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◆[2020/12 /15 美浜町議会資料(1) ]原子力発電所特別委員会報告(再稼働派議員の発言など)

 ただ今から、原子力発電所特別委員会の委員長報告を行います。
 令和2年12月9日午前10時00分から美浜町議会全員協議会室で、委員7名及び議長の出席のもとに本委員会を開催し、10月19日及び11月30日に本委員会に付託されました請願12件についての審査を行いました。
 また、職務執行のため議会事務局長を出席させました。
 以下、本委員会で審査された主な点について申し上げます、

(1) 請願第3号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について

 はじめに、紹介議員の北村晋議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:2030年には、ガソリン車をなくすと言われており、このまま行くと主流になっている火力発電もなくなる状態になってくる。今の太陽光発電や風力発電では、ベースロード電源にはならない。これからの時代に、電気をどのように供給するかということになると、やはり原子力である。安全安心な原子力発電所を稼働することが大事であるので、この請願書には賛成する。

意見:町の経済面を考えた場合、関西電力関係の会社は、元請けと一次、二次、三次以外の下請会社も含めると約350社あり、11月現在、働く作業員は2、200名を超えると聞く。これらの人々による経済効果は非常に大きいので、今回の再稼働には賛成である。

意見:美浜町は、原子力発電所がない頃は何もなかった。その頃は商店街も非常に潤っており、漁業も農業も非常に中堅的な位置にあった。今や農業は衰退し、商店街も崩壊し漁業もいま一歩だと認識している。したがって、これからの美浜町を考えるのであれば、原子力発電所に依存するのではなく、一からこの町をどうするかを、いろんな方面から考え出して、よりよいまちづくりをしていかなければならない。原発のない社会を望んでいるので、再稼働には反対である。

意見:今の脱炭素社会の方向性を見ると、自動車が電気自動車に切り替わっていき、さらなる電気の需要が高まり、電気のない社会は考えられない。今後電気をどのように確保していくかは、今の時点で原子力発電所を全く抜きには考えられない。今後のエネルギー事情を考えると、規制庁の基準に合った設備で稼働できるのであれば、再稼働は認める。

(2) 請願第4号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について

 はじめに、紹介議員の﨑元良栄議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:現時点において原子力発電は必要であると考える。その大前提は、核燃料サイクルの課題等もあるが、技術面と事業者の管理運営面での安全確保にある。このたび大飯発電所での司法判断が示されたが、それは驚きである。現在、目本のエネルギーは多くの化石燃料を海外に依存しており、非常に低い自給率のエネルギー事情を考えると、原子力は純国産と言われるので、今この原発をやめるという判断は、非常に現実的でないと考える。この請願には賛成である。

意見:再生可能エネルギーに頼るが、再生可能エネルギーの発電は自然が相手なので、安定した電気の供給が難しくなる、その点を考えると、原子力発電の再稼働は必要であるので、この請願には賛成する。

(3) 請願第5号 老朽原発の再稼働に関する謂願書

 はじめに、紹介議員の河本猛畿員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:原子力発電所抜きでは将来電気が不足すると思われる。また経済を考えても原子力発電所は動かすべきだと思っているので、この請願には反対する。

意見:大飯発電所の設置基準が裁判で否定されたので、今回はそれを受け止めて再稼働を許可しないこととすべきである。よってこの請願には賛成である。

意見:40年超えは老朽であると言われるが、施設について、関西電力は全ての設備は変えられないが、順次新しいものと交換していると説明している。また、取り替えられない部分については60年の安全性が確保されると説明しているので、この請願には反対する。

(4) 請願第6号 老朽原発美浜3号機の稼働再開について拙速判断を避け、熟議を求める請願書

 はじめに、紹介議員の松下照幸議員から請顛の説明を受け、河本猛議員から補足説明を受けた後、質疑に入りました。

意見:若狭地方における原発反対の立場の方から、いろんな意見を聞いているが、その取り組みに対しては真摯に受け止め敬意を表する。原発事業は福島の原発事故が起きるまでは、非常に明るい展望とビジョンの中で進められてきた政策であった。福島で地震が起き、非常に悲惨な状態になり大変大きな問題となった。これまでにいろんな説明を聞くと、津波に対する考え方が全く浅はかであり、津波という要素がなければ、ここまでひどい放射能汚染はなかったと言われている。なぜそうなったのかは基本的なガバナンスの問題等、非常に奥深いものがある。このことを踏まえ規制委員会ができ、厳しい基準が打ち出され、それに基づいて審査が進められた。現在、配管の欠陥問題が検出され、それを修繕して原子力発電所を健全な状態で維持管理して運転するシステムスタイルができてきていると感じる。このシステムスタイルを今後も継続的にできるのであれば、大きな事故にはつながらないという備えができたというように考える。このような取組を重ねながら継続すべきなので、この請願には反対する。

(5) 請願第7号 美浜3号機の再稼働を止めるよう求める請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:立地地域だけで決める問題ではないとの指摘もあるが、ここに住む立地地域の議員の意見集約として、この請願には反対する。

(6) 請願第8号 関電の原発マネー還流の全容解明と美浜3号機再稼働の中止を求める請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:関西電力における金品受領問題事件での不祥事は、あってはならないことである。不祥事の発覚以降、自社による努力でうみを出している。その努力をしている限り、そのような努力を認めていくべきであり、今後の努力を期待し、この請願には反対する。

(7) 請願第9号 美浜原発3号機の再稼働に反対する請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:避難訓練は、美浜町や国、県も実施しているので、この請願には反対する。

(8) 請願第10号 再稼働前に美浜3号機の配管の総点検と関西電力の原発マネー還流の全容解明を求める請願書

 はじめに、紹介議員の松下照幸議員から請願の説明を受け、河本猛議員から、補足説明を受けた後、質疑に入りました。

意見:開西電力の原発マネーは、第三者委員会を設置してコンプライアンスとガバナンスの問題を、1日も忘れないで解決していくとの説明であるので、この請願には反対する。

意見:原発マネーに対して、町長は以前の議会で美浜町はきれいだと話しているが、原発が運転を開始してから50年間の調査は実施していただきたいので、この請願には賛成する。

(9) 請願第11号 関西電力美浜原子力発電所3号機の再稼働に関する請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:地震の基準地震動が993ガルでは過小だという説明であったが、規制庁の話では1.5倍の余裕を見ていると聞いている。この請願には反対である。

意見:今回の大飯発電所の裁判結果や現在名古屋地裁で継続進行中の件は、似たようなところがあるので、この請願には賛成する。

(10) 請願第12号 美浜原子力発電所3号機の再稼働を認めないことを求める請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:元データづいて、国側がノーチェックであるとか縮尺を変えて比較した等、非常に具体的な内容が書かれているが、それらのノーチェックのことは、ほとんど我々は分からない。これに対して、高浜原発について全く元データも見ずに、さっさと合格にしたというイメージになっているが、そういうことは決してないと考える。したがって、この表現をそのままうのみにすることは出来ないので、この請願には賛成することはできない。

(11) 請願第13号 美浜原子力発電所3号機再稼働に反対する請願

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:この請願書に、九州電力の玄海原発4号機の1基しか動いていないが、原子力発電が稼働しなくても何も問題がない。と書かれているが、これは全く認識が違っている。経済的に困窮しているところもあり、非常に多くの燃料費が海外に流出しており、二酸化炭素をたくさん排出している事情もある。原子力というのは、非常にエネルギー密度が高い。例えば100万キロワットの原子力発電所の能力を考えた場合に、美浜の産業団地にも約800キロワットの太陽光ができたが、あれだけ広大で大きなものを24時間運転しても、約100キロワットの能力しかない。そうすると、あの施設が1万ヶ所ないと100万キロワットの原子力発電所1基に相当する能力にはならない、という単純計算になるが、太陽光は夜使えないという問題もある、太陽光パネルを作製する費用、また約20年すればパネルを交換しなければならない等、非常に大きなコストも生じてくる。これだけエネルギー密度の高いエネルギー源は今のところないので、これをいかに有効活用していくかということは避けられないと考える。この請願には反対する。

(12) 請願第14号 老朽原発を動かさないように求める請願

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:意見はありませんでした。

以上の審査を終え、委員会採決を行いました結果を報告いたします。

(1)請願第3号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について
は、賛成多数をもって採択することに決しまLた。

(2)請願第4号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について
は、賛成多数をもって採択することに決しました。

(3)請願第5号 老朽原発の再稼働に関する請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(4)請願第6号 老朽原発美浜3号機の稼働再開について拙速判断を避け、熟議を求める請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(5)請願第7号 美浜3号機の再稼働を止めるよう求める請願書
は、賛成無しをもって不採択とすることに決しました。

(6)請願第8号 関電の原発マネー還流の全容解明と美浜3号機再稼働の中止を求める、請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(7)請願第9号美浜原発3号機の再稼働に反対する請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(8)請願第10号 再稼働前に美浜3号機の配管の総点検と関西電力の原発マネー還流の全容解明を求める請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(9)請願第11号 関西電力美浜原子力発電所3号機の再稼働に関する請願書
は、賛成少掌をもって不採択とすることに決しました。

(10)請願第12号 美浜原子力発電所3号機の再稼働を認めないことを求める請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(11)請願第13号 美浜原子力発電所3号機再稼働に反対する請願
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(12)請願第14号 老朽原発を動かさないように求める請願
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

以上のとおり協議を終了し、午前11時32分本委員会を閉会いたしました。
これをもって、原子力発電所特別委員会の委員長報告を終わります。

↓ 関連ページへのリンク
2020.12.15 美浜闘争 報告とお礼
[2020/12 /15 美浜町議会資料(2) ]河本猛 議員の発言
[2020/12 /15 美浜町議会資料(3) ]松下照幸 議員の発言

◆2020.12.15 美浜闘争 報告とお礼

【2020年12月18日,京都キンカンで配付】

 12月15日、霙(みぞれ)、雪、霰(あられ)の荒天の下、美浜町で、老朽原発再稼働同意への抗議闘争を展開しました。ご参加の皆様、お疲れ様でした。有難うございました。
 町議会では、再稼働同意が可決されましたが、まだまだ闘いは続きます。そして、必ず勝利します。何としても老朽原発を廃炉に追い込み、それを突破口に原発全廃を実現しましょう!

老朽原発うごかすな!実行委員会・木原(若狭の原発を考える会:090-1965-7102)


▲2020年 12 月 16 日 毎日新聞朝刊


▲2020年 12 月 16 日 日刊県民福井朝刊


▲2020年 12 月 16 日 日刊県民福井朝刊

12 月15 日の町議会では、
「原子力発電所特別委員会報告」が行われ、討論の後、
老朽・美浜原発3 号機の再稼働に同意を求める請願書が可決され、
再稼動に反対する請願書は、否決されました。

(「原子力発電所特別委員会報告」は「2020/12/15 美浜町議会資料(1)」に掲載。

議会討論の中で、再稼働賛成の町長や議員は、その理由を、
①「世界一厳しい新規制基準」の下に、原子力規制委員会が稼働を認めているから、
②国策だから、
③町の経済発展のためなど、
と述べています。

 しかし、「世界一厳しい?基準」で審査して再稼動した原発がトラブル続きです。原発が、人類の手に負えないことを示します。また、国策で推進した、福島原発が大事故を起こして、住民に塗炭の苦しみを与えたのです。さらに、原発が重大事故を起こせば、立地自治体のみならず、極めて広域の経済が完全に破壊されることも福島事故が教えています。使用済み核燃料の処理処分には、想像もできないほどの巨費を要し、何万年後の人々にまで負の遺産を残します。原発を進める関電やそれを支持する人たちは、一時の利己的・経済的利益の追求のみ走っているのです。

 これに対して、老朽原発の廃炉を求める議員(河本 猛氏、松下照幸氏)のご発言は、原発、とくに老朽原発運転の理不尽さを理路整然と指摘しています。両議員の美浜町議会でのご発言を下記に掲載しています。是非ご一読下さい。

[2020/12 /15 美浜町議会資料(1) ]原子力発電所特別委員会報告(再稼働派議員の発言など)
[2020/12 /15 美浜町議会資料(2) ]河本猛 議員、再稼働反対の発言
[2020/12 /15 美浜町議会資料(3) ]松下照幸 議員、再稼働反対の発言

◆リレーデモ最終日 2020年12月9日、美浜町長宛「関西電力の老朽原発に関する申し入れ」

美浜町・町長 戸嶋 秀樹 様

関西電力の老朽原発に関する申し入れ

 福島原発事故から10年近くになりますが、避難者の多くが故郷を奪われたままです。事故終息は見えず、トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。
 
 その原発が老朽化すれば、危険度が急増します。それは、高温、高圧の下で高放射線(とくに中性子)に長年さらされた原子炉の圧力容器や配管の脆化、腐食、減肉が進んでいるからです。また、老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当な部分が多数あるからです。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた圧力容器などです。
 
 それでも、関西電力(関電)は、運転開始後44年を超えた老朽原発・美浜3号機を再稼働し、全国の原発の60年運転を先導しようとしています。また、原子力規制委員会(規制委)は、2016年11月、美浜原発3号機の40年超え運転を、拙速審議によって認可しました。
 
 しかし、この認可以降に、関電の原発に関連して、蒸気発生器伝熱管の減肉などのトラブル、老朽原発再稼働準備工事中の死亡を含む人身事故、原発マネーに関わる不祥事が頻発しています。これらは、認可の過程では想定されなかったものです。原発の40年超え運転が、人の命や尊厳、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可したことを示しています。
 
 なお、規制委の審査のいい加減さは、去る12月4日の大阪地裁判決でも指摘されています。規制委は、原発敷地で起こり得る地震規模の推定について、推定に用いる式(経験式)で得られる規模は平均値であり、バラツキを考慮すればさらに大きな地震が発生する可能性があるから、「バラツキを考慮せよ」と規定していました。しかし、この規定にも拘らず、原発運転の認定にあたっては平均値を基準地震動として採用し、平均値に見合った耐震性で可としています。大阪地裁は、これが過小評価であるとして、大飯原発3、4号機の設置許可の取り消しを命じたのです。この判決に基づけば、同様な方法で推定された老朽美浜原発3号機敷地の基準地震動も過小評価していることになります。
 
 さらに、関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。候補地の一つと目されていたむつ市の宮下市長は、去る11月25日に受け入れを否定しています。このような状況下でも、関電は、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない関電の姿勢の現われです。許されるものではありません。
 
 ところで、いま、新型コロナウイルス(コロナ)の感染が拡大しつつあり、美浜原発でも7人の感染が発生し、美浜町長の同原発視察も急遽中止されました。
 
 コロナが蔓延する中で若狭の原発が重大事故を起せば、集団での避難中のバスの中で、避難先で長く続く集団生活の中で、ウイルスの感染を防ぐことは不可能です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。一方、コロナが原発内に蔓延すれば、検査や点検が行き届かなくなり、原発の安全が保たれなくなります。そのコロナ感染の拡大の中でも関電は、危険極まりない老朽原発の再稼働の準備を継続しています。少なくとも、コロナの終息が宣言されるまでは、老朽原発の運転を見合わせることが、最低限の企業倫理です。
 
 今、美浜町では、老朽原発・美浜3号機の再稼働の是非が議論されています。その中で、再稼働に賛成する人たちは、賛成の理由として、「規制委が、世界一厳しい審査基準で審査して、運転を認めているから」、「国策だから」、「町の経済発展に不可欠だから」などを挙げています。町長もそのような視点の発言をされています。
 
 しかし、規制委の認可を得て再稼働した原発で、事故やトラブルが頻発している事実は、「世界一厳しい審査基準」に適合した原発であっても、トラブルや事故は避けえないこと、規制委の審査がいいかげん極まりないことを示しています。
 
 また、国策で進められた福島原発で大事故が起こり、多くの人々が今でも、苦難の生活を続けておられます。自治体住民の安全・安寧を保全することが地方自治の基本であることに鑑みれば、国策にかかわらず、住民に塗炭の苦しみを与える重大事故を起こしかねない老朽原発の再稼働など認めてはならないことを示しています。
 
 さらに、もし、美浜原発で重大事故が起これば、町の経済発展どころか、美浜町は2度と住めない故郷になる可能性があります。重大事故が起こらなくとも、原発を稼働させれば、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が蓄積します。老朽原発の再稼働は、一時の経済的利益のため、私企業・関電の利益のために画策されているとしか考えられません。
このように、原発が現在科学技術の手に負えず、その運転が人の命と尊厳をないがしろにして進められていることは明らかです。
 
 一方、美浜町長は、「万が一原発重大事故が起こったとき、その責任は、電力会社と国にあり、町長や町議会にはない」との発言をされています。しかし、原発立地自治体の意向が、原発再稼働の可否に大きく反映されることは明らかです。そのために、立地自治体の動向に報道はじめ多くの人々が注目しているのです。原発重大事故の責任は、原発稼働に同意を与えた立地自治体にもあることは明らかです。しかも、美浜原発から100 kmの圏内には福井県のみならず、京都府、滋賀県のほとんど、大阪府、兵庫県、岐阜県の多くの部分が含まれ、美浜原発が重大事故を起こせば、これらの地域も被災地になる可能性がありますから、美浜町長は、これらの地域の住民にも責任を問われることになります。
 
 以上の視点に立って、「12.9申し入れ・抗議行動参加者一同」および「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、美浜町長に、以下を申し入れます。
 
【1】 関電と政府に、危険極まりない老朽原発・美浜3号機の再稼働準備の即時中止とこれらの原発の廃炉を求めて下さい。

【2】 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。関電と政府に、全ての原発の停止と、安全な廃炉を求めて下さい。
原発即時廃炉の要求が困難である場合でも、少なくとも、以下をお願いします。

【3】 関電の原発で起こったトラブル、事故、幹部の不祥事の原因は解明されているとは言えません。原因が十分解明されない中での美浜原発再稼働に同意しないで下さい。

【4】 大阪地裁の判決で求めているように、美浜原発敷地の基準地震動と原発の耐震性の見直しを、関電と規制委に求めて下さい。

【5】 新型コロナウイルスの終息が宣言される以前の美浜3号機運転に同意しないで下さい。

【6】 関電に、使用済み核燃料の安全な保管地と安全な処理・保管法を早急に提示するよう求めてください。提示できなければ、原発再稼働を認めないで下さい。

【7】 原発が稼働する限り、美浜町全域が重大事故の被害地になりかねません。美浜町として重大事故への対応策を示し、全町民の避難訓練を実施して下さい。

【8】 美浜原発が重大事故を起こせば、その被害は美浜町をはるかに超えて関西や中部にもおよぶ可能性があります。美浜3号機の再稼働の是非を審議するにあたって、広範な周辺自治体住民の意見も念頭において下さい。

2020年12月9日

12.9申し入れ・抗議行動参加者一同
老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先;木原:090-1965-7102)

◆リレーデモ最終日 2020年12月9日、関西電力宛申し入れ(美浜町の関電原子力事業本部にて)

関西電力株式会社
取締役会長 榊原定征 様
取締役社長 森本 孝 様
原子力事業本部長 松村孝夫 様

申し入れ

 福島原発事故から10年近くになりますが、避難者の多くが故郷を奪われたままです。事故終息は見えず、トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 その原発が老朽化すれば、危険度が急増します。それは、高温、高圧の下で高放射線(とくに中性子)に長年さらされた原子炉の圧力容器や配管の脆化、腐食、減肉が進んでいるからです。また、老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当な部分が多数あるからです。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた圧力容器などです。

 それでも、貴関西電力(関電と略)は、運転開始後44年、46年、45年を超えた老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機を再稼働し、全国の原発の60年運転を先導しようとしています。また、原子力規制委員会(規制委と略)は、2016年、これらの原発の40年超え運転を、拙速審議によって認可しました。

 しかし、この認可以降に、関電の原発に関連して、高温・高圧(320℃・157気圧)の1次冷却水が流れる蒸気発生器配管の減肉、亀裂をはじめとする各種のトラブル、原発再稼働準備工事中の人身事故、原発マネーに関わる不祥事が頻発しています。これらは、老朽原発運転認可の過程では想定されなかったものです。例えば、本年だけでも、高浜3号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷(2月)、大飯3号機の圧力容器と蒸気発生器をつなぐ配管で亀裂(9月)、高浜4号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷(11月)が発見され、高浜4号機でケーブル火災(11月)が発生しています。また、高浜原発1、2号機敷地内の掘削中のトンネルでの死亡事故(3月)、高浜原発1号機(4月)、美浜3号機(8月)、大飯原発3号機(8月)での転落事故などが報道されています。この事実は、原発は、運転開始後40年に満たなくても、トラブルや事故を多発させる装置であることを物語っています。

 一方、昨年来の原発マネーに係わる不祥事の調査は,未だに納得できるものではなく、関電が企業体質を抜本的に改善したとするにはほど遠い状態にあることは、原発立地自治体をはじめ、多くが指摘するところです。それでも、関電は、不祥事はなかったかの如く老朽原発の再稼働準備を進めています。

 原発の40年超え運転が、人の命や尊厳、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可したことを示しています。

 なお、原発再稼働に賛成する人たちは、賛成の理由として、「規制委が、世界一厳しい審査基準で審査して、運転を認めているから」、「国策だから」、「経済発展に不可欠だから」などを挙げています。しかし、規制委の認可を得て再稼働した原発で、事故やトラブルが頻発している事実は、「世界一厳しい審査基準」に適合した原発であっても、トラブルや事故は避けえないこと、規制委の審査がいい加減極まりないことを示しています。また、国策で進められた福島原発で大事故が起こり、多くの人々が今でも、苦難の生活を続けておられる事実は、国策にかかわらず、住民に塗炭の苦しみを与える重大事故を起こしかねない老朽原発の再稼働など認めてはならないことを示しています。さらに、もし、原発で重大事故が起これば、経済発展どころか、原発立地自治体はおろか極めて広域が二度と住めない故郷になる可能性があります。重大事故が起こらなくとも、原発を稼働させれば、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が蓄積します。老朽原発の再稼働は、一時の経済的利益のため、私企業・関電の利益のために画策されているとしか考えられません。

 なお、規制委の審査のいい加減さは、去る12月4日の大阪地裁判決でも指摘されています。規制委は、原発敷地で起こり得る地震規模の推定について、推定に用いる式(経験式)で得られる規模は平均値であり、バラツキを考慮すればさらに大きな地震が発生する可能性があるから、「バラツキを考慮せよ」と規定していました。しかし、この規定にも拘らず、原発運転の認定にあたっては平均値を基準地震動として採用し、平均値に見合った耐震性で可としています。大阪地裁は、これが過小評価であるとして、大飯原発3、4号機の設置許可の取り消しを命じたのです。この判決に基づけば、同様な方法で推定された老朽美浜原発3号機、高浜原発1,2号機敷地の基準地震動も過小評価していることになります。このバラツキに関する議論は、いやしくも科学・技術に携わる者なら、誰しも納得できるものです。関電は、基準地震動の再評価を行い、それに見合った耐震対策を施すべきです。

 ところで、関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。候補地の一つと目されていたむつ市の宮下市長は、去る11月25日に受け入れを否定しています。このような状況下でも、関電は、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない姿勢の現われです。許されるものではありません。

 さて、いま、新型コロナウイルス(コロナと略)の感染が拡大しつつあり、11月17日までに、美浜原発でも7人の感染が確認され、美浜町長の同原発視察も急遽中止されました。12月になってからは、さらに1人の感染が確認されています。

 コロナが蔓延する中で原発が重大事故を起せば、集団避難中のバスの中で、避難先で長く続く集団生活の中で、ウイルスの感染を防ぐことは不可能です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。一方、原発内でコロナが蔓延すれば、検査や点検が行き届かなくなり、原発の安全が保たれなくなります。そのコロナ感染の拡大の中でも関電は、危険極まりない老朽原発の再稼働の準備を継続しています。少なくとも、コロナの終息が宣言されるまでは、原発の運転を見合わせることが、最低限の企業倫理です。

 以上の視点に立って、「12.9申し入れ・抗議行動参加者一同」および「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、貴関西電力に、以下を申し入れます。

【1】 危険極まりない老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働準備を即時中止し、これらの原発の廃炉を決定してください。

【2】 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。全ての原発を停止し、安全な廃炉を進めてください。
原発の即時廃炉が困難である場合でも、少なくとも、以下を実行してください。

【3】 使用済み核燃料の安全な保管地と安全な処理・保管法を早急に提示してください。提示できなければ、原発は稼働させないでください。

【4】 関電の原発で最近起こったトラブル、事故、原発マネー不祥事の原因は解明されているとは言えません。原因が十分解明され、対策が施されるまで、原発を稼働させないでください。

【5】 大阪地裁判決が求めているように、大飯原発、高浜原発、美浜原発の敷地の基準地震動の大きさを見直し、原発の耐震性を再検討してください。

【6】 コロナの終息が宣言されるまで原発を稼働させないで下さい。

【7】 関電の原発が重大事故を起こせば、その被害2020年12月美浜町長申し入れは、若狭をはるかに超えて関西や中部にもおよぶ可能性があります。原発を稼働させようとするのなら、広範な周辺自治体住民の意見にも、十分耳を傾けてください。

2020年12月9日

12.9申し入れ・抗議行動参加者一同
老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先;木原:090-1965-7102)

◆「老朽原発うごかすな!リレーデモ」ご参加、ご支援、ありがとうございました

「老朽原発うごかすな!リレーデモ」が美浜町に到着!延べ1380人が参加
11月23日、出発集会「老朽原発うごかすな!関電包囲大集会」550人が参加
12月9日、到着、「老朽原発うごかすな!美浜町内デモ」「美浜町抗議、申し入れ」「関電原子力事業本部抗議。申し入れ」200人が参加

ご参加、ご支援、ありがとうございました。


▲2020年11月24日朝日新聞朝刊


▲2020年11月26日朝日新聞朝刊


▲2020年12月10日毎日新聞朝刊


▲2020年12月10日中日新聞、県民福井朝刊


▲2020年12月10日朝日新聞朝刊


▲2020年12月11日しんぶん赤旗

▲電力大手が総掛りで
関電の老朽原発再稼働を進めようとしている!
電気事業連連合会が
「むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設」の共用を画策
許してはならない!

┌───────────────────────────────

12月15日
美浜町議会の老朽原発
再稼働同意を阻止しよう!
議会の傍聴、
緊急抗議闘争に起とう!
午前8時、美浜町役場前に結集しよう!

└───────────────────────────────

老朽原発うごかすな!実行委員会(連絡先:木原090-1965-7102)

◆危険すぎる老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の即時廃炉を!関電本店(大阪市)~原子力事業本部(美浜町)200 km リレーデモ 出発宣言

危険すぎる老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の即時廃炉を!
関電本店(大阪市)~原子力事業本部(美浜町)200 km リレーデモ

出発宣言

 福島原発事故から10年近くになりますが、避難者の多くは今でも故郷を奪われたままです。事故収束の見通しは立たず、トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置ではありません。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。
 
 それでも、関電は運転開始後44年、45年を超えた老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼動を画策し、全国の原発の60年運転を先導しようとしています。
 
 さて、原子力規制委員会が、これらの老朽原発の運転を認可したのは2016年ですが、認可以降に、関電の原発に関連して、高温、高圧の1次冷却水が流れる蒸気発生器配管の損傷などのトラブル、再稼働準備工事中の死亡を含む人身事故、原発マネーに係わる不祥事が頻発しています。一方、関電は「使用済み核燃料の中間貯蔵施設候補地を2018年までにさがす」としながら、その約束を反故(ほご)にしたままです。これらは、認可の過程では想定されなかったものばかりです。原発の40年超え運転が、人の命や尊厳、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委員会がそれを認可していることを示しています。
 
 美浜原発、高浜原発から100 km 圏内には、76万人が住む福井県のみならず、257万人が住む京都府、141万人が住む滋賀県のほぼ全域、198万人が住む岐阜県の西半分が含まれます。大阪府、兵庫県の多くの部分も含まれます。このことと、福島原発事故では事故炉から約50 km 離れた飯舘村も全村避難であったことを考え合わせれば、美浜原発や高浜原発で重大事故が起これば、原発周辺の住民のみならず、何百万人もの人々が避難対象になりかねません。避難は不可能です。琵琶湖は30~80 km 圏内にあり、重大事故では関西1450万人の飲用水が奪われます。危険極まりない老朽原発の運転などもっての外です。
 
 今、老朽原発・美浜3号機、高浜1号機再稼動の動きが急を告げています。高浜町では、11月12日に臨時町議会を開き、高浜原発1号機の再稼動を求める請願を採択し、「立地地域の振興や原発の安全管理の徹底を求める」意見書を可決し、経産省などに提出しています。また、25日に全員協議会を開催し、再稼働同意についての議会の意見をまとめ、野瀬豊町長に報告するスケジュールを進めています。
 
 一方、美浜町では、11月30日に議会本会議を予定し、美浜3号機の再稼動への同意を強行しようとしています。まさに「風雲急を告げる」事態です。
しかし、もう一つの原発立地自治体である福井県の杉本知事は、10月22日、「運転に同意するには、関電が使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地を示すことが前提」と明言しています。どんなカラクリがあるかは疑問ですが、私たちの行動如何では、老朽原発即時廃炉の可能性はまだまだ十分あります。
 
 何としても老朽原発を廃炉に追い込み、それを突破口に原発全廃を実現しなければなりません。本日、関電包囲大集会に結集した私たちは、関電本店~美浜町へ至る200km、17日間のリレーデモを貫徹し、原発重大事故では、避難者になりかねない沿道各地の皆様に、老朽原発即時廃炉を訴えます。また、最終日の12月9日には、老朽原発再稼働を画策する関電原子力事業本部および美浜町を断固として糾弾します。
 
 リレーデモおよび美浜行動を何としても成功させましょう!
原発の40年超え運転と新設を阻止すれば、最悪でも、2033年には若狭から、2049年には全国から稼働する原発が無くなります。老朽原発を廃炉に追い込み、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!

2020年11月23日
「老朽原発うごかすな!関電包囲大集会」参加者一同

◆関西電力の老朽原発に関して京都市長に申入

 原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料の処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、危険度が急増します。それは、原子炉の圧力容器(原子炉本体)や配管が高温、高圧の下で高放射線(とくに中性子)にさらされると、脆化(ぜいか)、腐食、減肉が進むからです。また、老朽原発には、建設時には適当とされていたものの、現在の基準では不適当な部分が多数あるからです。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた圧力容器などです。

 それでも、関西電力(関電)は、9月18日、運転開始後40年をはるかに超え、超危険な老朽原発・美浜3号機、高浜1号機の安全対策工事が完了したとし、これらの原発の来年1月、3月稼働を狙っています。全国の原発の60年運転を先導しようとするものです。

 ところで、原子力規制委員会(規制委)が高浜原発1、2号機および美浜原発3号機の40年超え運転を認可したのは2016年ですが、この認可以降に、関電の原発では、下記【1】~【4】のように、トラブル、事故、不祥事、約束違反が頻発しています。これらは、規制委審査の過程では想定されなかったことばかりです。原発の40年超え運転が、人の命や尊厳、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可したことを示しています

 【1】関電の原発での最近のトラブルの例
 
(1)高浜4号機では、一昨年8月、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、また、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されました。昨年10月には、蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。伝熱管の減肉・損傷は、高浜3号機でも、本年2月に見つかっています。関電は、伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が、配管を削ったためとしました。
 
(2)大飯3号機では、去る9月7日、原子炉と蒸気発生器をつなぐ1次系配管の分岐部近傍に深さ約4.3 mm、長さ約6.7 cmの亀裂があることが判明しました。
 
 なお、関電の原発のような加圧水型原発では、圧力容器で約160気圧、約320℃の熱湯となった1次冷却水を蒸気発生器中の外径約2.2 cm、肉厚約 1.3 mmの細管(伝熱管)中に流し、伝熱管外の2次冷却水を沸騰させて、約60気圧、280℃の水蒸気にします。この水蒸気が、発電機に連結されたタービンを回します。1基の原発には3、4器の蒸気発生器が設置され、1器の蒸気発生器には約3400 本の伝熱管があります。
 
 このように高圧・高温の1次冷却水が流れる蒸気発生器ですから、蒸気発生器配管の損傷は、上述のトラブルの中でもとくに深刻です。1次系配管が完全に破断すれば、原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があるからです。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。
 
 損傷した伝熱管は多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、1昨年9月段階で約1万本の伝熱管中の364本が減肉、腐食、応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされています。
 
 伝熱管の損傷は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・オノフレ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を新品に取り替えましたが、翌年、両機ともに3000本以上の伝熱管に摩耗が発見され、2013年6月に廃炉となりました。
 
 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、更新後、約25年も経過しています。それでも、規制委はこれらの原発の運転を認可しているのです。腐食、減肉、損傷が頻発する蒸気発生器を持ち、運転開始後40年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

 【2】原発再稼働準備工事での相次ぐ人身事故
 
(1)昨年9月、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故等対処施設建設用のトンネル内で溶接作業中の9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。トンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。今年3月、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中のトンネルで、協力会社社員が後退してきたトラックにはねられて亡くなられました。社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。4月には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。
 
 これらの人身事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

(2)美浜3号機では、昨年9月、安全対策工事用の足場が崩れ、2人が重軽傷を負われました。本年8月には安全対策工事中の協力会社社員が足場から転落して重傷を負われました。安全帯を着けていませんでした。同様な事故は、大飯原発3号機でも起きています。

 【3】老朽原発運転を企む関電幹部の不祥事

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが発覚し、今年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填していたことが公表されました。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。原発が、汚れた原発マネーによって推進されたことを示しています。
 
 関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新し、旧経営陣を告発していますが、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備を中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 【4】行き場のない使用済み核燃料

 関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。それでも、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない関電の姿勢の現れです。許されるものではありません。
 
 上記【1】~【4】のトラブル、事故、不祥事、約束違反は、原発の安全にとって看過できないものであり、関電が原発を安全に運転できる資質、能力、体制を持ち合わせていない証左です。老朽原発の運転などもっての他です。 今、世界全体の再生可能エネルギーによる発電量は原発を上回っています。危険極まりない原発を動かそうとする姿勢は、時代遅れで、電力会社の私利私欲でしかありません。

 ところで、この京都市役所は、高浜原発から約60km、美浜原発から約80kmの地点にあります。このことと、福島原発事故では、約50 km 離れた飯舘村が全村避難になり、約200 km離れた関東にも高濃度の放射性物質が降下したことを考えあわせますと、もし、高浜や美浜の原発で重大事故が起これば、約150万人が住む京都市も全域が避難対象地域になる可能性があります。
 
 一方、高浜原発、美浜原発から琵琶湖までは、最短距離で各々約50 km、約30 kmです。琵琶湖が放射性物質で汚染されれば、京都市民を含む1450万人が飲用水を始めとする生活水を失います。このように、京都市は全域が、若狭地域同様に、原発事故被害地になる可能性がありますが、京都市では全域の避難訓練をしたことがありません。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、京都市長に、以下を申し入れます。

【1】関電と政府に、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働準備の即時中止とこれらの原発の廃炉を求めてください。
【2】原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。関電と政府に、全ての原発の停止と、安全な廃炉を求めてください。
【3】関電に、使用済み核燃料の安全な保管地と安全な処理・保管法を早急に提示するよう求めてください。
【4】原発が稼働する限り、京都市全域が重大事故の被害地になりかねません。京都市としてそうした重大事故への対応策を示し、市内全域で市民の避難訓練を実施してください。

2020年11月18日 老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先;木原:090-1965-7102)


 なお、同様の趣旨の申入書を、
京都市会議員の皆さま、京都府知事、京都府会議員の皆さまにも提出しました。


◆若狭、関西各地で配付「危険すぎる老朽原発」

【2020年10月から,若狭,関西各地で配付】

◎福島原発事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。

◎原発事故の被害は長期におよびます。避難された方の多くは今でも、避難先で苦難の生活を送っておられます。事故を起した原子炉の内部の様子は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。汚染された土壌の除染法はなく、ごく表層をはぎ取ってフレコンバックに保存する他はありませんが、そのフレコンバックも、放射線と風化によって破損し始めています。トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が溜り続け、太平洋に垂れ流されようとしています。

◎福島原発事故は、原発が重大事故を起せば、放出された放射性物質が風や海流に乗って運ばれ、被害は広域におよぶことを実証しました。事故炉から50 km離れた飯舘村も全村避難になり、200 km以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。これは、若狭の原発が重大事故を起せば、約260万人が住む京都府、約140万人が住み、琵琶湖を有する滋賀県を始め、関西や中部の多くの部分が放射性物質に汚染されかねないことを示します。

原発は、事故を起さなくても、運転すれば、トリチウムを含む冷却水を垂れ流します。一方、原発を運転すれば、長期の保管を要する使用済み核燃料を残しますが、その行き場はなく、何万年もの未来にまで負の遺産を押し付けることになります。

原発は老朽化すると危険度が急増

 原発は事故の確率が高い装置ですが、原発を長期間運転すれば、危険度はさらに高くなります。したがって、原子力規制委員会(規制委と略)は、発足直後には、「運転開始後40年を超えた原発の稼働は例外中の例外」としていました。そのため、40年超えの原発は老朽原発と呼ばれています。2020年10月現在、高浜原発1号機(45年超え)、2号機(44年超え)、美浜原発3号機(44年超え)、東海第2原発1号機(41年超え)が老朽原発です。

原発が老朽化すれば、

 交換することのできない圧力容器(原子炉本体)などが脆化(ぜいか;もろくなること;下記注1参照)し、配管が腐食などによって減肉(やせ細る)あるいは応力腐食割れ(腐食と引っ張る力の相乗効果で生じる亀裂)などが生じます。

 また、40年以上も前に建設された原発では、建設時には適当とされていたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。しかし、その全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中には交換不可能なものがあります(圧力容器など)。

 それでも、関西電力(関電と略)と政府は、原発の40年超え運転は「例外中の例外」としていた約束を反古(ほご)にして、老朽原発・高浜1、2号機,美浜3号機の再稼動を画策しています。

┌─────────────────────────────────
注1 脆化した圧力容器は緊急時に破裂の危険性  原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、加圧水型の場合、運転中は、約320℃、約150気圧の環境で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、一定温度(脆化温度)以上では、ある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆くなります。すなわち、脆化します。

 この硬化温度は、原子炉運転期間が長くなると高くなります。例えば、初期には-16℃以下で硬化した鋼鉄も、40年も中性子に曝され続けると、100℃以上でも硬化するようになり、脆くなります。

 このように脆くなった圧力容器を持つ原子炉から冷却水が失われて、緊急事態に陥ったとき、原子炉内は高温になりますが、ここに冷却水が送り込まれ、圧力容器が脆化温度以下に急冷されますと、破裂し、福島事故以上の事態を招く危険があります。 └─────────────────────────────────

老朽原発の運転認可後に、想定外の トラブル、人身事故、不祥事が頻発

 規制委は、2016年、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の40年超え運転を、拙速審議(審議時間、回数は通常の約半分)によって認可しました。  しかし、この認可以降に、関電の原発では、トラブル、死亡を含む人身事故、原発マネーに関わる不祥事などが頻繁に発生・発覚しています。これらは、規制委による審査の過程では想定されていなかったことばかりです。

 原発の40年超え運転が、人の命や尊厳を軽視し、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可していることを示しています。

関電の原発での最近のトラブル(例)

(1)高浜4号機では、再稼働準備中の2018年8月、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、また、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されました。再々稼働準備中の昨年10月には、3台の蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷は、高浜3号機でも、本年2月に見つかっています。関電は、これらの伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が、配管を削ったためとしました。

(2)大飯3号機では、定期検査中の去る9月7日、原子炉と蒸気発生器をつなぐ配管から加圧器方向に枝分かれした直径約11 cm、厚さ約14 mmの配管の溶接部に、深さ約4.6 mm、長さ約6.7 cmの亀裂があることが明らかになりました。原因は応力腐食割れとされています。関電は、このまま13ヶ月間の運転を継続しても配管の健全性は保たれるとして、次回の定期検査で交換する方針を示しましたが、規制委は検証は不十分とし、運転停止は長期化する情勢です。

「老朽原発のアキレス腱」・蒸気発生器で多発する 配管の損傷

 頻発するトラブルの中でも蒸気発生器配管の損傷はとくに深刻です。関電の原発のような加圧水型原発の格納容器の中には、圧力容器と蒸気発生器(3~4器)があります(以下の模式図参照)。圧力容器内には核燃料があり、蒸気発生器の中には、外経約2.2 cm、肉厚約 1.3 mm の伝熱管(あるいは伝熱細管)と呼ばれる細管が約 3400 本あります。

 圧力容器で約160気圧、約320℃の熱湯となった1次冷却水は、蒸気発生器伝熱管内を巡って、伝熱管の外を流れる2次冷却水を沸騰させて、約60気圧、約280℃の水蒸気にします。この水蒸気は、発電機に連結されたタービンを回します。

 もし、高温・高圧の熱湯が流れる蒸気発生器の伝熱管等の配管が完全に破断すれば、一次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があります。そのため、「蒸気発生器は、加圧水型原発のアキレス腱」と呼ばれています。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。

 破断すれば重大事故を招く蒸気発生器配管の損傷は多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、2018年9月段階で約1万本の伝熱管の内、364本が摩耗によって使用不能になり、栓がされています。

 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、更新後、約25年も経過しています。それでも、規制委はこれらの原発の運転を認可しています。

 蒸気発生器の破損は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・オノフレ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を新品に取り替えましたが、2012年、両機ともに3000本以上の蒸気発生器伝熱管に早期摩耗が発見され、2013年6月に廃炉となりました。  伝熱管の損傷の中でも、昨年10月と本年2月に高浜原発4、3号機で見つかった損傷は、さらに深刻な問題を提起しています。関電と規制委が原因とした「混入した異物による損傷」は、規制委の再稼働審査では全く想定されていなかったことです。

 「異物の混入」は、人のうっかりミスによっても起こりますが、炉内での腐食や破損によっても起こります。例えば、規制委の審査では、原子炉内構造物を固定する約1100本のボルト(バッフル・フォーマーボルト)の腐食による損傷数は、60年運転時点で全体の20%以下であるから、原発を60年運転しても安全を維持できるとしていますが、破損ボルトが異物として炉心や配管内を駆け巡り、核燃料や配管を損傷する可能性も大いにあります

 以上、伝熱管の破損を例に、蒸気発生器が極めて危険な状態にあることを指摘しましたが、本年9月に大飯原発3号機の加圧器近辺の配管で発覚した亀裂は、伝熱管とは比較にならないほど大きな配管の破損であり、さらに深刻です。

 腐食、減肉、損傷が頻発する蒸気発生器を持ち、運転開始後40年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

再稼働を急ぐ老朽原発で 人身事故が多発

 昨年9月、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送され、4人が集中治療室に入りました。事故の起こったトンネルには外気を取り込むダクトが設置されていませんでした。

 今年3月には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、発破用の火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、亡くなられました。同社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。

 今年4月には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 美浜3号機では、昨年9月、安全対策工事用の足場が崩れ、2人が重軽傷を負われました。本年8月には安全対策工事中の協力会社社員が足場から転落して重傷を負われました。安全帯を付けていなかったそうです。同様な事故は、本年8月。大飯原発3号機でも起きています。

 これらの内、高浜、美浜の事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

 なお、最近の2件の事故は、2004年8月に美浜3号機で発生した2次冷却水配管の破損により5人が死亡し、6人が重傷を負われた事故の慰霊行事で、森本関電社長が「労災防止」を誓った直後に起こったものです。

老朽原発運転を企むのは、 原発で私腹を肥やす関電

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されていたことが暴露され、また、今年3月には、電気料金値上げの際にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填をしていたことが発覚し、多くの人々の怒りをかっています。

 このお金は、元をただせば私たちが支払った電気料金です。私たちの電気料金を建設業者などに垂れ流し、汚れた原発マネーとして関電幹部に還流させたのです。

 しかも、お金を受けとった関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。この事は、危険極まりなく、喜んで引き受ける場所がない原発を引き受けさせる見返りとして、地域自治体、企業、住民に汚れた原発マネーをバラマキ、「人の命と尊厳」を犠牲にして「経済的利益」を選択することを強いたことを物語っています。

 このように、原発が汚れた原発マネーによって推進されたことは明らかですが、それでも関電は、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させようとしています。また、不祥事を反省して役員人事を刷新したとし、旧経営陣を告発していますが、会長に、不祥事の原因である原発の推進を掲げる榊原前経団連会長を就任させました。

 関電幹部には、企業倫理や法令を遵守する姿勢がないことは明らかです。関電が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備を中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

行き場のない使用済み核燃料

 関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。それでも、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない関電の姿勢の表れです。許されるものではありません。

原発のない若狭は実現できる!

 今、関電や政府は、45年超えにもなろうとする老朽原発・美浜3号機、高1、2号機を再稼働させ、全国の原発の60年運転を先導しようと懸命です。人の命と尊厳をないがしろにする原発社会の延命を図っているのです。許してはなりません!

 いま、脱原発・反原発は圧倒的な民意ですが、老朽原発の運転に反対する声はさらに大きく、運転を認める声などほとんどありません。

 原発の40年超え運転を阻止すれば、美浜町からは即時、高浜町からは5年後に、おおい町からは13年後に、運転中の原発が無くなります。若狭の原発は2033年に、全国の原発は2049年にゼロになります。原発反対の行動が高揚すれば、もっと早く原発をなくすことも可能です。

原発のない社会はすぐそこです。 重大事故が起こる前に原発を全廃しましょう! 原発ゼロに向けて、 まず、「老朽原発うごかすな!」の 声を上げましょう!

11月23日(月、休)に 関電本店(大阪)を出発し、 12月9日(水)に 関電原子力事業本部(美浜町)に至る 200 km リレーデモで、 老朽原発を廃炉に追い込みましょう!


老朽原発うごかすな!実行委員会 連絡先;木原壯林(090-1965-7102)


◆関電原子力事業本部(美浜町)での申入書

【2020年9月28日,関電原子力事業本部での申入書】

関西電力株式会社:
 取締役会長 榊原定征 様
 取締役社長 森本 孝 様
 原子力事業本部長 松村孝夫 様

申 入 書

 原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料の処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、危険度が急増することは多くが指摘するところです。それでも、貴関西電力(関電と略)は、2016年、高浜発電所(高浜原発と略)1、2号機および美浜発電所(美浜原発と略)3号機の40年超え運転の認可を原子力規制委員会(規制委と略)から得て、再稼働準備を進めています。

 しかし、規制委の認可以降に、関電の原発に関連して、下記のように、認可の過程では想定されなかった、あるいは重要視されなかったトラブル、事故、不祥事が頻発しています。原発の40年超え運転が理不尽であることを示しています。

【1】関電の原発での最近のトラブルの例

(1)高浜4号機では、再稼働準備中の1昨年8月、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、また、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されました。再々稼働準備中の昨年10月には、3台の蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷は、高浜3号機でも、本年2月に見つかっています。関電は、伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が、配管を削ったためとしました。

(2)大飯3号機では、定期検査中の去る9月7日、原子炉と蒸気発生器をつなぐ1次系配管で深さ約4.3 mm、長さ約6.7 cmの傷があることが明らかになりました。

 上記のトラブルの中でも蒸気発生器伝熱管などの1次系配管の損傷はとくに深刻です。高温・高圧水が流れる1次系配管が完全に破断すれば、原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があるからです。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。

 損傷した伝熱管も多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、1昨年9月段階で約1万本の伝熱管中の364本が摩耗による減肉、腐食、応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされています。

 蒸気発生器の破損は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・オノフレ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を三菱重工業製の新品に取り替えましたが、2012年、両機ともに3000本以上の伝熱管に早期摩耗が発見され、2013年6月に廃炉となりました。

 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、更新後、約25年も経過しています。それでも、規制委はこれらの原発の運転が認可しているのです。

 蒸気発生器は、「加圧水型原発のアキレス腱」と言われるほど、トラブルが頻発する装置ですが、上記の減肉は、さらに深刻な問題を提起しています。それは、減肉の原因が、規制委の審査では想定されていない「混入した異物による損傷」であることです。「異物の混入」は、人為ミスや腐食、金属疲労によっても起こりますが、炉内での腐食や破損によって発生した固形物によっても起きます。例えば、規制委の審査では、炉内構造物を固定するバッフルフォーマーボルトの応力腐食割れによる損傷数は60年運転時点で全1088本の内の20%以下であるから安全を維持できるとしていますが、破損ボルトが異物として配管、核燃料などを損傷する可能性もあります。

 腐食、減肉、損傷が頻発する蒸気発生器を持ち、運転開始後40年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

【2】原発再稼働準備工事での相次ぐ人身事故

(1)昨年9月、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設建設用のトンネル内で溶接作業中の9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。このトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。今年3月、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、協力会社社員が、後退してきたトラックにはねられて亡くなられました。社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたと報道されています。4月には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

(2)美浜3号機では、昨年9月、安全対策工事用の足場が崩れ、2人が重軽傷を負われました。本年8月には安全対策工事中の協力会社社員が足場から転落して重傷を負われました。安全帯を付けていなかったそうです。同様な事故は、大飯原発3号機でも起きています。最近の2件の事故は、2004年8月に美浜3号機で発生した2次冷却水配管の破損により5人が死亡し、6人が重傷を負われた事故の慰霊行事で、森本関電社長が「労災防止」を誓った直後に起こったものです。

【3】老朽原発運転を企む関電幹部の不祥事

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが暴露され、今年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填をしていたことが公表されました。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。原発が、汚れた原発マネーによって推進されたことを示します。

 関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新し、旧経営陣を告発していますが、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備を中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

【4】行き場のない使用済み核燃料

 関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。それでも、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない関電の姿勢の表れです。許されるものではありません。

 上記【1】~【4】のトラブル、事故、不祥事、約束違反は、原発の安全にとって看過できないものであり、関電が原発を安全に運転できる資質、能力、体制を持ち合わせていないことを物語る証左です。老朽原発の運転などもっての他です。

 なお、昨日(9月27日)の報道は、世界全体の再生可能エネルギーによる発電量は原発を上回ったことを明らかにしています。発電効率も上がり、蓄電法の改良も進み、省エネ機器も進歩してきた現在、危険極まりない原発を動かそうとする姿勢は、時代遅れで、電力会社の私利私欲でしかありません。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、貴関西電力株式会社に、以下を申し入れます。

【1】危険極まりない老朽原発・高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の再稼働準備を即時中止し、これらの原発の廃炉を決定して下さい。

【2】原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。全ての原発の停止と、安全な廃炉を検討してください。

【3】使用済み核燃料の安全な保管地と安全な処理・保管法を早急に提示してください。
なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2020年9月28日

老朽原発うごかすな!実行委員会
9.28行動参加者一同
(連絡先;木原壯林 090-1965-7102)

◆9.6「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」報告とお礼

原発再稼働阻止、原発全廃のためにご奮闘の皆様

 9.6「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」は、新型コロナウイルス、台風、酷暑を乗り越えて、1600人を超える結集を得て開催され、引き続く御堂筋デモにも多くの方が参加され「老朽原発うごかすな!」の強い決意が示されました。

 コロナウイルスの終息が見えない中、市民団体や労働団体の組織参加は自粛されたものの、脱原発を目指す市民団体、労働団体、政党のほとんどの代表が参加されました。大集会への賛同は全国から寄せられ、賛同総数は1000をはるかに超えています(団体は212、賛同845人:9月6日現在→こちら)。

 「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」へのご参加、ご賛同、ご支援に深くお礼申し上げます。

 9.6大集会やデモは全国に中継され、この大集会に連帯する各種の集会やスタンディングアピールも以下に記しましたように、9月6日前後に開催され、あるいは予定されています。

 9.6大集会に連携して、関電の原発が立地する自治体(福井県、高浜町、美浜町、おおい町)への申入れハガキおよび関電への抗議ハガキを送る行動も進められ、多くの皆さんのご協力を得ています。

 9.6大集会の成功によって、「老朽原発うごかすな!」の声はますます大きくなっていることが実証されました。この成功を橋頭保として、関電が来年1月、3月に画策する老朽原発・美浜3号機、高浜1号機の再稼働を阻止する戦線をさらに拡大し、老朽原発廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発のない社会を実現しましょう!

「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会
木原壯林(若狭の原発を考える会:電話090-1965-7102)

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(9月2日までに連絡があったもの:SAはスタンディグアピールの略)

◆≪福島県≫ 9/4(金)17:00~18:00,郡山駅前でSA
◆≪茨城県≫ 9/6(日)17:00~,牛久駅前でSA
◆≪東京都≫ 8/19(水)夕方,関電東京支社前で演説,SA,コール,抗議文提出
◆≪愛知県≫ 9/6(日)13:00~14:00,名古屋栄の三越前でSA。同時間帯にSNSデモ…「#0906老朽原発うごかすな」をつけTwitter,Facebook,Instagramでの一斉投稿を呼びかけ
◆≪福井県≫ 9/4(金)13:00~14:00,高浜町役場前でSA。9/6(日)13:00~14:00,高浜原発前でSA。
9/6(日)13:30~14:30,福井駅西広場で街頭演説とSA
◆≪滋賀県≫ 9/6(日)11:00~12:00,彦根キャッスルロード京橋の交差点でSA。9/6(日)16:00~
17:00,堅田駅東口でSA。10/17(土)13:30~,脱原発市民ウォークin滋賀。10/24(土)
14:00~16:00,「老朽原発うごかすな!10.24滋賀講演会」(滋賀県教育会館)
◆≪奈良県≫ 8/21,8/28,9/4(各々金)18:30~,奈良駅前で400回目,401回目,402回目の「脱原発奈良でも行動」。9/11(金)15:10~17:00,「9.6おおさか大集会」のIWJビデオ視聴会,
18:00~18:30,奈良駅前でSA
◆≪大阪府≫ 9/6(日)15:00~17:00,「いらんわ原発!有志」が「老朽原発うごかすな★御堂筋SA」。
9/7(月)17:00~18:00,堺筋本町でSA
◆≪兵庫県≫ 9/4(金)17:00~18:00,関電姫路支店前と姫路駅前で「関金行動」。9/11(金)17:00~
19:00,加古川駅前でSA。9/11(金)18:00~19:00,神戸大丸前でイレブンアクション
◆≪香川県≫ 8/30(日)16:00~17:00,高松市内デモ