投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関電と原発 memo No.17–福島事故直後の人々

◆小佐古敏荘(こさこ・としそう)氏

被曝限度年間20m/Svに抗議し
涙の辞任会見(2011年4月29日)

・2011年4月29日午後6時、衆院第一議員会館の会議室で会見に臨んだ、小佐古敏荘東京大学大学院教授は、悔しさのあまり涙ぐみ、言葉に詰まりながら科学者としてのプライドを示した。

・「この数値(校庭利用基準の年間20ミリシーベルト)を、乳児・幼児・小学生にまで求めることは、学問上の見地からのみならず・・・私は受け入れることができません。参与というかたちで政府の一員として容認しながら走っていった(基準値引き上げを強行した)と取られたら私は学者として終わりです。それ以前に自分の子どもにそういう目に遭わせるかといったら絶対嫌です」と辞任に際しての記者会見で述べた。

・「通常の放射線防護基準に近い年間1ミリシーベルトで運用すべきだ」とも述べた。また、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測が4月下旬までに2回しか公表されなかったことも批判。「今のやり方は、東京で数字をぼっと決めてやっている」と指摘し、政権の対応について「私がやってきたことからは外れているので、これ以上とどまっている理由はあまりない」と語った。

・小佐古氏の専門は、放射線安全学。政府が安全基準の参考にしているICRP(国際放射線防護委員会)の委員を2005年まで12年もの間務め、放射線被曝の安全基準値のグローバルスタンダードを決定してきた。この会見後、小佐古氏はメディアに出てくることもほとんどなく、2015年に東大を定年退官した。

広瀬隆 氏 の感想

・(小佐古氏の4/29の会見に)一番驚いたのは、私だよ。福島県内の小学校や幼稚園などの利用基準で、被曝限度を年間20ミリシーベルトと設定していることを「とても許すことはできない」と非難したのだが、その立派な発言をした小佐古は、私が放射性廃棄物処分場問題の公開討論会でやりあった相手で、これまで最も悪質でしたよ。私が資料を出すと「引っ込めろ」と怒鳴って発言もさせなかった。
【『原発の闇を暴く』(広瀬隆、明石昇二郎)、集英社新書、2011年7月発行】

◆山下俊一(やました・しゅんいち)氏

「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」として、
2011年3月21日 福島市で講演

・「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます」

・「100マイクロシーベルト/h(100μSv/h)を超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。ですから、もう5とか10とか20とかいうレベルで外に出ていいかどうかということは明確です。昨日もいわき市で答えられました。『今、いわき市で外で遊んでいいですか』『どんどん遊んでいい』と答えました。福島も同じです。心配することはありません。是非、そのようにお伝えください」

・100μSv/h=876mSv/年。この点について、さすがに福島県は後日「100μSv/h」は「10μSv/h」の誤りとして訂正した。

・「記者会見全文の文字起こしを掲載いたします」→こちら(2011/3/17~2011/4/6)。2011年3月21日14時- 山下俊一氏・高村昇氏「放射線と私たちの健康との関係」講演会
前半:→こちら
後半:→こちら

広瀬隆 氏 の感想

・長瀧重信、山下俊一、高村昇、神谷研二の4人は、「放射能安全論」のA級戦犯。

明石昇二郎 氏 の感想

・ヒロシマ、ナガサキという被爆地の看板を使って“被曝安全論”を振りまくことは、被爆者への冒瀆以外の何者でもありません(長瀧、山下、高村は長崎大、神谷は広島大)。「被爆地から来た専門家の言うことだから」という意識を逆手にとろうという魂胆。
【『原発の闇を暴く』(広瀬隆、明石昇二郎)、集英社新書、2011年7月発行】

【参考…山下俊一氏については、こちらのNo.14 にも。】

◆関電と原発 memo No.16–テレビから消された「福島原発事故」

◆2019年に、元号が平成から令和に変わったとき、テレビでは「平成を振り返る」という企画があふれた。
◆しかし、その中では「福島原発事故」は消されてなかったことにされていた。
◆以下、「テレビに関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ」2019.04.30 より→[こちら

テレビから消された「福島原発事故」
広告漬けと政権忖度で
原発事故はなかったことに

◆原発事故は当事者である吉田昌郎・福島第一原発の所長(当時)がいったんは「東日本壊滅を覚悟した」と回想したくらいの危機的な状況だった。そして、いまも4万人以上の人々がこの原発事故の影響で故郷を追われ、避難生活を強いられている。

◆そんな重大事故をテレビの“平成振り返り企画”が不自然なくらいに避けまくっているのだ。これはいったいなぜなのか。

東京五輪を控えて強まる忖度、そして原発広告の復活

◆もちろんその理由のひとつは安倍政権に対する忖度だろう。現在、安倍政権は、原発被災者への支援打ち切りと強引な帰還政策を推し進める一方で、まるで事故などなかったかのように、原発再稼働を推し進めている。また、東京五輪を来年に控えて、原発事故の影響などないことをアピールしようと必死になっている。

◆「直接的な現場への圧力というのはないが、局の上層部には、『五輪を前に日本の安全をアピールする必要がある。協力してほしい』というプレッシャーがかかっているようです。そのためか、原発事故をクローズアップしようとすると、上から『風評被害を助長するのはどうか』とクレームがつく。振り返り企画でも、そういう空気を忖度したということでしょう」

◆さらに、もうひとつメディアが原発事故を取り上げない理由がある。それが電力会社によるメディアへの“原発広告”の復活だ。

◆事故以前、東京電力をはじめとする電力各社やその司令塔・電力事業連合会(電事連)は新聞、テレビ、週刊誌などのマスコミに広告を大量出稿することで、原発に批判的な論調を封じ込めてきた。しかし原発事故が起こされると、安全神話を作り出してきたマスコミ、そして広告に出演していた芸能人や学者たちにも批判が高まり、電力会社からの広告は一時なりをひそめたかに見えた。

◆ところが事故から3、4年が経った頃から、メディアでは“原発広告”が完全に復活。さらに、原発再稼働政策を推し進める安倍政権と歩調を合わせるように、電力業界は広告費を増やし、再びマスコミを“カネ”で漬け込んで“原発タブー”を作り出しているのだ。

◆実際、電力業界の広告宣伝費は総じて右肩上がりだ。日経広告研究所が毎年発行している『有力企業の広告宣伝費』によれば、大手電力10社のうち、東京電力ホールディングスこそ福島原発事故以降の広告費は下降基調だが、他9社は全体として上昇の傾向にある。

関西電力、九州電力の広告費は3倍増に!
広告漬けでマスコミが再び
原発安全神話に加担し、原子力ムラと一体化

◆たとえば、関西電力は美浜、大飯、高浜の3原発を擁するが、年間広告費は2015年度の31億円から翌16年度に92億円と実に3倍増。2017年の大飯、2018年の高浜再稼働とリンクしていると考えられるだろう。

◆川内原発、玄海原発を持つ九州電力も露骨だ。専門家から火山のリスクなどが散々指摘されながら2015年に川内原発を再稼働し、昨年は玄海原発も続いた。前後の年間広告費を見てみると、2014年度に12億円だったものが、17億円(2015年度)、30億円(2016年度)、41億円(2017年度)と3年で3倍に膨れあがった。

◆また、浜岡原発をかかえる中部電力は2014年度に36億円まで下がったが、2015年度は76億円と倍以上伸ばし、2016年度が約80億円、2017年度が76億円。これは福島原発事故前の2010年度(80億円)と同じ水準まで広告費を回復させたことを意味している。

◆他にも、東北電力は2016年度に66億円、2017年度に64億円と2年連続で60億円台を記録(2010年度=85億円)、中国電力は2017年度に35億円(2010年度=42億円)、四国電力は2017年度に24億円(2010年度=30億円)まで上昇しており、いずれも福島事故前の水準に迫ろうという勢いだ。

◆非公開の電気事業連合会(電事連)や原子力発電環境整備機構(NUMO)など関連団体の広告予算もかなりの水準で上昇しているのは間違いない。事実、新聞や雑誌の広告だけでなく、すこし前からはテレビでも電事連のCMがごく普通に垂れ流されるようになっている。

◆こうした“原発広告漬け”の中、メディアの原発事故関連の報道は激減し、原発再稼働に対する批判も行われず、そして今回のように「平成の終わり」という大イベントでの振り返り特番でも、原発事故は「なかったこと」にされてしまったのだ。

◆おそらく本日(2019/4/30)から明日(2019/5/1)にかけて大量に流される各局の「即位特番」や「平成振り返り特番」でも、福島原発事故が正面から取り上げられることはないだろう。

◆安倍政権への忖度、原子力ムラによる大量の広告出稿によって、マスコミは再び原発安全神話に加担し、原子力ムラと一体化しつつある。

◆平成の最大の人災でもあり、世界でも未曾有の原発事故を平成の終わりとともに「なかった」ことにされてしまうのだろうか。

非公開の電事連や原子力発電環境整備機構(NUMO)など
関連団体の広告予算もかなりの水準で上昇か

◆新型コロナウイルス蔓延下でも原発の運転を続け、老朽原発再稼働準備工事を続ける関電に抗議と申入れ。高浜町、おおい町にも申入れ

◆新型コロナウイルス(「新型ウイルス」と略)が蔓延し、全世界がこれを封じ込める対策に苦心・奮闘しています。

◆しかし、この「新型ウイルス」の蔓延下でも、関電は大飯原発3、4号機、高浜原発4号機の運転を続け、45年超えにもなろうとする老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働準備工事を続けています。

◆今、原発で重大事故が起これば、避難者は、放射線被ばくに加えて、避難の過程や避難先で、「新型ウイルス」感染の危機に見舞われます。一方、原発内で「新型ウイルス」の感染が拡大すれば、原発の安全が保たれなくなります。

◆私たち「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」実行委員会は、住民の安全をないがしろにして原発運転および老朽原発再稼働準備工事を継続している関電に強く抗議し、これらの即時中止を求めて、下記の「抗議および申入れ」書を関電の原発関連部署(取締役社長、原子力事業本部長、高浜原発所長、大飯原発所長)に提出しました。また、原発立地町である高浜町には、高浜原発4号機の運転中止および老朽原発再稼働準備工事の中止を関電に要請し、老朽原発の運転を認めないことを宣言し、今までの原子力政策を見直すことを求める申入書を提出し、同じく立地町であるおおい町にも、大飯原発3、4号機の運転中止を関電に要請し、今までの原子力政策を見直すことを求める申入書を提出しました。

◆なお、「抗議および申入れ」書や申入書は、当該箇所に持参する予定でしたが、現下の「新型ウイルス」情勢を考慮して、郵送しました。また、それらのコピーは、報道関係にも郵送し、電子媒体等で広く全国に配信しました。

◆以下は、「抗議および申入れ」書および高浜町長への申入書です。なお、おおい町長への申入書は割愛します(おおい町長への申入書は、高浜町長への申入書と類似のものですが、老朽原発に関わる部分は削除しています。)


関電への「抗議および申入れ」書

関西電力株式会社
取締役社長 森本 孝 様
原子力事業本部長 松村孝夫 様
高浜発電所長 木島和夫 様
大飯発電所長 文能一成 様

抗議および申入れ

 今、新型コロナウイルス(以下、「新型ウイルス」と略)が蔓延し、全世界の人々がこれを押し込める対策に腐心、努力しています。 ところで、この「新型ウイルス」の感染は、原発施設にも広がろうとしています。すでに、九州電力玄海原発の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)の建設工事関係者や、東京電力柏崎刈羽原発に勤務する東京電力社員から感染者が見つかっています。九州電力では、工事を一時中断し、請負業者の約300人を出勤停止にしています。

 しかし、関西電力(以下、関電と略)は、「新型ウイルス」の感染が全国に拡大している今でも、高浜原発4号機、大飯原発3、4号機の運転を継続しています。

 関電で原発運転に責任のある皆様は、「新型ウイルス」蔓延の中で原発が重大事故を起したら、どうなるとお考えですか?

 集団避難のバスの中での、あるいは避難先で何カ月も何年も続く集団生活の中での「新型ウイルス」感染を防ぐことは至難です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。そのようにお考えになりませんか?

 しかも、高浜原発、大飯原発から100 kmの圏内には福井県、京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の多くの部分が含まれます。福島原発事故では、事故炉から50 km以上離れた飯舘村も全村避難になったことを考えあわせますと、高浜原発や大飯原発が重大事故を起せば、これらの地域が避難対象になる可能性もあります。例えば、両原発から約30~70 kmに位置する京都市が避難対象になれば、市民約150万人が放射線被曝に加えて「新型ウイルス」感染の危機にさらされます。それでも貴社・関電は、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働まで画策しているのです。

 一方、「新型ウイルス」感染が原発内に拡がったらどうなるのでしょう?

 原発では、通常運転時で1500人規模、定期点検時には約3000人の作業員が働き、通勤時のバスの中、作業前後の放射線測定のための待機場所、脱衣所、中央制御室を含む勤務場所、休憩室などで「密閉、密集、密接(3蜜)」の環境にさらされます。作業員の中には、関西など「新型ウイルス」が猛威を振るう地域から来る人も多数います。

 例えば、高浜原発は、1班12人で構成する5つの班が、1日3交代で運転していますが、感染者が出た場合、当該シフトの運転員のみならず、他のシフトの運転員も濃厚接触となり、5班体制の維持が困難になります。感染発生のために、原発を停止させたとしても、停止後も冷却や安全管理のために専門的な知識や技術を有する作業者が多数必要です。その人々の間に「新型ウイルス」が蔓延するような事態になれば、原発の安全が保たれなくなることは、関電の皆様なら十分ご想定のことだと推察します。

 ところで、最近、関電の原発関連工事で、人身事故が続いています。

 昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機のいわゆるテロ対策施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったと報道されています。

 今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の協力会社社員が、後退してきたトラックにはねられ亡くなられました。お亡くなりになった社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたと報道されています。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

 しかし、その直後の4月11日にも、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故の全てが、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理に動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働の準備が、悲劇を呼んでいるのです。

 昨年9月に発覚した原発マネーに関する不祥事は、関電には、企業倫理を大切にし、法令を遵守する意識が欠落していることを明らかにしています。この不祥事は、脱原発・反原発の民意を蹂躙して危険極まりない原発を推進する過程で生じたものです。関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとしていますが、新役員が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 「新型ウイルス」蔓延の中でも原発の運転や再稼働準備工事を継続し、人身事故を多発させている貴社・関電が、原発マネー不祥事を反省しているとは考えられず、原発の安全運転を保証する体制にあるとは考えられません。

 以上のような視点に立って、私たちは、「新型ウイルス」の感染拡大の中でも、関電が若狭の原発を運転し続けていることに強く抗議し、以下を申し入れます。

①「新型ウイルス」感染拡大の中でも運転中の高浜原発4号機、大飯原発3、4号機を即時停止してください。

②関電が原発マネー不祥事の原因となった原発の運転を即時停止し、老朽原発再稼働のために進めている工事を中止して、社会に誠意を示してください。原発稼働の是非に関する議論は、企業倫理、法令遵守を徹底する体制が確立し、社会からの信頼を回復した後に、一からやり直してください。

③とくに、危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の運転反対は圧倒的な民意であることに鑑み、老朽原発の廃炉を決断してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働し続けて、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えておきます。

2020年4月29日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」実行委員会


高浜町長への申入書

高浜町・町長 野瀬 豊 様

申入書

 新型コロナウイルス(以下、「新型ウイルス」と略)が蔓延し、その対策にご腐心、ご苦労のことと拝察し、感謝申し上げます。

 ところで、この「新型ウイルス」の感染は、原発施設にも拡がろうとしています。すでに、九州電力玄海原発の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)の建設工事関係者や、東京電力柏崎刈羽原発に勤務する東京電力社員から感染者が見つかっています。九州電力では、工事を一時中断し、請負業者の約300人を出勤停止にしています。

 しかし、高浜原発では、「新型ウイルス」の感染が全国に拡大している今でも、4号機が運転中で、3号機や運転開始後45年超えにもなろうとする老朽原発・1、2号機の再稼働のための工事が進められています。

 高浜町長は、「新型ウイルス」蔓延の中で高浜原発が重大事故を起したら、どうなるとお考えですか?

 集団避難のバスの中での、あるいは避難先で何カ月も何年も続く集団生活の中での「新型ウイルス」感染を防ぐことは至難です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。そのようにお考えになりませんか?

 しかも、若狭の原発から100 kmの圏内には福井県、京都府、滋賀県、大阪府、兵庫県の多くの部分が含まれます。福島原発事故では、事故炉から50 km以上離れた飯舘村も全村避難になったことを考えあわせますと、若狭の原発が重大事故を起せば、これらの地域が避難対象になる可能性もあります。例えば、高浜原発から約30~70 kmに位置する京都市が避難対象になれば、市民約150万人が放射線被曝に加えて「新型ウイルス」感染の危機にさらされます。それでも関電は、稼働中の原発を停止させないのみならず、危険極まりない老朽原発の再稼働まで画策しているのです。

 一方、「新型ウイルス」感染が原発内に拡がったらどうなるのでしょう?

 原発では、通常運転時で1500人規模、定期点検時には約3000人の作業員が働き、通勤時のバスの中、作業前後の放射線測定のための待機場所、脱衣所、中央制御室を含む勤務場所、休憩室などで「密閉、密集、密接(3蜜)」の環境にさらされます。作業員の中には、関西など「新型ウイルス」が猛威を振るう地域から来る人も多数います。

 高浜原発は、1班12人で構成する5つの班が1日3交代で運転していますが、感染者が出た場合、当該シフトの運転員のみならず、他のシフトの運転員も濃厚接触となり、5班体制の維持が困難になります。感染発生のために、原発を停止させたとしても、停止後も冷却や安全管理のために専門的な知識や技術を有する作業者が多数必要です。その人々の間に「新型ウイルス」が蔓延するような事態になれば、原発の安全が保たれなくなります。

 ところで、最近、関電の原発関連工事では、人身事故が続いています。

 昨年9月19日、老朽原発・高浜1、2号機のいわゆるテロ対策施設建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送されました。事故の起こったトンネルには外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったと報道されています。

 今年3月13日には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の協力会社社員が、後退で進んできたトラックにはねられ亡くなられました。亡くなられた社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたそうです。関電は、この死亡事故によって、高浜原発1、2号機で進めている安全対策工事などの行程を見直し、1号機では工事完了時期が4カ月遅れ、9月にずれ込むと発表しました。

 しかし、その直後の4月11日にも、高浜原発1号機の安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負われました。

 これらの人身事故の全てが、老朽原発再稼働のために行われていた作業中のものです。老朽原発を無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こった事故です。経済的利益のみを優先して進められる老朽原発再稼働の準備が、悲劇を呼んでいるのです。

 昨年9月に発覚した原発マネーに関する不祥事は、関電には、企業倫理を大切にし、法令を遵守する意識が欠落していることを明らかにしています。この不祥事は、脱原発・反原発の圧倒的な民意を蹂躙して危険極まりない原発を推進する過程で生じたものです。関電は、この不祥事の後、役員人事を刷新したとしていますが、新役員が、真に信頼回復に努めるのであれば、不祥事の原因となった原発の稼働や再稼働準備工事を一端中止して、原発稼働の是非を再考すべきです。

 「新型ウイルス」蔓延の中でも原発の運転や再稼働準備工事を継続し、人身事故を多発させている関電が、原発マネー不祥事を反省しているとは考えられず、原発の安全運転を保証する体制にあるとは考えられません。

 以上のような視点に立って、私たちは高浜町長に以下を申し入れます。

①「新型ウイルス」の感染拡大の中でも運転中の高浜原発4号機の即時停止を求めてください。

②「新型ウイルス」の感染拡大の中でも続けられ、人身事故が多発している高浜1、2、3号機の再稼働準備工事の即時停止を求めてください。

③危険極まりなく、重大事故の確率の高い老朽原発・高浜1、2号機の運転は認めないことを宣言して下さい。

④原発マネー不祥事によって、原発は、事の善悪を判断する能力を持たず、法令遵守を徹底する機能と資質を持ち合わせていない関電によって推進されたことが明らかになった今、高浜町が今までに行った原発の運転や再稼働に関する同意を御破算にして、重大事故を起しかねず、何万年もの保管を要する使用済み核燃料を残す原発を稼働させることの是非について再審議してください。

2020年4月29日
「老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか」実行委員会


老朽原発うごかすな!大集会 in おおさか

に総力結集を!

日時:2020年9月6日(日)午後

場所;大阪市内(詳細は確定次第公表します)

主催;「老朽原発うごかすな!大集会inおおさか」実行委員会


2020年5月1日発行

作成・木原(若狭の原発を考える会:090-1965-7102)


◆関電と原発 memo No.14–「子ども脱被ばく裁判」で山下俊一福島県放射線健康リスク管理アドバイザー(事故当時)への尋問

「子ども脱被ばく裁判」弁護団長・井戸謙一弁護士から。
山下俊一福島県放射線健康リスク管理アドバイザー(事故当時)に対する証人尋問レポート

2020年3月7日
「子ども脱被ばく裁判」第26回口頭弁論期日のご報告
弁護団長 井 戸 謙 一
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 さる3月4日、山下俊一氏の証人尋問が行われ、この裁判の終盤の大きな山を越えました。弁護団としては、万全の準備をして臨んだつもりでしたが、振り返れば反省点が多々あります。しかし、獲得した成果も大きかったと考えています。

 山下氏は、尋問前に提出書面で、自分が福島県民に対してしたのは「クライシスコミュニケーション」であり、住民のパニックを抑えるためには、わかりやすい説明が必要だったのだと正当化していました。しかし、いくら緊急時であっても、住民に嘘を言ったり、意図的に誤解を誘発することが正当化されるいわれはありません。私たちは、山下氏がした具体的な発言の問題点を暴露することに重点を置きました。

 山下氏は、福島県内の講演では、ゆっくりと余裕を感じさせる話しぶりでしたが、法廷では、語尾が早口で消え入るように小さな声になり、緊張感が窺えました。尋問によって山下氏に認めさせることができた主な点は、次のとおりです。

(1) 100ミリシーベルト以下では健康リスクが「ない」のではなく、正しくは「証明されていない」であること

(2) 国際的に権威ある団体が100ミリシーベルト以下の被ばくによる健康影響を肯定しているのに、そのことを説明しなかったこと

(3) 「年100ミリシーベルト以下では健康被害はない」との発言は、単年だけの100ミリシーベルトを前提としており、連年100ミリシーベルトずつの被ばくをする場合は想定していなかったが、住民には、連年100ミリシーベルトずつの被ばくも健康被害がないとの誤解を与えたこと

(4) 「1ミリシーベルトの被ばくをすれば、遺伝子が1つ傷つく」と話したのは誤解を招く表現だったこと、すなわち、実効線量1ミリシーベルトの被ばくをすれば、遺伝子が1つの細胞の1か所で傷がつき、人の身体は37兆個の細胞でできているから、全身で遺伝子が37兆個所で傷つくことになるから、自分の発言は、37兆分の1の過小評価を招く表現だったこと

(5) 子どもを外で遊ばせたり、マスクをするなと言ったのは、リスクとベネフィットを考えた上のことだったこと(すなわち、子どもを外で遊ばせたり、マスクをしないことにはリスクがあったこと)

(6) 水道水にはセシウムが全く検出されないと述べたのは誤りだったこと

(7) 福島県民健康調査で福島事故後に生まれた子供に対しても甲状腺検査をすれば、多数見つかっている小児甲状腺がんと被ばくとの因果関係がわかること

(8) 鈴木俊一氏がいうように、福島県民健康調査で見つかり摘出手術をした小児甲状腺がんには、手術の必要がなかったケースは存在しないこと、

 被ばく医療の専門家が住民に対してこれだけ多数の虚偽の説明をした目的は何だったのか、山下氏を利用した国や福島県の意図はどこにあったのか、今後、これらを解明していかなければなりません。弁護団は、これから最終準備書面の準備にかかります。

 裁判は、次回の7月28日午後1時30分からの弁論期日で結審します。年内か年明けには判決が言い渡される見通しです。最後までご支援をお願いします。

以 上

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「子ども脱被ばく裁判」とは?
◆2011年3月11日、東京電力福島第一原子力発電所事故は、4年が経過する今も放射性物質を放出し続け、収束の目途すら立っていません。
◆「低線量の放射線に長期間にわたり継続的に曝されることによって、その生命・身体・健康に対する被害の発生が危惧される」(2013年4月24日仙台高等裁判所判決文抜粋)と司法も認めているように、子どもたちの健やかな成長が脅かされています。
◆福島で子育てをする私たちは、「子どもたちに被ばくの心配のない環境で教育を受ける権利が保障されていることの確認」(子ども人権裁判)をそれぞれが居住する自治体(福島市、川俣町、伊達市、田村市、郡山市、いわき市、会津若松市)に求めるとともに、事故後、県外に避難した人たちとも力を合わせて、国と福島県に対し、「原発事故後、子どもたちに被ばくを避ける措置を怠り、無用な被ばくをさせた責任」(親子裁判)を追及するために、2014年8月29日福島地方裁判所に提訴しました。

・原告(延べ人数)
子ども人権裁判 35名
第一次提訴 23名
第二次提訴 12名
親子裁判 166名
第一次提訴 84名
第二次提訴 82名
(2015年1月14日現在)

「子ども脱被ばく裁判のブログ」より
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【参考…山下俊一氏については、こちらのNo.17 にも。】

◆関電と原発 memo No.15–脱原発おすすめの本 & 原発広告 & 東京オリンピック

▼『ストップ原発』(全4巻)

  • 大月書店、A4判、各40ページ。2012年発行。
  • 多くの漢字にルビが付いているので、小学生でも楽に読める。第4巻をふくめてカラー図解、カラーイラスト、カラー写真で紙面がきれい。
  • とくに、第4巻の「原発はもうかるビジネス」では、総括原価方式の説明があったり、「原発にたよらない町づくり」「電気をへらして楽しいくらし」「電力会社が広告を出す理由」などのページもある(現状に合わないと記述も見られるが)。
  • 京都市図書館に所蔵あり。

▼『ストップ原発』第4巻
~「原発は安全」「原発は必要」という広告~

(「天野祐吉のBlogあんころじい」などを参考)

「着古したセーターでもちょっと手を加えれば新品同様。ウラン燃料もくり返し使えます」(電気事業連合会1985年7月)
 

「原発からの放射線量は自然放射線の20分の1以下です」(電気事業連合会1983年1月)

▼『東京五輪がもたらす危険』

  • 東京五輪の危険を訴える市民の会[編著]渡辺悦司[編集]
  • 緑風出版、A5判、216ページ。2019年発行。1800円+税。
  • 内容…東京オリンピックの開催が、参加するアスリートや観客・観光客にもたらす放射線被曝の恐るべき危険性を警告する!
  • 第1部 東京五輪の危険を警告して発言する科学者・医師・市民…雁屋哲、石津望、渡辺悦司、IPPNWドイツ支部、梶川ゆう、桂木忍 川崎陽子、石津望、小出裕章、ノーマ・フィールド、村田光平、山田知惠子、岡田俊子、柳原敏夫、山田耕作、落合栄一郎、矢ヶ崎克馬。
  • 第2部 東京五輪での被曝が危険なこれだけの根拠…渡辺悦司、本行忠志、山田耕作、藤岡毅、大山弘一、鈴木優彰、下澤陽子、大和田幸嗣。
  • 第3部 避難者たちが体験した被曝影響と症状…三田茂、渡辺悦司、斉藤さちこ、福島敦子、羽石敦、下澤陽子、園良太、鈴木絹江。
  • 京都市図書館に所蔵あり。

▼『フクシマ事故と東京オリンピック』

  • 小出 裕章 (著)
  • 径書房、四六判、152ページ。2019年発行。1、600円+税。
  • 「罪のない人を棄民したまま『オリンピックが大切』という国なら、私は喜んで非国民になろう」──悔恨と怒りの思いを4600字余の言葉に込めた覚悟のメッセージ。 59頁の写真図版と7つの言語で世界に告発する、原発事故9年目の実情と東京五輪という犯罪的愚行。
  • 今、私たちがやるべきことは五輪ではない! ──オリンピックは、いつの時代も国威発揚に利用されてきた。近年は、箱モノを作っては壊す膨大な浪費社会と、それにより莫大な利益を受ける土建屋を中心とした企業群がオリンピックを食い物にしてきた。しかし、今もっとも大切なのは、「原子力緊急事態宣言」を一刻でも早く解除できるよう、国の総力を挙げて働くことである。フクシマ事故の下で苦しみ続けている人たちの救済こそ、最優先の課題である。──(本書より)
  • 出版の経緯…2018年7月、元京大原子炉実験所助教・小出裕章氏は、ひとりの日本人女性からの依頼を受け「フクシマ事故と東京オリンピック」と題する文章を書いた。その後それは英訳され、同年10月、世界各国のオリンピック委員会などに書簡として送られた。今回、その原稿を基に一部加筆・修正。初めてまとまった形で出版される。
  • 京都市図書館に所蔵あり。

◆第26回口頭弁論 原告提出の書証

甲第513号証(第69準備書面関係)
甲第514~519号証(第70準備書面関係)
甲第520~521号証(第71準備書面関係)…次回の第27回口頭弁論に延期
甲第522号証



証拠説明書 甲第513号証[96 KB](第69準備書面関係)
(2020年2月26日)

甲第513号証[1 MB]
岩石のP波伝播速度に関する統計的研究(Ⅰ)(服部保正 杉本卓司)



証拠説明書 甲第514~519号証[136 KB](第70準備書面関係)
(2020年2月26日)

甲第514号証[1 MB]
2016年熊本地震の加速度記録による大飯原発サイトの地震動評価並びに「おつきあい地震断層」の危険性について(赤松純平)

甲第515号証[4 MB]
地震動の物理学(纐纈一起)

甲第516号証[4 MB]
国土地理院として地震本部に期待すること、取り組むべきこと(国土地理院)

甲第517号証[771 KB]
SARで見るお付き合い地震断層- 熊本地震、大阪府北部の地震及び北海道胆振東部地震(藤原智外)

甲第518号証[2 MB]
干渉SARで見えてきた新たな地震像(宇根寛)

・甲第519号証 ファイルの上限を超えているので2つに分割しています。
 甲第519号証(1/2)[5 MB]
 甲第519号証(2/2)[5 MB]
断層の活動と変位地形 ―甲陽断層を中心として― (波田重煕 平野昌繁)



証拠説明書 甲第522号証[78 KB]
(2020年9月14日)

甲第522号証[3 MB]
原告団が作成した,パンフレット「原発のない社会を」


—-以下は次回の第27回口頭弁論に延期—-
証拠説明書 甲第520~521号証[86 KB](第71準備書面関係)
(2020年2月26日)

甲第520号証[343 KB]
口頭弁論要旨(原告 吉田邦子)

・甲第521号証(南丹市のホームページ→こちら)。
南丹原子力防災パンフレット(京都府南丹市総務部総務課)

◆4月8日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;2名。
*今回は新型コロナウイルス禍のため、
 使い捨て時代を考える会側の出席を二人にしました。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。
…………………………………………………………………………………………………

1.高浜町元助役森山栄治氏が関与した高浜原発に関する金品受領に関して、第三者委員会による最終報告書が発表されましたが、真実が明らかにされたのか大いに疑問です。第三者委員会の委員は貴社との関係はないとのことですが、貴社が設置したもので全く無関係とは考えられません。真に中立的立場にある第三者委員会による真相の究明を望みますが、どう考えられますか。

2.経営トップ、とくに原子力関係の責任的立場の役員が辞任するという事態の中で原発を動かし続けています。高浜原発再稼働は、いわゆる「原発マネー」の不正なやり取りで進められたということが明らかになりました。不正な行為のもとに稼働させてきた原発は今すぐ止めるべきだと考えます。動かしつづけていることに疑問はないのでしょうか。

3.役員報酬カットを前提に電気料金を値上げしたにもかかわらず、その後カット分を2.6億円も補填したという報道がありました。金品受領問題とともに消費者を馬鹿にした行為と思えます。あまりにも非常識ではないでしょうか。

4.40年越えの原発、高浜原発1号機・2号機、美浜原発3号機の安全対策工事が2~4か月遅れるとのことですが、多額の対策工事費をかけてなぜ再稼働する必要があるのでしょうか。工事費はどのぐらいでしょうか。今後の稼働次第では採算の取れない可能性もあると思われますが、その見通しはどうでしょうか。40年越えの原発再稼働も金品受領問題と無関係と思えません。そういう背景での老朽原発の再稼働は不安です。なぜ再稼働を急ぐのですか。

5.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。使用済みMOX燃料の処理法など前進していますか。今のような状況の中で、使用済み核燃料を増やすことは無謀ではありませんか。

6.貴社は、温暖化対策も考えて原発を維持していると説明していますが、神戸製鋼が2021年に稼働しようとしている大規模な石炭火力発電所の電力を購入するため神戸製鋼と電力需給契約を結び、温暖化ガスをはじめ環境負荷の非常に高い石炭火力発電を推進しています。説明が矛盾しているのではないでしょうか。環境負荷の高い原発も石炭火力もやめるべきではないでしょうか。

7.厳しい経営環境下で経費削減の努力をしておられると思いますが、原発の安全性や送配電の健全性は十分に配慮、維持されているのでしょうか。

…………………………………………………………………………………………………

話し合い内容 Q(こちら側の発言〉 A(関電の発言)

Q 3月27日に突然抗議文を渡しに来て申し訳なかったが、思いがけず大勢の人が抗議文を書いて駆けつけた。それだけ市民の怒りが強いということを認識してもらいたい。

A 京都支社に報告し、役員にも周知するようにした。(槌田さんに)返信用封筒で書面での回答を要求されたが、こういう機会があるので、書面で回答することはしていない。私が代わりにきちんと説明する。

Q 理解はするが、きっちりした回答が聞きたい。別途考えたほうがいいのか。こことは切り口が異なる。社長か社長と代わる人と話したい。

A ご意見あること伝える。書かれていたことを前提に今日は話す。

Q とりあえず今日のところは(書面回答がないことを)納得ということにする。

Q 新型コロナウイルスが蔓延しているが、もし今原発事故が起きたら、密室に大勢の人が避難しなくてはならなくなる。コロナウイルスの感染対策に反することだ。今すぐ原発を止めるべきだ。

A ご意見として聞いておく。

Q 4月1日に分社化したというが、どのような編成になったのか。

A (チラシを出して説明)送配電部門が分離して関西電力送配電株式会社になった。関西電力の営業もこのビルにある。

Q 今までと基本的に変わらないのではないか。

A そうです。役割が分かれた。

Q 本社機能の窓口はどこか。

A 管理機能を言うなら本店にしかない。地域対応は送配電事業が受け持つ。対応は今までと変わらない。

A(Q1について)前にも言ったが、第三者委員会は日弁連のガイドラインに則って行った。全容が暴かれていないといわれるが、大阪市長が評価すると発表したことや、第三者委員会の格付けはA~FのなかでB、Cと評価されたので、調査はできていると考える。第三者委員会は、30年前までさかのぼりできるかぎり調査したと言っている。

Q 関電本社内部の認識が甘い。世間では犯罪と言っている。社内でどれだけ調査されていたのか。経産省との関係もいったいどうなっているのか。疑問ではなく怒りだ。社内と第三者委員会(の認識)には差があったのではないか。

A ありました。

Q もっと奥は深い。不信感が増幅する。関電が指名したのではない委員で、委員選定も第三者が行うようにしてもらいたい。第三者委員会は森本さんが依頼したとされている。不信感が募る。

A わかるが、見方の一つと思う。

Q 電気代を払っているユーザーの視点が抜けている。電気代が高くなったことが怒りになっている。

Q 役員報酬の補填について社員はどう思っているのか。

A 社員も驚いた。社内的にも、上部に直接意見を言うメールなどを整備した。

Q こういう時は労組からも行くのだが。

A そちらからもあった。

Q 「パワー・ウィズ・ハート」と宣伝しているが、「ハート」の意味を疑う。この間のことには貪欲な利権を感じる。消費者離れが進んでいる。関電がつぶれたら困るので、確かな運営をしてもらいたい。経営的に苦しいという危機的状況ではないか。

Q 株主総会はいつ開くのか。

A まだ決まっていない。

Q 質問1~3の金銭問題はすべて原発がらみで起きている。そのような背景で運転するのは許せない。すぐに止めてもらいたい。

A お詫びする。考えうる改善策を出した。

A(Q4について)原子力の必要性はS+3Eの観点からだ。高浜の事故では亡くなられた方にご冥福を祈り、迷惑をかけたことをお詫びする。特重施設用のトンネルの発破の火薬を運んでいる車に引かれた。

Q 安全管理の経費を削減していたのではないか。手抜かりはないか。慎重にやってもらいたい。

A 再発防止について福井県と話した。重大な労災が発生したことは重く受け止めている。そのことで期間に余裕を持たせるために作業予定を変更したので工事が遅れた。

Q そこまでして動かす必要がどこあるのか。

A 原発は必要な重要電源であり、安全配慮を大前提にして動かす。

Q 政府がベースロードと位置付けているのを、関電の言葉で言い換えているだけではないのか。関電だけの責任ではないと思うが、説明はインチキだ。結果を定めて、その理由を付けているだけだ。

Q 私は原発に関わって50年になる。昔は原発の寿命は30年と言われていた。問題は解決していないのに技術はそのままだ。もちろん良くなったものもあるが、進歩はない。40年持たせることを考えていない技術だ。もたついているのはお金を使いたくないからだ。40年越えとは沙汰の限りである。田中俊一さんは原発には先がないと書いている。炉心が燃えるのは当たり前だし、燃料棒はものすごくもろい。冷却技術があるというが、全部インチキだ。実験して確認することができない。40年越えの原発を動かすことはならない。

Q なぜ、どういう運転計画で動かすのか。

A 定検があるから交代で動かす。長期的電源計画でやる。

Q 政府が方針を出しているから従っているのか。40年越えの原発に金をつぎ込んでも倒産するということを考えなくてもいいからやっているのではないか。定検や津波対策にお金をケチって事故になった。願望や幻想で安全を語っている。安全性についてもしらみつぶしに完全にはやれないから、適当にやって事故につながっている。老朽原発を動かすのは燃料代がかからないからで、すでに持っているから動かさないと損ということなのではないか。他部門の経費を削減し、無理をしているから事故が起きる。経営は大赤字だから原発を動かさないといけなくなっているのでは。原発はあと7年でなくなる。目先のことしか考えていない。前経営者は無能だった。

A(Q5について)国の政策に基づいて青森六ヶ所に搬出する。関電は日本原燃を支援している。2019年3月8日に原子力規制庁は追加確認願いの審査会合を開き、規制庁としては方向性は「良」とし許可に向けて審査中と聞いている。MOX燃料処理については新たに伝えられることはない。

Q 処理の見通しがない中でなぜ動かして日々使用済み燃料を生み出していくのか疑問だ。

Q 見切り発車だ。青森の六ケ所村処理施設がいつ建ったのか、どういう経緯をたどったか、再処理はできているか、次回に示してもらいたい。社長の森本さんはこれに近い仕事をしていた。燃料の後始末のことをやっていたので詳しいはずだ。金品受領とは無関係だと思う。見切り発車は困る。森本さんの知見を加えて答えてもらいたい。

Q 送配電の社長さんは?

A 土井で、技術系、送配電畑の人だ。

Q 金品を受け取った福田隆さんが、常務執行役員になっている。そういう人を送配電の重要位置にしていいのか。福田さんが送配電に入っていることには疑義がある。分社化は公正で客観的でないと困る。

A 森本さんの件(六ケ所の件)は次回までに確認する。

A(Q6について)石炭火力はエネルギーの多様化。節電・省エネで関電エリアでは電力需要が減少方向だ。再エネにも力を入れている。本当にいるかいらないか見定め、競争力を持ってやっていく。このままで良いと思っているわけではない。

Q 温暖化は世界的な問題だ。疑問があるので素直に聞けない。新エネにどれだけ投資しているのか。専任職員をどれだけ配置しているのか。どれだけ事業費を投入しているのか。日本のエネルギー産業で頼りになるのは関電だから、関電が本気で新エネをやるべきだ。

A 2021年末に600万キロワット、200万キロワットの新規開発など努力している。

Q 福島事故後にどういう努力をしてきたのか。各部門の人員配置を聞きたい。新エネに何人配置してきたのか、これからどうするのか。

A 次回に答える。

A(Q7について)(グラフを提示)有価証券報告から部門ごとの設備投資額の一覧を作成した。送配電は1100億円前後で推移し、経費削減の事実はない。

Q 変電は減っている。売る施設を持っていないせいか? トランスなどの維持は難しいと思う。送電は増えている。

A 送電は電線の敷設などで増えている。

Q 送電は固定資産を減らしているが?

A 土地や設備などいろいろある。

Q 不要なものをいろいろ持っているということか。

A 一例だが、昔は遠隔操作が難しく有人だったが、無人化していらなくなったなどがある。確認しておく。

Q 原子力部門のしわ寄せが他部門にいっているのではないか。ブッラクアウトのような事故につながる恐れがある。展望がないのに原発にお金をつぎ込んでいるのではないか。原子力設備への投資は増えているが、経営上の貢献はしていない。経営の根幹が疑問だ。原子力を無理してやっている。原子力が安いという根拠を示してもらいたい。当面の現金が出ていかないだけではないか。

A 健全性は配慮している。

A 電柱が斜めになっていると言われたが、一度見に行きたい。もしかしたら関電の電柱ではないかもしれない。NTTなどの場合もある。

Q 家のそばの電柱のことなので、一度確認しておく。

A 時間なので。

* 新型コロナウイルスが広がっているので、いつもは4人だが今回は2人で臨んだ。関電側は3人。互いの椅子の間隔を大きくあけて話し合った。コロナウイルスが広がっている今、福井の原発で事故が起きたら「密閉、密集、密接」の状態で避難者を受け入れることになることを指摘したが、あまり危機感を持っていないようだった。

◆関電と原発 memo No.13–原発重大事故で放水砲が大活躍

原発の重大事故
原子炉の格納容器破損にも備える関電!

放水砲で放射性物質の放出を抑制する!

(関電のホームページ→こちら、他より)



┌─────────────────────────────────
▲マジか・・・|゚Д゚;)))
これは火災のときの訓練なのでは?

格納容器に水をかけて、放出される目に見えない放射性物質を打ち落とすというわけか?
放水砲で落とすことができてもできなくても、極度の汚染は免れないのでは?
格納容器が破損してしまったような事態のとき
こんな“放水砲”が本当に有効なのか?
虹がきれいだなあ!(~o’)”\basi!
└─────────────────────────────────


┌─────────────────────────────────
▲マジか・・・(~_~;)
炉心まで損傷したようなときも、放水砲か?
ヘリコプターで避難できるのか?
└─────────────────────────────────


┌─────────────────────────────────
▲マジか・・・!!!(> <)!!!
シルトフェンスなんか張ってるときか? トットと逃げるときでは?
それにしても放水砲は大活躍!
└─────────────────────────────────

◆原告第70準備書面 第4
なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次

第4 なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか

1 序
2 震源特性の違い
3 サイト特性の違い(関電地盤モデルと3号炉地盤モデルの違い)


第4 なぜMが小さいのに基準地震動を超過するのか


1 序
 被告関西電力は,FO-B~FO-A~熊川断層モデルによるM7.8の地震を想定して基準地震動を策定している。これに対して熊本地震は,前震がM6.5,本震がM7.3であり,地震エネルギーとしてみると,M7.8の地震は,M6.5の地震の約90倍,M7.3の地震の約5.6倍も大きなエネルギーである。

 それにもかかわらず,M7.3の地震が発生した場合でも基準地震動を上回る地震動が生ずることが明らかとなった(第2)。それはなぜか。


2 震源特性の違い

(1)断層破壊の不均質性

 レシピによる基準地震動の計算では,各小断層で同じ波形の地震波が発生し,次々値観測点に到達しているとする。しかも,小断層から次の小断層への破壊伝播速度は一定である。

 実際は,震源断層面上で発生する地震波は,断層面上の場所によって異なる(場所によって応力の大きさ,向きが違うため)うえ,破壊伝播速度も変化する。このため,観測点での実地震波形は,レシピによる計算波形に比べ,スムーズではなく,ギクシャクしており(バラついており)均質ではない。

 レシピは,これまでの観測波形の平均値(平均像)で考えているが,波動の平均値が同じであっても,ギクシャクの程度によって,ピーク値,応答スペクトルは変化することは自明である。このことは,平均値・平均像を用いることの限界を如実に示すものである(第16準備書面等)。

(2)断層走向の影響

 震源から出る波には,断層の走向と断層すべりの方向との関係に依存した放射特性と破壊伝播に依存するディレクティビティ効果がある。FO-B~FO-A~熊川断層の場合,断層走向方向(北西-南東方向)および直交方向(北東-南西方向)の震動成分が大きく(レシピ計算でも同様),NS・EW方向では小さい。それにもかかわらず基準地震動はNS・EWで計算しているため,それだけ過小評価となっているのである。

 熊本地震は,このことを明瞭に示している(上記第2・7)。


3 サイト特性の違い(関電地盤モデルと3号炉地盤モデルの違い)

(1)解放基盤の速度の違い

 解放基盤の速度が大きいと地震動は小さく計算される。関電は,基準地震動を計算するための地盤構造モデルを策定するにあたり,解放基盤の速度を,物理探査および地質調査の結果を無視して,P波速度は4.6km/s,S波速度は2.2km/sといずれも大きく設定した(これは原子炉建設時の許可申請時に用いた値を踏襲したもの)。例えば,試掘坑における弾性波探査結果について関電自ら「解放基盤のP波速度を4.3km/sと評価した」と表明している(丙196[19 MB]・9,10頁)にもかかわらずこれを無視したのである。さらに,3号炉付近の値は,P波速度は4km/s以下,S波速度は2km/s以下である(甲422[484 KB]・4~7頁)。

 なお,被告関西電力が作為的に地盤構造モデルを策定していることについては,原告第69準備書面・第1(被告関西電力準備書面(22)[4 MB]への反論)で述べたとおりである。

(2)減衰量の違い

 地盤における地震波の減衰量が大きいと,当然,地震動は小さく計算される。被告関西電力は,地盤構造モデルの減衰量を算定するうえで,新潟平野の土質地盤の知見を大飯の岩盤に流用し,散乱減衰の理論を展開しながら散乱減衰の基本である周波数依存性について考慮していないなど,不合理な評価をしている(甲422[484 KB])。

 土質地盤では岩盤よりも減衰が大きいが,関電のモデルでは逆に,大飯岩盤の減衰が,実測された大阪平野の土質地盤の減衰より1.5倍も大きいのである(甲481[1 MB])。これについても原告第69準備書面・第1(被告関西電力準備書面(22)[4 MB]への反論)や原告第60準備書面等で指摘している。

以 上

◆原告第70準備書面 第3
「おつきあい地震断層」について

原告第70準備書面
-2016年熊本地震を踏まえた主張-

2020年2月26日

目 次

第3 「おつきあい地震断層」について

1 技術の進歩によって認知されるようになった「おつきあい地震断層」
2 FO-B~FO-A~熊川断層に伴う「おつきあい地震断層」の危険性
3 まとめ


第3 「おつきあい地震断層」について


1 技術の進歩によって認知されるようになった「おつきあい地震断層」

 技術の進歩により,2016年熊本地震以降,いわゆる「おつきあい地震断層」の詳細が明らかとなってきた。それが,「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダー(SAR)である。SARによって,2016年の熊本地震(M7.3)以降,2018年の大阪府北部地震(M6.1),北海道胆振東部地震(M6.7)で類似の特徴を有する地変が観測され,「おつきあい地震断層」と呼称されて学会で認知されるようになってきた。

 これら「おつきあい地震断層」の共通した特徴は以下のとおりである。

  • 標準的な長さは数km,直線もしくはゆるやかな曲線状の変位が連続し,断層を挟む変位量は数cmから数10cm程度である。
  • 震源断層から離れており,震源断層または直接の分岐断層である可能性は低い。
  • 大きな地震動を出したとする証拠は確認されていない。
  • 自ら動かずに受動的に動かされたと考えられ,大きな地震の原因ではなく結果として断層変位が生じた。
  • 走向や変位の向きは周辺の応力場と整合的である。

 以上の特徴から,おつきあい地震断層は,強震動を発生した震源断層付近の既存の構造弱面が,地震を発生した地域の地殻応力によって強震動を発生することなく「くい違い」,地表に直線状の変位として出現した地変と考えられている。そして,このような受動的な断層の活動が地震時に多数発生し,それ自身が大きな地震動を発生することはないが,地表のずれによる被害や地震動の増幅をもたらすことになる。

2 FO-B~FO-A~熊川断層に伴う「おつきあい地震断層」の危険性

 大飯原発サイトは直近のFO-A断層から南西に約2km離れている。次頁(19頁)の上図のとおり,敷地にはF-1~F-6,f-1~f-4,A~Eの15本の断層破砕帯が確認されている。
《図省略→目次ページにリンクのあるPDFファイルに掲載。以下同》

 また,下図のとおり,破砕帯には無数のシームが付随しており,地盤の弱面を形成している。
《図省略》

 従って,FO-B~FO-A~熊川断層によるマグニチュード7.8の地震が発生すれば,これらの断層破砕帯に沿って「おつきあい地震断層」が生じることになる。例えば,3号炉直下のF-3破砕帯は,長さ約190m,最大幅50cm,走向はほぼ南北,傾斜角は北西約60°である。若狭湾地域は東西方向に主圧力軸をもつ地殻応力下にあるので,F-3破砕帯では逆断層が生じ,3号炉直下の北西側が最大10数cm隆起する。

 基準地震動はFO-B~FO-A~熊川断層によるマグニチュード7.8の地震を想定した強震動を評価しているが,おつきあい地震断層による地表変位と,地表変位による地盤震動特性への影響は,地震による危険性として考慮されていない。規制委員会の議論でも俎上に上がっていない。被告関西電力は,最新の知見を耐震安全評価に組み込んでおらず,危険性が認められる。

3 まとめ

 「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダー(SAR)により,2016年熊本地震(M7.3),2018年大阪府北部地震(M6.1)および2018年北海道胆振東部地震(M6.7)に伴って「おつきあい地震断層」が生じていることが明らかになった。

 このように,災害をもたらした地殻内の大地震では,地盤の弱面に沿って「おつきあい地震断層」が生じていることから,FO-B~FO-A~熊川断層によるマグニチュード7.8の想定地震によっても大飯原発敷地に存在するF-1~F-6,f-1~f-4,A~Eの15本の断層破砕帯に沿って「おつきあい地震断層」が生じる危険性がある。「おつきあい地震断層」による地表変位と地表変位による地盤震動特性への影響を耐震安全評価に組み込む必要があるのであり,それがなされていない現状では,危険が到底払拭できないのである。