投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆001◆

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◆1973年、関電の美浜原発1号機で核燃料棒の折損が発見されるも、
 4年近く事故の存在を隠ぺいし、その上、発覚後は虚偽の説明か?
 関電の原子炉運転者としての技術的、法的、常識的能力は、あまりにも欠如!
 国の定期検査関与もあまりにも杜撰で、関電と結託して事故を隠ぺい!
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 1973年3月、美浜原発1号機(現在は廃炉)において核燃料棒が折損する事故が発生した。しかしこの事故は当初外部には明らかにされず、関西電力は秘密裏に核燃料集合体を交換しただけであった。

 この事故が明らかになったのは、当時、雑誌『展望』に「原子力戦争」を連載していた田原総一朗さんに宛てて内部告発があったためという。田原さんはこれを「美浜一号炉燃料棒事故の疑惑」として明らかにした。これを受けて、衆議院議員の石野久男さん(日本社会党)が衆議院科学技術振興対策特別委員会などで追及した結果、原子力委員会はこの事故を認めた。しかし、原子力委員会が認めたのは1976年12月7日であり、事故が発生してから4年近く経った後であった。

 内部告発では、この事故は核燃料棒が溶融したものと指摘していたが、原子力委員会の発表ではこれは溶融ではなく「何らかの理由で折損」したものであり、「重大な事故ではない」としている。しかし、田原さんはこの発表に対し「原子力戦争」の追記で、「この発表の内容はもとより発表前後の経過にも、つじつまの合わない点や新たな疑惑が数多く指摘されており」と疑問を投げかけている。

(以上、おもに『原子力戦争』による。講談社文庫、ちくま文庫→こちら
『原子力戦争』


(以下、おもに『決定版 原発大論争!』による。宝島社文庫)

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◆折損事故発生から発覚まで
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 関電の美浜原発1号機では、第2回定期検査中(1973/3/15~)の1973年4月4日、燃料棒2本が合計170cmにわたって折れ落ち、破片が炉内に散らばっていたことが発見された。関電は、この事故に関して何も公表せず、隠ぺいを図った。発覚後は、折損が生じたのは燃料取扱作業中であり、運転中ではなかったとしているが、はたして本当に取扱作業中に折損したかどうか、運転中に破損したのではないか、この点については、その後、強い疑義が出されている。
 
・今中哲二、小出裕章
「美浜原子炉の燃料事故をめぐる問題 (1)」→こちら
「折損が燃料取扱中に生じたという関電の判断は、余程の技術的な無能力か意図的なものを感じさせる」
「定期点検に立会っている筈の検査官は …… 相当な怠け者か急に眼が悪くなったのであろう」
「美浜原子炉の燃料事故をめぐる問題 (2)」→こちら

 この事故の隠ぺいは4年近く続いたが、内部告発もあり、やがて次第に明らかにされることになった。1976年7月に出版された『原子力戦争』というドキュメンタリーの中では、著者の田原総一郎氏は、美浜原発1号機で重大な燃料事故が隠されていることを、「美浜1号炉燃料棒事故の疑惑」として指摘した。事故の存在が公表される前のドキュメンタリーであるにも関わらず、正確な情報源に支えられている。

 国会では1976年8月以来、事故の有無をただす追及があったが、政府は曖昧な答弁に終始し、現地調査も行わなかった。関電も事故があったことを公表しなかった。しかし、事故後4年近く経った1976年12月7日になって、関電はようやく新聞発表で事故の存在を公表した。原子力委員会も初めて事故が起きていたことを認めた。

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◆燃料棒の折損がもらたす危険
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 原子炉においては、燃料棒の健全性はきわめて重要。たとえ、わずかなピンホールでも重視され、原因究明と対策が練られてきた。破損に至っていない場合でも、燃料棒の曲がり、焼きしまりも重視されてきた。
(焼きしまりとは、一定の条件によって燃料ペレットの密度が増す現象。局所的な出力増加がおこり、冷却材喪失事故の際にはペレットの蓄積エネルギーが増加するので、ECCS=非常用炉心冷却装置の性能が低下する)
燃料棒が破損したときには、蓄積していた希ガスなどの核分裂生成物(F.P.)が一度に放出され、放射能レベルが急激に上昇する。原子炉内で発生した希ガスは、炉内にとどまらず、環境に放出される。

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◆その後の経過
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 なお、国会での追及によって事故が公表されるには4か月もかかったが、事故後の国の対応は迅速であった(→前掲「美浜原子炉の燃料事故をめぐる問題 (1)」による)。

「原子力委員会の指示により燃料棒の折損片を茨城県の日本原子力研究所に運び、試験調査を実施することになったが、その移送は事故公表の2週間後には完了していた。現状凍結を求める福井県知事の要請を無視し、発電所前での移送阻止のピケを強行突破して折損片移送が行われたのであった。」

 この問題を国会でおもに追及したのは、日立労組出身の石野久男 衆議院議員(社会党、旧茨城2区)で、1977年2月に質問主意書を出している。石野議員は社会党の反原発政策確立に最も影響力のあった人物とされ、反原発的な主張を繰り返したために、労使協調路線に転じた日立労組からは次第に疎んじられる。1980年の総選挙では、対立候補を立てられ、落選した。

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◆参考サイト
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関西電力(株)美浜原子力発電所第一号炉燃料棒折損事故に関する質問主意書→こちら
1977年2月16日
提出者 石野久男
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衆議院議員石野久男君提出関西電力(株)美浜原子力発電所第一号炉燃料棒折損事故に関する質問に対する答弁書→こちら
1977年3月4日
衆議院議員石野久男君提出関西電力(株)美浜原子力発電所第一号炉燃料棒折損事故に関する質問に対する答弁書
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関西電力(株)美浜発電所第1号機の燃料体の損傷の原因について→こちら
1977年8月
科学技術庁、通商産業省
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関西電力(株)美浜発電所第1号機の折損燃料棒片の回収状況及び同1号機運転再開に当たっての安全性について→こちら
1978年7月
科学技術庁、通商産業省
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【関西電力 闇歴史 →→ ◆002◆

◆9/9 第30回口頭弁論のお知らせ

・すべての原発を止める第一歩として大飯原発3、4号機の運転差止を求める私たちの裁判は、9月9日に、30回目の期日となります。
・コロナウイルスの感染拡大のため、原告席は大幅に、傍聴席は半数程度に削減されています。
・しかし、可能な範囲で多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

◆弁護団の準備書面
・国家賠償法上の違法性について…大河原 壽貴 弁護士。
・地震について関電の主張に対する反論…谷 文彰 弁護士。
・避難計画、受け入れ側の対応困難性について…渡辺 輝人 弁護士。原発事故で避難が必要になった場合、原発に近い舞鶴市民の避難先は、風向きによっては京都市(ほか宇治市、城陽市、向日市)となります。京都市が65,000人の舞鶴市民を受け入れることができるでしょうか。

◆原告の意見陳述
・京都市の吉永剛志さん(使い捨て時代を考える会)。有機農業の生産者にとって原発とは、大飯原発で事故が起こった場合の避難の困難性。

◆タイムテーブル
・12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の前に集合中止です。
・12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃までデモは中止です。
・13:25…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
・13:40…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了
 直ちに抽選→傍聴券の配布
 抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は
 14:30までに「弁護士会館」の模擬法廷へどうぞ
・14:30…開廷、弁論開始。同時刻に模擬法廷も開始
・15:45頃から…閉廷後、「弁護士会館」で報告集会。30~60分程度

・ML登録をされている原告には、メール配信いたします。
・郵送を希望され登録済みの原告には、郵便でご連絡します。
・以下の画像のPDFファイルは、こちら[203 KB]。ファイル名は「2021-09-09.pdf」

 

 

 

◆7月28日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者など3名。
使い捨て時代を考える会;4名。

事前に提出した以下の質問書にそって話し合いました。

質問書
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1.6月23日に貴社は運転開始から44年が経過した老朽原発である美浜原発3号機を再稼働させました。福島原発事故で原発の見直しが言われ、国民の多くが原発に反対している中での老朽原発再稼働です。40年を超えていない原発でも安全性に問題があるというのに、老朽原発の再稼働は常軌を逸しているとしか思えません。福島原発事故後では老朽原発再稼働は美浜3号機が初めてですが、既成事実を積み上げて次々老朽原発を再稼働させていくのではないかと危惧します。特定重大事故等対処施設(テロ対策施設)ができていないので10月に停止するそうですが、短期間の稼働で無駄な経費をかけてまで再稼働する理由はどこにあるのでしょうか。現在原発による発電は日本全体で3%程度と言われています。原発がなくても十分やっていけるという証拠です。それにもかかわらず老朽原発を動かす理由はどこにあるのでしょうか。老朽原発再稼働を進める最大の理由をお聞かせください。莫大な安全対策費がかかっていますが再稼働にはどのぐらいの経費がかかりましたか。採算は取れますか。取れるとしたらその根拠をお聞かせください。美浜3号機に引き続き運転開始40年越えの老朽原発高浜原発1号機・2号機の再稼働も進めるつもりですか。直ちに美浜3号機の運転をやめ、他のすべての老朽原発の再稼働を断念してください。

2.福島第一原発事故から10年が経ちました。いまだに溶け落ちた炉心には近寄ることもできず、汚染水はたまり続け、廃炉作業も全く進んでいません。故郷を奪われた人々も、汚染地域に残らざるを得なかった人々も、大きな苦しみを抱えています。漁民の大反対を押し切っての汚染水の海洋放出の決定、廃炉作業による原発労働者の被ばく、限りなく続く放射能汚染、このような現実をどうお考えですか。福島原発で私たちは原発事故の悲惨さを体験し、すぐにすべての原発を止めて安全なエネルギーに変えていくことが最善ということを知りました。これは常識だと思いますが、事故の危険・甚大な被害を見て見ぬふりをして原発に依存する理由が理解できません。原発を推進する理由は何ですか?

3.大飯原発3・4号機について昨年12月4日に原子力規制委員会の設置許可を取り消すという大阪地裁判決にもかかわらず、貴社は大飯原発3・4号機を稼働させています。安全第一という貴社の主張は虚偽なのでしょうか。地震動については見解が分かれているとして、貴社は判決を無視し、大飯原発を動かし続けています。判断が異なったとしても、控訴審が決着するまでは稼働させるべきではないと考えます。それが法治性であり、安全性に対する真摯な姿勢ではないでしょうか。巨大地震が起きたら、東電と同じように判断先送りで過酷重大事故につながりかねません。ただちに大飯原発を停止するべきです。司法判断に対する貴社の見解をお聞かせ下さい。

4.金品受領、役員報酬補填問題についてはどこまで明らかになり、今後の再発防止ができているのでしょうか。金品受領のような汚れたお金で原発再稼働を進めていることは、安全第一ではありません。すべての事実関係が明らかになるまで原発を動かすべきでないと考えます。貴社の見解をお聞かせください。このような事件が起きたのも、過疎地に危険な設備を押し付けるためにお金をばらまいている結果ではないでしょうか。なぜそのようなことをしてまで原発に固執するのでしょうか。

5.新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。新型コロナウイルスの脅威にさらされている状況においては、すべての原発を停止させるべきだと考えます。コロナ禍が起きている中で、国は原発事故の際の避難所では換気しないという指針を出しました。放射能汚染を防ぐために、コロナ感染防止をしないということです。コロナ禍に対応できる避難計画はできていますか。

6.使用済み核燃料の処理についての見通しを述べてください。また2018年度中に決めるとなっていた中間処理施設の見通しは立っていますか。2023年末までに候補地を決められなければ、その時は老朽原発3基が動いていても止める、としていますが、現在、どのような段階にあるのでしょうか。使用済み核燃料の処理についての計画ができていない中で、原発を稼働させ、使用済み核燃料を増やし続けることに疑問はないのですか。子々孫々にわたって負の遺産を押し付けることをどう思いますか。

7.昨年貴社は送配電部門を独立させ別会社にしました。しかし、実質は100%子会社で独立したものではありません。送配電を分離することで再生可能エネルギーが参入しやすくなるというはずでしたが、依然として大電力会社が有利な仕組みです。これでは再エネは進みません。このような仕組みについて貴社はどのように考えられますか。再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。コロナ禍のことも考えると、これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。貴社としてもいますぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。

8.高浜原発で露見した汚職などで貴社に対する社会的信用は失墜し、貴社からの契約離脱は今年5月末で430万件を超えたと言われています。その状況下で電力販売量は落ちているにもかかわらず黒字決算となっているようですが、その収益の根拠は何ですか。発電部門ごとの発電量と部門支出を、福島原発事故前と事故後について年次ごとにお教えください。福島事故後、原発部門は会社にどの程度の貢献をしているのか教えてください。廃炉や使用済み燃料の後始末など技術的未解決課題が積み残されており、将来巨額の出費となるのではないでしょうか。また貴社は日本原電に電気料金として、最近も毎年ほぼ190億円を支払っておられますが、購入電力はゼロです。原発推進によって経営破綻の危険はないでのしょうか。

以 上

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話し合い内容
Q(こちら側の発言)、A(関電の発言)
—–(質問1について)—–
A  関西電力のスタンスは日本は資源に乏しいということと、S+3Eのエネルギー政策に則っている。安全性を常に最優先させている。(と準備したメモをとうとうと読み上げていく。この間反論することを制止される)

Q 本当にそうか。そう思っているのか。

A 関電として答えさせてもらっている。会社のスタンスとして話している。

Q 広報課ですよね。これまで(の面談)はていねいに答えてもらったが、今回は(私たちの言うことを)ちゃんと聞いていないように思える。こちらの発言がさえぎられる。

Q 朝日新聞の今日の朝刊に載っていた福井県原子力安全専門委員会の委員の発言を読んだか。

A そのことは質問書に書いていない。

Q 60年運転しても問題ないと関電から聞いたとしか言ってない。本当に大丈夫なのか。ますます不安になる。

Q 委員が「関電から問題ないと聞いた」としか言っていない。いろいろな形で危険性が指摘されているのに、40年超え運転の実績を作りたいのではないか。

Q 関電の誠実さが問われる。役員の不祥事を社員の皆さんは納得しているのか。

Q とにかく40年越えの原発はすぐに止めてほしい。テストピースを取り出して調べたと言っているが、テストピースをいくつ取り出したのか、どんな検査をしているのか。

A 質問に書いて出してもらいたい。質問2に移りたい。

—–(質問2について)—–
A より高い安全性を確保してきた。

Q 福島事故が終わっていないのになぜ老朽原発まで動かすのか。

—–(質問3について)—–
行政訴訟で国が相手。国は控訴している。関電としても決定を覆すように全力を尽くす。

—–(質問4について)—–
A 電気事業法に基づいて社内での見直しをしている。信頼回復に努力している。

Q 本当にそういうことをしていると社内で一致しているのか。今朝の新聞でも不祥事が報道されていた。税の申告漏れという今朝の報道について説明してもらいたい。

A 国税局から税務調査で指摘された。正しく納税されていると思っていたが指摘された。

Q 役員の皆さんはそう考えているのか。こういうことが続くと経営幹部は不信感を植え付けている。一般市民はこれだから事故が起きると思っている。

Q 昨年の株主総会に出た。今年は出ていないが、出た人が紋切型で耳を傾けようとしていないと言っていた。森本社長には経営について不信感がある。

A 本社に伝える。

Q 今朝の新聞を読んでびっくりした。不正マネー還流問題からもう2年たっている。今になって指摘されないと修正できないのか。このようなことがまかり通るとは消費者をバカにしているとしか思えない。

Q 納税に関しては改善計画の是正というのはないのか。

A 確認する。

Q 「悪質な所得隠し」と報道されていた。適切にしていたという今の答えと矛盾している。

Q 是正されなかったのか。1億9000万円もの所得隠しというのは大きな額だ。

A 今、会社としてのスタンスは答えられない。正しいことを答えないといけないので。

Q 悪質と言われている。

A なにをして「悪質」としているかわからない。

Q 不信を持っているのはわかりますよね。

A ……

Q このような体質をどう超えようとしているのか。

Q どう信頼していいのかわからない。この経営で原発は大丈夫なのか。公益事業として社会のために仕事をしているという誇りは失われているのか。関電の基本姿勢が問われている。いくら説明されても悲しい。

Q 今日この脱税の問題が出てきた。この中で原発を動かすのは問題だ。国税庁をたぶらかす、ごまかす、とは沙汰の限りだ。

Q  1億9000万円もだ。社内としてほったらかしてエネルギー云々は残念だ。

—–(質問5について)—–
A 避難訓練は進捗している。地域防災計画は国が求めて自治体が行っている。それを踏まえて福井県で昨年高浜・大飯同時事故の訓練を行った。2020年11月にコロナを踏まえた防災訓練をした。防災業務計画を作っている。

Q コロナが流行している今、対応できるのか。

A 課題を見つけてやっていく。

Q 課題を見つけるなどと言っている場合ではない。自治体は対応できないと言っている。関電には対応する姿勢が見えない。事故が起きたらどうしようもないとわかっているのにちゃんと見ていない。老朽原発まで動かしている。きちんと議論がしたい。

Q コロナ禍で避難所が2倍必要だということを知っているか。これは福井県の見解を国が支持したのだが知っているか。

A 知らない。

Q 京都府は避難所が全く足りないと言っている。コロナ禍では避難ができないで感染してしまう。いったいどうするのか。コロナ禍では避難ができないということだ。原発は止めるべきだ。老朽原発再稼働なんてありえない話だ。

A 上に伝える。また質問書に書いてきて。

Q 知らないというのはおかしい。

Q 避難所でコロナが蔓延する。一層不信感が募る。老朽原発再稼働で私は断食して抗議するつもりだったが、周りから止められて断念した。命をかけて止めたいと思っていた。福島原発事故で何人死んでいるのかと思ったから、自分としても命をかけるつもりだった。

Q 関電の上の人に対して忖度があるのか。せめて若い社員から真実の声を聴きたい。コロナ禍は偶然の出来事かもしれないが、これを機に原発を見直してもらいたい。

Q コロナ拡大から1年、国の指針から1年たつというのにそのことが共有されていない。

Q なぜ避難所のことを知らないのか。それなしに稼働させるのはおかしい。

—–(質問6について)—–
A 昨年10月に地層処分候補地としてとして神恵内村と寿都町が調査の受け入れを表明した。発生者として責任ある立場から処分事業に取り組んでいく。

Q 小泉純一郎氏が脱原発に転じたのはなぜか知っているか。

A オンカロでしょ。

Q 放射性物質がなくなるには何千年も何万年もかかる。それを知ったうえで動かして良いというのは倫理的に問われる。なぜ良いと考えるのか。本質的問題にきちんと答えてほしい。私が科学者であるのをやめたのはそういう理由があったからだ。どこでどのように管理するのか見通しがない。嘘つきの会社に危険なことを任せている。

Q 処分場の適地は世界のどこにもないと言われている。他国では原発をやめようとしているのになぜ進めるのか。

Q オンカロもダメ。どうして関電は再稼働させているのか。経営陣は欲ボケではないか。

—–(質問7について)—–
A 送配電事業者として再エネに最大限努力している。設備投資は2025年までに3400億円。2030年までに600万kWを目標にしている。

Q 去年は再エネにどのぐらい資金を導入したのか。ほとんどゼロにちかいではないか。前にも指摘したが重要と思うことはきちんと調べてほしい。再エネ担当が1~3人だ。言葉の真実性、誠実性が問われる。

A マスクをきちんとしてください。(と注意)

Q そのこと注意するなら、コロナが広がっているときに老朽原発を動かさないでもらいたい。マスクの指摘も大事だが。

Q 再エネが普及するとなると送配電の役割は大きい。できることがいくつかある。

A 日本版コネクト&マネージとして、送配電のルールを変えていかないといけないので、関電も加わって国で議論している。空いたところの利用の仕組みを進めている。

Q もともと系統的に流すことができる再エネの量は少ないし、なかなか広がらない。原発がそれを阻害している。関電の投資も多いのは原発だ。再エネは非常に少ない。今の経営姿勢が見えている。再エネが大事だということは今は誰もが認めている。

A サプライサイドのゼロカーボン化に努める。 再エネ投資の内訳は公表していない。水力発電では国内外の水力開発を行う。デマンドサイドのゼロカーボン化もあり、ガスを使っているところを電化する。

Q 再エネ増やすというが、巨大なメガ風力は期待していない。

Q 関西電力送配電(株)は再エネを優先して配分することをやってほしい。再エネ施設をたくさん作ることではない。個別家庭などが作る再エネを有効に集めて配分できるようにして、原発をはじめとした大規模発電部門ではなく、送配電部門が中心になって生かしてほしい。

A 仕組みとしてもしっかりやっていく。

Q ぜひ仕組みをしっかり作ってほしい。

Q 具体的に仕組み作りがわかったら教えてほしい。

Q 送配電が分離されていなくて冬に問題が起きた。原発をやっているからモタモタしている。発電会社に引きずられて送配電部門が危ない。

—–(質問8について)—–
Q 石炭火力はどうするのか。

A ゼロカーボンビジョン(2025)で、新規開発はない。今あるのは舞鶴だけ。国が法律で制限している。

Q 日本原電に購買電気がゼロなのに毎年190億円もなぜ払っているのか。

A 基本料金と使用料金のようなもので、基本料金だ。

Q 190億円が基本料金か。

A そうだ。

Q 原電の電気を使っていないのに払っているのか。根拠を知りたい。

Q 公聴会でどうして値上げができるのか質問したが、明快に説明してもらいたい。

Q 家庭では電気を使わないと基本料金払わない。

A もう時間ですから。

—–(全体の印象)—–
 質問書に対する答えをきちんと準備してひたすらそれに従って答えようとしていました。途中でこちらが突っ込みを入れ、話がそれると「それは質問にして出してください」というようにはぐらかす。でもこちらはかまわず次々言うので、最後はあきらめモードでした。ただ質問が送配電部門に及んだときはすごく生き生きと答えてくれました。話し合いの相手は送配電部門の所属です。関西電力株式会社の原発のことなのに、面談には分社化して別会社となった関西電力送配電株式会社の広報が出てくるというのもおかしな話です。しかし、取りあえず私たちの質問に対応してもらっていることは、良しとしなければならないと思います。

 なお、送配電の「コネクト&マネージ」とは、電力系統のうち、ローカル(地内)系統制約への対応方法で、現在の日本で導入している「先着優先」(原発を優先して系統の空き容量がある範囲内で先着順に受け入れる制度)ではなく、混雑時の出力抑制など、一定の条件下で再エネにも広く接続を認める仕組みのこと。

◆7/3、第9回原告団総会の報告

◆京都脱原発原告団は,「原発の再稼働を許さず,すべての原発を廃炉に」と、7月3日(土)ハートピア京都(京都市中京区)と、オンラインZoomとで、第9回原告団総会を開きました。

◆総会案内のクロネコメール便…発送数は 2,766通。不達戻りについては、今後、メールや郵便で、住所変更の問い合わせをします。

◆当日の参加者数は、会場参加40名、Zoom参加35名。今回は、コロナ下でもあり、原告以外に積極的な宣伝をしてこなかったので、数は少なくなりました。ただ、7/3総会当日は、関電が大飯原発3号機の運転を再開することになり(一次系スプレー配管の損傷で昨年から配管取り替え工事をしていた)、京都からの抗議行動参加者は早朝よりマイクロバスでおおい町に出かけたりしていますので、その影響もあったと思われます。

◆Zoom参加者の数は注目できる水準でした。設定上で不案内な点が多々ありましたが、世話人のかたや原告らに全面的に支援してもらい、うまくいきました。今回の総会は、今後の総会運営(Zoom併用での開催)の糧になると思われます。

◆総会の記念講演は、避難問題にテーマにした内容で、3月の水戸地裁判決との関係でとくに時宜にかなったものでした。講師の池田豊かさんは、現地を地道に調査して避難の困難性、自治体行政のあり方を問題視されてきました。そうした問題意識がよく理解できる内容でした。

◆会場でのカンパ集約は、3万円ほどでした。オンライン参加の方からもカンパを出してもらえる方法があると良いのですが(^ ^;;

◆受付配付資料、講演(池田豊さん)の講演資料は、原告団Webサイトからダウンロードできます→ こちら

◆汚染水海洋放出反対の決議文は、(1)内閣総理大臣 菅義偉 様、(2)経済産業大臣 梶山弘志 様、(3)環境大臣 小泉進次郎 様、(4)東京電力ホールディングス株式会社 代表執行役社長 小早川智明 様あてに送付済み。

◆なお、原告の方が、オーストラリアの知人に決議文を送られたとのことで、以下の返信メールが来たという報告がありました。
*****
福島原子力発電所に関する最新情報をありがとうございます。
この情報を、賛同してくれそうな多くの人に伝え、決議文のコピーをメールで回覧しました。この訴訟の原告団総会の決議文を翻訳したものは、重要な問題点を明確にしていますね。
*****

◆講師の池田豊さんより
・講演の機会をいただき、大変感謝しております。
・現在全国の立地・周辺自治体にある自治体問題研究所に呼びかけて、避難計画に関する自治体調査を実施する計画を進めております。何とか年内にはまとめられるようにしたいと考えております。その時はご連絡させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

◆感想、意見など
・行きたかったのですが、高齢の母の中距離介護もしているのでZoom参加にさせていただきました。たいへん学ぶことの多い総会でした。
・私も母の介護で世話人として何もできず、申し訳ありません。避難について、大変勉強になりました。今回のZoom、会場に行けない場合、便利でとても良かったと思います。Zoomについては、感じ方に個人差があるようですが、私は全然違和感なくエンジョイしてます。その場にいるような臨場感があります。
・日頃のご尽力に感謝し敬意を表します。昨日の総会にZoomで参加しました。記念講演は、行政現場の視点からの説得力のある内容で、たくさんのことを学ばせていただきました。一緒に聴視した家族の参加申込書を添付します。


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◆原発のコストについて

[1] 資源エネルギー庁「第7回発電コスト検証ワーキンググループ」の資料

・2021/7/5(月)原子力市民委員会(CCNE)連続オンライン企画「原発ゼロ社会への道」第9回 原発のコスト、大島堅一先生
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政府(資源エネルギー庁)の発電コストの計算では、どのような想定がされているか。
・再エネに関しては、価格低下が見込める根拠があるにもかかわらず、「保守的」に計算する、つまり、高めの想定が用いられている。
・他方で、原子力については、価格低下が見込める根拠が具体的に示されないにもかかわらず、「野心的」に計算する、つまり、安めの想定が⽤いられている。
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原発の発電コストを小さく見せるために政府が使っている手口
(1)建設費について、規制が強化されたことや建設期間が長引いて、コストが急上昇しているとみるべきなのに、相変わらず以前と同じ想定にしている。
(2)追加的安全対策費を少なく見積もる。
(3)事故費用を少なく⾒積もる。
(4)事故費用単価の計算⽅法…原発事故費用単価を引き下げる方向でしか検討していない。
(5)原発の設備利用率を高く想定している。⽇本の原発の設備利⽤率の平均:55.67%
(6)原発の稼働年数。60年稼働が認可されたからといって、60年の稼働が保証されたわけではない。よって、保守的に40年で計算すべき。
(7)運転維持費。実際の設備利用率で割り戻して計算すべき。
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・7/12(月)資源エネルギー庁「第7回発電コスト検証ワーキンググループ」の配付資料、2030年の電源別発電コスト試算で、原発の発電コストは上昇、太陽光などより高くなり、 コストの優位性が揺らぐことになった
・原子力…11円台後半~(円/kWh)
・太陽光(事業用)…8円台後半~11円台後半
・太陽光(住宅)…9円台後半~14円台前半

[2]「オルタナ」サステナブル ビジネス マガジンより

「原発コスト、廃炉含むと天文学的な数字に」https://www.alterna.co.jp/39325/

『原発のコスト』(岩波書店、2011年)などの著者である龍谷大学政策学部の大島堅一教授は今回の試算について、「明らかに入れていないコストがある」と指摘する。
主に入っていないコストは3つだ。

(1)一つ目は、「賠償費用」だ。試算では、賠償費用は7.9兆円で計上しているが、大島教授は「賠償格差を埋めるための地方交付金が数千億円ある。その原資は我々の税金だ」と話す。見えない「国民負担」もコストに入れるべきと主張する。

(2)二つ目が、「再処理費用」だ。六ケ所再処理工場などの大型施設にかかる費用が入っていないと言う。

(3)最後が、最も大きいコストと強調する、「廃炉費用」だ。試算では、「事故廃炉費用」という名目で8兆円を計上しているが、燃料デブリ取り出し以降に生じる廃棄物処理費用は「推計不能」として含んでいない。

大島教授は「大型の原子力発電所を1基廃炉にすると、すさまじい量の放射性廃棄物が出る。廃炉費用を計算すると天文学的な数字になる。原発が経済的かどうかなど議論している場合ではない。将来世代にこの甚大な費用を押し付けていることも自覚していない」と語る。
日本原子力学会は20年7月、廃棄物検討分科会の中間報告を発表した。大島教授は、「分科会が発表したデータによれば、大型施設を1基廃炉にすると、最低でも重量ベースで1000倍以上の放射性廃棄物が出る」とし、この処理費用を含むと「10~20円高くなるという次元ではない」と語気を強める。

◆非化石価値取引市場、抜本的な制度変更

【メモ】非化石価値取引市場の抜本的な制度変更(2021年7月)

 2021年3月26日に開催された第48回電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会にて、資源エネルギー庁より提示された。提示された制度変更案では、現行の非化石価値取引市場を、再エネ価値取引市場(仮称)と高度化法義務達成市場(仮称)の2市場に分離する。FIT非化石証書を取り扱う再エネ価値取引市場では、大口需要家の市場参加を認めることに。非FIT非化石証書は、再エネ指定のあるもの(大型水力、卒FIT)と、ないもの(原発)に分かれる。

 資源エネルギー庁の資料
  
非化石価値取引市場について~~とっても分かりにくい(>_<)

(1) FIT非化石証書(再エネ指定あり)…FIT電源(Ex. 太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱)。再エネ価値取引市場。発電事業者から小売電気事業者への電気の流れが明示される(トラッキング=経路情報明示を導入)。RE100にはトラッキングが必須。RE100をめざす大口需要家が市場に参加できることに。RE100とは、使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にする事に取り組んでいる企業が加盟している国際的なイニシアティブ。

(2) 非FIT非化石証書(再エネ指定あり)…非FIT再エネ電源(Ex.大型水力、卒FIT等)。高度化法義務達成市場(エネルギー供給構造高度化法は2009年に制定。高度化法とは、年間販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者(98%)に対して、自ら供給する電気の非化石電源比率を2030年度に44%以上にすることを求めている。ここもトラッキングを導入か。

(3) 非FIT非化石証書(再エネ指定なし)…非FIT非化石電源(Ex.原子力等)。高度化法義務達成市場。原発はトラッキングなしで、十分だろう–どこの原発で作った電気か、なんてことは誰も興味がないだろうし。原発の電気であることを証明する証書を持っていて、何の役に立つのだろうか。意味不明(>_<)
…関電の下請け仕事を「特命受注」するには、この証書を一定以上持っていることが資格条件とか (^ ^;;、これは考えられるね(^o^)

◆7/3、おおい町で関電に申し入れ書を提出

関西電力株式会社
 取締役会長 榊原定征 様
 取締役社長 森本 孝 様
 原子力事業本部長 松村孝夫 様
 大飯発電所長 決得恭弘 様

申し入れ書

 福島原発事故から10年経ちましたが、避難者の多くが故郷を奪われたままです。事故炉の内部は未だに掌握できず、事故終息は見えず、トリチウムなどの放射性物質を含む大量の汚染水が太平洋にたれ流されようとしています。原発は、事故確率の高さ、事故被害の深刻さ、事故処理の困難さなど、現在科学で制御できる装置でないことを、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 それでも、貴関西電力(関電と略)は、昨年7月20日より定期点検入りし、加圧器スプレイライン配菅の損傷のために運転停止が長期化していた大飯原発3号機を再稼働させようとしています。

 しかし、以下【1】~【6】のような状況にある現在、原発の稼働は理不尽この上なく、許されるものではありません。

【1】関電の原発に関連して、蒸気発生器配管の減肉、亀裂を始めとする各種のトラブルが頻発しています。例えば、昨年だけでも、高浜3号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷、大飯3号機加圧器スプレイライン配管で亀裂、高浜4号機の蒸気発生器伝熱管で減肉・損傷が発見され、高浜4号機でケーブル火災が発生しています。この事実は、原発はトラブルを多発させる装置であることを物語っています。中でも、高温・高圧の1次冷却水が流れる配管の損傷は、原子炉空焚きの引き金となりかねず、深刻ですが、損傷を避ける抜本的な対策はありません。

【2】関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を、2018年内に福井県外で探すと明言していましたが、この約束を反古にし、中間貯蔵候補地提示期限を2020年内と再約束して、大飯原発3、4号機再稼働への西川前福井県知事の同意をとり付けました。しかし、関電は、この約束もまた反故にして、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続したのみならず、本年2月、期限を2023年末へとさらに先送りして、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機再稼働への杉本福井県知事の同意を取り付け、6月23日、美浜3号機を再稼働させました。なお、期限の先送りは、むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性を拠り所にしたものと考えられますが、宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発しています。この間の約束不履行は、関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業であることを裏付けています。

【3】去る12月4日、大阪地裁・森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長は、大飯原発3、4号機の設置許可の取り消しを命じました。原子力規制委員会は、原発敷地で起こり得る地震規模の推定について、経験式で得られる規模は平均値であり、バラツキを考慮すればさらに大きな地震が発生する可能性があるから「バラツキを考慮せよ」と規定しています。しかし、この規定にも拘らず、規制委員会は、原発運転の認可にあたっては平均値を採用し、平均値に見合った耐震性で可としています。大阪地裁は、これが過小評価であるとしたのです。このバラツキに関する議論は、いやしくも科学・技術に携わる者なら、誰しも納得できるものです。関電は、基準地震動の再評価を行い、それに見合った耐震対策を施すべきです。

【4】大飯原発から100 km 圏内には、約76万人が住む福井県のみならず、257万人が住む京都府、141万人が住む滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県の多くの部分が含まれます。大飯原発で重大事故が起これば、原発周辺の住民のみならず、何100万人もの人々が避難対象になりかねません。避難は不可能です。重大事故では、琵琶湖が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。若狭湾が汚染され、観光や漁業が壊滅します。

【5】1昨年来の原発マネーに係わる不祥事の調査は,未だに納得できるものではなく、関電が企業体質を抜本的に改善したとするにはほど遠い状態にあります。例えば、去る2月、関電は「競争入札を経ない発注(特命発注)などにより地元企業の活用に努める」として、美浜町長の美浜3号機再稼働への同意を取り付けました。公共性が高く、税金に準じる性質を持つ電気料金で運営される電力会社が、特命発注の乱発など許されるはずがありません。これは、関電の経営体質は、原発マネー不祥事後に行った「人事刷新」によっても全く変わっていないことを物語るものです。

【6】関電は、昨年来、美浜3号機および高浜1、2号機を再稼働させるとして、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫りました。にも拘らず、福井県知事が4月28日に同意を表明した直後の30日に、高浜2号機の安全対策工事が遅れ、当面の再稼動が不可能になったと発表し、5月12日に、特重施設が設置期限までに完成しない高浜1号機の当面の再稼働も断念したと発表しています。一方、特重施設の完成が設置期限・10月25日に間に合わず、僅か3ヶ月しか営業運転できない美浜3号機を無理矢理再稼働させる暴挙を行いました。このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れる、傲慢極まりない企業と言わざるを得ません。こんな企業が、人々の安全・安心を最優先して原発を運転するとは考えられません。

 以上の視点に立って、「老朽原発うごかすな!実行委員会」および「7.3申し入れ・抗議行動参加者一同」は、貴関西電力に、以下を申し入れます。

  1. 原発は、事故確率が多い装置であることは、福島原発事故および福島原発事故以降に多発したトラブルが教えています。危険で、一端重大事故を起こせば、人の命と尊厳(人格権)を奪い去る大飯原発の稼働を即時断念してください。
  2. 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。全ての原発を即時停止し、安全な廃炉を進めてください。
  3. 使用済み核燃料の安全な処理・保管法を早急に提示してください。また、使用済み核燃料の安全な保管地を早急に示してください。
  4. 関電の原発が重大事故を起こせば、その被害は若狭をはるかに超えて関西や中部にもおよぶ可能性があります。原発を稼働させようとするのなら、広範な周辺自治体の意見にも十分耳を傾け、同意を得てください。
  5. 関電の原発で最近起こったトラブル、事故、原発マネー不祥事の原因は解明され尽くされているとは言えません。原因が十分解明され、対策が施された後に、原発稼働の是非を1から再議論してください。

 なお、貴社が、私たちの再三の危険性指摘を無視して原発を稼働して、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。
2021年7月3日

老朽原発うごかすな!実行委員会
7.3申し入れ・抗議行動参加者一同
(連絡先;木原:090-1965-7102)

◆報告とお礼~7.3「大飯原発3号機再稼働糾弾・抗議」おおい町緊急行動に60人超

【2021年7月9日,京都キンカンで配付】

報告とお礼
7.3「大飯原発3号機再稼働糾弾・抗議」
おおい町緊急行動に60人超

 関電は、昨年7 月20 日から定期点検で運転を停止していた大飯原発3 号機を7 月3 日に再稼働させました。関電は当初、昨年10 月の運転再開を画策していましたが、8月の超音波試験で、原子炉圧力容器と蒸気発生器を繋ぐ配管(加圧器スプレイライン管)などに損傷が見つかったため、運転停止が長期化していました。加圧器スプレイライン管は、高温高圧(320℃、157 気圧)の1 次冷却水が流れる直径11 cm の配管です。破断すれば、一挙に1 次冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになる深刻な事故に至ります。なお、関電の原発(加圧水型)では、加圧器スプレイライン管だけでなく、高温高圧水が流れる蒸気発生器伝熱管の損傷、減肉もたびたび発覚しています。

 ところで、昨年12月4日、大阪地裁・森鍵一(もりかぎ・はじめ)裁判長は、大飯原発の設置許可取消の判決を出しました。「規制委員会の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」として、大飯原発3、4号機の原発設置許可を取り消したのです。この判決は、規制委員会審査のいい加減さを端的に指摘しています。また、大飯原発のみならず、全ての原発が、過小評価された地震動を基に耐震設計されていることを暗示しています。

  • 配管損傷などのトラブル続きで、耐震性も全く不十分な大飯原発再稼働を、許してはなりません!
  • 原発を動かせば、処分法も保管地もない使用済み核燃料が溜ります。
  • 大飯原発から100 kmの圏内には、福井県、京都府、滋賀県の全域、大阪府、兵庫県、奈良県、岐阜県、愛知県の多くの部分が含まれます。大飯原発で重大事故が起これば、何100万人もの人々が長期にわたる避難を強いられます。重大事故では、琵琶湖が汚染され、関西1400万人以上の飲用水が奪われます。

7月3日、おおい町に結集した60人超が、
大飯3号機の再稼働を糾弾し、
抗議する緊急行動に起ちました。

 同日13時、おおい町大島「おおい町はまかぜ交流センターしーまいる」付近の公園に集合した参加者は、大飯原発ゲート前までデモ行進し、原発ゲート前で15時まで抗議集会および申入れの後、「塩浜海水浴場駐車場」までデモ行進し、断固とした関電への抗議の声を上げ、おおい町の皆さんに原発全廃を訴えました。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

 なお、7月2日、6月23日に再稼動した美浜3号機では、事故時に蒸気発生器に給水するポンプ(タービン動補助給水ポンプ)に大きな圧力がかかるトラブルが発生しています。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。これが事実であれば、配管の中には多量の鉄さびが懸濁していることになり、この懸濁物が、配管の減肉やフィルターの目詰まりの原因になり、今後もトラブルを引き起こしかねないことになります。何よりも、老朽原発をは全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と規制委のいい加減さを糾弾しなければなりません。

点検も審査もいい加減な関電や規制委に
原発を安全に動かせるはずがありません。

老朽原発うごかすな!実行委員会 連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2021 年7 月4 日中日新聞朝刊

▼2021 年7 月4 日中日新聞朝刊

▼2021 年7 月4 日福井新聞朝刊






 

 

 

 

 

 

 


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◆2020年度冬の電力高騰の原因は、関電の原発依存にある

【グリーンピープルズパワー】

◆2020年の末から今年にかけて発生した市場価格の異常な高騰について、グリーンピープルズパワー(再生可能エネルギー100%電気の目指す電力会社)によるパブコメでは、原発問題を明確に捉えて関電の責任を指摘している(5/24)。
→ https://www.greenpeople.co.jp/information/4490/
以下、その原発関連部分をピックアップ。(とくに★の部分)

◆8、隠されている原発問題
・売入札を減らした原因は原発であることを認めるべき。
・「中間取りまとめ」はLNG在庫減少の原因を、天然ガス産地の減産やLNG輸送上のトラブル、そして厳しい寒気としている。しかし、「中間取りまとめ」が触れていないLNG在庫減少の原因があった。高浜原発3号機と大飯原発3号機の運転停止延長だ。12月には、この2機の原発は運転中のはずだった。
・大飯原発3号機は9月26日運転開始予定だったが、配管亀裂が見つかり延期、再開見通しは立たなくなった。高浜3号機は12月22日に運転開始予定だったが蒸気発生器細管トラブルで延期。代替の天然ガス燃料調達には2、3ヶ月を要するが、停止延長発表が10月後半で間に合わない。12月の発電計画から205万kWの電源が消えた。
・12月中旬から電力市場への売入札を絞りはじめた原因はここにある。普段なら「だから原発は必要」と騒ぐところ、今回「中間取りまとめ」もあえて無視している。
★1基100万kWの巨大発電所は、急に停止すると需給計画に与える影響が大きい。稼働40年を超える老朽設備は、それだけで多くのトラブルを抱えている。最近は裁判で運転停止を命じられることも増えてきた。おそらく最も信頼性の低い電源が原発だ。原発は需給調整のお荷物だということが明白になってきた。そのことを見事に証明したのが、今回の市場価格高騰と言えるだろう。需給計画を原子力に依存し続けることは危険である。

【はとぽっぽ通信】

◆僕が『はとぽっぽ通信』にまとめた記事(4/28)「大手電力の大儲けと 新電力の苦境~~ 電力価格の高騰と関西電力、原発ゼロ法についてのメモ」では
(http://be-off.way-nifty.com/beoff/2021/04/post-671dd4.html)
┌─────────────────────────────────
山家公雄(やまか・きみお)京都大特任教授(エネルギー戦略研究所所長)は、大きな発電設備をもっている関電が、原発に頼りきり、備えをおこたり、供給を調整できなかったことを示唆しています(毎日新聞2021/2/23)。
└─────────────────────────────────
とか
┌─────────────────────────────────
この冬の電力価格高騰の状況でも、原発に頼りきり、備えをおこたり、供給を調整できなかった関電の劣化した姿をみることができます。その上、12月後半~1月前半、自社発電分を全量、自社小売に回し、卸電力取引所(JEPX)への供給をゼロにし、スポット市場で大手電力に課された事実上のルールを無視!
└─────────────────────────────────
という指摘はしてきた。

【原子力資料情報室】

◆その後、原子力資料情報室の調査レポート「原発の定期点検長期化が卸電力市場価格高騰の原因か ―巨大電源の隠れたリスク―」(5/14)でも、関西電力の原発定期点検の長期化が、関西電力のLNG調達計画に影響を与えた可能性が見えてきた、と指摘している。
→ https://cnic.jp/39079

【まとめ】

◆2020年度冬の電力高騰の原因が、関電の原発依存にあることは明白になってきた。

最も信頼性の低い電源が原発!
原発は需給調整のお荷物!
需給計画を原子力に依存し続けることは危険!

◆7/3、第9回原告団総会、当日配付資料などのダウンロード

(1) 当日の配付資料は、以下にPDFファイルで公開し、すべての原告や関心のある方々にダウンロードしていただけます。ただし、会計報告のページのみ白紙にしていますので、原告の方で、会計報告を見たいという方は、個別に原告団事務局にメールなどでご請求ください。
こちら[2 MB]。ファイル名は「2021-07-03–Web2.pdf」。

(2)記念講演の資料も、同様にダウンロードしていただけます。
こちら[7 MB]。ファイル名は「ikdedaorg–2021-07-03.pdf」