関電の経営、コンプライアンス問題~年次をおって
(2011年3月~2023年5月)
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【以下の項目のリンクは、まとめて表示】
・県外中間貯蔵施設の約束→(◆012◆)
・原発マネー不正還流→(◆018◆)、告発後の経過(◆072◆)
・カルテル→(◆024◆)
・不正閲覧→(◆087◆)
・四つの調査報告書→(◆072◆)
・【参考】関西電力 この11年(~2022年末)(◆番外編 001◆)
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【2011年3月、福島事故で原発停止】
(八木誠 社長…2010年6月~2016年6月)
・福島第一原発事故後、原発停止期間が長引き、経営が悪化
【2012年5月、初めての原発ゼロ】
・5月に泊原発3号機が定期検査で運転停止→初めて全国の原発がすべて停止。同年7月に大飯3号機が再稼働されるまでの2か月間、日本は原発ゼロであった
【2012年、脱原発運動の盛り上がりと弾圧】
・大飯3号機が、新規制基準ができていない中で再稼働
・この前後から、全国各地で原発差止裁判、関電前抗議行動などがもりあがる
・この年、関電東海支社ビル前行動に対する弾圧(関電東海支社事件、◆068◆)、関電本店ビル前行動などに一連の弾圧(関西脱原発弾圧事件、◆069◆)など
【2013~2015年、2年近くの間、原発ゼロ】
・大飯4号機が2013年9月15日定期点検のため運転停止。そして、2015年8月11日に川内1号機が再稼働(新規制基準による最初の稼働)されるまで、1年11か月、日本は原発ゼロであった
【2013、2015年、原発が動かず経営悪化、料金値上げへ】
・2回の電気料金の値上げへ。関電幹部、電気料金値上げ審査会合でユーザー目線欠落を露呈(◆044◆)
【2016年、低圧自由化が始まり、顧客離れ】
(岩根茂樹社長…2016年6月~2020年3月)
・4月…低圧までふくめた電力全面自由化が始まり、新電力や他の大手電力との競争が激化。低圧の顧客離れがとくに進行(2022年度までで約350万件が新電力へ移行)
【2017年、原発再稼働で取り戻し営業】
・6月、7月…高浜4、3号機が再稼働→翌年にかけて、安値、値引き攻勢の「取り戻し営業」( ◆087◆)を開始。その手段として、送配電部門の顧客情報を不正利用か。電力業界は、関電の極端な安値、値引き攻勢の話題で持ちきり→新電力からは、不当廉売の声も
【2018年、極端な安値、値引き攻勢の営業を大展開した後、カルテルへ】
・1月…森山栄治元高浜町助役に税務調査→2019年に原発マネー不正還流として発覚
・3月、5月…大飯3、4号機が再稼働。原発再稼動をすすめた結果「安価な」電気にめどをつけたのか、極端な安値、値引き攻勢の営業を大展開。当時の岩根茂樹社長は、昨秋(2017年秋)以降の営業の動向について「企業向けでは顧客の取り戻しが離脱を少し上回るようになった」と述べている
・5月…京阪電気鉄道は、大阪府や京都府を走る「京阪本線」の動力用の電気について、購入先を新電力のエネット(東京)から関電に切り替えた。関電の「取り戻し営業」が成功した例とされる(◆087◆)
・秋頃…カルテルについて、岩根茂樹社長、森本孝副社長、弥園豊一副社長が方針を決定。森本副社長がほかの電力会社に伝達。極端な安値、値引き競争の抑制に転換か(原価を無視した価格競争になっていたのか?、原価をきちんと把握せずに値引きに暴走したとの観測も)。安値、値引き攻勢「取り戻し営業」からカルテルへ転換。
【2019年、原発マネー不正還流が発覚、以後、不正噴出】
・3月…森山栄治元高浜町助役が死去
・3月…「関西電力良くし隊」が岩根茂樹社長に最初の警告文を送付。その後、4月に岩根社長と監査役に最後通牒各1通、6月に岩根社長への通告書1通、最終的な内部告発文書1通が発送された(◆041◆)
・9月…原発マネー不正還流の問題が、マスコミ報道で発覚
【2020年】
(森本孝 社長…2020年3月~2022年6月)
・3月…第三者委員会が調査結果を公表
・3月…原発マネー不正還流で経産省が業務改善命令。
・4月…関西電力送配電株式会社が分離(ただし100%子会社)。不十分な分離で、関電による顧客情報への不正閲覧は継続か
・6月…新会長に、榊原定征・元東レ会長(かねて原発の早期再稼働を主張)が就任
・6月…原発マネー不正還流で、会社訴訟と株主訴訟が開始(大阪地裁)(◆018◆)
・10月…カルテル(関電主導で、中部電力、中国電力、九州電力)について、公取委に自主申告
【2021年】
・2月…杉本達治福井県知事に、使用済み核燃料の県外搬出について「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1,2号機の運転は実施しない」と約束。新たな期限が示された結果、老朽原発の美浜3号機、高浜1、2号機が再稼働へ
・2月…美浜町に対して「特命発注で地元企業に特別の便宜」を約束(◆011◆)
・4月…カルテルについて、公取委が最初の立ち入り検査
・7月…役員報酬等の闇補填で、国税局から追徴課税(◆017◆)
・7月…国家資格の施工管理技士の不正取得が発覚。第三者委員会報告書が公表(◆022◆)
・9月…関西電力送配電、送電線保安業務で架空発注のコンプライアンス違反(◆032◆)
【2022年】
(森望 社長…2022年6月~。2年で交替は異例「経営陣の若返り」)
・4月…コンプライアンス委員会が不適切取引3件(土砂処分、土地賃借、倉庫賃借)を指摘(◆062◆)
・7月…森望社長が、福井県知事に「23年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」と約束。
・11月…2016年4月に自由化以来、一貫して減少していた関電の低圧契約数が、初めて増加に転じる。世界的なインフレ、ウクライナ戦争による輸入燃料価格の値上がり、卸電力市場の価格高騰などで、新電力が電気代の値上げに走る中、値上げをしなかった関電の規制料金の方が安くなったか。
・12月…新電力の顧客情報を不正閲覧していた件が発覚。その後、関電の場合、オール電化などの営業にも利用していたことが明らかになる。
【2023年】
・3月…公取委、独占禁止法違反のカルテルを認定
・3月…関西電力送配電、電圧測定を怠り記録を捏造、虚偽報告(◆093◆)
・4月…カルテル問題で、森望社長ら13人を減給などの処分
・4月…不正閲覧をめぐり経産省が関電と関西電力送配電に、業務改善命令
・4月…2023年3月期決算は当初、純損益で450億円の赤字予想であった。それにもかかわらず、規制料金値上げの申請をしていなかった。しかし、その後の報道(4/28、日経新聞)では、一転して176億円の黒字となった。連結では、純利益が前期の17倍の3050億円と、過去最高になる見通しとなっている。
・5月…不正閲覧で、関電は森望社長ら16人を処分、関西電力送配電も8人を処分
・5月16日…年初以来、株価は上昇。年初来安値:1,181円(2023年1月12日)に対して、年初来高値:1,563円を記録(2023年5月16日現在)。
・6月…大手電力7社が電気料金を値上げ(2000~5300円)。標準的な家庭における値上げ率は北海道電力が21%、東北電力が24%、東京電力が14%、北陸電力が42%、中国電力が29%、四国電力が25%、沖縄電力が38%。関西電力、中部電力、九州電力は、値上げ申請をしていない。