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◆使い捨て時代を考える会–汚染水の海洋放出の中止を求める声明

声 明
ALPS処理汚染水の海洋放出を直ちに中止すること

2023年10月7日 使い捨て時代を考える会

 政府と東京電力は福島県漁連をはじめとする多くの反対の声を無視して、ついに8月24日~9月11日に第1回目の放射能汚染水海洋放出を、10月5日に第2回目の放出を実施してしまいました。放射能汚染があると知りながら廃水を海へ捨てるとは常識では考えられないことです。大量に放射能汚染物質を流す行為は、国家と企業による犯罪とも言えるのではないでしょうか。

 「科学的根拠」とは何を指しているのでしょう。放射能に関しては、過去の長い人類の歴史の中で、微量でも影響があると立証されているからこそ厳しい基準値が設けられているのです。薄めれば安全と言えるのでしょうか。薄めたものが魚や海藻などに蓄積され、生物濃縮で他の生物に影響を及ぼす可能性は否定できません。かつて起きた公害問題への対応として、希釈しても総量は変わらないからと総量規制方式になりました。薄めての放出は水俣病を経験した歴史的経過で人類が築き上げた経験を反故にするものです。

 国と東電はトリチウムは「他の原発からも出ている」「中国や韓国の原発からも出ている」と言い訳をしています。確かに福島原発でも事故前に2.2兆ベクレル/年のトリチウムを放出していました。しかし、汚染水ではなんと22兆ベクレル/年の放出を予定しているのです。また汚染水にはトリチウムのみならず、ヨウ素129、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239、カドミウム113など62種類に及ぶ放射性核種も含まれています。その除去も100%できるものではありません。特にトリチウムは、水と分離できずALPSでは処理できないことが明らかになっています。すさまじい総量の放射性物質がすでに放出され、これからも放出され続けるのです。

 海外の反応にしても、中国のみクローズアップされていますが、太平洋諸島はもとより欧米諸国の市民からも反対の声が上がっていることはまったく報道されていません。
風評被害と言いますが、放射能による健康被害は否定できない事実です。もろに生活を脅かされる漁民は最大の被害者ですが、地球に住む誰もが被害を受ける可能性を否定できません。風評などという言葉でごまかすのは許せません。

 福島第一原発事故を正しく認識して、放射能をこれ以上ばらまく行為をやめ、まず閉じ込めてその後始末を検討していくという姿勢をとるべきです。汚染水発生の根本原因である原子炉建屋に日々流れ込みデブリに触れる地下水を止めなければなりません。タンクに溜めた汚染水についてはモルタル固化による保管なども検討するべきです。真摯に、嘘をつかずに原発事故の後始末に取り組むべきです。

 「科学的」などという言葉でごまかすのはやめて、真に科学的な方策を一刻も早く練ることを願ってやみません。

 私たちは、ALPS処理汚染水の海洋放出を直ちに中止することを求めます!

◆小浜市の松本浩さんからの報告

 50年以上の長きにわたり、福井県内における原発や行政の不正に対する異議申し立てを、様々な形で行ってきている福井県小浜市在住の松本浩さんからの報告を転載しています。

(1) 『はとぽっぽ通信』(原発設置反対小浜市民の会)より転載
(2016年6月~連載)
河内(こうち)川ダム建設の無駄と無謀
 若狭における福井県の「でたらめ行政」を検証する~~河内川ダム 編
こちら

(2) 『かたくり通信』(福井から原発を止める裁判の会)より転載
(2023年10月)
・使用済み核燃料について、そして、
・プルサーマル計画とカラ出張問題で国と県が結託し
 高浜町の森山元助役の手も借り
 「ふれあいの浜辺事業」(脇坂公園)で裏金疑惑
こちら

◆関西電力 闇歴史◆107◆

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◆関西電力送配電(株)、インバランス料金を複数回、誤算定
 電力・ガス取引監視等委員会が報告を公表(2023/7/28)
 誤算定の原因は、マニュアルの不備など事務の正確性欠如
 【付 インバランス料金】
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 関西電力の100%子会社である関西電力送配電(株)は、インバランス料金(発電計画などに対する電力の過不足に応じ、発電・小売り事業者と送配電事業者がやりとりするお金)について、誤算定を繰り返していた。

 マニュアルの不備、運用設定の誤り、システム改修時の誤り(仕様変更の認識不足)が原因とされている。インバランス料金は、卸電力市場における重要な指標の一つであり、電力小売業者にとっては、重要な経営指標。誤算定の結果、多くの小売電気事業者の会計処理に多大な影響を与えている。電取委は報告のまとめで、「重い事象」と指摘している。

 電力・ガス取引監視等委員会は、インバランス料金の誤算定を引き起こした東北、中部、関西、九州及び沖縄に対し、電気事業法に基づく報告徴収を実施した。2023/7/28、各社から報告された概要を公表した。(→こちら

 経緯としては、まず関西電力送配電(株)で発覚した。
  
(1) 2022年10月、関西電力送配電(株)の中央給電指令所システムにおけるデータ取込設定の誤りに伴うインバランス料金単価の公表値の誤りが発覚
(誤算定期間:2022年4月分~2022年10月分)
(2) 関西電力送配電(株)は誤算定を発生させたことから、中給システムの再点検を実施
(再点検期間:2022年11月~2023年3月末)
(3) 再点検の結果、新たな誤算定が発覚
(誤算定期間:2021年6月分~2023年2月分)
※2021年6月分~2022年3月分は旧インバランス料金単価の誤算定。

・電力・ガス取引監視等委員会(電取委)から報告徴収に対する関西電力送配電(株)の報告は
 
インバランス料金の誤算定に係る報告徴収への報告について(→こちら
2023年3月15日 関西電力送配電(株)

・関西電力送配電(株)のWebサイトにおける
インバランス料金に関連するお知らせ………数が多すぎ!
(→こちら
(→こちらも
 
・2023年5月17日 インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りについて
・2023年5月10日 【終報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込設定の誤りについて
・2023年4月25日 インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りの可能性について
・2023年3月30日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込設定の誤りについて
・2023年1月6日 【終報】インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りについて
・2022年12月17日 インバランス料金単価算定根拠となるデータ誤りの可能性について
・2022年11月10日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込み設定の誤りについて
・2022年11月1日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込み設定の誤りについて
・2022年10月25日 【続報】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出のためのデータ取り込み設定の誤りについて
・2022年10月14日 【訂正】インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出プログラムの誤りについて
・2022年10月13日 インバランス料金単価算定根拠であるインバランス量算出プログラムの誤りについて
・2022年7月25日 【終報】6 月28 日のインバランス料金単価200 円/kWh の誤りについて
・2022年7月11日 【続報】6月28日のインバランス料金単価200円/kWhの誤りについて
・2022年6月29日 6月28日のインバランス料金単価200円/kWhの誤りについて
・2022年6月28日 新たなインバランス料金制度におけるインバランス料金単価算定根拠である「調整力の限界的なkWh 価格」の誤りについて
・2022年5月30日 【終報】新たなインバランス料金制度におけるインバランス料金単価算定根拠である「調整力の限界的なkWh 価格」の誤りについて
・2022年5月25日 新たなインバランス料金制度におけるインバランス料金単価算定根拠である「調整力の限界的なkWh 価格」の誤りについて

【付 インバランス料金】

 電力の小売業者が事前に確保した供給量に対し、実際には顧客の需要量の方が多くて、供給量が足りなくなった場合には、送配電会社が足りない分を供給することになっている。電力の小売業者は、需要を正確に見積もることが求められる。送配電会社が電力を融通することで、需要家に電気が届かなくなることはない。しかし、電力を融通してもらった小売業者は、送配電会社に「インバランス料金」という追加料金を支払う必要がある。(インバランス=アンバランス)
 このインバランス料金は、ペナルティ的な意味合いが強く、卸電力よりも高く設定されている。(需要が少なくて供給の方が多くなった場合は、送配電会社が余剰分を買い取る。)

◆106◆←←関西電力 闇歴史→→◆108◆

◆関西電力 闇歴史◆106◆

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中性子照射脆化の進み具合をみるのに、関電は、規制委の規格にない方法で測定!
 福井県には「規格にない図(WOL試験片)」を示していながら(2016年)、
 訴訟では「規格にある図(CT試験片)」を「イメージ図」として提示!(2021年)
 老朽原発40年廃炉訴訟(名古屋地裁)で明らかに!
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 中性子照射脆化の進み具合をみるための監視試験片のうち「破壊靭性試験片」は母材と溶接金属の2種類を毎回取り出して試験すべきところ、関電は、1回の取り出しでどちらかしか試験していないことも裁判で明らかとなりました(◆022◆)。

 さらに、意見書の書籍化(『原発の老朽化はこのように』→こちら)作業の中で、高浜1、2号機と美浜3号機の破壊靭性試験片は、今は使われていないWOL試験片というタイプで、規制委が破壊靭性試験の方法として採用している日本電気協会のJEAC4206-2007という規格にもないことを確認しました。この試験片は破壊靭性値を正しく測定できない問題があります。書籍のQ&Aで解説しています。

 関西電力が原子力規制委員会の審査で提出した資料では、破壊靭性試験片の型は明示されていませんでした。また、当訴訟では、国も関電も、破壊靭性試験については、「イメージ」図として、CT試験片とその試験の図を準備書面で示し、本件原発の破壊靭性試験片の型については明示していないので、CT試験片なのかと思っていましたが、以下のことから、WOL試験片であることがわかりました。

・意見書でも紹介している日本電気協会が規制委に提出した資料に、高浜1号炉であると特定できる図があるのですが、よく見ると、その「試験片種類」は「1X-WOL」と書かれている。(2020年1月10日 第5回原子炉圧力容器に対する供用期間中の破壊靱性の確認方法等の技術評価に関する検討チーム)

・辻元清美議員提出「原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する質問主意書」(2023年3月13日)への答弁書(同年3月24日)において(→こちら)、国内の全ての原発の高経年化技術評価等報告書に記載された監視試験片の種類について、高浜1、2号機は記載がありませんが、美浜3号機は「WOL試験片」と記載。

・関電が福井県の原子力安全専門委員会に提出した資料には、高浜1、2号機と美浜3号機の破壊靭性試験片としてWOL試験片の絵が示されていることを確認(高浜1、2号機は2016年5月13日開催第85回、美浜3号機は同年11月2日開催第87回の各資料に記載。福井県原子力安全対策課WEBサイト掲載)。

 関電は、福井県の専門委員会にはWOL試験片の絵を提出しているのに<下記>、名古屋地裁の訴訟では、「イメージ」図として、CT試験片を図示しており、あまりに不誠実です。

 CT試験片は、二つの穴に棒を通して上下に引っ張って、き裂の進展が始まる限界の力を測定しますが、WOL試験片は、引っ張る片方にネジ穴が開けらていて、ネジを差し込んで引っ張るために塑性変形が起こり、引っ張る力が塑性変形に使われることで、より大きな力まで耐えられることになってしまうのだそうです。

 WOL試験片をCT試験片と同じように扱うために、WOL試験片にサイドグルーブと呼ばれる溝をつけて破壊しやすくするなどの修正を行う手法もあるそうです。関電が福井県の専門委員会に提出したWOL試験片の絵にはサイドグルーブがついているように見えます。しかし、審査において、WOL試験片の測定値の妥当性が議論された記録はありません。

 以上、『デンジャラスくん通信 第24号』(→こちら)より

▼破壊靭性試験片–CT試験片
名古屋地裁、2021年10月28日参加人 関電 高浜準備書面(11)より(→こちら

▼破壊靭性試験片–WOL試験片(図中「関連温度」とは、「脆性遷移温度」のこと)
・2016年5月13日開催 第85回福井県原子力安全専門委員会
「資料No.3[関西電力((株))]高浜発電所1、2号機の運転期間延長申請の概要について」より
(→こちら
・2016年11月2日開催 第87回福井県原子力安全専門委員会
「資料No.2[関西電力((株))]美浜発電所3号機の運転期間延長申請の概要について」より
(→こちら

◆105◆←←関西電力 闇歴史→→◆107◆

◆9/21 第38回口頭弁論の報告

 2023年9月21日(木)に京都地裁で第38回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、弁護士会館の3階大会議室で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 恒例の裁判所周辺デモは30人程度で、心配された雨は降らずにすみました。今後、さらに呼びかけを広げます。
  • 開廷前デモ、法廷傍聴、模擬法廷、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。
  • 原告席…14名で募集し、13名の申込を受け付けました。
  • 傍聴席…昨年6月よりコロナ禍による制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになっています。今回、抽選にはなりませんでしたが、満席に近い状況でした。
  • この回は、被告の関電、国が、弁論更新を行いました。被告関電が45分、被告国が15分のプレゼンテーション。関電や国の言い分を耳で聞くのは、この11年の訴訟の中で初めてでした。
  • 関電は「地震に対する安全確保対策について」69枚のスライドでした。そのスライドファイルは、前日にしか届きませんでしたし、ページ数やカラーが多くて、傍聴の皆さまにもプリント配布することができませんでした。そのPDFファイルを以下にアップしましたので、こちら[89 MB]より、ご覧ください。長いので、読むには時間がかかりますが、法廷でも、時間の関係と言って、スキップされたところが多々、ありました。
  • 報告集会での赤松純平先生のコメントでは、地下構造については、自分に都合の良いことだけを述べ、不都合な点は触れていないとのことでした。聞いていた感じでは、科学的保守的(安全性をより重視しているという意味)、専門家(の意見書)の三つが何回も出てきて、耳につきました。基準地震動など技術論を述べて耐震安全性を強調したのかな、と思いました。科学的とか、専門家と言えば、人は(裁判官は)ひれ伏すと思っているようです。
  • 科学より前に信頼が必要です。とりわけ関電は信頼できません。福島第一原発事故がおきて、科学も専門家も完全に信頼を失墜したのに(全く信頼できない専門家がいることが明白になったのに)、関電は何も学んでいないようです。東電も自民党政府も同じですが。
  • 報告集会の参加者数…およそ50名ほど。
  • カンパ…参加者の皆さまからカンパをいただきました。感謝いたします。
    ・金額は、その都度、会場ですぐに計算して報告できていませんが、この1年は以下の通りです。傍聴参加者の数が多いと増え、少ないと減る傾向になっています。(天候、報告集会の会場の場所なども影響すると思われます)
    ・2022年、9/6…14,605円、12/6…34,473円
    ・2023年、3/2…21,683円、 6/1…44,572円、9/21…34,091円

◆9/21 第38回口頭弁論のお知らせ

・今回の期日連絡は、郵送希望の原告宛に発送しています。
・皆さまの積極的なご参加をお待ちしています。
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・前回に続き、開廷前の裁判所周辺デモを行います。
・模擬法廷、閉廷後の報告集会は、★弁護士会館★3F大会議室となります。
(弁護士会館は、地裁構内、南東角です)
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◆今回は、被告側[関電、国]の総まとめの弁論更新
・4月から裁判長が交代しました。この新しい裁判長の3年の間に、判決に至る可能性もあります。
・弁護団、原告団では、勝利判決をかちとるべく、前回期日6月1日には、これまでの原告の主張の総まとめの弁論を展開しました。
・これに対して、9月21日には、被告の関電、国も、弁論更新を行うことになりました。
・被告関電が45分、被告国が15分の弁論更新を行うとのことです。関電や国の言い分を聞くのは、この11年の訴訟の中で、おそらく初めてだと思われます。どんな主張をするのか…原発がいかに安全か、ということでは間違いないでしょうが、ぜひ、聞いてみましょう。

◆原告、弁護団から
・今回、原告側からの主張などは、ありません。

◆特別のお願い
傍聴席の制限は解除されています。可能な範囲で多くの皆さまの傍聴ご参加をお待ちしていますが、無理をされないようにお願いします。
発熱や風邪のような症状のある方、体調不良の方は、参加をお控えください。マスク着用をお願いします。咳エチケットの励行をお願いします。また、消毒液が用意されていますので、お使いください。
・模擬法廷&報告集会の会場入口では、念のための連絡用として、氏名と電話番号をご記入ください。2週間程度で廃棄します。

◆タイムテーブル
12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の玄関前に集合
12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃まで
13:25(見込み)…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
13:40(見込み)…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了。直ちに抽選→傍聴券の配布。抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は14:30までに★弁護士会館★の模擬法廷へどうぞ
14:30…開廷、弁論開始。同時刻に★弁護士会館★で模擬法廷も開始
15:45頃から…閉廷後、★弁護士会館★で報告集会。30~60分程度

裁判に参加する方法…以下、三つの方法があります。
原告の皆さまは下記、[1] 原告席か、[2] 傍聴席か、[3] 模擬法廷のいずれかでご参加ください。
原告でない方は、[2][3]でご参加ください。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に、原告として入ります。
被告「関電、国」の正面に座ります。
・原告団が氏名を裁判所に通知します。
【いつもメールによる連絡を受け取っている原告】 9/6頃にメーリングリストにより案内メールをお送りしますので、それを受信されてから、返信として申込ください。
【いつも郵送による期日案内連絡を受け取っている原告】 原告席での参加を希望される場合は、9/12(火)までに事務局宛ご連絡ください。
・コロナ以前は合計35名ほどの原告が参加できましたが、今回は、14名程度となります。
・定員に達するまで、先着順で受け付けます。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あります。
傍聴席に座るには、裁判所が抽選を行います。
傍聴希望者が少なかった場合は、抽選はありません。
・13:25~13:40(見込み)の間に、京都地裁正面玄関前で、抽選リストバンドが配布されます。
・傍聴席は、原告でない方も、誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合、または、最初から法廷に入ることを希望されない場合は、次項に記載の模擬法廷にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:30開始)。そこに参加するには
★弁護士会館★3F大会議室へ、直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく、弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば、その解説も行います。

◆報告集会の開催
・法廷の終了後、★弁護士会館★3F大会議室にて報告集会を開催します(15:45頃から16:30頃まで)。
・裁判の進行などを、弁護団から説明いたします。裁判に関するご質問などもどうぞ。
・コロナ禍の状況によっては、報告集会自体を取りやめる可能性もあります。その場合は、あらかじめ原告団Webサイト(「京都脱原発原告団」で検索可)に掲載します。
・電話でのお問い合わせは、090-5660-2416(吉田あて)。

 

 

◆8月24日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当前田氏、もう一人(氏名不明)
使い捨て時代を考える会;4名(中嶌、吉田、藤井、山田)

 8月24日に行われた関電との話し合いの報告です。コロナ禍で対面での話し合いを拒否され、関電は電話で回答すると言い続けていましたが、あくまでも対面での話し合いをと要求し、1年9か月ぶりに開催しました。

 なお、前回まで関電側は、関西電力送配電(株)の社員が出てきていたが、今回は、関電京都支社の所属ということで、より正常な面談の形に戻った形です。

 話し合いは、前もって質問書を提出し、関電が準備した答えを読み上げていくなかで、こちら側から随時質問や意見を述べるという形で進みました。

 事前に提出した質問書は以下の2通です。質問書の後に当日のやり取りの記録が載っています。
質問書1 は、中嶌哲演さんが地元福井県民という立場で昨2022年1月に提出されていたものです。質問書2 は、今回の面談に先立って、使い捨て時代を考える会として提出したものです。

★★★★★★★★★★★★★★★

*質問書**1***

1.  現在問題となっている原発マネー不正還流問題は、高浜原発に関わっているが、その歴史は長い。県内のメディアで扱われたのが1980年代だ。高浜3号機建設の際に9億円支払われ、町民や漁民に渡った。アンケートをとったら9億円と言うが、実際は25億円だという回答があった。そのお金は電気料金から支払われている。そのようなばらまきは、経済的合理性にかなうのか。過去にさかのぼって反省してほしい。地元ではいろいろと聞いたが、原発不正マネーに関電幹部までが関わっていることに唖然とした。消費者に対して、どう思うのか。

2. 美浜は4か月動かして23億kW発電し、10円/kWで計算すると230億円になる。巨費を投じても何とか勘定が合うという考え方なのか。美浜は廃炉に490億円、高浜は廃炉に900億円かかるという。健全経営のためにも原発に代わる方策を考えるべきではないか。

3. 安全対策工事と特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)の工事で、高浜では3000~4000人、美浜では2000人働いていたという。原発ゼロ法案の中身を見ていくと労働者のアフタケアはできると思う。だが原発ゼロ法案は自公が拒否した。問題にされないまま2020年9月に対策工事が完了したということで、猛烈な圧力で地元に同意を取り付けたが、高浜は、実は安全対策工事は完了していなかったことが2021年4月に判明した。高浜も美浜も、老朽原発を再稼働させることに、私たちは反対している。特定重大事故等対処施設(いわゆるテロ対策施設)については福井県の安全対策課にも内容がまったく知らされていない。高浜、美浜、大飯の各原発について、安全対策工事や特定重大事故等対処施設についてのコストと従事してきた労働者の数を知りたい。

4. 若狭の原発は、15基中11基が関電だ。その後、美浜1、2号機と大飯1、2号機が廃炉になり、11基のうち現在7基残っている。そのうち3基が老朽原発となっている。安全性の観点から見て、とくに老朽原発は思いとどまるべきではないか。

5. 若狭には11基の関電の原発があり、979万kWほどの設備容量をもっていたが、地元の住民が必要なのは6~7万kWだ。インフラ整備と引き換えに原発を受け入れたが、多くの若狭の住民は子孫に対して申し訳が立たないと思っている。原発ゼロ法案にあるように、若狭の次の産業を考えるべきだ。関電は若狭の地元で、原発に批判的住民との意見交換ができる場を作ってもらいたい。

6. 現在、福井県と国は「福井県・原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議」をつくって議論を進めている。そして、関電もそのメンバー入っているが、関電がそのメンバー入っている目的は何か。また、立地地域の将来像についての関電のビジョンは、どのようなものか。

以上

*質問書**2***

1.企業倫理に関する質問

貴社はこの数年の間に、原発マネー不正還流事件、多額の金品の受領問題、役員報酬等の闇補填、貴社が中心となって結んだ大手電力会社同士のカルテル、新電力顧客情報の不正閲覧など大企業として恥ずべき行為を繰り返しています。不正行為を繰り返す貴社が、原発を動かすことに大きな不安を感じます。企業倫理に関してどのような見解をお持ちなのでしょうか。

2.老朽原発に関する質問

貴社は運転開始後45年の老朽原発美浜3号機を昨年8月に再稼働させ、運転開始後48年の高浜1号機を今年7月28日に再稼働させてしまいました。また運転開始後47年の高浜2号機を再稼働させる予定と聞いています。また、運転開始からまもなく40年になろうとする高浜3、4号機について運転期間20年間の延長を申請したと報じられています。しかし、貴社の原発ではトラブルが頻発しています。蒸気発生器伝熱管の損傷、電気ケーブルの接触不良による制御棒の異常挿入などは明らかに経年劣化による不具合ではないでしょうか。経年劣化が引き起こす重大事故が懸念される中での運転延長は無謀なことと思われます。なぜ危険をおかしてまで原発を動かさなければならないのか、理由をお聞かせください。

3.特定重大事故等対処施設に関する質問

貴社の原発の特重施設の設置状況及び運用開始について教えてください。

特重施設は「故意による航空機衝突やその他のテロリズムにより、炉心の著しい損傷が発生するおそれがある、または発生した場合に、原子炉格納容器の破損による放射性物質の放出を抑制するための施設」とありますが、ロシアのウクライナ軍事侵攻では攻撃の標的になり、今でも大変危険な状況が続いています。いかに特重施設ができようとも、原発は特重施設などで守れる施設ではないことも明らかになりました。最大の防御は原発のような核利用施設を持たないこと、作らないことです。これについての貴社の見解をお聞かせください。

4.MOX燃料・使用済核燃料に関する質問

貴社は昨年フランスから高浜発電所へMOX燃料を運び込みました。すでに運転に使用していて、使用済みMOX燃料の保管は100年以上とされていますが、どこに保管する予定でしょうか。他の使用済み燃料は現在どのぐらいありますか。

中間貯蔵施設を福井県外に作るという見通しは全く立たず、一部をフランスへ搬出するという計画を発表し、地元福井県からも反発を受けています。ごまかしとしか思えないプランを堂々と発表する姿勢は、大企業のやることとは思えません。使用済み核燃料の再処理はどうしますか。課題を未来につけ回しして、負担を将来世代に先送りするのを良しとするのでしょうか。

5.福島事故に関する質問

福島第一原発事故から12年が経ちました。いまだに溶け落ちた炉心には近寄ることもできず、汚染水はたまり続け、廃炉作業も全く進んでいません。故郷を奪われた人々も、汚染地域に残らざるを得なかった人々も、大きな苦しみを抱えています。また国は漁民の大反対を押し切って汚染水の海洋放出を決定しました。海が汚されようとしています。廃炉作業による原発労働者の被ばく、原発周辺地域の限りなく続く放射能汚染、このような現実をどうお考えですか。福島原発で私たちは原発事故の悲惨さを体験し、すぐにすべての原発を止めて安全なエネルギーに変えていくことが最善ということを知りました。これは常識だと思いますが、事故の危険・甚大な被害を見て見ぬふりをして原発に依存する理由が理解できません。原発を推進する理由は何ですか?

6.再エネ・契約離脱に関する質問

貴社からの契約離脱(低圧)は昨年末で累計350万件に達しましたが、その後逆に貴社に戻る消費者が増えてきました。大手電力による再エネ新電力への締め付けがあり、さらに顧客情報を不正閲覧するという、考えられないような行為での「成果」と思われます。日本が再エネへの取り組みが少ないことは国際的にも批判を受けています。これからの社会は再エネへ転換しないと持たないと言われています。安全確保のためとされる巨額な設備投資、保管するだけでも多大な費用が掛かり、処理・最終処分の見通しも経費の見通しも立っていない核廃棄物関連費用、技術的にも完成していない廃炉費用、動かしていない原発に必要な日常の管理・安全対策費用、日本原電などへの多額の出費、どれをとっても原子力発電に有利な条件はありません。貴社としても今すぐ原発への投資をやめて再エネへのシフトを図るべきではないでしょうか。なぜ原発に頼る経営をやめないのか、国の方針ではなく、貴社の経営姿勢としてお答えください。

以上

★★★★★★★★質問書はここまで

*話し合い記録***

*Q(こちら側の発言) A(関電の発言。ほとんど前田氏が答えた)*

A 文書回答はしないという会社の方針なので、回答を読み上げる。

Q 関西電力グループ行動憲章に「市民とのコミュニケーションを積極的にする」と書いてあるが、もっとコミュニケーションをゆたかにしてほしい。

A (質問1の1について)金品受取などについては社内のコンプライアンスなどを進めてきた。再発したことは組織風土の醸成が道半ばと痛感した。全社一丸となって取り組む。

Q 何十年も前から似たような体質だったのが、今回顕在化した。若狭の住民にとっては新しいことではない。老朽原発のことや、中間貯蔵施設のことなどなど、どこまで取り組んでいるか疑問だ。道半ばとはどういうことか。消費者に対してどう思っているのか。コンプライアンスというが、反省を踏まえているのか。

A (質問1の2について) 美浜3号機、高浜3号機は経済性があるという一定の見通しがある。

Q 本当に経済的なのか。使用済み核燃料の廃棄なども含めてそういうのか。

Q 原発は設備が膨大で点検しきれない。配線ほか老朽原発の設備すべてについて点検できていないではないか。

A 基準に合わせて点検している。

Q 点検ができていないところでトラブルが起きている。大きな事故につながることが心配だ。交換することができない個所がある。そういうところでトラブルが起きている。炉心部など高放射能の部分はじかに点検はできないではないか。

Q 送配電子会社が顧客情報を渡していた。

Q 老朽原発の稼働は経済性の問題というが、安全性や企業の倫理的責任はどう考えるのか。経済性を前面に出すことを恐れる。

Q 老朽原発の安全対策は高浜が3200億円、全体で1兆1900億円と、巨額のコストがかかっている。テロ対策で高浜1号機では山をくりぬいて工事をした。膨大な経費だ。

Q 工事が10%進んだ時に停止を要求した。廃炉と、巨額な経費をかけた時のコストはどうなるのか。ゼロ法案がでてきた時に検討する時間があったはずだ。

Q テロ対策費はどれだけかかっているのか。それでも経済的見通しがあるのか。

A 2021~2022年で7基1兆1400億円。

Q 高浜、美浜はそれぞれいくらか。

A 手元に資料がないのでわからない。

Q  それは次回に答えてもらいたい。うやむやなまま老朽原発は動いている。

Q 原発を輸出しようとしていたが、世界で要求される安全性を満たそうとすると、経済性が合わなくてやめになった。安全対策をちゃんとしないと不安だ。安全対策費を抑制しているようだが軽視されているのではないか。コストが削減されていく中で老朽原発を60年以上運転するというのは怖い。勘定が合うというが、もっと対策費をかけないといけない。

Q そのように安全対策費などが膨大にかかる電源はおかしいのではないか。他の電源に代えてもらいたい。社員としてどう思うか。

A 個人的な考えは答えられない。

Q 市民の考えをきちんと社長さんに伝えてもらいたい。

Q テロ対策についてだが、以前はミサイルが撃ち込まれても大丈夫、航空機も大丈夫と言っていたが、規制委員会はどうなるかわからないと言っている。何らかの形で攻撃を受けたら大丈夫なのか。飛行機が落ちてきても本当に大丈夫なのか。ウクライナのように占拠されたらどうするのか。そこまでして原発が必要なのか。電源としてどういう意義があるのか。

Q (質問1の4について) 経済的見通しがあるからやっているというが、安全性の観点から見てどうなのか。特に老朽原発は思いとどまるべきだ。お金をかけたから大丈夫というのなら少しは納得するが、経済性から動かすというのは納得できない。安全性を自信をもって言えるのか。

A 日々の点検、1年ごとの定期点検、30年以降10年ごとに再評価、40年超えのモノについては、取り換えが難しいものの詳細な点検。S+3Eでやっている。

Q それは公式回答だ。去年の政府の方針転換に沿った回答だ。福島の事故を見ても明らかなように100%安全とは言えない。老朽原発はきっぱりと廃炉にするべきだ。原発全部を止めること、少なくとも老朽原発を止めることが、最大の安全だ。

Q 質問1の5,6  について聞きたい。

A 意見交換できる場をということについてはご意見として聞いておく。(6について)地域の皆さまの声は聞いている。

Q 汚染水の海洋放出についても地元の声を聴いていない。原発は事故がなくても地域社会を壊す。そのようなことまでして原発が必要なのか。

Q 上関町では中間貯蔵施設に対して住民が反対している。これには関電も関与していると報道されているがどうなのか。

A そういう情報は入っていない。

Q 原発を動かすと使用済み核燃料をさらに増やしていくことになる。そういうツケを上関町に押し付ける。住民の意見は聞いていない。住民は中間貯蔵ではなくそのまま最終処分場になることを恐れている。何よりも住民の意見を聞いてほしい。

Q 原発そのものも処分場も地域住民の分断を生む。受け入れ先がない嫌われる施設なのだ。とにかく原発はやめてほしい。

Q 核技術を福井県に持って行くことを懸念している。「共創会議」があって関電はそこに入っている。原発に頼らない新しい産業を考えているのか。原発が残るとは住民は思っていない。核を福井に留めることは疑問だ。

Q 「共創会議」では「原発に依存しない」と入れているが、真の目的は若狭をいつまでも原発に縛り付けるということではないか。原発に依存しない施策が進んでいない。

Q 地元住民の声を聴く場に出てきてもらいたい。

A 共創会議では水素アンモニアサプライチェーンなど大学などとマッチングして進めている。

Q 水素サプライチェーンだが、原発を動かしながら水素を作るとなっている。羊頭狗肉だ。

(ここから質問書2)

Q 株主総会に出たが、森本前社長などカルテルを主導した方が月額300万円ものお金をもらっている。高い電気料金の中で疑問だ。市民と感覚が違い過ぎる。

Q 脆性破壊が問題と思う。圧力容器の金属が緊急に冷やした時に破壊する可能性があると言われている。危険だ。安全性を最優先していない。この間の機器の損傷などは定期点検直後に起きている。大きな事故につながる前に止めてほしい。特に老朽原発は止めて。本当に経営の問題で動かしているのか。

Q 高放射能の部分の安全は確かめられない。

Q 関電は原発が電源構成の1/3ぐらいになるのではないか。他の電源はどうなのか。関電の電気=原発の電気しかも老朽原発の電気となっていないか。会社の将来はあるのか。原発比率を落としていく経営をするべきではないか。

Q コマーシャルで気候変動にからめて原発はCO2を出さないと宣伝している。放射能という環境負荷をかけているのに。コマーシャルはやめてほしい。

Q 運転するところだけを見ればCO2は少ないかもしれないが、安全対策費や設備建設、放射性廃棄物処理など全体としてはCO2をすごく出している。原発を動かすと核のごみを作り出す。環境負荷がすごく大きい。CO2を出さないという宣伝は不愉快だ。

Q こどもにはしっかり教えてもらいたい。CO2を出さないということなどを鵜呑みにして、原発は必要という若い世代が増えている。

 (質問2の4について) 貯蔵量のデータ(プリントを提示)はHPに出している。

Q 中間貯蔵もできないのに使用済み核燃料を増やすのか。

Q 再処理では放射能が出る。環境に負荷を与える。そういうことを前提に電力会社としてきちんと考えてもらいたい。企業の社会的責任だ。経済性だけで老朽原発を動かすことが、関電にとって、社会にとって良いことなのか、早く考えてほしい。気候危機対策も原発でできるわけではない。

Q 小浜市民として関電が上関町に中国電力と組んで中間貯蔵施設をつくることを申出たことは大変悲しい。心が痛む。小浜は原発建設も中間貯蔵施設も阻止した。福島事故が起きる1か月前にパブコメを出した。関電は大消費地への電気のために原発を若狭に押し付け、使用済み核燃料を六ヶ所に押し付けた。上関に押し付けることに耐えきれない。そういう議論を地元でしてきた。原発止めたら事故の心配もなくなるし、押し付け合いも必要なくなる。核のごみを増やすことはやめるべきだ。せめて老朽原発を止めてもらいたい。

Q 国の方針だからということではなく、企業としてどう考えるかだ。

Q 小浜は大飯原発の増設にも反対した。大飯原発に関してはいまだに小浜は排除されている。目先だけで原発を考えてはいけない。アンケートでは52%回収しそのうち反対が90%あった。小浜市民がどういう気持ちで過ごしてきたか考えてほしい。

A (質問2の6について)  ゼロカーボン化にむけて検討している。再エネ比率を高めていく。

Q 原発やめることこそ健全経営につながる。
└─────────────
 久しぶりの話し合いであり、この間非常にたくさんの問題が出てきたので、言いたいことが多すぎて全体に少々散漫になりました。関電側は事前に「人数を少なく、時間を短く」と要求してきましたが、質問が多かったので1時間を超える話し合いとなりました。

◆関西電力 闇歴史◆105◆

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◆カルテル問題で、関西電力が経産大臣に業務改善計画を提出(2023年8月10日)
 「地域独占の意識からぬけず、自由化の趣旨を理解していなかった。
 他人任せ、上意下達の組織風土に問題があった

└─────────────────────────────────

 以下、( ) 付き数字 (1) (2) (3)…に書いた内容は、
関電プレスリリース「電気事業法に基づく業務改善計画の提出について」
(→こちら)の中の「業務改善計画」からの抜き書きです。

┌─────────────
◆関電「業務改善計画では、いくつか反省していますが、
 “ 原子力 ” などで大手電力間の協力もあったものですから……
(原発推進の政策を理由に「やむを得なかった」と弁解したいのか)
(独占時代の甘い環境を忘れられず “独占禁止” なんて無縁だと思っていたのか)
└─────────────
 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 電力自由化の趣旨に反し、電力事業の健全な発達に支障が生ずるおそれのある事案を発生させました。
(2) 旧規制産業時代の意識から脱却しきれず、電力自由化市場で事業者として守るべきルールを守れませんでした。
(3) 独占禁止法や電気事業法の行為規制などにおけるルール違反がありました。
(4) 関西電力グループ行動憲章は独占禁止法遵守に関する直接の社内規程や違反防止のための仕組みを定めていませんでした。
(5) 自由化後も原子力その他の分野において旧一電(大手電力)との協力が求められる業務を行い、当社のエネルギー事業を担当するエネルギー・環境企画部門の活動においては独占禁止法の違反リスクはない、もしくは、低いといった誤った認識が存在していました。

┌─────────────
◆関電「組織風土に問題がありました!
 職位や所属の垣根が高く、
 上意下達になっていましたので……」
(責任は全役員にあるが、全従業員には責任を押しつけないで)
└─────────────
 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 全役員・全従業員が、職位や所属の垣根を越えて自身の思いや気付きを率直に語り合えるような組織風土がありませんでした。
(2) 他人任せ、上意下達の組織風土がありました。

┌─────────────
◆関電「今後の具体的な対策いろいろ!
 競合他社との接触を禁止することなど……」
(不意に出てくる超難しい用語「慫慂」は、関電内では普通なの?)
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 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 旧一般電気事業者(旧一電)を含む競合他社との接触を規制する規程等を定めます。
(2) 競合他社との接触を禁止し、例外的に接触する場合であっても競争に影響する情報を交換することを禁止します。
(3) 研修を実施する際には、研修受講率の把握や確認テストを実施します。
(4) 社内の法律相談窓口について周知し、活用を慫慂します。
(5) 法務部門担当者が、選定した会議に関する資料や議事録を確認します。

【参考】
慫慂(しょうよう)とは、周りの人がそうするようにオススメすること。
ポンと背中を押して、促してくれるという意味があります。
自分ではそうする意思がなかったのに、近くにいる人が呼びかけてくれる様子を示しています。
「慫慂」の「慫」も「慂」も、日常生活ではあまり見かけない難読漢字です。
「慫」はビックリする、お誘いするという意味があります。
また「慂」は誰かにオススメするという言葉。
つまり「慫慂」の熟語には、誰かに声をかけられて驚いているニュアンスも含まれているのです。
また最近では「おすすめする」の敬語として、慫慂が用いられることもあります。
それにしても関電の人は難しい言葉を使うんですね。
中味が伴っていると良いのですが (^ ^;;

┌─────────────
◆関電「組織、制度などを新設します!
 あれもこれも作りますので……」
(組織や制度を作るだけならすぐにできるが、魂を入れるには?)
└─────────────
 ↓「業務改善計画」からの抜き書き
(1) 社長を議長とする「組織風土改革会議」を新設します。
(2) 法務情報発信サイトとして「法務ポータルサイト」を立ち上げます。
(3)「 コンプライアンス推進本部」を新設し、コンプライアンス推進の最高責任者としてCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を設置する。コンプライアンス推進本部によるモニタリングを確実に実施します。
(4) 独占禁止法違反行為に係る調査に協力した者に対する懲戒処分等の減免規程等、いわゆる「社内リニエンシー制度」をつくります。
(5)「独占禁止法遵守に関する規程」を定め、すべてのグループ会社に通知します。

◆104◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆106◆

◆関電の電気は買わない

 岸田内閣は昨年からエネルギー政策を転換し、本年には原発回帰政策としてGX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法と、GX脱炭素電源法を制定しました。GX推進法は、時代遅れの原子力産業を国が支援する法律。GX脱炭素電源法は、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の5つの束ね法で、原子力の活用を国の責務とし、原発の運転期間を延長し、そのルールを規制側の規制委から利用側の経産省の管轄に移しています。

 関西電力は、こうした政府の原発回帰政策のお先棒を担ぎ、昨年、危険な老朽原発の美浜3号機を再稼働し、今年7月以降に同じく老朽原発の高浜1、2号機まで再稼働させようとしています。関電の電気の電源構成は、原子力が28%とトップとなっています(2021年度実績)が、現在は、もっと高い状況です。

 2016年4月以来の電力自由化(低圧)で、関電の契約数は一貫して減少してきましたが、2022年11月から増加に転じています。輸入燃料価格の値上が、卸電力市場の価格高騰などで、新電力が次々と電気代の値上げに走る中、値上げをしなかった関電の規制料金の方が安くなったようです。しかし、関電はカルテルを主導し、消費者や新電力情報を不正に閲覧するなど、コンプライアンスの欠片もない企業です。

 今、私たち電気の消費者は、自由に電力会社を選ぶことができます。こうした中で、関電の電気を選択するということは、放射性廃棄物の処理を未来世代に押しつけ、原発事故のリスクを大きくすることに加担することです。電力選択は消費者の責任であり、どのような未来を展望するのかの選択でもあります。再エネ中心の新電力を応援し、少なくとも原発の電気、関電の電気は選ばないことが、消費者の責任ではないでしょうか。

(使い捨て時代を考える会『あんてな』2023年8月。脱原発委員会、吉田めいせい)

【追加】
◆電力の購入先を変えるには◆

まず、手元に現在の「電気使用量のお知らせ」を用意します。
その中で、以下を確認しておきます。
(1)契約者氏名
(2)今の電力会社のお客様番号
(3)電力供給地点特定番号……22桁の数字
そして、新しい電力購入先に電話かネットで申し込みます。
前の電力会社に変更の連絡、お断りを言う必要はありません。
なお、とくに再エネの電気を使いたい場合は、
「パワーシフトキャンペーン」のWebサイトで紹介されている新電力をさがすと良いでしょう。
こちら……未来をつくるでんきの選び方
こちら……自然エネルギー供給をめざすパワーシフトな電力会社