関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆023◆

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◆杜撰なアスベストの処理(2021年)
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 関電は2021年8月2日、長野県や岐阜県の水力発電所更新工事で、労働安全衛生法(安衛法)により譲渡が禁止されているアスベスト(石綿)を含む設備を調査せずに鉄くずとして売却していたと発表。水力発電所で使用している設備に高濃度のアスベストが含有しているにもかかわらず、把握せずに産廃業者に譲渡していた。「譲渡先は複数ある」ことを認めたが、それ以上の詳細は「差し控え」と答えない。

 岐阜県によれば、同県内の発電所から撤去されたものは愛知県内の産廃業者に譲渡されたとのこと。また、関電は「原子力や火力部門では把握する仕組みがあった」と説明する。だが、2020年1月にも奈良市の登美ヶ丘変電所でアスベストが吹き付けられた防音壁を届け出や対策なしに撤去している。

【続報】関西電力のアスベスト不正譲渡、実際は多数か。追加調査「検討中」から進まず(2021年8月19日)。不適正事案で同社の報告を受けた松本労働基準監督署は、一般論として「関電くらいの企業であれば調査するのが普通ではないか」と述べた。

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◆関西電力 闇歴史◆022◆

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◆違法な資格取得、少なくとも197人
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(2)第三者委員会の調査で違法な資格取得が判明(2022年)
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 関西電力では、必要な実務経験を積んでいないのに、グループ全体で少なくとも197人が工事の施工管理の国家資格を不正に取得していた。2022/12/20、第三者委員会の報告書が公表。
→ 関西電力「施工管理技術検定の実務経験要件の不備に関する調査結果」
 こちら

 ①弁護士でつくる第三者委員会が関電グループ全体を調査。
その結果、調査したグループ会社15社において、
・在籍者の調査対象者3372名の内、資格不備者は11社で180名。
・退職者の調査協力を得られた704名の内、資格不備者は6社で17名。
・要件が必要なことを知っていたのに、書類を偽造していた社員もいた。
・内部監査が十分に行われていなかった。

 ②原発の関連工事でも
・資格を不正に取得していた社員らが主任技術者などとして配置されていた工事のうち、関西電力や関西電力送配電が発注し、関係法令に基づくものは56件あった。
・そのうち15件が3原発にかかわる原発の関連工事であったが、「安全性に問題はない」としている。

【参考】施工管理技士
・建設工事に従事する者を対象にして技術検定を行い、施工技術の向上を図る資格。2000年代以降、パナソニック、大和ハウスなど大企業までもが、社員の経験年数を偽るなどして施工管理技士の資格を取得していた事例が相次いで発覚。

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(1) 内部通報で違法な資格取得が発覚(2021年)
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 関電は2021年7月30日、子会社KANSOテクノス(大阪市)の社員6人が、必要な実務経験を積んでいないのに施工管理技士の国家資格を不正に取得と発表。内部通報により発覚。調査対象期間が2018年4月から2021年6月末までと限定された発表で、長年、このようなことをしてきたのではないかとの疑いも指摘される。

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◆関西電力 闇歴史◆021◆

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◆蒸気発生器で伝熱細管の損傷が多発(2018~22年、高浜3、4)
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 蒸気発生器とは、一次時冷却水の熱を二次冷却水に伝える細い伝熱管を束ねた装置。熱交換率を上げ、効率よく熱交換するためには、この伝熱管はできるだけ薄い方が望ましい。薄ければ薄いほど熱が伝わりやすい。一方で安全を考えれば、管は厚い方が望ましい。厚くて頑丈であればあるほど、減肉しても丈夫に放射能そのものの一次冷却水を密封できる。
(詳しい位置は→目次ページの図解)

 高圧(157気圧)、高温(320℃)の一次冷却水が流れる蒸気発生器配管が完全に破断すれば、原子炉水が噴出し、原子炉が空焚きになる可能性がある。実際、1991年に美浜原発2号機で伝熱管破断して大事故になった(◆002◆)。このため、蒸気発生器は「加圧水型原発のアキレス腱」とよばれる。(関電の原発はすべて加圧水型=PWR)

(1) 高浜原発3号機の蒸気発生器(SG)伝熱管の施栓履歴(2018年、関電発表)
こちら

(2) 高浜原発4号機の蒸気発生器(SG)伝熱管の施栓履歴(2019年、関電発表)
こちら

(3) 2020年10月から、高浜発電所4号機の蒸気発生器伝熱管損傷で点検。伝熱管に幅約1mmもしくは1mm以下、周方向に約2~7mmのきずを確認。このうち、1本の伝熱管において、伝熱管と管支持板の間に異物が挟まっていることが判明。関電によれば、回収した異物はプラント運転に伴い、SG伝熱管外表面に生成された鉄酸化物(スケール)と推定。また、3台ある蒸気発生器の計9747本中、2台の計4本が外面から25~36%削れている可能性があるという。なお、高浜原発では、2019年10月に4号機、2020年2月に3号機の伝熱管で同様の損傷が確認されている。

高浜発電所4号機の蒸気発生器伝熱管の損傷(調査結果)→こちら

(4) 2022年3月1日、高浜原発3号機が定検入り。
・3/30、蒸気発生器伝熱管に損傷と発表→関電の発表はこちら
・その後の詳しい調査で、約1万本の細い配管のうち、4本が削れて薄くなっていることが判明。問題の配管のうち3本には外側に最大で長さ5ミリの傷があり、傷の近くには金属片が接触してできた可能性のある痕があるとのこと→関電の発表はこちら
美浜の会のWebサイトが詳しい→こちら

◆020◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆022◆

◆関西電力 闇歴史◆020◆

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◆クチコミサイトにみる関電社員の声(2019年)
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 ネットのクチコミサイトでは、関電社員の声が聞こえる。

(1)キャリコネ。年間2000万人が訪れる企業の口コミ・給与明細サイトに寄せらせた口コミ。
(キャリコネ → こちら

◆「労働環境に問題を感じる。組織がとにかく大きいため,強烈なトップダウンで仕事が進行する。基本的には割り当てられた仕事をそつなくこなすことが求められ,枠からはみ出すような考えや意見を述べるものはあまりいい顔をされない。社内政治力を持つ人間のイエスマンが昇進する」(土木設計/20代後半男性/正社員/年収450万円/新卒入社/3年~10年未満/投稿時に在職/2019年度に関する口コミ)

◆「本店は自部門の事しか考えていない。現場は既得権を振り回して変化を嫌がる。先行きが見通せないのに,まだまだ『アグラをかいてる』人が多い。無駄な出張,会議,打ち合わせのオンパレード。総務,経理,購買は自分たちの雑多な仕事を現場に押し付けてる。そのくせ,セルフチェックという名目で,指導という名目の文句を言ってくる。総体的に変化を嫌がる会社なので,やりがいはない」(総務/40代前半男性/正社員/年収600万円/2016年度)

◆「(退職理由について)原子力発電所の再稼動以外のアイデアが枯渇していること,ドラスティックな変化が求められている状況でありながら会社全体として現状に背を向けていること,以上2点が改善されない限り会社の将来は……。」(20代後半,男性,正社員,年収500万)

(2)「Resaco」企業口コミ比較,東京電力vs関西電力,口コミ分析でわかる働きがい・働きやすさ対決
(Resako → こちら
(2019年12月12日公開|Resaco編集部)

◆関西電力では「東日本大震災以前から原子力に過度に依存しており,司法リスク等が高まる中,今後も原子力ありきの経営方針としている。」「原子力発電所の再稼動以外のアイデアが枯渇している。」と原子力関連の方針へのネガティブな口コミが多く見られました。

(3)YAHOO!しごとカタログ( → こちら) 、ほか

◆将来性には悲観的
 不満な点:給与・待遇。営業正社員、50代男性、リーダー、現職、新卒入社、既婚。2021年。
 総括原価で支えられた独占企業時代は、高い給料、行き届いた福利厚生施策を満喫できたが、電力自由化の進展に伴う収益の悪化で給与水準は徐々に引き下げられ、福利厚生施策は少しづつ廃止され、今では待遇面で他社に自慢できる点はほとんどなくなったと言える。また昇進の機会も、かつてに比べてポストが減少しており、定年まで役職者になれず、平社員のままで終わる者が増えてきて居る(50歳になって役職者になれない者は、ほぼ昇進は望み薄である)。株価についても30年前の水準に逆戻りしてしまい。会社の将来性については悲観的にならざるを得ない。

◆年収は相当なレベル
 しかし、関西電力の平均年収は2019年3月期の有価証券報告書によると、791.6万円。 キャリコネ(クチコミ情報を提供するウェブサイト)に寄せられた給与明細から算出した関西電力の年代別年収レンジは、20歳代で520〜620万円、30歳代で650〜750万円、40歳代で760〜860万円。タイミングが遅れても誰でも1000万円には手が届くといわれるが、定年まで1000万円で横ばいという人も多いとのこと。

◆最近は大幅に復活
 関西電力の平均年収は、過去5年間で約200万円のアップ(2015年588.2万円→2019年791.6万円)という、大きな変化が見られる。これには、2011年から2014年まで4年連続の赤字決算(原発の稼働停止によるもの)の後、2015年以降業績が改善されてきた、という背景がある。こうした状況の従業員への影響は大きく、2018年まで月例賃金が減額され、さらに2016年まで夏賞与の停止という対応が取られていたが、月例賃金の減額が段階的に改善され、2017年以降夏賞与も再開したことで、平均年収の大幅な増加=復活につながっているという。

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◆関西電力 闇歴史◆019◆

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◆配管溶接部に深い傷があっても運転継続を主張(2020年、大飯3)
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 2020年7月20日から始まった大飯原発3号機の定期検査で、一次冷却材管と加圧器スプレイ配管の溶接部付近に深さ4.6mm、長さ67mmの傷があることが判明した。関電は、「当該部の配管厚さは、14.0mmであり、原子炉等規制法の規定に基づく技術基準で求められる設計上の必要最小厚さ8.2mmを満足している」として、配管取り替えはしないと主張。一次系配管溶接部に深い傷があっても運転継続を主張したわけだ。
(詳しい位置は→目次ページの図解)

 しかし、規制委との何回かの会合でとがめられ、最終的に配管の取り替え工事を行うことになった。当初9月26日までであった定期検査は長引いて、再稼働できたのは2021年7月3日だった。関電の原発は、当時、高浜3号機が特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)未完成で停止中、同4号機は熱交換器伝熱細管損傷で調査中、大飯4号機は11月3日から定検入り予定だったので、どうしても、大飯3号を動かしたかったわけだ。一次系配管が万一破断したら、大事故になる。安全第一は、どこにいったのか。

【参考】
加圧器とは…原子炉運転時に一次冷却材を未飽和状態に加圧維持する設備。加圧器本体、電熱ヒーター、水スプレイ、安全弁などから構成。加圧器容器内の約2分の1が液相で他は気相となっている。一次冷却材の加圧は電熱ヒータの加熱によって行われ、減圧は水スプレイによって蒸気を凝縮させて行う。減圧のための水スプレイは一次冷却水から導かれる(これがスプレイ配管)ので、この配管が破断したら、一次系冷却水の喪失につながる。

◆018◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆020◆

◆関西電力 闇歴史◆018◆

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◆関電の原発マネー不正還流は、最悪の幹部腐敗!(2019年発覚)
 会社訴訟と株主訴訟がはじまる!(2020年6月~)
 市民が大阪地検に告発する!(2019年12月、2020年10月受理)
 告発の後の経過→◆072◆(【4】刑事告発、その後の経過[2021年~])
 【付 幹部20人の不正受領金品の一覧】
 【付 責任追及裁判は会社訴訟と株主訴訟の二つ】
 【付 関電金品問題、福井県職員109人も受領】

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▲2019年10月8日(高浜町にて)

▼関電幹部が預かり、保管していたとされる小判、金貨、金杯の写真(審査申立書から)
(関電問題 市民団体が旧経営陣を検審に申し立て、2022/1/7 産経ニュース)
こちら

 2019年9月に新聞報道で発覚。関電の役員等20名余が、福井県高浜町の森山栄治元助役やその関連会社から計約3億6千万円の金品を受領していた。1億円を超える金品をもらっていた原発事業の幹部(豊松秀己元副社長ら→◆050◆)もいる。しかも、平然と受け取り隠そうとしてきた。会社幹部としてすべきことではない。関電の発注した主として原発関係の工事費からの還流であることに疑いの余地はなく、それは、特別背任罪(会社法960条1項)、背任罪(刑法247条)、贈収賄罪(会社法967条1項)、所得税法違反(238条1項、120条1項)の疑いが濃厚。
(「関西電力良くし隊」からの内部告発~~文書5通→◆041◆
(NHKクローズアップ現代
2019年10月23日 追跡 関西電力・金品受領の裏で何が?こちら
(FRIDAY DIGITAL
2019年10月19日 “原発のドン”が現金ではなく「賄賂小判」を関電幹部に贈った理由→こちら
(森山氏の関連会社…吉田開発株式会社、柳田産業株式会社、株式会社オーイング、株式会社塩浜工業)

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東京新聞より(2019年10月3日)
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関電の記者会見。まるで被害者 「元助役怖い」「我慢重ね対応」延々30分。「高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から金品を受け取っていた関西電力役員らには、一億円相当以上だった鈴木聡常務執行役員や豊松秀己元副社長以外にも原発部門の要職が名を連ねた。」

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「関電の原発マネー不正還流を告発する会」による告発
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 2019年12月13日「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は、3272人で刑事告発(2020年1月末の追加をあわせると告発人は3371人)。さらに、第三者委員会報告書で明らかになった退任役員への闇補填行為が業務上横領や特別背任にあたるとする新たな告発を行うことにし、2020年6月9日に2172人で大阪地検に提出した(後の追加をあわせると2193人)。その後、上記2つの告発状を一本化し、関電の第三者委員会、取締役責任調査委員会、コンプライアンス委員会の報告書で明らかになった事実等でブラッシュアップして、被告発人を森元会長ら9名に絞った告発状を提出した。その結果、2020年10月5日、大阪地検に正式に受理された。

 しかし、まる1年経っても起訴には至っていない(2021年10月5日現在)。そのくせ、不起訴になりそうという「関係者」による “情報“ (意図的なリーク)がマスコミに流されている。2021年10月6日の関電会社訴訟株主提訴併合)第1回口頭弁論に先立って、刑事告発代理人弁護士らは、大阪地検に対し「告発状にしたがって起訴するように」申し入れを行っている。

 関西検察のドンと呼ばれた土肥孝治元検事総長が元監査役、佐々木茂夫元大阪高検検事長が現取締役、小林敬元大阪地検検事正が今回の事件の社内調査委員会委員長を務めるなど大阪地検と関電の深いつながりが、起訴の決定を阻んでいるのではないかと疑われている。

◆告発の後の経過は→◆072◆【4】刑事告発、その後の経過[2021年~]

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減額された役員報酬の闇補填、追徴課税分の闇補填
(電気料金の値上げ、値下げ)
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福島第一原発事故後に、全ての原発が停止に追い込まれた関電は、2013年と2015年の二度にわたって、料金を値上げした。
(1) 2013年5/1~。値上げ。規制分野で平均9.75%、自由化分野平均17.26%
(2) 2015年6/1~。値上げ。規制分野で平均8.36%、自由化分野平均11.50%
 ただし軽減期間(2015年6/1~9/30)は、4.62%、6.39%)
  
・2015年4月、経産省、電気料金値上げ審査会合にて「 2015年4月のある日、場所は東京・霞が関の経済産業省内にある会議室。消費者団体の代表者から次々に厳しい言葉が飛びました。その言葉の先に座っていたのは、関西電力の幹部たちでした。」まったく誠意がないと指摘されている関電幹部とは、八木誠、岩根茂樹の両氏。→◆044◆

・電気料金の値上げの際、関電は役員報酬の減額を約束。しかし、森詳介会長と八木誠社長が、減額分は役員退任後に闇補填することを決定(森は決定直後に退任)。補填を受けていた退任役員は、18人で、2019年10月(原発マネー不正還流が発覚して打ち切り)までの支出総額は、2億6000万円と公表。森、豊松秀己以外の氏名は明らかにされなかった。

・豊松ら4人は、国税に追徴課税を支払っていたが、八木誠会長と岩根茂樹社長が、追徴課税分は5年かけて補填することに決めた。2019年の株主総会で退任してエグゼクティブフェローになった豊松の場合、毎月30万円となり、その報酬は月額490万円で過去のエグゼクティブフェローの倍額相当であった。
(豊松の場合、減額された役員報酬の闇補填が毎月90万円、追徴課税分の闇補填毎月30万円。)

・なお、関電のその後の料金値下げ。
(3) 2017年8/1~。値下げ。規制分野で平均3.15%、自由化分野平均4.90%
(2017年6、7月、高浜3、4号機、再稼働)
(4) 2018年7/1~。値下げ。規制分野で平均4.03%、自由化分野平均5.94%
(2018年3、5月、大飯3、4号機、再稼働)
(5) 2020年10/1~。値下げ。規制分野で平均0.70%
(小売規制料金に含まれていた廃炉円滑化負担金が、託送料金に含まれることになったので、その相当額の減額)(関電の分が関電送配電にうつるだけ)

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参考サイト
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・関電の原発マネー不正還流を告発する会こちら
・郷原信郎:関電経営トップ「居座り」と「関西検察OB」との深い関係こちら
(2019.10.7 Yahooニュース)
・郷原信郎:関電金品受領問題は「戦後最大の経済犯罪」 ~原発事業をめぐる「闇」の解明が不可欠
こちら。(2020.3.19 Yahooニュース)………現金の供与額が突出して多いのが、原子力事業本部の豊松秀巳氏と副事業本部長の鈴木聡氏、事業本部長代理の森中郁夫氏だ。豊松氏と鈴木氏には一回で1000万円という多額の現金供与もあり、大塚茂樹氏を含む4名には、米ドルの現金も供与されている。このような現金供与は、他の関電幹部への供与が、小判・金貨・仕立券付きスーツなど、儀礼の範囲を超えているとは言え、1000万円と比較すれば低額の金品が幅広く供与されているのとは、性格が異なるように思える。特に、但木氏も会見で森山氏と非常に親しい関係にあったと認めている豊松氏については、同氏の意向に反して森山氏が一方的に現金を供与していたとは考えられない。原子力事業本部で、例えば、国・原発立地自治体などの政治家・官僚・有力者などに供与するための現金が必要だったというような事情があって、それが森山氏との間で共有されていたからこそ、多額の現金が供与されていたということはないのか。

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参考図書
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『関西電力原発マネースキャンダル~~利権構造が生み出した闇の真相とは』
 南方新社・南方ブックレット 12
 著者:末田一秀 著
 定価:1,100円 (税込)
 発行日:2020/10
 判型/頁数:A5/54ページ
 

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【付 幹部20人の不正受領金品の一覧】
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([ ]は受け渡し当時の職位。商品は金額換算)
(1) 八木誠・会長[原子力事業本部長]
 =859万円(商品券30万円▽金貨63枚▽金杯7セット▽スーツ2着)
(2) 岩根茂樹・社長[社長]
 =150万円(金貨10枚)
(3) 豊松秀己・元副社長[原子力事業本部長]
 =1億1057万円(現金4100万円▽商品券2300万円▽米ドル7万ドル▽金貨189枚▽小判型金貨1枚▽金杯1セット▽スーツ20着)
(4) 森中郁雄・副社長[原子力事業本部長代理]
 =4060万円(現金2060万円▽商品券700万円▽米ドル4万ドル▽金貨4枚▽スーツ16着)
(5) 鈴木聡・常務執行役員[原子力事業副本部長(技術)]
 =1億2367万円(現金7831万円▽商品券1950万円▽米ドル3万5000ドル▽金貨83枚▽小判型金貨2枚▽金延べ棒500グラム▽スーツ14着)
(6) 大塚茂樹・常務執行役員[原子力事業副本部長(発電)]
 =720万円(現金200万円▽商品券210万円▽米ドル1万ドル▽スーツ4着)
(7) 白井良平・関電エネルギーソリューション社長[原子力事業本部長代理]
 =790万円(現金200万円▽商品券150万円▽金貨16枚▽スーツ4着)
(8) 勝山佳明・関電プラント常務取締役[原子力事業副本部長(発電)]
 =2万円(商品券のみ)
(9) 右城望・常務執行役員地域共生本部長[原子力事業副本部長(企画)]
 =690万円(現金100万円▽商品券340万円▽スーツ5着)
(10) 善家保雄・原子力事業本部副本部長[原子力事業副本部長(企画)]
 =30万円(商品券のみ)
(11) 長谷泰行・元日本原燃常務執行役員[高浜原発所長]
 =230万円(商品券80万円▽スーツ3着)
(12) 宮田賢司・原子力事業副本部長[高浜原発所長]
 =40万円(商品券40万円)
【以下は氏名非公表】
(13) 元原子力事業本部総務担当部長 A
 =400万円(商品券150万円▽スーツ5着)
(14) 元原子力事業本部総務担当部長 B
 =85万円(商品券のみ)
(15) 元原子力事業本部総務担当部長 C
 =30万円(商品券のみ)
(16) 元高浜原発副所長 D
 =50万円(スーツ1着)
(17) 元高浜原発副所長 E
 =20万円(商品券のみ)
(18) 元京都支社副支社長 F
 =125万円(現金10万円▽商品券115万円)
(19) 元京都支社副支社長 G
 =115万円(現金・商品券65万円▽スーツ1着)
(20) 元京都支社副支社長 H
 =25万円(商品券のみ)

スーツ券とは…1着50万円クラスとなると、型紙を一から作る「フルオーダー」で、縫製も手縫い。何度も採寸や試着をしながらサイズを微調整してつくるという。バブル期は大企業の社長クラスが着るものだったが、今ではかなり珍しい。デパートでも外商でしか販売していないといわれる。スーツ券は11人に計75着、3750万円分が渡っていた。実際に仕立ててしまうなど、61着は返却していない。)

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【付 責任追及裁判は会社訴訟と株主訴訟の二つ】
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(1) 会社訴訟

大阪地裁関電会社訴訟、株主提訴併合。極悪6被告(金品受取アンド報酬闇補填)に対し、原告は関電プラス脱原発株主という前代未聞の裁判。
→2020/6/16…関電が、元役員の八木、岩根、豊松、白井、森に対して19億3600万円の損害賠償を請求する訴訟をおこした。さらに後に、八嶋監査役の業務にも善管注意義務違反があったとして、総額1億7千万円の損害賠償請求をおこす。被告は計6人。
2021/10/6(水)第1回口頭弁論。その後、非公開手続きが行われ、第2回口頭弁論は、2022/4/18(月)14:00~。
(関電株主代表訴訟原告団、関電の原発マネー不正還流を告発する会)

(2) 株主訴訟

大阪地裁代表訴訟、関電株主代表訴訟。脱原発株主が関電幹部17被告に損害賠償を請求。
→2020/6/23…脱原発株主が提訴。関電に提訴請求した株主5人を原告とし、44人の株主が訴訟参加した49名の原告団で、6月23日に現旧役員22名に92億円の損害賠償を求める株主代表訴訟を提訴。その後の進行協議で、裁判所から5人(森、八木、岩根、豊松、白井)についての株主の訴えは、関電が訴えた会社訴訟と併合してそちらで行うと提案があり、そのように決まった。会社訴訟の原告が、関電と株主代表になる。株主代表訴訟では残る被告17人について争うことに。
→2021/3/16(火)。第1回口頭弁論…被告側は一連の金品受領は「預かり保管だった」などとする答弁書を提出し、全面的に争う姿勢。


▲上の二つの図表は、関電会社訴訟 第一回口頭弁論(2021/10/6)のときの報告集会 配付資料より【参考サイト→こちら

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【付 関電金品問題、福井県職員109人も受領】
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・関電金品問題、福井県職員109人も受領
・10万円の小判、現金、商品券など
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 高浜町元助役関係調査委員会(弁護士3人、10/15発足)が、福井県職員の金品受取を調査。
福井県における「高浜町元助役との関係にかかる調査報告書」(2019年11/21公表)
  
こちら

 377人を対象に面接や書面で調査を行い、回答のあった313人のうち、109人(現役職員12人と退職者97人)が金品などの受領があったと回答。一部の職員には、約10万円相当の純金小判、現金10万円、10万円相当の商品券など高額の金品受け取りがあった。

・就任祝い、退任時餞別…18人。10万円(商品券を含む)を受け取った職員が5人など。
・中元、歳暮…69人
・挨拶、手土産…28人。受領したお菓子の下に2万円分の商品券が入っていたケースも。
・食事…8人
・その他、香典など…15人


▲福井県職員の金品受取 一覧表(調査報告書より)

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・一部黒塗りの調査報告資料は違法
・福井地裁が県に不開示取り消し命令
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 福井県は「高浜町元助役との関係にかかる調査報告書」を公開したが、その関連資料は非公開とされた。市民団体「市民オンブズマン福井」のメンバーは、調査報告書の基礎・根拠となった資料一式を公開請求したが、黒塗りとなった部分があった。その黒塗り部分「調査対象者の回答内容」や「森山氏と関係があった高浜町内の警備会社名」の公開を求め、県を相手取り処分の取り消しを求めて福井地裁に提訴(公文書不開示処分取消等請求事件)。

 その判決が2022/9/22にあった。上杉英司裁判長は「非公開処分に違法がある」として、処分を取り消した。開示することが特定の公務員に取って不利なものだとしても「不利益は公務の公正を確保するために正当なものだ」とし、非公開にする理由はないと結論づけた。

 杉本達治知事は「誠に遺憾。判決内容を十分精査した上で、今後の対応を検討する」との談話を出した。その後、県は高浜町内の警備会社の名称(オーイング)を除いて控訴。以上、市民オンブズマン福井のBlog参照。控訴審は名古屋高裁金沢支部で行われ、その判決は、2023/11/15。

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・関電問題、経産省も元助役との面識で省内調査
・高浜町出向職員らを含め 2019年10月16日(こちら
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 経産省(近畿経済産業局など)からの高浜町への出向者は、2008年以降で4人いることが菅原一秀経産相の衆院予算委員会での答弁で明らかになっている。菅原氏は4人に聞き取り調査を行い「全く事情を知らされていなかった」との回答を得たと説明。
 なお、2010年12月、高浜 3号機の原子炉にMOX燃料(◆003◆)を装荷、調整運転開始。翌年1月から営業運転に入っている。

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◆関西電力 闇歴史◆017◆

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◆役員報酬等の闇補填で、国税局から追徴課税(2021年)
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 役員報酬等の闇補填…2013年5月と2015年6月の2度にわたる電気料金の値上げに際し、関電は、役員報酬の減額をすると消費者に説明していた。それにもかかわらず、森詳介会長と八木誠社長(いずれも当時)の判断により、2016~19年に、この役員報酬削減分の補填を秘密裏に行っていた(役員ら18人に相談役や嘱託を委嘱する形で計約2億6千万円を支払い)。また、金品受領を所得とみなされ追徴課税を受けた豊松秀己元副社長に対しては、その追徴課税分として、さらに月額30万円を上乗せすることを、八木会長、岩根茂樹社長が決めていた。電気料金を払っている顧客に対する詐欺行為としか言いようがない。

 国税局から追徴課税…関電の歴代幹部による役員報酬の闇補塡などの問題で、関電は2021年7月27日、大阪国税局の税務調査を受け、2019年3月期までの4年間に計約2億700万円の申告漏れを指摘されたことを明らかにした…
…内訳…
(1)森詳介元会長ら11人(上記18人の中の11人)の役員報酬を退任後に補填していた所得隠し1億9800万円、
(2)子会社「関電プラント」が森山栄治氏に支払っていた900万円の顧問報酬も実際は交際費として認定、申告漏れを指摘。
国税局は大半を悪質な所得隠しと認定。(1)は重加算税700万円を含む追徴課税が約3100万円、(2)は同約100万円で、関電は合計3200万円を同日納付したという。

 不服申し立て…ただし7月時点で関電は、不服申し立てを行うか、今後検討するとしていた。9月22日になって、不服申し立てをしないと発表した。関電は「不服申し立てを行うことによる経済合理性などを総合的に勘案した。今後も関係法令に従い、適正な納税に努める」とコメントし、不服申し立てができなかったことを表明している。

 刑事告発…役員報酬の闇補填問題では、「関電の原発マネー不正還流を告発する会」(→こちら)が元役員らを会社法の特別背任などの疑いで大阪地検特捜部に刑事告発。大阪地検特捜部が告発を受理し、捜査を進めている(2021年9月23日現在)。「原発マネー不正還流で関西電力の経営陣を追及する裁判」については→◆018◆

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◆関西電力 闇歴史◆016◆

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◆卸電力市場で価格暴騰を引きおこす(2020~21年)
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 2020年12月から2021年1月にかけて、卸電力取引所の価格が暴騰したが、その大きな原因の一つが、関電による市場への売入札絞りにあるとみられる。

 巨大な発電設備をもつ大手電力には、卸市場への玉出し(グロスビディング)は事実上の義務であったはずなのに、公表せずに自社判断だけでこれをゼロにした。仕入れたくても卸市場に品がない状態となり、買い手の新電力は焦って高値をつけ(自ら計画した量を確保できない場合は罰金=インバランス料金を徴収されるので)、市場価格が暴騰した。多くの新電力に多額の損失を与え、一部の消費者にも高額の電気料を強いることになった。関電は、需給調整が難しく、もっとも信頼性の低い電源である原発に過度に依存している結果、電力市場を混乱に陥れ、新電力の経営を脅かしている。

【参考(1)】卸電力市場の価格高騰、真の原因は、旧一般電気事業者(関電など大手電力)による売り入札の大幅減にある。グリーンピープルズパワー代表取締役の竹村英明さん → こちら

【参考(2)】「日経エネルギーネクスト」太陽光相場に負けたグロスビディング、10月から休止へ(→こちら)。
 電力・ガス取引監視等委員会は2023年10月、2017年から続けてきたグロスビディングを休止する。グロスビディングとは、大手電力(旧一般電気事業者)が自主的取り組みの一環として、社内取引の一部を卸電力市場を介して行うこと(大手電力各社が社内取引分の20~30%程度を市場で売買)。市場の流動性向上などを目指したが、市場を混乱させる要因にもなった。グロスビディング導入で目に見えて大きく変化したのは、卸電力取引所の取引量。開始当初の2017年4月にその取引量は電力需要の3.5%だったものが、翌年4月には17.1%に、そして2023年3月には39.9%にまで膨らんだ。監視委員会はこの事実から市場の流動性向上に貢献したと評価する。
 今回の休止判断の背景には、太陽光発電の割合が増加したことにある。2023年に入ってスポット市場で0.01円/kWhが付くコマが増えてきたことがある。0.01円/kWhの売り入札量が全体の売り約定量を上回るコマがここにきて多発するようになり、売れ残りが発生する。その一部は太陽光発電の出力制御などに回ることになるが、グロスビディングの売れ残りは出力の下げ調整や時間前市場への売り入札を行う必要が出てくる。そして、そうした需給調整が不調に終われば、余剰インバランス(対価の支払い)を出さざるを得なくなる。「今後は余剰インバランスが増える要因になるからグロスビディングを休止してほしい」といった要請が大手電力からあったのではなかろうか。

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◆関西電力 闇歴史◆015◆

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◆市民団体との対応拒絶、欠ける「お客様」概念
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 大阪の関電本店では、市民団体の申入などには極力対応しないことで、一貫している。いちおう対応したとしても、当該部署の担当者が出てくることはなく、他部署や、警備員に受けとらせたりする。その場合も、いつも立ち話。椅子のあるへやに通すなどという対応はまったくない。

 公益的な企業の顧客対応としてはきわめて異例で、異常としか言いようがない。関電の電気を買っていない人でも、電気代に含まれる託送料金は関電の100%子会社=関西電力送配電株式会社に支払っている顧客である。

 原発マネーの不正還流(◆018◆)に関して2020年3月14日に発表された,関電の第三者委員会の報告書では,関電の「ユーザー目線の欠落」が指摘されている(p.188~189)。同日、関電の森本孝・新社長は、金品受領問題で失われた信頼を取り戻し、内向きな企業体質を変えていく大役を任されたとして、記者会見では「生まれ変わらなければ、明日の関西電力はない。風通しが良く、お客様目線の会社にしていく」と力を込めた。残念ながら、大問題だ。

 関電に「お客様目線」はない地域独占と総括原価方式の中で育ってきた現在の経営者に、「お客様」という概念はとうてい無理

 生え抜きの経営幹部に、電力自由化の元で経営能力があるかどうかも大きな疑問。「お客様」という概念が欠如し、社内の力学だけでのし上がってきた生え抜きの経営幹部が、どんな身勝手な行動をとるか。「原発マネー不正還流」(◆018◆)で余りにも明らか。

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◆関西電力 闇歴史◆014◆

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◆福井県知事はドタバタ劇を演ずるダイコン役者(2020~21年)
【付 エネ庁の暗躍】
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 関電は、再稼働の見込みが立たなかった高浜原発1、2号機を含めて、老朽原発再稼働に猛進していた。地元同意をとるためには、当該原発が実際に再稼働できるかどうかなどお構いなしであった。

 それに振り回された福井県知事は、ドタバタ劇を演じるダイコン役者にされたが、高浜町も関電にコケにされたとしか見えない。
さんざん高浜町に迫った挙げ句に再稼働できず◆013◆

(1)【中間貯蔵施設でごねてみせ】2020/10/22、高浜原発1、2号、美浜原発3号機の再稼働を巡り、杉本達治 福井県知事は、関電が使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外候補地を提示することが同意の「前提」だと主張。12/25、関電は候補地の年内提示は困難と表明したが、2021/2/2にも改めて主張。「(同意の是非を巡る)議論の入り口に立っていない」と述べた。しかし、2/12に資源エネルギー庁長官および関電社長と面談するや、再稼働受け入れに転換し、2/16、県議会に再稼働論議を要請。ただし、知事の方針転換に議会の自民党は反発。
この間資源エネルギー庁が暗躍( ↓ 末尾)。

(2)【やっぱり金が目的】杉本達治 福井県知事は2021/4/6、畑孝幸 県議会議長と面談し、運転開始から40年を超えた原発1か所当たり最大25億円が国から県に交付されると明らかにした。県への交付金は最大50億円となる見通し。後から振り返れば、これは大きな効き目があったことが分かる。

(3)【関電は高浜再稼働が無理と表明】知事の再稼働同意が見えてきたと判断した関電は、4/22、高浜発電所1、2号機の特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)について、設置期限6/9までに完成できないことを表明。知事の原発視察4/24の二日前であった。

(4)【知事が原発を視察。Youは何を視察してきたの?】2021/4/24、杉本達治 福井県知事は、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機を視察。冒頭で「県民の目線で安全、安心な対策が取られているか確認したい」と述べた。再稼働の同意判断の材料とするということで、再稼働に向けデジタル式に更新された中央制御盤や、有事の際の対応拠点となる緊急時対策所などを確認したという。高浜1、2号機は特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)の工事が完成していなくて、後に4/30に判明するように、安全対策工事も完了していなかったのに、いったい何を確認してきたのか。
Youは何を視察してきたの?
もはや県民目線じゃなくて、金目でしょ。

(5)【知事は既定路線で再稼働に同意】2021/4/28、杉本達治 福井県知事は県庁で記者会見し、運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機(美浜町)と高浜原発1、2号機の再稼働への同意を表明。

(6)【知事の同意直後に実は無理と発表】福井県知事が2021/4/28に同意を表明した直後の4/30に、関電は、高浜2号機の安全対策工事(40年超運転に必要)が遅れ、当面の再稼動が不可能になったと発表した。すでに4/22には、特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)が間に合わないと発表していたが、安全対策工事までも、いつ完了するかわからないと発表。

(7)【関電は再稼働ポーズで核燃料を装荷】2021/5/14、関電は、運転開始から40年を超えた高浜原発1号機の原子炉に核燃料を装荷する作業を始めた。計157体の燃料集合体を入れ、5/17に完了。ただし、特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)が6/9の設置期限までに完成しないため、審査は受けることができず、関電が自主的に制御棒が正常に動くかどうかといった点検をするという。6/9以降に再び原子炉から集合体を取り出す。地元に対する再稼働ポーズにすぎない。

(8)【高浜は約2年間お預け】2021/7/21の福井新聞によると、関西電力高浜原発1、2号機で建設中の特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)の完成時期が2023年5月ごろの見通しであることが7月20日、関係者への取材で分かったという。特重施設が完成しなければ再稼働できないため、少なくとも約2年間は運転できないことになることが明白になった。

エネ庁の暗躍】

 老朽原発再稼働に向けては、福井県に対する資源エネルギー庁幹部の激しい裏工作がありました。エネ庁から原発等立地道県への出張は、2019年4月~2021年2月26日までに、計517回にのぼったとのことです。そのうち、福井県は110回で、長官の訪問も3回ありました。老朽原発再稼働をすすめるために知事や町長から同意を取り付けようと、エネ庁の長官や幹部が裏工作に走り回っていたのです。これらの出張については、その目的や成果などを記録した「復命書」があるはずですが、開示されていません。
「しんぶん赤旗・日曜版(2021年9月5日号)」による。

・2020年10月から12月…のべ27人のエネ庁幹部が福井入り。
・10月16日…保坂長官が杉本知事と面談し、美浜3号機、高浜1、2号機の老朽原発を再稼働する「40年超運転」への同意を要請。
・10月22日…杉本知事は、関電が使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外候補地を提示することが同意の「前提」だと主張。
・12月25日…関電は候補地の年内提示は困難と表明。
・2021年1月~2月17日…エネ庁幹部、のべ18人が福井入り。
・2月12日…保坂長官が杉本知事と面談し、むつ中間貯蔵施設共同利用案などを示し、2023年末までに確定を約束。梶山経産大臣もリモート参加。ただし、むつ市長は「可能性ゼロ」と反発。
・2月16日…杉本知事は、県議会に再稼働論議を要請。

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