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◆9/21 第38回口頭弁論のお知らせ

・今回の期日連絡は、郵送希望の原告宛に発送しています。
・皆さまの積極的なご参加をお待ちしています。
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・前回に続き、開廷前の裁判所周辺デモを行います。
・模擬法廷、閉廷後の報告集会は、★弁護士会館★3F大会議室となります。
(弁護士会館は、地裁構内、南東角です)
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◆今回は、被告側[関電、国]の総まとめの弁論更新
・4月から裁判長が交代しました。この新しい裁判長の3年の間に、判決に至る可能性もあります。
・弁護団、原告団では、勝利判決をかちとるべく、前回期日6月1日には、これまでの原告の主張の総まとめの弁論を展開しました。
・これに対して、9月21日には、被告の関電、国も、弁論更新を行うことになりました。
・被告関電が45分、被告国が15分の弁論更新を行うとのことです。関電や国の言い分を聞くのは、この11年の訴訟の中で、おそらく初めてだと思われます。どんな主張をするのか…原発がいかに安全か、ということでは間違いないでしょうが、ぜひ、聞いてみましょう。

◆原告、弁護団から
・今回、原告側からの主張などは、ありません。

◆特別のお願い
傍聴席の制限は解除されています。可能な範囲で多くの皆さまの傍聴ご参加をお待ちしていますが、無理をされないようにお願いします。
発熱や風邪のような症状のある方、体調不良の方は、参加をお控えください。マスク着用をお願いします。咳エチケットの励行をお願いします。また、消毒液が用意されていますので、お使いください。
・模擬法廷&報告集会の会場入口では、念のための連絡用として、氏名と電話番号をご記入ください。2週間程度で廃棄します。

◆タイムテーブル
12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の玄関前に集合
12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃まで
13:25(見込み)…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
13:40(見込み)…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了。直ちに抽選→傍聴券の配布。抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は14:30までに★弁護士会館★の模擬法廷へどうぞ
14:30…開廷、弁論開始。同時刻に★弁護士会館★で模擬法廷も開始
15:45頃から…閉廷後、★弁護士会館★で報告集会。30~60分程度

裁判に参加する方法…以下、三つの方法があります。
原告の皆さまは下記、[1] 原告席か、[2] 傍聴席か、[3] 模擬法廷のいずれかでご参加ください。
原告でない方は、[2][3]でご参加ください。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に、原告として入ります。
被告「関電、国」の正面に座ります。
・原告団が氏名を裁判所に通知します。
【いつもメールによる連絡を受け取っている原告】 9/6頃にメーリングリストにより案内メールをお送りしますので、それを受信されてから、返信として申込ください。
【いつも郵送による期日案内連絡を受け取っている原告】 原告席での参加を希望される場合は、9/12(火)までに事務局宛ご連絡ください。
・コロナ以前は合計35名ほどの原告が参加できましたが、今回は、14名程度となります。
・定員に達するまで、先着順で受け付けます。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あります。
傍聴席に座るには、裁判所が抽選を行います。
傍聴希望者が少なかった場合は、抽選はありません。
・13:25~13:40(見込み)の間に、京都地裁正面玄関前で、抽選リストバンドが配布されます。
・傍聴席は、原告でない方も、誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合、または、最初から法廷に入ることを希望されない場合は、次項に記載の模擬法廷にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:30開始)。そこに参加するには
★弁護士会館★3F大会議室へ、直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく、弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば、その解説も行います。

◆報告集会の開催
・法廷の終了後、★弁護士会館★3F大会議室にて報告集会を開催します(15:45頃から16:30頃まで)。
・裁判の進行などを、弁護団から説明いたします。裁判に関するご質問などもどうぞ。
・コロナ禍の状況によっては、報告集会自体を取りやめる可能性もあります。その場合は、あらかじめ原告団Webサイト(「京都脱原発原告団」で検索可)に掲載します。
・電話でのお問い合わせは、090-5660-2416(吉田あて)。

 

 

◆8月24日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当前田氏、もう一人(氏名不明)
使い捨て時代を考える会;4名(中嶌、吉田、藤井、山田)

 8月24日に行われた関電との話し合いの報告です。コロナ禍で対面での話し合いを拒否され、関電は電話で回答すると言い続けていましたが、あくまでも対面での話し合いをと要求し、1年9か月ぶりに開催しました。

 なお、前回まで関電側は、関西電力送配電(株)の社員が出てきていたが、今回は、関電京都支社の所属ということで、より正常な面談の形に戻った形です。

 話し合いは、前もって質問書を提出し、関電が準備した答えを読み上げていくなかで、こちら側から随時質問や意見を述べるという形で進みました。

 事前に提出した質問書は以下の2通です。質問書の後に当日のやり取りの記録が載っています。
質問書1 は、中嶌哲演さんが地元福井県民という立場で昨2022年1月に提出されていたものです。質問書2 は、今回の面談に先立って、使い捨て時代を考える会として提出したものです。

★★★★★★★★★★★★★★★

*質問書**1***

1.  現在問題となっている原発マネー不正還流問題は、高浜原発に関わっているが、その歴史は長い。県内のメディアで扱われたのが1980年代だ。高浜3号機建設の際に9億円支払われ、町民や漁民に渡った。アンケートをとったら9億円と言うが、実際は25億円だという回答があった。そのお金は電気料金から支払われている。そのようなばらまきは、経済的合理性にかなうのか。過去にさかのぼって反省してほしい。地元ではいろいろと聞いたが、原発不正マネーに関電幹部までが関わっていることに唖然とした。消費者に対して、どう思うのか。

2. 美浜は4か月動かして23億kW発電し、10円/kWで計算すると230億円になる。巨費を投じても何とか勘定が合うという考え方なのか。美浜は廃炉に490億円、高浜は廃炉に900億円かかるという。健全経営のためにも原発に代わる方策を考えるべきではないか。

3. 安全対策工事と特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)の工事で、高浜では3000~4000人、美浜では2000人働いていたという。原発ゼロ法案の中身を見ていくと労働者のアフタケアはできると思う。だが原発ゼロ法案は自公が拒否した。問題にされないまま2020年9月に対策工事が完了したということで、猛烈な圧力で地元に同意を取り付けたが、高浜は、実は安全対策工事は完了していなかったことが2021年4月に判明した。高浜も美浜も、老朽原発を再稼働させることに、私たちは反対している。特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)については福井県の安全対策課にも内容がまったく知らされていない。高浜、美浜、大飯の各原発について、安全対策工事や特定重大事故等対処施設についてのコストと従事してきた労働者の数を知りたい。

4. 若狭の原発は、15基中11基が関電だ。その後、美浜1、2号機と大飯1、2号機が廃炉になり、11基のうち現在7基残っている。そのうち3基が老朽原発となっている。安全性の観点から見て、とくに老朽原発は思いとどまるべきではないか。

5. 若狭には11基の関電の原発があり、979万kWほどの設備容量をもっていたが、地元の住民が必要なのは6~7万kWだ。インフラ整備と引き換えに原発を受け入れたが、多くの若狭の住民は子孫に対して申し訳が立たないと思っている。原発ゼロ法案にあるように、若狭の次の産業を考えるべきだ。関電は若狭の地元で、原発に批判的住民との意見交換ができる場を作ってもらいたい。

6. 現在、福井県と国は「福井県・原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議」をつくって議論を進めている。そして、関電もそのメンバー入っているが、関電がそのメンバー入っている目的は何か。また、立地地域の将来像についての関電のビジョンは、どのようなものか。

以上

*質問書**2***

1.企業倫理に関する質問

貴社はこの数年の間に、原発マネー不正還流事件、多額の金品の受領問題、役員報酬等の闇補填、貴社が中心となって結んだ大手電力会社同士のカルテル、新電力顧客情報の不正閲覧など大企業として恥ずべき行為を繰り返しています。不正行為を繰り返す貴社が、原発を動かすことに大きな不安を感じます。企業倫理に関してどのような見解をお持ちなのでしょうか。

2.老朽原発に関する質問

貴社は運転開始後45年の老朽原発美浜3号機を昨年8月に再稼働させ、運転開始後48年の高浜1号機を今年7月28日に再稼働させてしまいました。また運転開始後47年の高浜2号機を再稼働させる予定と聞いています。また、運転開始からまもなく40年になろうとする高浜3、4号機について運転期間20年間の延長を申請したと報じられています。しかし、貴社の原発ではトラブルが頻発しています。蒸気発生器伝熱管の損傷、電気ケーブルの接触不良による制御棒の異常挿入などは明らかに経年劣化による不具合ではないでしょうか。経年劣化が引き起こす重大事故が懸念される中での運転延長は無謀なことと思われます。なぜ危険をおかしてまで原発を動かさなければならないのか、理由をお聞かせください。

3.特定重大事故等対処施設に関する質問

貴社の原発の特重施設の設置状況及び運用開始について教えてください。

特重施設は「故意による航空機衝突やその他のテロリズムにより、炉心の著しい損傷が発生するおそれがある、または発生した場合に、原子炉格納容器の破損による放射性物質の放出を抑制するための施設」とありますが、ロシアのウクライナ軍事侵攻では攻撃の標的になり、今でも大変危険な状況が続いています。いかに特重施設ができようとも、原発は特重施設などで守れる施設ではないことも明らかになりました。最大の防御は原発のような核利用施設を持たないこと、作らないことです。これについての貴社の見解をお聞かせください。

4.MOX燃料・使用済核燃料に関する質問

貴社は昨年フランスから高浜発電所へMOX燃料を運び込みました。すでに運転に使用していて、使用済みMOX燃料の保管は100年以上とされていますが、どこに保管する予定でしょうか。他の使用済み燃料は現在どのぐらいありますか。

中間貯蔵施設を福井県外に作るという見通しは全く立たず、一部をフランスへ搬出するという計画を発表し、地元福井県からも反発を受けています。ごまかしとしか思えないプランを堂々と発表する姿勢は、大企業のやることとは思えません。使用済み核燃料の再処理はどうしますか。課題を未来につけ回しして、負担を将来世代に先送りするのを良しとするのでしょうか。

5.福島事故に関する質問

福島第一原発事故から12年が経ちました。いまだに溶け落ちた炉心には近寄ることもできず、汚染水はたまり続け、廃炉作業も全く進んでいません。故郷を奪われた人々も、汚染地域に残らざるを得なかった人々も、大きな苦しみを抱えています。また国は漁民の大反対を押し切って汚染水の海洋放出を決定しました。海が汚されようとしています。廃炉作業による原発労働者の被ばく、原発周辺地域の限りなく続く放射能汚染、このような現実をどうお考えですか。福島原発で私たちは原発事故の悲惨さを体験し、すぐにすべての原発を止めて安全なエネルギーに変えていくことが最善ということを知りました。これは常識だと思いますが、事故の危険・甚大な被害を見て見ぬふりをして原発に依存する理由が理解できません。原発を推進する理由は何ですか?

6.再エネ・契約離脱に関する質問

貴社からの契約離脱(低圧)は昨年末で累計350万件に達しましたが、その後逆に貴社に戻る消費者が増えてきました。大手電力による再エネ新電力への締め付けがあり、さらに顧客情報を不正閲覧するという、考えられないような行為での「成果」と思われます。日本が再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。安全確保のためとされる巨額な設備投資、保管するだけでも多大な費用が掛かり、処理・最終処分の見通しも経費の見通しも立っていない核廃棄物関連費用、技術的にも完成していない廃炉費用、動かしていない原発に必要な日常の管理・安全対策費用、日本原電などへの多額の出費、どれをとっても原子力発電に有利な条件はありません。貴社としても今すぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。なぜ原発に頼る経営をやめないのか、国の方針ではなく、貴社の経営姿勢としてお答えください。

以上

★★★★★★★★質問書はここまで

*話し合い記録***

*Q(こちら側の発言) A(関電の発言。ほとんど前田氏が答えた)*

A 文書回答はしないという会社の方針なので、回答を読み上げる。

Q 関西電力グループ行動憲章に「市民とのコミュニケーションを積極的にする」と書いてあるが、もっとコミュニケーションをゆたかにしてほしい。

A (質問1の1について)金品受取などについては社内のコンプライアンスなどを進めてきた。再発したことは組織風土の醸成が道半ばと痛感した。全社一丸となって取り組む。

Q 何十年も前から似たような体質だったのが、今回顕在化した。若狭の住民にとっては新しいことではない。老朽原発のことや、中間貯蔵施設のことなどなど、どこまで取り組んでいるか疑問だ。道半ばとはどういうことか。消費者に対してどう思っているのか。コンプライアンスというが、反省を踏まえているのか。

A (質問1の2について) 美浜3号機、高浜3号機は経済性があるという一定の見通しがある。

Q 本当に経済的なのか。使用済み核燃料の廃棄なども含めてそういうのか。

Q 原発は設備が膨大で点検しきれない。配線ほか老朽原発の設備すべてについて点検できていないではないか。

A 基準に合わせて点検している。

Q 点検ができていないところでトラブルが起きている。大きな事故につながることが心配だ。交換することができない個所がある。そういうところでトラブルが起きている。炉心部など高放射能の部分はじかに点検はできないではないか。

Q 送配電子会社が顧客情報を渡していた。

Q 老朽原発の稼働は経済性の問題というが、安全性や企業の倫理的責任はどう考えるのか。経済性を前面に出すことを恐れる。

Q 老朽原発の安全対策は高浜が3200億円、全体で1兆1900億円と、巨額のコストがかかっている。テロ対策で高浜1号機では山をくりぬいて工事をした。膨大な経費だ。

Q 工事が10%進んだ時に停止を要求した。廃炉と、巨額な経費をかけた時のコストはどうなるのか。ゼロ法案がでてきた時に検討する時間があったはずだ。

Q テロ対策費はどれだけかかっているのか。それでも経済的見通しがあるのか。

A 2021~2022年で7基1兆1400億円。

Q 高浜、美浜はそれぞれいくらか。

A 手元に資料がないのでわからない。

Q  それは次回に答えてもらいたい。うやむやなまま老朽原発は動いている。

Q 原発を輸出しようとしていたが、世界で要求される安全性を満たそうとすると、経済性が合わなくてやめになった。安全対策をちゃんとしないと不安だ。安全対策費を抑制しているようだが軽視されているのではないか。コストが削減されていく中で老朽原発を60年以上運転するというのは怖い。勘定が合うというが、もっと対策費をかけないといけない。

Q そのように安全対策費などが膨大にかかる電源はおかしいのではないか。他の電源に代えてもらいたい。社員としてどう思うか。

A 個人的な考えは答えられない。

Q 市民の考えをきちんと社長さんに伝えてもらいたい。

Q テロ対策についてだが、以前はミサイルが撃ち込まれても大丈夫、航空機も大丈夫と言っていたが、規制委員会はどうなるかわからないと言っている。何らかの形で攻撃を受けたら大丈夫なのか。飛行機が落ちてきても本当に大丈夫なのか。ウクライナのように占拠されたらどうするのか。そこまでして原発が必要なのか。電源としてどういう意義があるのか。

Q (質問1の4について) 経済的見通しがあるからやっているというが、安全性の観点から見てどうなのか。特に老朽原発は思いとどまるべきだ。お金をかけたから大丈夫というのなら少しは納得するが、経済性から動かすというのは納得できない。安全性を自信をもって言えるのか。

A 日々の点検、1年ごとの定期点検、30年以降10年ごとに再評価、40年超えのモノについては、取り換えが難しいものの詳細な点検。S+3Eでやっている。

Q それは公式回答だ。去年の政府の方針転換に沿った回答だ。福島の事故を見ても明らかなように100%安全とは言えない。老朽原発はきっぱりと廃炉にするべきだ。原発全部を止めること、少なくとも老朽原発を止めることが、最大の安全だ。

Q 質問1の5,6  について聞きたい。

A 意見交換できる場をということについてはご意見として聞いておく。(6について)地域の皆さまの声は聞いている。

Q 汚染水の海洋放出についても地元の声を聴いていない。原発は事故がなくても地域社会を壊す。そのようなことまでして原発が必要なのか。

Q 上関町では中間貯蔵施設に対して住民が反対している。これには関電も関与していると報道されているがどうなのか。

A そういう情報は入っていない。

Q 原発を動かすと使用済み核燃料をさらに増やしていくことになる。そういうツケを上関町に押し付ける。住民の意見は聞いていない。住民は中間貯蔵ではなくそのまま最終処分場になることを恐れている。何よりも住民の意見を聞いてほしい。

Q 原発そのものも処分場も地域住民の分断を生む。受け入れ先がない嫌われる施設なのだ。とにかく原発はやめてほしい。

Q 核技術を福井県に持って行くことを懸念している。「共創会議」があって関電はそこに入っている。原発に頼らない新しい産業を考えているのか。原発が残るとは住民は思っていない。核を福井に留めることは疑問だ。

Q 「共創会議」では「原発に依存しない」と入れているが、真の目的は若狭をいつまでも原発に縛り付けるということではないか。原発に依存しない施策が進んでいない。

Q 地元住民の声を聴く場に出てきてもらいたい。

A 共創会議では水素アンモニアサプライチェーンなど大学などとマッチングして進めている。

Q 水素サプライチェーンだが、原発を動かしながら水素を作るとなっている。羊頭狗肉だ。

(ここから質問書2)

Q 株主総会に出たが、森本前社長などカルテルを主導した方が月額300万円ものお金をもらっている。高い電気料金の中で疑問だ。市民と感覚が違い過ぎる。

Q 脆性破壊が問題と思う。圧力容器の金属が緊急に冷やした時に破壊する可能性があると言われている。危険だ。安全性を最優先していない。この間の機器の損傷などは定期点検直後に起きている。大きな事故につながる前に止めてほしい。特に老朽原発は止めて。本当に経営の問題で動かしているのか。

Q 高放射能の部分の安全は確かめられない。

Q 関電は原発が電源構成の1/3ぐらいになるのではないか。他の電源はどうなのか。関電の電気=原発の電気しかも老朽原発の電気となっていないか。会社の将来はあるのか。原発比率を落としていく経営をするべきではないか。

Q コマーシャルで気候変動にからめて原発はCO2を出さないと宣伝している。放射能という環境負荷をかけているのに。コマーシャルはやめてほしい。

Q 運転するところだけを見ればCO2は少ないかもしれないが、安全対策費や設備建設、放射性廃棄物処理など全体としてはCO2をすごく出している。原発を動かすと核のごみを作り出す。環境負荷がすごく大きい。CO2を出さないという宣伝は不愉快だ。

Q こどもにはしっかり教えてもらいたい。CO2を出さないということなどを鵜呑みにして、原発は必要という若い世代が増えている。

 (質問2の4について) 貯蔵量のデータ(プリントを提示)はHPに出している。

Q 中間貯蔵もできないのに使用済み核燃料を増やすのか。

Q 再処理では放射能が出る。環境に負荷を与える。そういうことを前提に電力会社としてきちんと考えてもらいたい。企業の社会的責任だ。経済性だけで老朽原発を動かすことが、関電にとって、社会にとって良いことなのか、早く考えてほしい。気候危機対策も原発でできるわけではない。

Q 小浜市民として関電が上関町に中国電力と組んで中間貯蔵施設をつくることを申出たことは大変悲しい。心が痛む。小浜は原発建設も中間貯蔵施設も阻止した。福島事故が起きる1か月前にパブコメを出した。関電は大消費地への電気のために原発を若狭に押し付け、使用済み核燃料を六ヶ所に押し付けた。上関に押し付けることに耐えきれない。そういう議論を地元でしてきた。原発止めたら事故の心配もなくなるし、押し付け合いも必要なくなる。核のごみを増やすことはやめるべきだ。せめて老朽原発を止めてもらいたい。

Q 国の方針だからということではなく、企業としてどう考えるかだ。

Q 小浜は大飯原発の増設にも反対した。大飯原発に関してはいまだに小浜は排除されている。目先だけで原発を考えてはいけない。アンケートでは52%回収しそのうち反対が90%あった。小浜市民がどういう気持ちで過ごしてきたか考えてほしい。

A (質問2の6について)  ゼロカーボン化にむけて検討している。再エネ比率を高めていく。

Q 原発やめることこそ健全経営につながる。
└─────────────
 久しぶりの話し合いであり、この間非常にたくさんの問題が出てきたので、言いたいことが多すぎて全体に少々散漫になりました。関電側は事前に「人数を少なく、時間を短く」と要求してきましたが、質問が多かったので1時間を超える話し合いとなりました。

◆関西電力 闇歴史◆105◆

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◆カルテル問題で、関西電力が経産大臣に業務改善計画を提出(2023年8月10日)
 「地域独占の意識からぬけず、自由化の趣旨を理解していなかった。
 他人任せ、上意下達の組織風土に問題があった

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 以下、( ) 付き数字 (1) (2) (3)…に書いた内容は、
関電プレスリリース「電気事業法に基づく業務改善計画の提出について」
(→こちら)の中の「業務改善計画」からの抜き書きです。

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◆関電「業務改善計画では、いくつか反省していますが、
 “ 原子力 ” などで大手電力間の協力もあったものですから……
(原発推進の政策を理由に「やむを得なかった」と弁解したいのか)
(独占時代の甘い環境を忘れられず “独占禁止” なんて無縁だと思っていたのか)
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 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 電力自由化の趣旨に反し、電力事業の健全な発達に支障が生ずるおそれのある事案を発生させました。
(2) 旧規制産業時代の意識から脱却しきれず、電力自由化市場で事業者として守るべきルールを守れませんでした。
(3) 独占禁止法や電気事業法の行為規制などにおけるルール違反がありました。
(4) 関西電力グループ行動憲章は独占禁止法遵守に関する直接の社内規程や違反防止のための仕組みを定めていませんでした。
(5) 自由化後も原子力その他の分野において旧一電(大手電力)との協力が求められる業務を行い、当社のエネルギー事業を担当するエネルギー・環境企画部門の活動においては独占禁止法の違反リスクはない、もしくは、低いといった誤った認識が存在していました。

┌─────────────
◆関電「組織風土に問題がありました!
 職位や所属の垣根が高く、
 上意下達になっていましたので……」
(責任は全役員にあるが、全従業員には責任を押しつけないで)
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 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 全役員・全従業員が、職位や所属の垣根を越えて自身の思いや気付きを率直に語り合えるような組織風土がありませんでした。
(2) 他人任せ、上意下達の組織風土がありました。

┌─────────────
◆関電「今後の具体的な対策いろいろ!
 競合他社との接触を禁止することなど……」
(不意に出てくる超難しい用語「慫慂」は、関電内では普通なの?)
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 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 旧一般電気事業者(旧一電)を含む競合他社との接触を規制する規程等を定めます。
(2) 競合他社との接触を禁止し、例外的に接触する場合であっても競争に影響する情報を交換することを禁止します。
(3) 研修を実施する際には、研修受講率の把握や確認テストを実施します。
(4) 社内の法律相談窓口について周知し、活用を慫慂します。
(5) 法務部門担当者が、選定した会議に関する資料や議事録を確認します。

【参考】
慫慂(しょうよう)とは、周りの人がそうするようにオススメすること。
ポンと背中を押して、促してくれるという意味があります。
自分ではそうする意思がなかったのに、近くにいる人が呼びかけてくれる様子を示しています。
「慫慂」の「慫」も「慂」も、日常生活ではあまり見かけない難読漢字です。
「慫」はビックリする、お誘いするという意味があります。
また「慂」は誰かにオススメするという言葉。
つまり「慫慂」の熟語には、誰かに声をかけられて驚いているニュアンスも含まれているのです。
また最近では「おすすめする」の敬語として、慫慂が用いられることもあります。
それにしても関電の人は難しい言葉を使うんですね。
中味が伴っていると良いのですが (^ ^;;

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◆関電「組織、制度などを新設します!
 あれもこれも作りますので……」
(組織や制度を作るだけならすぐにできるが、魂を入れるには?)
└─────────────
 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 社長を議長とする「組織風土改革会議」を新設します。
(2) 法務情報発信サイトとして「法務ポータルサイト」を立ち上げます。
(3)「 コンプライアンス推進本部」を新設し、コンプライアンス推進の最高責任者としてCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を設置する。コンプライアンス推進本部によるモニタリングを確実に実施します。
(4) 独占禁止法違反行為に係る調査に協力した者に対する懲戒処分等の減免規程等、いわゆる「社内リニエンシー制度」をつくります。
(5)「独占禁止法遵守に関する規程」を定め、すべてのグループ会社に通知します。

◆104◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆106◆

◆関電の電気は買わない

 岸田内閣は昨年からエネルギー政策を転換し、本年には原発回帰政策としてGX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法と、GX脱炭素電源法を制定しました。GX推進法は、時代遅れの原子力産業を国が支援する法律。GX脱炭素電源法は、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の5つの束ね法で、原子力の活用を国の責務とし、原発の運転期間を延長し、そのルールを規制側の規制委から利用側の経産省の管轄に移しています。

 関西電力は、こうした政府の原発回帰政策のお先棒を担ぎ、昨年、危険な老朽原発の美浜3号機を再稼働し、今年7月以降に同じく老朽原発の高浜1、2号機まで再稼働させようとしています。関電の電気の電源構成は、原子力が28%とトップとなっています(2021年度実績)が、現在は、もっと高い状況です。

 2016年4月以来の電力自由化(低圧)で、関電の契約数は一貫して減少してきましたが、2022年11月から増加に転じています。輸入燃料価格の値上が、卸電力市場の価格高騰などで、新電力が次々と電気代の値上げに走る中、値上げをしなかった関電の規制料金の方が安くなったようです。しかし、関電はカルテルを主導し、消費者や新電力情報を不正に閲覧するなど、コンプライアンスの欠片もない企業です。

 今、私たち電気の消費者は、自由に電力会社を選ぶことができます。こうした中で、関電の電気を選択するということは、放射性廃棄物の処理を未来世代に押しつけ、原発事故のリスクを大きくすることに加担することです。電力選択は消費者の責任であり、どのような未来を展望するのかの選択でもあります。再エネ中心の新電力を応援し、少なくとも原発の電気、関電の電気は選ばないことが、消費者の責任ではないでしょうか。

(使い捨て時代を考える会『あんてな』2023年8月。脱原発委員会、吉田めいせい)

【追加】
◆電力の購入先を変えるには◆

まず、手元に現在の「電気使用量のお知らせ」を用意します。
その中で、以下を確認しておきます。
(1)契約者氏名
(2)今の電力会社のお客様番号
(3)電力供給地点特定番号……22桁の数字
そして、新しい電力購入先に電話かネットで申し込みます。
前の電力会社に変更の連絡、お断りを言う必要はありません。
なお、とくに再エネの電気を使いたい場合は、
「パワーシフトキャンペーン」のWebサイトで紹介されている新電力をさがすと良いでしょう。
こちら……未来をつくるでんきの選び方
こちら……自然エネルギー供給をめざすパワーシフトな電力会社

◆関西電力 闇歴史◆104◆

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◆被ばく労働に頼らないと動かない原発の非人間性、非倫理性を告発
 『原発ジプシー』『原子炉被曝日記』
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 「原発を動かしてはいけない 10のわけ」◆101◆)の中に、
【事故が起こらなくても】
(4) 定期点検などで労働者の被ばくが不可避。非正規労働者が多く、健康管理は不十分。
(5) 日常的に放射性物質の希ガス、トリチウム、その他の汚染物質を放出し、環境を汚染。
が挙げられていますが、これらを明らかにするルポルタージュを、2編。

 日々の被ばくという恐怖にかられながら、隠された被ばく労働の実態を告発している。労働者の健康と生命を引き換えになりたつ発電装置。結局は人海戦術、被ばく労働に頼らないと動かない原発の非人間性、非倫理性を鋭く指摘。

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◆原発ジプシー…美浜原発での二次系、一次系作業
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『原発ジプシー[増補改訂版]――被曝下請け労働者の記録』堀江邦夫 著。現代書館2011/05/31。四六判 上製、 352ページ(なお、旧単行本1979/10/26、講談社文庫1984/10/01あり)
美浜原発、福島原発、敦賀原発で原発下請労働者として働いた告発ルポルタージュ。放射能に肉体を蝕まれ「被曝者」となって吐き出される棄民労働の全て。

【目 次】(◇図解はとくに興味深いもののみ)
Ⅰ 美浜原子力発電所(1978/09/28~12/02、1~3号機が稼働)
 二次系での作業の日々

採用決定
原発労働者の過去
貝の腐臭の中で
粉塵まみれの”ネッコー”作業[p.033…高圧給水加熱器内のピン・ホール検査 ]
健康を守るために
鉄板の上をイモ虫のように[◇p.051…湿分分離加熱器での作業 ]
元漁師の青年たち
「ケガした者は、電力さんにあやまれ!」
“完全装備”
白血球が下がった“鬼軍曹”
定検を“無視”した原発の設計[◇p.075…科学技術庁のポスター「エネルギー・アレルギー」(1978年)。セミ・ヌードの女性
「わしらを差別するのか」

 いよいよ一次系へ

管理ナンバー21851639
ピンハネの実体
マンジュウの味
全面マスクの労働者
「死の影」
スイッチ押し作業
防護服やマスクは自己流で…
「計画線量」の無計画性
“出向”という名の使い捨て
“救いの神”と“死神”
赤ランプ――汚染
「早く出なければ!」
エア・マスク
破壊される海
“休職勧告”された老人
減少する発汗量
美浜原発との分かれ

Ⅱ 福島第一原子力発電所
(略)
Ⅲ 敦賀発電所
(略)

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◆原発被曝日記
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『原発被曝日記』森江信 著。技術と人間1979/11/20 。四六判 上製、252ページ(講談社文庫1989/01、樋口健二さんが解説)

 福島原発、敦賀原発、島根原発、玄海原発、東海村、大阪に事業所をおく原発関連サービス会社で、原子炉の清掃などに従事した労働者の体験ルポ。福島原発、浜岡原発、伊方原発など六つの現場で、約三年間にわたり放射能洗浄などの仕事をした日々をつづる。

興味深い図…床除染作業p.21、洗浄装備p.24、復水器断面p.28、スミヤろ紙とスミヤの取り方p.30、フィルターエレメント取り外しp.34、給水スパージャー交換工事p.201

◆103◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆105◆

◆関西電力 闇歴史◆103◆

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◆大飯1、2号機の廃炉によるクリアランス金属を
 弁に加工して、大飯3、4号機で使用と発表
 放射性廃棄物で循環型社会を形成?!
(2023年7月)
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 2023/7/13の関電の発表によると、関電は今後の大飯3、4号機の定期検査において取り替える弁を、クリアランス金属にするとのこと。大飯1、2号機の燃料取替用水タンクの解体工事に伴い発生した金属を利用。大飯4号機は2023年8月、大飯3号機は2024年2月から定期検査の予定。
(→ こちら
(→ 放射性廃棄物の「クリアランス制度」◆057◆

 関電は「当社は、引き続き、原子力発電所の運転・保守や解体に伴って発生する放射性廃棄物の低減に向けて取り組むとともに、クリアランス制度を活用し、循環型社会の形成に貢献してまいります」としている。

 しかし、「放射性廃棄物の低減」なら原発を止めるべき。一方で老朽原発まで再稼働し、放射性廃棄物を増大させているではないか。本来なら手間と費用をかけて処理すべき放射性廃棄物を、手間と費用を惜しんで簡便に済まそうというだけの話。基準を変えて放射性廃棄物の量を減らしているだけなのに、よく言うよ。

 また、「循環型社会の形成」は、放射性廃棄物を循環させることではない。再利用が進めば、基準以下とはいえ、クリアランス金属加工品が市中に出てくる。次世代にそのような生活環境を押し付けていいのか。まず、放射性廃棄物、クリアランス金属の発生を止めよ。

 このように、関電の主張する「放射性廃棄物の低減」「循環型社会の形成」って、唖然とする内容。ホント、詭弁、出まかせ、居直り、ごまかしだよね。


▲「はんげんぱつ新聞」(第546号、2023.9)

◆102◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆104◆

◆関西電力 闇歴史◆102◆

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◆大手電力における「送配電の所有権分離」や「発販分離」は
 独占・寡占の問題を根本的に解決する手段…公正取引委員会が指摘

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◆その(2)◆ 公正取引委員会が「発販分離」を提言(2024年1月)
 経産省は受け入れず

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 公正取引委員会は2024/1/17、大手電力に対し発電部門と小売部門を切り離す「発販分離」を提言する報告書「電力分野における実態調査報告書~卸分野について~」を発表した。公取委は、電力小売り自由化を実施する際の2012年にも、発販分離を提言しており、今回は2回目。
こちら

 報告書では、新電力各社が、大手電力との契約において、転売禁止、供給エリア制限、供給量上限などの不利な取引条項を設定されるといった問題があると指摘。一方で、大手電力は自らの販売部門には、格安で電力を供給する「内部補助」を実施しているなど、競争市場が歪められている恐れがあると指摘した。

 また「電力大手が、正当な理由なく供給に必要な費用を著しく下回る料金で電気を自らの販売部門に小売供給して、他の新電力の事業活動を困難にさせる」事例が複数あったとして、独占禁止法上問題となるとしている。

 これらの問題について今後、是正措置をとってもなお、小売市場における公正な競争環境が確保されない場合には「発販分離」(発電と小売を切り離すこと)を行うことが考えられる、としている。

 大手電力における「送配電の所有権分離」や「発販分離」といった課題は、電力自由化の推進に弊害となる独占・寡占の問題を根本的に解決する手段として、各方面(内閣府の規制改革案など)で指摘されている。しかし、経産省や電取委(電力・ガス取引監視等委員会)は、大手電力に配慮する姿勢に終始している。


(2022年3月、公正取引委員会)(旧一電…大手電力のこと)

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◆その(1)◆ 大手電力が新電力つぶしの深刻な不正行為!
 公正取引委員会が、電取委に、差別対価と市場操作の情報を提供(2023年3月)

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【注意】この不正行為は、カルテルに関連した関西電力中部電力中国電力九州電力
いずれか、又は複数社によるもので、どの社に該当するのかは、現状(2023年6月)では不明。

 新電力の競争力を低下させる目的で大手電力が違法な策を弄している。小売部門が、見てはいけない子会社、送配電会社の顧客情報や資源エネルギー庁サイトの再エネ新電力業者情報を不正閲覧していた(◆087◆)。また、違法なカルテルを結んで、大手電力だけの利益を図っていた(◆024◆)。しかし、問題は、これだけにはとどまらない。

 カルテルの調査の中で、公取委は、さらに深刻な不正行為を指摘している。公取委の「(2023年3月30日)旧一般電気事業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」の中で →「第3 電力・ガス取引監視等委員会に対する情報提供」→こちら

 本格的な解明はこれからだが、電力システム改革、自由化と公正な競争を真っ向から否定、阻害し、敵対する動きである。弱小新電力は、大きな打撃を受ける。発電、小売、送配電一体で行われている重大な不正行為であり、今後、巨大な大手電力の発電、小売、送配電の完全な分離が課題となるだろう。電力・ガス取引監視等委員会が、きちんと調査して、問題点を明らかにできれば良いのだが。
(東洋経済オンライン、2023/4/6配信 → こちら )

(1) 差別対価…公取委によれば、大手電力は自社の販売部門や販売子会社に、新電力会社に対してよりも安い価格で電力を販売していた。これは、安値販売は独禁法で禁止されている「差別対価」に該当する可能性がある。差別対価とは、独占禁止法第2条第9項第2号において「不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって、商品又は役務を継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」と規定されている。
 2023年には、北海道電力や東北電力が、内外無差別(自社小売部門向けと、他社=新電力向けとの価格差をなくすこと)のシステムを構築している(→◆087◆【付 電力システム改革】内外無差別と常時BU)。

【注意】「取引先によって価格差が存在すること」自体によって、直ちに違法となるわけではない。意図的な自己の「競争者の事業活動を困難にさせる行為」や「取引先の相手方を競争上著しく有利又は不利にさせる」おそれがあるなどの手段として用いられる場合には、「不公正な取引方法」に該当し違法となる可能性がある。

(2) 市場操作…大手電力の中には、卸電力市場への電力の供給量を絞り込むことで価格を引き上げ、外部からの調達に依存する新電力の競争力低下を企てていた例があったという。発電部門と小売部門が一体の大手電力では、こうしたことが起こる可能性が高い。

【市場操作】電力カルテルをめぐって、関西電力に出された業務改善命令(→◆024◆[14])の中で、とくに注目される以下の部分は「市場操作」を示すのではないか。
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2017年10月に行った経営層が参加する会議に配布された資料において、「各社が(ベースも含めた)供給力の絞込みを行い、需給構造の適正化、ひいては市場価格の適正化を実現することが重要。」との文言が記載されており、この資料に基づく方針が承認された。
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◆101◆←←関西電力 闇歴史→→◆103◆

◆関西電力 闇歴史◆101◆

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◆40年超え老朽原発の高浜原発1、2号機は、とっても危険!
 もうすぐ40年の高浜原発3、4号機でもトラブル続き!
 老朽原発うごかすな!
(2023年7月)
 【付 原発を動かしてはいけない 10のわけ】
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▲関電京都ビル前にて。2023年7月7日

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 40年超え老朽原発の高浜原発1、2号機は、
 とっても危険!

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・関西電力は、岸田内閣の原発依存社会への暴走の先陣を切って、運転開始後48年の高浜原発1号機を7/28に、47年の高浜原発2号機を9/15に運転させるとして準備をすすめています。最近、ケーブルの火災防護対策が不十分であることが明らかになりましたが、お構いなしです。

◆関電の全原発で、火災防護対象ケーブルの対策がなされず!

・認可された設計工事計画(設工認)に従わずに運転継続!
・数年かかる見通しの工事を怠って、規制委も関電も事態を軽視!

・火災防護対策が必要なケーブルの長さは、高浜1号機では約2200m、高浜2号機では約2300mもあります。しかも、高所や狭隘な場所に敷設されており、認可を受けた工事計画通りにすべての電線管に「耐火シート」を施すには、数年を要するとされています。

・岸田政権の原発政策で前提とされている「厳格な原子力規制」とは、工事計画認可違反にすぐに気づけず再稼働を許し、違反に気づいても、かつ、事業者がずさんな管理運営を繰り返していても、原発を運転し続けてよいとするレベルのものでしかありません。工事計画認可通りに火災防護対策工事をしていなければ合格にはならず、稼働できないはずなのに、後から未施工がわかった場合でも原発を止めなくてもいいという、これが「世界最高水準の厳しい原子力規制」の実態です。

◆原子炉容器がもろくなる現象(中性子照射脆化=ぜいか)で、
ワーストワンは高浜1号機!

・脆化の著しい(=とくに危険な)原発は、廃炉原発6基以外では関電の原発ばかり4基!
・その4基のうち3基が40年超えの老朽原発!
・しかも、高浜1号機、2号機とも、関電による監視試験片の検査は手抜き!
・規制委は、データも受け取らず、点検もせず、まったく関電任せ!

【ワーストテンの原発】
(1) 高浜1…脆性(ぜいせい)遷移温度99℃。
(試験時期:2009)。緊急炉心冷却装置の作動などで水が注入され99℃より低温になると、鋼鉄の炉心が割れる可能性がでてくる。
(2)~(5)廃炉(玄海1、美浜2、美浜1、大飯2)
(6) 高浜4…脆性遷移温度59℃。
(試験時期:2010)。現在、稼働中。
(7) 美浜3…脆性遷移温度57℃。
(試験時期:2011)。現在、稼働中。
(8)~(9)廃炉(敦賀1、福島1)
(10) 高浜2…脆性遷移温度40℃。
(試験時期:2010)
(『原発はどのように壊れるか 金属の基本から考える』小岩昌宏・井野博満 著)

◆高浜原発の30キロ圏には、高浜町、おおい町、小浜市などのほか、京都府の舞鶴市、綾部市、宮津市なども含まれ、事故時には広範な地域の被ばくが心配されます。

・放射能汚染は、同心円状に広がるわけではないので、30キロ圏以遠も油断できません。
福島事故の場合、50キロの飯舘村が全村避難になっています。
・高浜原発1基で重大事故が起こった場合でも、国や関電では、放出される放射能をひじょうに少なく計算して、被害を小さく見せている。被ばくについては、少なくとも福島事故なみで評価し直す必要があります。
・関電や国の被ばく評価が、福島事故を無視し、あまりにも過小となっているのは、原発事故が起こっても、住民を避難させずに被ばくを強要する政策のためと思われます。

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 もうすぐ40年の高浜原発3、4号機でも
 トラブル続き!

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 現在稼働中の高浜原発3号機は38年、4号機は37年で、危険なMOX燃料を使っていますが、関電は40年超え運転を画策しています。しかし、トラブルが続発しているのが現状です。とくに不安なのが、蒸気発生器伝熱管の損傷です。破断すれば、大事故です。危険な状態は一刻も早く改善すべきです。
・4号機では、制御棒の落下で原子炉が自動停止するという重大な事故(2023/1/30)も発生しています。

▼高浜原発3、4号機のトラブル(関電プレスリリースによる)
原子力規制委員会は2023/4/25の定例会合で、高浜原発3号機の重大事故に対処する設備でトラブルが相次いでいるとして、関電に対し、再発防止に向けた改善計画の提出を求めました。

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 関西電力では
 コンプライアンス が崩壊!

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 関電は不正が多すぎてコンプライアンス(法令を守る意識や企業倫理)が崩壊しています。そんな企業が万が一にも事故を起こしてはならない原発を動かすのだから、恐ろしいこと、この上ありません。

(1) 原発マネー不正還流…2019年発覚。元高浜町助役から総額4億円近くの金品受領、減額した役員報酬の闇補填、追徴課税分の闇補填、水増し高値発注、利益供与目的の特命発注◆011◆)など最悪の幹部腐敗。

(2) 不正資格取得…2021年発覚。グループ全体で社員180人と退職者17人が、国家資格の施工管理技士を不正取得。不正取得者は、原発工事15件にも関係していました。

(3) カルテル…2021年発覚。2018年秋頃~関電主導で大手電力(中部電力、中国電力、九州電力)のカルテル(独占禁止法違反)。自首した関電は課徴金を免れたが、責任はどうなっているのでしょうか?

(4) 不正閲覧…2022年発覚。関電の小売部門が送配電子会社の情報に不正アクセスし、競争相手の新電力の顧客情報を盗み見て、営業活動にも使っていました。社内調査では、閲覧した社員の4割は「電気事業法上問題になり得る」と認識。送配電分離という電力システム改革を否定する違法行為です。さらに、資源エネルギー庁の再エネ新電力情報も、不正閲覧していました。

(5) 子会社の関西電力送配電が記録捏造し虚偽報告…2023年発覚。定期電圧測定を行わず。

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【付】原発を動かしてはいけない 10のわけ
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【過酷事故が起こったら】
(1) 原発は人が制御できない。広い範囲の人々に深刻な被ばくを強いる。甲状腺がん、心臓疾患なども。
(2) 人々の生活を根底から破壊する。地域社会の崩壊、故郷喪失。
(3) 被ばくせずに避難することは困難。避難訓練は形だけのアリバイづくりで、実効性のない机上の空論。

【事故が起こらなくても】
(4) 定期点検などで労働者の被ばくが不可避。非正規労働者が多く、健康管理は不十分。
(5) 日常的に放射性物質の希ガス、トリチウム、その他の汚染物質を放出し、環境を汚染。
(6) 現在の世代が電力を消費し、使用済み核燃料、廃炉などによる廃棄物(核のゴミ)の処理を未来世代に付け回し。その期間は10万年もの、超長期。

【差別構造、民主主義、経済性】
(7) 危険な原発は交付金などの札束によって過疎地に押しつけられ、発電された莫大な電力は遠く離れた大都市に送電される。
(8) 既存の立地地域には、新規原発とか使用済み核燃料の中間貯蔵地、最終処分場などの核施設がさらに累積されやすい。
(9) コンプライアンス(法令を守る意識や企業倫理)の欠如した大企業が技術や情報を独占し、市民はそれらにアクセスできない。運転の同意は、立地自治体が優遇され、周辺自治体は排除される。
(10) 原発は太陽光など再生可能な自然エネルギーにくらべて発電単価が高い。原発がなくても、電気は足りている。多少のひっ迫は、節電、地域間電力融通、需要側の対応などで回避が可能。

◆100◆←←関西電力 闇歴史→→◆102◆