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◆関西電力の老朽原発に関して京都市長に申入

 原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理や使用済み核燃料の処分の困難さなど、現在科学技術で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、危険度が急増します。それは、原子炉の圧力容器(原子炉本体)や配管が高温、高圧の下で高放射線(とくに中性子)にさらされると、脆化(ぜいか)、腐食、減肉が進むからです。また、老朽原発には、建設時には適当とされていたものの、現在の基準では不適当な部分が多数あるからです。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた圧力容器などです。

 それでも、関西電力(関電)は、9月18日、運転開始後40年をはるかに超え、超危険な老朽原発・美浜3号機、高浜1号機の安全対策工事が完了したとし、これらの原発の来年1月、3月稼働を狙っています。全国の原発の60年運転を先導しようとするものです。

 ところで、原子力規制委員会(規制委)が高浜原発1、2号機および美浜原発3号機の40年超え運転を認可したのは2016年ですが、この認可以降に、関電の原発では、下記【1】~【4】のように、トラブル、事故、不祥事、約束違反が頻発しています。これらは、規制委審査の過程では想定されなかったことばかりです。原発の40年超え運転が、人の命や尊厳、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可したことを示しています

 【1】関電の原発での最近のトラブルの例
 
(1)高浜4号機では、一昨年8月、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、また、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されました。昨年10月には、蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。伝熱管の減肉・損傷は、高浜3号機でも、本年2月に見つかっています。関電は、伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が、配管を削ったためとしました。
 
(2)大飯3号機では、去る9月7日、原子炉と蒸気発生器をつなぐ1次系配管の分岐部近傍に深さ約4.3 mm、長さ約6.7 cmの亀裂があることが判明しました。
 
 なお、関電の原発のような加圧水型原発では、圧力容器で約160気圧、約320℃の熱湯となった1次冷却水を蒸気発生器中の外径約2.2 cm、肉厚約 1.3 mmの細管(伝熱管)中に流し、伝熱管外の2次冷却水を沸騰させて、約60気圧、280℃の水蒸気にします。この水蒸気が、発電機に連結されたタービンを回します。1基の原発には3、4器の蒸気発生器が設置され、1器の蒸気発生器には約3400 本の伝熱管があります。
 
 このように高圧・高温の1次冷却水が流れる蒸気発生器ですから、蒸気発生器配管の損傷は、上述のトラブルの中でもとくに深刻です。1次系配管が完全に破断すれば、原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があるからです。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。
 
 損傷した伝熱管は多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、1昨年9月段階で約1万本の伝熱管中の364本が減肉、腐食、応力腐食割れによって使用不能になり、栓がされています。
 
 伝熱管の損傷は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・オノフレ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を新品に取り替えましたが、翌年、両機ともに3000本以上の伝熱管に摩耗が発見され、2013年6月に廃炉となりました。
 
 このように損傷が進む蒸気発生器ですが、高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、更新後、約25年も経過しています。それでも、規制委はこれらの原発の運転を認可しているのです。腐食、減肉、損傷が頻発する蒸気発生器を持ち、運転開始後40年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

 【2】原発再稼働準備工事での相次ぐ人身事故
 
(1)昨年9月、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故等対処施設建設用のトンネル内で溶接作業中の9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。トンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていませんでした。今年3月、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中のトンネルで、協力会社社員が後退してきたトラックにはねられて亡くなられました。社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。4月には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。
 
 これらの人身事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。

(2)美浜3号機では、昨年9月、安全対策工事用の足場が崩れ、2人が重軽傷を負われました。本年8月には安全対策工事中の協力会社社員が足場から転落して重傷を負われました。安全帯を着けていませんでした。同様な事故は、大飯原発3号機でも起きています。

 【3】老朽原発運転を企む関電幹部の不祥事

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されたことが発覚し、今年3月には、電気料金値上げ時にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填していたことが公表されました。しかも、これらの不祥事に関与した関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。原発が、汚れた原発マネーによって推進されたことを示しています。
 
 関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新し、旧経営陣を告発していますが、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備を中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 【4】行き場のない使用済み核燃料

 関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。それでも、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない関電の姿勢の現れです。許されるものではありません。
 
 上記【1】~【4】のトラブル、事故、不祥事、約束違反は、原発の安全にとって看過できないものであり、関電が原発を安全に運転できる資質、能力、体制を持ち合わせていない証左です。老朽原発の運転などもっての他です。 今、世界全体の再生可能エネルギーによる発電量は原発を上回っています。危険極まりない原発を動かそうとする姿勢は、時代遅れで、電力会社の私利私欲でしかありません。

 ところで、この京都市役所は、高浜原発から約60km、美浜原発から約80kmの地点にあります。このことと、福島原発事故では、約50 km 離れた飯舘村が全村避難になり、約200 km離れた関東にも高濃度の放射性物質が降下したことを考えあわせますと、もし、高浜や美浜の原発で重大事故が起これば、約150万人が住む京都市も全域が避難対象地域になる可能性があります。
 
 一方、高浜原発、美浜原発から琵琶湖までは、最短距離で各々約50 km、約30 kmです。琵琶湖が放射性物質で汚染されれば、京都市民を含む1450万人が飲用水を始めとする生活水を失います。このように、京都市は全域が、若狭地域同様に、原発事故被害地になる可能性がありますが、京都市では全域の避難訓練をしたことがありません。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、京都市長に、以下を申し入れます。

【1】関電と政府に、危険極まりない老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働準備の即時中止とこれらの原発の廃炉を求めてください。
【2】原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。関電と政府に、全ての原発の停止と、安全な廃炉を求めてください。
【3】関電に、使用済み核燃料の安全な保管地と安全な処理・保管法を早急に提示するよう求めてください。
【4】原発が稼働する限り、京都市全域が重大事故の被害地になりかねません。京都市としてそうした重大事故への対応策を示し、市内全域で市民の避難訓練を実施してください。

2020年11月18日 老朽原発うごかすな!実行委員会
(連絡先;木原:090-1965-7102)


 なお、同様の趣旨の申入書を、
京都市会議員の皆さま、京都府知事、京都府会議員の皆さまにも提出しました。


◆関電と原発 memo No.23–放射性廃棄物(2020/11/13)

原発を動かせば
処理困難な廃棄物がたまるばかり

◆原発が運転されれば、核のゴミのたまります。関電の場合、2020年中に福井県に報告するという廃棄物の中間貯蔵施設の場所も決まっていません。

◆電気事業連合会会長の荒木浩東電社長(社長在任1993~1999年)は高レベル処分問題懇談会の席上で、「原子力を始めた当初は、(高レベル廃棄物は)一生使っても豆粒一つぐらいと思っていた。」「電気事業者でありながら、こんなに大変な問題であることを初めて知った。」と本音を漏らしました。

地底に捨てて処分するというが
放射性廃棄物のガラス固化体の作成は
失敗つづき

◆北海道の町が核のゴミの最終処分場を誘致しようとしていますが、そもそも、地底に処分する予定の廃棄物すなわち高レベル放射性廃棄物のガラス固化体そのものの作成が、まだ、技術的に完成していません。

◆高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、六ヶ所村でつくる予定になっていますが、いつまで経っても、ちっとも出来ません…失敗ばかり繰り返しています。そのため、溶かしてみたものの、固化体に加工できず、液体のままの高レベル放射性廃液がたまっています。地震や電源喪失によって、これが環境に放出されたら、日本列島はお終いです。

六ケ所再処理工場は
完工時期を25回も延期

◆日本原燃は2020年8月21日、取締役会を開き、六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の完工時期を「2021年度上期」から「22年度上期」に1年延期することを正式決定し、県と村に報告しました。延期は17年12月に続き25回目です(時期未定とした届け出を含む)。

◆建設費は当初七千億円といわれましたが、これまで三兆円をかけた「未完工場」となっています。 もっとも危険な核施設、使用済み核燃料の「再処理工場」は、稼働の見通しはありません。税金と電気料金が無限に注ぎ込まれています。使用済み核燃料の再処理は、危険をふやすだけです。

フランスやイギリスで
つくってもらってきたが

◆海外で再処理をしてもらったガラス固化体は日本に輸送(返還)されます。フランスからのガラス固化体の返還は終了しました。イギリスからの返還は、2017年3月以来途絶えていますが、近くまた再開されるのではと言われています。

◆海路で運ばれるので、万一事故でもあれば、海を極度に汚染する可能性があり、危険極まりありません。福島の汚染水を海に放流する計画など、日本は世界の海洋をどう思っているのか、世界から不信と疑惑を突きつけられています。

◆返還輸送には、これまで沿岸各国から反対の声があがってきました。パナマとエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、ドミニカ共和国で構成する中米議会は、核物質輸送船のパナマ運河の航行とカリブ海域の航行の禁止を求めています。

▼高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の返還・受入実績(→こちら

◆関電と原発 memo No.24–核燃料サイクルと再処理工場(2020/11/20)

再処理工場は
プルトニウムを生産するための工場!

◆青森県六ヶ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場は、原発で一度燃やした核燃料の中から、プルトニウムを取り出すための工場です。日本では、プルトニウムを再び核燃料として利用する「核燃料サイクル」政策が進められてきました。

◆しかしプルトニウムを燃料とする高速増殖炉「もんじゅ」は1995年に大事故を起こし停止し、急きょ、普通の原発での利用(プルサーマル)が計画され、関電の高浜原発3、4号機などでプルサーマル運転(ウランにプルトニウムをまぜたMOX燃料を使用)が始まりました。

◆しかし、プルトニウムの消費は進んでいません。それどころか、プルサーマル運転の危険性がクローズアップされています(石油ストーブにガソリンを入れるな!)。そして、2016年「もんじゅ」は廃炉となり、「核燃料サイクル」の破綻は明白になりました。

◆プルトニウムの消費は進まず、海外の再処理工場で取り出されたプルトニウムもほとんど余剰となっている現状では、六ヶ所再処理工場建設の必要性はまったくありません。プルトニウムの必要性は、核兵器をつくる目的だけが指摘されています。

再処理工場からは
原発の数百倍もの放射能が放出される!

◆再処理工場は、危険な使用済み燃料をブツ切りにし、大量の化学薬品を使ってプルトニウム、燃え残りのウラン、死の灰(核分裂生成物)に分離する巨大な化学工場です。そのため、たとえ事故が起こらなくても、日常的に大量の放射能を放出しながら運転されます。

◆再処理工場では、事故による放射能放出の危険は言うには及ばず、平常運転から放出される放射能の量が原発の数百倍も多くなります。原発からも放出されているトリチウムに加え、再処理工場からは、セシウムやストロンチウム、あるいはプルトニウムなど、さまざまな放射能が海へ放出されます。これらは環境に蓄積され、人びとの被ばくの原因となります。

【参考】原子力資料情報室

◆12/8 第27回口頭弁論のお知らせ

・コロナウイルスの感染拡大のため、3/3と6/2の口頭弁論が取消になりました。
・12/8の期日は、前回の9/8に続いて、今年2回目の期日となります。
・しかし、現下の状況のため、原告席、傍聴席ともに半数程度に削減を余儀なくされています。
・そういう中ではありますが、可能な範囲で多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

◆原告の意見陳述
・京都府南丹市日吉町の吉田邦子さん。大飯原発で事故が起こった場合の避難の困難性

◆弁護団の準備書面
・大飯3、4号機の特定重大事故等対処施設について
・避難計画「大飯地域の緊急時対応―2020.7改訂版」の問題点
・関西電力の金品受領問題

◆タイムテーブル
・12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の前に集合
・12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃まで
・13:25…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
・13:40…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了
 直ちに抽選→傍聴券の配布
 抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は
 14:30までに鴨沂会館2階ホールの模擬法廷へどうぞ
・14:30…開廷、弁論開始。同時刻に模擬法廷も開始
・15:45頃から…閉廷後、鴨沂(おうき)会館2階ホールで報告集会。30~60分程度
 鴨沂会館アクセス→こちら

・ML登録をされている原告には、メール配信いたします。
・郵送を希望され登録済みの原告には、郵便でご連絡します。
・以下の画像のPDFファイルは、こちら[245 KB]。ファイル名は「2020-12-08.pdf」


 

 

◆11月6日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

質問書
……………………………………………………………………………
1.11月3日に貴社の原発がすべて停止の状態になりました。いま日本では玄海原発が動いているだけで、あとの原発はすべて止まっています。それにもかかわらず電気が不足するということはありません。原発は必要ないということではないでしょうか。危険な原発はこのまま止めて、安全なエネルギー源に変更していく方向に舵を切っていくべきと考えますが、貴社の見解をお聞かせください。

2.金品受領、役員報酬補填問題について貴社が旧役員に損害賠償を提訴すると報道されています。前回、社外の目を入れて、コンプライアンスを徹底し改革の取り組みを進めていくとのことでしたが、具体的にどのように改革が進んだかお答えください。「社員の生の意見を上げて活かしていく」「外部の人材を活用する」ともお聞きしましたが、実行できていますか。これらの問題はすべてが原発がらみです。汚れたお金で原発再稼働を進めていることは、安全第1ではありません。すべての事実関係が明らかにされるまで原発を動かすべきでないと考えます。貴社の見解をお聞かせください。

3.新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、すべての原発を停止させるべきだと考えます。万が一事故が起きたら事故処理に当たる作業員も避難する住民も三密は避けられず、二次災害で感染が起きることは明らかです。コロナ禍が起きている中で、国は原発事故の際の避難所では換気しないという指針を出しました。放射能を防ぐために、コロナ感染防止をしないということです。このことについて貴社の見解をお聞かせください。6月に京都府はシミュレーションを発表しましたが、UPZ圏内(概ね30キロ圏内)でも屋内退避で良いということでした。これに対して府民はシミュレーションのやり直しを求めています。シミュレーションに関して貴社は関与されていないということですが、シミュレーションは貴社自身が行うことではないでしょうか。また避難計画は自治体が作成し、貴社は支援するということですが、どのような支援を実際に行っているのでしょうか。

4.40年越えの原発、高浜原発1号機・2号機、美浜原発3号機の再稼働を進めておられますが、現時点での再稼働のめどをお聞かせください。老朽原発の再稼働は不安です。ぜひ再稼働の撤回を決断してください。前回の話し合いで、安全対策工事費は2019年が1,937億円、累計で7,000億円とお聞きしました。今後の稼働次第では採算の取れない可能性もあると思われますが、それでも再稼働をするのでしょうか。

5.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。高浜では今後1/4までMOX燃料を使い、その場合MOX中のプルトニウムは1.7tと聞いていますが、最大でどのぐらいになるのでしょうか。また2018年度中に決めるとなっていた中間処理施設の見通しは立っていますか。北海道寿都町が高レベル廃棄物最終処分場の調査を受け入れると表明し、神恵内村が調査受け入れを検討中との報道がありました。文献調査応募によって国から20億円の交付金が得られるとのことです。原発関係の施設に関しては、多額の金銭が動き、地域コミュニティが破壊されるなど過去に様々な問題を起こしてきました。過疎の進む地域に原発のゴミを押し付けることについて社会的責任は感じませんか。

6.貴社の再生エネルギー開発について、2030年代には600万kW/時にする、現在400万kW/時持っており、200万kWの新規開発を進めていて、すでに390万kW/時できているというお答えでした。再エネへの投資が、2017年には7億円で、2018年には5億円となっていますが、安全対策費に比べあまりにも小さいのではないでしょうか。2017年から2018年に投資が減っているのはなぜですか。再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。コロナ禍のことも考えると、これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。いますぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。

7.高浜原発で露見した汚職などで貴社に対する社会的信用は失墜し、貴社からの契約離脱は360万件を超えたと言われています。その状況下で電力販売量は落ちているにもかかわらず黒字決算となっているようですが、その収益の根拠は何ですか。発電部門ごとの発電量と部門支出を、福島原発事故前と事故後について年次ごとにお教えください。福島事故後、原発部門は会社にどの程度の貢献をしているのか教えてください。廃炉や使用済み燃料の後始末など技術的未解決課題が積み残されており、将来巨額の出費となるのではないでしょうか。原発推進によって経営破綻となるのではないでしょうか。
以 上
……………………………………………………………………………

話し合いの前に「11月3日に関電のすべての原発が止まった。これを機に絶対に再稼働しないでもらいたい」と口頭で申し入れた。

話し合い内容
Q(こちら側の発言)、A(関電の発言)

—–(質問1について)—–
A 11月3日に大飯原発4号機が定期検査に入り、すべて止まった。安全向上、安全優先でいく。国のエネルギー政策S+3Eに則り、バランスの取れたエネルギー体制をとっていく。資源の乏しい国として3Eの観点で原発の必要性は大きい。低炭素社会の実現に向けてやっていく。

 【注】S+3Eとは…安全性(Safety)、エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)

Q その説明は疑問だらけだ。安全第一なんて信じられない。

Q 大飯3号機の一次冷却水の配管が損傷しているのに次回の定期検査まで運転し続けようとしていた。危険だ。そもそも高浜原発3,4号機の蒸気発生器の細管が損傷し、その原因物質も特定できていないのに、動かしているなんて信じられない。関電のすべての原発が止まってほっとしている。

Q 安全第一でやっているというが保証はない。老朽原発は特に慎重にするべきだ。まっとうな点検をしているのか。もし事故が起きたら刑事訴追は免れない。

Q とても安全第一と思えない。規制委員会が止めてくれて助かった。どうしてそういうこと(配管が損傷しても動かすようなこと)をするのか。安全意識が低すぎる。高浜3、4号機も(細管の減肉の)原因不明のまま動かしていた。再稼働する条件はない。

A ご指摘のことはこれまでも聞いている。配管のことや規制委員会のことは事実だが、感覚的に判断しているわけではない。

Q 過去にもこういう事例はあったのか。

A BWR(沸騰水型)のほうで運用されている例があった。配管にひびがあった場合、技術基準がある。

Q どういう技術基準か教えてほしい。

A 規制庁のYouTubeに出ている。

Q 福島のあとの記述か?

A それはわからない。規制庁は止めたわけではなく、配管を切って知見を増やそうとなっていた。

Q 圧力が損傷個所に集中する。傷の形態は外から見てもわからない。「大丈夫」とよく言うと思う。

Q 応力腐食割れとのことだ。損傷のある一次冷却水配管をそのまま動かすなど危険すぎる。取り換えてもらわなければ困る。規制庁に止めてもらって助かっている。

Q とにかく安全第一で!

Q 取り換えることになったのは良かったが、取り換えるときの労働者が被ばくする。労働者の被ばくは大変だ。

Q 何に関しても拙速すぎる。経営を重視して無理をしているのではないか。

—–(質問2について)—–
A 10月13日に改善計画を経産省に報告した。計画していたことのうち従業員の研修体制だけきていないが、他は実施できている。

Q 株主総会での森本社長への不信任が多かった。なぜかというと原発推進だからだ。出席株主の発言を森本社長が制止した。橋下さんを(社外取締役に)入れることには問答無用で却下した。司会者をほったらかして森本さんが議事の進行をやっていた。社外の意見を聞くと言っているが考えられない。

A 重く受け止めている。(金品受領問題が)発覚したのは内部通報だった。コンプライアンス機能が発揮できた(???)。 物理的に執行と監査を分離した。ハード面で物理的に体制を作った。

Q なぜ橋下さんを入れなかったのかというと、原発賛成の人で固めたかったからだ。真剣に受け止めてくれないと「安全第一」は疑問だらけだ。コンプライアンスというが橋下さんが入っていたら納得できる。

Q お金が優先ということだ。安全第一とは思えない。

Q 関電は来年1月に国内老朽原発再稼働の最初となる美浜3号、3月に高浜1号を稼働したいという意向を持っているとのことだが、美浜は京都府は30キロ圏内に入っていないので直接は関係ないとなっているが、もし事故が起きたら30キロ圏は関係なく、京都府にも被害が及ぶのは明らかだ。京都府は金品受領問題があまりにも大きくて、老朽原発再稼働問題に入れないと言っていた。京都府とも議論していないのに、そういうなかで老朽原発を動かすつもりなのか。信じられない。

Q 1月~3月に再稼働と言われているが再稼働は絶対にやめてもらいたい。

A (老朽原発の)再稼働は未定だ。皆様のご理解が第一だ。京都府と地域協議会を開き金品受領問題のことを説明し、首長から意見をもらった。納得してもらえるようにしていく。

Q 美浜3号機が1月、高浜は3月と報道されているが実際はどうなのか。

A コンプライアンスを説明し、老朽原発の議論もしていく。1月再稼働は正式に決まっていない。安全対策工事は9月に終わっている。

Q 少なくとも金品受領問題がすべて明らかにならない限り動かしてはならない。

A 1月に動かすような前提で言われているようだが未定だ。信頼回復が先。1月に動かすという認識はない。

Q 1月には動かないということか。

A そうではない。「未定」ということで、いつ動かすかはわからない。

Q 1月に動かすこともありうるのではないか。未定と言いながら急に動かす可能性もあるから、不信感がある。

Q 国が地元を訪れて再稼働の要請をしている。地元の動きが急だ。高浜町と美浜町は今月中に再稼働してという決議を出すと聞いている。国が動いているのに関電が未定というのは考えられない。

A でも未定だ。

Q 報道では1月、3月とされている。金品問題も全く解決しない状態で、ありえない話だと思うが。

Q なにがあっても動かさないでほしい。すべてが明らかになるまで動かさないで。

Q 地元の請願には老朽原発の安全性のことは入っていない。拙速すぎる。地元の動きが心配だ。

Q 町の財政を原発で回してきた。その歴史がある。地元は深刻だ。お金という弱みに付け込むのは原発特有のことだ。中曽根さんの時代から何億という予算を付け、学者などを動かしてきた。強烈な不信感がある。

—–(質問3について)—–
A コロナ予防対策は国の支援を受けて自治体がやる。京都府内でも内閣府の要請を受けてやっている。当社では原子力事業本部に防災事業計画があり、計画の充実をはかっている。事業者として自治体と連携してやる。

Q 自治体とは協力し合わないとできない。京都府と会ったが、関電と協力して進めているとは思えなかった。どういう体制を作っているのか。シミュレーションは府がやったが、関電と相談なしにやっているのではないか。

Q 京都府は避難計画が全くやれていない。コロナ禍で避難所は2倍のスペースが必要になった。バスも2倍必要。こういうことが全くできていない。風向きによって2方向での避難所を確保しているのでいまのところ臨時で両方を一度に使おうとしているようだが、それでは避難にならない。避難場所がないというのに原発を動かすのか。そもそもコロナ以前からバスの運転手も確保できていない。動かせるはずはない。関電としてはどうするのか。

A 府の防災訓練に実務的にいろいろ協力している。コロナで2倍という話は知らなかった。

Q 知らないのはちゃんとやっていないからだ。今頃西脇知事に合うとは。コンプライアンスで大変で、避難計画に手が付けられないのでは。そういう状況下では動かさないでもらいたい。

Q 市議会議員がヨウ素剤をどうするのか京都市に質問したら、市は関電が持っているものを使うと言っていた。協力すると言っても進んでいないのではないか。

A 毎年の避難訓練で避難先のことやスクリーニングに協力し、ヨウ素剤も配布している。

—–(質問4について)—–
A 質問4に移りたい。

Q 安全性より再稼働優先か?動かすための議論がされていない。

Q 安全対策にお金をかけて採算撮れるのか。なぜ無理をするのか。

—–(質問5について)—–
A 高浜3,4号機のMOX燃料に含まれるプルトニウムが、想定の最大まで装填した場合1.7tというのはだいたいそうだ。核分裂性のプルトニウムとそうでないものがあり、1.7~1.8tとなっている。

Q 長崎原爆の290発分だ。日本は世界から核武装するのではないかと見られている。再処理している国は核兵器をもとうとしている国だ。日本はそうじゃないと言っているがそうは思われていない。そういうことを承知しているか。

Q 最終処分場の調査への20億円は一時的なお金だ。技術もできていない。何年かかるかわからない。

Q 再処理ができないと原発が止まるのではないか。設計段階でMOXを使うことは想定していなかった。だから危険だ。平気でMOXを使う電力会社の姿勢は疑問だ。

Q 中間処理施設も決まっていない。そのような状態では原発は止めるべきだ。

Q 処理技術がわかる人に教えてもらいたい。プルトニウムの大量保管は恐ろしい。福島第一原発ではMOX反対運動があってごく少数のMOX燃料が使われていただけだった。なのに福島市でプルトニウムが検出されて話題になった。炉心燃料を無理している。事故は取り返しがつかない。MOXを使うこと自体が「安全第一」でない。

Q 原発に関係した地元はどこも地域社会が壊されズタズタになっている。お金で地域を壊しているのだ。そういう話を社員のみなさんももっと知ってもらいたい。

—–(質問6について)—–
A 有価証券で再エネが7億円から5億円になったというが確認できなかった。

Q 部門発電費に再エネの数字が出ている。

A 見ておく。

Q 原発では3000億、火力は5000億円。それに比べて再エネは数億。どのぐらい本気で取り組んでいるか教えてもらいたい。再エネの資料はあるか。

A パンフレットがある。

Q 再エネの予算は少なすぎる。コロナ禍のことを考えると、原発事故は危険だから、もっと再エネにするべきだ。

Q 電力会社の中でお金と人を引き継いでやっているのは関電だ。本当に責任をもってやってもらいたい。このままでは自滅する。

—–(質問7について)—–
A 当社の個別電源の発電コストについては回答を控える。総合エネルギー分科会(総合資源エネルギー調査会を言い間違えたのか?)で出している。ネットで出せる。

A 2015年に原子力10.3円/kWh、LNG13.4円/kWh、石炭火力12.9/kWh、石油火力28.9/kWh、水力11.0/kWhで、2030年のモデルプラントとして試算している。

Q 原発は安くない。

Q 赤字が回復して黒字になったのに原発がどう貢献しているのか知りたい。関電からの離脱は原発再稼働と、不祥事で増えている。不信感は回復しない。離脱はまだ増えるだろう。経営は維持できないはずなのに黒字になっている。常識では理解できない。それでも原発推進なのか。一般職員は原発で割を食っているのではないか。困ると思っている社員がいるはずだ。

A 2020年四半期は減収減益だった。

Q それと赤字・黒字は関係ない。

A 連結決算で出している。

Q 私たちの知らないカラクリがあるのではないか。それが原発を支えているのではないか。

Q 原発にしがみついていたら関電は沈んでいく。社員も大変だ。消費者のことも考えていない。

A 社内の雰囲気のことをお答えしておくと、コンプライアンスの取り組みでは、役員と社員がひざ詰めで対話している。これまでで70回くらいになっている。役員の賞与への疑問なども出ている。

Q それは良い。ひざ詰め対話は今後もするのか。

A する

Q どのぐらいの頻度で行うのか。

A 月間10回弱だ。2万人ぐらいいるのでまだ巡回しているところだ。各部門で1回行われている。

Q 部門ごとのコストを出さないというが、はたして原発で利益が上がっているのかが根本的なところだ。そうでないと将来が切り開けない。

Q 立地対策費、補償費などは入っていない。廃炉費用はどのぐらいかかるかわからない額面以上の負担があるはず。今は見えていないが直面したら見えてくる。再稼働はやめて、経営の再建をしてもらいたい。

……………………………………………………………………………

 1時間30分に及ぶ面談となりました。このところ関電側が「もう時間ですから」とはいうものの面談を無理やり打ち切ることがないのです。これも不祥事のなせる業なのでしょうか。関電側の回答を聞けば聞くほど、「再稼働はあり得ない」という気持ちが強まります。話し合いは平行線ですが、市民の意見を伝える場として、同じことでも繰り返し伝えていきたいと思います。

◆10月30日、京都府放射能拡散シミュレーションに関しての話し合い(第2回)報告

2020年10月30日

 使い捨て時代を考える会は、8月19日に京都府危機管理部原子力防災課に質問書を提出し、8月28日に話し合いの場を持ちましたが、納得のいく内容ではなかったため再度要望書を提出し、10月30日に話し合いました。今回は要望書への賛同を呼びかけ、18団体の連名で提出しました。 府側は危機管理部原子力防災課参事石山哲さん、危機管理部原子力防災課原子力防災係主幹兼係長津田聡雄さん(途中から)のお二人。 こちら側の参加は使い捨て時代を考える会3名(槌田・山田・西澤)、京都脱原発原告団(吉田)、北山の自然と文化をまもる会(榊原)の5名でした。

【質問および要望】 …………………………………………………………………………………………

1. この度のシミュレーションがわずか700万円の予算で、条件を替えたシミュレーションができなかったとのことですが、再度のシミュレーションを要望します。次のシミュレーションには強大な台風、地震や大雪など様々な気象条件を想定し、最悪の場合を考えた条件で行うこと、琵琶湖の汚染を視野に入れて検討すること、条件の設定について京都府民の意見を取り入れることを望みます。

2. 関電が原発にかける費用に比べ、700万円とはあまりにも少額です。しかも府民の税金が使われていることに大きな疑問を感じます。ほかにも避難所やスクリーニング場所の選定、避難受け入れ体制の検討なども府が行っていると聞きます。原発が稼働している限り府にはこのような余計な仕事があるのです。関電という一企業の収益事業のために、京都府が関電の仕事を肩代わりさせられているのではないでしょうか。通常は企業活動によって生じた被害は企業が後始末を行い、賠償等の負担も行います。同様に原発事故に関しても避難計画、事故処理などは企業負担にするべきです。このことについてどうお考えですか。原子力災害対策特別措置法で災害対策を自治体が行うことと定められているようですが、原発事故は自然災害とは全く異なる人為的な事象です。地方自治体として原発事故の災害対策に関する法改正を国に要求しても良いのではないかと思いますが、ご検討いただけますか。

3. マスメディアによって「避難の必要なし」と大きく報道されましたが、府としては避難については従来と変わらないとのことです。しかし「避難の必要なし」という報道によって、実際に事故が起きても避難せずに被曝することも考えられます。未必の故意ともいえる行為です。また福島事故で避難されている方々にも精神的に大きな影響を与えています。それどころか現在行われている避難者の裁判にも大きな影響を与えるのではないかと危惧します。前回のシミュレーションについて、再度発表しなおし、「シミュレーションの条件が一例にすぎず、ほかの条件での検証はしていない。一つの条件では“避難の必要なし”という結果であったが、条件を変えたら必ずしもそのような結果にはならない。報道を信じて“避難しなくてもよい”という判断をしないでもらいたい」という再アナウンスをお願いします。

4. もしこのシミュレーションに従うなら、屋内避難の方法を教えて下さい。具体的にどのような建物へ何日間の避難を想定されていますか。屋内避難の場合新型コロナウイルス対策はどのようにして実行されますか。

5. 関西電力は「避難のことは国や自治体が考えるもの」として、全く避難について考えていません。それどころか,40年を超えた高浜原発1号機,2号機,美浜原発3号機という老朽原発の再稼働を図っています。これでは原発の事故が発生する可能性は著しく高まると思われますし,避難の問題はますます深刻化します。関西電力に避難について検討することを促してください。シミュレーションの予算を請求しても良いのではないでしょうか。

6. 京都府は、事故時のリスクがあるにも拘らず、原発立地自治体ほどの権限がありません。現状の安全協定を見直して、関西電力に対してもっと影響力を持てるように再稼働同意権を含むような見直しを、電力会社に求めるお考えはありませんか。

以 上

【この要望書への賛同団体】

アジェンダ・プロジェクト京都、 ウチら困ってんねん@京都、 北山の自然と文化をまもる会、 京都循環経済研究所、 京都脱原発原告団、 京都・水と緑をまもる連絡会、 原発なしで暮らしたい宮津の会、 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会、 原発をなくす向日市民の会、 市民環境研究所、 生活協同組合コープ自然派京都、 丹波自由学校、 使い捨て時代を考える会、 なくそう原発美山の会、 日本科学者会議京都支部、 ふしみ原発「0」パレードの会、 ヨウ素剤を配ってよ@京都、 若狭の原発を考える会

…………………………………………………………………………………………

【話し合いの概略】

京都府の発言(以下「府」) 府 最悪の想定として、京都府方向に風が吹き、広域に広く拡散するという京都府にとってシビアなケースでシミュレーションを行った。再度シミュレーションをするつもりはない。

要望書提出側の発言(以下「要」)  要 最悪の条件で行ったとは思えない。福島事故は深刻だった。若狭の原発は福島より危険ということを厳しく認識してもらいたい。BWR(沸騰水型)とPWR (加圧水型) では危険性が違う。温度と圧力が違い事故の起こり方が違う。スリーマイルはPWRだった。PWRでは福島事故より厳しいと想定してもらいたい。シミュレーションは甘い。事故が起きたら京都府は責任を問われる。再度のシミュレーションをしないというのは驚きだ。もっと厳しくきっちりシミュレーションをやってもらいたい。屋内避難で良いとは考えられない。

府 拡散の条件で最も京都府に拡散しやすい条件を選んだ。

要 拡散よりもどういう事故が起きるかということではないか。PWRでは福島事故の何分の一という予測では対応できない。

府 福島事故以降、規制委員会の基準が変わった。今の規制委員会の新規制基準でシミュレーションを行った。

要 規制委員会のではなく福島事故のレベルでやってもらいたい。福島事故以上を想定してもらいたい。

要 京都市も関電も福島事故を想定している。少なくとも福島事故レベルで行うべきだ。

府 あくまで今回は一定の条件にした場合のシミュレーションだ。厳しい状況を想定して避難計画を策定し、UPZ(概ね30キロ圏)内は避難すると考えている。

府 2について答えたい。避難計画策定の義務は自治体にあるが、国が交付金で全額負担している。人件費は出ないが経費はすべて出る。

要 シミュレーションにも再度出るのか?

府 必要性を吟味されて交付金が出る。

要 国の姿勢次第と思うが、府民が軽く扱われているのではないか。

府 実効性を高めるためのシミュレーションだ。どう拡散するかわかっていると避難計画に活かせる。

要 マスコミに出たから困っていると聞いたが、このシミュレーションは甘すぎる。

府 3について答えたい。「一定条件のシミュレーション結果で安心材料ではない」としている。記者に対してシミュレーションの説明は難しいが、丁寧に説明した。HPにも「一定の条件」と説明している。京都府に厳しい条件を選んだ。

要 なぜ福島事故以上の厳しい条件を選ばなかったのか。

府 福島事故で新規制基準ができた。その安全基準を守ってやった。

要 安全基準は福島以前から厳しかった。福島以上の事故が起こらないとしているのか。技術上何が起きるかわからない。

府 今回のシミュレーションの結果と避難計画は別だと考えている。避難計画ではUPZ内は避難するとしている。

要 京都は福井県よりUPZ内の人口が多く避難路が難しい。琵琶湖も汚染されたら飲み水がなくなる。そういうことも考えるべきではないか。

府 再シミュレーションの考えはない。

要 「避難の必要はない結果」というところにアンダーラインまで引いているではないか。 どう避難するかは切実だ。

要 人間は安全だと思いこみたいと思う。福島事故の時、関東にいたが、直ぐに水が汚染され飲み水さえなくなった。安全だと思い込むと避難のことも住民に聞いてもらえなくなるのではないか。福島並みのシミュレーションをして避難計画を作ってもらいたい。現在南丹市に住んでいるが、厳しい状態を想定してアナウンスしてもらいたい。内閣府は今年3月に「屋内退避は陽圧化されてない建物では低減効果が少ない」と発表した。

府 屋内退避はプルームから内部被ばくを避けることとして考えている。避難は1週間以内。その間自宅にとどまる。コロナのことがあるが基本的には自宅退避だ。木造家屋での退避と想定している。75%低減できる。 要 新しい知見が出たのだから、それを取り入れるべきだ。避難についても関電に責任ある態度を持ってもらいたいので、府からも強く言ってもらいたい。関電の態度は全く他人事のようにしか見えない。

府 6について。法的枠組みをきちんとして欲しいと国には求めている。 質疑は以上 …………………………………………………………………………………………

 府側出席者に次のスケジュールがあるそうでわずか30分の話し合いでした。府側は、たびたび質問書に沿ってこたえたいという意思表示をされましたが、それで時間をつぶそうと思われたのか。こちら側はとにかく言いたいことを伝えるために次々発言したのでだいぶ当惑気味でした。

 府側は,今回のシミュレーションはシビアなケースを想定していると言っています。しかし,福島なみの事故,最悪の事故は想定していないことは明白。そこを追及すると,マスコミ発表のように「避難しなくて良い」というのではなく,引き続き「避難計画の実効性を高めるようにする」とのことでした。 またこちらが「府民の税金700万円」と指摘すると,「国からの原子力防災費用交付金」で国が全額を負担したという。今回のシミュレーションは,国の指示,国の必要性により,国の期待にこたえるためのシミュレーションだったのか,という疑念を抱きました。老朽原発再稼働に猛進している国の政策の一環として,今回のシミュレーションがあったとも考えられます。 ちなみに,これまでのシミュレーションは,滋賀県(2011.11),京都府(2012.3),原子力規制庁(2012.10),兵庫県(2013.4)と行われています。その後は今回の京都府になりますが,どういう動機で急にシミュレーションをすること(させられること)になったのか,疑問は深まりました。

◆関電と原発 memo No.21–新しい安全神話

規制委,行政,電力会社がすがる 福島の事故の100分の1以下の事故しか起こらない という新しい安全神話

 この新しい安全神話について,下記,Blogに的確な指摘がある。 ┌───────────────────────────────── 明日に向けて(1782) 長崎県の放射線観測データ偽造の背景に新規制基準による事故軽視がある! 守田敏也さん「明日に向けて」(2020-03-23) └─────────────────────────────────  長崎のデータ偽造の件は,上記の本文を読んでいただくとして,ここで注目したいのは,その背景に挙げられている下記の点にある。  すなわち,規制委の新規制基準「実用発電用原子炉に係る炉心損傷防止対策及び格納容器破損防止対策の有効性評価に関わる審査ガイド」14ページに「想定する格納容器破損モードに対して,Cs-137 の放出量が 100TBq を下回っていることを確認する」とあり(福島事故では10000TBqだったのに),ここに「これからは福島の事故の100分の1以下の事故しか起こらない」という想定で良いでしょう,という根拠がある。行政,電力会社は,もう福島の100分の1という事故しか起こらない前提=安全神話で原発を推進している。  以下,守田敏也さんのBlogを引用。 ┌───────────────────────────────── ●新規制基準が生んだ事故軽視の影のもとで・・・  その点で思い出すのは川内原発が,およそ2年間続いた「原発ゼロ状態」に終止符を打つ形で,再稼働に漕ぎ着けた過程での,伊藤祐一郎鹿児島県知事(当時)が再稼働に同意した記者会見での発言です。(2014年11月7日)  伊藤元知事は新規制基準を非常に高く評価した上でこう言ったのです。「もし福島みたいなことが起っても,放出量は5.6テラベクレル。そして5.5kmのところは5μシーベルト。もう,命の問題なんか発生しないんですよね。」  ちなみに毎時5μの放射線はかなり危険なレベルですが,いまはそれは横におくとして,この発言の背景を読み解きたいと思います。 (なお伊藤知事の発言については以下の資料を参考のこと。哲野イサクさんが会見動画を保存し文字起こしもしてくださっています。) <参考資料>川内原発再稼働“同意”記者会見―伊藤祐一郎鹿児島県知事2014年11月7日  2013年7月から適用された新規制基準は,この間,繰り返し述べているように「シビアアクシデント」=過酷事故を前提としたものです。放射性物質が原子炉から漏れて環境中に出てしまう事態を容認しているのです。  ただし漏れ出す放射性物質の量を減らしなさいとなっている。セシウム137だけで見積もっているのですが,福島原発事故で出たセシウム137を1万テラベクレルとした上で,その100分の1,100テラベクレル以下に抑えなさいと書かれているのです。  しかも「格納容器破損モードにおいて」と書いてある。放射性物質を閉じ込める最後の砦の格納容器が壊れたときに,漏れ出す量を100テラベクレル以下にせよと言うのです。 (これは新規制基準の中の「実用発電用原子炉に係る炉心損傷防止対策及び格納容器破損防止対策の有効性評価に関わる審査ガイド」14ページに書かれています。)  シビアアクシデントは,設計段階での想定を突破された事態です。しかしそのときの放射性物質の漏れを100テラにコントロールできるならそれはもう想定内です。  いや格納容器がどう壊れるかすら分からないのに対処できるとするのがおかしいし,さらにその量を福島原発事故の100分の1にできるというのはあまりに根拠がない。  そもそも福島原発はまだ放射線値が高くて内部に人が入れません。どこがどう壊れてだからどれだけの放射性物質がどのように出て行ったのか,実証できない段階なのです。それでどうして対策がたてられるのか。  にもかかわらず九州電力は「5.6テラベクレルに抑えます」と言ったわけですが,一体なんの根拠があるのでしょうか。  しかしこれが独り歩きしだし,伊藤元知事の「もう,命の問題なんか発生しない」という発言につながったわけです。  「もう福島の事故の100分の1以下の事故しか起こらない」・・・この新たな安全神話が放射線計測の仕事を著しく軽視することにもつながっているに違いないと僕は思います。 └─────────────────────────────────

事故は100万年に1回 事故が起きても避難する必要はない 避難計画が実際に発動されるケースはない

川内原発再稼働 “同意” 記者会見より 伊藤祐一郎 鹿児島県(前)知事 2014年11月7日 ┌─────────────────────────────────
  • 要するに今回の制度設計というのは100万年に1回の事故を想定するわけですよね。そしてその時は100テラベクレル。それが同じ条件で同じうような事故が川内に起こった時にどうなるのかっていうのは,実は5.6テラベクレル。そうすると炉心から5.5キロのところは毎時5μシーベルトなんですよね。5μシーベルトというのは,20(μシーベルト)でもって初めて避難ですから。動く必要がない。家の中にいてもいいし,普通に生活していても良いという。そのレベルの,実は,放射能しか,人に被害が起こらない。5μシーベルトというのは一週間ずっと浴び続けて胃の透視の3分の1ぐらいの放射能ですね。実はそこまで追い込んだ制度設計をしているので,時間もあるし,避難計画が実際にワークする,そういうケースもほとんどないだろうし,まずそれがたぶん,あと川内原子力発電所10年,そうすれば止まるかもしれませんが,において考えると,だいたいそれでカバーできるのかなと内心思ってます。
  • 私は規制委員会というあれだけ素晴らしい方々が集まった組織,やはりあの組織も自分の任務に極めて忠実で,相当時間をかけてですね,原発の再稼働についてその安全性を徹底的に追究したと思うんです。その数字の結論が先ほど言った数字です。もし福島みたいなことが起っても,放出量は5.6テラベクレル。そして5.5kmのところは5μシーベルト。もう,命の問題なんか発生しないんですよね。
└───────────────────────────────── 福島事故後でもこんな認識で 川内原発再稼働に同意している! 一つだけコメント → 毎時5µSvは年間被曝線量で33mSv。防護服なしでいられない数値

◆10月19日、京都府危機管理部原子力防災課への面談申入

京都府危機管理部原子力防災課 担当者様

2020年10月19日 連絡先 NPO法人使い捨て時代を考える会 京都市下京区富小路仏光寺下る筋屋町141 TEL 075-361-0222  FAX 075-361-0251

要望書

 先日は京都府が6月23日に公表された「高浜・大飯発電所発災時の放射性物質の拡散予測について」についての質問に丁重にお答えいただきありがとうございました。公表されたシミュレーションの結果には、多くの府民が疑問を持ち心配をしております。再度の質問になりますが、面談により詳しくご説明いただきたいと思います。つきましては10月28日(水)または10月30日(金)のいずれかで面談をお願いしたいと思います。ご検討の上、当会までご連絡くださいますようお願い申し上げます。  お忙しいとは存じますが、よろしくお願い申し上げます。

【質問および要望】

1. この度のシミュレーションがわずか700万円の予算で、条件を替えたシミュレーションができなかったとのことですが、再度のシミュレーションを要望します。次のシミュレーションには強大な台風、地震や大雪など様々な気象条件を想定し、最悪の場合を考えた条件で行うこと、琵琶湖の汚染を視野に入れて検討すること、条件の設定について京都府民の意見を取り入れることを望みます。 2. 関電が原発にかける費用に比べ、700万円とはあまりにも少額です。しかも府民の税金が使われていることに大きな疑問を感じます。ほかにも避難所やスクリーニング場所の選定、避難受け入れ体制の検討なども府が行っていると聞きます。原発が稼働している限り府にはこのような余計な仕事があるのです。関電という一企業の収益事業のために、京都府が関電の仕事を肩代わりさせられているのではないでしょうか。通常は企業活動によって生じた被害は企業が後始末を行い、賠償等の負担も行います。同様に原発事故に関しても避難計画、事故処理などは企業負担にするべきです。このことについてどうお考えですか。原子力災害対策特別措置法で災害対策を自治体が行うことと定められているようですが、原発事故は自然災害とは全く異なる人為的な事象です。地方自治体として原発事故の災害対策に関する法改正を国に要求しても良いのではないかと思いますが、ご検討いただけますか。 3. マスメディアによって「避難の必要なし」と大きく報道されましたが、府としては避難については従来と変わらないとのことです。しかし「避難の必要なし」という報道によって、実際に事故が起きても避難せずに被曝することも考えられます。未必の故意ともいえる行為です。また福島事故で避難されている方々にも精神的に大きな影響を与えています。それどころか現在行われている避難者の裁判にも大きな影響を与えるのではないかと危惧します。前回のシミュレーションについて、再度発表しなおし、「シミュレーションの条件が一例にすぎず、ほかの条件での検証はしていない。一つの条件では“避難の必要なし”という結果であったが、条件を変えたら必ずしもそのような結果にはならない。報道を信じて“避難しなくてもよい”という判断をしないでもらいたい」という再アナウンスをお願いします。 4. もしこのシミュレーションに従うなら、屋内避難の方法を教えて下さい。具体的にどのような建物へ何日間の避難を想定されていますか。屋内避難の場合新型コロナウイルス対策はどのようにして実行されますか。 5. 関西電力は「避難のことは国や自治体が考えるもの」として、全く避難について考えていません。それどころか,40年を超えた高浜原発1号機,2号機,美浜原発3号機という老朽原発の再稼働を図っています。これでは原発の事故が発生する可能性は著しく高まると思われますし,避難の問題はますます深刻化します。関西電力に避難について検討することを促してください。シミュレーションの予算を請求しても良いのではないでしょうか。 6. 京都府は、事故時のリスクがあるにも拘らず、原発立地自治体ほどの権限がありません。現状の安全協定を見直して、関西電力に対してもっと影響力を持てるように再稼働同意権を含むような見直しを、電力会社に求めるお考えはありませんか。

以 上

この要望書への賛同団体

アジェンダ・プロジェクト京都 ウチら困ってんねん@京都 北山の自然と文化をまもる会 京都循環経済研究所 京都脱原発原告団 京都・水と緑をまもる連絡会 原発なしで暮らしたい宮津の会 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会 原発をなくす向日市民の会 市民環境研究所 生活協同組合コープ自然派京都 丹波自由学校 使い捨て時代を考える会 なくそう原発美山の会 日本科学者会議京都支部 ふしみ原発「0」パレードの会 ヨウ素剤を配ってよ@京都 若狭の原発を考える会

◆関電と原発 memo No.22–原発を巡る状況(2020/10/16)

[1]【おもに京都の脱原発運動…経過と予定】2020/9/15以降

  • 9/20(土)さよなら原発,ふしみパレード…9月。ふしみ原発ゼロパレードの会
  • 9/28(月)美浜町の関電原子力事業本部で行われる関電取締役会に合わせ「老朽原発うごかすな!」行動。福井県美浜町,関電原子力事業本部前。老朽原発うごかすな!実行委員会
  • 10/11(土)さよなら原発,ふしみパレード…10月。ふしみ原発ゼロパレードの会
  • 10/11(土)11日行動,関電京都支店前。使い捨て時代を考える会
  • 10/13(火)「避難計画を案ずる関西連絡会」が府庁で申入。コロナ,老朽原発,配管損傷
  • 10/18(日)『放射線副読本すっきり読み解きBOOK』を読む会。14:00~16:00。長岡京市バンビオ。さよなら原発長岡京市民の会。40人,500円,解説…守田敏也さん
  • 10/19(月)美浜町臨時議会に原発再稼働請願←抗議行動。高浜町は10/23に臨時町議会か
  • 10/24(土)福島県立医大 大平論文に対する公開質問状ZOOM学習会。14:00~16:00。講師…加藤聡子さん(元聖母女学院短期大学教授),大倉弘之さん(元京都工芸繊維大学)。原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会,宗川吉汪,ZoomM担当…奥森
  • 10/24(土)老朽原発うごかすな!講演会。14:00~16:00。滋賀県教育会館。講演…木原壯林さん(若狭の原発を考える会)。さいなら原発・びわこネットワーク(稲村)

[2]【おもに関電の原発をめぐる裁判】2020/9/15以降

  • 大阪地裁…大飯原発3・4号機行政訴訟。9/16,第35回口頭弁論で結審。12/4(金)15:00~判決。原告側は,地震規模の「ばらつき考慮」など,基準地震動について徹底的に追及。
  • 大阪地裁…コロナ仮処分。関電の原発全7基をコロナが完全に沈静化するまで動かしてはならない。12/21(月)13:30~,第3回審尋。ここで審尋は終結する見通し。来年の早い時期に決定が出る見通し
  • 大津地裁…美浜,大飯,高浜本訴(本訴)。12/10に第28回口頭弁論。原告側は既に証人申請をしていて,来年からは証人尋問に入る予定
  • 名古屋地裁…老朽原発40年廃炉訴訟。高浜原発1.2号機と美浜原発3号機。10/5(月)に口頭弁論。次回は2021/1/28(木)
  • 名古屋地裁…原発バックフィット訴訟。10/5提訴。大山火山による火山灰評価が過小であることが判明し,規制基準に適合していないことが明らかになった以上,規制委は高浜原発の運転停止を命令せよ
  • 京都地裁…大飯原発差止訴訟。12/8(火)14:30~,第27回口頭弁論。来年 2/25(木)14:30,第28回口頭弁論。原告側の主張はほぼ終了。原告団は,第七次原告[追加]募集,裁判の三つの争点
      1. (1) 若狭湾には基準地震動をこえる地震は来ないのか
      1. (2) 原子炉のある地盤は地震に対して安全か
      1. (3) 原発で事故が起こったとき避難できるのか
【参考】
  • 9/24…コロナの名目で裁判所が傍聴席を減らしているのは,憲法が定める裁判公開の原則を侵害するとして,反原発訴訟の原告団など28団体が東京高裁と東京地裁へ改善要請書
  • 仙台高裁…9/30,生業訴訟の判決。国と東電に原告3550人に計10億1000万円を賠償するよう命じた。中島孝原告団長「国の規制権限不行使をはっきりと断罪した。被害者がどんなに苦しんでいても一切関係ないと言い逃れを図ってきた国を厳しく追い込んだ判決だ」
  • 大阪高裁…原発賠償京都訴訟控訴審。10/14第7回,次回2021/1/14(木)14:30~,3/18(木)
  • 佐賀地裁…九州電力と国を相手に玄海原発運転差し止めを求めた2つの裁判(行政訴訟と全基差止)が8/28に結審。来年3月12日14:30,15:00~判決の言い渡し予定。玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

[3]【関電の経営をめぐる状況】2020/9/15以降

  • 9/24…関電 減収減益予想 21年3月期 コロナで需要減[朝日] ┌───────────────────────────────── 関西電力は23日,未定としていた2021年3月期の業績予想を発表。新型コロナウイルスの影響による需要減少などを踏まえ,売上高は前年比6.4%減の2兆9800億円,純利益は同30.8%減の900億円と4年ぶりの減収減益を見込む。販売電力量は家庭向けが3.6%減,「巣ごもり」に伴う需要増までは見込めないとした。企業向けは同13.4%減と予想。ホテルや劇場などの大きな落ち込みは今年度末まで,鉄道や自動車産業の減少は21年度末まで続きそうだという。 年間の販売減の見通しは,新型コロナなどで39億キロワット時,契約件数の減少などで79億キロワット時。契約減の理由について新電力との竸争によるもので,金品受領問題の影響はない。 経常利益は815億円減少を予想,うち販売電力量の減少による影響が最大の380億円になるとした。福井県の高浜原発3号機の定期検査が長引いて稼働していない影響を170億円と見込んだ。 └─────────────────────────────────
  • 10/2…関電のコンプライアンス委員会(委員長は中村直人弁護士)が,年度内にコンプライアンス憲章を策定
  • 10/5…大阪地検が,市民(3371+2193=5564人)の告発を受理。関電元会長らを捜査へ
  • 10/7…関電の再調査で,新たな金品受領9人,子会社元役員ら。子会社とは,KANSOテクノス(旧環境総合テクノス),関電プラント,関電不動産開発の3社

[4]【関電の原発の稼働状況】

  • 高浜(3)…2018年の定期検査で,9/12に蒸気発生器の電熱細管の損傷が見つかった【1回目】が,関電は調査を継続せずに,原因が究明されないまま2018年11/7原子炉を起動した。2020年2/18,定期検査で蒸気発生器細管損傷が発見【3回目】→特別点検で停止。ただし,規制委は10/14,関電が再発防止策として,作業前に服を着替えたり靴にカバーをつけたりして現場に異物を持ち込まない対策をとるとして,再発防止策を了承。8/3の特重施設設置期限に間に合わず運転停止となっているが,特重施設(テロ対策施設)が完成する予定の2020年12/22以降に運転を再開する見通し
  • 高浜(4)…2019年10/17,定期検査で蒸気発生器細管損傷が見つかるも【2回目】調査を継続せず。規制委は関電の「原因と対策」をそのまま了承して,今年1/30原子炉を起動した ・2020年10/8の特重施設設置期限に間に合わず,運転停止(10/7~定期点検で停止)
  • 高浜(3)(4)…10/14「津波警報が発表されない可能性のある津波」への対応で,関電の対応策を規制委が了承。潮位計で水位変動が観測されたら,原子炉を停止し,防潮ゲートを閉める
  • 大飯(3)…7/20からの定期検査で,8/31に一次系の加圧器スプレイライン配管の溶接部に損傷が発見→原子炉起動は延期。関電は次の定期検査までは大丈夫と。規制委と関電で公開会合が継続中
  • 大飯(4)…11/3から定期検査。来年1/17までの予定

[5]【原発をめぐる全体的な状況】

  • 7/29に青森県六ヶ所村の再処理工場が規制委の安全審査に“合格”,10/7に燃料製造工場に事実上の“合格”。無謀な核燃料サイクル政策に規制委がお墨付き
  • 9/14…7月に入札を実施した初めての容量市場の約定結果が公表された。巨大な発電能力のある原発や火力発電所をもつ電力会社を援助するため,電気を仕入れて家庭や企業に売る小売会社などが,巨額資金を毎年徴収されることが明らかになった
  • 9/16…日立製作所は,凍結中だった英国での原発計画から撤退すると発表
  • 10/1…福島第一原発事故の賠償負担金と廃炉円滑化負担金の託送回収が開始。過去積み立てておくべきだった費用が足りないから託送料金で回収という無理無体
  • 10/9,10/15…核のゴミの最終処分場選定で,第1段階となる文献調査に,北海道の寿都町(すっつちょう)が応募。神恵内村(かもえないむら)は国の申し入れ受諾文書発送
  • 10/15…福一,処理水の海洋放出「漁業を壊す」。全漁連が梶山経産相に懸念

◆若狭、関西各地で配付「危険すぎる老朽原発」

【2020年10月から,若狭,関西各地で配付】

◎福島原発事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。 ◎原発事故の被害は長期におよびます。避難された方の多くは今でも、避難先で苦難の生活を送っておられます。事故を起した原子炉の内部の様子は、高放射線のため、ごく一部しか分からず、溶け落ちた核燃料の取り出しの目途も立っていません。汚染された土壌の除染法はなく、ごく表層をはぎ取ってフレコンバックに保存する他はありませんが、そのフレコンバックも、放射線と風化によって破損し始めています。トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が溜り続け、太平洋に垂れ流されようとしています。 ◎福島原発事故は、原発が重大事故を起せば、放出された放射性物質が風や海流に乗って運ばれ、被害は広域におよぶことを実証しました。事故炉から50 km離れた飯舘村も全村避難になり、200 km以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。これは、若狭の原発が重大事故を起せば、約260万人が住む京都府、約140万人が住み、琵琶湖を有する滋賀県を始め、関西や中部の多くの部分が放射性物質に汚染されかねないことを示します。 ◎原発は、事故を起さなくても、運転すれば、トリチウムを含む冷却水を垂れ流します。一方、原発を運転すれば、長期の保管を要する使用済み核燃料を残しますが、その行き場はなく、何万年もの未来にまで負の遺産を押し付けることになります。

原発は老朽化すると危険度が急増

 原発は事故の確率が高い装置ですが、原発を長期間運転すれば、危険度はさらに高くなります。したがって、原子力規制委員会(規制委と略)は、発足直後には、「運転開始後40年を超えた原発の稼働は例外中の例外」としていました。そのため、40年超えの原発は老朽原発と呼ばれています。2020年10月現在、高浜原発1号機(45年超え)、2号機(44年超え)、美浜原発3号機(44年超え)、東海第2原発1号機(41年超え)が老朽原発です。

原発が老朽化すれば、

 交換することのできない圧力容器(原子炉本体)などが脆化(ぜいか;もろくなること;下記注1参照)し、配管が腐食などによって減肉(やせ細る)あるいは応力腐食割れ(腐食と引っ張る力の相乗効果で生じる亀裂)などが生じます。  また、40年以上も前に建設された原発では、建設時には適当とされていたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。しかし、その全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中には交換不可能なものがあります(圧力容器など)。  それでも、関西電力(関電と略)と政府は、原発の40年超え運転は「例外中の例外」としていた約束を反古(ほご)にして、老朽原発・高浜1、2号機,美浜3号機の再稼動を画策しています。 ┌───────────────────────────────── 注1 脆化した圧力容器は緊急時に破裂の危険性  原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、加圧水型の場合、運転中は、約320℃、約150気圧の環境で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、一定温度(脆化温度)以上では、ある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆くなります。すなわち、脆化します。  この硬化温度は、原子炉運転期間が長くなると高くなります。例えば、初期には-16℃以下で硬化した鋼鉄も、40年も中性子に曝され続けると、100℃以上でも硬化するようになり、脆くなります。  このように脆くなった圧力容器を持つ原子炉から冷却水が失われて、緊急事態に陥ったとき、原子炉内は高温になりますが、ここに冷却水が送り込まれ、圧力容器が脆化温度以下に急冷されますと、破裂し、福島事故以上の事態を招く危険があります。 └─────────────────────────────────

老朽原発の運転認可後に、想定外の トラブル、人身事故、不祥事が頻発

 規制委は、2016年、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の40年超え運転を、拙速審議(審議時間、回数は通常の約半分)によって認可しました。  しかし、この認可以降に、関電の原発では、トラブル、死亡を含む人身事故、原発マネーに関わる不祥事などが頻繁に発生・発覚しています。これらは、規制委による審査の過程では想定されていなかったことばかりです。  原発の40年超え運転が、人の命や尊厳を軽視し、企業倫理をないがしろにして画策され、無責任な規制委がそれを認可していることを示しています。

関電の原発での最近のトラブル(例)

(1)高浜4号機では、再稼働準備中の2018年8月、事故時に原子炉に冷却水を送るポンプが油漏れを起こし、また、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されました。再々稼働準備中の昨年10月には、3台の蒸気発生器の伝熱管5本の外側が削れて管厚が40~60%減少していることが見つかりました。蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷は、高浜3号機でも、本年2月に見つかっています。関電は、これらの伝熱管の減肉や損傷は、混入した異物が、配管を削ったためとしました。 (2)大飯3号機では、定期検査中の去る9月7日、原子炉と蒸気発生器をつなぐ配管から加圧器方向に枝分かれした直径約11 cm、厚さ約14 mmの配管の溶接部に、深さ約4.6 mm、長さ約6.7 cmの亀裂があることが明らかになりました。原因は応力腐食割れとされています。関電は、このまま13ヶ月間の運転を継続しても配管の健全性は保たれるとして、次回の定期検査で交換する方針を示しましたが、規制委は検証は不十分とし、運転停止は長期化する情勢です。

「老朽原発のアキレス腱」・蒸気発生器で多発する 配管の損傷

 頻発するトラブルの中でも蒸気発生器配管の損傷はとくに深刻です。関電の原発のような加圧水型原発の格納容器の中には、圧力容器と蒸気発生器(3~4器)があります(以下の模式図参照)。圧力容器内には核燃料があり、蒸気発生器の中には、外経約2.2 cm、肉厚約 1.3 mm の伝熱管(あるいは伝熱細管)と呼ばれる細管が約 3400 本あります。  圧力容器で約160気圧、約320℃の熱湯となった1次冷却水は、蒸気発生器伝熱管内を巡って、伝熱管の外を流れる2次冷却水を沸騰させて、約60気圧、約280℃の水蒸気にします。この水蒸気は、発電機に連結されたタービンを回します。  もし、高温・高圧の熱湯が流れる蒸気発生器の伝熱管等の配管が完全に破断すれば、一次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があります。そのため、「蒸気発生器は、加圧水型原発のアキレス腱」と呼ばれています。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断が起き、緊急炉心冷却装置が作動しています。  破断すれば重大事故を招く蒸気発生器配管の損傷は多数に上ります。例えば、高浜原発3号機では、2018年9月段階で約1万本の伝熱管の内、364本が摩耗によって使用不能になり、栓がされています。  このように損傷が進む蒸気発生器ですが、老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の蒸気発生器は、更新後、約25年も経過しています。それでも、規制委はこれらの原発の運転を認可しています。  蒸気発生器の破損は、取り替えたばかりの蒸気発生器でも発生しています。米国のサン・オノフレ原発2、3号機では、2010年、2011年に蒸気発生器を新品に取り替えましたが、2012年、両機ともに3000本以上の蒸気発生器伝熱管に早期摩耗が発見され、2013年6月に廃炉となりました。  伝熱管の損傷の中でも、昨年10月と本年2月に高浜原発4、3号機で見つかった損傷は、さらに深刻な問題を提起しています。関電と規制委が原因とした「混入した異物による損傷」は、規制委の再稼働審査では全く想定されていなかったことです。  「異物の混入」は、人のうっかりミスによっても起こりますが、炉内での腐食や破損によっても起こります。例えば、規制委の審査では、原子炉内構造物を固定する約1100本のボルト(バッフル・フォーマーボルト)の腐食による損傷数は、60年運転時点で全体の20%以下であるから、原発を60年運転しても安全を維持できるとしていますが、破損ボルトが異物として炉心や配管内を駆け巡り、核燃料や配管を損傷する可能性も大いにあります  以上、伝熱管の破損を例に、蒸気発生器が極めて危険な状態にあることを指摘しましたが、本年9月に大飯原発3号機の加圧器近辺の配管で発覚した亀裂は、伝熱管とは比較にならないほど大きな配管の破損であり、さらに深刻です。  腐食、減肉、損傷が頻発する蒸気発生器を持ち、運転開始後40年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転などもってのほかです。

再稼働を急ぐ老朽原発で 人身事故が多発

 昨年9月、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送され、4人が集中治療室に入りました。事故の起こったトンネルには外気を取り込むダクトが設置されていませんでした。  今年3月には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、発破用の火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、亡くなられました。同社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。  今年4月には、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。  美浜3号機では、昨年9月、安全対策工事用の足場が崩れ、2人が重軽傷を負われました。本年8月には安全対策工事中の協力会社社員が足場から転落して重傷を負われました。安全帯を付けていなかったそうです。同様な事故は、本年8月。大飯原発3号機でも起きています。  これらの内、高浜、美浜の事故は、老朽原発再稼働準備作業中に起こりました。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。  なお、最近の2件の事故は、2004年8月に美浜3号機で発生した2次冷却水配管の破損により5人が死亡し、6人が重傷を負われた事故の慰霊行事で、森本関電社長が「労災防止」を誓った直後に起こったものです。

老朽原発運転を企むのは、 原発で私腹を肥やす関電

 昨年9月、関電が支払った原発関連工事費が、多額の金品として関電幹部に還流されていたことが暴露され、また、今年3月には、電気料金値上げの際にカットした役員報酬や役員が追加納税した税金を、退任後、関電が補填をしていたことが発覚し、多くの人々の怒りをかっています。  このお金は、元をただせば私たちが支払った電気料金です。私たちの電気料金を建設業者などに垂れ流し、汚れた原発マネーとして関電幹部に還流させたのです。  しかも、お金を受けとった関電幹部のほとんどは、原発の推進に奔走した人たちです。この事は、危険極まりなく、喜んで引き受ける場所がない原発を引き受けさせる見返りとして、地域自治体、企業、住民に汚れた原発マネーをバラマキ、「人の命と尊厳」を犠牲にして「経済的利益」を選択することを強いたことを物語っています。  このように、原発が汚れた原発マネーによって推進されたことは明らかですが、それでも関電は、原発の運転を継続し、危険極まりない老朽原発まで再稼働させようとしています。また、不祥事を反省して役員人事を刷新したとし、旧経営陣を告発していますが、会長に、不祥事の原因である原発の推進を掲げる榊原前経団連会長を就任させました。  関電幹部には、企業倫理や法令を遵守する姿勢がないことは明らかです。関電が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備を中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

行き場のない使用済み核燃料

 関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、候補地を2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にしたまま今に至っています。それでも、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない関電の姿勢の表れです。許されるものではありません。

原発のない若狭は実現できる!

 今、関電や政府は、45年超えにもなろうとする老朽原発・美浜3号機、高1、2号機を再稼働させ、全国の原発の60年運転を先導しようと懸命です。人の命と尊厳をないがしろにする原発社会の延命を図っているのです。許してはなりません!  いま、脱原発・反原発は圧倒的な民意ですが、老朽原発の運転に反対する声はさらに大きく、運転を認める声などほとんどありません。  原発の40年超え運転を阻止すれば、美浜町からは即時、高浜町からは5年後に、おおい町からは13年後に、運転中の原発が無くなります。若狭の原発は2033年に、全国の原発は2049年にゼロになります。原発反対の行動が高揚すれば、もっと早く原発をなくすことも可能です。

原発のない社会はすぐそこです。 重大事故が起こる前に原発を全廃しましょう! 原発ゼロに向けて、 まず、「老朽原発うごかすな!」の 声を上げましょう!

11月23日(月、休)に 関電本店(大阪)を出発し、 12月9日(水)に 関電原子力事業本部(美浜町)に至る 200 km リレーデモで、 老朽原発を廃炉に追い込みましょう!

老朽原発うごかすな!実行委員会 連絡先;木原壯林(090-1965-7102)