関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆043◆

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◆芦生の美しい自然と、対極の関電
 ~関電のダム計画、金銭で人の心を奪い取る~(~2006年)

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 関西電力が、旧美山[みやま]町の芦生[あしゅう]研究林(京大演習林、京都府、現南丹市)と名田庄[なたしょう]村(福井県、現おおい町)に建設しようとしていた揚水式発電ダムは、2005年末、関電側から旧美山町に対し計画中止を申し入れ、覚書を交わして中止された。この計画は1966年に上部ダムを芦生に下部ダムを名田庄村に建設する計画であった。しかし、芦生の貴重な自然に対する社会的関心の高まり、用地買収の難航、電力需要の低下などを背景に、計画中止に至った。旧美山町としては大きな財源としての期待もあったが、ダム建設に対する住民の不安もあり、中止することで関電と合意したとのこと(2006年6月28日、京都新聞朝刊)。

 なお、芦生ダムの計画発表後の経緯や年表については『森の通い帳 芦生への招待』(芦生のダム建設に反対する連絡会編刊、1990年、32p)や、『由良川源流芦生原生林生物誌』(渡辺弘之著、ナカニシヤ出版、2008年、10,168p)に詳しい。いずれも、京都府立京都学・歴彩館に所蔵。

 芦生の自然と、関電のダム計画について、「芦生山の家」の管理運営者である今井崇さんが、大飯原発差止訴訟[京都地裁]の第25回口頭弁論で原告として、意見陳述されている。その中で、ダム建設に伴い、地域が関電に振り回され、金銭で人の心を奪い取るようなことを何度も仕掛けられたことを述べている。以下、今井さんの了承の下に、全文を収録。
(芦生山の家→ こちら
(大飯原発差止訴訟、意見陳述→ こちら

 関電のやってきたことは、何処でも一緒。その醜い姿 !!!(> <)!!!

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2019年11月28日
今井 崇

 私は南丹市美山町芦生に住まいして66年になります今井崇と申します。芦生は由良川最上流の村で、美山町のなかでも一番北東の位置にあります。おおい町とも隣接しており、大飯原発から30km範囲のところで生活しています。

 今日は大飯原発の差し止めを求める意見陳述をいたします。

 私が住んでいる芦生は約5200ヘクタール程の面積がございます。そのうち4200ヘクタールは京都大学の研究林として使われており、650ヘクタールが村の山で、芦生の面積のほとんどは山です。山深く生活条件の大変厳しいところに、2歳の子供から92歳のお婆さんまで計38名が地域住民として生活しています。あと、研究林に勤める京都大学の職員さんが生活しています。

 生活するのが困難な芦生でありますが、自然を守り自然を生かして生活してきたからこそ今日まで住み続けてこられました。私は「芦生山の家」の管理運営をやっています。訪れていただく皆さんには、芦生でとれた物を食べていただいております。お婆さんの作る野菜、私が栽培する椎茸、なめこなどのキノコ類です。また、山の家の下に流れる由良川には、鮎をはじめ様々な種類の魚が泳いでいます。これらも大切な食材です。皆、食事がおいしいと言われます。そしてブナの木1本ブリ千匹とも言います。自然の中に在り自然を生かして生活することがこれからの芦生につながっていくものだと確信をしています。台風や大雨にも大きなダメージを受けましたが、その都度地域のみんなで力を合わせ復旧してきました。自然災害は、人々が住む地域を奪われるということはありませんが原発の事故だったらどうでしょうか。30キロ圏内の我々は地域再生が出来なくなり、生活の場を奪われてしまいます。

 現在、生活道路である市道芦生灰野線と府道38号線を通学バスと市営バスが1日に7本程度走っています。ところが、市道芦生灰野線は最終まで完成していません。車道がなくなる終点からトロッコ道を約1キロ歩いたところにお二人の方が生活しておられます。今までも台風により橋が流され孤立するということが起きています。私が生まれた4日後、昭和28年の13号台風により自宅には土砂が入り大変でした。その後昭和40年の台風24号、57年台風10号、平成2年台風19号、3年の台風19号、と大きな災害が発生しています。雪も一晩に95センチ積もる大雪の時もありました。

 災害のたびに生活道路が通行止めになることが、たびたび発生しています。南丹市道は道幅3.5メートと狭いうえに、ガードレールが整備されていないところもあり、一つ間違えると命がなくなるような道を、生活道路として活用しています。冬季になると除雪作業が行われますが、夕方6時ごろから朝6時ごろまでは30センチ以上の積雪になると通行止めになります。府道38号線も道幅も狭く150ミリの雨が降ると通行止めになります。台風時の倒木、土砂の流出、冬季の積雪、自然災害のたびに通行止めとなります。

 このような状況で、由良川の最上流に住んでいる者は避難をすることは困難です。無理です。陸の孤島になる状況です。

 また、京都大学芦生研究林は、滋賀県福井県と県境を接した山深いところに位置しここに京都大学生をはじめ多くの学生が植物等の研究にやってきます。職員さんも林内の整備や調査等、頻繁に入山されています。この研究地一部は一般にも開放されており4月から11月ごろまで多くの一般の方がハイキングに訪れていますが、これらのことは原発事故の想定がなされていません。山の中にいる時に事故が起こればどこへ行けばいいのか、入山者に知らせる手立てはあるのか、知らせることが出来たとしても逃げるすべがありません。

 私は、昨年度集落の区長をいたしました。台風時においても、連絡網はあるが、独居老人まで、連絡が難しく何よりも避難場所に集まるということ自体無理です。落石や倒木の危険の中、トロッコ道を約一キロ歩き村に出てくることや3.5キロにおよび点在している人家、安全に避難をすることは無理です。降雪時も同じです。

 私が管理運営する「芦生山の家」では、原生林のハイキングの案内もしております。専任のガイドが研究林内を案内するものです。ガイドには衛星携帯を所持しながら案内をしておりますが、林内は、通話できるところが限られており、谷合では通話できません。原発事故を知らせるすべがございません。京都大学からも原発事故の対応についての指示は何もありません。由良川の最上流に位置する芦生の森を守ることはそこに住んでいる者だけの利益だけではありません。川を守りそして海を守る、ブナの木一本、ぶり千匹と言われているように豊かな海を守っていくためにも山を荒らしてはなりません。原発事故が起これば、山も川もそして海もあらしてしまいます。元には還りません。原発は自然との共生は出来ないのです。

 芦生にはかつて高浜原発とセットで建設されようとしていた、揚水式のダム計画がありました。芦生の研究林内に建設が計画されたのです。地域は関西電力に振り回されました。お金をちらつかせたり、飲食を提供したり、金銭で人の心を奪い取るようなことを何度も仕掛けましたが、村に生きる人々は、お金は一時のもの、一度ダムで村を潰してしまえば二度と美しい山は戻らない。頭の上に水を張ったバケツを置いて安心して眠ることなど出来るはずがないと、反対を貫いてきました。今、この自然を求めて多くのハイカーが訪れてくれています。ここに住まいするものの使命は自然を大切に守り発展させることです。地域に仕事場を作りたくさんの人が住まいできる村にしなくてはなりません。

 原発事故が起きたらどうするのか、どう逃げるのか、このような思いを抱えて生活するのは息苦しくて未来への展望も生まれてきません。住むものがこの地を生かして住み続けるために、原発停止、完全な廃止しかないと強く思います。

 芦生の村人は貧乏な者ばかりでした。子育て中もどんなにか苦労をしてきたかと思います。けれども貧乏をしてもお金に惑わされなかった父達は、本当に正しかったと思います。ダム建設を許さず、芦生に生きてきた人々のおかげでこの村がある。私もその思いを受け止めこの地域で生きていくそのためにも原発の再稼働中止、そして原発廃止を強く願うものです。
                  以 上
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◆関西電力 闇歴史◆042◆

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◆『はとぽっぽ通信』の追及
 ~河内川(こうちがわ)ダム建設工事の不正支出金疑惑~(2016年~)
 ~闇に消えたダム補償金(福井県の公金)は、関電に流れたのではないか~

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 『はとぽっぽ通信』(原発設置反対小浜市民の会)では、原発に反対する市民の闘いを紹介するとともに、「若狭における福井県の “でたらめ行政” を検証する」シリーズとして、現在は「河内川ダムの無駄と無謀」と題して、「河内川ダム建設工事に係る関西電力熊川発電所へのダム補償金に疑惑」の記事を連載している。→こちら


▲河内川ダム……福井県が、かつての鯖街道熊川宿の中央を流れる河内川に建設したダム。堤高77.5m,堤頂長202.3m, 堤頂幅7.3m, 堤体積25.8万m3,総貯水容量800万m3。共産党の佐藤正雄県議は、「小浜市は市総合計画を2016年春改定し、2019年度完成予定の河内川ダムの水を水道水として利用するとしてきた水資源目標を総合計画の項目から外した。つまり地下水量に不安がないことが小浜市の調査でわかり、ダムの重要度が下がったからだ」として、無駄なダム工事を批判している。「急速な人口減少が見込まれる中で、新たなダムによる水道水源を小浜市民、若狭町民に押し付ける計画は今こそ見直すべき。工業用水についても同様。また、難工事となった背景には活断層の活動による地質の影響も指摘される。複合災害時にダムの治水効果自体が果たして計画通りに発揮できるのかどうか、検証が求められる」と主張してきた。

 以下、ダム建設工事の不正支出金について『はとぽっぽ通信』からの抜粋。著者は、小浜市の松本浩さん。

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 関西電力の第三者委員会の調査発表を受けて、関西電力が公表した「役員報酬カット分の補填(ほてん)約2億6千万円」の原資も、福井県が施工した河内川ダム建設工事の不正支出金ではないか。

 平成31年3月10日、原発マネー不正還流について「関西電力良くし隊」による衝撃的な内部告発があった(◆041◆)。同告発状は、関電幹部と高浜町の森山元助役と政治家との癒着を指摘したものであったが、癒着構造は、福井県にも波及する可能性がある。すなわち、河内川ダム建設に伴う関西電力熊川発電所補償工事費の「付替水路工90,000千円」が使途不明になっている問題である。それは、西川知事と関電幹部、森山元助役との癒着の実体を具体的に示しているのではないか。福井県は、県から不正に支出された「付替水路工90,000千円」の暴露を恐れ、隠蔽しようとしているのではないか。使途不明となっている工事費9,000万円は、何処へ消えたのか。杉本知事は関西電力にからむ河内川ダム補償工事に係る虚偽の報告書を国土交通省に提出し、以てその隠蔽(いんぺい)を図ったのではないか。
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▲関西電力熊川発電所……河内川ダム完成後は取水口および水路が水没するため、ダム湖内の水路は閉鎖し、ダム取水塔より取水して、既存のトンネル水路出口に接続している。これに伴って、導水管の付替などが行われることになり、ダム工事主体の福井県から関西電力に補償金が支払われた。その補償工事費の一部に不明金がある。熊川発電所の発電機は130kWで、147か所ある関電の水力発電所で、下から2番目の出力。大正8年9月運転開始。写真右下が排水口で、ダム完成後は発電を継続している。

(『~若狭の原発を考える~はとぽっぽ通信』の購読申込は、917-8691 小浜郵便局私書箱第3号「原発設置反対小浜市民の会」へ。年6回発行、年間購読料1000円)

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◆関西電力 闇歴史◆041◆

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◆「関西電力良くし隊」からの内部告発~~文書5通(2019年)
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 「関西電力良くし隊」は、2019年3月に関電の岩根茂樹社長に対して最初の警告文を送付している。その後、4月に岩根社長と監査役に最後通牒各1通、6月に岩根社長への通告書1通、最終的な内部告発文書1通、計5通が明らかになっている。

(1) 3/10 岩根社長宛
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2019年3月10日
関西電力株式会社
岩根社長
拝啓
日夜、社業に、激務に専念されていることとご推察いたします。
さて、私こと、このたび、関西電力が第2の日産にならぬよう、岩根社長に忠言いたします。
よもや知らないとは申されまい、大飯町の吉田開発に端を発する原子力事業本部における一連の不祥事についてであります。
吉田開発の脱税、森山氏に対する利益供与だけであれば、国税の査察も入り、すでに解決~安堵されているやも知れません。
しかし、残念ながら、問題は、そこにとどまりません。
以下の大罪が挙げられます。
① 利益供与された金が、関西電力の八木会長をはじめとする原子力事業本部、地域共生本部などの会社幹部に還流されていたこと。
② 利益供与の原資は、協力会社への発注工事費、特にゼネコン、プラントエンジニアリング会社、警備会社等を介して渡されていたこと。
③ その原資は、コストとして計上され、ほかならぬ、お客様から頂いている電気料金で賄っていること。
④ 原子力事業本部で開催された倫理委員会なるものは、実質、隠ぺい工作のための作戦会議場としてしまったこと。
⑤ 官憲(国税、地検)まで手籠めにとり、官憲と共謀して闇に葬ろうとしていること。
以上の5つの大罪に対して、どう釈明なさるおつもりか ?
穏便に済ませる唯一の解決方法を提案いたしましょう。
① 5大罪に関与した一連の幹部について、その地位をはく奪し、職務から追放すること。ドラスティックに。
② 「裏」の世界と決別すること。
①については、来る株主総会での発表を注視しております。現在大方決まっている幹部人事は、それまでに見直しをすること。まだ時間は十分にあります。
②については、直ちに実行すること。
この提案に対する回答を無視、あるいは、もみ消し工作をするようであれば、次のような対応を取ります。容赦はしません。
★ 把握している限りの情報を、下記の諸団体、諸組織、マスコミ等に公表し、徹底的に解明・訴追してもらいます。
平成に続く新年号の時代における、大スキャンダルの第1号となるでしょう。
自殺者も出るかもしれません。
【情報の公表先】
・松井?新大阪市長(言わずもがな、大株主ですね。)
・神戸市長
・橋下 徹氏
・福井新聞
・朝日新聞
・立憲民主党~国政調査権の発動 大罪⑤対応
・日本共産党~国政調査権の発動 大罪⑤対応
・原発設置反対小浜市民の会
・福井から原発を止める裁判の会 他
・テレビ朝日
・TBS
・金沢国税局
・大阪地検特捜部
・その他
岩根社長、ドラスティックに英断を振るって、きれいな会社になりましょう。おざなりの対応は、私が容赦しません。
発送電分離等多くの変革がせまっている今こそ、そのチャンスのときです。
もしも岩根社長が、大罪①の幹部らと一蓮托生であれば、冒頭で申し上げた通り、関西電力は、第2の日産になることをお約束します。
私を探し出す暇があったら、一刻も早く新人事に着手することです。
敬具
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(2) 岩根社長宛 最後通牒
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2019年4月19日
関西電力株式会社
岩根社長
最後通牒
拝啓
次期役員他の新人事(案)、見事に,私どもの警告を無視してくださいました。
岩根社長、豊松副社長とで、八嶋常任監査役を見事に説得、口説き落とされました。企業統治もあったものではございませんね。
常任監査役、このたびの説得工作に応じたこと、後々に、悔やまれて自殺されなければよいのですが・・・。
故森山先生のご親族も、国勢調査で隠蔽工作を暴露されなければよいのですが・・・。
そこまで皆様方の根性が腐りきっているとは思いませんでした。
失望いたしました。
まだ改革の余地は残されていると信じておりましたが、岩根社長まで金銭を授受していたとあれば、致し方ありません。
令和元年は、関西電力(株)血祭 ~ 蘇生の年となるでしょう。
★ プレス発表まで、まだ時間があります。それまで、もう一度だけチャンスを差しあげます。
★ 少なくとも、森中、大塚、鈴木氏ら、悪がのさばるのは許しません。
あとは、プレス発表の結果を見て、行動に出るか否か、決めます。
警告はしました。
敬具
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(3) 監査役宛 最後通牒
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2019年4月25日
関西電力株式会社
八嶋常任監査役
最後通牒
拝啓
別紙の書面を、記載の日付で、岩根社長に送っております。
この書面は、八嶋常任監査役の他、樋口常任監査役、田村常任監査役、土肥監査役、十市監査役、槇村監査役、大坪監査役の皆様にお送りしております。
関西電力の、コーポレートガバナンスを問いただしております。
しかと、受け止めてください。
日本国際万博協会へ行ったら、後は知らないと逃げるおつもりですか?
それは許しません。
敬具
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(4) 岩根社長宛
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2019年6月5日
関西電力株式会社
岩根社長
拝啓
来る6月21日の株主総会の資料(取締役、及び監査役の選任)を拝見いたしました。
社長と、監査役諸氏のご覚悟を確認させていただきました。
当初のお約束通り、先の情報公開先に、情報開示させていただきます。
株主総会が盛況となりますよう、期待しております。
【情報の公表先】
・松井大阪市長、大阪市会議長
・神戸市長
・橋下 徹氏
・福井新聞
・朝日新聞
・立憲民主党~国政調査権の発動
・日本共産党~国政調査権の発動
・福井から原発を止める裁判の会 他
・テレビ朝日
・朝日放送
・TBS
・金沢国税局
・大阪地検特捜部
・その他
敬具
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(5) 広く各方面に送付された最終的な内部告発文書
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2019年6月8日
拝啓
突然でまことに申し訳ございませんが、国家のエネルギーを支える大きな役割と使命を担っている関西電力株式会社の原子力事業本部におきまして、40年を超える長年にわたり大きな不正が行われてきました。
この手紙は、それを内部告発するものです。
その概要といたしましては、原子力発電所の立地~決定~建設~運転・定期点検、および現在進められている再稼働に向けた安全対策工事、特定重大事故等対処施設工事等において、現在もなお、嶺南地区を主体とする地元議員、地元会社と原子力事業本部幹部との癒着構造が継続されております。
私共が最も看過できないのは、原発の建設、運転、定期点検、再稼働工事の過程で、工事費を水増し発注し、お金を地元有力者、及び国会議員、県会議員、市長、.町長等へ還流させるとともに、原子力事業本部幹部職員が現金(億単位)を受け取っていたことであります。
そして、この水増し発注工事費は、電気料金に加算・計上されていたということです。
このことに対して、私どもは、.岩根杜長、及び監査役全員に、不正に関与した幹部の退陣と人心の一新を、書面にて求めました。しかしながら、原子力事業本部で開催された調査(コンプライアンス)委員会は、過去・現状の把握と隠蔽工作の作戦会議体と化しました。来る6月21日に開催される予定の株主総会資料によりますと、私共の訴えは全く無視され、コーポレートガバナンスは、全く機能していない、期待できない組織になっていることを確信いたしました。
この巨悪は、私共のような小さな声では排除できない、関西電力の再生は不可能であると考え、相応の社会的な力、影響力をお持ちの皆様方に、国政調査などの更なる調査を通じて原子力行政にメスを入れていただきたく、筆を執った次第でございます。
一昨年、吉田開発(森山先生)脱税発覚に端を発する一連の捜査過程で、関電幹部が受け取った現金の吉田開発への返納、修正申告等、事実の公的な記録は残っているはずです。時効などの問題もあろうかと思いますが、「一旦受取った公金(電気料金)ではあるが、やばくなったので返す。」の論理が法的にも社会倫理上も通用するのであれば、もはや我が国は法治国家ではありません。
国税局と地検特捜とを巻き込み、隠ぺい工作がなされたのは明確な事実であります。
強力な国政調査権を持って真実を明確にしてください。
私共が考える問題人物のリストを以下に示します。
【問題と考える関西電力・原子力事業本部の幹部】
・八木会長
・豊松副社長(原子力事業本部長)
・森中常務(原子力事業本部長代理)
・右城常務(地域共生本部長)
・大塚副事業本部長
・鈴木副事業本部長
・その他 水増し発注を指揮・遂行した副事業本部長諸氏
なお.本件(同封資料)は、以下の皆様方にもお送りしております。
どうぞよろしくお願い甲し上げます。
関西電力良くし隊一同
【情報の公表先】
・松井大阪市長、大阪市会議長
・神戸市長
・橋下 徹氏
・福井新聞
・朝日新聞
・立憲民主党~国政調査権の発動
・日本共産党~国政調査権の発動
・福井から原発を止める裁判の会 他
・テレビ朝日
・朝日放送
・TBS
・金沢国税局
・大阪地検特捜部
敬具
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◆040◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆042◆

◆関西電力 闇歴史◆040◆

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◆関電、送電線設備をめぐる談合で独禁法違反…2014年
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忘れられた独禁法違反の闇歴史。

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 関電が発注した送電線設備の工事について、受注業者との談合に同社社員が多数関わっていたことが明らかになった。2014年1月31日、公正取引委員会は、同社に対し談合防止策を申し入れた上、談合に関わった受注業者に対し、独占禁止法違反で課徴金納付や排除措置命令などを出した。

 また、この談合について、その後の調査で関電社員240人が関わっていたことが明らかとなり、関電は当時の副社長ら執行役員4人を譴責や報酬返上などの処分とした。
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       ▼参考資料(上右)…朝日新聞 2014年2月1日
▼参考資料(下左)…朝日新聞 2014年2月5日

◆039◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆041◆

◆関西電力 闇歴史◆039◆

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◆大阪国税局から指摘された所得隠し…2009年、2011年
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忘れられた所得隠しの闇歴史、2件。

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(1) 関電 62億円申告漏れ 国税指摘 土地取引で不正

 関電所有の遊休地の取引に絡み、大阪国税局から、2008年3月期までの2年間で約6億円の所得隠しを指摘されていたことが、2009年4月17日の各新聞報道で発覚。同社が所有権を持たない土地について、売却損を架空計上し、所得を圧縮したとのこと。申告漏れの総額は約62億円に及ぶとされ、国税当局は重加算税を含め約21億円を追徴課税した。

 関電の言い分…「今回の指摘は主に見解の相違によるもので、当社の主張が認められなかったことは残念だが、指示には従った。今後も適正な申告に努めたい」。昔から傲慢無礼。10年経ったという感じはみじんもしない。今もまったく一緒。
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(2) 関電、45億円申告漏れ 大阪国税指摘 昨年までの5年間

 2011年には、福井県美浜町などでの原子力発電所建設で生じた金属屑を、実勢価格よりも安い価格で地元業者に売却していたが、これについて、大阪国税局から「価格が著しく安い。(課税対象となる)交際費である」と認定された。また、いろいろな支出について、高すぎると指摘され、寄付金に認定された。それらの結果、2010年3月期までの5年間で約45億円の申告漏れを指摘され、追徴課税は数億円。
・金属屑の売却では、売却額と実勢価格の差額は11億円で、交際費と認定。地元業者を儲けさせるために「特命発注(◆011◆)」か。
・子会社に支出した20億円や納入業者に支払った約10億円は、経費ではなく、寄付金と認定。高値買いが常態化していたことがわかる。
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           ▼(1)の参考資料(上右)…朝日新聞 2009年4月17日
▼(2)の参考資料(下左)…朝日新聞 2011年9月2日

◆038◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆040◆

◆関西電力 闇歴史◆038◆

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◆eo電気、関電の原発隠し別働隊
 【付 関電の連結子会社】
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eo(イオ)電気eo光ネットeo光電話eo光テレビmineo(マイネオ)Lala Call などは、すべて株式会社オプテージのサービスブランド。オプテージは関電の100%子会社で、関電の連結子会社。オプテージの2019年までの社名は、ケイ・オプティコム。

eo電気は、小売電力が自由化された2016年4月に設立。関西電力の完全子会社だが、自前での発電は行わず、Wikipediaによれば、電力の卸し取引市場である「日本卸電力取引所(JEPX)」から約7割を調達。残りの約3割を関電から確保するという(eo電気と関電の相対取引や常時バックアップの契約内容を知りたいものです)。

・eo電気は、eo光ネット、関電ガスのセット販売を展開している。「eoでまとめると ぜーんぶおトクに!!」と称して、関電、大阪ガスからのスイッチングをアピールしている。

・しかし所詮 eoは、関電の別働隊。うちは原発と関係ありません、新電力ですという顔をして、その実、原発の電気を売る会社にすぎない。販売エリアも関電の電気供給エリア内のみ。他の大手電力との競争は回避し、他の大手電力を刺激しないよう配慮しているわけ。原発依存、金だけ今だけ自分だけの関電と一体の会社のどこに存在価値があるのか、聞いてみたい。

・eo電気は安いと宣伝している。しかし、事務手数料や解約金も考慮するとトータル的には損失になるという指摘もある。また、キャンペーンでは関電ガス(なっトクプランeo割)やeo光ネットなどとの割引もあるが、1年目だけといった期間限定のこともあるので、本当にお得かどうか詳しく検討が必要。

・事務手数料解約精算金無料キャンペーンの内容は、以下のような感じに書いてある。事務手数料や解約金がないとは、書いてない。

・「キャンペーン期間…各キャンペーンは予告なく終了および内容を変更する場合がございます。キャンペーン特典…①eo電気の契約事務手数料を無料といたします。②eo電気をプラン変更および解約される場合、解約精算金を無料といたします。※eo電気には1年間の最低利用期間が設定されています。」
(以上は、eo電気 事務手数料解約精算金無料キャンペーン による。(2021/11/24))


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【参考】関電の連結子会社
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・関西電力は、地域独占と総括原価方式(◆036◆)という特異な経営形態によって特別な利潤をえて、幾多の子会社を抱えるに至っている。上にあげた(株)オプテージの、電気通信事業(個人向インターネット接続サービス、法人向通信サービス)、有線一般放送事業、小売電気事業、電気通信設備の賃貸という事業内容は、そうした電力会社の多角化、複合化事業としてふさわしいのか。投資の元は利潤が特別に保護された電気料金のはずだから、簡単に頷くわけにはいかない。

 ましてや、以下のような連結会社をかかえ、こんな形の複合企業となっていて良いのか。

住宅設備機器販売、工事請負、リフォーム工事
 ……かんでんEハウス(株)
最先端デジタル技術・事例の収集、デジタル技術を活用した事業アイデアや業務改革テーマの創出支援
 ……K4 Digital(株)
不動産の分譲、賃貸、管理
 ……関電不動産開発(株)
法人決済事業、ローン事業、会員事業、通販事業
 ……(株)クリアパス
会員制健康管理支援(総合健診等)、特定保健指導、サプリメント販売
 ……(株)関西メディカルネット
花卉栽培、花壇保守、印刷、文書・物品仕分配送請負、ノベルティ商品の販売
 ……(株)かんでんエルハート
オフィスビル・商業施設・病院等の施設管理、駐車場運営管理
 ……関電ファシリティーズ(株)
有料老人ホーム運営、訪問介護・通所介護事業等
 ……かんでんライフサポート(株)
電子線照射による滅菌・材料改質事業
 ……関西電子ビーム(株)
有料老人ホーム等の運営、訪問介護・看護事業等
 ……(株)かんでんジョイライフ
人材派遣、人材紹介(有料職業紹介)、アウトソ-シング、研修
 ……(株)かんでんジョイナス
ホテル事業、ゴルフ場およびゴルフ施設運営、バス事業等
 ……(株)関電アメニックス
養殖および飼育、養殖および飼育に関するコンサルティング、水産物の製造・冷凍・加工・販売等
 ……海幸ゆきのや

その他たくさん。(→こちら
有価証券報告書-第97期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

◆037◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆039◆

◆関西電力 闇歴史◆037◆

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◆関電、あちこちで醜い姿。朝日新聞ネット記事へのリンク
(1) 関電のドン側近 内藤千百里が語った元森山栄治助役(2019年報道)
(2) 関電が能登で原発計画 立地「工作班」の証言(2020年報道)
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(1) 関電のドン側近が語った元助役「知事を脅すおっさん」
内藤千百里(ちもり)元副社長(2018年死去)と森山栄治氏(2019年死去)
こちら
(2019年12月)
(内藤千百里元副社長について詳しくは →◆036◆
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(2) 原発と関電マネー 立地「工作班」の証言(全5回)
 石川県・能登半島の最北端で、かつて関西電力が進めた原発計画。現地で展開された数々の「工作活動」を元社員が証言。原発立地をめぐる電力会社の水面下の動きとは。
第1回 原発立地「工作班」元社員に接触「来ると思っていた」
第2回 原発反対派と対立「土地は買わず借りる」元課長の証言
第3回 立地対策は「潜水艦と同じや」関電元幹部が明かす手の内
第4回 サラリーマンがする仕事でない 関電元社員「工作」証言
第5回 飲み代も車代も「カーさん」持ち 関電去っても残った傷
こちら
(2020年8月)
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◆関西電力 闇歴史◆036◆

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◆関電のカネと社内権力抗争
 【付 総括原価方式】
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 ここでは、以下の2冊の本を紹介。
原発利権を追う』 朝日新聞特別報道部/著 — 朝日新聞出版
社長解任』有森 隆/著 — さくら舎

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原発利権を追う

 2014年9月に発行。第7章が“「関電の裏面史」独白”で、内藤千百里(ちもり、1923~2018年)元関西電力代表取締役副社長がとりあげられている。政界との結びつきが強い電力業界にあって、内藤は「電力の政治部長」との異名を取り、関西の政治がらみの話はすべて取り仕切ったと言われる陰の実力者であった。その彼が、朝日新聞の取材に応じ、2013年12月から2014年7月にかけて延べ69時間にわたって関電の政界工作を証言した。

 それによると、少なくとも1972年から18年間、歴代現職内閣総理大臣7人(田中角栄・三木武夫・福田赳夫・大平正芳・鈴木善幸・中曽根康弘・竹下登)や自由民主党有力者らに「盆暮れのあいさつ」として年2回200~1000万円ずつ政治献金する慣行があった、政界全体に配付した資金は年間数億円に上った、電力各社は1974年に企業献金廃止宣言をしたものの水面下で献金を続けた、という。原発依存度の高い関電にとって円滑に原発導入を進める上で政界工作が重要だった、原資はすべて電気料金で、「一に電力の安泰、二に国家の繁栄」のために「漢方薬のように時間をかけて効果が出ることを期待していた」、などと語っている。そして、献金も宴席代も電気料金からで、“玉手箱”と言っている。

 事業報酬率(→下記【参考総括原価方式)から簡単に利益が出てくる。下図はp.229より。

 

 

 

 

 

 

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社長解任~権力抗争の内幕


 2016年2月発行。第2章が“関西電力--長期独裁政権転覆のクーデター”。突然の解任動議が出されてクビになったのは関電のドンの芦原義重・代表取締役名誉会長と、懐刀の内藤千百里(ちもり)副社長。芦原は相談役名誉会長に棚上げになり、内藤は関電産業(現・関電不動産)の社長に飛ばされた。関電は「芦原-内藤体制」と言われ、会長や社長をしのぐ権力を握っていた。

 本章の締めくくりは、以下の通り。
株式会社は業績がすべてだ。…ところが、電力料金の集金人と発電所の技術者で成り立つ電力会社は、トップを誰にするかを業績と無関係に決めている。誰にくっついて引き立ててもらえるかが決め手となる。役員は御殿女中のようなものだ。役員たちが三度のメシより好きな人事抗争に明け暮れるのはこのためだ。長期政権の果ての人事抗争は、まさに関電の病理そのものだった。

 その権力構造については、“腐蝕企業”関西電力…公益企業を私物化した歴代経営陣の「飽くなき人事抗争」のサイトにも詳しい。
 その一部↓
 社内に張りめぐらされた内藤特務機関<その内部は真っ暗闇で、外からはもちろん、内部の人間にもどうなっているのかさっぱりわからない。とりわけ人事は密室人事である>。龍谷大学教授だった奥村宏は、「朝日ジャーナル」(1986年9月12日号)の「関西電力 暗黒大陸」で、こう書いた。……長期政権の果ての人事抗争は、まさに関電の病理そのものだった。
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【参考】総括原価方式とは
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 関電など大手電力は、事業報酬率をもちいた利益確保、総括原価方式で、富と権力を集中してきました。

総括原価方式…経費の3%とかを自動的に利益にできる。経費を節約して利益を出すのではなくて、経費を増やして利益を増やす。5000億円の原発を何基つくっても、経営リスクがない。そして経費を節減するどころか、経費を水増して大量の購入物品を調達してきた。こうして大手電力は、どの地域でも、その地域の財界のお殿様になって大きな顔をしています。関電の場合、水増し発注は、受注者(元高浜町助役など)の懐を経て、関電経営者とりわけ原発部門幹部の懐をうるおしてきました。

 電気料金は、税金みたいに強制的に支払わされます。大手電力は、消費者の電気料金でつくった発電施設、送配電網を独占し、それだけでなく再エネ普及を妨げ、原発温存の基盤となっています。

 どんな経営をしても自動的に利益を確保できる中で育ってきた電力会社の経営者には、経営能力はない。どこに行ってもお殿様だから、チヤホヤされる。経費は使い放題、巨額の賄賂をもらっても、預かっただけだと平気で言える厚顔さも、こうした特異な経営者だからこそ。

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【参考】高価なMOX燃料も「総括原価方式」の故に
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 電力会社は,何故わざわざ,高価なMOX燃料◆003◆)を使うのか。「プルトニウムを再利用して減らす」という国の核燃料サイクル政策に協力している(協力させられている)という面はあるが,電力会社自身にも,高価なMOX燃料を使うと,大きなメリットがある。

 それが,総括原価方式。

 すべての費用を「総括原価」とし,さらにその上に一定割合(たとえば3%)の会社利益を上乗せした金額で,電気料金を決めることができる方法。

 常に一定割合(たとえば3%)の利益が保証されているため,無駄な設備投資が増えてしまうこと,コストカットの努力を行いにくくなる欠点がある。

→ 普通の会社は経費をけずって利益を上げるが,電力会社はそうではなくて,経費を増やすことで,利益が増える。

→ 発注が杜撰になり,恣意的な高値発注や水増し発注が起こりやすく,受注者から発注者へのマネー還流が起こる。多額の「安全対策工事費」の一部が高浜町元助役を通じて関電幹部に流れたのもここに問題。

→ コストカットとは無縁でいつも高めに購入してくれる電力会社は,地域の経済界で頼りにされ(チヤホヤされ),大きな顔をしがちになる。「関経連」など地域の経済団体の中枢を占めている。

→ 経済合理性から経営方針を決めたり経営判断をする必要がない(経費を増やすことだけを考えれば良い)ので,経営陣は社内の政治力に秀でる人間のみで占められるようになる。

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1本1億円のウラン燃料を使うよりは
1本9億円のMOX燃料を使う方が
総括原価が高くなるので
 ↓↓↓
会社の利益も(3%とすれば),300万円から,900万円に増える。
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発電規模がほぼ同等の場合,
1基1000億円のガス火力発電所を作るよりは
1基5000億円の原子力発電所を作る方が,
(原発は現在は2倍ほどになっているとされるが)
総括原価が高くなるので
 ↓↓↓
会社の利益も(3%とすれば),30億円から,150億円に増える。
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(総括原価の場合は利益ではなくて事業報酬であり,普通の企業の利益とは異なると説明される(弁解?される)こともあるが,実際には,普通の企業の儲けと同じような内容。)

◆035◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆037◆

◆関西電力 闇歴史◆035◆

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◆関電と元高浜町助役、癒着の闇 (2)
~金品問題発覚後も元助役側から高値で土地を賃借(2021年報道)
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 原発をもつ関西電力と、原発地元の実力者だった高浜町元助役森山栄治氏(19年に死去)との癒着の闇は深い。関西電力の元役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受領する一方で、原発関連工事での便宜を図っていた。その一つとして2021年6月7日朝日新聞に報道された(→こちら)のが、「関電が元助役側から高値で土地を賃借」という問題。

 関電は2016年から、元助役関係会社の所有地を資機材置き場として高値で借りていた。それによって元助役関係会社側が得る収入は相場の2倍超。なお、関電関係者によると、社内で賃料の高さが指摘され、関電はこの賃貸借契約を2021年3月に解除したという。

 金品受領問題を調べた第三者委員会の報告書によると、関電は16年7月、森山氏が経営に関与した土木建築会社「吉田開発」の関係会社であったゴルフ練習場運営会社が所有していた町内の土地13,000 平方mの賃貸借契約を結んだ。賃料は月額120万円だった。この土地の実勢価格は当時、1平方mが約8,000円であったが、関電は20,000円と設定した。このため、関係会社側が土地を貸して得られる年間の賃料収入の利回りは、相場の5%前後を上回る約14%であったという。

 なお、この土地は、町の土地台帳によると、関電は1988年にこの土地を購入し、05年に吉田開発の関係会社に売却されたという。その後、警備会社など森山氏関係会社間で転売された。関電は売った土地を後に高値で借りたことになる。

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関電の原発マネー不正還流を告発する会」の
検察庁、大阪第2検察審査会あて 申入書 補充書4には
土地賃借事案の詳細な解説があります。
(電気料金値上げ時の説明とは異なり、実際には高値発注、高値賃借)

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◆034◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆036◆

◆関西電力 闇歴史◆034◆

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◆関電と元高浜町助役、癒着の闇 (1)
~原発の残土工事で増額分を関電が負担(2021年報道)
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 原発をもつ関西電力と、原発地元の実力者だった高浜町元助役との癒着の闇は深い。その一つとして2021年11月10日朝日新聞に報道されたのが、「原発の残土工事で増額分を関電が負担した」という問題。関電の原発関連工事を受注した「吉田開発」(森山栄治・元町助役が経営に関与)がトラブルを起こして工事費が上がったが、その増額分は関電が自ら負担していた。

 この工事は関電の高浜原発、大飯原発の特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)の敷地造成などで出た残土の処分。この施設は東電福島第一原発事故後にできた新規制基準の下で再稼働に必要となったもので、関電によると残土は2013〜20年、両原発で計約220万m3生じた。

 関電関係者によると、関電はこの残土処分を準大手ゼネコンに発注し、ゼネコンは高浜町の土木建築会社「吉田開発」に下請けに出した。ゼネコンへの発注額は残土2500円/m3。ところが、吉田開発が2014年、残土を町内の山中に投棄していたことが発覚し、近隣住民とトラブルになって搬入をやめた。このトラブルのため、残土は別の場所で処分することになり、処理費が、3400円/m3 に上がった。

 処理費が上がった原因は、受注側が起こしたトラブルであって、こういう場合は新たに生じた費用は受注側が負担するのが一般的という。しかし、関電は自ら増額分を負担することをゼネコン側に申し出たとのこと。このトラブルの後、残土処分は吉田開発を介した形で地元業者が担うことになったが、間にたっただけの「吉田開発」にも取り分が確保されていた。

  • 関電→ゼネコン…当初の処理費は2500円/m3。それがトラブル後、3400円/m3にはね上がった。
  • ゼネコン→吉田開発…3400円/m3。ゼネコンは同額で下請けに出した。
  • 吉田開発→地元業者…2380円/m3。仲介した吉田開発の取り分は1020円/m3。
    (残土は2013〜20年、高浜、大飯両原発で計約220万m3)

 朝日新聞の記事によると、関西電力広報室は残土処分に関して、「個別の契約内容については回答を差し控える」。そして、関電は11日に「重大なコンプライアンス違反ではない」「問題ない」との他人事のような見解を表明している(↓下記参照)。

【m3=立法メートル】
【下図は、朝日新聞より】


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2021年11月11日
関西電力株式会社
残土工事に関する一部報道について(こちら
一部報道機関が、11月10日付の記事で、当社の残土工事について報じていますが、本件に関する当社のスタンスは、以下のとおりです。
<当社スタンス>
○第三者委員会には、金品受取り問題等について客観的かつ徹底的な調査をしていただきました。
○その後は、業務改善計画に基づき、外部の専門家の審査等を通じて、工事の発注や契約等に関する手続きの適切性、透明性の確保に努めております。
○重大なコンプライアンス違反事象が判明した場合には、速やかにお知らせしております。
以 上
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関電の原発マネー不正還流を告発する会」の
検察庁、大阪第2検察審査会あて 申入書 補充書4には
土砂処分事案の詳細な解説があります。
(電気料金値上げ時の説明とは異なり、実際には高値発注、高値賃借)

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