投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆069◆

┌─────────────────────────────────
◆関電本店ビル前行動などに一連の弾圧
 (2012年関西脱原発弾圧事件)

 (1) 関電前「転び公妨」事件(2012年10月5日)
 (2)「転び公妨」事件の際の抗議で逮捕[事後弾圧](2012年11月16日)
 (3) 震災がれき問題で、脱原発の活動家4名を狙い撃ち逮捕(2012年11月13日)
 (4)「がれき反対」無許可デモで業務妨害、逮捕(2012年12月9日)
 (5) 大阪府警の不当逮捕のまとめ
◆関電東海支社ビル前行動弾圧事件(2012年10月29日~→◆068◆
 (関電東海支社事件)
└─────────────────────────────────

【2012年、原発再稼働をめぐる攻防】…▲は再稼働推進。◆068◆と同じ内容です

・1月31日、佐賀地裁に、原発なくそう!九州玄海訴訟の提訴
▲2月、3月、原子力安全・保安院、原子力安全委員会は、大飯原発3、4号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)の評価結果を了承
▲4月、野田佳彦総理と枝野幸男経済産業相らが、大飯原発3、4号機の安全性を最終的に確認、再稼働は「妥当」と判断。協議には、細野豪志原発事故担当相、藤村修官房長官、斎藤勁官房副長官、民主党の仙谷由人政調会長代行らも
・5月5日、泊原発3号機が、定期検査で運転停止→初めて全国の原発がすべて停止(同年7月5日に大飯原発3号機が再稼働されるまでの2か月間、原発ゼロであった)
・5月25日、関電の東海支社ビル前で大飯原発再稼働に抗議する初めての抗議行動
・5月30日、鹿児島地裁に、原発なくそう!九州川内訴訟の提訴
・6月12日、大阪地裁に大飯原発差止訴訟[行政訴訟]の提訴(→2020年に勝訴判決)
▲6月16日、民主党政権は大飯原発の再稼働を正式決定
・6月26日、金沢地裁に、志賀原発を廃炉に!訴訟 (金沢訴訟)の提訴
・6月29日(金)、京都での関電京都支店前のキンカン行動が開始
▲7月5日、大飯原発3号機が、新規制基準ができていない中で再稼働
▲7月21日、大飯原発4号機も再稼働。その後、2013年9月15日定期点検のため運転停止。そして、2015年8月11日に川内原発1号機が再稼働(新規制基準による最初の稼働)されるまで、1年11か月、原発ゼロであった
▲9月19日、原子力規制委員会の設置。新規制基準による適合審査→原発再稼働が開始
・10月5日~、関電の大阪本店前での抗議行動などに対し、連続した弾圧
 (関電の大阪本店前での抗議行動は、2011年4月から開始)
・10月29日、関電東海支社ビル前行動に対して、5か月後になって警察が異常な弾圧を開始
 (→◆068◆
・11月29日、京都地裁に大飯原発差止訴訟[民事訴訟]の提訴
・11月30日、福井地裁に大飯原発3、4号機差止請求[民事訴訟]の提訴(→2014年に樋口判決)

┌─────────────
(1) 関電前「転び公妨」事件(2012年10月~)
└─────────────
【転び公妨】(ころび・こうぼう)…警察官が、被疑者との軽い身体的接触があったとしてあえて転ぶなどして、公務執行妨害罪の名目で逮捕すること。特別公務員職権濫用罪にあたる違法な手法だが、主に公安警察が、他の容疑での逮捕が難しい被疑者を別件逮捕する際に行う。

・2012/10/5…「関電前転び公妨」でAさんが逮捕される
・2012/10/26…起訴。大阪拘置所に長期勾留
・2013/5/24…保釈
・2013/8/26…大阪地裁、無罪判決。「公訴事実については、犯罪の証明がない」
・2014/4/21…控訴審で、有罪判決。その後、最高裁第一小法廷で、執行猶予3年の大阪高裁判決が確定

◆以下、『人民新聞 オンライン』より。→こちら

──弾圧の場になった、関西電力前での抗議行動について教えてください。

毎週金曜日、大阪市北区中之島にある関西電力本店ビル前の南西のエリアで、「反原発」を訴えていました。早い人は朝11時から現地に駆けつけ、午後6時頃から、マイクアピールが始まります。プラカードを持って立ち続ける人もいますし、ビラを撒く人、思い思いの方法で「反原発」を訴える人、話し込む人など、色々です。お盆の時期には、盆踊りもありました。

──逮捕当日の様子は?

毎回、私服姿の警察官6~7人を確認していました。彼らは2人1組で行動して、あちこちに散らばっていたようです。当日は、私服に加えて、制服警察官の姿がありました。今から思えば、弾圧の意図を持って、あらかじめ警察官を動員していたのでしょう。

┌─────────────
(2)「転び公妨」事件の際の抗議で逮捕[事後弾圧](2012年11月~)
└─────────────
・11/16… 2012/10/5「転び公妨」でっちあげで逮捕されワゴン車で連行される際、不当逮捕であると抗議したMtさんが、公務執行妨害や器物破損に問われ、自宅で令状逮捕
・12/6…起訴、12/14から大阪拘置所へ
・2013/6/14…保釈
・2014/4/28…裁判。「逮捕して7か月間の勾留、懲役10か月」ほどの事件か
 こちら
・2015/3/9…控訴審判決。器物損壊については無罪となり、「公務執行妨害」のみで有罪、懲役6か月執行猶予2年。検察は上告せず。
 こちら

『社会運動情報・阪神』
10・5関電前弾圧、21日控訴審開始と、28日に事後弾圧判決
こちら

『関西大弾圧救援会』
Mtさんに 有罪判決!! ・・4.28大阪地裁
こちら 

┌─────────────
(3) 震災がれき問題で、 脱原発の活動家4名を狙い撃ち逮捕
└─────────────
・2012/11/13(大阪市此花区がれき焼却受け入れ説明会)。2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを、全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」が問題となる。大阪市が計画している「広域処理」に対する反対運動が盛りあがると、反対派の逮捕が相ついだ。

◆以下、「放射能メモ」より。→こちら 
【逮捕の経緯】
此花区民ホールで、19時からガレキ試験焼却の説明会。
ホールのロビーで、「焼却を止めて」と太鼓を叩いて抗議をしていた。
5:30までは、ここはオープンな状態だった。
突然、市の役人が退去しなさいと、プラカードを掲げた。
それから10数分後、前と後ろの出入り口から、機動隊が脱兎のごとく飛び込んできた。
原発反対、ガレキ反対、関電前の不当逮捕に抗議していた4人が狙われて逮捕された。
強制排除なら、まだ理解もできなくはないが逮捕とは。
それも、太鼓を叩いて騒いでいる人には目もくれず、体制に目障りな人を選んでいる。
警官が去った後も、太鼓の音は鳴り響いている。
何のための逮捕かは明白だ。

【逮捕された4人】
関電包囲の主要な活動家のHさん
ガレキ反対の代表のPさん
大阪市役所前のテント村の村長のUさん
テント村の村民のMさん

┌─────────────
(4)「がれき反対」無許可デモで業務妨害、逮捕
└─────────────
・2012年12月には「がれき反対」無許可デモ(10/17)で大阪駅業務妨害、阪南大准教授ら逮捕

◆以下、「Diamond online」より。→こちら
・関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学の下地真樹准教授(愛称「モジモジ先生」)ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の拘留後、釈放されたが1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧。

┌─────────────
(5) 大阪府警の不当逮捕のまとめ
└─────────────
◆以下、「放射能メモ」より。→こちら
 

◆068◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆070◆

◆関西電力 闇歴史◆068◆

┌─────────────────────────────────
◆関電東海支社ビル前行動に対する弾圧
 (関電東海支社事件)
 2012年5月、大飯原発再稼働に抗議する関西電力東海支社前の初めての行動で
 参加者の2名が関電ビル内に立ち入ったとして
 その後、5か月以上もたって、10月から捜査が始まった
 関電不動産東海支店が被害届
◆関電本店ビル前行動などに一連の弾圧が連続(2012年10月~→◆069◆
 (2012年関西脱原発弾圧事件)
└─────────────────────────────────

【2012年、原発再稼働をめぐる攻防】…▲は再稼働推進。◆069◆と同じ内容です

・1月31日、佐賀地裁に、原発なくそう!九州玄海訴訟の提訴
▲2月、3月、原子力安全・保安院、原子力安全委員会は、大飯原発3、4号機の安全性に関する総合評価(ストレステスト)の評価結果を了承
▲4月、野田佳彦総理と枝野幸男経済産業相らが、大飯原発3、4号機の安全性を最終的に確認、再稼働は「妥当」と判断。協議には、細野豪志原発事故担当相、藤村修官房長官、斎藤勁官房副長官、民主党の仙谷由人政調会長代行らも
・5月5日、泊原発3号機が、定期検査で運転停止→初めて全国の原発がすべて停止(同年7月5日に大飯原発3号機が再稼働されるまでの2か月間、原発ゼロであった)
・5月25日、関電の東海支社ビル前で大飯原発再稼働に抗議する初めての抗議行動
・5月30日、鹿児島地裁に、原発なくそう!九州川内訴訟の提訴
・6月12日、大阪地裁に大飯原発差止訴訟[行政訴訟]の提訴(→2020年に勝訴判決)
▲6月16日、民主党政権は大飯原発の再稼働を正式決定
・6月26日、金沢地裁に、志賀原発を廃炉に!訴訟 (金沢訴訟)の提訴
・6月29日(金)、京都での関電京都支店前のキンカン行動が開始
▲7月5日、大飯原発3号機が、新規制基準ができていない中で再稼働
▲7月21日、大飯原発4号機も再稼働。その後、2013年9月15日定期点検のため運転停止。そして、2015年8月11日に川内原発1号機が再稼働(新規制基準による最初の稼働)されるまで、1年11か月、原発ゼロであった
▲9月19日、原子力規制委員会の設置。新規制基準による適合審査→原発再稼働が開始
・10月5日~、関電の大阪本店前での抗議行動などに対し、連続した弾圧(→◆069◆
・10月29日、関電東海支社ビル前行動に対して、5か月後になって警察が異常な弾圧を開始
・11月29日、京都地裁に大飯原発差止訴訟[民事訴訟]の提訴
・11月30日、福井地裁に大飯原発3、4号機差止請求[民事訴訟]の提訴(→2014年に樋口判決)

┌─────────────
◆関電ビル前行動弾圧事件 2012.5.
自由法曹団通信1443号(2013年2月11日)
こちら
関電ビル前抗議行動弾圧事件 ―不起訴を勝ち取る
愛知支部 中谷 雄二 弁護士
└─────────────

(以下の事件の「経過」は、上記Webサイトより)
(「経過」以外の部分は、上記Webサイト参照のこと)

経 過

1 事件は、2012年5月25日、大飯原発再稼働に抗議する関西電力東海支社前の初めての行動が行われた際、抗議行動に先立って参加者の2名が関電ビル内に立ち入ったことを建造物侵入容疑であるとして、警察からの執拗な呼出から始まった。警察の呼出が始まったのは、10月29日、実に事件から5か月後のことである。任意の出頭要請といいながら十数回にわたる電話と自宅まで4名の警察官が出向いて出頭要請がなされた。

出頭を要請された2人から相談を受けたが、問題とされている事件から5か月も経っての執拗な呼び出しであること、東京や大阪などで逮捕者がでていること、2人の内、1名は行動の呼びかけ人であることから、抗議行動に対する弾圧の可能性があると思われたため、直ちに警察への抗議文の提出と弁護団の編成を計画し、愛知支部の団員に対して、協力を要請した。

2 岐阜支部の団員1名を含む25名が直ちに協力を申し出てくれたため、11月2日、出頭要請を行っている愛知県警東警察署長宛に弁護士25名の連名でFAXで抗議文を送付した。これによって、一週間、完全に警察の足が止まった。11月8日、電話で警察から再度、出頭要請があったため、翌日、その間に集めた30名の弁護人選任届けを付して、弁護士6名で、任意というが実際に行われている出頭要請は、事実上の強制だと抗議し、このような状況が続けば国賠も考えると出頭拒否を通告した。同月12日、弁護団と本人が司法記者クラブにおいて記者会見し、弾圧事件だと訴えたが、記者から警察署への問い合わせはあったようであるが、報道はされなかった。同月16日、警察からは、翌週の平日午後1時から午後5時までの都合の良い時間に出頭するよう警備課長名でハガキによる呼び出しがされた。これを受けて、出頭を拒否した場合に逮捕も予想されること、本人の意向を踏まえて、弁護人付きで、かつ、1時間に限ることを条件付に出頭に応じると弁護人から警備課長に連絡した。結局、警察段階では、1名は1日で取り調べが終わり、もう1名については、2日間で取り調べが終了した。途中、付き添っていった水野幹男団員は、取り調べ途中に1時間が経過したとして、取り調べ室から本人を連れ出し、休憩を取らせるということがあった。警察の取り調べが12月6日に終了したが、12月20日、公安係検事より弁護人を通じて出頭要請があったため、これにも弁護人が付き添って出頭し、一時間の条件付で取り調べに応じた。12月25日、弁護人連名による不起訴要請書を提出した。検察庁における取り調べでは監視ビデオの映像をみせながら、供述との食い違いが追及されたが、翌月16日、不起訴処分(起訴猶予)となった。

┌─────────────
◆週刊金曜日オンライン→こちら
└─────────────
『週刊金曜日』は、
関電支社を訪問した市民が「建造物侵入」容疑――「運動つぶし」が目的か
として報道。以下のような記載もある。
(竹内一晴・ライター、2012年12月7日号)

・被害届を提出した関電グループ企業、関西電力不動産東海支店の担当者は「当社としてはビルを安全に管理する責任がある。二人は当社の規定に違反する行為があった。今後は入ってほしくないので(時間がだいぶ経過したが)被害届を出した」と言う。

・事件後、5か月以上もたって捜査が始まったのは実に奇異なことだ。担当の東署警備課長も現場に居合わせたというが「現行犯逮捕」は行われなかった。そもそも、株主の1人が会社を訪問しただけで「建造物侵入」としている点など異常さが際立つ。

◆067◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆069◆

◆関西電力 闇歴史◆067◆

┌─────────────────────────────────
◆各地の原発、保安規程違反のまま特重施設を運用(2022年)
 高浜原発3、4号機も部品未装着で保安規程違反
 原子力規制委員会の審査を通っても原発の安全は確保されていない
 電力会社は特重施設など無駄と思っているのでは
└─────────────────────────────────

・伊方3号機で昨年10月から運用を開始した「テロ対策施設」=特定重大事故等対処施設(特重施設)で、部品未装着があった。特重施設の運用を開始した昨年10月から7月7日まで約8か月の間に及ぶ。報道では、複数未装着の部品は「フィルターやパッキンのように一定の頻度で交換する消耗品」とのこと。しかし、設備が動作不能となる恐れがあり、国から認可を受けた保安規定を満たしていなかったことになる。

・特重施設の部品の未装着はこの間、九州電力川内原発1、2号機、関西電力の高浜原発3、4号機でも見つかっている。関電の「運転上の制限の逸脱・復帰情報」では→ こちら
(2022年7月10日報道)

・以下、守田敏也さんのBlog「明日に向けて(2227)」より引用
伊方3号機でテロ対策設備(特重施設)が部品未装着だった!九電、関電も!
┌─────────────
● 電力会社は過酷事故を防げないと思っている

僕はこの「特重施設」が、ひどい矛盾に満ちていると何度も指摘してきました。そもそも「テロ対策施設」と言うけれど、ベント設備などテロではない重大事故への対処施設も含まれているので「騙し」に等しい言い方です。
しかも電力会社は徹底的にと言えるぐらい、作ることを先延ばしにしてきました。その末に運用を開始したら、きちんと部品装着されず「動作不能になるおそれがあった」のです。

そもそも設置が2013年7月に決まりながら、原子力規制委員会が期限を5年も伸ばしたのでした。ところが電力会社がその期限が近づいても全く作らないのを見て、規制委員会は「設置申請から5年」と期限を再延長してしまいました。
電力会社はそれでも作ろうとせず、期限の再々延長を申し入れましたが、規制委員会はたまらずに運転停止を命令。それで実際に2020年3月から九電、関電、四電の原発が次々と停まったのです。

すると各社は突貫工事で施設を作って、原発を再稼働させましたが、そうしたら部品が未装着。これはもう電力会社が特重施設など無駄だと思っているとしか考えられません。「安全確保など無理!」と思っていることが透けて見えます。
それでも原発を動かすなんてものすごいモラル崩壊です。電力会社は過酷事故が起きうるし、その時、特重施設など頼りにならないことなど分かっていながら稼働を続けているのです。
└─────────────

◆066◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆068◆

◆関西電力 闇歴史◆066◆

┌─────────────────────────────────
◆関電が風力発電を計画(2022年)→ 宮城県の件は断念、撤回
 宮城県知事、山形県知事「どうして関電なのか」
 宮城県知事は「誠意ない」「明確に反対」
 役場訪問の関電幹部に地元2町長は「白紙撤回を」「京都の嵐山に造ったら」
 自然環境への配慮が著しく欠如、北海道の1件も断念
└─────────────────────────────────

【2022年5月に開発計画】

・関電は、5/30に、宮城県1件、北海道4件の合計5件の陸上風力発電所開発を検討開始し、計画段階環境配慮書を公表。以下、いずれも仮称。

【宮城県】
・川崎ウィンドファーム事業… 川崎町。後に計画断念
【北海道】
・伊達・千歳ウィンドファーム事業…伊達市および千歳市。後に計画断念
・古平・仁木・余市ウィンドファーム事業…古平町、仁木町、余市町および共和町
・小樽・赤井川ウィンドファーム事業…小樽市、赤井川村、および余市町
・夕張ウィンドファーム事業…夕張市および栗山町

・日本自然保護協会(NACS-J)は、6/30、これら5件の計画が、他の陸上風力発電事業計画と比べても、自然環境への配慮が著しく欠如していると指摘した。
こちら

┌─────────────
◆宮城県での計画
└─────────────

【宮城県川崎町で関電が風力発電事業を計画】

・当初計画では、川崎町前川地区の1600ヘクタールに高さ最大約180メートル、直径約160メートルの風車23基を建設する計画。最大出力9万6600キロワット。2028年度の着工、31年度の運転開始を目指すとした。予定地の一部に蔵王国定公園が含まれたため、県環境影響評価技術審査会が計画を疑問視。

・日本自然保護協会(NACS-J)は、自然度の高い広葉樹林、鳥類のバードストライク、土砂災害増大などへの影響が懸念されることから、事業計画を中止するか事業想定区域の抜本的な見直しを求めた。

・関電は6月20日の住民説明会で予定地から蔵王国定公園を外し、風車を19基に減らす方針を明らかにした。県環境影響評価技術審査会の答申では、「蔵王御釜」の展望台から風車が一切見えないように配置し、重要な野鳥の生息地を想定区域から除外することなどが盛り込まれた。

【以下、2022年6~7月の動き】

・宮城県の村井嘉浩知事は、「関西電力が東北にわざわざ出てきてこういったものを設置せずとも、関西でやればいいのではないか」と述べた。度重ねて違和感を表明してきた村井知事は定例記者会見で「蔵王はまさに宮城の誇りで、景観は何物にも代えがたい」「私も反対だ。明確に申し上げる」と述べ明確な反対意思を表明した。

・地元で開かれた住民説明会について、報道機関に原則非公開とした対応について、村井知事は定例記者会見で「誠意が感じられない」と批判した。

・予定地の一部に蔵王国定公園が含まれていたことは、知事も疑問視し、関電は公園を外す方針を明らかにした。知事は「そもそも入れるべきではない。より環境に配慮した計画にしようとする姿勢が見られないという(審査会の)非常に厳しい意見は、もっともだ」と指摘した。

・事業者に意見を表明できる「関係自治体」が川崎町のみとされている点についても「事業者に意見を表明できる「関係自治体」が川崎町のみとされている点についても「関電に対して蔵王町に相談し、丁寧な説明をするよう求めた」と述べた。」と述べた。

・地元の小山修作川崎町長は「関電の対応がもう少し誠実であれば安心できたが、納得できるものではなく、直接知事に伝えるべきだと思った。オープンな場で真摯(しんし)に意見交換を行うことが必要だ。信頼関係なしに計画に納得することはできない」と話した。

・関電の多田隆司執行役常務再生可能エネルギー事業本部長の訪問に対して、川崎町の小山町長は「白紙撤回を求める。他の場所でゼロから始めて」と強い口調で反対の意思を伝えた。同じく蔵王町では、村上英人町長が憤り「京都の嵐山に10基ぐらい造ったらどうか」と声を荒らげる場面もあったという。

【山形県でも反対の声】

・山形県の吉村美栄子知事は「事業者が関西電力と聞いて、どうして関西電力なのかという印象を持った。村井知事の話を知って、同じようなことを考えていると思った」と述べている。「蔵王は全山形県民にとって特別な山」とも。

・山形市の佐藤孝弘市長は7/11、「現在の計画に基づく事業は進めるべきではない」とする意見書を、山形県に提出した。
(宮城県と山形県の南部は、蔵王連峰が境界となっている)

【関電は】

・6月下旬。関西電力は住民説明会で、計画の見直しを強調。関西電力・市橋公平部長「宮城県の審査会で先生のご指摘を真摯に受け止めまして、国定公園エリアの方には設置しないといたしましたので、(最大23基から最大)19基と減らしております」「地元の声をしっかり聞き、計画を進めるかどうかも含めて検討する」
・そして、関西電力・多田隆司常務「私どもが非常に反省しているのは、地域の皆様の蔵王への思いとか、畏敬の念とか、十分ご理解することができていなかった。(環境アセスメントの次の段階である)方法書に進めるかどうか、これも含めて、しっかり考えていきたい」

【つまり】

・原発立地と同じやり方ではないか。関電という会社は、とくに関西で、お殿様(→◆036◆)として特別扱いを受け続けてきて、チヤホヤされてきた。なので、自分の思い通りに進めることしか念頭にないのでは。自分が社会の中でどう見られているか、なんてことには気がついていない。関電のご威光が行き届いていない東北地方なので、社会から当たり前の反応を受けているだけ。
参考→こちら ほか。

【結局、断念して撤回】

・7/29の報道によれば、関電は、宮城・蔵王山麓への風力発電計画を断念して撤回したとのこと。景観への影響などから地元の強い反発があったことから、当然の結果。
・森望 社長「蔵王に対する畏敬の念に十分思いが至らなかった。」

┌─────────────
◆北海道での計画
└─────────────

【北海道の4件の計画】

 以下、いずれも仮称。
(1) 伊達・千歳ウィンドファーム事業
(2) 古平・仁木・余市ウィンドファーム事業
(3) 小樽・赤井川ウィンドファーム事業
(4) 夕張ウィンドファーム事業


▲関電の風力発電の計画。この地図は画像なので、リンクは入っていません。
支笏洞爺国立公園にかかる「伊達・千歳ウィンドファーム事業」は中止。

・Google地名連動リンク入りの地図(配慮書中の地図)→こちら
こちらの地図では、赤い枠線部をクリックすると、それぞれの名称が表示される。
地図中の今金(いまかね)風力発電事業は、関電ではなくて、インベナジー・ウインド合同会社による。

・日本自然保護協会(NACS-J)は、北海道のそれぞれの事業の計画段階環境配慮書についても意見書を提出。
(1)…イヌワシやクマタカなどの鳥類や自然度の高い広葉樹林への影響、支笏洞爺国立公園への影響が懸念されることから、事業計画の中止を求めている。→後に、宮城県の件とともに断念。
(2)~(3)… 自然度の高い広葉樹林、鳥類のバードストライク、土砂災害増大などへの影響が懸念されることから、事業計画を中止するか事業想定区域の抜本的な見直しを求めている。
(4)…田園景観維持を目指している「栗山町景観計画」への配慮を求めている。

【北海道の市民「北海道の素晴らしい景観を壊さないで!」】

 石狩市在住、佐々木 Minagawa 美保さんのFB投稿(2022年7/2)より。
~北海道に於ける関電ほかによる五ヶ所の風力発電事業への~「意見書」
=====
 コロナ外出規制等の情報不足の中、関電だけでも四ヶ所もの風発事業が、僅か1ヶ月そこそこの縦覧期間で、全て纏めて、意見書提出期限が6月30日締切の(縦覧最終日と同日)と、それだけでもたいへん不遜な、“意見など聞く余地なし”との企業姿勢が窺えて、その事にまず、厳重に抗議します。
 最初に、私は個人的に風発そのものは、エコエネルギーとして数十年前から着目、理論を超え、感情的にも感性としても大好きでした。
 が、それはあくまでも、人類に利便性をもたらすエネルギーのあり方としてエコロジカルであり、持続可能な生態系を維持する技術であるとの観点からです。しかしながら今回の関電による風発事業は、手付かずの自然が数多く残る「日本全体の宝」とも言える北海道の大開発を伴うものであり、私の思う風力発電とは大きく乖離しており、五つの風発事業のいずれも賛成とは言いかねるもの。
 エコロジカルなビジネス(事業)とは、まず、その地に暮らす人々や動植物との共存等々の質・協力・保全を指向するものでなければならず、エコエネルギーの為に、ある程度の自然破壊も止むなしは、本末転倒甚だしい理屈です。
 そもそも何故自然エネルギーを目指さなければならなくなったかに立ち帰ると、現代の企業活動が、経済的“量の拡大”を求めるあまり、欲しいままの自然破壊と膨大な量のCO2放出を繰り返し、自然の循環性を損ない、生態系のシステムを狂わせてしまったことによる気候変動問題が、根底にあります。
 風発も現在では各種技術開発が進み、大型でもブレードのないもの、又、日本の家屋の庭にでも設置可能なツリー型の安価なものさえあります。 巨大電力会社は長い送電線の無駄を再度検証し、多くの国民に支持されるマイクログリッド構築にこそ、大企業の誇りをかけて取り組むべきと考えます。
 何にも代え難い北海道の自然は関西の一企業のものではない!
 北海道の素晴らしい景観を壊さないで!
 生態系を守り自然を守ることは、人類の未来を守ることにつながり、今回の関電の風発事業は、その真逆の結果をもたらします。
 以上、非常な乱筆乱文、ご容赦!!
=====
(佐々木 Minagawa 美保さんの了承の元に転載)

◆065◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆067◆

◆関西電力 闇歴史◆065◆

┌─────────────────────────────────
◆トラブル続きの原発を、前倒し前倒しで稼働させて大丈夫か(2022年)
 原発は、不安定で信頼性のない電源!
 原発をやめて、環境に優しく持続可能性のある社会を展望すべき!

└─────────────────────────────────

7/1付、関電のプレスリリース「原子力発電所の運営状況について」→ こちら
┌─────────────
・美浜3……特重施設の設置が期限に間に合わず、10月23日に、わずか4か月間の運転で停止。現在は“定期検査中”となっている。8/12に並列予定(10/20 を前倒した)
(並列:送電網に接続。発電機と送電系統を接続すること)

・高浜3……3/1から定期検査中。度重なる蒸気発生器細管の損傷が大きな問題。高浜3、4号機で5回連続の細管損傷。いつも場当たり的対応だけで、再稼働させてきた。原子力規制委員会も関電も、安全無視の姿勢が甚だしい。原因究明を一からやり直すべき。ほかに、使用済燃料ピットエリア監視カメラの不調も。今後の予定は、未定。

・高浜4……6/8から5か月の予定で、定期検査中。蒸気発生器細管の検査はとりわけ念入りにして原因を明確にすべき。

・大飯3……2021年7月から運転中。今年8月から定期検査入りか。現在稼働している関電の原発は、この一基のみ。

・大飯4……3/11から定期検査中。電動主給水ポンプミニマムフロー配管からの水漏れ。並列は8月中旬予定が、注記で7月中旬に前倒し。
└─────────────
 “電力ひっ迫” の宣伝=フェイクニュースの下、予定の前倒しばかりで大丈夫か。もっと需要抑制を考えるべきだ。供給を増やすことばかりに熱中せずに、トータルで環境に優しく、持続可能性のある社会を展望すべきだ。→ ◆電気は足りてる~異常な「電気が足りない」宣伝~

 原発のような巨大な電源がトラブルで急に止まるようなことがあれば、関西ブラックアウト(広域全面停電)の危険性がある。トラブルが、放射性物質の放出を伴えば、パニックとなる。福島なみの事故が起これば、国際観光都市・京都はお終い。

 巨大な電源がいくつもあっても、実際は一基しか動かすことができない現状をみても、原発は安定電源とは言えない。検査のたびに不具合が見つかり、定期検査期間も一定しない原発は、とうてい信頼できる電源とは言えない。

◆064◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆066◆

◆関西電力 闇歴史◆064◆

┌─────────────────────────────────
◆大企業で相次ぐ製品不正(2022年報道)
 原発も無関係ではない!~火災感知器、変圧器、発電機など大丈夫か
 関電は関係ないのか

 【付 部品メーカーが次々と原子力事業から撤退 】
└─────────────────────────────────

日本フェンオール…2013年9月~20年10月の間、火災感知設備(火災感知器、中継器)の品質検定で不正を繰り返していた。合格を取り消された約1万台のうち、6割が原子力発電所に納められていた。背景には、原子力規制委員会が火災対策の強化を求め感知器の需要が高まったことがあるという。規制委などによると、東京電力の柏崎刈羽原発で計3,595台、福島第一原発で計430台、九州電力玄海原発で計2,030台、日本原子力研究開発機構大洗研究所で18台が設置されている。2022/4/27新聞報道。

三菱電機系統変電システム製作所赤穂工場)…原子力発電所や鉄道会社などに出荷した変圧器で不正をしていた問題で、漆間啓社長は4/28の決算会見で謝罪。1982~2022年3月に出荷された8,363台のうち、3,384台で出荷前の試験で虚偽のデータを記入するなどの不正があったと発表。一部は稼働中の原子力発電所でも使われている。関電の原発では、高浜で5台、大飯で5台、美浜で1台。なお、品質不適切行為の件数は、第1報(2021年10月)、第2報(2021年12月)で判明した47件に、今回(2022年5月)の第3報で101件が加わって累計148件となり3倍に増加。調査完了は2022年秋まで延期されている。

日本製鋼所(子会社の日本製鋼所M&E)…2022/5/9、発電所の重要設備であるタービン関連製品をめぐり不正があったと発表した。顧客が求めた基準を満たしていないのに虚偽の検査データを記載して出荷していた。不正は、1998年から今年2月まで約24年間にわたって続いていた。発電所のタービンや発電機の軸に使われる「ローターシャフト」と、発電機のコイルを固定する「リテーニングリング」という2種類の製品の不正行為で、原子力発電所、火力発電所で使用。なお、M&Eは、原子炉圧力容器部材、蒸気発生器部材、使用済燃料輸送・貯蔵用キャスク部材、一次冷却系配管材などの原子力発電所向け部材も製造している。

 2022/11/14、日本製鋼所は、製品検査の不正に関する外部調査委員会の調査報告書を公表し、子会社の日本製鋼所M&E(北海道室蘭市)が製造した鉄鋼製品の品質検査で計449件の不正があったと発表。このうち原発関連の製品では20件の不正が確認されたが、国内向けは1件。放射性廃棄物を保管する容器の底板で、納入前だったので、原発では使われていないとしている。

┌─────────────
関電の言うことは、だいたい決まっている。
└─────────────
「原子力発電の特性・リスクを十分認識し、立地地域、立地周辺地域、消費地域において、社会の皆さまの疑問・不安に向き合い、共に考えていく姿勢で引き続きコミュニケーションを展開し、頂戴したご意見を当社のリスクマネジメントに活用することで、更なるリスク低減に繋げていきます。」
といったところだが、もっとも欠けているのが、「社会の皆さま」とのコミュニケーションだ。

「40年超運転に対する社会の皆さまの疑問・不安に向き合う双方向コミュニケーションの展開」は
「オピニオンリーダー訪問、説明会、各戸訪問を精力的に展開」となり、結局は、原発立地地元における有力者訪問、全戸押しかけ訪問となる。反対派との討論などのコミュニケーションはない。

「社会の皆さま」と言えば、消費地域の市民とのコミュニケーションがまず第一に思いうかぶのだが、そこに不信感をいだく目から見ると(→ ◆048◆)、
原発にも関連する大企業の不正問題に、何も反応しない姿勢で良いのか。
関電は、幅広いコミュニケーション能力に欠けているのではないか。
関電のコミュニケーションは、著しく偏っているのではないか。

【付 部品メーカーが次々と原子力事業から撤退】
▼「はんげんぱつ新聞」(2022年5月20日)

◆063◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆065◆

◆大飯原発4号機再稼働を許さない!~~7/15 抗議行動

大飯原発4号機再稼働を許さない!

(緊急のお知らせとお願い)

「老朽原発完全廃炉」に向けてご奮闘のこと、ありがとうございます。

 さて、関電の原発では、トラブルが頻発しています。
 運転開始後45年超えの老朽原発・美浜3号機は、昨年6月23日に再稼働し、わずか3ヶ月間の営業運転をしましたが、この短い運転期間中に二度もトラブルを発生させています。一つは7月2日に発生したもので、電源が断たれて蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、蒸気発生器に給水する配管に設置されたポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。

 高浜3号機では、定期点検中の本年3月、蒸気発生器の伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしていますが、蒸気発生器3基の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているともいわれています。高浜3号機は、5月に再稼動を予定していましたが、今も停止したままです。(同様な伝熱管損傷は、2020年11月、高浜4号機でも起こっています。)

 7月上旬の稼働予定で定期点検中であった大飯原発4号機では、6月27日、ポンプの過熱を防ぐために設置された配管(電動主給水ポンプミニマムフロー配管)からの水漏れが発覚し、関電は、取り替えのため再稼働を7月下旬に先送りすると発表しました。(同様な配管トラブルは2006年、大飯1号機でも発生しています。)ただし、関電は、この再際稼働予定を、7月1日にまた変更し、7月15日に前倒しすると発表しています。

 今、政府や電力会社は原発稼働のために、電力需給ひっ迫を大宣伝し、危機感をあおっていますが、上記のように、原発は、定常的に電気を供給できる電源ではありません。原発は、不安定で信頼できない電源です。もし原発電気に頼っていて、その原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性もあります。
 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、上記のような状況を踏まえて、7月15日(金)に、下記の要領で「大飯原発再稼動を許さない!緊急行動」に起ちます。

【7月15日(金)行動概略】

・12時30分におおい町大島半島「しーまいる」前集合、13時デモ出発、13時40分頃より大飯原発ゲート前で抗議行動(14時30分頃まで)。
・抗議行動後、おおい町内で、7.24「老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会」への結集を訴えるチラシ配布(「アメーバデモ」)を予定しています。

皆様のご参加をお願いします。詳細は「老朽原発うごかすな!実行委員会」木原(090-1965‐7102)、橋田(090-5676-7068)または木戸(090-9213-7395)までお尋ね下さい。


2022年7月5日「老朽原発うごかすな!実行委員会」事務担当・木原壯林(090-1965‐7102)
追記 すでに何度もお願いしていますが、7.24「老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会」(→こちら)への大結集をお願いします。大阪、京都、滋賀からはバスを配車します。


◆【memo】グリッド パリティ、ストレージ パリティ

グリッド パリティ

太陽光発電など再生可能エネルギーの発電コストが、火力や原子力など既存の電力系統の電力コストと同等またはそれ以下になること。ほぼ実現されている。
訳せば「電力インフラで同等」となるが、「自前発電&消費がお得」が最適訳語かも。
(グリッドとは、送配電網、電力インフラのこと)
(オフグリッドとは、送配電網に接続せず、自給自足で暮らすこと)
(パリティとは、同等、一致、等価などの意味)

ストレージ パリティ

太陽光発電など再生可能エネルギーの利用で、蓄電池を導入しないよりも、導入したほうが経済的メリットを得られる状態のこと。これはまだ実現していない。
訳せば「蓄電池で同等」となるが、「自前発電&蓄電がお得」が最適訳語かも。
(ストレージとは、保管、貯蔵、倉庫などの意味)
(PCのストレージは、HDDなどデータを保管しておく装置のこと)

◆7/24老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会~~電気はいつも足りてる

【2022年6月27日から配付】

老朽原発・美浜3号機を廃炉に!
過酷事故が起こる前に

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後11年を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 一方、去る2月に始まったウクライナ紛争では、欧州最大の原発・ザポリージャ原発やチョルノービリ原発が占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、電力会社、政府、自民党、国民民主党、日本維新の会、連合の一部などを含む原発推進派は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫に乗じて、また、炭酸ガス削減を口実にして、危険極まりない老朽原発の再稼働など、原発推進に躍起です。

 関電は、10月20日に予定してた美浜 3 号機の運転再開(並列)を8月12日に前倒しすると発表しました(6 月 10 日)。「再稼働(原子炉起動)」は、8月上旬と推測されます。

 再稼働される美浜3号機は、運転開始後45年を超えた老朽原発で、昨年6月23日にいったん再稼働したものの、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか3ヶ月間の営業運転で停止を余儀なくされていたものです。

 しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。一つは、蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。

 老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 一方、美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年にいたっていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。とくに、約320℃、約160気圧の高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、本年3月、定期点検中の高浜原発3号機では、蒸気発生器伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしていますが、蒸気発生器の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているともいわれています。同様な伝熱管損傷は、一昨年11月、高浜4号機でも起こっています。

 このようにトラブル多発の蒸気発生器ですが、美浜3号機の蒸気発生器は、取り替え後25年を経た老朽機器で、配管の完全破断を起こしかねません。

原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、
老朽原発・美浜3号機の運転を許してはなりません!
再稼働阻止の行動に起ちましょう!
「老朽原発・美浜3号うごかすな!現地全国集会」にご参集ください!

●7月24日(日)12:00~13:00
場所:福井県美浜町菅浜「弁天崎」(美浜原発が望める岬:県道33号「佐田竹波敦賀線」を美浜駅方面から美浜原発方面に向かい、「水晶浜」手前の「菅浜黒藤トンネル」を出てすぐ左折)
●14:00~16:00
美浜町内デモ(美浜町役場裏「はあとぴあ」駐車場出発)→「関電原子力事業本部前」抗議集会と申入れ→美浜町内デモ(「はあとぴあ」駐車場まで)



老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


電気は足りてる大停電は節電で回避できる
危険な老朽原発うごかすな!

 今、政府や電力会社は原発稼働のために、今夏の電力不足の可能性を大宣伝し、危機感をあおっています。

 しかし、電力需要量と供給量を正しく把握し、適度な節電に心がければ、電力不足にはならず、大規模停電=ブラックアウトになることもありません。

 大規模停電は、地震などによって電力供給不足が一気に多量に起こったときに起こります。通常の需要増加で大停電に至った例はありません。原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性があります。

【大規模停電の例】

 2018年9月6日早朝、北海道胆振(いぶり)東部を最大震度7の地震が襲いました。この地震によって、日本で初めて、電力会社の管轄エリア(北海道)全域で295万戸が大規模停電(ブラックアウト)しました。電力に関しては、供給と需要のバランスが保たれていることが重要で、バランスが崩れると周波数に異常が生じ、安全装置が働いて、発電所が停止します。この北海道大停電では、苫東厚真(とまとうあつま)発電所の大型火力発電機2機の機器が地震により破損し、大型水力発電所からの送電線が切断されて、電力供給が減少し、周波数が下がったため、連鎖的に発電所が停止し、大規模停電に至りました。
 大規模停電を避けるためには、大規模供給不足に対処できる体制が必要です。

電気の需給ひっ迫に、どう対処すればよいか?

[1]「供給を増やす」は旧来の考え

 かつての電力会社は、電力の無限供給(需要側が使いたい時に必ず供給する)義務を負っていて、その代わりに、地域独占と総括原価方式(発電、送電、電力販売費、人件費などのての費用を「総括原価」とし、それに一定の報酬を上乗せして電気料金を決める方式で、電気供給は公共性が高いのでこの方式をとる:この方式だと経営は常に安定している)によって優遇されていました。

 しかし、地球環境保全の視点からは、電力供給を拡大し続けることは、もう許されません。

 電力会社の無限供給「義務」、地域独占、総括原価方式は、すでに不合理になっています。

[2]「需要抑制、節電」が現在的、先見的な考え

 供給力を増やすばかりが需給ひっ迫対策ではありません。

 需要抑制、節電こそ、これからの需給ひっ迫対策です。

【節電協力によって危機を乗り切った例】

 去る3月22日、東京および東北エリアで、地震による発電所の停止と急激な寒波到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。この需給ひっ迫を乗り切れたのは、揚水発電と広域での電力融通に加え、次のような節電が行われたからです。

 当日8〜23時の時間帯で約4000万kWh、また、需要の大きな17時台の1時間に、約500万kWを需要側が節電しています(東電パワーグリッドKKの資料)。原発5基分(約500万kW)もの節電が可能であることを示しています。

 この例は、要請に応えた節電の例ですが、「節電すればそれに応じて対価が得られる需要抑制」の制度化も進んでいます。「ネガワット(負の消費電力)取引」はその例です。「ネガワット取引」とは、仲介業者などとの事前の契約に基づいて、電気の需要がピークに達したタイミングで節電を行うと対価が得られる制度です。

 「節電で生じる余剰電力は発電所を新しく建設することと同じ価値がある」という考えから「発電所ではなくて節電所を」の提案もあります。100万人が各自1kW節電する節電所ができれば、100万kW(原発1基分)の電力需要を抑制できます。

 電力需給ひっ迫時だけでなく、日常からの節電も重要です。電気機器やシステムのエネルギー効率よいものへの更新、断熱などの「省エネルギー化」も節電です。

節電し、電力使用を削減すれば、原発は不要です。
危険な老朽原発は即時廃炉!


【参考】◆電気は足りてる~異常な「電気が足りない」宣伝~[付 容量市場]→ こちら


◆電気は足りてる~異常な「電気が足りない」宣伝~[付 容量市場]

[1] 異常な「電気が足りない」宣伝

・原発推進勢力によって、電気が足りないという宣伝が強まっている。
・電気が足りないという宣伝によって、原発推進に舵を切る維新(>_<)

・しかし、電気はいつも足りている。
・電気はいつも余っている……本当に電気が足りなくなれば、大停電=ブラックアウトの世界に突入する。
・ただし、ときどき、電気の余り分(3%とかの余裕分)が、少なくなってしまう “見通し” があるだけ。

【参考】電気が足りなくて大停電が発生したことはない。地震などにより、大規模な停電が起こることはあった。
┌─────────────(以下、「はんげんぱつ新聞」)
(2018年9月6日午前3時ごろ、地震によって大規模な2基の火力発電所が停止し、電気の供給が低下して周波数が乱れたために、ほかの発電所が連鎖的に停止した。)北海道電力では、泊原発1~3号機が停止中で、地震の揺れは1、3号機の最大加速度が6ガル、2号機で7ガルときわめて小さかったが、停電により6回線すべての外部電源からの供給が断たれた。泊原発は6年以上停止しており、核燃料は使用済み燃料プールに移されている。非常用ディーゼル発電機6台が起動してプールの冷却を実施。6時間余りで2回線が復旧され、午後1時までに3基とも外部電源への切り替えを完了した。
└─────────────

[2] 供給を増やして対応する

・余り分が少なくなったときにどうするか?
・供給を増やせば良い、というのが昔からの考え方。原発再稼働もここからでてくる。
・昔の電力会社は、電力の無限供給義務を負っていて、その代わり、地域独占と総括原価方式という甘い汁。
・つまり「電力は需要側が使いたい時に必ず供給されるもの」という考え方が支配的。

・関電でも、電力供給のために、黒四ダム、美浜原発、華々しい歴史を誇ってきたが、
巨大化した電力会社は、近年、原発マネー不正還流のように、醜悪な企業に変質。

関西電力闇歴史◆063◆…黒部川の出し平=だしだいら=ダムと宇奈月ダムの連携排砂で富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か。関電は、補償金は出しても因果関係は認めず)
関西電力闇歴史◆018◆…最悪の幹部腐敗、原発マネー不正還流)

・東電は、福島第一原発事故まで起こして、しかも刑事責任を逃れようと必死。
・原発優先で再生可能な自然エネルギーの普及を妨害し、既存原発の再稼働に躍起。

・電力システム改革([巨大電力会社]×[政府=経産省])、電力自由化の進展を経て[賛否は別にして]、

・これまでは電力の余り分が少なくなったとき(需給がひっ迫したとき)は、供給を拡大するだけであった。需要側の要求とは「欲しいだけよこせ」であった。
・供給側への要求…原発動かせ、老朽原発も再稼働、リプレイスだ、新型炉だ、小型原発だ……キリがない。
・しかし、電力需給ひっ迫を、すぐに供給側の対策に求めることは、今は無理。

・需要があるだけ供給を増やすということで良いのか、という地球環境の問題などを別にしても
電力会社の無限供給 “義務” は、電力自由化の時代にはすでに不可能。

・今は、供給をどんどん拡大することは不可能。
・昔の電力会社は、総額5000億円の原発を何基つくっても、総括原価方式で採算が保証されていた。
・しかし、総括原価方式がほとんどなくなっている今は、それができない。
・多額の投資(原発1基で1~2兆円)をして、回収できない恐れがある。
(電源の確保は、容量市場で行う方向)

・めったに起こらない稀な需要増大に備えるために、普段はほとんど使わないような予備力を用意して備えておくのは、経済的に不合理である(電気料金を高くする)が、かつての時代、地域独占と総括原価方式の時代には、可能であったし、そのようにされてきた。その経験から抜け出せないことから、最大限の供給を求める声は相変わらず根強い。しかし、今ではもう時代錯誤の声としか言いようがない。

[3] 需要を抑制して対応する

・供給を増やせないなら、需要を減らせば良い。
・供給力を増やすばかりが需給ひっ迫対策ではない。
・これからは、需要側が賢く効率的に電力を使用する時代に変わっていく。

・政府の「節電要請」が出ると、世論は、大変だ、電気が足りない、非常事態だ、となりやすいが、間違い。
・普段から節電すれば良い、または、電力の余り分が少なくなったときに、節電すれば良い。節電上等。

┌─────────────(以下、「日経エネルギーNext」安田陽さん、京大)
「お願い」ベースの節電は不確実、電力市場を活用したDR(デマンドレスポンス、「需要側の制御」)を。→こちら
└─────────────

・経済的にも合理性のある需要抑制の方法がある、その制度化が必要(→ネガワット取引など)。
・「ネガワット取引」とは、アグリゲーター(仲介業者)等との事前の契約に基づき、電気のピーク需要の・タイミングで節電を行う、インセンティブ型(報酬などの動機付けがあること)のDRのこと。

・また、リアル発電所ではなくて節電所を!!(パク・スンジュン=朴勝俊さん、関西学院大)
・一定の条件下で100万人が各自(中小工場、商店、家庭ごとに)1kW(=1000W)節電する節電所ができれば、100万kW=原発1基分の需要抑制。

┌─────────────(以下、「日経エネルギーNext」安田陽さん)
この3月22日、東京および東北エリアで電力需給ひっ迫が発生したが、あくまで稀頻度の事象(地震による発電所の停止と急激な寒波到来)。しかも、東電PGの公開資料によると、当日8〜23時までの時間帯で約40 GWh(4000万kWh)の節電協力が得られたとのこと。1時間ごとのデータを見てみると、需要の大きな17時台に約5GW(500万kW)、原発5基分の出力に匹敵する量を需要側で対応。これは良い意味で驚異的な実績と言えるでしょう。
└─────────────

・広範囲に分散する小規模な電源をまとめて、コンピュータで総合的に管理する現代(明日)では、
電源=供給側の対策ではなく、需要側の対策こそ重要。

・需要側の対策とは次の二つ。

(1)需要側で実施するDR。

(2)断熱などの「省エネルギー」=エネルギー消費の効率化。個人レベルの我慢や努力ではなく、消費抑制でもなく、エネルギー効率のよい機器やシステムに更新すること。

・地球環境のためにも、エネルギー消費をより効率的にすることが大切。
(エネルギー消費を拡大するのではなく、減少させる方向へ)

ネガワット取引(資源エネルギー庁による)…アグリゲーターは電力会社が兼ねることも

[4] 補足説明

(1)経産省の誘導で、完全なフェイク報道がまかり通っている
  ↓ 一例
NHK クローズアップ現代(2022年6月13日)→こちら
  ↓ そのタイトル
「日本は停電がいつ起きてもおかしくない、“途上国”になってしまった」
経済産業省の幹部のひとりがこう打ち明けました。
いま、日本には電力が足りていない―
↑ 恐ろしいフェイク宣伝。節電要請をするのが途上国だって?? 笑ってしまうが、大問題。

(2)総括原価方式による規制料金は、いずれなくなる

・2020年4月から予定されていた電気料金の全面自由化は、新電力のシェアが小さかったため、見送られた。このことからも分かるように,電力産業において,関電など大手電力の支配力は依然として強大。
・新電力(複数社)のシェアが、大手電力に対抗できるほど十分に大きくなるまでは、規制部門の電気料金(経過措置料金、総括原価方式による規制料金)は、存続することになっている。しかし、いずれ、電気料金の規制料金はなくなり、すべて自由料金になることは確定している。
・なお、関西電力送配電株式会社などが課す託送料金には、地域独占と総括原価方式が適用される。ここで、発電部門と送配電部門がきちんと区別されているかどうかの問題が関係してくる。

(3)容量市場の目論見

・電力自由化で総括原価方式がなくなると、原発の維持費などが十分に支えられなくなる。そこで考えられたさまざまな支援策、つまり実質的な補助金政策の一つが容量市場。
・容量市場は発電会社が持っている設備能力(容量・kW)を売買する仕組み。老朽化した石炭火力や原発による電力容量も同じ価格で買い取られ、温存につながる。初めて入札された落札価格は高騰し、再エネを調達する新電力にとっては負担となる。そして、その費用はいずれ国民負担となる。
・原発を新規建設して容量市場で売りに出して資金を確保することも可能だが、計画から完成まで10~20年とかかる上に、かつて1基5000億円だったのが、今や1~2兆円に高騰していて、電力会社は新規建設には、手が出せなくなっている。しかし、老朽原発の維持費を確保する程度は可能。
・火力発電所の新規建設には通常、計画・アセスメント後から3~4年かかるが、先行きの見通しが立たないと事業は進められないので、あらかじめ4年後の発電能力を取引することでそれを担保しようというのが、容量市場の第一の目論見とみられる。

・以下は、eシフト事務局 吉田明子さんの発言
 
そもそも国が容量市場を導入した大義名分が電力容量不足なので、それについて精査が必要です。現在、電源は余っていますし、将来的にも、適切な対策をとれば電源不足にはなりません。東北大学の環境科学者、経済学者である明日香壽川(あすか・じゅせん)教授は、さまざまなデータを分析し、将来、電力の供給力が問題となる可能性は低く「日本では容量市場は不要」と結論づけています。理由は、さらなる省エネや再エネ普及強化に加え、電力の地域間融通やデマンドレスポンス、需給調整契約、蓄電機能の強化などさまざまな方法で需給バランスをとることが可能だからです。それらを実施しないまま、あえて容量市場が選ばれました。

(4)原発を支援する政策の例

・容量市場…下の [5] に説明

・会計制度
…原発優遇、ゴミの使用済み燃料を資産にするとか。
(原発を一挙に廃炉にすると電力会社が損金で破綻するので、それは無理とか言う人もいるが、そんなことは勝手な法律を作ってどうにでも解決できる)
金森 絵里『原子力発電と会計制度』によれば、原子力発電工事償却引当金、使用済燃料再処理等(準備)引当金、原子力施設解体引当金、特定放射性廃棄物拠出金および 2013 年および 2015 年に制度化された廃炉に係る会計制度における問題点を指摘。各種引当金に算入する範囲に、何を含め、何を含めないかが、会計制度上、たえずに問題となっている。また「2013 年報告書では、本来ならば減損するはずの資産を資産計上し、減価償却費を続ける理由として、料金による回収を前提としている・・・言い換えれば、本来、電気事業会計を基礎として電気料金が算定されるはずであるのに、2013 年報告書においては、電気料金の算定があってはじめて電気事業会計が成り立つという考え方が取られている。」という。参考…書評 今福 愛志[日本大学名誉教授、会計学]日本大学経済学部 経済集志 2019年版 第89巻 第2号)

・託送料金
…その中に、賠償負担金、廃炉円滑化負担金、電源開発促進税を入れている(再生可能エネルギー発電促進付加金も入っているが、これは未来への投資)。託送料金は、全国民が負担。なお、託送料金は、地域独占と総括原価方式の中で決められている。

(5)その他

安田陽…京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 特任
教授

・朴勝俊 パクスンジュン…関西学院大学 総合政策学部 総合政策学科 教授。
環境経済学。
節電所については、緑の党が詳しく説明しています(節電所=ネガワット=DR)。

[5] 容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益

ここの内容は、下記サイトを参考にしたものです。

飯田哲也さんのサイト
原子力資料情報室
eシフト

容量市場…4年後の発電容量を確保するために、オークションを開く。2020年7月、第1回目の募集容量は、合計約1.8億kW。上限価格は1万4,138円/kWとされた。オークション後に公開された入札結果=約定価格はほぼ上限価格の1万4,137円/kWであり、業界に大きな衝撃。

なお、容量市場で指標価格を決めるのは、CCGT(複合サイクルガスタービン発電、コンバインドサイクル発電)の発電所建設を基準にしている。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。廃熱回収サイクルにより熱効率が60%以上と高効率。原発新設の費用が考慮されているわけではないので、原発について言えば、容量市場は既存原発への補助金となる。

売り手は発電所を保有する発電事業者。電源ごとに参加する・しないを決めることができる。

買い手は、電力システム改革で設立された電力広域的運営推進機関(OCCTO=オクト)。

OCCTOの買取費用は、各小売電気事業者が支払う。年間のピーク容量時点での利用割合に応じて負担、また送配電事業者も一部負担する。こうした費用は、最終的に電気料金や託送料金として消費者が支払わされることになる。

ただし、発電と小売の9割近くを占める大手電力は、両者が1つの会社内であるため、「右手」(小売部門)から「左手」(発電部門)への費用移動でしかないが、2016年4月の電力小売全面自由化後におよそ600社が誕生した新電力にとっては、ほぼ純粋な負担増となる。

新電力のシェアは約16%だから、1,600億円から2,400億円もの費用が、新電力から大手電力への移転となり、競争上、大手電力が有利な条件となる。

2020年の約定価格=1万4,137円/kW の場合、例えば、東海第二原発(売りに出たとすれば)105.6万kWが設備容量のため、2024年の1年で、約149億円を容量市場から得ることができる(そのとき、動いていないとダメだが)。

再稼働している大飯原発(3号機・4号機ともに118万kW)の場合、前記の約定価格なら、1基あたり166億円……経過措置後の計算では 112億円もの容量収入との計算となる。文字どおり「棚ぼた利益」。

ただし、2020年の場合、経過措置(2029年まで)があって、約定価格の総平均は 9534円/kWとなる。2021年は、制度の変更もあり、経過措置考慮後の総平均は、3,109円/kW と低下した。

2022年度は、現在進行形。結果は、まだかな?

いずれにしても、発電設備を持っている大手電力(発電総量の90%近く=数字は要確認=は大手9電力が保有)にきわめて有利。大手電力の発電設備は、総括原価方式の中で、消費者全員の負担で建設されたものであり、その設備を大手電力が独占しているのが、大きな問題。

【右手と左手の関係】

「右手」(小売部門)と「左手」(発電部門)の関係にも大きな問題。
 
発送電分離の次は「発販分離」

【電力のエネルギーとしてのkWh価値】

電力のエネルギーとしてのkWh価値は、以下のように計算できる。

2022年1~2月の電力卸売市場では、20円/kWh程度でした。
118万kWの大飯原発、1基を、1年間、24時間×365日動かして、
全量を卸売市場に売り入札に出したと仮定すれば
(社内取引、社外との相対取引などがあって実際は全量は出していない)
20円×24×365×118万=2067億3600万円…kWhの売上げ

上記のほかに、大飯原発1基は、容量価値として、経過措置後で112億円(2024年度の1年間)を受け取るわけです(ただし、大飯原発が容量市場に売り入札に出されたかどうかは、非公開)。

[6] 容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益–(2)

容量市場の件で、追加。
・容量市場で指標価格を決めるのは、CCGT(複合サイクルガスタービン発電、コンバインドサイクル発電)の発電所建設を基準にしています。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた二重の発電方式。廃熱回収サイクルにより熱効率が60%以上と高効率(原発は30%)。

・原発新設の費用が考慮されているわけではないので、原発について言えば容量市場は既存原発への補助金となります。

・原発新設で指標価格をつくってみると、どんな数字になるか。
興味はありますね。

[7] 容量市場の大幅改変で原発新設、リプレースを後押し

引き続き、容量市場の情報です。
・前の「容量市場は大手電力にとって棚ぼた利益–(2)」に書いたように

> 容量市場は既存原発への補助金

であって、新規原発の建設を後押しするような制度設計にはなっていません。

・しかし、今、流れは変わりつつあります。
・経済産業省・資源エネルギー庁は、電力逼迫を奇貨として、電力の供給力アップに力を入れています。安定供給の錦の御旗の元、カーボンニュートラルに隠れて、原発の推進を念頭に置いた制度を設計しているのです。

・電源確保を目的とする容量市場は、現行の制度では、原発新設、リプレースには対応し切れていません。そこで、経済産業省・資源エネルギー庁は、固定費回収の予見可能性を確保して脱炭素電源(ここに原発が含まれる)新設を後押しする新制度について、議論を進めています

(2022/6/23 電気新聞 TOPニュース。「脱炭素電源の固定費回収、供給開始期限を設定/来年度入札へ主要論点消化」)。電力労働運動近畿センターのML【電気新聞デジタル情報】220623 には何故か取り上げられていなかったのですが、重大なニュースだと思います。

・それによると、運転開始前の案件を入札対象とし、電源種ごとに期限を設定して、それまでに供給力提供を求めることにしています(ただし、達成できなければペナルティーが科される)。新制度の名称は「長期脱炭素電源オークション」として、2023年度の初オークションをめざすとしているようです。

・新制度での容量支払は複数年となり(現行制度は1年のみ)、入札から運転開始年度までの期間を電源によって多様化し、長期化しています(現行制度は4年後のみ)。新制度の開始期限は、原発は17年後の開始を設定していることを明示していることから分かるように、原発新設、リプレース推進制度であることは明白です。

資料は、以下をご覧ください。
(1)電気新聞
(2)資源エネルギー庁の資料、2022/2/17
(3)資源エネルギー庁の資料、2022/5/25

【注意】以上の内容は、電氣新聞の概略報道と過去の資源エネルギー庁の資料によるものなので、今後、資源エネルギー庁から発表される内容(PDFファイル、近々発表されるはず)を読んでみないと確定的なことは言えない点に留意ください。