投稿者「meisei」のアーカイブ

◆事故だらけで、たるみ切り、傲慢な関電

【2017年9月6日,京都キンカンで配付。】

事故だらけで、たるみ切り、傲慢な
関電が大飯原発を再稼働させようとしています
許してはなりません!

過去2年間で関電関係会社が引き起こした事故の例

1.美浜町のヘリ運搬資材落下

(毎日新聞2016年3月18日より)

◆関西電力の鉄塔建て替え工事の資材を運搬していた朝日航洋(本社・東京)のヘリコプターが今月1日、美浜町の山中に碍子(がいし)入りの木箱(重さ約800キロ)を落とした事故で、両社は17日、資材をつるすワイヤが完全に固定されていないまま飛行したことが原因と考えられると発表した。

◆両社によると、資材運搬の際は、ワイヤの両端をヘリから垂れ下がったフックとつなぎ、ワイヤが外れないようフックの可動式ストッパーをロックする。だが、ワイヤのねじれなどが原因でロックが正常にかからないことがあるという。また、ロックされていないのにロックしたことを示す機内のライトが点灯する場合があることも確認した。

◆今後は別の構造のフックを使用するなどの対策を行い、23日にも建て替え工事を再開するという。

2. ヘリから800キロ鉄板落下 関電資材運搬中に山中へ 奈良・十津川

(産経West 2016年8月5日より)

◆関西電力は5日、奈良県十津川村長殿付近を同日午前10時25分ごろ飛行していた協力会社のヘリコプターから約 800キロの鉄板1枚が山中に落下したと発表した。けが人や建物への被害はなかった。

◆国土交通省は事故につながりかねない重大インシデントと認定。運輸安全委員会が6日に調査官2人を現地に派遣する。

◆関電によると、ヘリは朝日航洋(東京都江東区)が運航するスーパーピューマAS332L。送電線の鉄塔を建て替える工事のため、奈良県五條市内のヘリポートから約3キロ離れた工事現場に運ぶ途中で、高度は約200メートルだった。

◆鉄板の大きさは縦約1・5メートル、横約3メートル、厚さ約2センチとみられる。ワイヤでつり下げ、ヘリのフックに掛けていた。機長が飛行中に落下に気付いた。関電によると、3月にも福井県美浜町の上空を飛行中のヘリから約800キロの資材入り木箱が山中に落下。当時のヘリは今回と同じ機体だったという。

3.高浜原発 大型クレーン倒れる…建屋2棟、一部損傷

(毎日新聞2017年1月21日より)

◆20日午後9時50分ごろ、関西電力高浜原発(福井県高浜町)で、新規制基準対応工事用に設置していた大型クレーン(長さ112.75メートル)1台が、2号機の原子炉補助建屋と燃料取り扱い建屋に倒れ込んだ。関電によると、それぞれの屋根の一部が変形したが、放射能漏れなど環境への影響は無く、けが人などもいないという。

◆関電によると、中央制御室にいた運転員が大きな音を聞いて点検すると、4台設置されていた移動式クレーンのうち1台が倒れていた。クレーンは2号機の格納容器の上部に新たなドームを取り付ける工事のため置かれていた。夜間で作業はしていなかったが、県内では暴風警報が出ていた。

◆燃料取り扱い建屋には、核燃料259体を保管するプールがあるが、落下物は確認されておらずプールや核燃料への影響はないという。現場では、クレーンが西から東に向かって建物にもたれかかるように倒れ、建物の形に沿ってぐにゃりと曲がっていた。燃料取り扱い建屋と原子炉補助建屋のうち、鉄筋コンクリート製屋根の端に取り付けられている金属製笠木(かさぎ)が破損したという。(後略)

4.作業員が親指切断=大飯原発、安全点検の中-福井

(時事通信2017年3月30日より)

◆30日午前10時25分ごろ、福井県おおい町の関西電力大飯原発で、「作業員が機械に指を巻き込まれた」と119番があった。 県警小浜署によると、大飯3、4号機の海水ポンプエリアで作業をしていた男性(24)が左手親指を切断する重傷を負った。

◆関電は1月に高浜原発(同県高浜町)で起きたクレーン倒壊事故を受け、県内に保有する美浜、大飯、高浜の3原発全11基を対象に、安全管理の総点検を進めている最中だった。 同署によると、男性は当時、2人1組で防潮堤に鉄筋を打ち込む作業をしており、別の作業員が使っていたハンマードリルにゴム手袋が巻き込まれたという。

5.作業員、右足骨折の重傷 関電・労災相次ぐ /大飯原発

(毎日新聞2017年4月26日より)

◆関西電力大飯原発(おおい町)で24日午後4時ごろ、コンクリートを壊す作業に従事していた男性作業員(56)が、電動式ハンマーと接触し、右足を折る大けがをした。

◆小浜署によると、4号機の近くのコンクリート製の見学用通路(幅2メートル、延長43メートル)で、別の男性作業員が電動式ハンマーを使ってコンクリートを壊していたところ、ハンマーの先端がそれて、すぐそばでコンクリート片を片付けていた男性作業員の右足に接触した。 関電の原発では今年に入り、工事作業員が負傷する労災事故が相次いでいる。

◆大飯原発では、3月30日にも防潮堤に鉄筋を打ち込んでいた男性作業員(24)が別の作業員の操作するドリルに手を巻き込まれ親指を切断。美浜原発(美浜町)でも1月26日に、地下水を観測していた60代男性作業員が山の斜面で滑落してけがをした。 けが人はいなかったが、1月20日には高浜原発(高浜町)で大型クレーンが倒壊する事故も起きている。 関電は「労働災害を発生させ大変申し訳ない。再発防止に努める」とコメントした。

6.高浜原発で男性作業員が重傷 トンネル掘削などの作業中

(福井新聞2017年7月13日より)

◆12日午後5時35分ごろ、福井県高浜町の関西電力高浜原発構内で、トンネル掘削などの作業をしていた建設作業員男性(59)にコンクリートを流し込む配管の接合部分が当たり、右大たい骨を折る重傷を負った。

◆小浜署によると、男性はほかの2人と作業中だった。トンネル壁面にコンクリートを吹きつけた後、配管を外そうとしたところ、重さ十数キロの鉄製の接合部分が落ちたという。

7.黒薙(くろなぎ)第二発電所の北又えん堤修繕工事中のヘリコプターからの運搬物の落下について

(関電プレスリリース2017年8月3日より)

◆本日、10時2分頃、関西電力株式会社黒薙第二発電所の北又えん堤修繕工事中、協力会社である朝日航洋株式会社がヘリコプターによる運搬作業を行っていたところ、工事に伴い使用する索道※の設置にかかる資機材(約700kg)が落下しました。 ※ 空中に張り渡したワイヤーロープに搬器を吊るし、建設工事資材などを運搬する設備。

◆落下場所は、富山県黒部市宇奈月町舟見明日音沢付近の山中であり、けが人や設備の損壊等については、現在調査中です。また、原因についても、現在調査中です。(後略)

8.高浜原発の構内で作業員がやけど

(福井新聞2017年9月2日より)

◆関西電力は1日、高浜原発構内で8月20日に可搬式ポンプの作動確認検査中、ホースが外れてポンプ内の熱水が協力会社の50代男性作業員にかかったと発表した。この作業員は顔と右腕、腹部、両脚にやけどを負った。ポンプは新規制基準対応で新設したもので、停止時の操作手順は作業書に明記されていなかった。関電によると、8月20日午前11時10分ごろ、可搬式ポンプの作動確認検査として3、4号機の使用済み燃料プールへの送水訓練を行った。ポンプを停止しようと、別の作業員がポンプから少し離れた電源車の電源を切ったところ、ホースが外れてポンプ内で加熱された熱水が飛散した。熱水は約30リットルで湯気が確認できたという。約3週間の入院が必要という。

◆関電は、ポンプを停止する際、放水側の弁を完全に閉止する前に電源を切ったため、ホースに圧力がかかり外れたのが原因と推定しており、「連携ミス」としている。対策として、ポンプ停止時の操作手順などを作業手順書に明記するなどした。

◆可搬式ポンプは事故時に電源が喪失した際、海水を燃料プールへ送り込み冷却するために導入。再稼働を目指す大飯原発にも導入されている。今回の労災について、関電は8月20日に敦賀労働基準監督署から、安全衛生指導書を受けている。

関電のお粗末な姿勢に不信感

(上記の高浜原発新規制基準対応設備で起きた作業員の負傷事故について)

◆関西電力はポンプの作業手順書に、停止時の手順を明記していなかったことを理由に「操作ミスとはいえない」との説明を繰り返した。作業手順の一部がないこと自体がお粗末である上、「マニュアルがないからミスとはいえない」とする同社の姿勢には不信感を覚える。

◆同社によると、ポンプの検査を終えた後、本来は出口弁を完全に閉めてから電源を切るべきだったという。複数の作業員で行う作業で、同社の担当者は「連携に誤りはあった」としつつも「社としては操作ミスという認識ではない」と言い切った。真夏に湯気が立つほどだった熱水の温度も「測っていないので分からない」と説明した。

人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、
大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
1~3月ともいわれる大飯原発3、4号機の再稼働を
断固阻止し、原発全廃を勝ち取ろう!


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

◆日時:2017年10月15日(日) 13時~14時45分
◆場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
◆<集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。
・デモ出発:15時30分
・デモ出発地:靭(うつぼ)公園(デモは難波まで。17時頃終了予定)


12.3大飯原発うごかすな!現地集会・町内デモ

◆日時:2017年12月3日(日)13時30分~
◆場所:おおい町総合町民センター(おおい町役場横)、集会後デモ。

こちらの現地集会・町内デモにもご賛同、ご結集をお願いします。


◆上記の2集会について
主 催:
→大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:
→原子力発電に反対する福井県民会議(連絡先:宮下正一:090-1395-2628)、
→若狭の原発を考える会(連絡先:木原壯林:090-1965-7102)
◆集会にご賛同頂けます場合は、お名前、ご住所およびお名前の公表の可否を木原(kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jpまたは090-1965-7102)までお知らせください。


2017年9月6日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆9月5日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。
質問書
……………………………………………………………………………

  1. まず、高浜原発3号機、4号機の再稼動に強く抗議します。安全対策も不十分なままなぜ動かす必要があったのかお答えください。
  2. 高浜原発の緊急時対策所、免震重要棟について、再度お聞きします。どこにあるのか、どのような設備か、職員の安全は保障できるのか、お答えください。
  3. 大飯原発3号機を来年1月に、4号機を3月に再稼動させる計画と報道がありました。免震事務棟は整備中であり、テロや大規模自然災害に備えるという特定重大事故対処施設はできていない状態と発表されていますが、なぜ再稼働できるのですか。
  4. 高浜原発、大飯原発について住民の避難計画を提示してください。行政との連携と聞いていますが、具体的にどのような計画が進められているのか示してください。
  5. 再稼動でこれからどんどん使用済み核燃料が増えますが、再処理の計画を示してください。
  6. 1月に起きたクレーン倒壊事故に関連して再度お聞きします。
    4つのクレーンが、1・2号の横にずっと設置されており、その倒壊範囲内に3・4号機の緊急時対策所用の非常電源車4台がすべて置かれています。これでは分散配置になっていません。クレーン倒壊に耐えられるのでしょうか。
  7. 電力自由化によってこれまで他社に切り替えた消費者はどのぐらいの割合ですか。原発ゆえに貴社から他社へ切り替えるという消費者も多数います。今後も増加するでしょう。消費者は原発に依存しない電力会社を望んでいるからです。貴社の経営には深刻な影響があると思われますが、そのことについてどのように考えられますか。

以上
……………………………………………………………………………
話し合いの内容(Q;こちら側の発言  A;関電の発言)
今回から担当者が交替しました。
A(質問1について)高浜3・4号機については規制員会の審査を受け認可をもらった。動かしてかまわないという判断で動かしている。安全対策をクリアする形で対応した。安全対策には終わりがないので、引き続き必要なものに取り組んでいく。

Q 規制委員会が良いと言ったからというのは責任転嫁ではないか。
A 第3者として国が入り、審査をしている。昔は別の機関であったが、福島事故以来大幅に組織を変えて規制委員会となっている。

Q 規制員会は信用を失っている。関電として、これをやったから安全なのだという方向で責任をもってやってもらいたい。
A 関電としては免震棟など基準で求められていないものもやっている。

Q 福島事故では、どこで指揮を執ったのか。免震棟を言わない規制委員会は疑問だ。
Q いま北朝鮮のミサイルのことがあるが、原発がテロの標的となっている。核施設を持っているという自覚があるのか。
A セキュリティは厳しくしている。核を扱っていることもひしひしと感じている。ミサイルが飛んできたらどうするかということで、規制委員会で審査を受けている。ミサイルについては建物の強度がどうかということだが、ジャンボジェットを衝突させるという実験があり、それに耐えうる。

Q それは横からでしょう?もし上から来たらどうなるのか。
A ミサイルの話は一会社の話ではない。レーザーによる迎撃を国が開発中だ。PAC3というのもある。

Q 迎撃は無理ですね。レーザーも何年も先の話でしょう。
A 会社としてできることではない。

Q 対応できないなら少なくとも原発の運転は止めるべきだ。もしミサイル攻撃を受けたら、原発は動いていなくても危険だが、動いていたらもっと危険だ。少しでも安全にしようと考えるなら、すぐに止めるしかない。
A 原子力は使って行きたい。国のエネルギー政策上でもそう考える。

Q「国は」というが、もしものことがあったら企業の存亡の問題だ。国が何と言おうが、関電としてやめるのが普通の考え方ではないか。事故が起きたら存亡に関わる。客離れも進んでいるのではないか。
A 電力が全面自由化されて、28年度から売電量がすごく落ちている。このままで客がついて来てくれるのかという議論が社内であるが、国で必要と判断されているので、その判断に依っている。東電は20~22%減っていて、リーディングカンパニーとして厳しい状況だ。

Q 関電は原発依存率何%を目指しているのか。
A かつては11基動いていて50%だった。美浜が廃炉になるので現在は9基になった。高浜3・4号機、大飯3・4号機は動かしたい。

Q 高浜1・2号機、美浜3号機も動かすとなると7基になる。全国的に見てすごく率が高い。
A 基本的に再稼働させる方向だ。

Q 40年超えのものを動かすのは怖くないのか。
A 基本的に怖いと思って動かすことはない。原発を作ったら、そのままということはく、必要な部分を取り替えている。

Q 格納容器は取り代えないではないか。
Q 福島事故を見ると、古くなってバルブが動かないという状況もあった。
A 動かす方向にしていないと全く金食い虫だ。

Q 2011年段階で、事実においていろいろなことが分かってきた。いろいろ安全対策をしていくと聞くと、よけいに不安に駆られる。
Q 高浜3・4号機の審査ではクレーンはない状態で行われた。クレーンは1・2号機の再稼動のための工事用だ。1・2号機の再稼動を急がなければクレーン事故は起きなかったのではないか。急いで手抜きになっているのではないか。再稼動のために資本を投資すると、その設備を使わざるを得なくなる。悪循環だ。他のものにお金をかけてもらいたい。
Q 世界は原発をやめる方向に進んでいる。安全対策にどんどん追加費用がかかっているためだ。東芝は破たんしているではないか。
A 安全の面、経営の面では質が異なる。危険だと思ったら再稼動は考えていない。安全対策に終わりはないと思うが、一定程度安全ならと思っている。経営については、客の減少には危機感を持っている。電気料金を下げたい。

Q 原発をやめたら電気料金は上がらない。現時点でも、八木前社長が、再稼働をした場合も料金は下がるが、全原発を廃炉にした場合も電気料金は下がると発言しているではないか。
A ある程度見通しを立ててやっている。

Q その考えは甘いと思う。今後、再稼動のための費用はどんどん増えていく。判断が間違っているのではないか。
Q 安全対策はマイナスだという世界の流れになっている。だから世界で原発関連会社が破たんしている。
Q すでに設備があるから動かすのだろう。だから怖い。
Q 値下げの原資がないのに値下げをしたと新聞に書かれていたが、すでに経営が破たんしているのではないか。客離れはもともと電気料金が高いからであって、今まで高く売っていた。値下げするのは、高く売っていたからではないかという疑問を持つことになる。電気は血液みたいなものだから、関電が潰れては困る。昔、停電の時に復旧工事をしていた人が感電死したのを見た。だからこそ、今の状態が怖い。
Q 原発に集中すると安全対策費用が上乗せになり、経営が大変になる。そういうことについて社員の中で議論はないのか。
Q 消費者の安全、社員の安全のために共に闘いましょう。命を大事にするということを考えましょう。
A(みなさんが)そういった気持ちでやっていることは認識している。

Q 資産価値の維持は無駄ではないか。そもそも原発の寿命というのはもともと15年とみられていて、それが、20年、30年。40年、…60年と延長されてきた。信じられない話だ。格納容器も昔のままで、脆性破壊の問題もあるのに、60年も安全に運転できるとは到底思えない。他の電源に代えてもらいたい。資産にしてしまったら動かしたくなり、われわれを危険にさらす。なかでも関電の社員の皆さんがまっさきに危険にさらされるのだ。急いで安全対策をやっていてクレーン事故が起きた。
A 高浜1・2号機はそのまま置いておくとお金だけかかる。動かすと経済性があるという判断で動かしている。

Q 安全性に関する追加工事がどんどんあり、どんどんお金がかかるではないか。
Q 世界がやめているのに、関電だけなぜ動かすのか。福島事故直後の関電の判断も遅れていた。
A いろいろ中長期的に判断している。ご理解いただきたい。

Q 理解はできない。40年前の技術で作られたものは、金属疲労が進む。60年なんて考えられない。事故が起きたら一般市民にとって不安では済まない。関電は中部電力に2位を明け渡した。関電の経営姿勢が客離れを生んでいるのではないか。我々は関電をつぶそうと思っているのではない。つぶさないために言っている。
Q 8月末で何件が関電をやめたか。
A 90万件(数字を間違えた)

Q 96万件だ。もう100万件を超えるだろう。
Q 事故対策を客に転嫁しようとしている。客を裏切っている。
A(同席の社員が、もう時間ですからと促す)

Q 大飯原発のHPに「特定重大事故対処施設」をつくると書いてあったが、この施設の設置はいつ決まったのか。
A 福島事故後に法律で決まった。緊急時のために制御室、発電設備などを備えた施設で、高浜原発は作っているところだ。平成30年ごろに完成させるとなっている。また工事計画ができてから5年以内に完成させるとなっている。

Q 工事を請け負う会社がないと聞いているが。
Q そういう施設もできていないのに再稼動は考えられない。特にテロ対策を考えた「特定重大事故対処施設」がないのでは、今の情勢に対応できない。安全のためには原発を止める以外にない。
A ミサイルへの対応についてはまだ書類を読めていないので、調べておく。

2015年7月から2年間担当した方に変わって今回から新しい方になった。誠実に対応してくれるが、中身は会社の言い分に過ぎない。ミサイル攻撃についても危機感を持っていないように見えた。

◆原発は無くても電気は足りる

【2017年9月1日,京都キンカンで配付。】

原発は無くても電気は足りる

経産大臣の認可法人「電力広域的運営推進機関」が報告

危険と不安がいっぱいの原発を全廃しよう!

「電力広域的運営推進機関」(以下、「広域機関」と略記)とは?

◆「広域機関」は、改正電気事業法に基づいて、2015年4月に業務を開始した経産大臣の認可法人であり、全電気事業者[一般電気事業者(東電、関電など、電力10社)、卸電気事業者(電源開発、日本原電)、特定電気事業者(限定された区域に、自社所有の発電設備や電線炉によって電気を供給する事業者)、特定規模電気事業者(商社やガス会社が設立した電気の小売り事業者)]が会員になることを義務付けられている。

◆経産省資源エネルギー庁の資料(2015年4月発表)によれば、この法人は、「これまで、原則として地域(エリア)ごとに行われていた電力需給の管理を、地域を越えて、より効率的に行なうことによって、安定的な電力需給体制を強化し、電源の広域的な活用に必要な送配電網(連系線)の整備を進めるとともに、全国規模で平常時や緊急時の電力需給の調整機能の強化を図ること」を目的としている。以下の業務を行っている。

  1. 運用業務:電力需給の広域運用の司令塔として、全国レベルでの監視を行い、実際の需給バランスを常に監視し、各電力エリアの中央給電指令所へ指示・調整する業務。
  2. 計画業務:従来、一般電気事業者が国に提出していた各エリア内の電力需給予測データ、供給計画などの電力需給に関する短期・長期の計画業務を、「広域機関」は一元的に実施する(各電気事業者からの報告をうけ、需給想定、供給計画のとりまとめ、供給信頼度評価を実施する)。
  3. 設備形成:広域系統連系設備(連系線、地内基幹送電線、変圧器など)に関して、従来とは異なるルール(設備形成の起案者に国も加え、その間口を広げたほか、特定負担者募集や実施案の公募、)をもとに運用する。
  4. 系統アクセス業務:再生可能エネルギー電気などを電気事業者に供給するとき、発電設備を電気事業者の電力系統に接続(系統アクセス)しなければならない。従来、業者や小売事業者からの電源等の系統アクセスに関する申込みは、一般電気事業者(電力10社)のみが受け付けてきた。「広域機関」設立後は、出力1万kW以上の電源に関しては、「広域機関」対しても申込みを行えるようになった。これによって、申込者と一般電気事業者の間に「広域機関」が入ることとなり、一般電気事業者からの回答の妥当性を広域機関が中立的な立場で評価し、必要に応じて一般電気事業者に再検討指示をすることができるようになり、中立性を担保した系統アクセス運用が可能となった。
  5. 需要家のスイッチング(切り替え)支援:電力小売全面自由化にともない、需要家が独自の判断で自由に電力の小売事業者を選定でき、かつ、スムーズに小売事業者を切り替えられるよう、支援する業務。

「広域機関」発表(本年3月)の

「平成29年度供給計画の取りまとめ」の内容

1.取りまとめの前提

1.1 電気事業法第29条に基づき電気事業者(938社)が国に届け出た平成29年度電力供給計画について取りまとめた。なお、「広域機関」は、提出された供給計画を取りまとめ、毎年3月末に経産大臣に提出している。

【電気事業者(938社)の内訳】発電事業者542、小売電気事業者(電力小売り全面自由化以降、電力小売りに参入した新電力のうち一般家庭向けに販売する事業者)367、登録特定送配電事業者16、特定送配電事業者1、送電事業者2、一般送配電事業者(北電、東北電、東電、中部電、北陸電、関電、中国電、四電、九電、沖電)10。

1.2 原子力発電による電力供給力について、届出時点(2017年3月)で再稼働している原子力発電所(川内原発1、2号機、伊方原発3号機)を除き、供給力を「未定」と届出ているため、需給バランスなどの算定では、2017年3月時点で再稼働していない原子力発電所の供給力は「ゼロ」としている。なお、2017年3月時点で再稼働していた原子力発電所3機の供給量は、全国総供給量の2%弱である。

2.取りまとめの内容

2.1 電力需要に関する昨年度(2016年度)の推定実績および本年度(2017年度)の見通し

  • 一般送配電事業者10者が届け出た月別の最大3日平均電力[毎日の需要電力(1時間平均値)の最大値を月別に上位から3日とり、それを平均した値]は、夏季最大の8月が冬季最大の1月を1 千万kW程度上回り、全国の需要としては8月が最大であった。
  • 8月の最大3日平均電力(全国需要)は、2016年度の推定実績15,617万kW、2017年度見通し15,656万kWで、2017年度は0.2%増加となった。
  • 一般送配電事業者10者が届け出た一般送配電事業者エリアの需要電力量(一般送配電事業者の流通設備を介して一般の需要に応じて供給する電気の量)を全国合計した年間需要電力量は、2016年度の推定実績8,871億kWh、2017年度見通し8,805億kWhで、2017年度は0.7%の減少となった。

2.2 電力需要に関する本年度(2017年度)以降10年間の長期見通し

  • この見通しは、国内総生産(実質GDP )が、2017年度540.1兆円、2026年度582.0兆円で、年平均0.8%の増加、鉱工業生産指数(IIP)が、2017年度99.8、2026年度108.2で、年平均0.9%の増加と見通して、行っている。
  • 8月の最大3日平均電力(全国需要)は、2017年度見通し15,656万kW、2021年度見通し9,005万kW、2026年度見通し16.031万kWで、年平均0.3%増加となっている。
  • 年間需要電力量は、2017年度見通し8,805億kWh、2021年度見通し8,891億kWh、2026年度見通し8,805億kWhで、年平均0.2 %増加となっている。
    なお、8月の最大3日平均電力、年間需要電力量が、継続的な増加傾向としている理由は、節電の取り組みや省エネの進展、人口の減少傾向、負荷平準化対策などによる減少要因はあるものの、経済規模の拡大や電化の進展の方が大きく寄与すると考えたためとしている。

2.3 需給バランス(短期)

  • 各エリアの供給力(最大3日平均電力発生時に安定的に見込める供給能力)とエリア需要を基に、各エリアおよび全国の需給バランスを評価している。各エリアの供給力とは、小売電気事業者および一般送配電事業者が各エリア向けに確保した供給力と発電事業者の発電余力(販売先未定で保有している供給電力)を足し合わせたものである。
    ここで、需給バランスの評価にあたっては、エリアごとに予備率[予備力=(供給力-最大3日平均電力)を最大3日平均電力で割って得た値を%で表したもの]が8%以上であることを基準としている。
  • 2016年8月の最大3日平均電力(全国合計)は15,576万kW(気温補正後)、供給力(全国合計)は18,040万kW、予備力は 2,464万kWであり、予備率は15.8%であった。この全国合計の予備率も各エリア別の予備率も、安定供給の基準とする予備率8%を大きく上回っている。
  • 2017年度の月別の全国合計での予備率の見通しは、4月21.8%、5月25.1%、6月21.7%、7月13.6%、8月13.0%、9月18.3%、10月24.8%、11月20.7%、12月16.9%、1月15.7%、2月14.4%、3月19.0%で、各月とも安定供給の基準とする予備率8%を大きく上回っている。

    これは、ほとんどの原発は動いていなくても、電気は十分足りることを示している。

  • 2017年度の月別のエリアごとの予備率の見通しでは、一部のエリア・月(東京7、8月、中部12~3月)で8%を下回るものの、連系線を利用した他エリアからの供給を考慮すれば、全てのエリアで安定供給の基準とする予備率8%を上回る見通しである。

2.4 需給バランス(長期:2017年度以降10年間の見通し)

  • 各年8月の最大3日平均電力(全国合計)から見た需給バランスは、2017年度;需要電力15,656万kW、供給力17,692万kW、予備率は13.0%、2021年度;需要電力15,857万kW、供給力17,555万kW、予備率は10.7%、2026年度;需要電力16,031万kW、供給力18.591万kW、予備率は16.0%と見通せ、全国合計では、各年度とも予備率8%を上回っている。
  • 8月の最大3日平均電力を基にしたエリアごとの各年の予備率の見通しでは、東京エリアで2017~2023年度、中部エリアで2019~2021年度、関西エリアで2021年度に、8%を下回るものの、連系線を利用した他エリアからの供給を考慮すれば、全てのエリアで安定供給の基準とする予備率8%を上回る見通しである。

◆以上の他、「平成29年度供給計画の取りまとめ」には、電源構成の変化に関する分析、送配電設備の増強計画、広域的運営の状況、電気事業者の特性分析、その他が述べられている。


人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、
大きな犠牲を払うこと、

事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
今すぐ、全ての原発を廃炉にしよう!


報告 8/26東海第二原発を取り巻く「人間の鎖」行動

若狭の原発を考える会 木戸恵子

◆8月26日(土)、東海第二原発包囲行動に、泊、志賀、福島、伊方、川内など全国から1100人が駆け付けた。主催は原発いらない茨城アクション実行委員会。「原発現地に行く会」の募集により、東京からも94名が2台のバスに分乗して参加した、若狭の原発を考える会からも5名が行動を共にした。この他、電車での10数名、福島から乗用車での7名なども加わった。

◆東海第二原発は、電力会社9社と政府の出資で設立された日本原電によって、1978年に運転開始。東日本大震災以降、停止状態だが、運転開始から40年を迎えるこの老朽原発に、さらに20年運転延長の許可が下り、再稼働されようとしている。
包囲行動に先立つ全国集会は、東海村阿漕ケ浦公園で行われ、原発いらない茨城アクション、福島の女たち、住民代表・大川てるよさん、前東海村村長・村上達也さん、鎌田慧さんがスピーチした。

◆集会終了後、1.5 km歩いて東海第二原発まで移動。翌27日投票の県知事選挙に再稼働反対を掲げて立候補している鶴田真子美候補の宣伝カーも、村上前東海村村長とともに登場。東海第二原発に到着した参加者は、「人間の鎖」で老朽原発を囲み、再稼働反対の力強いシュプレヒコールをあげた。

◆その後、東海村コミュニティーセンターで行われた「原発現地に行く会」の交流会では、阿部功志東海村村議と若狭の原発を考える会の木原壯林さんが報告。阿部功志村議は、原発事故時の避難計画のバス300台と運転手の確保は、実施不可能であり、住民の命を蔑(ないがし)ろにする再稼働を許してはならないと訴えた。木原壯林さんは、8頁の資料をもとに、プルトニウムの危険性、「常陽」および「もんじゅ」のブランケットには、再処理すれば30発以上の原発が作れる兵器級プルトニウムがあること、高速炉「常陽」、「もんじゅ」は、危険極まりなく、廃炉も技術的に困難であることを解説の後、「10.15大飯原発うごかすな!関電本店包囲全国集会」への結集を呼びかけた。

◆交流会後、参加者は大洗町に移動し、プルトニウム被爆で5人の被爆者を出した日本原子力研究開発機構(大洗)をバスの中から見学。周囲を樹木で囲まれ敷地内部の様子は見えにくい。すぐ横は茨城名産のサツマイモ畑が囲み、被爆事故のあった建物が数百メートル先に見える場所で、木原壯林さんから説明を聞いた。

◆山一つ見えない雄大な関東平野をバスの車窓から見、木原壯林さんが35年前に勤務していた東海村の風景に思いをはせながら、東京に戻った。


1月ともいわれる大飯原発再稼働を断固阻止し、即時廃炉を勝ち取ろう!

10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

日時:2017年10月15日(日) 13時~14時45分
場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
<集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。
デモ出発:15時30分
デモ出発地:靭(うつぼ)公園
(デモは難波まで。17時頃終了予定)
◆主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
◆呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議(連絡先:宮下正一:090-1395-2628)、
若狭の原発を考える会(連絡先:木原壯林:090-1965-7102)
本集会にご賛同頂けます場合は、お名前、ご住所およびお名前の公表の可否を
木原(kiharas-chem@zeus.eonet.ne.jpまたは090-1965-7102)までお知らせください。


2017年9月1日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆「新規制基準」で原発の安全は確保できるか

【2017年8月24日,京都キンカンで配付。】

「新規制基準」で原発の安全は確保出来るか?

◆関電は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と主張している。さらに、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」としている。「新しい安全神話」を作ろうとするものであり、電力会社や原発産業の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものである。

◆若狭の原発が、矢継ぎ早に再稼働されようとしている今、「新規制基準」や原子力規制委員会の審査が。如何に非科学的であり、欺瞞であるかをまとめてみた。

1.新基準では「過酷事故も起きうる」ことを前提とした安全対策(?)を導入したという。

◆福島原発事故以前には、過酷事故(巨大な自然災害や重大な人為ミスなどで原子炉が暴走するような深刻な事態)を考えていなかった。また、炉心損傷に至らないとした設計基準を採用していた(単一の機器の故障のみを想定し、一つの機器の故障が、他の機器の故障を誘発し、炉心損傷を招くことは考えていなかった)。「新規制基準」では、それを改めたという。

◆例えば、新基準では、フィルター付きベント(排気)装置の設置を義務付けるとした。炉心損傷では、放射性ヨウ素(気体)を含む圧力容器内気体を緊急排気しなければならないが、排気装置にこの気体を捕集するフィルターがなかった。また、新基準では、移動式の電源車、全電源喪失でも炉を冷やせる注水車の装備を義務付けた。素人でも必要だと考えるこれらの装置がなかったこと自体が問題である。

◆フィルター付きベント(排気)装置、移動式電源車、注水車の装備は、すでに、国際原子力機関(IAEA)が各国に求めており、過酷事故対策は世界の主流になりつつあったが、日本の規制当局は福島事故まで動かなかった。その理由は、日本の原発は完全な安全対策がとられており、過酷事故は起こり得ないことになっていたからである。すなわち、政府や電力会社は、安全神話を振りまいてきたのであるが、その同じ「原子力ムラ」が、福島大惨事の責任も取らずに、福島事故後には「新規制基準」を作り、「今度こそ安全だ」と言っているのである。「新規制基準」は、やっと世界基準に近付いただけで、後述のように、これによって原発の安全性が飛躍的に向上したわけではない。なお、フィルター付きベントの設置を義務付けはしたが、規制委の審査では、その設置を5年間猶予している。

2.「新規制基準」は、満たせることしか要求していない。

(1) 福島原発の事故原因を深く追及していない「新規制基準」。

事故炉内部のミューオン透視は税金の無駄遣いで、溶け落ちた燃料の情報はほとんど得られなかった。次々に投入するロボットは高放射線のために討ち死にし、事故から6年半経った今でも、事故炉内部の詳細は分っていない。それでも、政府は、事故から2年半もたたず、事故原因の議論も全く不十分な2013年7月、事故の教訓や知見を反映するものとして、「新規制基準」を施行した。
事故原因について、東電や政府は、事故直後に発表した「津波による全電源喪失」に固執し、「想定外の地震や津波であったから、事故は止むを得ず、政府や東電に事故を起こした責任はない」と言わんばかりである。事故原因は、冷却水配管の地震による破断など、この他にも種々考えられる。また、この事故は、重大事故に対する対策・装備の不備、非常電源の設置上の問題、不適当な事故対応など、反省すれば、人災と考えられる部分も多い。事故原因が異なれば、対策も当然異なる。「新規制基準」では、そのことがほとんど勘案されていない。
なお、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものである。「新規制基準」や規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠い。

(2) 安全に不可欠でも、実現不能なことは要求しない「新規制基準」。

かつて、原発立地について、以下の[a]、[b]を定める立地審査指針があったが、福島事故の被害はこの指針の定める枠を越え、この指針の下での原発稼働は不可能になったため、「新規制基準」では、この指針を廃止した。

[a] 重大な事故の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないこと。
[b] 重大事故を超えるような、技術的見地からは起こるとは考えられない事故の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないこと 。

海外の新型原子炉では標準装備の設備であるコアキャチャーや航空機落下に備えた二重ドームの設置は不要としている(設置に多額の費用と長時間を要するから)。

原子炉の中で進行する事態の把握法を定める「重要度分類指針」(平成2年決定)を改定していない。すなわち、原発の中で起こっている事態を把握するための原子炉周辺設備・機器の耐震基準が甘いままである。
福島第一原発事故においては、水位計が機能喪失してメルトダウンの判断を困難にした。また、主蒸気逃がし弁が過酷事故時に格納容器内背圧が高くなると働かないことも、事故後に判明している。

「新規制基準」を満たしていない施設でもその充足を猶予している。
例えば、PWRでは、「重要事故対策設備」であるフィルター付きベント装置の設置を5年間猶予している。

3.都合の良いデータのみ採用して適合とする規制委審査

例:炉心溶融時の水素の爆轟(化学反応による爆発のうち、火炎の伝播速度が音速を上回るもの)防止は必須事項である。高浜原発3,4号機の審査書では、格納容器内水素濃度の最大値は約12.3%で、爆轟防止の判断基準=13%以下であるとしている。

◆しかし、高浜3,4号機と出力規模、ループ数、格納容器型式などが同一である川内1、2号機の審査書と同じ基準で評価をすれば、水素濃度の最大値は約14.8%となり、爆轟防止基準を明らかに超えている。高浜原発の審査書では、川内原発のそれより水素発生量の不確かさの度合いを、意図的に小さくして、基準をクリヤーしている。

4.杜撰(ずさん)かつ非科学的な事故対策でも容認する規制委審査

例:関電は、重大事故対策の目玉として、原発重大事故で空気中へ飛散した放射性物質を打ち落とす放水設備を備えたという。また、海への放射性物質流出は、吸着剤と吸着性シルト(沈泥)フェンスで食い止めるという。

◆放水で放射性物質の拡散が防げるのはほんの一部であり、放水された水は結局汚染水になる。吸着剤とシルトフェンスだけで放射性物質を除去できるのなら、福島での放射性物質流出防止に適用すべきである。規制委員会の審査では、こういう子供だましの拡散抑制対策でも可と評価している。

5.杜撰、手抜きかつ虚偽の規制委審査

例1:「新規制基準」への適合評価は事業者(電力会社)任せで、事業者による原子炉施設やその立地条件に関する評価をそのまま受け入れ、規制委員会のチェックや独自調査はほとんどしてない(基準地震動、活断層、火砕流・・・の評価)。

例2:地震による配管破断はほとんど考慮せず、対策を講じないなど、重大事故対策のシナリオ策定は事業者任せである。

例3:原発立地の表層数km以内の活断層の有無が、再稼働の大きな判断基準とされている。しかし、これまでの大地震のほとんどは、探査不能な地中数10 km の震源、いわゆる「未知の深層活断層」に起因している。表層に活断層が無くても、
原発は地震で破壊される可能性がある。規制委は、都合の良いデータだけで審査しているとしか考えられない。

例4:川内原発の審査で、規制委は、火山噴火をモニタリングで予知して、原子炉から核燃料を引き抜いて安全な状態にできるという、九電の申請書を認めている。火山噴火や地震の余裕を持った予知は不可能であることは誰もが認めるところである。また、予知できたとしても、そのときに燃料プールやキャスクに余裕があるとは限らないし、燃料プールも安全ではない(圧力容器より脆弱である)。このように、規制委審査は、不可能を可能と偽って人々を騙す審査である。

例5:想定した原発事故に関する解析のほとんどは、コンピュータによる計算結果に基づいていて、実験的検証は少ない。このコンピュータ解析は、前提条件(プログラム)と入力データの質に強く依存するが、現代科学は実証された完全な条件やデータを持合わせていない(分かっていないこと、予測できないことが多過ぎて、完全なプログラムはできない)。したがって、解析者の原発を動かそうとする恣意(しい)が大きく結果に反映される。

6.適合性審査は、申請書に書かれた方針の審査であり、実行されるか否かは検証していない。

◆適合性審査が実態を伴うためには、設置変更(設計の基本条件を規定:絵に描いた餅)許可だけでなく、具体的・詳細な工事計画 (詳細設計の内容を含む)認可、保安規定(その設備を安全に運転・保守するための管理法を規定)認可が一体で行われなければならないし、実際に、工事が完了したことが確認されなければならない。

7.住民避難計画は規制委審査の対象外であるが、それでも規制委の審査結果が再稼働を左右する。

◆原発事故時の避難計画について、規制委は立地自治体や周辺自治体に丸投げしている。一方、自治体は、どこかでできたパターンに沿って避難計画を作成している。そのため、避難計画では当該自治体の地理的、人的特殊性はほとんど斟酌(しんしゃく)されていない。また、事業者(電力会社)はその作成に責任を負っていない。

◆しかも、自治体の作成した避難計画たるや、数日のピクニックにでも出かけるような計画であり、過酷事故では、永久に故郷を失うという危機感がない。また、避難地域は100 km 圏を超える広域におよび、若狭の原発事故では、京都、大阪、滋賀の住民数100万人の避難の可能性もあるという認識がない。

◆さらに、避難指示解除に関して、住民の意向を聴かないし、避難指示が解除されても(放射線量20ミリシーベルト/年で解除)、帰還先は高放射線量で、必要な生活基盤も整っていないこと、帰還後一定期間の後には賠償金や支援が打ち切られること、種々の事情で避難継続を選択すれば、賠償や支援はないこと、などの非人道性も念頭にない。原発事故に関しては、「地方自治体住民の福祉の増進を図ることを基準とする」という地方自治法の精神は全く生かされていない。

◆原発の再稼働は、住民の生命・財産に大きく関わるので、それを判断する地方自治体には、原子力利用推進政策から独立した姿勢が要求される。また、原発の被害は、極めて広域におよぶので、原発立地自治体だけでなく、周辺自治体の住民の声を十分聴かなければならない。

8.とんでもないパブリックコメント(パブコメ)のとり方

◆規制委の審査結果に対するパブコメは、わずか1ヶ月間、「科学的・技術的」部分に限って募集されている。しかし、国民のほとんどは、原子力分野の専門家ではない。専門家でも、原子力のような広範囲の知識を要する分野へのコメントを1ヶ月で出すことは至難である。また、ある意見が「虚偽である」ことを実証するには大変な労力を要する。

◆規制委は、プロでない国民が、片手間でできる筈がないことを見越して、非科学的審査書を作り、パブコメを求めている。さらに、国民の生命と財産に関わる原発再稼働に関しては、その是非や、防災・避難計画も含めて、国民的議論を展開すべきであるが、パブコメでは、その意見は受け入れていない。

◆しかも、国民が懸命に書いたパブコメ1万7千8百(川内原発)あるいは3千6百(高浜原発)について、わずか20数日で分類整理し、枝葉末節だけを取り入れ、基本的部分は無視している。それでも、規制委の審査書によって、実質的に再稼働の可否が判断される。国民を愚弄するためのパブコメの誹り(そしり)を受けるのは当然である。

原子力防災とは、災害(事故)の原因である原発をなくすことである。
人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
今すぐ、全ての原発を廃炉にしよう!


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

  • 日時;2017年10月15日(日) 13時~14時45分
  • 場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
  • <集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。
  • デモ出発:15時30分
  • デモ出発地:靭(うつぼ)公園(デモは難波まで。17時頃終了予定)
  • 主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
  • 呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議(連絡先:宮下正一:090-1395-2628)、若狭の原発を考える会(連絡先:木原壯林:090-1965-7102)
  • 本集会にご賛同頂けます場合は、
    お名前、ご住所およびお名前の公表の可否を
    木原(kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jpまたは090-1965-7102)まで
    お知らせください。

2017年8月24日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆原発の電気は買わない!―自由化の今,電力選択は消費者の責任、槌田劭

◆原子力の時代はいよいよ終末へ!脱原発の“関ヶ原”です.
東芝こけた.アルバも三菱も.そして関電も...(2017-08-26)

◆高い料金に顧客離れは深刻!
原発はその維持に莫大な固定出費―関電は年間3000億円以上の重荷に苦しんでいる.廃炉や廃燃料の負担を無視しても原発の維持は過大負担!

◆関電からの契約離れは加速している.契約離脱100万件へ!
7月末現在,96.9万件が新電力へ流れている.8月中には100万件を超えるだろう.

◆関電の販売電力量も激減,2割超え!
福島事故後,ピーク時(2010年度)比,80%(2016年度)

◆値下げ競争に未来はあるか?
電力販売量の減少の中で,値下げ?値下げの原資はあるのか.→経営破綻!

◆関電の原発は一層危険に...
経費削減・合理化は手抜き工事と労働強化.高浜原発クレーン倒壊事故と過労自殺は氷山の一角.老朽原発の再稼働!!

◆原発の電気は買わない!世論が関電の経営方針の転換を導く.

〈原発の電気はいらない署名〉を拡げ,原発の電気は買わない世論を強めましょう.
契約変更は新電力会社に電話するだけでO.K. 手続きは先方でしてくれます.どの電力会社を選ぶかはそれぞれの考え方ですが,大阪ガスなら,0120-000-555へ...

◆8月4日に高浜町で行った「講演・討論会 in 若狭 〝原発にたよらない町づくりを目指して″」の報告

【2017年8月下旬,若狭で配付。】

高浜町で「講演・討論会 in 若狭」
〝原発にたよらない町づくりを目指して″
が開催されました

◆標記の講演・討論会は、8月4日(金)13時~17時、JR若狭高浜駅2階「まちの駅ぷらっとHome高浜」で、「若狭の原発を考える会」の主催で開催されました。ご講演は、本年4月発売の『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか -県民的対話のための提言』の著者・山崎隆敏さん(和紙会社経営)および韓国で脱原発運動を進める青年・琴東運(クム・ドンウン、25歳、男性、青年緑ネットワーク会員)さん、裵聖敏(ペ・ソンミン、31歳、男性、脱核釜山市民連帯執行委員)さん、安瀅準 (アン・ヒョンジュン、24歳、男性、脱核蔚山市民共同行動執行委員)さん。

◆講演、質疑応答の後、若狭にお住まいで、脱原発社会を願って活動されている皆さんからの簡単なご報告・アピールがあり、原発にたよらない町づくりを目指して討論しました。

◆会場(60人定員)は溢れんばかりの盛況でした。なお、講演・討論会終了後には、「キャンプ at 若狭和田ビーチ」が企画され、韓国、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、徳島、福島、関東などからのご参加を得て、脱原発の議論と交流が続きました。

◆以下に、会を開催した趣旨と、会の模様のご報告を致します。原発重大事故の不安のない町、使用済み核燃料を蓄積しない町を目指すためのご参考になることを願います。

「講演・討論会 in 若狭」開催の趣旨

反原発・脱原発が民意です

◆原発重大事故の悲惨さは、福島原発事故が、はかり知れない犠牲の上に教えるところです。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても不都合がないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は見出だせません、反原発は社会通念=民意 となっています。本年行われた各種報道機関の世論調査でも、原発反対が53~57%と、賛成の20数%のほぼ2倍でした。

世界も脱原発に向かっています

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めています。また、安全対策などで原発の建設費、維持費が高騰したこと、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けています。イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止しました。

◆また、韓国でも、文在寅新大統領が「原発建設計画を白紙撤回する」ことを宣言し、 40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、2基の建設を中断しました。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいます。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本など少数の経済先進国です。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げていますが、この戦略が破綻していることは、東芝の例を挙げるまでもなく、明らかです。

若狭にも脱原発を願う声は多数あります

◆原発立地の若狭にも、表立ってはいないものの、原発に不安を感じる声、脱原発を望む声は多数あります(原発推進の声を大きく上回っているといっても過言ではありません)。脱原発には、この隠れた声を顕在化させて頂かなければなりません。それには、今までタブー視されてきた脱原発後の社会を展望する議論を日常茶飯事にして頂くことが大切です。

重大事故が起る前に、原発にたよらない町をつくりましょう

◆上記のように、国内でも、世界でも、若狭でも脱原発は大きなうねりです。したがって、近い将来に、原発のない社会がやってきます。それなら、重大事故の前に原発を全廃するのが賢明です。一日も早く、原発にたよらない町づくりを進め、現在および未来の人びとにとって、不安のない、希望あふれる社会を実現しましょう。

本講演・討論集会は、「原発にたよらない町づくり」を考える一助になることを願って開催されました。

2017年8月5日毎日新聞朝刊

報告「原発依存こそが町おこしの阻害要因?」
山崎隆敏さん原発地元で語る

若狭の原発を考える会・橋田秀美

◆『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか』の著者・山崎さんのご講演の概要を報告する。
原発で地元が振興しなかったこと、原発の未来は危ういこと、推進派はそれをよく知っているし、危機感も抱いている。しかし「脱原発」に舵を切ることをしない。減価償却による固定資産税の減収や電源三法交付金の目減りを、「もんじゅ」再稼動や原発増設を「取引材料」として一時しのぎの金を引き出して、補おうとしてきた。

◆そして、原発立地には、普通交付税や国庫支出金(原発がなくても得られる国庫補助)に加えて、原発関連の税金や交付金が入ってくると期待していたら、大間違いで、原発関連の税金や交付金が相殺される形で差し引かれて支給されるからくりが明らかになり、愕然とした。結局、原発がない町の方が国の財源配分率が高いのだ。

◆原発収入がある美浜町を「御曹司」、原発に頼れない旧三方町を「苦学生」に例え、原発に依存し、自助努力を怠ってきた美浜町が、原発に依存できず独自に努力してきた旧三方町に観光客数、製造品出荷額、商品販売額で追い抜かれたことを報じた新聞記事を紹介し、原発依存が地域の振興を阻んできた事実を明らかにされた。

◆自前の収入がどれくらいあるかを示す「財政力指数」が県内上位を占めるのはやはり原発立地市町であるが、原発頼みの「財政力指数」の高さを市民、町民は誇りに思えるのか。幸いにもおおい町や高浜町は、借金返済など将来に及ぼす影響の度合いを示す「将来負担比率」が0である。今が麻薬のような原発を捨てて町の再生を目指すチャンスであると山崎さんは力説された。若狭のきれいな自然、歴史や文化、海産物や山の幸、これらは原発に頼らない町づくりに大いに活かせるだろう。そのためにも、原発は一日も早く無くしたい代物であると結ばれた。

報告「原発反対を訴える韓国青年たちの息吹に触れて」

若狭の原発を考える会・松原康彦

◆韓国で反原発運動を取り組んでいる20代から30代の青年3人が、この集会に参加して「韓国の脱核運動」と題して韓国での反原発運動の現状などについて報告した。

◆韓国の原発は運転中が24基、建設中が5基、計画中が6基あり、その大半が釜山から北の半島東海岸に集中している。韓国ではこれまで地震をほとんど経験してこなかったが、昨年9月、原発が50%以上立地する地域・釜山北部の慶州で、マグニチュード5.8の地震が起こり、多くの人が恐怖に震え、2011年の福島地震・原発事故を思い起こした。

◆他方、古里(コリ)3、4号機の格納建屋鉄板腐食と原子炉冷却材露出事故が起こった。ただ一つの電力会社・韓国電力がすべての電力を支配し、巨大な2企業の独占で原発関連工事が行われている韓国では、「核マフィア」(日本の「原子力ムラ」に相当)が「安心」と宣伝しているが、原発立地の海岸では誰一人泳ごうとしない。今回、高浜の海岸で多くの海水浴客が楽しんでいることに正直、驚いたそうだ。

◆また、建設中の新古里5、6号機の送電のために従来の送電塔の2倍以上の94 mの巨大鉄塔が蜜陽(ミリャン)で建設され、多くの住民が立ち退かされ、地域の共同体が破壊された。住民は「何のための電力なのだ」と怒っている。

◆韓国民衆の「ローソク革命」によってパク・クネを打倒し、就任したムン・ジェイン新大統領は、選挙前は「原発ゼロ」を公約しながら、当選後には、老朽化した古里1号機を永久停止して、稼働原発24基という現状を生んだものの、すべての原発が耐久年度40年を過ぎる2079年を「原発ゼロ」にすると変節し、しかも、建設中の古里5、6号機などの是非は「世論に問う」と変わっている。そして、米韓首脳会談と北の共和国のICBM発射を受けて、THAAD(サード;終末高高度防衛ミサイル)配備を強化するなど、多くの韓国民衆の思いと離れている現実が指摘された。

◆また、「若い人たちが頑張っている」という聴衆からの声に、「子どもたちの貧しさが尋常ではなく、それに大学を卒業しても職がない」現実を指摘された上で、「韓国でも1980年代に頑張った大人たちが指導部を牛耳っていて、日本とそれほどかわらないのでは」と答えられた。

報告「原発にたよらない町づくりをめざして、地元から」

若狭の原発を考える会・木戸恵子

◆山崎隆敏さん、韓国青年の講演後、若狭の市民や地方議会議員から、原発立地の現状や活動について報告があった。

◆「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘さん(高浜町在住)が、昨年12月、高浜町音海地区が関電と高浜町対し、高浜原発1、2号機の運転延長に反対する意見書を提出したことについて、音海地区だけにとどまらず、多くの高浜町民の支持を得ていると、地元の状況を語られた。同会の宮崎慈空さん(おおい町在住)は、7月20日おおい町が実施した大飯原発3、4号機に関する住民説明会の報告をされた。再稼働には福井県とおおい町の同意が必要で、おおい町は説明会の内容、住民や町議会の考えを踏まえて可否を判断する。当日は、200人程度が出席したが、一般公募で選ばれた住民はわずか20数名で、大半は、町内の区長、商工会など各種代表者であった。住民からの質問には十分に答えず、再稼働ありきの形だけの住民説明会となった。

◆美浜町議の河本猛さんは、経産省発表の核廃棄物処分地地図「科学的特性マップ」について、地層が隆起し活断層も多い若狭の沿岸も「適性が高い地域」とされたことに対し、住民は「核のゴミ捨て場になるのではないか」と不安や疑念の声を上げていると報告された。また、町の財源を原発に頼っている限り、安易な再稼働容認が続くと指摘され、原発依存から脱却する産業の一つとして、再生可能エネルギーの普及促進を挙げられた。

◆敦賀市議の今大地はるみさんは、福井県・敦賀市・美浜町が、もんじゅ廃炉にかかわる地域振興策について国へ要請に出かけるに先立って敦賀市が開いた説明会は、姑息にも、非公開で原発推進派議員重視で行われたことが披露された。また、今年5月、福井地裁に高浜原発運転差し止め仮処分を、弁護士をたてずに、「原発事故が起きて放射性物質が拡散されれば人格権が侵害される」として、提訴したことを報告された。この仮処分申請は難しいものではないので、大いに活用することを勧められた。

◆若狭町議の北原たけみちさんは、地場産業のひとつとして「コケ屋上緑化植物」の栽培工場を紹介された。ヒートアイランド緩和効果などのある「コケパネル」は、普及段階に入っていると報告された。

◆「原子力発電に反対する福井県民会議」代表委員の中嶌哲演さんは、福井県の2017年度の一般会計当初予算案における歳入は、全体は前年度と比べて3%減少したにもかかわらず、電源三法交付金や核燃料税などの原発関連歳入は過去10年で最多になり、6.9%(326億円)を占めたこと、この福井県の歳入は、原発立地の市や町の原発関連歳入(敦賀市:約49億円、美浜町:約28億円、高浜町:約54億円、おおい町:約64億円)より圧倒的に多いことを資料を提示しながら指摘された。なお、高浜町、おおい町の2017年度の原発関連歳入は、一般会計予算の55%、63%を占め、本年度は大幅に増額したことも述べられた。

◆「若狭の原発を考える会」の木戸恵子は、若狭で行っているアメーバデモは、原発立地の住民と琵琶湖の水を飲んでいる関西の住民が、若狭の街角で原発への思いを交換する場であると紹介し、そこで聞いた地元の声を報告した。少しづつではあるが、かつては見られなかった地元のみなさんの変化が感じられ、それに希望をつなげたいとした。

2017年8月

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

◆[報告]8/8 『原発の電気は高くつく』大島 堅一 さん学習講演会

◆「原発の電気はいらない署名@関西」として取り組んでいる「原発の電気はいらない署名」。これをさらに進めようということで,8月8日ひと・まち交流館京都に大島堅一さん(龍谷大学政策学部教授)を招き学習講演会「原発の電気は買わない!原発の電気は高くつく」を行いました。

◆最初に,同署名の世話人である吉田明生より,署名運動の意義や経過を説明。昨年春の電力自由化で電力会社が選べるようになった中で,昨年秋から「原発が再稼動されれば新電力に移る」等と宣言する署名に取り組み,さらに大阪高裁で高浜原発再稼動容認の仮処分決定が出た今年3月末から,「原子力発電は止めてください。原発の電気は使いたくありません」と宣言する署名を開始。これまでに4491筆の署名が集まり,8月10日には関電本店に第1弾として署名を提出しに行くことが報告されました。

◆次いで,同署名の世話人で「使い捨て時代を考える会」相談役の槌田劭より「脱原発への“関ヶ原”」と題して,関電の経営危機と再稼働の危険について話されました。電力自由化で約90万軒が割高な関電から新電力に移った。とくに高浜再稼働が具体化した時期に関電離脱が急速に進んだ。福島事故以降,関電の販売電力量はどんどん減ってピークの2010年より20%も落ち,関電は中部電力に抜かれて業界3位に転落。総括原価方式のウマミが消えて,原発経費の重圧が電気料金を割高にしている。経費削減を迫られている関電は安全対策を削り,社員の過労自殺やクレーン倒壊など危険な事故が起きている。原発依存が経営リスクを生んでおり,「原発を続けるなら関電の電気は買わない」と主張することが脱原発に効果的な情勢になってきている。

◆そして大島堅一さんの講演。原発の電気がいかに「高くつく」のかがあらためてよくわかりました。原発の電気は事故前の実績でも,発電だけでなく現地買収や事故コストを加えれば,13.3円/kWh。発電コストだけですむ火力(9.9円/kWh)や水力(3.9円/kWh)と比べて最も高い。しかも福島の事故コストはわかっているだけでも23.4兆円(リニア東京大阪間の建設費が8兆円)。50~70兆円にもなる可能性がある。原発は世界的には安全対策の費用がかかりすぎて撤退を強いられている。電事連でも「原発をやめれば電気代が下がる」ことを認める発言もあり,また今後は原発ゼロで電力が安定供給できるという試算も出ている。自由化で高い電気料金を維持できなくなった電力会社は,送配電部門を独占し,託送料金への上乗せで福島事故の賠償・廃炉費用の一部を新電力にも負担させて回収しようとしている。福島事故では,汚染者負担が原則なのに,いつの間にか,受益者負担にすり替わっている,などなど。
(8月26日まで託送料金問題のパブコメ実施中!ぜひ書きましょう!→検索用語「電気事業法施行規則」等の一部改正に対する意見の募集について)

◆とくに印象に残った四点。
(1)関電の場合,料金を下げる方法は二つあるが,再稼働する場合だけを主張している。原発をやめても料金を下げることは可能だが,関電はそれは計算していないとのこと(本当かな?)。ちゃんと計算して提示して欲しい。
(2)ドイツの話。電力単価がかなり低下(太陽光は8円/kWhを切っている),電気の価値にも影響するほど。オフグリッド(電力網=グリッドから離脱)の流れができている。太陽光パネルは安価になり,あとは蓄電池。
(3)同じくドイツ。放射性廃棄物処分のための省庁をつくり,国民全体で決める体制のもと,22世紀から処分を始める計画とのこと。
(4)電力のことは,儲け,競争で考えてはいけない。未来の生きものがずっと生きていけるために,電気がどう必要か,再エネでも持続可能性が求められる。

◆会場からも質問がいっぱい出て,盛りだくさんでとても書ききれませんが,たいへん勉強になりました。「危険なうえに高くつく原発の電気を買うのはもうやめましょう!」。皆さん,署名をどんどん広めて,脱原発を実現しましょう。署名用紙については,末尾記載のWeb,FAX,Mailでお問い合わせください。またオンライン署名は Change.orgへ。さらに詳しくは同署名のWebへ。(いずれも「原発の電気はいらない署名」で検索可)。

(報告:藤井悦子,吉田明生)

◆これまでの署名4491筆を関電に提示。申入書も提出

◆8月10日に,関電本店(大阪市北区中之島)の「お客さま本部 お客さまサービスセンター」にて「原発の電気はいらない署名」を提示してきました。14:00~14:20頃まで。大阪府,兵庫県,京都府から,6名が参加しました。

◆紙の署名3899,オンライン署名592の合計4491筆を示しましたが,今回は,その署名目録だけを提出しました。そして「貴社が市民社会と世論に背を向ける経営姿勢を続けていることは,経営の将来にも影響すること」を指摘しました。その上で「この切実な要請の署名原簿につきましては,貴社と話し合いの機会に提出したいと考えています。貴社のご都合を8月21日までにご返答いただければ幸いです。」という内容の申し入れ書を提出し,取締役クラスの方との話し合いの機会を求めました。お客さまサービスセンター側は,「申し入れがあったことは承りました」という返答でした。

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【提出した 署名目録】
関西電力 株式会社 岩根茂樹 社長 殿
原子力発電は,止めてください。
原発でつくった電気は,使いたくありません。
下記記載の呼びかけ人をふくむ「4491」名の総意として,要請します。
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【提出した申し入れ書】
申し入れ書
私たちは貴社に原発の再稼働をしないよう,強く求めてきました。しかし,貴社は5~6月に高浜原発を再稼働しただけでなく,10月には大飯原発の再稼働にも着手されると聞いています。
原発の危険性と不安定供給性に加え,高コストも明白です。
私たちは貴社の電気の購入継続によって,原発再稼働に加担し,事故発生の折の責任を共有したくありません。そこで「原発の電気はいらない」との署名を広く呼びかけ続けています。
私たちは貴社が原発の再稼働を断念されるよう期待し,経営方針を転換されるよう強く要望いたします。なお,署名はゆっくりではありますが,着実に広がっており,貴社からの契約スイッチングにも影響しているようです。
本日は,別紙記載の署名数を持参していますが,この切実な要請の署名原簿につきましては,貴社と話し合いの機会に提出したいと考えています。貴社のご都合を8月21日までにご返答いただければ幸いです。

2017年8月10日(福島原発事故から6年5か月)
原発の電気はいらない署名@関西
呼びかけ人・呼びかけ団体一同
追伸:本署名運動について,貴社と話し合いの機会についてのご返答は,
[E-Mail]sindenryoku.kyotoあっとgmail.com 宛にお願いします。

▲関電からはもうすぐ100万件の顧客が離れる。槌田劭さんのつくった上のグラフをみると,2017年になって,スイッチング件数が一段と増えている→角度が急になった。そして,高浜原発の再稼働がみえてきた3~4月にとくに減少し,3月には9万件と月間最高を記録した。このグラフ(手書きのもの)は関電に提出しました。

◆7/21の第16回口頭弁論の報告
 ~救援新聞より

  • 救援新聞 京都版No.1310 2017年8月5日
    橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

地震の危険隠しの関電を批判

大飯原発差止京都訴訟第16回口頭弁論

  • 大飯原発差止京都訴訟の第16回口頭弁論が、7月21日、京都地裁(第6民事部・藤岡昌弘裁判長)101号法廷で開かれました。法廷には、原告や弁護団、支援の傍聴者など総勢120人余りが詰めかけたなか、原告代理人の渡辺輝人弁護士(弁護団事務局長)の第37準備書面(07年新潟県中越沖地震のメカニズムについて他)、谷文彰弁護士の第38準備書面(上林川断層について)がそれぞれ要旨を陳述。原告・市川章人さんが意見陳述をしました。以下はその大要です。
  • 辺輝人弁護士
    ―2007年新潟県中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原発に想定をはるかに超える地震動が発生し、東電は原因を地表ら4キロから6キロの深部地盤の傾き、地下2キロの褶曲構造からの、それぞれ2倍の波が集中したと後付けで説明したが、科学的な調査や再現性の検証もしていない。地震発生前に「揺れの少ない強固な岩盤の上に建てている」と安全を強調していたホームページの文章を削除した。このことを踏まえると、大飯原発の地盤の特性はほとんど把握がされていない。関電は大飯原発の地下500メートル程度までしか構造を把握していない。海域についてもせいぜい2、300メートルの断面でしか把握していない。こんなおざなりの調査や検証で大飯原発の危険な地盤を「特異な地盤特性は存在しない」などと評価することは到底できない。
  • 谷文彰弁護士
    ―京都府の北部、綾部市からは北東の大飯原発に向かって活断層(上林川断層)が走っている。関電は断層が明確な範囲は26キロだとして、大飯原発に近い福井県境で活断層が確認できないとしているが、断層が存在する可能性が残されている。明確な活断層でない派生のところでも熊本地震は発生した。
  • 市川章人さん
    ―69歳、京都市伏見区に家族4人で暮らす。大飯原発から66キロメートルに住む。原発事故と放射能被害への不安、恐怖から提訴。大学で原子物理学を学ぶ。実験中の被ばく事故に遭遇し、以来がんへの恐怖をかかえてきた。処理方法のない放射性廃棄物を大量に生む原発に疑問を持ち、今儲かりすればよい、あとは野となれ式の商業運転はやめるべきだと考えるに至った。その後の99年の東海村の臨界事故と国の対応はチェルノブイリにつづく日本の事故を予感させ、福島原発事故で的中した。福島の原発から61キロの、5人の子どもをかかえた親戚一家の話を聞いて放射能への恐怖を一層強くした。避難もかなわず、命と健康への恐怖、仕事を失うなどの被害、生活そのものが成り立たない現実がある。福島原発事故後、大飯原発の再稼働が認められた。避難計画も再稼働審査の対象には含まれず、活断層の集中する若狭湾ではいつ過酷事故が起こるかわからない危険におびえることとなった。滋賀県によるシミュレーションでも、66キロ圏は安定ヨウ素剤の服用が必要で、琵琶湖が汚染されたら放射性ヨウ素のために1週間水が飲めないという試算もある。しかし、京都市の避難計画にはそのような記載は一切ない。15年の原子力災害対策指針の改悪で不安はいっそう増した。避難より屋内退避を強調。情報も届かない中、自分で自分を守るしかない。私の大学の事故はコンクリートの壁を通して放射線をあびたもので、屋内退避など効果はほとんどない。とくに心配は、保育園の孫。保育園からきちんと避難できるか。京都市は具体的対策を記載していない。孫たちの命と未来を守るために、万が一の危険も冒すわけにはいかない。原発廃止こそ最大の安全対策であり、命と生活を最優先にした判断を裁判所がくだされるよう切に願う。
  • 次回裁判は、11月1日(水)午後2時から、京都地裁101号法廷で。

裁判前にはデモで市民アピール

  • 裁判が開始される前、12時10分には、原告や弁護団など40人が京都弁護士会前に集まり、横断幕やノボリなどを手に、市民にアピールする、デモ行進をしました。裁判所の周辺から、柳馬場通り、夷川通、寺町通、丸太町通りを一周し、「大飯は危険」「原発やめよ」「子どもを守ろう」「自然を守ろう」などとハンドマイクの声にあわせて訴えました。

◆7/21,第16回口頭弁論の報告

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◆第16回口頭弁論の報告
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7/21の第16回口頭弁論にご参加の皆さま,ご苦労様でした。
開廷前には,いつものように裁判所周辺のデモを行い,市民に脱原発裁判をアピールしました。参加者は40名でした。

傍聴席は抽選なしでしたが,開廷時にはほぼ満席になりました(関電関係者と思われる傍聴もありました)。
報告集会は100名以上の参加で盛況でした。多額のカンパの他,缶バッジ,竹本団長の著書などでご協力をいただき,ありがとうございます。

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◆第16回口頭弁論の法廷資料
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  1. 原告提出の第38準備書面
    上林川かんばやしがわ断層― →こちら
    上林川断層とは,連続するFO-A(エフオーエイ)断層,FO-B(エフオービー)断層,熊川(くまがわ)断層の三つの断層に対して,共役(きょうやく)断層となっている断層のことです。共役断層とは,同一の応力下で互いに90度程度斜交した断層面が形成され,断層のずれの向きが互いに逆向きを示すものをいいます。断層が動いて地震が起きる場合,共役関係にある断層は,どちらが動くかは分からないので,両方の断層の動きを見ておく必要があります。関電は,上林川断層の端を,原発のない方向には「保守的に」延長しながら,原発のある方向には延長していません。きわめて恣意的です。
  2. 原告提出の第37準備書面
    ―被告関電は大飯原発の地盤特性を把握していないこと― →こちら
  3. 原告提出の第36準備書面
    ―京都市原子力災害避難計画の問題点について― →こちら