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◆原告第67準備書面
第2 地盤は堅硬ではないこと

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

目次

第2 地盤は堅硬ではないこと

1 基本的な誤り
2 「軟質化し軟らかい」CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとはいえないこと
3 RQDの値が低く「普通」水準にも遠く及ばないこと
4 最大コア長の平均値が小さく堅硬な岩盤とはいえないこと
5 P波速度が場所によって大きく異なっており堅硬でないことを示すこと
6 岩級区分・RQD・最大コア長・地震波伝播速度の各検討結果に整合性があること
7 平成28年2月の事業者ヒアリングにおける被告関西電力の説明
8 まとめ

 


第2 地盤は堅硬ではないこと


 1 基本的な誤り

  (1)被告関西電力の主張

被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤が堅硬であることの根拠として,まず,地質調査の結果RQDは高くないものの細粒石英閃緑岩及び輝緑岩そのものは堅硬で節理が密着していること(10頁以下),岩盤を構成する主要な岩石の種類が硬岩であること(13頁以下)を挙げている。

しかし,次のとおり,岩石が堅硬であることは岩盤が堅硬であることを意味しない。

  (2)岩石が堅硬であることは岩盤が堅硬であることを意味しないこと

「同一種類の硬岩の岩盤であっても,風化や変質を受け,あるいは亀裂,節理及び破砕帯等が存在する場合には,その堅硬度合いには若干の違いが生じ得る」(16頁)と自認せざるを得ないように,岩盤の強度は,不連続面[1]によって決まる。とりわけ硬岩の場合,軟岩に比べて不連続面の与える影響が大きい。

これらの点について,日本材料学会編「岩の力学」(甲506号証[873 KB])は次のとおり述べる。

「岩盤は大小様々の不連続面(地質学的分離面)を含んだ複雑な構造体である。岩盤の力学挙動は,構成母岩材の材料特性と不連続面の配置状態およびそれら不連続面の力学特性が混ざり合って発揮された結果として具現し,岩石が示すそれとは本質的に異なる。」(445頁)

「鋼構造物のように工場で生産される均質な鋼製品を構造材料とするようなものについては,試験片から構造材料の特性を特定すれば構造物全体の力学挙動は精度よく予測・評価することができる。しかしながら,自然界で形成された岩盤についてはその内部における不連続面の位置,方向,大きさ,連結性,およびそれらの力学特性といったような,岩盤の構造を特徴づけている事柄は完全に特定することはできない。それがために,岩盤については鋼構造物に対するように,構成材料(岩石)の特性を知って目的とする構造物全体の力学挙動を予測するといった力学の図式は単純にあてはまらない。」(445頁)

「一般的に言えることは,軟岩においては,岩質と不連続面の力学的性質の差が少なく,岩質を中心とした評価が可能なのに対し,硬岩では岩質よりも不連続面の影響が大きいため,現地における不連続面の評価が重要となる。」(529頁)

このように,「岩盤の力学挙動は…岩石が示すそれとは本質的に異なる」「岩盤については…(岩石)の特性を知って目的とする構造物全体の力学挙動を予測するといった力学の図式は単純にあてはまらない」(445頁)のである。

[1] 節理,断層,破砕帯〔断層に沿って岩石が破壊された帯状の部分〕,シーム〔破砕帯に付随する岩盤の割れ目〕等

  (3)小括

よって,岩石の種類を根拠に岩盤が堅硬であると述べる被告関西電力の主張が誤りであることは明らかである。

被告関西電力は「ボーリングコア及び試掘坑内から採取した資料について,その他物理試験,超音波速度測定及び力学試験も実施して,岩盤が堅硬であることを確認している」と主張するが(18頁),それらの試験は採取した試料即ち岩石についてのものでしかなく,岩盤そのものの堅硬さを試すものではないから,やはり岩盤が堅硬であることの論拠とはなり得ない。

 2 「軟質化し軟らかい」CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとはいえないこと

  (1)被告関西電力の主張する地質調査結果

被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤が堅硬であることの根拠として,次に,その岩盤は大部分が電研式岩盤分類におけるCH級であるかのように見せかけた上で(丙28・14頁[13 MB]同196・11頁[19 MB]),岩質が堅硬であること,そうした堅硬な岩盤が著しい高低差なくほぼ水平に広がっていること,を挙げる(16頁以下)。《図省略》

そこで,この点について述べる。

  (2)ボーリング柱状図(被告関西電力の主張する地質調査結果の原データ)

被告関西電力が大飯発電所建設前に実施したボーリングの柱状図が丙178・6-3-588頁[11 MB]以下に掲載されている。例としてNo.1157孔の柱状図の一部を次頁に引用する(同608頁[11 MB])。《図省略》

  (3)実際にはCM級が約37%を占めていること

   ア No.1157孔
このうち「岩級区分」[2]を読み取り図化すると,例えば先に示した柱状図と同じNo.1157孔について以下のとおりとなる。《図省略》

オレンジ色で表されるCM級が深部まで分布しており,標高0m以深では厚さにして全体の27.9%がCM級となっている。また、断面図(前掲〔5頁〕。丙28・14頁[13 MB]同196・11頁[19 MB])に記載されていない標高-200m以深では約-266~-282mに厚さ16mに及ぶCM級の層が存在している。

[2] 電研式岩盤分類について丙307[2 MB]・101頁。
CH級:造岩鉱物および粒子は石英を除けば風化作用を受けてはいるが岩質は比較的堅硬である。一般に褐鉄鉱などに汚染せられ,節理あるいは亀裂の間の粘着力はわずかに減少しており,ハンマーの強打によって割れ目に沿って岩塊が剥脱し,剥脱面には粘土質物質の薄層が残留することがある。ハンマーによって打診すれば少し濁った音を出す。
CM級:造岩鉱物および粒子は石英を除けば風化作用を受けて多少軟質化しており,岩質も多少軟らかくなっている。節理あるいは亀裂の間の粘着力は多少減少しておりハンマーの普通程度の打撃によって,割れ目に沿って岩塊が剥脱し,剥脱面には粘土質物質の層が残留することがある。ハンマーによって打診すれば多少濁った音を出す。

   イ 敷地全体
同様にすべてのボーリング柱状図について「岩級区分」を読み取り図化すると,次のとおりとなる。《図省略》

オレンジ色で表されるCM級が深部まで,かつ相当程度の割合で存在していることが見て取れる。

そこで各岩級の層の厚さが占める割合を算出すると,次頁の表のとおりとなる《表省略》。標高0~-150mの範囲では全体の約37%(累計約55m)がCM級以下の岩級となっており,堅硬さの劣るCM級以下の岩盤が全体の1/3以上を占めているのである。
さらに,ボーリング孔の位置による岩級分布の違いが顕著となっている。すなわち、まず3、4号炉の北西側に位置するNo.1153~1156孔4本を平均するとCM級以下が31.3%となり,次に炉心直下のNo.1157、1158孔を平均すると33.1%に増加し,さらに南東側のNo.1159~1162孔では47.7%とさらに増加しているのであり、北西側から南東側にCM級以下が増加し、岩盤が弱くなっていることが読み取れる。特に南端のNo.1159孔は半分以上の53%がCM級以下である。

この標高-150mまでの岩級分布による北西側から南東側への岩盤の劣化傾向は、後述のシームの分布密度やP波速度の場所による変化の傾向と一致しており,深部でも南東側で地震波速度が低下していることを示している。

  (4)まとめ

前述のとおり被告関西電力は,大飯原発敷地の岩盤の大部分はCH級であると見せかけるように下図を引用している(丙28・14頁[13 MB]同196・11頁[19 MB])。《図省略》

しかし実際には全体の1/3以上が電研式岩盤分類において「多少軟質化しており,岩質も多少軟らかくなっている」(丙307[2 MB]・101頁)CM級であり,孔によっては半分以上を占めていることが明らかとなった。上図は事実に反する。そして上記のとおり,これは被告関西電力の作成したデータ(丙178・6-3-588頁[11 MB]以下)を分析した結果である。

よって,堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとの被告関西電力の主張は事実に反している。被告関西電力が引用している上図も岩級を正確に表現したものではなく,恣意的に作成されたものである。

被告関西電力が原子力規制委員会に提示した岩級区分に関する情報が事実に反する以上,同委員会が被告関西電力の言い分を是認しているとしても(準備書面22[4 MB]・22頁),そのことが何らの意味を持たないことは明らかである。

 3 RQDの値が低く「普通」水準にも遠く及ばないこと

(1)岩盤の堅硬さについて定量的評価を可能とするRQDの値

1項で述べた通り,岩石の種類は岩盤が堅硬であることの論拠とならないのであるが,では,どのような指標により判断されるか。それがRQD[3]の値であり,これによって岩石の砕けやすさと岩盤の不連続面の頻度に関する情報を得ることができる(甲507[158 KB])。CM級などの岩級は定性的な分類であるため試験者の技量・経験など主観による個人差が含まれる面も否定できないが,RQDによれば個人差を排し定量的評価が可能となり,岩盤の堅硬さを示す客観的指標となる。

この点,被告関西電力は「R.Q.D.は高くないが」(準備書面22[4 MB]・12頁)と,RQD(Rock Quality Designation)の値が低いことを自認しつつ,それを等閑視するが,岩盤の物性に関する定量的・客観的指標を無視するものであって不当である。

[3] Rock Quality Designation

  (2)RQDの意義

RQDは,準備書面22[4 MB]脚注9のとおり,ボ-リング1m区間毎の10cm以上のコア[4]長の総和を%で表す。式で表せば以下のとおり(甲507[158 KB])。

RQD=Σ(10cm以上のコア長)%

これにより不連続面の多寡を定量的に客観的指標として表すことができるため,岩盤の質を主観を排して判定することができ,50%~70%が「普通」,75%以上が「良好」,90%以上が「非常に良好」とされる(★甲506・541頁)。

上記のとおり被告関西電力は「R.Q.D.は高くないが」(準備書面22[4 MB]・12頁)と述べながら,ではその高くないとするRQDの値がどの程度なのかを一切示していない。RQDの値が小さいということは岩盤に亀裂が多くそれだけ脆弱であるということであり,地震伝播速度も小さくなる[5]

そこで,被告関西電力が意図的に明らかにしないRQDの分布について検討する。

[4] 地盤の状況を調査するためのボーリング調査によって得られる円柱状の土壌や岩石片
[5] 被告関西電力も「RQDが小さい深度及び孔径が大きい深度,つまり割れ目が多く,地質的に脆弱な深度においてVpと密度の低下が確認された」と述べ,断層破砕帯が存在しRQDが小さい層が低速度層であることを認めている。

  (3)大飯原発敷地のRQDの値は「普通」の水準にも遥かに及ばないこと

   ア 大飯原発敷地のボーリング柱状図のRQD
以下は4号炉直下のNo.1157孔のRQD等の値である。《図省略》

RQDの大部分は「普通」にも充たない50%以下であり,岩盤が脆弱であることが示される。

特にCM級の層のRQDは小さくなっており,両者の相関性は高い。

   イ ボーリング柱状図のRQDの深度毎の比較
提示されている10本すべてのボーリング柱状図のRQDは次図のとおりである。《図省略》

これを元に標高0m以下の層のRQDの平均値をまとめると次頁の表のとおりとなる。《表省略》

すべてのRQDの平均値は(28.7±25.1)%であり,全体としてみても不連続面の多い「普通」以下の岩盤ということになる。

また,RQDは深さ方向に数~数十mの幅で増減しており,かつボーリング孔の位置によってRQDの小さい層の深さが異なっている。これは、断層破砕帯がシームを伴って高角度で沈み込み、それぞれのボーリング孔とは異なる深さで斜交していることを反映したものと考えられる。

さらに,炉心の北西側(孔番No.1153~1156)、炉心位置(孔番No.1157~1158)、南東側(孔番No.1159~1162)の平均値(標高0~-150m)を見ると,RQDの平均値は、北西側の33.6%から、炉心直下の27.8%、南東側の22.6%へと系統的に著しく減少している。これは、北西側から南東側へ岩盤の不連続性が増していること、すなわち亀裂の頻度が増していることを表している。

  (4)RQDから示されるP波速度の場所による変化

上記のとおり,RQDの値が小さいということは不連続面が多いということであり,それだけ地震波速度が遅くなるということである。

次頁の図は,3,4号炉建屋を含む240m×130mの直下における,各ボーリング孔の深さ25mごとの平均値を内挿して得たコンター図である《図省略》。RQDの彩色表示のスケールは同じで、RQD大(速度大に相当)が緑、黄から赤にかけてRQD小(速度小に相当)となる。また、ボーリング孔の位置が茶色の点で示されている。

ボーリングが10地点でしか行われていないものの,それぞれの図の上部(北西側)でRQDが大きく=速度が大きく,下部(南東側)で小さい=速度が小さいという傾向は、概ね共通する。

 4 最大コア長の平均値が小さく堅硬な岩盤とはいえないこと

次に最大コア長[6]の分布について検討する。

最大コア長もRQDなどと同じくボーリングコア観察において検討される要素の一つであり,コアの形状(長さ)のイメージは次図のとおりである《図省略》。

各ボーリング孔における最大コア長の平均値は次頁の表のとおりである《表省略》。

標高0~-150m区間ではボーリング孔によって最大コア長の平均値が12.5~18.8cmに分布しており、全体の平均値は16.0cmである。最大コア長の平均値がこれであるから,採取されるコアはさらに短く,平均コア長はより短い。

電研式岩盤分類によれば,CM級の岩盤の「コアは10cm前後」とされており(次頁の表《表省略》),上記のとおり,被告関西電力が示している図(丙28・14頁[13 MB]同196・11頁[19 MB])とは異なって大飯原発敷地にCM級が広く分布しているとの分析結果と整合している。

さらに,炉心の北西側(孔番No.1153~1156)、炉心位置(孔番No.1157~1158)、南東側(孔番No.1159~1162)の平均値(標高0~-150m)を見ると,最大コア長は、北西側の18.0cmから、炉心直下の16.2cm、南東側の13.9cmへと系統的に大きく減少している。これは、北西側から南東側へ岩盤の不均質性が増していること、すなわち亀裂の頻度が増していることを表している。

岩級区分分布やRQDの値などと同じく、最大コア長の分布という観点から検討しても、深部まで南東側で岩盤が劣化して地震波速度が低下していることが示されている。

[6] 1m区間ごとに採取されたコアの最大の長さをセンチメートル単位で記したもの

 5 P波速度が場所によって大きく異なっており堅硬でないことを示すこと

  (1)地盤の堅硬さと地震波伝播速度との関係

地盤が堅固であれば地震波伝播速度は大きく,堅固でなければ同速度は小さい。

そうすると,被告関西電力の主張するように堅硬な岩盤が著しい高低差なくほぼ水平に広がっているのであれば,大飯原発の敷地において,地震波の伝播速度にほとんど違いは生じないはずである。

  (2)東に向かうほどP波速度が低下していること

しかし現実には,P波速度は西(図の左上)から東に顕著に低下しており,4号炉の炉心下では4.3~4.5km/sであるが,3号炉の炉心下では3.8~4.0km/sと,大きな違いがある(原告第56準備書面[924 KB]5頁,12~13頁,甲422・付図42の下の図)《図省略》。この結果は,岩盤が均質ではないこと,特に3号炉炉心下の岩盤が相当堅硬でないことを示してもいる。

3号炉・4号炉地下の破砕帯及びシームの分布図は,前頁の上の図(甲422・付図42の上の図)のとおりである《図省略》。

  (3)P波速度からも岩盤が堅硬でないことが明らかであること

両図を合わせ見れば,西方向から東方向へのP波速度の低下と破砕帯及びシームの分布との関係性は明らかであり,特に東側において破砕帯等が多く存在し堅硬な岩盤でないことを示している。

被告関西電力も「試掘坑内の平均速度法による弾性波試験結果は,第3.5.114図に示すようにP波速度は3.0km/s~5.2km/sで平均値4.3km/s,変動係数7.0%である」(丙178・添付書類六 地盤構造に関する図面[11 MB],6-3-128頁)とP波速度に大きなバラツキがあることを認めており,このことは,岩盤が均質でないことを裏付けているといえる。

 6 岩級区分・RQD・最大コア長・地震波伝播速度の各検討結果に整合性があること

上記の各検討結果のいずれも,大飯原発敷地の北西側から南東側にかけて岩盤の脆弱化(亀裂の増加)・地震波速度の低下があることを示しており,整合的である。

 7 平成28年2月の事業者ヒアリングにおける被告関西電力の説明

上記のとおり被告関西電力は,平成28年2月の事業者ヒアリングでは「試掘坑内の平均速度法による弾性波試験結果は、第5.110図に示すようにP波速度は3.0km/s~5.2km/sで平均値4.3km/s、変動係数7.0%である」(丙178・添付書類六 地盤構造に関する図面[11 MB],6-3-128頁)と説明していた。

然るに,①まずP波速度に3.0km/s~5.2km/sと倍近い開きがあるのにこれを無視し,②次に「平均値4.3km/s」と説明しているにもかかわらず基準地震動評価用の地盤モデルでは何の留保もなく表層のP波速度を4.6km/sとしている。岩盤が堅硬であるほどP波速度は大きくなるのであるから,被告関西電力は,自身の説明を超えて地盤がより堅硬であると根拠なく修正しているのである。

 8 まとめ

大飯原発敷地の岩盤が堅硬であるとの被告関西電力主張の論拠は,上記のとおり,地質調査の結果判明した岩石が堅硬であること(10頁以下),岩盤を構成する主要な岩石の種類が硬岩であること(13頁以下),CM級以上の岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっていること(16頁以下)の3点である。

しかし,前二者の「岩石」が堅硬であることは「岩盤」が堅硬であることの論拠となり得ないことから,実質的には後者のみが論拠ということになる。然るに,その点について被告関西電力が行ったボーリングコア等の原データを分析すれば,CM級以上の岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているという事実は認められない。それどころか「普通」にも遥かに及ばない脆弱とすらいえる岩盤であることは明らかである。

よって,大飯原発敷地の岩盤が堅硬であるとの被告関西電力の主張は論拠がなく,失当である。

◆原告第67準備書面
第1 被告関西電力の主張

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

目次


第1 被告関西電力の主張

被告関西電力は,準備書面22[4 MB]において,大飯原発敷地の地質調査の内容及び調査結果を述べた上,地質構造上,そもそも敷地が堅硬な岩盤で構成されていること,かかる堅硬な岩盤が著しい高低差無くほぼ水平に拡がっていると主張している。

そこでは断層破砕帯の存在には一切触れられておらず,原告らの主張を「些末な指摘」(5頁)と等閑視し,繰り返し強調されるのは原子力規制委員会で被告関西電力の見解は適切と認められている,との点である。

そこでこの点について反論する(全体として甲510[2 MB])。また,同準備書面のその余の点に対する反論は追って別書面にて行う。

◆原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-
目次

原告第67準備書面
-被告関西電力関西電力準備書面(22)に対する反論等-

2019年11月22日

原告提出の第67準備書面[2 MB]

目次

第1 被告関西電力の主張

第2 地盤は堅硬ではないこと
1 基本的な誤り
2 「軟質化し軟らかい」CM級が広く分布しており堅硬な岩盤が大きな高低差なくほぼ水平に広がっているとはいえないこと
3 RQDの値が低く「普通」水準にも遠く及ばないこと
4 最大コア長の平均値が小さく堅硬な岩盤とはいえないこと
5 P波速度が場所によって大きく異なっており堅硬でないことを示すこと
6 岩級区分・RQD・最大コア長・地震波伝播速度の各検討結果に整合性があること
7 平成28年2月の事業者ヒアリングにおける被告関西電力の説明
8 まとめ

第3 被告関西電力が等閑視する断層破砕帯は地震動に大きく影響すること
1 断層破砕帯が存在することについては争いがないこと
2 断層破砕帯が地震動に与える影響を考慮しなければならないこと
3 断層破砕帯の存在は考慮されておらずその影響も検討されていないこと
4 岩質が堅硬であるとの被告関西電力の主張について

◆本訴請求の一部取下げについて

本訴請求の一部取下げについて

2019(令和元)年11月28日

本訴請求の一部取下げについて[122 KB]

  1.  被告関西電力株式会社は、平成30年3月1日をもって大飯原子力発電所1号機と2号機を廃止し、これにともない電気事業法27条の27第3項にもとづく発電事業の変更の届出を行い、これにより、大飯原発1号機と2号機については、本件訴訟の差止請求の対象となる発電事業そのものが存在しないことになった。そこで、原告らは、本訴請求のうち、大飯原発1号機及び2号機の運転差止を求める請求を取り下げることにするものである。

    しかし、大飯原発1号機、2号機の廃止は、原告らが本件訴訟の中で主張してきた、大飯原発の再稼働が技術的にみて安全な運用を確保できないことを、被告関西電力自身が認めざるを得なかったことを物語るものであり、その意味では、原告らの大飯原発1号機、2号機の差止めを求める請求を事実上認諾するに等しいということができる。

    このように見てくると、原告らが本件訴訟で大飯原発の再稼働の危険性を指摘してきたことは、きわめて真っ当なことであり、その主張の正当性が客観的に裏付けられたことを意味するものであり、その点で、きわめて重要な意味をもっているといわなければならない。

  2.  その一方で、関西電力は大飯原発3号機と4号機については、いまだに再稼働を進める方針を変えていない。しかし、最近の新聞報道等によって明らかになったことであるが、関西電力の代表取締役などの役員が福井県高浜町の元助役から、2億円とも3億円ともいわれる多額の金銭の提供をうけている事実が発覚している。こうしたことからいえば、関西電力の大飯原発3号機、4号機の再稼働の方針は、原発の安全性の客観的な評価にもとづくものではなく、経済的金銭的利害にもとづくゆがめられた誤った判断であることが強く疑われるといわなければならない。

    そうだとすると、まさに貴裁判所こそが国民の負託と信頼にこたえて、大飯原発3、4号機の再稼働の危険性を軽視する関西電力の誤った経営判断とそれに放置している国の対応をきびしく批判して、運転差止を命ずる判決を下すことがま何よりも求められていることであり、それは8年前のあの福島原発事故の悲惨きわまりない悲劇をくり返さないために必要不可欠なことであるといわなければならない。

    この点、直近の時期には、被告関西電力の幹部職員が高浜原発の立地自治体である高浜町の元助役から多額の金品を受けとっていたことが明らかになっている。一方、被告関西電力がこの元助役の在任中に町に多額の寄付金をしたり、元助役の関連会社に多額の工事を発注したりしていたことも明らかになっている。被告関西電力の行為は、電力消費者に対する背信行為であり、このような不正行為を行っていた関西電力が、原発の審査では不正を行わない、という根拠は無い。被告関西電力が原発を運用する資格がないことは明らかである。

原告らは、ここにそのことをあらためて指摘したうえで、本訴請求のうち、大飯原発1号機及び2号機の運転差止めを求める請求を取り下げるものである。

以上

◆第24回口頭弁論 原告提出の書証

甲第497~500号証(第64準備書面関係)
甲第501号証(第65準備書面関係)
甲第502~505号証(第66準備書面関係)



証拠説明書 甲第497~500号証[73 KB](第64準備書面関係)
(2019年7月26日)

甲第497号証[1 MB]
意見書(基準地震動評価のための強震動予測について一後追い予測における不確かさ-)(赤松純平)

甲第498号証[85 KB]
朝日新聞記事(朝日新聞社)

甲第499号証[1 MB]
活断層を調べる~トレンチ調査の紹介~(二階堂学)

甲第500号証[272 KB]
反訳文(NHKラジオ)(弁護士島田広)

証拠説明書 甲第501号証[48 KB](第65準備書面関係)
(2018年7月26日)

甲第501号証[131 KB]
口頭弁論要旨(原告 太田歩美)

証拠説明書 甲第502~505号証[76 KB](第66準備書面関係)
(2018年7月26日)

甲第502号証[2 MB]
いのちを守る『知恵』をはぐくむために~学校における安全教育の手引~―原子力防災編―」(京都府教育委員会)

甲第503号証[1 MB]
京丹後市地域防災計画・原子力災害対策編(京丹後市防災会議)

甲第504号証[1 MB]
京丹後市原子力災害住民避難計画(京都府教育委員会)

甲第505号証[118 KB]
口頭弁論要旨(原告近江裕之)

◆第24回口頭弁論 意見陳述

太田歩美  近江裕之



口頭弁論要旨

原告 太田歩美

太田歩美 意見陳述[131 KB]

私は、太田歩美と申します。日本全国では、福島第一原発事故に関して1万人以上の方が国と東京電力への損害賠償を求める裁判を起こしています。私はそのうち大阪地方裁判所で提訴している集団訴訟の原告240名のうちの一人でもあります。近畿エリアでは、京都・兵庫・関西と3つの訴訟があり、合計すると500名以上の原告となっています。

福島第一原発事故により、原発から半径20キロ以内を中心とする地域が避難区域と指定されました。しかし実際には避難区域外の避難者がたくさんいて、いまだに避難を続けています。避難区域は、安全性が確認されないまま次々と解除されていますが、避難区域が解除されても避難者が戻らない状況が続いています。特に区域外避難者はほとんど賠償らしきものを受けておらず、そのような避難者が特に関西地方にたくさんいます。

福島第一原発が爆発した約8年前は,私は生まれ故郷である茨城県水戸市で、当時小学1年生の娘と、父、弟と4人で暮らしていました。

地震当初は、水道・ガス・電気とライフラインが全部止まり、食料やガソリン手に入れるために必死だったのですが、そんな中、偶然通じた知人からの電話で原発が危ないということを聞き、避難することにしました。知人からの電話では、アメリカは自国民で日本に滞在している人たちに80キロ圏内から避難するよう指示しているというのです。当時福島原子力発電所からの茨城県の我が家までの距離など知りませんでしたが、80キロなら我が家も距離的に近いと考えたからです。

家族内では父からは「政府が大丈夫と言っているのだから大丈夫だ。それなのに避難するというのであれば二度と戻ってくるな」と怒鳴られ、泣きながらの口論になりました。

地震・事故から6日後に私は娘と二人で鹿児島県に避難しました。放射能も地震もなく、水道水が蛇口から出て、ガスコンロの火も点き、夜も電気の灯りをともすことのできる安全な土地で数ヶ月暮らし、少し気持ちが落ち着いた後に、過去の放射能事故等について調べ始めると、いろんなことが分かりました。空気の汚染だけでなく、土にも放射性物質が落ちて染みこんでいくこと。その土で作られた農作物を食べると、それが体内から放射性物質を出し、内部被曝というものを受けるということ。原発事故後、政府が食品の安全基準値自体を上げたこと。その上げられた基準値をクリアした食べ物が流通していること。
仮にこれらのことが原因で将来病気になったとしても因果関係の証明は難しいでしょう。放射性物質は遺伝子に影響するので、娘が子どもを産んだとしてもその子にも影響があるかもしれません。

そのようなことを知ったため、茨城県には帰らず、長期避難することを決意しました。そのため、元の仕事は辞めざるを得ず、新たに仕事を探すため、大阪に避難先を変えることにしました。仕事のみならず、今まで茨城県で積み上げてきた人間関係も家も捨てざるを得ず、一度リセットしての、全てが一からのスタートです。生活を何とか立て直すために資格を取ろうと学校へ通ったり、そのために借金をしたりしているので、生活は今でも苦しいです。

茨城県に居たら、建てた家もあり、収入が少なかったとしても何とかやっていけました。それに、子どもが熱を出したりしたとき等、父や弟が私と一緒になって子どもを世話してくれていたので、私は外で働くことができていたのです。

何より、私の父や弟と日々の生活を一緒に過ごせないのが辛いです。事故当時小学1年生だった娘はもう高校1年生です。もうその時間は取り戻すことはできないことは頭では分かっていますが、私の子どもの日々の成長を、父や弟と一緒に見守り、助け合いながら過ごしたかったです。茨城県のあの家で父や弟と暮らす日々に戻りたいです。朝「いってらっしゃい」「いってきます」と互いに言い、夜には晩御飯の食卓を4人で囲み、その日あったことをそれぞれ話し、その晩のお風呂に誰が先に入るか話したりするような、普通の生活に戻りたいです。そんな些細なことと思われるかもしれませんが、けれども自分にとってはとても大事な日々の生活でした。それらが奪われたことがただ一重に哀しいです。
また、大阪では茨城県からの避難について理解されませんでした。大阪の人に「茨城県(からの避難)なんて、福島(県)にのっかってるだけやろ」と言われたこともあります。なので、自分が原発事故の影響を恐れての避難しているということは、普段の生活では言わないできました。思い出して説明するだけで精神的に辛くなるし、説明したところで、理解されるのが難しいということは分かっているからです。

福島県と茨城県との県境に壁があるわけではないです。現実に原発事故当初に何の被害もないと言われていた茨城県の北茨城市では、1592人に1人と小児甲状腺ガンの発生率が高いことが分かりました。原発事故前までは、100万人に0~3人の発生率と言われたにもかかわらずです。事故後は桁違いの発生率です。それでも公式には「甲状腺ガンの原因については福島原発事故の放射線の影響は考えにくい」と発表されています。このような発表を私は信じることができません。現に私と子どもは甲状腺検査でA2という判定が出ており、定期的に検査を受けています。

さらに茨城県の実家で使われていた掃除機のホコリを採取して専門家に測定してもらった結果、セシウム137が1キログラムあたり2830ベクレルという高い数値が出ました。事故から7年経った時点の昨年のことです。その土地に父や弟、親類縁者、友人たちが住んでいることを思うと、彼ら彼女らの身体が心配です。自分たちだけ逃げて本当によかったのか、もっと粘り強く説得すべきだったのではないか、後悔の気持ちがぬぐいきれません。

私の現在の避難先である大阪市は、大飯原発から95kmです。

茨城県にある私の家と福島原発との間は130kmでした。

皮肉なことに現在の方がむしろ8年前より原子力発電所との距離は近くなってしまいました。距離が全てではないと分かっていますが、近いのはやはり怖いです。

もし大飯原発で何らかの事故が発生したら、また避難しなければならないでしょう。しかしもう今の私には新しい土地でやり直す気力・体力はありません。いくら健康が大事と言ったって、人間はそれだけで生きていける訳ではないことを身をもって知りました。原発事故以前に母が難病を長く患ったうえで亡くなっていることもあり、健康はお金では買えないし、万が一病気になって苦しい思いはしたくないし、子どもにも痛い苦しい思いはさせたくないと思って、避難を決意しました。「健康を守るための避難」という自分の選択は間違っていなかったと今では思っています。

しかし、縁もゆかりもない土地で一から始めることの辛さは、もう十分味わいました。

健康であったとしても、お金がない、仕事がない、頼る知り合いもいない生活がどんなに不安で心細いかを、知りました。

自分は一生そこに住むつもりであった場所に帰りたいです。しかし放射線管理区域以上の値が出ている土地には、帰りたくてもやはり帰れません。

一度ばらまかれた放射性物質を元に戻すことはできないです。自分たちで管理制御しきれないものを持つべきではないと思います。

裁判所には福島の原発事故の結果、福島県のみならず近隣の自治体にも被害があったことを知って頂きたいです。そして、知った以上、このような思いをする人を二度と出さないために今後どうしたらいいかを一緒に考えてほしいです。それは原子力発電所が54基もある日本ではないはずです。



口頭弁論要旨

2019年8月1日
近江裕之

近江裕之 意見陳述[118 KB]

私は京都府与謝郡与謝野町に住み、京丹後市弥栄町にある府立峰山高等学校弥栄分校で教員をしている近江裕之と申します。私が住んでいる与謝野町石川は、大飯原発から40乃至50キロに位置しており、また勤務している弥栄分校は、大飯原発から52.7キロ、高浜原発からは40.8キロに位置しています。今日は、高等学校で日々多くの生徒を前にしている教職員という立場から、大飯原発の運転差し止めを求める意見陳述をします。
京都府教育委員会が平成27年4月に策定した「いのちを守る『知恵』をはぐくむために~学校における安全教育の手引~-原子力防災編-」によりますと、生徒の在校中に原子力災害が発生した場合、児童・生徒は「早め早めに帰宅又は保護者に引き渡し、自宅の所在する地域の住民として避難すること」が原則になっています。しかし、私が勤務する高校の生徒は、兵庫県まであと少しという久美浜町河梨や、近畿唯一の米軍基地を有する丹後町宇川の久僧、私が住む与謝野町よりさらに大飯原発に近づく宮津市小田など、かなり広範囲から通学してきています。通学手段として多くの生徒が利用しているのは京都丹後鉄道や丹海バスなどの公共交通機関ですが、都会と違い、1時間に1本あればありがたいという僻地ですので、通常でも朝8時50分の始業に間に合うようにと、朝6時過ぎには家を出て2時間以上かけて来ている生徒もいます。そのような状況の中で、仮に原子力災害事故が発生した場合、多くの住民が必死に放射能から遠ざかろうと避難するという混乱の中で、全生徒を速やかに保護者に引き渡すことができるとは到底考えられません。それは道路の状況が自動車が正常に動ける状況だとは思えないからです。

以前、福島から必死で避難されてきた方の話を聞かせていただく機会がありましたが、どの道路も大渋滞、ガソリンも売ってもらえない、たとえ保護者の方が学校に向かわれても、学校に到着されるのに何時間かかるかも分からないのです。また、これまで大雨警報などの発令により、授業を休止して帰宅させたことが何度かありました。しかし、保護者の勤務の関係や交通機関の関係で、夜まで学校に待たされていた生徒が何人もありました。高校生ですから、小・中学生のように保護者の迎えを待たずに自力で帰らせればよいのではと思われるかもしれませんが、公共交通機関が正常に運行しているのかどうかも定かでない中で生徒を帰宅させるのがふさわしい方策とも思えません。また、原子力災害が発生している中で無防備に外に出れば、その間にも生徒らは放射能汚染にさらされるということにもなります。さらに、京都府北部は、冬になれば年に何度も大雪に見舞われます。昨冬は雪が少なくありがたかったのですが、大雪のためにバスがなかなか学校にたどり着かず、始業を1時間遅らせたことも一度や二度ではありません。原子力災害が大雪と重なった場合は、どのようなことになるのか想像するのも恐ろしいです。

平成30年2月に策定された「京丹後市地域防災計画・原子力災害対策編」には、学校施設において、生徒等の在校時に原子力災害が発生した場合、「教職員の指示・引率のもと迅速かつ安全に生徒等を避難させるものとする」としていますが、どのようにすれば迅速かつ安全に避難させることができるのか、それが私には分かりません。

また、府教委策定の「手引」は、「児童・生徒等が帰宅又は保護者への引渡しができなかった場合は、学校の所在する地域の住民として避難し、避難先で引渡」すとしています。そして、私たち教職員の避難については「児童・生徒等を安全に保護者へ引渡しした後に避難する」と規定しています。この規定に従えば、私たち教職員は一体いつ自分の家族を守る行動に出られ、そしていつ我が身を守るために避難できるというのでしょうか。平成25年4月に策定された「京丹後市原子力災害住民避難計画」によれば学校がある京丹後市弥栄町黒部区は、「黒部保育所」を「避難集結場所」とし、その後の避難先については「黒部保育所」において「指示する」とされています。つまり、実際の避難先はその時になりその場所に行って指示されるまで「わからない」のです。そのため避難先を保護者に確実に連絡出来るのかさえ不透明です。

私の娘は現在京都府立宮津高等学校に通っています。宮津高校は高浜原発から30キロ圏内いわゆるUPZ内に位置しているということで、毎年、原子力災害発生時の対応についてどうするかという形式ばかりの文書を保護者が提出しなければなりません。「保護者が迎えに行く」とは返答していますが、妻もフルタイムで福祉関係の仕事をしている関係で、有事の際に本当に迎えに行けるのかはわからないというのが実態です。

また、弥栄分校の同僚には夫婦とも高校教員という家庭が数組あります。その中には子どもさんがまだ小学生という家庭や、保育園児という家庭もあります。保護者としての迎えと、教職員としての保護者への引渡し任務と、一体どちらを優先させるべきなのかというジレンマの中で苦しまざるを得ないのは火を見るより明らかです。もし、我が子の迎えよりも生徒を優先させた場合、我が子が通う小学校や保育園の先生が困ることになります。「手引」にはそうした場合のことは全く想定されていません。

震度7の地震が2011年の東日本、2016年の熊本の2度、そして昨2018年の北海道と、この10年足らずの間に4度も起こっています。福井県で震度7の地震が起こらないとは決して言い切れないのではないでしょうか。しかし、大飯原発は震度7を想定した設計にはなっていないと聞きます。自然災害を防ぐことはできませんが、原子力災害は人間の手で防ぐことができます。原子力災害を二度と引き起こさないためには原子力発電の運転を差し止めて頂くほかありません。京都地裁の英断を心からお願いして、私の意見陳述を終わります。

以上

◆原告第66準備書面
-避難困難性の敷衍(京都府京丹後市における問題点について)-

原告第66準備書面
-避難困難性の敷衍(京都府京丹後市における問題点について)-

2019年(令和元年)7月26日

原告第66準備書面[160 KB]

目 次

1 原告近江裕之について
2 府立峰山高等学校弥栄分校における避難困難性
3「京丹後市地域防災計画・原子力災害対策編」の非現実性


原告第6準備書面において、避難困難性について述べたが、本準備書面で京都府与謝郡与謝野町に在住する原告近江裕之の教職員としての経験をもとに、避難困難性に関する個別事情について述べる。

1 原告近江裕之について

原告近江裕之は、京都府与謝郡与謝野町に住み、京丹後市弥栄町にある府立峰山高等学校弥栄分校で教員をしている。原告近江が住んでいる与謝野町石川は、大飯原発から40乃至50キロに位置しており、また勤務している弥栄分校は、大飯原発から52.7キロ、高浜原発からは40.8キロに位置している。

以下では、高等学校で日々多くの生徒を前にしている原告近江の教職員としての経験をもとに、避難困難性について述べる。

2 府立峰山高等学校弥栄分校における避難困難性

 (1)安全教育の手引き

京都府教育委員会が平成27年4月に策定した「いのちを守る『知恵』をはぐくむために~学校における安全教育の手引~-原子力防災編-」(甲502号証7頁)「Ⅱ 学校における原子力防災対策」には、下記の記載がある。

 3 避難方法の原則
 原子力災害発生時の避難等に対する指標、退避・避難場所、避難時の移動手段等については、事前に学校の所在する自治体の防災担当部局との緊密な連携が必要である。
 (1) 児童生徒等の避難
 ア 早め早めに帰宅又は保護者に引渡し、自宅の所在する地域の住民として避難することを原則とする。

 (2)府立峰山高等学校弥栄分校の事情

原告近江が勤務する府立峰山高校弥栄分校の生徒は、兵庫県付近の久美浜町河梨や、近畿唯一の米軍基地を有する丹後町宇川の久僧、原告近江が居住している与謝野町よりさらに大飯原発に近づく宮津市小田など、広範囲から通学してきている。

通学手段として多くの生徒が利用しているのは京都丹後鉄道や丹海バスなどの公共交通機関であるが、都会と異なり、鉄道やバスは、1時間に1本もなく、通常、朝8時50分の始業に間に合うためには、朝6時過ぎには家を出て2時間以上かけて来ている生徒もいる。普段から、交通の便が非常に悪く、仮に原子力災害事故が発生した場合、道路の状況によっては、さらに移動が困難となることが、容易に想定される。このような地域において、全生徒を速やかに保護者に引き渡すことなど、不可能である。仮に、保護者が、学校に生徒を迎えに来ようとしても、学校に到着すること事態が困難である。

府立峰山高校弥栄分校では、これまで大雨警報などの発令により、授業を休止して生徒を帰宅させたことが何度かあった。しかし、保護者の勤務の関係や交通機関の関係で、夜まで学校に待たされていた生徒が複数にいた。高校生であっても、公共交通機関が正常に運行しているのかどうかも定かでない中で生徒を帰宅させるのがふさわしくない場合も存在する。原子力災害が発生している場合には、無防備に外に出れば、その間にも生徒らが、放射能汚染にさらされるということにもなりかねない。さらに、京都府北部は、冬になれば年に何度も大雪に見舞われる。大雪のためにバスがなかなか学校にたどり着かず、始業を1時間遅らせたことも複数回あった。原子力災害が大雪と重なった場合は、避難は、不可能である。

3「京丹後市地域防災計画・原子力災害対策編」の非現実性

平成30年2月に策定された「京丹後市地域防災計画・原子力災害対策編」(甲503号証[1 MB]44頁)「7学校等施設における避難措置」には下記の記載がある。

 学校等施設において、生徒等の在校時に原子力災害が発生し、避難のための立ち退きの勧告又は指示等があった場合は、あらかじめ定めた避難計画等に基づき、教職員の指示・引率のもと、迅速かつ安全に生徒等を避難させるものとする。

上記のとおり、府立峰山高等学校弥栄分校の事情を踏まえると、「迅速かつ安全に避難」させることなどできない。

「いのちを守る『知恵』をはぐくむために~学校における安全教育の手引~-原子力防災編-」(甲502号証[2 MB]7頁)「3避難方法の原則(1)児童生徒等の避難」として下記の記載がある。

カ 児童生徒等が帰宅又は保護者への引渡しができなかった場合は、学校の所在する地域の住民として避難し、避難先での引渡しとする。その際の避難先までの引率、避難先での引渡し方法等について、学校の所在する地域の防災担当部局と十分な事前調整を行うとともに、保護者とは事前に学校の所在する地域の避難先を確認しておく。

しかし、原発事故の想定などすることは、不可能であり、避難先までの引率、避難先での引渡し方法等について、十分な事前調整など行うことはできない。

また、同手引き(甲502号証[2 MB]7頁)「3避難方法の原則(2)教職員等の避難」として、下記の記載がある。

ア 児童生徒等を安全に保護者へ引渡しした後に避難する。

しかし、このような記載を前提とすると、教職員自身の避難など到底出来ない。

平成25年4月に策定された「京丹後市原子力災害住民避難計画」(甲504号証[1 MB])によれば、府立峰山高等学校弥栄分校がある京丹後市弥栄町黒部区は、「黒部保育所」を「避難集結場所」とし、その後の避難先については「黒部保育所」において「指示する」とされている。

つまり、「黒部保育所」は、一時的な避難場所であり、実際の避難先はその時になりその場所に行って指示されるまで不明である。そのため避難先を保護者に確実に連絡出来るのかさえ不透明である。

原告近江の娘は、現在、京都府立宮津高等学校に通っている。宮津高校は高浜原発から30キロ圏内いわゆるUPZ内に位置しており、毎年、原子力災害発生時の対応に関する文書を提出する必要がある。原告近江は、形式的に「保護者が迎えに行く」と返答しているが、原告近江の妻もフルタイムで福祉関係の仕事をしているため、原発事故が起きた際に、実際には、迎えに行くことは非常に困難である。

また、原告近江の同僚には、夫婦とも高校教員という家庭が数組ある。その中には子どもさんが、まだ小さい家庭が、複数ある。保護者としての迎えと、教職員としての保護者への引渡し任務と、一体どちらを優先させるべきなのかというジレンマの中で苦しまざるを得ないのは明らかです。もし、我が子の迎えよりも生徒を優先させた場合、我が子が通う小学校や保育園の先生が困ることになる。

「いのちを守る『知恵』をはぐくむために~学校における安全教育の手引~-原子力防災編-」(甲502号証[2 MB])はそうした場合のことは全く想定していない非現実的な内容である。

以上

◆原告第65準備書面
-避難困難性の敷衍(原発事故からの避難の実態)-

原告第65準備書面
-避難困難性の敷衍(原発事故からの避難の実態)-

2019年7月26日

原告第65準備書面[114 KB]

目 次

1 原告太田歩美について
2 原告太田の避難の実情
3 大飯原発で事故が起こっても再び避難することは困難である


原告第6準備書面において、避難困難性について述べたが、本準備書面では東京電力福島第一原発事故において、茨城県水戸市から避難している原告太田歩美の避難の経験から、避難困難性について述べる。

1 原告太田歩美について

原告太田歩美は、福島第一原発事故発生時、生まれ故郷である茨城県水戸市で、当時小学1年生の娘と、父、弟と4人で暮らしていた。事故発生後、娘と二人で鹿児島県へ避難し、その後、大阪市に避難して、現在も避難生活を送っている。

原告太田は、福島第一原発事故について国と東京電力への損害賠償を求める集団訴訟を大阪地方裁判所に提訴している原告240名のうちの一人である。

2 原告太田の避難の実情

(1)東日本大震災が発生した当初、原告太田が居住していた茨城県水戸市においても水道・ガス・電気とライフラインが全部止まり、原告太田も食料やガソリンを手に入れるために必死の状況であった。かかる状況の中、原告太田は、知人からの電話で原発が危ないということを聞き、避難を決意した。

原告太田が避難する際、同居していた父からは「政府が大丈夫と言っているのだから大丈夫だ。それなのに避難するというのであれば二度と戻ってくるな」などと怒鳴られ、泣きながら口論することにもなった。それでも原告太田は、福島第一原発事故から6日後、長女と二人で鹿児島県に避難した。

原告太田の例に見られるように、原発事故に際し、避難するかどうかの判断で家族が分断され、また、分断の葛藤にさいなまれること自体、極めて大きな問題であるといわざるを得ない。

(2)鹿児島県への避難後、原告太田は、放射線被曝による健康影響などを知り、茨城県には帰らず、長期避難することを決意した。そのため、元の仕事は辞めざるを得ず、新たに仕事を探すため、大阪に避難先を変えることにした。仕事のみならず、今まで茨城県で積み上げてきた人間関係も家も捨てざるを得ず、一度リセットしての、全てが一からのスタートとなった。生活を何とか立て直すために資格を取ろうと学校へ通ったり、そのために借金をしたりしているので、生活は今でも苦しい状況にある。

原告太田は、大阪で、茨城県からの避難に対する無理解に直面した。大阪の人に「茨城県(からの避難)なんて、福島(県)にのっかってるだけやろ」と言われたこともある。そのため、自分が原発事故の影響を恐れて避難していることを、普段の生活では言わないでいる。

(3)原発事故当初、何の被害もないと言われていた茨城県北茨城市では、1592人に1人と小児甲状腺ガンの発生率が高いことが判明している。原告太田と長女もまた甲状腺検査でA2という判定が出ており、定期的に検査を受けている。

さらに、昨年(2018年)、茨城県に所在する原告太田の実家で使われている掃除機のホコリを採取して放射線量を測定したところ、事故から7年以上を経過しているにもかかわらず、セシウム137が1キログラムあたり2830ベクレルと、極めて高い数値が測定されている。

3 大飯原発で事故が起こっても再び避難することは困難である

原告太田の避難先である大阪市は、大飯原発から95kmである。茨城県にある原告太田の実家と福島第一原発との間の距離は130kmであった。現在の方がむしろ原告太田の居住地と原子力発電所との距離は近くなってしまったのである。

万が一、大飯原発で何らかの事故が発生した場合、再び避難することを余儀なくされる。しかしながら、原告太田にとって、再び新しい土地でやり直すことは困難である。健康を守るための避難であったとしても、縁もゆかりもない土地で一から始めることは、仕事、知人、金銭面など多くの生活上の困難が伴うためである。

以上

◆原告第64準備書面
第4 纐纈教授の指摘を踏まえて

原告第64準備書面
-被告関西電力準備書面(16)に対する反論等-

2019年7月26日

目 次(←原告第64準備書面目次に戻ります)

第4 纐纈教授の指摘を踏まえて
1 入倉・三宅の式が過小評価となる危険性
2 原子力規制委員会の基準では過小評価の危険性があることを具体的に指摘


第4 纐纈教授の指摘を踏まえて


 1 入倉・三宅の式が過小評価となる危険性
纐纈教授は、岩波書店の雑誌「科学」2012年6月号(原告第16準備書面6頁以下)に続き近時も、過去の経験からの予測式(原発に関しては入倉・三宅の式)から「予測されたもの(注:地震動)よりも数段の大きいものが実際に起こってしまう」こと、「同じようなことが起きないっていうことは・・・科学の方からは、保証できない」ことを指摘している(甲500[272 KB]・3頁)。

かかる指摘は、これまでの原告らの主張と整合するものである(原告第16準備書面29頁以下同23準備書面12頁以下)。

 2 原子力規制委員会の基準では過小評価の危険性があることを具体的に指摘

また、纐纈教授は、地震動の大きさを計算する前提となる断層の長さについても、熊本地震を例に、「事前の予測というのはどうしても小さい見積りになってしまう」と指摘している(甲500[272 KB]・4頁)。これまで述べてきたように、断層のすべてが地表から確認できるわけではないから当然のことである。

纐纈教授は、そのような事態に対処するため、例えば松田式を用いれば、熊本地震では実際の値に近いマグニチュードを計算することができ、非常に有効な方法であると述べている(同[272 KB])。そして、地震調査研究推進本部の強震動部会では、熊本地震を受け、「科学的にきっちりやる方法」(入倉・三宅の式を用いる方法。レシピ(ア)の方法)と「便宜的にやる方法」(松田式を用いる方法。レシピ(イ)の方法)を合わせて用い、大きい方の値を用いるのが安全側の想定になると改訂を行った(原告第43準備書面)。

しかし纐纈教授は、こと原発に関してはそのような方法は執られていないこと、ばらつきを考慮すれば足りるというような問題ではなく、より根本的な問題点があること、例えば「少し大きくなるということになったら、ばらつきも大きくばらつかせていただく必要がある」こと、を述べている(甲500[272 KB]・5頁)。原子力規制委員会の定める、レシピ(ア)の方法と(イ)の方法とを併せて用い、より大きい値を用いるということをしていない基準では過小評価の危険がなお大きいというのが、「我々」(甲500[272 KB]・5頁)、すなわち地震調査研究推進本部の強震動部会の結論なのであり、基準地震動の過小評価の危険性を具体的に示すものとして重要である。

以 上

◆原告第64準備書面
第3 活断層調査が不十分であること

原告第64準備書面
-被告関西電力準備書面(16)に対する反論等-

2019年7月26日

目 次(←原告第64準備書面目次に戻ります)

第3 活断層調査が不十分であること
1 少なくとも活断層の有無をできる限り調査する必要があること
2 熊本地震に関するトレンチ調査により断層活動の痕跡が複数発見されたこと
3 最低限の調査としてトレンチ調査が行われるべきこと
4 大飯原発を巡ってはトレンチ調査さえされていないこと
5 活断層調査が不十分であること


第3 活断層調査が不十分であること


 1 少なくとも活断層の有無をできる限り調査する必要があること
既に繰り返し述べているとおり、地震はいつ、どこで起こるか分からない。そのため活断層の有無に着目してみても無意味である。活断層がない、あるいは確認されていない場所でも、巨大地震は起こり得るからである。

もっとも、活断層の有無をできる限り調査すること自体は、最低限求められる作業である。断層活動の痕跡が見つからなくともそれは巨大地震が起こらないということを意味しないものの、その痕跡が見つかれば、巨大地震が発生する危険性がより高いことが判明するからである。

 2 熊本地震に関するトレンチ調査により断層活動の痕跡が複数発見されたこと

実際、それまでは知られていなかったものの、調査によって過去繰り返し断層活動を起こしていた可能性のあることが判明したケースがある。それが熊本地震後に行われた調査である。

すなわち、熊本地震後の調査により、深さ4メートルまで掘ってトレンチ調査を実施したところ、過去の断層活動によるものとみられる地層の変形が複数見つかり、過去1万3000年の間に計6回も活動した可能性があることが明らかとなったのである(甲498[85 KB])。当該調査の契機となった、熊本地震後に阿蘇山のカルデラ内で見つかった断層(地震を引き起こした西側の布田川断層帯の延長上で確認されたもの)は、それまでは知られていなかった断層である。
「深さ4メートルまで掘ってトレンチ調査を実施」しただけでも、断層活動の痕跡の有無は判明することになる。

 3 最低限の調査としてトレンチ調査が行われるべきこと

トレンチ調査は、活断層を横切るようにトレンチを掘削し、壁面に現れた断層及び地層のくい違いや変形を詳細に観察することで行われ、それによって、①その断層はいつ動いたのか、②その断層は何年周期で活動しているのか、③その断層は1回にどれくらい動いたのか、④断層の性質(走向・傾斜・地質・破砕帯等)その他様々な情報を知ることができる。長期的な地震発生の可能性を評価する上で必須の基礎的な項目であり、これらの究明のためには、トレンチ掘削調査か、これに代わるような高密度のボーリング調査が有効である。

活断層の実在、地下浅部での断層の微細な構造、延長方向等を把握するためにも、トレンチ調査は有効な手法であり、それによって多くのデータを得ることができることから、全国の断層でトレンチ調査が実施されている(甲499[1 MB])。

もちろんトレンチ調査をすればすべてが判明するというのではない。その意味で、トレンチ調査で知ることのできる情報にも大きな限界がある。原稿らはトレンチ調査さえすればよいと主張するものではなく、トレンチ調査をしても解明できない地震動に影響を与える要素は多数あり、そもそも活断層の有無を確実に判定できるものでもないが、それでも一応の有効性のある調査方法であることには変わりがない。最低限、トレンチ調査は行われるべきである。

 4 大飯原発を巡ってはトレンチ調査さえされていないこと

ところが、大飯原発を巡っては一応有効な手法であり「全国の断層で…実施されている」トレンチ調査さえされていない。過去数千年の間に断層活動によると考えられる地層の変形がないかどうかについて、一応有効とされている手法による確認がされていないのである。当然、基準地震動を策定する際の対象であるFO-B・FO-A断層の存在する海中についてもこのような調査はなされていない。そうすると、これらの地域において、過去断層活動が起こっていないということが、地層を現認するというプロセスによって確認されていないことは明らかである。最低限行われるべき、一応有効かつ実施も容易なトレンチ調査さえ行っていないのに、断層活動の痕跡はなく活断層はないなどと断定できるはずがない。

また、上林川断層についても、リニアメントが確認できないだけでは活断層が存在しないことの裏付けとはならず、トレンチ調査やボーリング調査などのより詳細な調査が行われるべきことは既に原告第38準備書面において述べたところであるが、同断層の綾部市側では繰り返しトレンチ調査が行われているのに対し、反対側、即ち京都府と福井県との境界を越えて大飯原発寄りの側では一切トレンチ調査は行われていない。地質断層自体は境界を越えて延びているのに、行われたのは有効な手法であるトレンチ調査ではなく、単なる「踏破」による調査、すなわち目視による調査のみである。トレンチ調査さえ行われていないのに、福井県側の地質断層は活断層ではないと判断できるはずがない。

このように、大飯原発については、一応有効な手法であり「全国の断層で…実施されている」トレンチ調査がされていないのであるから、最低限行われるべき調査さえも行われていないことは明らかである。

 5 活断層調査が不十分であること

地表から見ただけでは活断層の有無は分かりにくく、最低限トレンチ調査などが行われるべきであるということは纐纈教授も指摘するところであるが(甲500[272 KB])、被告関西電力は一応有効かつ容易に実施することのできるトレンチ調査さえも実施しておらず、大飯原発周辺の活断層調査が不十分であることは明らかである。