投稿者「meisei」のアーカイブ

◆京都脱原発原告団の新しい案内パンフ& 原告申込書

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◆新しい案内パンフ…p.1~4
◆原告申込書…………p.5、PDFファイルは、こちら[298 KB]
(申込用紙を使わなくても、氏名、ふりがな、郵便番号、住所、電話番号、
Mailアドレスをテキストでお送りいただくことで構いません)
◆新しい案内パンフ+原告申込書……p.1~5のPDFファイルは、こちら[5 MB]
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【p.1】

 
【p.2】

 
【p.3】

 
【p.4】

 
【p.5】原告申込書

◆2/25 第28回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー準備書面、意見陳述こちらへ
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【原告】裁判資料ーー証拠説明書と書証(甲号証)→ 以下に
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★[第78準備書面[355 KB] 関係]証拠説明書 甲第579~583号証[126 KB]
(2021年2月17日)

甲第583号証[766 KB]
関西電力株式会社大飯発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(3 号及び 4 号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書

甲第582号証[416 KB]
発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き

甲第581号証[278 KB]
基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド

甲第580号証[335 KB]
第 9 回 原子力安全基準・指針専門部会 地震・津波関連指針等検討小委員会 速記録

甲第579号証[563 KB]
大阪地裁令和2年12月4日発電所運転停止命令義務付け請求事件判決の判断枠組み、
認定事実


★[第77準備書面[2 MB] 関係]証拠説明書 甲第575~578号証[114 KB]
(2021年2月17日)

甲第578号証(1)~(6)
大飯発電所3・4号炉 原子炉建屋他の基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価について

甲第577号証[7 MB]
原子力発電所耐震設計技術指針(抄)

甲第576号証[2 MB]
大飯発電所基礎地盤の地震力に対する安定性について

甲第575号証[127 KB]
基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価に係る審査ガイド


[第76準備書面 関係]証拠説明書 なし


★[第75準備書面[926 KB] 関係]証拠説明書 甲第529~574号証[411 KB]
(2021年2月17日)

甲第535~574号証[8 MB]
朝日新聞DIGTALより

甲第534号証[7 MB]
調査報告書(第三者委員会から関西電力株式会社へ、2020年3月14日)

甲第529~533号証[1 MB]
朝日新聞DIGTALより


【注】裁判資料ページ全体の構成変更にともない、第27回口頭弁論から、前回までのタイトル「原告提出の書証」を、「原告提出の書面」に変更しています。内容的には、証拠説明書と書証を掲載している点で、ほぼ同じです。(ページの上のプルダウンメニューから入る場合と、右の更新情報から入る場合と、両方に対応する形にしました。)


◆2/25 第28回口頭弁論のお知らせ

・すべての原発を止める第一歩として大飯原発3、4号機の運転差止を求める私たちの裁判は、2月25日に、28回目の期日となります。
・コロナウイルスの感染拡大のため、原告席は大幅に、傍聴席は半数程度に削減されています。
・しかし、可能な範囲で多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

◆弁護団の準備書面
・関電の金品受領問題…渡辺輝人 弁護士
・敷地地盤の問題点、取りまとめ…赤松純平 さん(原告団世話人)
・12/4の大阪地裁判決の評価…森田基彦 弁護士

◆原告の意見陳述
・今回は上記のように重要な主張が重なるため、原告の意見陳述はありません

◆タイムテーブル
・12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の前に集合
・12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃まで
・13:25…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
・13:40…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了
 直ちに抽選→傍聴券の配布
 抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は
 14:30までに「こども未来館」(間之町通竹屋町下ル、254-5001)の模擬法廷へどうぞ
・14:30…開廷、弁論開始。同時刻に模擬法廷も開始
・15:45頃から…閉廷後、「こども未来館」で報告集会。30~60分程度
 「こども未来館」→こちら

・ML登録をされている原告には、メール配信いたします。
・郵送を希望され登録済みの原告には、郵便でご連絡します。
・以下の画像のPDFファイルは、こちら[235 KB]。ファイル名は「2021-02-25.pdf」

◆大飯原発4号機再稼働に対する抗議文(2021年1月)

関西電力株式会社
社長 森本 孝 様

抗 議 文

 大飯原発4号機の再稼働に強く抗議します。

 貴社は1月15日に調整運転として大飯原発4号機を再稼働しました。来月中旬には営業運転をすると報道されています。この暴挙に強く抗議します。

① 定期点検で配管の損傷がなかったからとされているが、現在止まっている大飯3号機、高浜3、4号機はいずれも蒸気発生器の配管に損傷が見つかっている。大飯4号機も同じ加圧水型で危険性が高い原発である。

② 昨年12月4日の大阪地裁判決で、大飯3、4号機は規制委員会による設置許可の取り消しという判決が出た。地震の震度のばらつきを考慮しないで許可をしたことへの判決で、この判決を無視するということは許しがたい。地震を甘く見ているとしか思えない。

③ 特定重大事故等対処施設ができていない。

④ コロナ禍に対応した避難計画ができていない。

⑤ 異常気象で各地で豪雪が相次いでおり停電も起きているが、豪雪に対応する避難計画、停電対策などができていない。

 以上に挙げたように、何をとっても再稼働ができる状態ではありません。安全第一という貴社の説明に反する行為です。
この間貴社は原発再稼働に向けて地元自治体などへの説明などを行い、何が何でも再稼働をしようと画策してきました。再稼働ありきで、全く安全第一とは程遠い姿勢です。コロナ禍で電力不足になったと言いますが、夜も街は煌々としており、節電しているとは言えない状況です。電気は余っているのです。

 コロナ禍で避難もままならない状況下での再稼働は人命を無視した暴挙と言わざるを得ません。直ちに大飯原発4号機の運転を停止してください。

2021年1月27日
NPO法人 使い捨て時代を考える会
京都市下京区富小路仏光寺下る筋屋町141
Tel 075-361-0222  Fax 075-361-0251

◆1/24 「関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会」報告とお礼

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◆報告とお礼
 コロナニモ、雨ニモマケズ、350 名超が結集

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 関電は、原発に関連して、一昨年来、原発マネーの不正還流、再稼働準備工事中の人身事故、蒸気発生器配管の損傷をはじめとするトラブル、使用済み核燃料中間貯蔵候補地に関わる約束違反など、不祥事を頻発させています。関電の倫理や技術は崩壊し、地に落ちていることを物語っています。

 それでも、関電は、運転開始後40 年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2 号機、美浜3 号機を本年早々にも再稼動させ、全国の原発の60 年運転に道を開こうとしています。

 関電は、昨年9 月、美浜3 号機、高浜1 号機の安全対策工事が終了したと発表し、各々の原発の本年1 月、3 月再稼働を画策していました。また、立地自治体・美浜町、高浜町の町議会は、再稼働同意を決議しています(昨年12 月、11 月)。

 しかし、もう一つの立地自治体・福井県の杉本知事は、「使用済み核燃料中間貯蔵候補地が提示されない段階では、再稼働を論じることはできない」としています。また、美浜町長、高浜町長も再稼働同意を逡巡しています。

 そのため、美浜3 号機の再稼働は、少なくとも1 カ月以上遅れています。再稼働を阻止し得ている背景に、「老朽原発うごかすな!」運動の高揚があることは言わずもがなです。

 なお、関電は「2018 年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言していました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、その時「候補地提示期限を2020 年末まで」と再約束しました。関電は、この再約束もホゴにして、大飯原発4 号機を、1 月15 日、起動させ、老朽原発再稼働まで画策しているのです。しかも、去る12 月4 日に、大阪地裁が大飯原発3、4 号機の設置許可の取り消しを命じ、国が控訴した、係争中の大飯原発4 号機の起動です。

 関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業と言っても過言ではないでしょう。

 昨年、「老朽原発うごかすな!実行委員会(実行委と略)」が呼びかけた「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」(9 月6 日)には、コロナ感染の拡大に加えて台風の中、1600人の参加を得ました。また、「老朽原発うごかすな!キャンペーン期間」(10 月1 日~11 月22 日)には、関西23 自治体に申入れを行いました。11 月23 日の「関電包囲大集会」(550人参加)を旅立ちとして、12 月9 日に美浜町に到着した「老朽原発うごかすな!リレーデモ」には延べ1380 人の参加を得ました。12 月9 日には、美浜町内デモ、町役場および関電原子力事業本部前での抗議・申入れ行動を闘いました(約200 人参加)。これらの昨年の行動は、脱原発を目指す関西、福井の市民団体、労働団体、政党のほとんどを含む220 の団体、840 人の個人の賛同を得て実行されました。昨年は、「老朽原発うごかすな!」を合言葉にした共闘の輪が大きく拡がった年でした。

 本年1 月15 日には、大飯原発4 号機再稼働阻止緊急行動を呼びかけましたが、40 名ものご参加の下、おおい町内デモ、原発前抗議、申し入れ集会を行いました。

 まだまだ、老朽原発再稼働を許してはいません。私たちの闘い如何では再稼働を阻止できます。

 1月24 日の関電前「関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会」には、そのようなやむに止まれぬ決意をもって、コロナの緊急事態下、雨にも拘わらず、350 人超のご参加を得ました。

 ご参加、ご支援の皆様、ありがとうございました。

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先;木原壯林(若狭の原発を考える会)

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◆主催者挨拶(要旨)
 原発ゼロ法案を実現し、原発に依存しない若狭を!

(老朽原発うごかすな!実行委員会・中島哲演)
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 原発地元の自治体 や経済界は、 原発経済から抜け出さないでいます。
しかし、国会の経産常任委員会に付託された「原発ゼロ法案」には、
① 全ての 原発等の速やかな停止―廃止、
② 電気の需要量の削減、
③ 再生可能エネルギー電気の供給量の増加を、あるいは、原発を停・廃止する「事業者への支援、周辺地域の雇用・経済対策」を、
「法制上、財政上、税制上、または、金融上の措置」を、条文として維持しているのです。 この法案は、2 年 余りも棚ざらしされていますが、その審議の開始こそ、経済的な不安をも克服する胎動へと続いています。
 原発電気を拒否しよう
原発延命に狂奔し、電気料金の高い関電については、今、小口顧客の 30 %以上 (昨年 11 月現在) が見切りをつけ、離脱しています。老朽原発を運転すれば、顧客の減少はさらに加速するでしょう。老朽原発再稼働は、関電にとっても危機となるのです。 関電の「新たな時代」への転換を勧告してや みません 。

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◆集会宣⾔
 ⽼朽原発廃炉を突破⼝に、
 原発全廃をかちとろう︕

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 福島原発事故から10 年になりますが、避難者の多くが今でも故郷を失い、苦難の生活を続けておられます。事故炉内部は未だに不明で、増え続ける放射性汚染水は太平洋に垂れ流されようとしています。原発は、現在科学の手に負える装置でないことは明らかです。

 その原発が老朽化すれば、原子炉や配管の脆化、金属疲労、腐食などによって、危険度が急増します。

 それでも、関電と政府は、運転開始後40 年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2 号機、美浜3 号機を本年早々にも再稼動させ、全国の原発の60 年運転に道を開こうとしています。

 ところで、原子力規制委員会(規制委)が、老朽原発の運転を認可したのは2016 年ですが、認可以降に、関電の原発では、トラブル、人身事故が頻発しています。

 トラブルの中でも、高温・高圧の一次冷却水が流れる蒸気発生器や加圧器の配管の損傷はとくに深刻です。もし、これらの配管が完全に破断すれば、冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性があるからです。配管の損傷は、昨年だけでも、高浜3 号機および4 号機の蒸気発生器伝熱管、大飯3 号機の加圧器スプレイ配管で発見されています。

 蒸気発生器伝熱管の減肉・損傷を生じさせた原因物質について、関電は、配管内で自然発生した鉄さびの塊であると発表しています。鉄さびの塊や腐食で生成した金属の破片などが、冷却水の流れに乗って原子炉内を高速でかけ巡って、配管を損傷させているのです。

 このような異物は、原発が老朽化すればどんどん増えます。運転開始後40 年をはるかに超える圧力容器を持ち、更新後25 年を超えた蒸気発生器を持つ高浜1、2 号機、美浜3 号機が安全なはずがありません。それでも、規制委員会はこれらの老朽原発の運転を認可しているのです。原発の40 年超え運転が理不尽であり、新規制基準が極めて不完全で、規制委の審査がいい加減であることを示しています。

 なお、規制委審査のいい加減さを端的に指摘したのが、去る12 月4 日に大飯原発3、4 号機の設置許可取り消しを命じた大阪地裁判決です。規制委は、原発運転の認可にあたって、基準地震動として過去の地震の大きさの平均値を採用し、原発の耐震性は平均値に見合ったもので可としています。大阪地裁は、これは、「バラツキ」を考慮していず、過小評価であるとしたのです。

 この判決に従えば、同様な方法で推定された老朽原発敷地の基準地震動も過小評価していることになります。

 一方、関電に関して、1 昨年発覚した原発マネーに係わる不祥事の調査は、未だに納得できるものではなく、関電が企業体質を抜本的に改善したとするにはほど遠い状態にあります。もし、関電が真にこの不祥事を反省しているのなら、不祥事の原因となった原発の稼働を止め、原発稼働の是非を議論しなおすべきです。

 さらに、関電は、使用済み核燃料中間貯蔵候補地を福井県外に探すとした約束を2 度(2018 年、2020 年)もホゴにしています。

 このように、関電が原発の運転に足る資質、体制、企業倫理を持たないことは明らかです。

 そのため、関電については、今、小口顧客の30%以上が見切りをつけ、離脱しています。老朽原発を運転すれば、顧客の減少はさらに加速するでしょう。老朽原発再稼働は、関電にとっても危機となるのです。

 ところで、若狭の原発から100 km 圏内には、福井県のみならず、京都府、滋賀県のほぼ全域、大阪府、兵庫県、岐阜県の多くの部分が含まれます。このことと、福島原発事故では事故炉から約50 km 離れた飯舘村も全村避難であったことを考え合わせれば、若狭の老朽原発で重大事故が起これば、何百万人もの人々が避難対象になります。避難は不可能です。

 しかも、今、新型コロナウイルスの感染が拡大し、終息の兆しも見えません。この中で、超危険な老朽原発が稼働され、重大事故を起こしたら、集団避難のバスの中で、長期にわたる避難生活の中で、ウイルスの感染を防ぐことは不可能です。それでも関電は、コロナはないかのごとく老朽原発再稼働を企てています。許してはなりません。

 今、私たちの運動はコロナの制約を受けていますが、私たちが萎縮すれば、政府や関電の意のままの政策がまかり通ることになります。コロナによって制約された分以上の行動を、創意と工夫によって創造し、老朽原発再稼働を阻止し、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!

2021 年1 月24 日
「1.24 関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会」
参加者一同

 
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◆原発をめぐる司法の状況
 井戸謙一弁護士の発言

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 みなさん、こんにちは。貴重な時間をいただいて、「原発めぐる司法の状態」について、ご報告いたします。

 昨年1月に広島高裁で伊方原発の差し止めの決定が出ました。そして12月に大阪地裁で大飯3・4号機の許可処分の取り消しの判決が出ました。いずれも重要な判決ですが、特に大阪地裁判決は非常に意義があるというふうに思っております。

 この第一報を聞いたときに海渡雄一弁護士は、潮目が変わったというふうに思ったそうです。私は第一報を聞いたときに「終わりの始まりだ」というふうに思いました。どういう意味でこの判決が重要なのかというとですね3つあると思います。

 ひとつは、被告が一電力会社ではなくて、「元締めである国」だということですね。

 それからふたつは、処分が違法だとした理由が、基準地震動策定段階における経験式のばらつきを考慮していないという問題で、これは大飯3・4号だけではなくて関西電力のすべての原発に共通する問題であり、かつ全国の電力会社のすべての原発に共通する問題です。この問題はすべての原発が抱えているということですね。

 それからみっつめは、大阪地裁行政部の判決であるということです。大阪地裁行政部というのはエリートのコースです。いままで原発の差し止めを認める判決はいくつか出ていますが、だいたいエリートコースからはずれた、地方の、変わった裁判官とかですね、定年まじかの高裁の裁判長とか、そういう人たちしか「差し止め判決」は出さないと言われてきました。今回の判決は、エリートコースの真っ只中しかもまだ年齢は50前後です。裁判官としてまだまだ将来もある、エリートコースに乗ってる裁判長の判決でした。弁護団に聞くとですね、森鍵裁判長は去年の4月に前の裁判長と交代で裁判長になったんですが、前の裁判長もこの「ばらつき問題」については、なみなみならぬ関心を示していたそうです。大阪地裁行政部の裁判長が二代続けて、「この処分は違法だ」と考えていたんであればですね、これは大変なことだと思います。

 じゃあ、本当に潮目が変わったのかどうかというのはこれからの裁判を見るとわかると思います。実はこれから判決・決定が目白押しです。

 まず3月12日に佐賀地裁で玄海原発の民事訴訟と行政訴訟の判決があります。この事件の弁護団は、今回の大阪地裁判決の弁護団と同じ人たちで、まったく同じ主張を玄海原発についてもしています。だから特に、このばらつき問題について、佐賀地裁はどういう判断をするのかというのは大変注目だと思います。

 それと3月18日、広島高裁で今、伊方3号機が止められていますが、これに対して四国電力が異議を出した。その異議審の決定が出ます。仮処分が維持されるかどうか、大変注目されるところであります。

 そして同じ日、水戸地裁で「東海第二原発の運転差し止め訴訟」の判決が出ます。東海第二原発というのは、全国で4つある老朽原発のひとつですね。老朽原発を動かしていいのかどうかということについて、初めて裁判所の判断が出ます。

 それから大阪地裁で今やっている「コロナが蔓延している状況では原発をうごかすな」という仮処分。これの判断も3月中に出ます。

 それから大飯4号機を(1月15日に)関電は動かし出しましたが、(大飯3・4号機の許可処分の取り消し)判決の原告の人たちが今、執行停止の申し立てをしています。 この執行停止が認められたら関電はせっかく動き出した大飯4号機をまた止めざるを得なくなります。大飯3・4号機は動かせなくなります。この判断も近く出ます。

 これらの判決・決定が目白押しです。このなかで本当に潮目が変わったのかどうかということがわかると思います。結果はどうなるかわからないけど この流れというのは着実に広がっていくと思います。(みんなの力が作り出した)この司法の潮目の変わりめを追い風にして是非市民運動を盛り上げて、老朽原発をうごかさない、全ての原発廃炉に向かって、頑張っていきましょう。ありがとうございました。
 
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◆老朽原発美浜3号機を動かすな!
 美浜町の河本猛(こうもと・たけし)さんからのメッセージ

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 美浜町議会議員の河本猛です。

 活断層に囲まれた敦賀半島に立地する美浜原発は、立地不適で危険な場所に存在しています。また、過去に死傷事故を起こしている老朽原発です。老朽原発には取り換えが不可能な重要機器があり、いくら高経年化対策を行っても老朽化した原発に鞭打って動かすのは非常に危険です。

 若狭地域の原発で発電した電気は、都市の関西圏で消費されてきました。しかし、関西圏に住む人々が「原発で発電する電気はもう必要ない!」と大きな声をあげています。美浜原発は不要な存在で、即時廃炉を決定するべきです。

 美浜町議会は昨年の12月定例会で、美浜原発3号機の再稼働について「議会同意」を可決してしまいました。その理由は、地元経済のためというのですから恥ずかしい限りです。

 「議会同意」は、原発事故が起これば避難を余儀なくされる30キロ圏内の住民、関西圏・中京圏の人々の生活を考えない身勝手なものでした。原発は、美浜町民の利益のため、自治体財源のために動かすものではありません。老朽原発美浜3号機は、広範囲の自治体住民の生活権、原発事故のない安全な暮らしを保障するために「なくす」べきものです。

 結果的に関西電力は、福井県と約束していた使用済み核燃料の県外搬出先の候補地が示せず、福井県は「原発40年超運転をはじめ、原子力のさまざまな課題の議論を進めることはできない」として、再稼働はストップしています。

 地元事業者の利益優先で、原子力を取り巻く課題が全く見えていない美浜町議会に原発の安全性を語る資格はありません。議会を傍聴されてきた皆さんは、「議会同意」のプロセスがいかに危険な判断であったかわかると思います。

 原発利益共同体に支配された地元任せの同意は非常に危険です。美浜原発はその影響を受ける広範囲の人々の判断で「なくす!」。そのために力を合わせましょう。

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◆福島からのメッセージ
 武藤類子さんより

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「関電よ💢老朽原発うごかすな!」大集会に参加の皆さまへ

 皆さま 寒い中を本当にありがとうございます。

 福島原発事故から10年がもうすぐ経ちます。原発事故は10年たっても収束することはおろか、溶け落ちた核燃料をはじめ汚染水や除染土、がれきや解体家屋など多くの放射性廃棄物を生み出し、問題は更に拡大しています。

 気候変動や激甚災害、コロナ感染拡大などこれからの時代に予想される出来事に私たちは、少しでもリスクを少なくしていかなくては、生き延びることができません。
危ない老朽原発を動かしてはいけません。

 最初に爆発を起こした福島原発1号機も運転から40年の老朽原発でした。
「せめて1号機を止めていたら…」と、どれだけ思ったかしれません。
力を合わせて、原発を止め、少しでも安全な社会を次世代のために創っていきましょう!

福島から武藤類子

◆2021.1.15 報告とお礼

【2021年1月22日,京都キンカンで配付】

 関電は、1月15日、定期点検中であった大飯原発4号機を起動させました。

 関電は「2018年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言していました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、その時「候補地提示期限を2020年末まで」と再約束しました。関電は、この再約束もホゴにして、大飯原発4号機を起動させたのです。関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業と言っても過言ではないでしょう。

 しかも、去る12月4日に、大阪地裁が大飯原発3、4号機の設置許可の取り消しを命じ、国が控訴した、係争中の起動です。原子力規制委員会は、原発敷地で起こり得る地震規模の推定について、推定に用いる経験式で得られる規模は平均値であり、バラツキを考慮すればさらに大きな地震が発生する可能性があるから、「バラツキを考慮せよ」と規定していました。しかし、この規定にも拘らず、規制委員会は、原発運転の認定にあたっては平均値を基準地震動として採用し、原発は平均値に見合った耐震性で可としています。大阪地裁は、これが過小評価であるとしたのです。

 この大飯原発4号機の起動は、新型コロナウイルス(コロナ)の感染が拡大する中での起動です。コロナ下で原発が重大事故を起こしたとき、避難中のバスの中で、避難先での集団生活の中で、コロナコロナの感染を防ぐことは不可能です。

 1月15日、「老朽原発うごかすな!実行委員会」の呼びかけに応えて参集された皆さんは、次の新聞記事のように、断固とした緊急抗議行動を展開しました。ご参加の皆様、お疲れ様でした。有難うございました。
(さらに以下の関電への申し入れ文をご参照ください。)

老朽原発うごかすな!実行委員会・木原
(若狭の原発を考える会:090-1965-7102)

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 原発が老朽化すれば、危険度が急増します。それは、高放射線に長年さらされた圧力容器や配管では、脆化、金属疲労、腐食が進むからです。

 それでも、関電と政府は、運転開始後40年をはるかに超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を本年早々にも再稼動させ、全国の原発の60年運転に道を開こうとしています。

関電よ💢老朽原発うごかすな!大集会

1月24日(日)13時30分 関電本店前(大阪市、中之島)
にご参集をお願いします。集会後、梅田デモを行います。

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申し入れ書

関西電力株式会社:
 取締役会長榊原定征様、
 取締役社長森本孝様、
 原子力事業本部長 松村孝夫 様、
 大飯発電所長 文能一成 様

 福島原発事故から10年近くになりますが、避難者の多くが故郷を奪われたままです。事故炉の内部は未だに掌握できず、事故終息は見えず、トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 それでも、貴関西電力(関電と略)は、昨年11月3日より定期点検入りしていた大飯原発4号機を再稼働させようとしています。

 しかし、以下【1】~【6】のような状況にある現在、原発の稼働は理不尽この上なく、許されるものではありません。

【1】 関電の原発に関連して、蒸気発生器配管の減肉、亀裂をはじめとする各種のトラブル、原発再稼働準備工事中の人身事故が頻発しています。例えば、昨年だけでも、高浜3号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷、大飯3号機の加圧器スプレイ配管で亀裂、高浜4号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷が発見され、高浜4号機でケーブル火災が発生しています。また、高浜原発1、2号機敷地内の掘削中のトンネルでの死亡事故、高浜原発1号機、美浜3号機、大飯原発3号機での転落事故などが報道されています。この事実は、原発はトラブルや事故を多発させる装置であることを物語っています。

 中でも、高温・高圧(320℃・157気圧)の1次冷却水が流れる配管の損傷は、原子炉空焚きの引き金となりかねず、深刻ですが、高浜3号機伝熱管損傷では原因物質が12月15日にやっと分かったところであり、大飯3号機配管損傷については、1月6日に亀裂の原因を公表したばかりです。これらの配管の調査結果が、大飯4号機の配管の保全に反映されているとは考えられません。

【2】 関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を、福井県外に2018年内に決定すると明言していましたが、この約束を反故にし、その際2020年内と期限を再約束したにも拘わらず、この約束もまた反故にしました。それでも、関電は、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続し、老朽原発の運転まで進めようとしています。関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業であることを裏付けています。

【3】 昨年来の原発マネーに係わる不祥事の調査は,未だに納得できるものではなく、関電が企業体質を抜本的に改善したとするにはほど遠い状態にあることは、原発立地自治体をはじめ、多くが指摘するところです。もし、関電が真にこの不祥事を反省しているのなら、不祥事の原因となった原発の稼働を止め、電力消費者や原発立地自治体住民が納得できる説明を行い、原発稼働の是非についても議論しなおすべきです。しかし、関電は、不祥事はなかったかの如く、大飯原発4号機や老朽原発の再稼働を行おうとしています。人々の安全や安心を顧みない身勝手極まりない姿勢の現われです。許されるものではありません。

【4】 去る12月4日、大阪地裁は、大飯原発3、4号機の設置許可の取り消しを命じました。原子力規制委員会は、原発敷地で起こり得る地震規模の推定について、推定に用いる経験式で得られる規模は平均値であり、バラツキを考慮すればさらに大きな地震が発生する可能性があるから、「バラツキを考慮せよ」と規定していました。しかし、この規定にも拘らず、規制委員会は、原発運転の認定にあたっては平均値を基準地震動として採用し、平均値に見合った耐震性で可としています。大阪地裁は、これが過小評価であるとしたのです。

 このバラツキに関する議論は、いやしくも科学・技術に携わる者なら、誰しも納得できるものです。関電は、基準地震動の再評価を行い、それに見合った耐震対策を施すべきです。

【5】大飯原発から100 km 圏内には、約76万人が住む福井県のみならず、約257万人が住む京都府、141万人が住む滋賀県のほぼ全域、大阪府、兵庫県、岐阜県の多くの部分が含まれます。このことと、福島原発事故では事故炉から約50 km 離れた飯舘村も全村避難であったことを考え合わせれば、大飯原発で重大事故が起これば、原発周辺の住民のみならず、何100万人もの人々が避難対象になりかねないことになります。避難は不可能です。重大事故では、琵琶湖が汚染され、関西1450万人の飲用水が奪われます。若狭湾が汚染され、観光や漁業が壊滅します。

【6】いま、新型コロナウイルス(コロナと略)の感染拡大は留まるところを知りません。美浜原発、大飯原発でも、昨年末までに、各々7人の感染が確認されたと報道されています。

 原発内でコロナが蔓延すれば、検査や点検が行き届かなくなり、原発の安全が保たれなくなります。

 一方、コロナが蔓延する中で原発が重大事故を起せば、集団避難中のバスの中で、避難先で長く続く集団生活の中で、ウイルスの感染を防ぐことは不可能です。大勢の感染者が出ます。医療崩壊が起こります。

 少なくとも、コロナの終息が宣言されるまでは、原発の運転を見合わせることが、最低限の企業倫理です。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!実行委員会」および「1.15申し入れ・抗議行動参加者一同」は、貴関西電力に、以下を申し入れます。

1. 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。全ての原発を即時停止し、安全な廃炉を進めてください。
原発の即時廃炉を決定できなくても、少なくとも、以下を実行してください。

2. 使用済み核燃料の安全な保管地と安全な処理・保管法を早急に提示してください。提示できなければ、原発は稼働させないでください。

3. 関電の原発で最近起こったトラブル、事故、原発マネー不祥事の原因は解明されているとは言えません。原因が十分解明され、対策が施されるまで、原発を稼働させないでください。

4. 大阪地裁判決が求めているように、大飯原発、高浜原発、美浜原発の敷地の基準地震動の大きさを見直し、原発の耐震性を再検討してください。

5. コロナの終息が宣言されるまで原発を稼働させないで下さい。

6. 関電の原発が重大事故を起こせば、その被害は若狭をはるかに超えて関西や中部にもおよぶ可能性があります。原発を稼働させようとするのなら、広範な周辺自治体住民の意見にも、十分耳を傾けてください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2021年1月15日
老朽原発うごかすな!実行委員会
1.15申し入れ・抗議行動参加者一同

┌─────────────────────────────────

3月20日(土,休)14時から

関電よ💢老朽原発うごかすな!
高浜全国集会

高浜町文化会館で行い、
高浜町内デモを行います。

(主催:老朽原発うごかすな!実行委員会)

ご予定ください。

└─────────────────────────────────
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◆[2020/12 /15 美浜町議会資料(3) ]松下照幸 議員、再稼働反対の発言

松下照幸 議員(無所属)の発言

美浜原発3号機再稼働の請願に関する賛成討論

 ただ今から、私が紹介議員となりました請願第6号、10号、11号について、一括して、賛成の立場から討論を行います。<技術的問題><組織的問題><倫理的問題>の3つの観点から問題点を指摘します。

<技術的問題>

1,「老朽化」という問題について

 40年を超える3号機の老朽化問題についてですが、原発という巨大設備は、日本原子力学会編「原子力がひらく世紀」1999年版によれば、1000万点に及ぶ部品から成り立ちます。設備ごとの老朽化対策は難しく、「老朽化した配管の強度計算をどのようにするのか」と関電社員に聞いたことがあります。「新品材料を使い、配管肉厚を半分にして、強度を計算する」という回答です。「それは、そういう実験をしたと言うことに過ぎず、老朽化を加味した計算にはならない」と言いますと、引き下がってしまいました。この一事だけをとっても、老朽化を加味した対策がいかに困難かを理解できます。実機レベルでの老朽化検証は、まず不可能と言えるでしょう。

 関電の美浜3号機に関する住民説明会で、設備の老朽化をどう判断するかの質問を行いました。特に、経年劣化を考慮した動的解析がどのようになされているかを具体的に知りたかったからです。発電所長の回答は要領を得ないものでありましたので、エネルギー政策課を通して、再度、文面で説明を要請しました。未だに何の連絡もありません。不誠実です。行政側も、町民の安全に関して、老朽化をどのように解決しようとしているかの情報は必要なはずです。回答を出せないというのであれば、町民の安全を優先すれば、原発の運転をする資格はありません。

 老朽化に限らず、幾度にも渡り、個別課題に対して、関電事業本部に質問状を渡し、文面での回答を求め続けてきました。一度も回答を得られたことはありません。ずいぶん前になりますが、印象に残っておりますのは、使用済み燃料の高燃焼度に関する実験で、フランスのカブリ炉が興味深い実験結果を出していましたので、関電に高い燃焼度の使用済み燃料目視検査の実態を知りたいと申し入れました。電話での回答は「企業秘密と核物質防護の観点で、受けられない」とのことでした。「この件は町民の安全に深く関わることなので、そういうことであれば、正規に情報開示を求めることになる」と言いますと、後日職員が来られて、分厚い資料を頂きました。中身を見ると低燃焼度の燃料調査に関する資料です。「誰がこんな資料を要求した!」と怒ったことを記憶しています。

 カブリ炉の実験は、高燃焼度の燃料を選び、そこに反応度を入れて結果を見るものですが、高燃焼度の燃料の中で、目視検査により傷があった燃料棒が、大きな破損をしています。我々町民にとって、燃料棒の破損は安全上、極めて重要な案件なのです。

 関西電力の技術者や広報担当者は、美浜2号機事故が起こる前、蒸気発生器細管には粘りがあるので「ポキッと折れることはない」と言い張り、当時の原子力安全委員会の方も同様に言っていましたが、ギロチン破断をしてしまいました。その時に燃料棒が破損していたら、地域が一斉に避難しなければならない事態になったでしょう。それほど重要な情報が、オープンにされないのです。

 大飯3号機ひび割れに対する関電対応は、特別ではなく、過去にも同様のことが、美浜原発でも行われていました。その結果として、美浜2号機、美浜3号機事故が起き、3号機事故では11人の死傷者を出すことになりました。当時の若い下請け社員が「もう、会社をやめたい」と語っていたと伝え聞いています。原発で働く人にとっても、原発の安全はとても大きな問題なのであります。運転開始初期の頃、美浜1号機では燃料棒の大折損事故が起き、事の重大さ故に、全てが隠されました。田原総一郎氏がそれを暴き、ようやく多くの人が事故の存在を知ることになりました。国と電力会社が結託した隠蔽行為だと思われますが、今でも事故の詳細を知ることが出来ません。住民の安全や作業員の安全にとって重要な情報は、全てオープンにしなければなりません。これをしないところに、事故が入り込んできます。

 原発は巨大設備であるが故に、個々の設備を検証することは不可能で、ほとんどがコンピュータによる解析結果です。実証試験ができません。これでは事故が起きるのは必然です。

2,耐震安全性

 原発ごとに決められる基準地震動は、過去の地震観測記録から得られた解析データに基づいて経験式を作ります。経験式は、「平均値」としての地震規模を算出します。しかし、平均値から外れた「バラツキ」をどう考慮するかが、安全上重要な問題となります。私たちが以前から指摘してきたことです。12月4日の大阪地裁判決は、「原子力規制委員会は、平均値から上振れするリスクを前提とした、地震規模を設定するかどうかを検討せず、実際に上乗せもしていなかった」と指摘しています。原子力規制委員会自らが定めた「審査ガイド」があります。「経験式は平均値としての地震規模を算出するもので、平均値から外れたバラツキも考慮される必要がある」と定めています。ゆえに、大阪地裁判決は、審査において「看過しがたい過誤、欠落があり、違法である」と断じたのです。分かりやすい論点です。既往地震データの中で、平均的な地震動だけをみて、平均から離れた、突出した高い数値の地震データを無視し、その突出した地震動に対応していなければ、原発は破壊されることになります。

 判決が指摘した「バラツキ」への対策欠如は、「規制委員会が知らなかった」のではありません。「バラツキ」に対応しようとすると、対策のための時間とコストがかかるために意図的に対応しなかった、或いは、他の理由を付けて「バラツキ」を考慮する必要がないと主張したのです。この論理の目指すところは、住民の安全よりも、「電力会社への便宜」であります。それ以外にまっとうな理由はないと言えます。

 福島原発事故を経験して、二度とこのような事故を起こさないと反省し、「新規制基準」を創りました。再び、原子力規制委員会は電力会社の「虜(とりこ)」に成り下がってしまったのでしょうか。そう思わざるを得ません。自分たちが作った「審査ガイド」に「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するバラツキも考慮されている必要がある」と書いています。

 新規制基準は「世界一厳しい基準」とよく言われます。町長も語っていますし、原発輸出に力を入れて失敗した安倍元首相が、常に語っていた言葉でした。ほとんど大きな地震が起きないところに、世界の原発は建てられています。大きな地震が常に発生する日本、断層が集中する地域に原発を建ててきた日本。世界より厳しい耐震基準を作らなければならないことは自明です。しかし、前原子力規制委員長の田中氏が、「新規制基準をクリアしたとしても安全であるとは言えない」と語っています。「世界一の規制基準」と語る人たちは、再稼働を推進するための呪文を唱えているに過ぎません。まやかしです。原発を稼働させて、地域経済へお金を回すことを優先させる言葉であると、私たち住民は感じています。その耐震基準において、規制委員会自らが作った「審査ガイド」を無視して、原発の再稼働を規制委員会が容認したのですから、今回の大阪地裁判決は、住民サイドに立つ「まっとうな判断」と言えるでしょう。

 私が紹介議員となった3件の請願書において、その中の1件が、審査の過程で蒸気発生器伝熱管の耐震評価で、不正の疑いがあり、規制委員会はそれを容認するという「ずさん審査」を指摘しています。地震応答解析において、地震の揺れが収まる程度を示す「減衰定数」の設定で、不正に審査を通していることも指摘しています。基準地震動の過小評価、熊本地震のような「繰り返しの揺れ」に対応できているのか等も指摘しています。原子炉容器の劣化を調べるために、炉内に「監視試験片」を入れ、中性子の影響を調べますが、この「原データ」を確認もせず、規制委員会は関電の評価結果を鵜呑みにして認可していたことも指摘しています。この「原データ」は、金属のもろさを示す重要なものですが、関電はこの「原データ」の公開を頑(かたく)なに拒んでいると指摘しています。名古屋地裁での裁判の中で、規制委員会が関電の「生データ」をもらっていない旨を証言しているのです。

 これでは、福島原発事故を防げなかった「原子力安全・保安院」と、どう違うのか。聞くところによれば、「ホアンインアホ」という言葉が、都会の子供たちの中で「言葉遊び」として流行ったようです。どちらから読んでも同じです。的を射た言葉として、手をたたいて感心したことを思い出します。

 耐震安全について、設備の経年劣化を考慮すれば、さらに危険性が増します。阪神淡路大震災を経験し、地震計が全国に沢山設置され、様々な地震を身近に観測できるようになりました。その結果、建設時は小さく設定された原発の基準地震動は、3号機でも大きく引き上げられました。過小評価されてきたからです。今までの「基準地震動」は何だったのでしょう。大きな地震が当地を襲わなかったことに、胸をなで下ろさざるを得ません。

 美浜原発3号機は、敦賀半島北西岸を走るC断層が斜めに傾斜して入り込んだ震源断層面の真上に立っています。地震に関するメカニズムがわからなかった時代に、建設されました。そのC断層が動いたときにどれほどの地震エネルギーが発生するのか。原発直下に存在する震源断層がずれ動き、それに伴って原発の建つ地盤も上下左右に動くのですから、今でも、正確に予測できません。その上に、設備の劣化という条件が加わりますから、3号機の耐震安全性は大いに疑問があると言わざるを得ません。

 「大飯3号機配管のひび割れの進行速度を計算し、13ヶ月後に損傷配管の必要肉厚を確保すれば、ひび割れ配管を取り替えずに運転できる」とする技術の「維持基準」ですが、「傷の進行速度評価式の信頼性は低い」ということですから、技術の維持基準制度そのものが問われるべきです。新検査制度は、「傷の進行速度評価式の信頼性が低い」ことを承知で、経済性優先のひび割れ放置運転を可能にする制度ですから、「フリーアクセス」で安全をカバーできると考えるのは、余りに拙劣な考え方です。「傷を発見したら、運転を止めて、取り替えてから、運転再開すること」、これが最低限の町民への約束でなければなりません。

 美浜2号機事故では、1万本近くある蒸気発生器細管のたった1本が破断し、炉内が大きく揺れ動きました。一部沸騰が始まったとも言われています。大変危険な状態に陥ったと言えるでしょう。大飯3号機ひび割れは「炉心近く」の外側の直径が11cmを超える中口径配管で発生しています。このクラスの配管が地震等の外的要因で一気に破断したら、或いは、ひび割れを放置したままの運転で一気に破断したら、一次冷却水が噴き出し、原子炉内の圧力が150気圧から急激に下がって、圧力容器内は一気に「空だき」状態になるでしょう。

 傷を計算して必要肉厚を確保し、運転再開をしたとしても、そこに大きな地震動が来ればどうなるか。「信頼性の低い評価式」であれば、過小評価された配管は破断し、大きな事故に至るであろうことは誰にでも想像できることです。「破断する前に小さな漏れがある。小さな漏れを発見したら、すぐに点検し、取り替えるので、大事には至らない」と、いつも説明されてきました。LBBの原則と呼ばれています。技術の維持基準はこれを否定することになります。新検査制度は、地震の危険が少ないアメリカの後追いのような政策で、より危険な方向を規制庁が選択したと言えるでしょう。

3,使用済み燃料保管

 大飯3・4号機再稼働時の関西電力と西川前福井県知事との約束で、2018年中に、使用済み燃料を保管するための中間貯蔵施設の候補地を公表することになっていました。ところが、関電は県外候補地を決めることができず、「2020年まで延期する」と言わざるを得ませんでした。その期限は今月末に迫っています。現時点で県外候補地を示せないと言うことは、核のゴミとなる使用済み燃料の「中間貯蔵」を引き受ける県外の自治体はどこにもないと言うことでしょう。青森県むつ市の保管施設に、関電原発の使用済み燃料を無理矢理入れ込もうと画策していることが報道されました。むつ市長が拒否していますが、むつ市民においても迷惑な話です。使用済み燃料保管に関し、関電の無策が生み出した結果と言えます。「トイレなきマンション」と呼ばれる原発の最大の弱点を隠し続けた結果であるとも言えます。

 3号機の再稼働が始まると、ホットな使用済み燃料が生み出されます。危険な使用済み燃料をこれ以上生み出し続けることは認められません。ましてや、よく冷えた使用済み燃料の中間貯蔵施設候補地さえ明確に示せないままの再稼働は、認めるわけにはいきません。自分から言い出した知事との公約を守れない以上、再稼働の議論を始めるわけには行かないでしょう。まず再稼働の計画を撤回するのが筋であると言えます。3件の請願書は、この点を共通して指摘しております。

4,コロナ禍での避難訓練

 関電は、来年1月の美浜3号機再稼働を目指しているようですが、コロナ禍にあって重大事故が発生すれば、避難先自治体が美浜町民を受け入れることができるのでしょうか。そういう交渉を立地自治体と避難先自治体間でしているのでしょうか。対応していないと言うことであれば、町民の安全な避難誘導に責任を持てないと言うことになります。おおい町への避難ケースですが、おおい町の人口より多い美浜町の人口を受け入れられるのでしょうか。受け入れ施設がない、或いは、大きな体育館等にぎゅうぎゅう詰めにされるのでしょうか。コロナ禍ではあり得ないことです。

 世界は新型コロナ感染拡大を受けて、再びロックダウンを実行しています。日本でも第三波が都市部を中心に襲っています。医療崩壊が危惧されています。電気は余っている状況下で、なぜ、再稼働を急ぐのでしょう。ワクチン開発が報道されていますが、普及するにはまだ数ヶ月は必要でしょう。住民の安全など頭の中にない行為であると言わざるを得ません。

 以上が技術的問題に関する私の指摘であります。

<組織的問題>

1,関電の組織的体質について

 大飯3号機の炉心近くの配管部に傷が発見され、傷の進行速度の評価を巡って、原子力規制委員会と関電とのやりとりがオープンにされています。規則では12ヶ月間運転をするためには「13ヶ月後」まで健全であることを評価しなければならないところ、関電は「12ヶ月後」までの評価でひび割れ放置運転可能との報告を提出しました。数回の会合が関電と規制委員会の間でもたれていますが、規制委員会から指摘されるたびに、関電報告の数値が変更されています。変更状況を確認しますと、傷の進行速度に関する関電の予測値が10倍も引き上げられるケースがあります。関電の予測に不信を持つ規制委員会は、傷の進行予測を、技術基準の維持規格に沿って、日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」)に「関電説明資料」の計算条件を用いた検証を依頼しました。原子力機構の維持規格に基づく評価では、関電が主張する「必要最小肉厚」を満たせないことが指摘されています。「許容亀裂深さ4.1㎜」を超えているのです。規制委員会の指摘を受けて、関電は大きな衝撃を受けたと推測されます。

 関電は、超音波検査による傷の長さの指示値は、配管外側の長さであって、内側の長さはもっと短いと主張し、長さ方向の亀裂進展速度を小さく見積もって「深さ方向の亀裂進展を少なく評価する」独自の手法を用いて、規制庁に説明しました。規制庁は、関電独自の手法は「既知の手法ではない」こと、「維持規格に基づくモデル化に反する」こと、「検査の範疇の枠内で議論すべき」と、厳しく突き放しています。定められた「維持規格」に沿ったやり方で評価しなかった関電に対し、事実上の「門前払い」だと言えます。関電は持参した資料の説明さえさせてもらえず、「検査の枠内で回答する」と答えて、引き下がらざるを得ませんでした。以上が10月19日までの規制委員会と関電との会合の要旨です。

 ではなぜ、この不合理な行動を関電はとったのでしょうか。大飯3号機の配管ひび割れを発見したにもかかわらず、「このまま次回定検まで運転しても、亀裂の進行は問題なし」と結論づけて、「ひび割れ放置運転」をしたかったからです。そうすることが、大きな利益を生み出すからです。

 電力自由化により、今年11月末には、関電の小規模電力消費者が380万件も離脱しています。1件当たり、月1万円と想定すると、年間4500億円強もの減収です。正確な予測ではありませんが、これに近い数字ではないかと思われます。電力自由化の元では、厳しい競争が行われます。苦しい経営を強いられる中で、なんとかして収益を確保しようとした行為であると言えます。住民の安全を無視した悪意ある行為であります。アメリカの例に倣って規制庁が導入した新検査制度。傷を評価して、必要条件を満たすと電力会社が判断すれば、傷を放置したままで運転を継続できるようになりました。電力会社や原発のコスト削減に寄与する政策です。安全を優先するなら、あり得ない政策変更です。「傷を発見したら、止めて点検し、取り替えてから再稼働する」、「小さな漏れを発見したら、すぐに止めて点検するから、大事に至らない」と言い続け、住民を説得してきました。福島原発事故を経験しながら、何で、新検査制度を導入しなければならないのか。バックエンドを含めた、設備コストの高い原発の経営を支えるための政策ではありませんか。

 「傷の進行速度を評価する計算式の信頼性は低い」とされます。美浜3号機の議会視察時に、私の質問に答えて「値は小さく出る」と発電所長は答えました。そうであればなおのこと、「傷の進行予測」など正確にはできないことを規制庁に伝えるべきです。規制庁も「評価式の信頼性が低い」ことを知っていて、「維持基準」を導入しているのですから、「同じ穴のムジナ」とも言える関係なのでしょう。今回の大阪地裁の判決は、原発の安全性に背を向ける原子力規制委員会・規制庁の本質を言い当てたことになります。

 昨年12月と今年6月、そして8月の三度にわたる会社法違反や業務上横領容疑の告発状が、ようやく10月初めに、大阪地検特捜部によって受理され、関電幹部の汚職の刑事責任が問われることになりました。大阪地裁の判決に加えて、関電のガバナンス、コンプライアンス欠如が問われることになります。もはや、何を言っても信用されない「安全規制」、「安全運転」に成り下がりました。原発、そして関電や規制庁への世論の信用はなくなり、再稼働など議論できる状況ではありません。請願3件は、そのことを厳しく糾弾しています。

<倫理的問題>

1,核のゴミ保管について

 使用済み燃料は再処理で取出されたプルトニウムがMOX燃料として高速増殖炉で燃やされなければ、そのまま核のゴミとなります。六ヶ所再処理工場はアクティブ試験中の度重なるトラブルで止まったまま、2014年から適合性審査に入り、今年7月にようやく合格したものの、工事竣工にはまだ1年以上かかります。また、原子力委員会の方針転換で、英仏保管の日本の余剰プルトニウムが減らない限り操業できない状況です。高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉が決定し、解体作業を進めています。軽水炉で燃やす「プルサーマルがある」と言いますが、軽水炉で燃やせるプルトニウムはごくわずかな量です。日本は核兵器を持たないと世界に公約しており、余剰プルトニウムを持てないことになっています。発電所でのプルトニウム消費量が、再処理を制約することになります。

 核燃料サイクルは事実上破綻し、「使用済燃料」は「核のゴミ」そのものです。その保管期間は、10万年と言われています。

 現代人の共通の祖先とされるホモサピエンスが、アフリカのサハラ砂漠を越え、世界各地に移動を始めたのが、今から8~7万年前。フィリピンから日本にたどり着いたとされるのが4~3万年前だと言われてきました。最近のゲノム解析ではさらに遡るようですが、途方もない時間です。私たちが今使う原発の電気は、10万年先の人たちにまで、その保管・管理を強要することになります。倫理的にとても認められないことであります。

 関電は、「2018年までに核のゴミ保管先を明確にする」と西川前福井県知事に約束しました。一度は反故にされ、今年中に「候補地」が示されることになっています。もし、議会が再稼働推進請願を認めてから「候補地を示せませんでした」と関電が言うことになれば、美浜町議会の決断が町民から強く批判されることになります。福井県知事も、県議会関連の方たちも、保管先が決まらない状況下で、「まだ再稼働を議論できる段階ではない」と語っています。そのとおりであると私も思います。さらに付け加えるなら、どこも引き受け手のない危険な使用済み燃料をこれ以上生み出すべきではなく、この点だけからでも、再稼働は認められません。再稼働はまだ議論できる段階ではないのだと言えます。

2、若狭湾原発の事故時の被害は甚大

 若狭湾の原発は、大きな事故を起こせば、その被害は福島原発の比ではないと推測できます。関西市民の水瓶である琵琶湖が汚染されるだけでなく、偏西風に乗って、放射性プルームは、日本列島中央部の山脈により拡散され、数百km先まで、広範囲に原子力被害を及ぼします。日本海側の半島の先端部に建つ福井県の原発群は、一度大きな事故を起こせば、汚染水をため置くスペースはなく、汚染水は処理されることなく、直接に日本海に放出されるでしょう。大変な被害を日本列島沿岸部に及ぼすことになります。中国や韓国、ロシア、北朝鮮から、莫大な賠償を要求されるでしょう。日本国内では「なぁなぁ」で済まされても、国際関係はシビアで、訴訟社会です。そうなれば日本の沈没です。美浜町の経済どころではありません。

 町長は、私の一般質問に、「国外の損害賠償は仮定の話で、お答えできない」と話しましたが、間違いなく損害賠償の請求を受けることになるでしょう。再稼働の判断は、そのような責任を意識して、判断することが求められます。

<事故の責任体制>

 事故の責任は一体誰がとるのか。11人の死傷者を出した美浜3号機事故。実質的責任を誰も問われておりません。福島原発事故でさえ、現時点で誰も責任を問われておりません。原発の分野では、責任が問われないように「仕組み」を作ってあるからです。これほどの事態を引き起こした東電でさえ、政治的判断の下、のうのうと生き残っています。破綻させた上で、新たな会社が電力供給を担うことが、この国の基本的システムであるはずですが、政治は東電を保護し、責任を負わせませんでした。

 歴史的に繰り返される東北地方太平洋沿岸の歴史地震。15mを超える津波が記録されており、東電内部でも対策を検討していました。浜岡原発裁判でも、大きな津波を巡って論争がなされました。福島原発事故は、まさに人為的事故でありました。事故の組織的責任、個人責任のあり方が明確にされない限り、事故は繰り返されます。再稼働の前に、しっかりした責任体制を作り上げるべきです。

 15mを超える津波が原発を襲うとどうなるか。東京電力、立地自治体と議会も十分に理解していたことであります。知っていながら、「不都合な真実」を語らなかったために、事故に至りました。防潮堤を建設することだけでなく、ディーゼル発電機の水密化処理だけでも議会で議論されていたら、事故の経緯は変わっていたでしょう。浜岡裁判で語られた批判的な声に耳を傾けなかったことが、福島原発事故を引き起こしたともいえるでしょう。

 40年を超える3号機の再稼働は全国初となります。再稼働は地域経済優先ではなく、安全が第一であるべきです。先に述べた関電・原子力規制委員会・規制庁の姿勢では、とても安全であるとは言えないでしょう。本日の美浜町議会において、批判的な意見に耳を傾け、請願に対する真摯な判断がなされることを、私は切に願っています。

 最後に、一言だけ付け加えます。美浜原発3基が動き始めて40数年。長期にわたって沢山の電源三法交付金をもらい続けてきました。その結果、美浜町経済は発展したでしょうか。今なお、美浜町の「地域振興」が叫ばれています。美浜町の私たちのお金の使い方が、問われているのです。道路やハコ物への投資が中心になり、維持コストが増加しました。その方向は今なお継続中です。

 美浜町はどういう町を目指すべきなのか。議会が町政の方向をしっかりチェックできる力量を身につけなければならないと、私は思っています。また、批判的な研究者の意見、賛否両論を聞くことが、判断の正確性に繋がりますので、今後に期待したいと思います。

 まだまだ語り尽くせないことが多々ありますが、以上を持って、3号機再稼働反対請願6号、10号、11号に賛成する私の討論を終えることにいたします。ご静聴、ありがとうございました。

↓ 関連ページへのリンク
2020.12.15 美浜闘争 報告とお礼
[2020/12 /15 美浜町議会資料(1) ]原子力発電所特別委員会報告(再稼働派議員の発言など)
[2020/12 /15 美浜町議会資料(2) ]河本猛 議員、再稼働反対の発言

◆[2020/12 /15 美浜町議会資料(2) ]河本猛 議員、再稼働反対の発言

河本 猛 議員(日本共産党)の発言

請願第5号 老朽原発の再稼働に関する請願書

 私は、ただいま討論の対象となっております。「請願第5号 老朽原発の再稼働に関する請願書」に対し、賛成する立場から討論を行います。

 請願第5号から14号までは、美浜3号機を運転しないように求めるものであったり、再稼働についての拙速判断を避け、熟議を求めるもの、配管の総点検を求めるものであるので、一括して賛成討論します。

 美浜3号機の原子炉容器については、中性子照射脆化に加え、精錬技術が未熟だった70年代の鉄に含まれる銅の含有率によって、原子炉容器が脆くなるという指摘について、福井県原子力安全専門委員会の審査を見極める必要があると考えます。

 原子炉容器の監視試験片の「元のデータ」原データについては、請願者が裁判の中で、原子力規制委員会が原子炉容器の監視試験片の原データも見ずに認可を行っていたことを明らかにしたものです。

 科学者や学識経験者であれば、信頼できるデータの比較によって原子炉容器の安全性を評価していくので、原データの問題については、福井県原子力安全専門委員会に要請しています。

 また、原子力防災計画、住民避難については、新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染症対策が大きな課題となっています。バスや避難所の定員を大幅に減らす必要があるため、これまでの2倍以上の車両や施設を準備する必要があります。議会でも、内閣府の原子力防災担当から「まだ決定版と言えるようなものは出来ておりません」という説明を受けており、感染症対策が盛り込まれた「緊急時対応」が未完のまま、原発の再稼働を容認することは許せません。

 原発の問題は、美浜町だけの問題ではありません。県内外の広範囲の人々が、私たちの故郷を守り、子どもや孫の代まで、この地で暮らし続けられるよう求めていることに真摯に向き合うべきです。

 また、「老朽原発美浜3号機の稼働再開について、拙速判断を避け、熟議を求める」件について、原特委員会の審査において、委員の中から一人も継続審査を求める提案がなかったことを残念に思います。継続審査の提案があれば、その賛否について議論し、本会議で報告されますので、本会議の採決においても継続審査についての項目が追加されるはずなんですが、原発を推進する議員に対して、審議のプロセス(過程)が大切であるという良心に訴えかける期間を持てずに、美浜3号機の再稼働か否かの採決に至ってしまったことを悔いるばかりです。

 また、これらの請願の中には、現在北海道に住む県内出身者が個人で提出されたものや、市民団体と一緒に全国各地の245名の議員が賛同して共同提出されたものがあります。

 原発の危険性を訴える側は、日常生活を壊され、避難を余儀なくされる広範囲の自治体住民です。

 原発の再稼働を決めたプロセス(過程)というのは、責任を追及する側にとって重要な争点になります。国や規制委員会は、美浜3号機の再稼働については、美浜町、福井県、関西電力が安全協定の中で判断することであって、国や規制委員会が美浜3号機の再稼働について、安全を担保するような発言はしないと言っているので、美浜3号機の再稼働については、再稼働を決断した「地元同意」というのが一番の争点になります。

 その「地元同意」を判断するプロセス(過程)の中で、議会が安全規制部門の審査結果を待たずに、原発を再稼働させる「地元同意」をした、規制基準の審査の信頼性が揺らいでいる中で、科学的観点を無視して地元経済を理由に「地元同意」をしたとなれば、それは美浜町議会の責任です。

 私は原発に反対の立場ですが、町民に対する責任を重く感じます。

 おそらく福井県知事は、立地と準立地、関電の経済圏ではない市町自治体の県民のことを考えていると思います。

 関電や原子力の受益者でない県民の命と安全をどう保障していくかという観点から「再稼働についても国や安全規制部門の責任を明確にし、国は、福井県民に再稼働の責任を押し付けるな!」ということを考え、県民に「地元同意」の責任が及ばないよう国が責任ある態度を示すように、国に対してボールを投げ返しているんだと思います。

 私は、町民と原子力の受益者以外の広範な人々をどう保護するのかという観点を、政治家は持たなければならないと思っています。

 議員245名の背景には、この議員を支える有権者がいます。数千、数百の得票を得て当選されていることを考えれば、平均で1000の有権者がいたとして24万5000人、美浜町と同じぐらいの平均500の有権者がいたと想定しても12万2500人の有権者が背景に見えます。

 245名の自治体議員が名前を連ねる請願1枚だけでも、美浜町の人口の12倍以上になるわけで、その重さを議会にも受け止めていただきたいと思います。

 原子力を取り巻く環境は、最近でも川崎重工が原子力事業を売却し、水素エネルギー事業に注力することを決めるなど、原子力は市場での競争力を失っています。

 半世紀前、化石燃料から原子力への転換が進みましたが、世界市場は原子力から持続可能な再生可能エネルギー、水素エネルギーの活用に転換しています。半世紀ともに歩んできた原子力がいつまでも最先端と思い込んでいるようでは、美浜町の過疎化、産業の衰退は止められません。

 原子力に頼ったままだと新たなイノベーション、新市場や新資源の獲得、新制度の導入などが遅れてしまいます。美浜3号機の再稼働をやめ、原発に頼らないまちづくりが必要です。

 また、美浜3号機のように被害が広範囲にわたり、多くの生活権を侵害する恐れのある問題で、専門家の見解が対立している場合には、支配的・通説的な見解であるという理由で、一方の見解を安易に採用することがあってはならないと考えます。

 専門家による委員会を持っていない議会においては、福井県原子力安全専門委員会の審査結果を見極める必要があることから、請願第5号から14号までを一括して賛成し、慎重に議論を重ねていくべきだ!と申し上げ、賛成討論を終わります。

請願第3号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について

 私は、ただいま討論の対象となっております。「請願第3号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について」に対し、審査を付託された原特委員会で継続審査の提案がなかったので、本会議採決においても継続審査についての項目がありませんので、反対する立場から討論を行います。

 請願書の中には、「美浜発電所をはじめとする原子力発電所が稼働せず、停止したままの状態となっており、美浜発電所に関わる美浜町の企業や町民にも大きな影響をもたらしています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、美浜町の経済も著しく停滞している状況にあります。」と、原発利益共同体と停滞している町の経済状況のためには、美浜3号機の再稼働が必須事項であるかのように書かれています。

 しかし、美浜原発は9年以上も停止し、11月には関電のすべての原発が停止しましたが、原発がなくても電力需給に影響が出ることはありませんでした。電力消費地にとって、リスクが大きい原発でつくる電気は不要になっているのが現実です。

 停滞している町の経済状況は、むしろ原発に固執した偏った産業構造にあります。停滞している町の経済状況を考えるなら、原発の再稼働ではなく、原発に固執した偏った産業構造からいち早く脱却し、原発に頼らないまちをつくるべきであります。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大を考え、密閉した空間で作業し、感染症に脆弱な構造を持つ原子力発電所は停止するべきです。

 美浜発電所が大阪万博へ初めて原子力の灯りを送ってから半世紀が経過していますが、原発は世界的にも終焉を迎える産業です。

 世界の再生可能エネルギー発電量は原発を上回り、世界のエネルギー市場で持続可能な再生可能エネルギーの優位性が高くなっています。持続可能な再生可能エネルギーに比べ、原発の発電コスト、使用済み核燃料などの処理・処分に必要なバックエンドコスト、社会的リスクは高く、世界のエネルギー市場で競争力を完全に失っているのが現実です。

 高経年化対策で資産価値が上がった老朽原発の再稼働で、半世紀にわたり原発と共生してきた自治体を含む原発利益共同体に恩恵があっても、美浜町経済の更なる発展などありません。

 この半世紀、原発は、事故や不祥事を起こすたびに、地元に対して一定の恩恵を与えてきましたが、いまだにそのような恩恵に与れる(あずかれる)ような幻想を抱いて、金品受領問題や労災死亡事故、美浜3号機の死傷事故を忘れ去っているように感じます。

 原子力規制委員会の使用前検査や福井県原子力安全専門委員会の審査結果はまだ出ていません。

 この請願を採択するということは、国や規制委員会、福井県や原子力安全専門委員会の判断よりも早く、美浜町議会が「事実上の地元同意」をしたことになります。

 原発は科学的・学術的な議論を見極めるのではなく、原子力産業の恩恵に与る美浜町の人々ために、政治的な数の力で再稼働が進められていると言っても過言ではありません。

 国は「地元同意」がなければ原発の再稼働は出来ないと言っており、老朽原発美浜3号機を再稼働させるプロセス(過程)は、美浜町議会の「再稼働を求める請願」の採択から始まります。

 原発は国策でありますが、美浜3号機の再稼働については、美浜町、福井県、関西電力の安全協定に基づいて進められます。

 原発の再稼働に対しての責任は、地元にあります。原発は国策であるという理由で、国民に責任を転嫁する者は原発を推進する資格はありません。

 安全協定に基づいて考えても、美浜町議会は、美浜町、福井県、関西電力よりも早く、「事実上の地元同意」をしたことになり、美浜3号機の再稼働については、そのプロセス(過程)の始まりである美浜町議会に責任があることを明確に述べておきたいと思います。

 福井県は、県議会が再稼働に関わる審査ができるような判断材料が揃わない状態で県議会に判断を求めるようなことはしないでしょう。

 美浜町議会では、再稼働に関わる審査ができるような科学的・学術的な判断材料が出ていない中で、美浜町内や福井県内にとどまらない関西圏や中京圏などの広範囲の住民に影響を及ぼす原発の再稼働を非科学的に認めるようなことは許されないと考えることから、この請願に反対する理由とし、討論を終わります。

請願第4号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について

 私は、ただいま討論の対象となっております。「請願第4号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について」に対し、反対する立場から討論を行います。

 福井県原子力平和利用協議会美浜支部は、議会の中に半数以上の会員を有し、議会に対して大きな影響力を持つ組織です。この協議会の県会長には、山口治太郎・前町長が就任され、美浜町内での影響力を強く感じます。

 請願書の中では、「美浜の地で住民サイドに立った原子力の平和利用を推進する活動を行ってきました。」と言いますが、核兵器禁止条約に背を向けた議会議員の多くが、安全保障の名のもとにアメリカの「核の傘」にしがみつき核兵器を容認しています。

 原子力の平和利用を推進する活動を行ってきた組織であれば、町民の代表者である議員が核兵器を明確に否定する立場で、原子力の平和利用を唱えていると思っていたのですが、結局は、日米安保の「核の傘」の中で核兵器を容認した原子力推進です。私は、平和利用と称しながら核兵器を明確に否定することもできず、原子力を推進している活動には、疑念を抱いています。

 また請願書の中で、「国は、国は、」と、地元が国策を受け入れてきているようなことが書かれていますが、国策である原発を受け入れてから半世紀、国策である原発と巨大電力企業につき従ってきた地元にとって、今や原発の再稼働は、国策の受け入れではなく、地元の要求から始まり、再稼働されていく仕組みになっています。

 国は、「原発依存度を可能な限り低減させる方針の下」、原発のリプレースには慎重な姿勢を示しています。しかし、現状において、原発の再稼働やリプレースが地元政策になっている以上、責任は国民ではなく、それを推進する美浜町民にあると考えます。

 原子力政策は国策であるという理由で、美浜町の責任を国の責任に転嫁することは許されません。

 まずは、原子力を推進する地元の責任、原子力を推進する自らの責任を自覚するべきです。

 国は、2030年のエネルギーミックスにおける原子力発電のエネルギー構成比率20~22%の達成が困難であることを述べています。これから次々と40年を迎える老朽原発を再稼働し、原発の稼働率を80%~90%にしなければ、原子力発電のエネルギー構成比率20~22%の達成はできません。

 国が掲げる2030年のエネルギーミックスの実現は既に破綻しています。破綻している目標を無理やり達成するために、原則40年の運転期間を最長20年延長できる例外規定を当たり前のように認め、稼働率も引き上げる。こんな危険な計画が美浜から開始されることを経産省の説明を聞いて議会もわかっているはずです。

 私はこんな危険なことはとても容認できません。

 原発は、国策として機能できないほどの国民的な反対があり、また再生可能エネルギーの優位性による普及促進から、原発で生み出す電気が必要なくなっています。

 82.6万kW(キロワット)級の電気出力を誇る美浜原発3号機が9年以上も停止し、電源一極集中のリスクが高い原発の巨大なエネルギーは、不安定なエネルギー供給であることが証明されました。

 国から「ベースロード電源」として位置づけられながら、その役割を果たさなくても、電力供給が不安定になることはありませんでした。

 他人に責任を押し付け、原発が抱える難題・大きなリスクを顧みない(かえりみない)、原発の再稼働は許せません。

 また、原発は、安価な電気を人口の多い関西圏の広範囲の人々のために届けることが目的でした。それが今では、美浜町の基幹産業として町の経済や雇用の安定確保のために再稼働が求められるようになっています。

 ですが、高レベル放射性廃棄物、使用済み核燃料の処理など、膨大なバックエンドコストの問題が社会常識化する中で、安価な電気を届けるという原発の役割は終わりました。

 人類の英知は、リスクが大きい原子力に頼ることなく、持続可能な再生可能エネルギー(自然と向き合いエネルギーを確保していくこと)、自然と共存共栄を図っていく道に進んでいます。老朽原発美浜3号機の再稼働など必要性はありません。

 いつまでもコンクリートの巨大施設と共存共栄できるという幻想から抜け出し、美浜町の豊かな自然と共存共栄を図っていく、基幹産業の転換こそ、今必要な時です。

発委第4号 美浜発電所3号機の40年超運転にかかる意見書の提出について

 私は、ただいま討論の対象となっております。「発委第4号 美浜発電所3号機の40年超運転にかかる意見書の提出について」に対し、反対する立場から討論を行います。

 この意見書は、原特委員会から提出され、異議も反対もなく、全会一致で提出されたものであることが、本会議前の全員協議会で明らかになりました。

 意見書の中には、「美浜町議会は、原子力発電の将来にわたる必要性を認めつつ、再稼働の同意にあたり、次の7項目について、政府としての着実な取組みをここに求める」という記載があるので、この意見書の提出を認めるということは、原子力発電の将来にわたる必要性を認め、再稼働に同意することになりますので、私はこの意見書提出を認めることはできません。

 また、項目の中には、エネルギー政策の今後の展望について、「エネルギー基本計画の見直しに当たっては、新増設、リプレースを含む将来を見据えた原子力政策の方針を示すこと」と書かれています。まさにこの点は、国も認めていない地元要望であり、今や原発というものが、国策の受け 入れではなく、地元から進められる地元政策であることを証明するものです。

 また、国と事業者による原子力発電所の一層の安全管理について、原子力防災対策について、立地地域の振興について、地域共生について、原子力発電に関する理解活動の促進についてなどの課題があるのであれば、美浜3号機の再稼働など容認するべきではないと申し上げ、反対討論を終わります。

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2020.12.15 美浜闘争 報告とお礼
[2020/12 /15 美浜町議会資料(1) ]原子力発電所特別委員会報告(再稼働派議員の発言など)
[2020/12 /15 美浜町議会資料(3) ]松下照幸 議員、再稼働反対の発言

◆[2020/12 /15 美浜町議会資料(1) ]原子力発電所特別委員会報告(再稼働派議員の発言など)

 ただ今から、原子力発電所特別委員会の委員長報告を行います。
 令和2年12月9日午前10時00分から美浜町議会全員協議会室で、委員7名及び議長の出席のもとに本委員会を開催し、10月19日及び11月30日に本委員会に付託されました請願12件についての審査を行いました。
 また、職務執行のため議会事務局長を出席させました。
 以下、本委員会で審査された主な点について申し上げます、

(1) 請願第3号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について

 はじめに、紹介議員の北村晋議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:2030年には、ガソリン車をなくすと言われており、このまま行くと主流になっている火力発電もなくなる状態になってくる。今の太陽光発電や風力発電では、ベースロード電源にはならない。これからの時代に、電気をどのように供給するかということになると、やはり原子力である。安全安心な原子力発電所を稼働することが大事であるので、この請願書には賛成する。

意見:町の経済面を考えた場合、関西電力関係の会社は、元請けと一次、二次、三次以外の下請会社も含めると約350社あり、11月現在、働く作業員は2、200名を超えると聞く。これらの人々による経済効果は非常に大きいので、今回の再稼働には賛成である。

意見:美浜町は、原子力発電所がない頃は何もなかった。その頃は商店街も非常に潤っており、漁業も農業も非常に中堅的な位置にあった。今や農業は衰退し、商店街も崩壊し漁業もいま一歩だと認識している。したがって、これからの美浜町を考えるのであれば、原子力発電所に依存するのではなく、一からこの町をどうするかを、いろんな方面から考え出して、よりよいまちづくりをしていかなければならない。原発のない社会を望んでいるので、再稼働には反対である。

意見:今の脱炭素社会の方向性を見ると、自動車が電気自動車に切り替わっていき、さらなる電気の需要が高まり、電気のない社会は考えられない。今後電気をどのように確保していくかは、今の時点で原子力発電所を全く抜きには考えられない。今後のエネルギー事情を考えると、規制庁の基準に合った設備で稼働できるのであれば、再稼働は認める。

(2) 請願第4号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について

 はじめに、紹介議員の﨑元良栄議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:現時点において原子力発電は必要であると考える。その大前提は、核燃料サイクルの課題等もあるが、技術面と事業者の管理運営面での安全確保にある。このたび大飯発電所での司法判断が示されたが、それは驚きである。現在、目本のエネルギーは多くの化石燃料を海外に依存しており、非常に低い自給率のエネルギー事情を考えると、原子力は純国産と言われるので、今この原発をやめるという判断は、非常に現実的でないと考える。この請願には賛成である。

意見:再生可能エネルギーに頼るが、再生可能エネルギーの発電は自然が相手なので、安定した電気の供給が難しくなる、その点を考えると、原子力発電の再稼働は必要であるので、この請願には賛成する。

(3) 請願第5号 老朽原発の再稼働に関する謂願書

 はじめに、紹介議員の河本猛畿員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:原子力発電所抜きでは将来電気が不足すると思われる。また経済を考えても原子力発電所は動かすべきだと思っているので、この請願には反対する。

意見:大飯発電所の設置基準が裁判で否定されたので、今回はそれを受け止めて再稼働を許可しないこととすべきである。よってこの請願には賛成である。

意見:40年超えは老朽であると言われるが、施設について、関西電力は全ての設備は変えられないが、順次新しいものと交換していると説明している。また、取り替えられない部分については60年の安全性が確保されると説明しているので、この請願には反対する。

(4) 請願第6号 老朽原発美浜3号機の稼働再開について拙速判断を避け、熟議を求める請願書

 はじめに、紹介議員の松下照幸議員から請顛の説明を受け、河本猛議員から補足説明を受けた後、質疑に入りました。

意見:若狭地方における原発反対の立場の方から、いろんな意見を聞いているが、その取り組みに対しては真摯に受け止め敬意を表する。原発事業は福島の原発事故が起きるまでは、非常に明るい展望とビジョンの中で進められてきた政策であった。福島で地震が起き、非常に悲惨な状態になり大変大きな問題となった。これまでにいろんな説明を聞くと、津波に対する考え方が全く浅はかであり、津波という要素がなければ、ここまでひどい放射能汚染はなかったと言われている。なぜそうなったのかは基本的なガバナンスの問題等、非常に奥深いものがある。このことを踏まえ規制委員会ができ、厳しい基準が打ち出され、それに基づいて審査が進められた。現在、配管の欠陥問題が検出され、それを修繕して原子力発電所を健全な状態で維持管理して運転するシステムスタイルができてきていると感じる。このシステムスタイルを今後も継続的にできるのであれば、大きな事故にはつながらないという備えができたというように考える。このような取組を重ねながら継続すべきなので、この請願には反対する。

(5) 請願第7号 美浜3号機の再稼働を止めるよう求める請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:立地地域だけで決める問題ではないとの指摘もあるが、ここに住む立地地域の議員の意見集約として、この請願には反対する。

(6) 請願第8号 関電の原発マネー還流の全容解明と美浜3号機再稼働の中止を求める請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:関西電力における金品受領問題事件での不祥事は、あってはならないことである。不祥事の発覚以降、自社による努力でうみを出している。その努力をしている限り、そのような努力を認めていくべきであり、今後の努力を期待し、この請願には反対する。

(7) 請願第9号 美浜原発3号機の再稼働に反対する請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:避難訓練は、美浜町や国、県も実施しているので、この請願には反対する。

(8) 請願第10号 再稼働前に美浜3号機の配管の総点検と関西電力の原発マネー還流の全容解明を求める請願書

 はじめに、紹介議員の松下照幸議員から請願の説明を受け、河本猛議員から、補足説明を受けた後、質疑に入りました。

意見:開西電力の原発マネーは、第三者委員会を設置してコンプライアンスとガバナンスの問題を、1日も忘れないで解決していくとの説明であるので、この請願には反対する。

意見:原発マネーに対して、町長は以前の議会で美浜町はきれいだと話しているが、原発が運転を開始してから50年間の調査は実施していただきたいので、この請願には賛成する。

(9) 請願第11号 関西電力美浜原子力発電所3号機の再稼働に関する請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:地震の基準地震動が993ガルでは過小だという説明であったが、規制庁の話では1.5倍の余裕を見ていると聞いている。この請願には反対である。

意見:今回の大飯発電所の裁判結果や現在名古屋地裁で継続進行中の件は、似たようなところがあるので、この請願には賛成する。

(10) 請願第12号 美浜原子力発電所3号機の再稼働を認めないことを求める請願書

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:元データづいて、国側がノーチェックであるとか縮尺を変えて比較した等、非常に具体的な内容が書かれているが、それらのノーチェックのことは、ほとんど我々は分からない。これに対して、高浜原発について全く元データも見ずに、さっさと合格にしたというイメージになっているが、そういうことは決してないと考える。したがって、この表現をそのままうのみにすることは出来ないので、この請願には賛成することはできない。

(11) 請願第13号 美浜原子力発電所3号機再稼働に反対する請願

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:この請願書に、九州電力の玄海原発4号機の1基しか動いていないが、原子力発電が稼働しなくても何も問題がない。と書かれているが、これは全く認識が違っている。経済的に困窮しているところもあり、非常に多くの燃料費が海外に流出しており、二酸化炭素をたくさん排出している事情もある。原子力というのは、非常にエネルギー密度が高い。例えば100万キロワットの原子力発電所の能力を考えた場合に、美浜の産業団地にも約800キロワットの太陽光ができたが、あれだけ広大で大きなものを24時間運転しても、約100キロワットの能力しかない。そうすると、あの施設が1万ヶ所ないと100万キロワットの原子力発電所1基に相当する能力にはならない、という単純計算になるが、太陽光は夜使えないという問題もある、太陽光パネルを作製する費用、また約20年すればパネルを交換しなければならない等、非常に大きなコストも生じてくる。これだけエネルギー密度の高いエネルギー源は今のところないので、これをいかに有効活用していくかということは避けられないと考える。この請願には反対する。

(12) 請願第14号 老朽原発を動かさないように求める請願

 はじめに、紹介議員の河本猛議員から請願の説明を受け、質疑に入りました。

意見:意見はありませんでした。

以上の審査を終え、委員会採決を行いました結果を報告いたします。

(1)請願第3号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について
は、賛成多数をもって採択することに決しまLた。

(2)請願第4号 美浜発電所3号機の再稼働を求める請願について
は、賛成多数をもって採択することに決しました。

(3)請願第5号 老朽原発の再稼働に関する請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(4)請願第6号 老朽原発美浜3号機の稼働再開について拙速判断を避け、熟議を求める請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(5)請願第7号 美浜3号機の再稼働を止めるよう求める請願書
は、賛成無しをもって不採択とすることに決しました。

(6)請願第8号 関電の原発マネー還流の全容解明と美浜3号機再稼働の中止を求める、請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(7)請願第9号美浜原発3号機の再稼働に反対する請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(8)請願第10号 再稼働前に美浜3号機の配管の総点検と関西電力の原発マネー還流の全容解明を求める請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(9)請願第11号 関西電力美浜原子力発電所3号機の再稼働に関する請願書
は、賛成少掌をもって不採択とすることに決しました。

(10)請願第12号 美浜原子力発電所3号機の再稼働を認めないことを求める請願書
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(11)請願第13号 美浜原子力発電所3号機再稼働に反対する請願
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

(12)請願第14号 老朽原発を動かさないように求める請願
は、賛成少数をもって不採択とすることに決しました。

以上のとおり協議を終了し、午前11時32分本委員会を閉会いたしました。
これをもって、原子力発電所特別委員会の委員長報告を終わります。

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2020.12.15 美浜闘争 報告とお礼
[2020/12 /15 美浜町議会資料(2) ]河本猛 議員の発言
[2020/12 /15 美浜町議会資料(3) ]松下照幸 議員の発言

◆2020.12.15 美浜闘争 報告とお礼

【2020年12月18日,京都キンカンで配付】

 12月15日、霙(みぞれ)、雪、霰(あられ)の荒天の下、美浜町で、老朽原発再稼働同意への抗議闘争を展開しました。ご参加の皆様、お疲れ様でした。有難うございました。
 町議会では、再稼働同意が可決されましたが、まだまだ闘いは続きます。そして、必ず勝利します。何としても老朽原発を廃炉に追い込み、それを突破口に原発全廃を実現しましょう!

老朽原発うごかすな!実行委員会・木原(若狭の原発を考える会:090-1965-7102)


▲2020年 12 月 16 日 毎日新聞朝刊


▲2020年 12 月 16 日 日刊県民福井朝刊


▲2020年 12 月 16 日 日刊県民福井朝刊

12 月15 日の町議会では、
「原子力発電所特別委員会報告」が行われ、討論の後、
老朽・美浜原発3 号機の再稼働に同意を求める請願書が可決され、
再稼動に反対する請願書は、否決されました。

(「原子力発電所特別委員会報告」は「2020/12/15 美浜町議会資料(1)」に掲載。

議会討論の中で、再稼働賛成の町長や議員は、その理由を、
①「世界一厳しい新規制基準」の下に、原子力規制委員会が稼働を認めているから、
②国策だから、
③町の経済発展のためなど、
と述べています。

 しかし、「世界一厳しい?基準」で審査して再稼動した原発がトラブル続きです。原発が、人類の手に負えないことを示します。また、国策で推進した、福島原発が大事故を起こして、住民に塗炭の苦しみを与えたのです。さらに、原発が重大事故を起こせば、立地自治体のみならず、極めて広域の経済が完全に破壊されることも福島事故が教えています。使用済み核燃料の処理処分には、想像もできないほどの巨費を要し、何万年後の人々にまで負の遺産を残します。原発を進める関電やそれを支持する人たちは、一時の利己的・経済的利益の追求のみ走っているのです。

 これに対して、老朽原発の廃炉を求める議員(河本 猛氏、松下照幸氏)のご発言は、原発、とくに老朽原発運転の理不尽さを理路整然と指摘しています。両議員の美浜町議会でのご発言を下記に掲載しています。是非ご一読下さい。

[2020/12 /15 美浜町議会資料(1) ]原子力発電所特別委員会報告(再稼働派議員の発言など)
[2020/12 /15 美浜町議会資料(2) ]河本猛 議員、再稼働反対の発言
[2020/12 /15 美浜町議会資料(3) ]松下照幸 議員、再稼働反対の発言