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◆第7回原告団総会の報告


◆京都脱原発原告団は,「原発の再稼働を許さず,すべての原発を廃炉に」と
6月1日(土)ハートピア京都(京都市中京区)で第7回原告団総会を開きました。
◆参加者は227名でした。
◆閉会時に参加者の皆さまから多額のカンパをいただきました。ありがとうございました。
◆もくじ
【1】原告団総会の全体的な内容こちら
【2】弁護団報告の概要…渡辺 輝人 弁護団事務局長こちら
【3】当日配付資料…PDFファイルこちら
【4】樋口英明元裁判官の講演を聴きました…増尾誠さんのメモこちら
(「原告団総会のお知らせ」チラシなど→こちら
(以下,写真はおもに和田美登里さん撮影)


【1】原告団総会の全体的な内容

  • 原告団長の挨拶-講演者の紹介をかねて…竹本 修三 原告団長
  • 記念講演…「原発裁判と裁判官の責任」元福井地裁裁判官 樋口 英明 さん
  • 京都地裁の大飯原発差止訴訟について
    • 弁護団より挨拶…中島 晃 弁護団長代行
    • これまでの裁判の経緯と今後の見通し…渡辺 輝人 弁護団事務局長
  • 原告団・世話人会から
    • 報告とアピール,総会スローガンの提案…吉田 明生 原告団事務局長
  • 原告の皆さまからのご質問,ご意見など
  • 世話人会からの報告や総会スローガンの確認

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【2】弁護団報告の概要…渡辺 輝人 弁護団事務局長

(以下,撮影は和田美登里さん)


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【3】当日配付資料…PDFファイル

→ 2019年総会配付資料[636 KB](A4で19ページ。会計報告ページは略)
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【4】樋口英明元裁判官の講演を聴きました

増尾誠

 大飯原発再稼働差止め判決を出した樋口元裁判官が、6月1日に京都地裁大飯原発差止訴訟第7回原告団総会で「原発裁判と裁判官の責任」の題で講演されました。会場のハートピア京都の大会議室(定員200席)は補助いすが出るほどの超満員でした。大変良い講演でしたので少し紹介します。

原発差止訴訟で地震を理由として差し止めを認めたのは、樋口裁判長と大津の山本義彦裁判長の二人だけで、止めなかったのは15人にもなるが、この違いは原発の怖さを心底知っていたかどうかだと云ってました。樋口さんは、温厚な語り口で、伊方のように高度な専門技術訴訟としてのつじつま合わせの先例に習う必要はなく、社会通念としてのものの道理にかなっているかで判断されるべきだと語っています。この判決が圧力に屈することなく特別に勇気あるものなどという評は全くの見当違いで、いかに「当たり前」の結論であるかを平易に説明してくれました。

原発の耐震強度は大飯の設計基準では建設当初は405ガル(稼働中の現在でも856ガルにすぎない)でしたが、実際に観測された我が国の記録では4022ガル(宮城内陸地震2008)を最高に、1000ガルを超えるものも多数あります。東日本大震災では宮城県で2933ガルが観測されていますが、震源地から離れている福島第一原発では600―700ガルでそれほど揺れていないのに、この大参事です。

ところで、三井ホームの耐震基準は5115ガル、住友林業は3406ガルだそうです。それに、住宅メーカーは何十回となく実験をしており、机上の空論でコンピューターに数字を入れているのと違います。だから原発より一般住宅の方が安全です。容認派の理論の強振動予測理論などによる「大飯には700ガル以上は来ません」などというのは全くの仮説にすぎず、考慮するに値しない。

裁判官の伝統に反して、高裁で破られた自分の判決の中身について裁判官を辞めた後で話をするのは、これが普通の事件でなく、国の存続の問題であり、その危険性を知ってしまった以上はそれをしゃべるのが私の責任だと云ってました。

その他、最高裁の裁判官になる人かどうかは経歴を見ればわかる(定年までの40年ほどのうち、裁判官としては20年以内だけで、法務省などに出向した人)などなど盛り沢山でした。

この論旨は、岩波の世界2018.10月号(p.58-69)に載っていますが、その中の一文「多くの原発が自分が住んでいる家や自分の勤めている会社のビルよりも弱いということ、そしてその根拠が不可能とされる地震予知に基づくものであることは、間違いなく電力会社が最も国民に知られたくない情報である」はなかなか説得力あります。

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◆京都地裁所長あてに,二度目の申入書を提出

◆点字ブロックの上にある所持品検査の設備(京都地裁)
点字ブロックの上にある所持品検査の設備(京都地裁)


申 入 書

2019年5月31日

京都地裁においては,4月より庁舎に入るときに所持品検査が実施されています。私ども原告団の申し入れ(1月31日付→こちら),弁護団の申し入れ(3月28日付→こちら)は,無視された形になっています。そして5月9日の私どもの裁判期日では,いろいろな問題がありましたので,以下,厳重に申し入れます。

京都脱原発原告団は,累計で3,323名の原告がいます。口頭弁論期日には,原告席に30数名,傍聴席も合わせると100名以上が庁舎に入っています。この人数に対して,所持品検査の体制があまりに貧弱ではないでしょうか。庁舎外に長い行列ができて,待たされました。その日は天気も良くて気温もほどほどでしたから良かったものの,これが,風雨,雷雨,炎暑,吹雪などの悪天候でしたら,庁舎外で長い列をつくったりはできません。

現状では,庁舎内に待機することも可能です。しかし,庁舎内で待機していたとしても,傍聴券の抽選にはずれたら,庁舎を出ることになるので,その場合は,受ける必要のなかった(すなわち,最小限に留めたかった)金属探知機による電磁波検査を受けさせられただけに終わります。検査を受けずに待機できる場所を,庁舎内に用意してください。

傍聴者の中には,高齢で杖を離せない方,車いすの方,松葉杖の方,などもおみえです。裁判所の出入口を一つだけにしてしまっては,そういう傍聴者の移動の負担を増すものです。せめて,閉じられてしまった他の三つの出入口(東側,南側,西側の出入口)も,出ることだけは可能なように改善すべきではないでしょうか。こんなことはすぐにできるはずです。

所持品検査の設備が視覚障害者誘導用ブロックの上に載っている点は,私ども原告の指摘などでご存じかと思いますが,司法記者クラブには通報しました。法の番人が法を犯してどうするのですか。

今回のような所持品検査の必要はまったくなく,裁判を受ける権利の侵害です。長い時間をかけて,無駄な作業をしただけです。私どもからみると,裁判所がさらに遠のいた感じです。当日の法廷内,傍聴席は不機嫌な空気が充満していました。裁判所が始めた所持品検査には,あくまで反対ですが,上記のように改善することができる点は,いくつもあるはずです。

以上,ご検討いただき,遅くとも6月末までには文書にて回答してください。


◆司法記者クラブでは,点字ブロックの上にものが載っている状態は直ちに違法ではない,係員もいることだし,と聞きました。しかし,どこでも点字ブロックの上はあけておきましょうというのが常識であり,そうした感覚からすれば,おかしいと思います。係員がいるといっても,混雑しているときに機能するとは思えません。
◆以下は,町で見かける黄色い視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の状態です。車イス用の通路確保とともに,保護されています。自転車などの駐輪を防ぐための赤いコーンが置いてあります。


◆朝日新聞にも投稿,6/5に掲載されました。

京都地裁は4月から来庁者を対象に所持品検査を実施しています。複数あった出入り口も1カ所に限定。私が事務局長を務める京都脱原発原告団と弁護団は、裁判を受ける権利の侵害であるとして検査中止を申し入れました。
先日は100人超の関係者が来庁、検査待ちの長い行列が庁舎外にできました。車いすや杖を使う方々に庁舎外での待機や移動で負担をかけないよう、検査を受けずに傍聴席抽選の結果待ちができる場所が庁舎内に欲しいと思います。出入り口も複数必要です。
東京家裁では3月、女性がゲート式金属探知機より手前の建物内で夫に刺殺される事件が起きました。現状の所持品検査が有効か、議論があります。とりあえず、検査のあり方については改善すべき余地があると思います。
所持品検査の設備が視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の上に載っていることも気になりました。法の番人である裁判所なのですから、障がいのある方々へ配慮をお願いします。


◆弁護団から,京都地裁所長あてに申入書を提出

申 入 書

2019年3月28日

 「開かれた裁判所」、さらには市民の司法参加や司法アクセスの拡大がさけばれて久しい。「開かれた裁判所」は、市民が自らの権利を守るために、いつでも裁判所にかけ込むことができるという裁判を受ける権利を保障した憲法32条に由来する重要な理念・原則である。しかし、いま京都地裁でこの理念に逆行する事態がおこっている。

2018年12月、京都地方裁判所は、裁判所にある5つの出入口のうち、北側入口のみを残して他の出入口を全て閉鎖し、そのうえで裁判所の入庁者に一斉に所持品検査を行うことを決め、本年4月1日から実施するとを発表した。

大飯原発の運転差止等を求める裁判は、2012年12月に提訴され、原告数は現在3000人をこえて、裁判期日には、毎回100人をこえる原告、支援者が集まり、京都地裁で一番大きな101号法廷を埋めている。また、法廷が終った後には、裁判所の東側の出入口から出て東側にある弁護士会館に移動して報告集会を開催している。

しかし、北側以外の入口の出入りを全て禁止して、利用者の多い南側や東側の入口までも閉鎖してしまうことは、入庁者に対して不便を強いるものであって、閉鎖的との批判をまぬがれないものがある。そのうえ、北側入口だけで所持品検査を行うとすると、大飯原発差止訴訟など入庁者が多いときには渋滞が生じ、開廷時間までに法廷に入れないといったことも予想され、また法廷終了後、弁護士会館への移動がスムーズに行われないなどの混乱が生じるのではないかと懸念される。

そもそも、裁判所の出入口を一個所に限定して、そこで所持品検査を行うことは、対立当事者の待ちぶせ等を誘発し不測の事態をひきおこす危険があることが指摘されており、つい最近、東京家裁で女性の当事者の殺傷事件が発生していることはそのことを具体的に裏付けるものである。こうした問題があることから、2019年1月24日京都弁護士会から、京都地裁に出入口を北側に一本化すべきではないなど入庁方法の変更を求める要望書が提出され、また大飯原発差止原告団も同様の申入れを行っている。しかし、裁判所はこうした要望を聞き入れることなく、4月1日からさきに述べた入庁方法を実施しようとしている。

これは裁判を受ける権利の当事者である市民や弁護士会の意見に耳を貸すことなく、裁判所の都合だけを優先して、入庁方法を利用者の不利益に変更するものであって、「開かれた裁判所」の理念に反するものといわなければならない。また、これではたして裁判所が国民の権利保護の砦としての役割を本当にはたせるのかについても疑問をもたざるをえないものがある。

以上から、私たちは、京都地裁が北側入口以外の全ての出入口を閉鎖するという形で市民に対する門を狭めることは「開かれた裁判所」の理念に反し、さまざまな弊害を生むおそれがあることから、裁判所が4月1日から予定している入庁方法の実施を見合せ、少くとも2つ以上の入口を確保するなど必要な再検討を行うことを強く求めるものである。

以 上

◆5.19集会の報告とお礼◆韓国原発があわや大惨事

【2019年5月24日,京都キンカンで配付】

「5.19老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」
報告とお礼

◆標記の集会は「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」の主催で、169の団体、912人の個人のご賛同を得て(5月18日現在)、5月19日(日)午後1時より大阪の関電本店前で開催されました。750名の結集を得て、老朽原発再稼働阻止、原発全廃の強い決意を関電と政府に突きつけることが出来ました。また、御堂筋デモでは、大阪市民、内外からの観光客、ご通行の皆さんに、声を限りに「老朽原発再稼働阻止!原発全廃!」を訴え、大きなご声援をいただきました。

ご参加、ご賛同、ご支援をいただきました皆様に、
深く感謝し、お礼申し上げます

◆「3.24老朽原発うごかすな!高浜全国集会」、「5.19老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」の成果を拡大し、さらに大きな反原発運動を波状的に展開して、老朽原発廃炉を実現ましょう!

「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」木原壯林(若狭の原発を考える会)


韓国原発、あわや大惨事

以下は「ハンギョレ新聞」チェ・ハヤン記者の記事(5月22日)を参照した解説です。

中性子反応度の手計算ミスで、無免許運転員が制御棒を過多に抜き取り

◆21日の韓国原子力安全委員会(原安委)と韓国水力原子力(韓水原)側の説明によると、10日にハンビッ1号機の熱出力が運営技術指針書上の制限値の5%を超え、18%まで急騰した。その原因は、原子炉の制御棒運転者らの計算と判断による制御棒の過多抜き取りだった。

◆制御棒は完全挿入時には0ステップ、完全抜取時には231ステップと表現される。原安委によると、制限値である5%の熱出力を維持するためには、制御棒は43ステップでなければならなかった。しかし、原子炉操縦士の免許がない韓水原職員が100ステップまで制御棒を抜き取った。これによって1時間に最大3%ずつ高くなるべき出力が、わずか1分で18%まで跳ね上がる事態が起きた。

◆制御棒の過多抜き取りは、当時の現場作業者の中性子反応度の手計算ミスと抜き取り可否の判断ミスのためだったという。原発総合設計技術公企業である韓国電力技術で制御棒に関連する業務を行っていたハン・ビョンソプ原子力安全研究所長は「単純な操作ミスや設備の欠陥ではなく、人間の理性的行為の結果、事故が起きたことに注目しなければならない」と指摘した。1979年米国のスリーマイル、1986年ウクライナのチェルノブイリ、2011年日本の福島事故も、ヒューマンエラーが主な原因だったという指摘も多い。

熱出力急増の時点以降、午後10時2分に原子炉が緊急停止されるまで12時間近くかかったのは、韓水原が様々な方法で測定される出力値のうち、低い値を基準としていたためであった。原子炉出力方式には、①炉心外の中性子束を見る方法、②主給水流量を通じて計測する方法、③電気タービン出力を見る方法など、3つがある。原安委と現場に調査団を派遣した原子力安全技術院は、①の方式で熱出力が18%まで高騰したのを確認し、韓水原は②の方法で計測して手動停止せず引き続き稼動した。このため原子力安全技術院調査団が午後4時に現場点検に着手し、6時間後になって手動停止が行われた。ハン・ビョンソプ所長は「意見の違いがあっても、安全を最優先にするならば保守的な計測方法を準用して直ちに手動停止すべきだった」と指摘した。

◆この「熱出力暴騰事故」は、設備運転者たちの判断ミスや安全不感症が原因であった。人的な緩み、錯覚、予測失敗、未熟練などの「ヒューマンエラー」が重なった場合、設備の異常や地震のような自然災害より深刻な過酷事故が発生する可能性があることを示唆する。

2019年5月23日発行

連絡先;木原壯林(若狭の原発を考える会)
電話:090-1965-7102

◆5月10日に行った関電との話し合いの記録

関電側;広報担当者ほか1名。
使い捨て時代を考える会;4名。

今回は以下の質問書を提出し、話し合いました。

質問書
……………………………………………………………………………
1.原子力規制委員会がテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の設置計画について、計画年度以内に設置できなければ運転停止を命じるとの方針を発表しました。貴社の高浜原発、大飯原発、美浜原発についての設置計画、工事の進捗状況、期限延長の可能性などをお聞かせください。規制庁は設置期限に間に合わなければ運転停止するとの方針ですが、設置することなく原発を動かすことが安全といえるのでしょうか。私たちは、今すぐ止めるべきだと考えます。また、テロの対象となるような設備で発電することについて疑問はないのでしょうか。

2.稼働40年を超えた高浜原子力発電所1、2号機について、原子力規制委員会により最長20年間の運転延長を認められ、1号機を2020年6月に、2号機を2021年2月に動かすとのことですが、本当に動かすのですか。電力が足りている中で老朽化した原発まで動かす理由はどこにあるのでしょうか。再稼働を直ちに断念し、そのための工事も中止してください。

3.使用済み核燃料の処理についての、技術的、経費的な目途は立っているのですか。2020年以内に決めると言っている福井県外の中間貯蔵施設の候補地は決まりましたか。福井県に乾式貯蔵施設を作ることも検討しているのでしょうか。また来年フランスよりMOX燃料を搬送し、高浜3号・4号機で使用するとの報道がありましたが、プルトニウムを使った危険な燃料を使うのですか。この処理はどうするのですか?

4.電力自由化によって、貴社から他社へ切り替えた消費者は2018年12月末で200万件を超えました。大飯原発再稼動、高浜原発再稼動で契約離れが加速していますが、そのことについてどうお考えですか。消費者は原発に依存しない電力会社を望んでいるのです。このことについてどのような見解をお持ちでしょうか。

以 上
……………………………………………………………………………
話し合いの内容
(Q;こちら側の発言,A;関電の発言)

A…(質問1について)事実関係を言うと、設置計画では、テロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の設置期限は認可から5年で、高浜3号が2021年8月、高浜4号が2021年10月、高浜1、2号が2023年12月、大飯3、4号が2023年8月、美浜が2023年4月となっている。関電が申請している期限の延長は、その設置期限から、高浜3、4号が1年、高浜1、2号が1.5年、大飯3、4号が1年、美浜も一応、1.5年遅れるということになっている。工事の進捗は、高浜3、4号が一番進んでいて、敷地造成が済み、今本体工事を行っている。高浜1、2号、大飯3、4号、美浜は敷地の造成を行っており、本体工事まで行っていない。

Q…それはグーグルマップで見ることができるか?

A…個人情報のせいで見ることはできないようになっていると思う。

Q…費用はどのぐらいかかるのか。

A…叱られるかもしれないけれど未定だ。設置場所を代えろと言われて、山を切り崩す工事などが出てきているので、どれだけかかるかわからない。

Q…報道で、テロ対策重大施設関連費用全部で4千億円と書かれていた。場所の変更はどういうことか?

A…我々もほとんど知らない。

Q…安全対策工事の変更を言われているのはどこのことか。

A…どこというのはなかったと思うが、いま資料を持っていない。

Q…地盤に問題があるのではないのか。

A…原子炉から100メートル話さないといけないが、原子炉から近すぎるという事とか。

Q…高浜に行くとどんどん建物が増えている。ヘリポートは作ったらしいが。

A…さすが詳しい。

Q…設置場所を変更しろというのはいつ出たのか。

A…川内原発で詳細設定が出たので。

Q…場所の変更を言ってくるということは、敷地造成をやっている段階の原発のことだろうから、大飯3,4号のことではないか。高浜3,4号はすでに本体工事に入っているから、さすがにそれを注視して場所を変えろということではないのでは。

A… そうかもしれないが、我々もわからない。

Q…規制委員会が設定期限をずらしてきているので、今回もずらしてくれると思っているのではないか。

Q…遅れが生じる原因は何か。設定期限がずれるのがそもそもおかしい。最初になぜ許可されたのか。

A…もともと認可から施設建設まで5年の猶予を認めるとなっており、今年の2月に重大施設の詳細設計が決まった。それに対して、場所を変更するようにと言われたと聞いている。

Q…認可の時点では全く白紙だったのか。具体的にどのようにテロ対策施設を造るか全く決まっていないのに稼動許可が出て稼動しているということがおかしい。5年もあればできると思っていたのか。

A…山を削ってとまでなるとは思っていなかった。

Q…5年間に何かあったらどうなるのか。そもそもが見切り発車だ。

Q…そこへ過大投資して他の予算を削っているのではないか。

Q…工期を早めることになり、2交代制で24時間やっていると聞いたが、普通は3交代制だろう。2交代をさらに早めるなんて大変だ。働き方改革に反する。手抜き工事が心配だ。

Q…工事の短期化でもっとコストがかかる。どこでペイするのか。

Q…コストも時間もどんどんかかっていくのに、40年越えの原発では工事が終わっても稼働できる年数がますます減るのではないか。美浜3号機をやめるという話はでていないのか?

A…特重(特定重大事故等対処施設)の話は出ていなかった。

Q…宣伝費にどのぐらいかけているのか。

A…それは公表できない。でも100億とか200億とかはかからない。

Q…大事な部分の出費を抑えているのではないか。送電線のメンテナンスが減っている。事故が起きたら大きなトラブルになる。無理して経営しているのではないか。良識を超えている。

A…安全最優先で進めていくに尽きる。

Q…経営の長期見通しを聞きたい。きっちり説明してもらいたい。

A…10年の中期計画は出している。

Q…関電が潰れたら困る。社会的責任があるのだから経営の見通しを示してほしい。

Q…原発依存としか思えない。関電は安全対策が遅れていて、設置期限の延長を申請しているが、遅れれば遅れるほど原発を稼働できる期間は少なくなっていくのだから、採算が取れなくなるはずだ。60年の期限を超えないと採算が取れないとなっている。40年を超えた運転自体がたいへん危険なのに、60年以上動かすなど信じられない。危険すぎる。目先のことを優先しているのではないか。

Q…テロの対象になるような設備をもつのがおかしい。

A…テロの対象になったことはない。

Q…テロ対象になっているからテロ対策施設が問題になっているのだ。朝鮮半島情勢もこの間は落ち着いていたが、安倍政権の姿勢の影響で、また情勢が緊迫してきた。そもそも原発が稼働していなければ、テロの標的となることを心配しなくて済む。稼働をやめて、廃炉にすべきだ。

Q…質問3について聞きたい。MOX燃料は処理に倍かかる。通常の使用済み燃料は冷却に4~5年かかり、鑑識貯蔵にするのに30年くらいだが、MOXは60年だ。

Q…そもそも使用済み燃料のことなど、後のことを全く考えずに原発を造ったり稼動していることが驚きだ。もんじゅは解体を考えずに作ったと聞きショックだった。

Q…プルトニウムは半減期が24000年だ。

A…使用済み核燃料処理の技術的めどは立っている。95%が再利用可能だ。青森で行う。高浜はMOX使っているが、MOXの使用済み燃料処理のための第2再処理工場は構想段階だ。関電としては中間処理施設は福井県外に作る方向でやっている。しかし場所のめどは立っていない。さまざまな関係者と話が進んでいると社長が言っている。乾式貯蔵を市町村が受け入れる方向だと聞いている。関電は福井県内で乾式貯蔵を行うという立場は取っていない。(※公式にはという意味)

Q…技術的に処理に時間がかかる。お金もかかる。見切り発車していることを社内で問題にしないのか。(テロ対策施設の猶予期間である)5年間というのを守れなかったのも、「やれそう」という見切り発車ではないのか。乾式貯蔵でもお金が膨らむ。どんどんお金をつぎ込むという経営体質でいいのか。原発が動かなければ当面の利益が出ないからと、将来のエネルギーのあり方や安全性など全く考えないで、とにかく原発稼動ありきでやっている。かつての日本が戦争に突入していったことを彷彿とさせる。戦争と同じ論理でやっているように見える。見通しなしに、どんどんお金をつぎ込むのが戦争だ。電気が届かなくなるのは万人の問題だから、経営責任として率直に明らかにしてもらいたい。経営がわかる方に説明してもらいたい。

A…会社なのでここまでというところまでしか説明できない。

Q…公益事業なのだから説明責任がある。もはや会社ではないのではないか。

A…時間なので…。

Q…経営のわかる方に具体的に話を聞いて安心したい。

A…法的なことで送配電分離が決まり、今日参加している2名は7月から送配電部門に異動することになっている。原発の担当は福井と大阪になる。こんな大変な時期に分社化をさせるなんて、国の方針にぼくらも疑問を持っている。

Q…国の問題というより関電の問題だ。ホールディングでやるかも不徹底だし。

Q…このビルの中で部門が分かれるのか。

A…このビル自身は送配電部門になる。

A…(分社化で)次の話し合いの担当がどうなるかまだ分からない。わかったら連絡する。
—–
原発がテロ対象という事を実感していない感じ。テロの対象になったことがないと、テロ対策施設を造る必要がないかのような言い方だった。規制委員会が言っているからやるけど、止めることはしないだろうとか、また延長してくれるとでも考えているのか。施設設置にかかるお金は莫大みたいだけど。MOXの処理技術のめどが立っていないという事実に仰天。それでも原発を動かすというのは常軌を逸しているとしか思えない。

◆第7回原告団総会のお知らせ

京都脱原発原告団…大飯原発差止訴訟[京都地裁]…は,
下記のように原告団総会を開きます。
●日時と場所
6月1日(土)13:30~
ハートピア京都(京都市営地下鉄 烏丸線「丸太町」駅下車すぐ上)
●記念講演
「原発訴訟と裁判官の責任」
元福井地裁裁判官 樋口英明 さん
●チラシPDFは→こちら[436 KB](ファイル名:2019-06-01-sokai)。

◆5/9の第23回口頭弁論の報告
 ~救援新聞より

  • 救援新聞 京都版No.1365 2019年5月25日
    橋本宏一(日本国民救援会京都府本部 事務局長)

裁判は少数者の救済のためにある

大飯原発差止京都訴訟第23回口頭弁論

◆京都などの住民3323人が関西電力と国に大飯原発差止や慰謝料などを求めた訴訟の第23回口頭弁論が、5月9日、京都地裁(第6民事部合議は係・藤田昌宏裁判長)101号法廷で開かれました。

◆傍聴席(88席)と原告、被告140人余りで満席となった法廷では、原告側弁護団の出口治男団長が自らの胆管癌手術からの復帰の経験にふれ、「多くの人の友愛に支えられた。この友愛こそ人として幸福を追求する基盤をなすもの、平和に生きる人権として保障されなければならない。原発は一旦事故が起これば、友愛を破壊して取返しのつかない被害をもたらす。裁判所のこの間の原発稼働への判断は、残念ながらこの人権救済から目を背けてきたと言わざるを得ない」と国民の人権に向き合うよう求めました。(→こちら

◆つづいて、谷文彰弁護士が一般建築物での耐震性のレベルは原発よりはるかに大きな地震に耐えられるよう設計されている、原発はその社会通念にすら達していないと三井ホームや住友林業、積水ハウスなどの具体的事例を示して批判しました。

◆また、渡辺輝人弁護団事務局長は、社会通念について、「司法の役割は少数者の人権を救済するところにあり、社会通念一般に解消されるものではない」と、裁判所の注意喚起を促しました。

◆最後に、南丹市園部町に住んでいる原告の石井琢悟さんが意見陳述。要旨次のように述べました。

◆大飯原発から52キロ南に住み畑を借りて作物をつくっている。原発からの距離は福島第一原発から飯館村と福島市の中間に位置する。福島のその地を訪ねたら深刻な汚染地域になっていた。大飯原発で事故になれば深刻な放射能汚染を受ける確率が高い。将来子どもたちが大人になりこの地に来て作物づくりをすることも描いている。このかけがえのない土地を渡してやるのも私たちの責務。大飯原発はそれを不可能にする危険な存在そのものだ。もし、事故が起これば避難は到底できない。電気が止まれば電車は動かず、車だけが移送手段となる。北が原発、東は山、西か南へ逃げるしかない。西の兵庫へ逃げるイメージは普段の生活から浮かばない。国道9号線を南に向かうことになるが、母が大津市に住んでいるので一旦母を助けての避難になり、そうすると京都縦貫道が考えられるがトンネルや高架が多く崩落の恐れもある。幹線道路は現在でも渋滞している。原発事故発生時は避難者が殺到して動けなくなることが想定される。福島の例からも放射性ブルームに覆われ被ばくのリスクがきわめて高い。そうすると安定ヨウ素剤の常備も必要となるが、南丹市はその備蓄がない。原発は、生活や人生を破壊し得る技術のまま稼働している。私の住む地域で事故が起きた時の避難・防護の方法は用意されていない。これは将来にわたって健康に生き続ける権利の侵害である。

◆次回第24回口頭弁論は、8月1日(木)午後2時30分から、同法廷で。

◆5/9 第23回口頭弁論の報告

2019/5/9の第23回口頭弁論の概略を報告します。

  • 開廷前のデモ…38名。いつもよりやや少なめの規模でした。


先頭左は福山和人弁護士,右は竹本修三原告団長

  • 傍聴席…2席空いたとかで抽選にはなりませんでしたが,最終的にほぼ満席となりました。
  • 報告集会…盛会でした。カンパが 46,556円,缶バッジ,クリアファイル,このあたりプレートなどの物販が 3,100円でした。ご協力ありがとうございました。
    • 法廷では,南丹市園部町の原告,石井琢悟さんが陳述。大飯原発から自宅までは,45km。北風のときに事故が起これば,たちまち汚染されるうえ,避難道路の9号線は日常的に渋滞していることなど,避難の困難性を述べました。
      こちら
    • 弁護団からは,出口治男弁護団長が最近の原発裁判の判決などにでてきている「社会通念論」について(→こちら),谷文彰弁護士が原発の耐震基準が一般住宅より劣っているのではないか(→こちら)などの主張をしました。また、渡辺輝人弁護団事務局長は、社会通念について、「司法の役割は少数者の人権を救済するところにあり、社会通念一般に解消されるものではない」と、主張しました(→こちら)。

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【以下,裁判所による所持品検査について】

◆原告団,弁護団とも,所持品検査に反対する申入書を出しましたが,裁判所は4/1から始めています。

◆今回初めての所持品検査の関係で,傍聴席抽選のリストバンド配布時間について事前に正確な時間を告知できず,傍聴希望者の中にはご迷惑をおかけした方もありました。こちらも所持品検査の段取りと傍聴席抽選の結果の発表方法がわからず,進行上スムーズに行かなかった点がありましたので,お詫びします m(_ _)m ← 裁判所が悪い!!

◆所持品検査には長い行列ができ,待たされました。この日は天気も良くて気温もほどほどだったから良かったものの,これが,風雨,雷雨,炎暑,吹雪だったら,庁舎外で長い列をつくったりはできません。庁舎内で待機していたとしても,傍聴券の抽選にはずれたら,受ける必要のなかった(すなわち,最小限に留めたかった)所持品検査,X線検査を受けさせられただけに終わるわけです。

◆また,所持品検査の設備が視覚障害者誘導用ブロックの上に載せられているなど,不適法な配置もありました。この点は,地裁の司法記者クラブに通報しました。

◆今回のような所持品検査の必要は,まったくないと思います。長い時間をかけて,無駄な作業をしただけでした。お上の勝手な思い込みで,裁判所がさらに遠のいた感じでした。今日の法廷内は相当に不機嫌な空気が充満していました。


報告集会にて。発言しているのは出口治男弁護団長

◆第23回口頭弁論 原告提出の書証

甲第491~495号証(第62準備書面関係)
甲第496号証(第63準備書面関係)



証拠説明書 甲第491~495号証[66 KB](第62準備書面関係)
(2019年5月8日)

甲第491号証[1 MB]
ホームページ(三井ホーム)(三井ホーム株式会社)

甲第492号証[1 MB]
ホームページ(住友林業)(住友林業株式会社)

甲第493号証[2 MB]
ホームページ(積水ハウス)(積水ハウス株式会社)

甲第494号証[5 MB]
東日本大震災における鉄道施設の防災対策の効果と今後の取組について(交通政策審議会 陸上交通分科会鉄道部会)

甲第495号証[640 KB]
東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告(中央防災会議 東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会)

証拠説明書 甲第496号証[65 KB](第63準備書面関係)
(2018年5月8日)

甲第496号証[96 KB]
口頭弁論要旨(原告 石井琢悟)

◆ 第23回口頭弁論 意見陳述

口頭弁論要旨

石井 琢悟

私は、大飯原発から52.5km南に位置する、京都府南丹市園部町に住んでいる、石井琢悟と申します。町の中心部から数キロ、園部川沿いの里山に自宅があります。週の何日かは電車を使って京都市方面へ行きますが、多くの日は自宅を仕事場にしており、仕事でも生活でも、自宅が過ごす時間の大部分を占めています。

 (1) 作物作りを続けたい

まず、私が住んでいるところで大事にしていることを壊されたくないという強い思いからお話しします。

住んでいる地域には農業に従事する人が多く、専業で野菜を京都市や直売所で販売している農家が複数おられます。朝霧に包まれることの多い園部川沿いの自然環境で採れるお米はおいしく、都会の子供たちが米作り体験を通じて自然環境を学習する場である、宝酒造株式会社が主催する『田んぼの学校』の開催地にも選ばれ、数年以上、多くの子供たちを迎え入れてきています。近年は、農業をするために移住してきて子どもを育てる若い家族が見られる地域でもあります。

私も、10年前にここへ移り住んだ当初から、近くの畑をお借りし、作物作りを続けています。春から秋にかけては大豆や小豆といった豆類、冬の間はにんにくを中心として、採れた種の一部を次の世代のために回す自家採種をしながら、育てた作物について自給自足しています。できるだけ自然に任せる形でのこの作物作りが、週末、妻と共有する大事な時間になっています。

大飯原発から自宅までの直線距離は、福島第一原発から飯舘村と福島市の中間点までの距離程度です。福島第一原発事故のときには、飯舘村方向に放射性プルームが流れました。2年前に私が飯舘村を訪れたときに確認したモニタリングポストの空間線量では 1μS/hを大きく超える箇所がすぐに見つかりました。農地など至る所が事実上、除染土置き場になっています。環境省が公表している風向きデータによると、大飯原発から南に位置する私の地域で最も頻度の高い風は、北風です。この事実に基づくと、もしも大飯原発が福島第一原発と同程度の事故を起こした場合、私が住んでいる地域は、飯舘村と同程度の深刻な放射能汚染を受ける可能性が確率的に最も高いと想定されます。

何十キロも離れた地域の生活を壊すほどの事故を起こす可能性がないような工業施設であれば、自分が住んでいる地域のこととして考えを巡らさなかったかもしれません。しかし、原発はそのような施設ではないということを、もう事実として知っています。私は、住んでいる地域に訪れている子供たちが大人になって作物作りを始めたりこの地域に移り住んだりする将来を思い描いています。かけがえのない自然環境の中で将来も生活し続けられるようにするのは、私の世代の責務です。持続的な生活が不可能になる規模の損害を被るリスクを持っている大飯原発の稼働は、将来世代が安心して生活する権利の侵害です。

 (2) 避難の困難さ

次に、原発事故が起きて避難しなければならないときの私の困難な状況をお話しします。

原発事故が起きて電気が止まった場合、電車は使えません。車だけが遠くに逃げる手段となります。

私が住んでいる園部町は、北は原発方向、真東は山で逃げられないので、逃げる方向は、西か南に限られます。日常生活において、わざわざ西の兵庫県丹波篠山市方面へ行くことはめったにないので、特定の行き先のイメージもない西へ避難するという発想は持ちにくく、日常的に使い慣れていて、京都市など行き先がイメージできる、国道9号線を南方へ逃げることが頭に浮かぶと思います。私の母は、一人で住んでおり、実家は京都市を挟んだ滋賀県大津市にあります。そこは、山の中で交通の便があまりよくなく、なにより母は車を運転できないので、私は、いったん母の元を訪れ、連れて避難することを考えるだろうと思います。それが自然な心の動きです。ですから、実際、まずはそこへの経路である京都市へ抜ける、国道9号線を走ることになる可能性が高いです。並行する京都縦貫自動車道は、多くのトンネルと高架を抜ける高速道路です。災害時には閉鎖されると想定されるため、国道9号線が事実上唯一の京都市方面への幹線道路です。

私だけでなく、この地域の住民も、この幹線道路を京都方面へ逃げる可能性が高いと思います。しかし、国道9号線は、園部町の少し先、亀岡市に入ると日常的に渋滞しています。常時渋滞傾向にあるこの道が大規模災害時に動けなくなるだろうということは、この地域に住む人なら簡単に想像できます。実際、平時の現在でさえ、私が自宅から亀岡市中心部を抜けるまでに小一時間かかったりします。環境省が公表している風速データを基にすると、大飯原発で放射性物質が放出されるような事故が起きた場合、平均2.5時間のうちに渋滞の列は放射性プルームに覆われると概算できます。災害情報を確認するなどしてから避難行動を起こすと、ちょうど重なるタイミングです。この状況は、福島第一原発事故の時に飯舘村方面へ逃げた車の列を放射性プルームが襲い、多くの人が被曝したときの状況と類似しています。既に事実として知られているこれと同じことが私の身、この地域の住民の身に起きる可能性が、事実に基づくと、確率的に高いのです。

そのように被曝する可能性が高いことを考えると、車で避難するのは危ない方法だということになります。ですから、自宅以外への避難は手遅れだと想定しておかなければなりません。そうすると、自宅で動かずに安定ヨウ素剤を飲むのが放射性物質の飛散から一時的に身を守る唯一の方法となります。しかし、住んでいる地域の南丹市から安定ヨウ素剤の事前配布を話題にされたことはありません。原発から半径32.5km圏内に位置する美山町では安定ヨウ素剤の備蓄がなされていますが、その圏外となる私の住んでいる地域では、それすらありません。事故が起きてからの持ち時間が2.5時間で、避難も防護もできません。

原発の本質の一つは、事故を起こしたときに、その被害が何十kmもの広範囲にわたる点にあります。原発施設という狭い区域内の技術的安全性を考慮するだけでは、原発は、今でも生活や人生を破壊しうる技術のままです。私が住む地域で、事故が起きたときの避難・防護の方法が用意されていないのが現実です。これは、将来にもわたって健康に生き続ける権利の侵害です。