅ 池島芙紀子さん)、

コロナ禍の下でも原発を動かす関電を医療従事者として許せない、原発ゼロ法案を成立させよう(原発ゼロの会・大阪 庄司 修さん)、

兵庫でも各地で、集会、デモなど多様な行動が行われ、「老朽原発うごかすな!」の声が広がっている(さよなら原発神戸アクション 馬場茂夫さん)、

3月14日にJR奈良駅前を延べ2000人近くの参加者で埋め尽くした「奈良のつどい」を開催し、3月20日の高浜全国集会には初めてバスを仕立てて参加するなど、脱炭素を隠れ蓑に原発を進める政府と電力会社に抗して、発展を続ける奈良の運動(原発ゼロ・被災者支援奈良の集い実行委員会 榎本恭一郎さん)、

◆労働組合から;
事故や不祥事を続発させている関電に原発を動かす資格はない、原発を動かさないことが一番の安全対策、核と人類は共存できない(フォーラム平和・人権・環境 近藤美登志さん)、

火力発電を動かせないから原発だという考え方、専門家の意見を聞くふりをしながら何もしない政府を許せない、今こそエネルギーの地産地消で雇用や地域経済を作り出そう、原発ゼロを決断できる政府を作ろう(全国労働組合総連合近畿ブロック 菅 義人さん)、

核のゴミの処理法はない、政治は劣化している、それでも私たちは生活を放棄するわけにはいかない、脱原発の声の拡大を(おおさかユニオンネットワーク 丹羽通晴さん)

などの訴え(メッセージを含む)があり、

◆集会決議(下に掲載)の提案と採択が行われ
(読み上げ;原発ゼロ・被災者支援奈良の集い実行委員会 堀田みえこさん)、

◆6月23日とされる美浜3号機再稼働阻止を目指す「緊急行動に起とう!」のアピールが行われた
(実行委員会 木原壯林さん)。

最後に、デモに関する説明があり(関西共同行動 星川洋史さん)、
力強いシュプレヒコールの後、炎天下をものともしない、断固とした御堂筋デモに出発した。

脱原発を闘う全国各地からの
多数のメッセージ

・美浜町町議(松下照幸さん)、
・高浜町町議(渡邊 孝さん)、
・北海道後志原発とエネルギーを考える会(佐藤英行さん)、
・なくそう原発核燃、青森ネットワーク(中道雅史さん)、
・みやぎ脱原発・風の会(舘脇章宏さん)、
・東海村村議(阿部功志さん)、
・刈羽村村議(近藤容人さん)、
・志賀原発に反対する「命のネットワーク」(藤岡彰弘さん)、
・さよなら原発・岐阜(伊藤久司さん)、
・浜岡原発を考える静岡ネットワーク(鈴木卓馬さん)、
・さよなら島根原発ネットワーク(芦原康江さん)、
・上関原発を建てさせない山口県民連絡会(寺中千尋さん)、
・伊方から原発をなくす会(名出真一さん)、
・玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会(石丸初美さん)、
・ストップ川内原発!3.11鹿児島実行委員会(杉原 洋さん)
から熱いメッセージが届きました。

 メッセージ集として、6.6大集会で配布しました、全国の脱原発運動を俯瞰できるものとして好評でした。
(ご希望の方にはお送りします。090-1965-7102木原までお申し付けください。)

様々な連帯行動も

 6.6大集会に連帯する行動が各地で展開(あるいは予定)されています。

・オール福井反原発連絡会は、福井駅前でスタンディング、リレートーク(6月6日)を行い、美浜町内街宣行動(13日)、チラシの新聞折込配布(14日)、アンケートの美浜町全戸配布(19、20日)、福井県知事への老朽原発再稼働同意撤回要求署名(21日締め切り)を予定。

・老朽原発うごかすな!実行委員会は、関電と原子力規制委員会宛ての「老朽原発うごかすな!」を求めるハガキを配布し、発送を要請。

・仙台市では、みやぎ金曜行動で連帯行動(6月4日)。

・高松でも連帯スタンディング行動(6月4日)。

・原発ゼロ・被災者支援奈良の集い実行委員会はJR奈良駅前でスタンディング、アピール(6月6日)、

・老朽原発40年訴訟市民の会は名古屋市でスタンディング(6月6日)、

・さよなら原発・ぎふは名鉄岐阜駅前で、街頭シール投票(6月6日)、岐阜市内でさよなら原発パレードinぎふを予定(6月12日)。

・上関原発を建てさせない山口地区連絡会は山口市でスタンディング(6月6日)。

「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」に
ご参加、ご支援、連帯いただきました皆様、
有難うございました。


老朽原発うごかすな!実行委員会(連絡先;木原 090-1965-7102)


6.6「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」集会決議
~老朽原発・美浜3 号機再稼働を阻止し、全ての原発を廃炉に!~

 今、関電と政府は、危険極まりない老朽原発・高浜 1、2 号機、美浜 3 号機を再稼働させようとし、原発マネーにしがみつく高浜町、美浜町の議会と町長、福井県知事は再稼働への同意を表明しています。許してはなりません。

 この老朽原発再稼働への同意をめぐって関電、立地自治体、政府の演じた「茶番劇」で、蒸気発生器などのトラブル、原発マネー不祥事、使用済み核燃料に関する約束違反を頻発させている関電は、安全確保や使用済み核燃料中間貯蔵候補地提示期限を空約束しています。また、「自治体住民の安全・安寧を保全することが地方自治の基本」であることを忘れた立地自治体は、原発マネー獲得に奔走し、原発関連企業の利益を優先させる政府は、税金によって立地自治体を買収して、老朽原発再稼働を強行しようとしています。

 しかし、このような「茶番劇」の直後に、関電は、6 月 9日に設置期限を迎える特重施設や安全対策工事の遅れのために、高浜 1、2 号機の当面の再稼働が不可能になったと発表しています。特重施設の完成までには 2 年以上を要しますから、再稼働は 2 年以上遅れたことになります。圧倒的な民意に後押しされた反原発運動の勝利とも言えます。

 一方、関電は、特重施設の設置期限が 10 月 25 日である美浜 3 号機の燃料装荷を終え、6 月 23 日の再稼働を企んでいます。また、政府は、美浜 3 号機再稼働を先例として、全国の原発の 60 年運転への道を開こうとしています。

 大きな抵抗も無くこれを許せば、全国の原発だけでなく、韓国など世界の原発の 40 年超え運転の口実にもされます。あらゆる可能な行動を展開し、何としても美浜 3 号機の再稼動を阻止しなければなりません。

 ところで、政府や自治体は、原発重大事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。避難訓練をしなければならないほど危険な施設は原発だけです。

 ただし、政府や自治体が実施している「避難訓練」は、わずかの人数がわずかの期間だけ参加する訓練です。政府や自治体は、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 美浜原発から 100 km の圏内には、76 万人が住む福井県のみならず、257 万人が住む京都府、141 万人が住む滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、岐阜県の多くの部分が含まれます。美浜原発で重大事故が起こったとき、何 100 万人もが避難対象になりかねません。避難は不可能です。琵琶湖は、美浜原発から 28~80 km にあり、汚染されれば、1400 万人以上が飲用水を失います。
 本日、6.6 おおさか大集会に結集した私たちは、何としても危険極まりない美浜原発 3 号機の再稼働を阻止し、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現することを決議します。

2021 年 6 月 6 日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」参加者一同


▼6月5日 毎日新聞


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美浜 3 号機再稼働阻止緊急行動へ!

◆関電本店緊急抗議集会

6 月18 日(金)14時~15 時30 分 関西電力本店前

◆美浜現地緊急全国集会

6 月23 日(水)12 時より
関電原子力事業本部、美浜原発
(12 時に美浜町に集合、町内デモ、原子力事業本部前で抗議行動の後、美浜原発先のシーパーク丹生に移動し、14 時から抗議集会、美浜原発前を通ってデモ行進の予定)
大阪、京都、滋賀から配車します。乗車申込は、大阪;090-9540-1959(松原)、京都;090-5676-7068(橋田)、滋賀;080-5713-8649(稲村)まで
主催;老朽原発うごかすな!実行委員会
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◆「老朽原発うごかすな!実行委員会」よりの訴え

原発再稼働阻止、原発全廃のためにご奮闘の皆様
(2021年5月26日)

 関電と政府は、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を再稼働させようとし、原発マネーにしがみつく高浜町、美浜町の議会と町長、福井県知事は老朽原発再稼働への同意を表明しています。

 この間の老朽原発再稼働への同意をめぐる「茶番劇」で、・原発マネー不祥事、原発トラブル(蒸気発生器配管の損傷など)、約束違反(使用済み核燃料中間貯蔵候補地など)を頻発させている関電は、安全確保を空約束し、・「自治体住民の安全・安寧を保全することが地方自治の基本」であることを忘れた原発立地自治体の議会や首長は、住民の安心、安全を犠牲にして、原発マネーを得ようとし、・原発関連企業の利益を優先させる政府は、税金によって立地自治体を買収して、老朽原発再稼働を強行しようとしたのです。

 しかし、このような「茶番劇」にも拘わらず、関電は、4月30日、5月再稼働を目指して進めていた高浜2号機の安全対策工事の完了が、コロナ禍による人員不足で遅れ、当面の再稼動が不可能になったと発表し、5月12日、6月9日に特定重大事故等対処施設(特重施設;テロ対策施設)の設置期限を迎える高浜1号機の当面の再稼働を断念し、燃料装荷テストのみ行うと発表しています。燃料装荷は5月17日に終えていますが、特重施設の完成までには2年以上要しますから、再稼動は2年以上遅れたことになります。

 圧倒的な「原発うごかすな!」の民意に後押しされた市民運動、裁判闘争などの反原発運動の勝利とも言えます。

 ただし、1号機では、制御棒の操作も行うと言っています。稼働を断念した原発での制御棒の操作など許されるものではありません。

 一方、関電は、特重施設の設置期限が10月25日である美浜3号機の6月23日再稼働を目指して、5月23日に燃料装荷を終了し、政府は、美浜3号機再稼働を先例として、全国の原発の60年運転への道を開こうとしています。大きな抵抗も無くこれを許せば、全国の原発の40年超え運転への道を開くことになるばかりか、韓国など世界の原発の40年超え運転の口実にもされます。コロナ禍の中でも、自粛はしても、萎縮をしてはなりません。政府と関電はコロナの中でも自粛することはありません。私たちが萎縮すれば、政府や電力会社の思いのままを許すことになります。あらゆる可能な行動を展開し、何としても美浜原発3号機の再稼動を阻止し、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!

・断固として「6.6老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」を成功ましょう! 皆様のご支援、ご参加、周囲への参加勧誘をお願いします。

・ご参加が不可能な方は、全国各地で、6.6大集会に連帯する創意工夫を凝らした反原発行動をご企画くださるようお願いします。

 連帯行動の例は、スタンディングアピール、集会、学習会、デモ、関電や原子力規制委員会への電話やFAXの送信、ハガキや手紙の送付などです。一人でプラカードや旗指物を掲げて歩くヒトリデモ(警察への届け出不要)、手製のチラシの配布も大歓迎です。「老朽原発うごかすな!実行委員会」で作成したチラシ(添付)をご配布をいただける方は、必要枚数とお届け先をお知らせ頂ければ送付いたします。連帯行動を企画頂ける場合、ご一報ください(6.6大集会で紹介します)。

 なお、「老朽原発うごかすな!実行委員会は」、関電が美浜原発3号機への燃料装荷を始めた5月20日、約50人の結集を得て、美浜町、関電原子力事業本部、美浜原発に向けて、緊急抗議行動を展開しました。

 あらゆる可能な行動で「老朽原発うごかすな!」を訴えましょう! 理は私たちにあります。老朽原発再稼働の理不尽に、もっともっと大きな運動で対抗しましょう! まだまだ、老朽原発再稼働阻止は可能です!

「老朽原発うごかすな!実行委員会」(連絡先:木原壯林 ☏090-1965-7102)