関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆013◆

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◆さんざん高浜町に迫った挙げ句に再稼働できず(2021年)
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 関電は、2020年来、美浜3号機および高浜1、2号機を再稼働させるとして、立地自治体の議会や首長に同意を要請し、苦悩の選択を迫った。

 にもかかわらず、関電は、知事の再稼働同意が見えてきたと判断したのか、4月22日に高浜1、2号機の特重施設(特定重大事故等対処施設いわゆるテロ対策施設)が完成しないので、当面の再稼働は無理と表明した。福井県知事が2021年4月28日に再稼働同意を表明した直後の4月30日には、高浜2号機では、安全対策工事までもが遅れていると発表した。こうしたことから、高浜1、2号機は当面の再稼働をすべて断念し、再稼働は2023年5月ごろになった。

 このように、関電は、自社の都合のみで、立地自治体や多くの人々を混乱に陥れる、傲慢極まりない企業といえる。関電に振り回された福井県知事は、ドタバタ劇を演じるダイコン役者にされたが、高浜町も関電にコケにされたとしか見えない。
福井県知事はドタバタ劇を演ずるダイコン役者◆014◆

 なお、経産省(近畿経済産業局など)から高浜町への出向者(副町長など)は、2008年以降で4人いる。高浜原発のプルサーマル運転は、2010年から開始。

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◆関西電力 闇歴史◆012◆

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◆使用済み核燃料の県外搬出、中間貯蔵候補地で
 関電が何回もくりかえす空約束(1997~2023年)の果て
 原発サイトの乾式貯蔵施設へ(2024年)
 【付 使用済み核燃料の中間貯蔵施設~西川前知事から杉本知事へ】
 【付 関電の使用済み核燃料搬出計画(2023年10月)】
 【付 むつ市の「使用済燃料中間貯蔵施設」】
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◆関西電力という企業の体質
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 関電は最近では、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を、2000年までに、その後2018年中に福井県外で探すと明言していたが、これらの約束を反古にした。2018年には、中間貯蔵候補地提示期限を2020年内と再約束して、大飯原発3、4号機再稼働への西川前福井県知事の同意をとり付けた。しかし、関電は、この約束もまた反故にして、使用済み核燃料を増やし続ける原発の運転を継続したのみならず、2021年2月、期限を2023年末へとさらに先送りして、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機再稼働への杉本福井県知事の同意を取り付け、6月23日、美浜3号機を再稼働させた。なお、期限の先送りは、むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性を拠り所にしたものと考えられるが、宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発した。

 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡るこの間の関電による約束不履行は、今回初めてというわけではない。昔から繰り返されてきた。中間貯蔵施設を県外につくるという関電の約束は、これまで何回も反故にされてきた。

 以下の一連の流れをみると、関電は、何の成算も無く「空約束」をし、平気でそれを反古にする、企業倫理のかけらも持ち合わせない企業であることが裏付けられている。

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◆関西電力の中間貯蔵施設をめぐる動き(降順)
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(16)関電は福井県内に使用済み核燃料の中間貯蔵施設「乾式貯蔵施設」の建設へ
 2024年2月8日、関電は、大飯・高浜・美浜の3原発のすべての敷地内に使用済み核燃料の中間貯蔵施設「乾式貯蔵施設」をつくることの了解願いを福井県に提出した。
 高浜、大飯原発は2か所に設置し、3原発を合わせた保管容量は1530体(700トン)。高浜で最大32基の乾式キャスク(使用済み核燃料768体)、大飯で最大23基(同552体)、美浜で最大10基(同210体)の予定となっている。
 県の了解が得られれば、もっとも規模の大きい高浜原発の1か所目から原子力規制委員会に申請。2025年以降に着工し、27年ごろから順次運用を開始する計画。2030年ごろに県外で操業開始をめざす中間貯蔵施設への円滑な搬出が目的で「より安全性の高い方式で保管できる」としている。
 杉本知事は9日の記者会見で「具体的な提案がやっと出てきた」と発言。

【付 使用済み核燃料の中間貯蔵施設~西川前知事から杉本知事へ】
山崎 たかとし さんFB(2024年2月10日)→こちら より転載。

〇 2013年7月16日 青森県むつ市に建設中の使用済核燃料中間貯蔵施設をめぐるスキャンダルを『朝日新聞』が1面トップで報じた。貯蔵施設の用地買収資金を西松建設が2億円を肩代わりし、地権者との交渉を警備会社会長が行っていたという疑惑だ。
翌17日の続報は、貯蔵施設を誘致したむつ市長(2023年にむつ市長から青森県知事となった宮下宗一郎氏の父。07年に死去)を支援するため、西松建設が1億円を融資していたことを報じ、「浮かび上がるのは、歓迎されざる使用済み核燃料関連施設の立地のために、裏ガネを使って地権者や政治家を黙らせる東京電力のテクニックの数々である」と結んでいる。
〇 2015年 西川知事の後援者の福井商工会議所の川田達男会頭の発言「中間貯蔵を貯蔵ビジネスと意識転換しないと、進まない」。(中日新聞12月24日)
〇 2015年 西川知事「電力消費地にリスクを分担してほしい」。県内立地に改めて否定的な見方を。
施設の経済効果についても「中間貯蔵は管理、監視が中心の仕事。雇用効果があるわけではない」(読売新聞7月2日)
〇 2017年 高浜町町長が敷地内で乾式貯蔵を検討(2004年に美浜町も誘致を表明)。それらを西川知事は決して許さなかった。
〇 2018年12月10日 週刊ダイヤモンドより(編集部、堀内亮)
福井県の西川一誠知事は「原発の“ごみ”までは地元は受け入れない」というスタンスで、中間貯蔵施設は県外で整備するよう求めていた。これは歴代知事の方針を踏襲している。
関電は、13年から関電エリアで中間貯蔵施設の立地候補地になってもらおうと、説明会を各地で延べ7000回以上行ってきた。しかし、中間貯蔵施設はいわば “ 迷惑施設 ”。受け入れを表明する自治体は現れなかった。
対立候補(杉本現知事)は地元で受け入れ容認姿勢
今になって新たな選択肢が浮上した。2019年4月に行われる福井県知事選で有力候補者の杉本達治氏は、県内に中間貯蔵施設を整備するのを容認する姿勢を見せているという。中間貯蔵施設を整備することで、新たな仕事や雇用が生まれ、福井県にお金が落ちるからだ。
通常の選挙ならば、地元企業は現職を支援するのがセオリーであり、「年内に県外の候補地を示すことは西川氏を応援することにつながる」と電力業界関係者。しかし、杉本氏が当選すれば、県内に中間貯蔵施設を整備する選択肢が生まれる。
〇 2019年 杉本副知事が当選。

(15)2024年1月1日になっても、関電は、杉本知事との約束を守らず、老朽原発、美浜3、高浜1、2の運転を継続。知事は10月に稼働受け入れを表明していて、関電との茶番劇が継続。

(14)2023年末の約束期限がもうすぐそこ。2023年12月22日、「高浜原発3号機の再稼働に抗議する!」高浜緊急行動参加者一同より、関電への申入書。
 関電の繰り返す約束違反は、許されるものではありません、関電は、何度も「使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と約束しながら、それを全て反故にしています。関電は、福井県知事の原発再稼働への同意を取り付けるために、何の成算も無く「空約束」を繰り返してきたのです。2021年2月にも、候補地提示期限を「2023年末まで」と約束し、「期限が守られなければ老朽原発を停止する」としていますが、12月下旬の現在でも候補地を見出すことはできていません。関電は、苦肉の策として、使用済み燃料の一部を、MOX燃料再処理実証試験に供するために、フランスに持ち出す計画を示し、「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」としています。しかし、搬出量は、関電の原発で保管する使用済み核燃料のわずか5%程度に過ぎず、詭弁です。さらに、関電は中国電力と共同で、8月、唐突に、中間貯蔵地建設のための調査を上関町に申し入れました。原発建設に反対し、美しい、希少な生態系を守る闘いを進める住民の心情を逆なでするものです。
 現在科学技術の手におえない原発を、無理矢理稼働させようとするから、人々を欺かなければならなくなり、金品にまつわる不祥事や約束違反が発生するのです。
 一方、中間貯蔵に関する対応について、福井県から説明を求められた関電は、10月10日、青森県の再処理工場の活用、中間貯蔵施設の確保を盛り込んだ工程表を示し、搬出の円滑化のために原発構内に乾式貯蔵施設の設置を検討するとしています。関電が示した工程表は、再処理工場の稼働を前提に策定していますが、稼働の見通しはなく、「絵に描いた餅」です。したがって、一旦、乾式貯蔵を始めれば、永久貯蔵への道を開くことになりかねません。それでも、福井県知事はわずか3日後の13日、これを容認しました。「原発の運転継続ありき」の出来レースです。

(13)2023年10月…杉本達治知事は、西村康稔経産相、関西電力の森望社長と県内で相次いで面談し、原発にたまる使用済み核燃料について、関電が示した「県外への搬出計画」の受け入れを表明。知事の同意によって、稼働から40年を超える老朽原発3基の稼働が継続される。関電の森社長は「私自ら先頭に立ち、確実に県外に燃料を搬出していく」と述べた。年内約束の候補地は示されないまま。

【付 関電の使用済み核燃料搬出計画(2023年10月)】
 関電が発表した「使用済核燃料搬出ロードマップ」。これに対しては、「具体性がなく計画通りに進むか不透明」「乾式貯蔵は中間貯蔵施設と同義で、最終処分地になりかねない」「県民に対する説明が不十分で、これで承認はあり得ない」などの疑念が大きい。
27~29年度には福井県内の高浜原発から約200トンをフランスに搬出。搬出する量の積み増しを検討。フランスへ搬出した分は、いずれ、日本に戻ってくる。そのとき、県外に戻すのか。
青森県の再処理工場は2024年度上期に完成させ、2026年度に燃料搬出を開始。ただし、再処理工場の完成は25年以上遅れていて、実現は不透明。(→◆003◆◆082◆
2030年頃に県外で中間貯蔵施設の操業を開始することとし、県外候補地選定を進める。ただし、年限は示されていない。
原発敷地内に乾式貯蔵施設を新たに設けて、一時保管する。「乾式貯蔵施設は(中間貯蔵施設への)搬出を円滑に進めるための施設」としている。しかし、年限が示されていなくて、福井県議会内でも「福井県での永久貯蔵に道を開くのではないか」との懸念の声が上がっている。
原則として貯蔵容量を増やさない。しかし、再処理工場、中間貯蔵施設の完成が遅れれば、貯蔵容量は増えるのではないか。
▼関西電力が示した福井県外への使用済み核燃料搬出ロードマップ(毎日新聞より)

(12)2023年8月…中国電力は関西電力と共同で山口県上関町(かみのせきちょう)に中間貯蔵施設をつくるための調査をすることを提案。関電の電気をつくったことも使ったこともない上関に、関電の使用済み核燃料を押しつけて良いのか。しかも、上関では、長年、原発建設反対の運動が続いている。

(11)2023年6月…森望社長が使用済み核燃料の一部をフランスに搬出する計画を杉本知事に説明。関電は、高浜原発の使用済MOX燃料10トンに普通の使用済燃料190トンを混ぜて行う再処理の実証試験をフランスで行い、合計200トンの使用済燃料をフランスに搬出することをもって「約束は果たされた」とした。福井県知事は判断を保留。詭弁、出まかせ、居直り、ごまかし、その場しのぎ、傲慢、厚顔無恥、嘘つき。(→◆099◆

(10)2022年7月…6月の株主総会で社長に就任した関電の森望新社長(2022年~)は、7月8日、就任あいさつのため、福井県庁に杉本達治知事を訪ね、原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地について、「期限の2023年末までに確定できるよう不退転の覚悟で取り組む」「2023年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」とし、「既に私自身、国や電気事業連合会の関係者と面談するなど取り組みに着手している」と報告した。これに対し、杉本知事は「あと1年しかない。先頭に立った上で1日も早く計画地点確定を報告してほしい」と釘を刺した。

(9)2021年2月、森本孝社長(2020年3月~)は杉本知事に、候補地提示について「2023年末を最終期限」とし、「もしできなければ美浜3号、高浜1、2号の運転を停止する」と約束し、再び先送り。運転開始40年を超える美浜3号、高浜2.3号の再稼働への同意を求めた。新たな期限が示された結果、老朽原発の美浜3号機、高浜1、2号機が再稼働へ。

(8)2020年12月…電気事業連合会(電事連)が、むつ市の中間貯蔵施設を全国の電力会社で共同使用する検討を始めたと発表。宮下宗一郎 むつ市長は「むつ市は核のごみ捨て場ではない」と反発。関電は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、県外の候補地を示せなかった。

【付 むつ市の「使用済燃料中間貯蔵施設」】
「使用済燃料中間貯蔵施設」とは、原発で使い終わった核燃料を再び燃料として使用できるように再処理するまでの間、保管しておく施設。核燃料サイクルを前提にした仮置き場とされているが、前提が崩壊している現在、最終的な核のゴミ置き場になる可能性が指摘されている。国内で唯一建設済みの中間貯蔵施設は青森県むつ市にあり(→こちら)、東京電力と日本原子力発電(日本原電)が共同開発。事業主体は、リサイクル燃料貯蔵株式会社(RFS、→こちら)。RSFが県、市に報告したところによれば(2023/9/30)操業開始は「2023年度下期から24年度上期を念頭に準備」。

(7)2020年10月…候補地提示が運転開始40年を超える原発再稼働への同意の前提になると杉本達治知事(2019年~)が表明。県庁を訪れた関電の森本孝社長(2020~22年)にも「県外立地はすでに2年遅れてずっと待たされている。期限は2か月あまりしかない」と苦言を呈した。

(6)2018年12月…関電が候補地を示せず、2020年末に期限を先送り。新たな期限が示された結果、県はこの年に大飯原発3、4号機の再稼働を容認→再稼働(なお、大飯原発3、4号機は2012~13年に当時の民主党政権の下で稼働されたが、その後は定期点検で停止。2013年に新規制基準が施行)。しかし、この期限も反故にされた。

(5)2018年1月…青森県むつ市の中間貯蔵施設が候補地に浮上。むつ市の中間貯蔵施設に関電が出資するという報道であったが、宮下宗一郎むつ市長(2014~23年。その後、青森県知事)は不快感を示し、むつ市の中間貯蔵施設の事業者、東電、日本原電から、関電が出資することはないという確認をとった。

(4)2017年11月…大飯原発3.4号機の再稼働への西川知事の同意を得るために、関電(岩根茂樹社長、2016~2020年)は「2018年中に具体的な計画地点を示す」と明言。

(3)2015年11月…高浜原発3、4号機の再稼働を認めてもらうため、関電(八木誠社長、2010~16年)は2020年までに中間貯蔵施設をつくり、使用済燃料を福井県外に持ち出すことを西川一誠知事(2003~19年)に約束。具体的には、2020年頃に計画地点を確定し、2030年頃に2千トンU規模で操業開始するとし、記者会見で「福井県外の当社管内が基本」「(他の電力会社との)共同建設も含め、あらゆる可能性を検討する。」と述べた。

(2)1998年7月…関電(秋山喜久社長)が栗田知事に「中間貯蔵施設を県外に建設したい。その候補地を2000年までに選定する」と表明。関電側は燃料貯蔵プールのリラッキング、つまり燃料と燃料の隙間を狭くして、燃料プールの容量を増やすことを認めてもらうことが目的であった。

(1)1997年4月…もんじゅのナトリウム漏洩事故(1995年12月)、20万を超える県民の署名などをきっかけに、福井県の栗田幸雄知事(1987~2003年)は、使用済燃料の中間貯蔵施設を県外で建設するよう関電(秋山喜久社長、1991~99年)に要請。

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◆関西電力 闇歴史◆011◆

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◆特命発注で地元企業に特別の便宜(2021年)
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 2021年2月、関電は「競争入札を経ない発注特命発注)などにより地元企業の活用に努める」として、美浜町長の美浜3号機再稼働への同意を取り付けた。
(地元業者が特別に儲かる関電からの発注例→◆039◆

(老朽原発・美浜原発3号機の再稼働をめぐり、戸嶋秀樹美浜町長と関電の松村孝夫原子力事業本部長らが2月10日、同町役場で面談した。町が関電に求めていた地元企業の育成などについて、関電側は「合理性のある特命発注(競争入札を経ない発注)などにより、地元企業の活用に努める」などと答え、戸嶋町長は「前向きで誠意ある回答」などと評価した。)

 特命受注とは、建設工事などを競争入札とは異なり、発注者が特定の業者に直接依頼するもので,官公庁では原則として行わない。公共性が高く、税金に準じる性質を持つ電気料金で運営される電力会社が、特命発注の乱発など許されるはずがない。これは、関電の経営体質は、原発マネー不正還流事件◆018◆)の後に行った「人事刷新」によっても全く変わっていないことを物語っている。

【参考(3)】
▼関電は競争入札の比率が小さい。
東電データ:日刊工業新聞2017年5月26日記事。
関電データ:「電気料金の値上げについて」関西電力 平成27年5月。その後の資料は非公開。

上のグラフ、以下の説明とも、末田一秀さん「環境と原子力の話>関電の旧役員を市民が提訴(関電株主行動ニュース No119)」(→こちら )、および、2021年10月6日 関電の原発マネー不正還流事件、会社訴訟(脱原発株主代表が訴訟参加)の第1回口頭弁論における末田一秀さんの意見陳述による。

・福島原発事故を起こした東京電力は賠償金支払いのために、外部から委員を招いて2012年に「調達委員会」を設置、資材購入や工事発注で従来慣行を見直して大幅なコストダウンを進めました。1件当たり10億円以上の契約を点検し、改善を指示してきたそうです。その結果、2010年に15%だった競争入札の割合が2015年には65%になり、調達平均単価は2016年度には2010年度比20%もの減少になったのです。(参考日刊工業新聞)

・対して関電はどうでしょう。2015年に電気料金を値上げした際に、経産省からさらなる経営効率化を指示され、そのメニューの一つに競争発注比率の拡大があげられていて15%を30%超にするとされています。

・新しいデータ。末田一秀さん「環境と原子力の話>裏金を捻出していた不正な発注は?(関電株主行動ニュース No133)」→こちら

【参考(2)】
 関電幹部は、高浜町の森山栄治元助役から多額の金品受け取っていた(◆018◆)が、森山氏はその原資を、関電の原発関連工事を請け負う吉田開発(高浜町)から受けとっていたことが金沢国税局の税務調査で明らかになっている。吉田開発は2014年9月1日から2017年末までの間、関電から直接、22件の工事を請け負っていたが、10件は入札をしない「特命発注」で優先されていた。

【参考(1)】
関電の原発マネー不正還流を告発する会」の大阪第2検察審査会あて 補充書4 より。
関電は、電気料金の値上げ時には、特命発注を見直すなど、効率的な経営をする旨を説明していたにもかかわらず、裏では、高値で発注、高値での賃貸借を行っていた。(→◆062◆
(1) 2013年5月 一度目の電気料金値上げのとき…「競争比率が低いので、調達コストの削減が必要」と述べていた。
(2) 2015年6月 二度目の電気料金値上げのとき…東電は競争発注比率が60%なのに関電の競争入
札率は低すぎると指摘されて、関電は「26 年度の下期には、目標の 30%に近いところまではふやしております。東電さんの 60%というのは、我々としてはまだなかなか非常に大変なものだと思っていますが、・・・ 頑張ってまいりたい」としていた。

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◆関西電力 闇歴史◆010◆

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◆安全文化の欠如でクレーン倒壊(2017年)
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 2017年1月20日午後9時50分ごろ、高浜原発2号機で、工事中(老朽原発の再稼働に向けて)のクレーンが倒壊。クレーンブームが原子炉補助建屋ならびに燃料取扱建屋へもたれかかって、屋根が変形した。

 工事の元請けの大成建設は暴風警報を把握せず、関電は警報を把握していたが、大成建設へ連絡しなかったため、暴風時に必要なクレーンのアームの折り畳みなどの防止策を取っていなかったという。敦賀労働基準監督署は23日、労働安全衛生法に基づき関電と元請けの大成建設関西支店に事故の再発防止対策を求める指導票を交付した。高浜原発の宮田賢司所長と同支店の金井隆夫支店長が敦賀労基署で指導票を受け取った。

 福井県庁では豊松秀己・関電副社長(原子力事業本部長)が藤田穣副知事に報告した。豊松氏は「県民に多大な心配・迷惑をかけたことを改めて深くおわびします」と頭を下げた。福井県の藤田穣副知事は「安全文化の問題で、今後の運営に信頼が置けない」と批判。京都府の山田啓二知事も関電の監視体制を明記した報告書の再提出を求めた。

 この豊松秀己・関電副社長(原子力事業本部長)は、2011年から2018年にかけて高浜町の森山栄治助役から1億円を超える金品をもらっていた。退任後、関西電力から総額19億円を超える損害賠償請求訴訟を受けている。(◆018◆

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◆関西電力 闇歴史◆009◆

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◆再稼働を急ぐ老朽原発で、労災人身事故が多発(2019~21年)
 CO 中毒労災事故は責任をめぐって裁判(2022年~)

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 高浜1、2号機、美浜3号機では、老朽原発再稼働準備作業中に労災人身事故が多発している。老朽原発を急いで無理矢理動かそうとして、安全な労働環境づくりを怠ったために起こったもの。
 
(1) 2019年9月、老朽原発・高浜1、2号機の特定重大事故対処施設(いわゆるテロ対策施設)建設用のトンネル内で溶接作業にあたっていた9人が一酸化炭素中毒で救急搬送され、4人が集中治療室に。事故の起こったトンネルには外気を取り込むダクトが設置されていなかった。

 2022年3月15日、敦賀労働基準監督署は、十分な換気をしていなかったとして労働安全衛生法違反の疑いで、法人としての土木工事業「若狭プラントサービス」(福井県美浜町)と、当時の同社作業責任者の男性(66)を書類送検した。4月6日に敦賀区検が略式起訴し、同22日に敦賀簡裁が罰金20万円の略式命令を出した。しかし、同社と男性は、二次下請け(関電→元請→一次下請→二次下請)の立場なので、換気に責任はないと主張。略式命令を不服として罰金を納付せず、5月に正式裁判を請求し、受理された。初公判は9月に開かれ、被告として無罪を主張した。しかし、2023年に原告敗訴の判決→控訴。

(2) 2019年9月、美浜3号機では、安全対策工事用の足場が崩れ、2人が重軽傷を負った。

(3) 2020年3月には、高浜原発1、2号機の敷地内にある掘削中の作業用トンネルで、発破準備作業の安全監視中であった協力会社社員が、発破用の火薬を運ぶために後退してきたトラックにはねられ、亡くなった。同社員は耳栓をし、トラックに背を向けていたとのこと。

(4) 2020年4月には、高浜原発1号機のディーゼル発電建屋内で安全対策工事を行っていた協力会社の会社員が、高さ1.4メートルの脚立から転落し、骨盤を折る重傷を負った。

(5) 2020年8月には、社長が労災防止を誓った慰霊行事(8月9日)の3日後に、美浜原発3号機で安全対策工事中の協力会社社員が、足場から転落して重傷を負った。9月2日に公表。(◆008◆

(6) さらに、2021年8月18日にも、高浜原発2号機の安全対策工事で協力会社の作業員が転落して負傷(約1か月の入院加療)。この事故も、慰霊行事の9日後の事故であった。9月3日に公表。→こちら(広報「原子力発電所の運営状況について」末尾の方に記載)。

(7) 2021年10月19日には高浜1、2号機の特重施設工事で作業員が重傷を負う労災事故が発生。午後11時半ごろ、特定重大事故等対処施設の建設現場で協力会社員がタワークレーンの解体作業中に重傷。時刻が「午後11時半ごろ」? 夜中にタワークレーンの解体作業? それにWebでの発表もありません(10月23日現在)。

◆008◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆010◆

◆関西電力 闇歴史◆008◆

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◆社長が「労災防止」を誓った3日後にも重傷労災(2020年)
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 2020年8月12日には、美浜原発3号機で安全対策工事中の協力会社社員が、足場から転落して重傷を負った。安全帯を付けていなかった。同様な事故は、2020年8月28日、大飯原発3号機でも起きている。老朽原発再稼働を急いでいるために、発生した労災。

 この年8月の2事故は、2004年8月9日に美浜3号機で発生した2次冷却水配管の破損により5人が死亡し、6人が重傷を負った事故(◆004◆)の慰霊行事(2020年8月9日)で、森本関電社長が「労災防止」を誓った直後に起こったもの(慰霊行事は毎年8月9日に開催)。8月の2件の労災事故について、関電は9月2日になって発表した。さすがに、すぐには発表できなかったということか。

▼2020年8月9日、森本社長が「労災防止」を誓う。毎年恒例の慰霊行事。2020年8月9日の慰霊行事(写真)の直後、12日と28日に労災事故が発生したが、さらに2021年8月9日の慰霊行事の直後にも、18日に労災事故が発生している(◆009◆)。「安全の誓い」はどうなっているのか。

美浜--安全の誓い

◆007◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆009◆

◆関西電力 闇歴史◆007◆

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◆裁判にみる関西電力の劣化~地下構造図の縮尺を1:4にして提出(2019年)
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 大津地裁で行なわれている大飯・高浜・美浜原発運転差止滋賀訴訟では、原告側は各原発敷地の地下構造を問題としており、その重要性の根拠として、東京電力が、2007年中越沖地震で柏崎刈羽発電所の解放基盤表面で基準地震動450ガルを大幅に超える1699ガルの地震動を記録したことの原因の一つとして、敷地地盤における褶曲(しゅうきょく)構造の存在を挙げていることを指摘した。

 関西電力は、2019年5月28日付準備書面(44)でこれに反論し、柏崎刈羽原発敷地の反射法地震探査の結果は、「非常に大きく畝(うね)っており、顕著な褶曲構造を呈している」が大飯原発敷地の反射法地震探査の結果は、「地震動を顕著に増幅させ得るような畝りではない」と主張し、二つの図を並べた。

▼上段が柏崎刈羽原発敷地、下段が大飯原発敷地

 なるほど、これを見比べると関西電力の主張にも一理ありそうである。しかし、これにはトリックがあった。縦横の縮尺が上段は1対1なのに対し、下段は1対4だったのである。下段の図を縦横1対1に補正すると次のようになる。

▼補正後の図

 こういうものを世間では「子ども騙し」という。関西電力の劣化は隠しきれない。
(以上、「井戸謙一、大飯・高浜・美浜原発運転差止滋賀訴訟弁護団長。週刊金曜日2019年12月20日・2020年1月3日合併号」による)

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◆関西電力 闇歴史◆006◆

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◆大飯原発1、2号機の突然の廃炉決定(2017年)
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 2017年12月、関電は、福井県やおおい町に相談することなく、突然かつ勝手に大飯原発1、2号機の廃炉を決めた。

 地元のおおい町は寝耳に水。これでは、町政も混乱。このような事態が生じるのであれば、原発立地自治体は、その将来設計が描けなくなる。原発立地町は、突然の原発廃止のように、相互信頼を顧みない関電や国に対して、今でもその意向に逆らわずに、原発政策を続けている。

 おおい町担当者の発言『100万kWを超える巨大炉の廃炉は、町財政、地域経済に大きな影響を及ぼすことは事実であり、2018年11月には町、県と事業者との間で、事業者が安全対策をはじめ、地域振興対策を継続的に実施する旨を記載した「廃止措置等に関する協定」を締結しました。今後この協定に基づき、住民の安全安心を第一として信頼関係をを崩すことなく、原子力行政に取り組んでいきます。』
(「老朽原発うごかすな!実行委員会」による)

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◆関西電力 闇歴史◆005◆

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◆『関西電力 反原発町長 暗殺指令』(2011年)
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 『関西電力 反原発町長 暗殺指令』は、齋藤真著、宝島社。2011年12月発行。amazonの紹介(→こちら)は以下の通り。
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 14基の原発が立ち並ぶ福井県・若狭湾沿岸の“原発銀座”。関西電力の高浜原子力発電所で異常な出来事が起こっていた。獰猛な“原発警備犬”が、完全犯罪の凶器に使われようとしたのだ。国内初の「プルサーマル」(プルトニウムとウランを混合した燃料、MOX燃料を燃やす原子力発電)に固執する“高浜原発の天皇”。ことごとく“天皇”に反発する地元高浜町の町長……。「喉元を犬にくいちぎらせたれや」。“天皇”から、完全犯罪を命じられた警備会社幹部が町長を追尾する……。

 暗殺指令を出した“高浜原発の天皇”は、キーマンK。取材対象の告発者が実名で登場しているにもかかわらず、関西電力側は黙殺。2008年春の『週刊現代』の2回に亘る特集記事。2011年末の本書の初版発行の何れの場合も関西電力は沈黙を守る。他の報道機関も一切の追加報道をしていない。そして告発者が恐喝容疑で逮捕され、有罪判決を受けている。裁判の過程で、キーマンKの証言が残っている。
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以下は『関西電力「反原発町長」暗殺指令』(235~237ページ)より
「大阪地裁で開かれた第一回公判(2009年8月20日)で、検察側証人として証言台にたったKはこんなことを喋っている。
弁護人-ところであなたは先ほどの主尋問で出た高浜町長を襲うというような話を冗談で1回話したことがあるという話をしていましたね。
K-はい。
弁護人-よく判らないんだけれども、のりを狙って町長を襲えるかというのはどういう意味ですか?
K-のりを狙ってじゃなくて。
弁護人-あなたがそうおっしゃたんで聞いているんですけど。
K-私がいうたのは、周りの人間で、それまで、いわゆるそのときの町長、それが原子力の反対とか、いろんな形のことで、それから町内の業者の自分の反対の会社の仕事を減らせよ、とかいろんな形をいうてきておったので、彼ら自身も非常にその人に対して余りいい気持ちをもっておらなかったと、これは町長が替わるほうがいいでという気持ちを持っておったんで、そういう気持ちで先に会議をしてましたんで、それで一言、私がちょっと失言してしまった訳です。のりというのは、そのとき受けるかなというのを思ったわけです。
弁護人-受けを狙っていうような話だと思いますか。
K-冗談ですよ。
弁護人-冗談で言えるような話だと思いますかと聞いているんです。
K-それは私の失言だと思います。非常に反省しております。」
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佐高信「この国の会社」~関西電力の『反原発町長暗殺指令』を振り返る→こちら
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 森山事件が発覚した時、突如売れ出してベストセラーになったのが斉藤真著『関西電力「反原発町長」暗殺指令』(宝島社)である。オビには「犬を使って殺(や)れ!」とあり、「ミステリーを超えた戦慄ノンフィクション」とうたう。2011年12月の発行。高浜町が舞台で、暗殺指令の対象となったのは当時の町長の今井理一。関電のKという首脳の依頼で原発の警備会社を始めた加藤義孝と犬のブリーダーの矢竹雄兒が警備犬を使って今井を暗殺しようとしたことを斉藤に打ち明け、それは『週刊現代』に2回に分けて掲載された。
 ところが、同年8月25日、加藤と矢竹は突然、恐喝容疑で逮捕される。関電と警察がつるんで臭いものにフタをしようとした疑いが濃厚で、この事件には関電と政界のパイプ役として暗躍した元副社長の内藤千百里(ちもり、◆035◆)の息子もからんでいる。(敬称略)
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『関西電力「反原発町長」暗殺指令』西成物語~日雇い労働者の町・西成から物言う
こちら
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この『関西電力「反原発町長」暗殺指令』の中に出てくるキーマンというべき「K」とは、誰か?
→非公開
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【原発ムラ地獄絵巻】関電裏金 〜「反原発町長を殺れ!」M(森山栄治)の 後ろに内藤千百里(ちもり)(◆036◆
こちら
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◆関西電力 闇歴史◆004◆

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◆美浜原発3号機で 死亡5名、重軽傷6名の重大事故(2004年8月9日)
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 2004年8月9日、美浜原発3号機で二次冷却系の復水系配管が通常運転中に破裂する事故が発生した。

 2004年8月9日午後3時半頃、通常運転中の3号機二次冷却系の復水系配管が第4低圧給水加熱器と脱気器との途中で突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して高温の蒸気となって周囲に広がった。

 事故当時、現場のタービン建屋内では、定期点検の準備のため、211人が作業をしており、問題の配管室内には11名の作業員がいた(定期点検を急ぐため、まだタービンが回っているのに建屋内に入っていた)。事故直後に死亡した4名の死因は全身やけど(熱傷)および、ショックによる心肺停止で、ほぼ即死に近い状態だったとされる。また、事故から17日目の8月25日には、全身やけどを負っていた作業員1名が死亡したため、最終的には死亡5名、重軽傷6名となった。

 破裂の個所は稼動以来の27年間一度も点検さえ行われていなかった。運転中の原子力発電所における死亡事故としては国内初、原子力関連施設での死者としては東海村JCO臨界事故以来7人目であり、関西電力の危機管理能力が問われている。

 この事故は原子力施設における労働災害として極めて重大であり、国内の原発事故史上初の「重大災害対策本部」が設置された。放射線被曝による死亡事故ではないため、国際原子力事象評価尺度での事故評価は、当初「0+」となっていたが、後に安全管理不適切として「1」に変更された。

(Wikipedia。守田敏也さん「明日に向けて 1883」などによる)
(国際原子力事象評価尺度[INES]→こちら
 
【参考】
原子力の科学館あっとほうむ|福井原子力センター|情報誌「あっとほうむ」の
「原子力情報・データ No.151」に事故個所の説明図が掲載。→こちら。

【参考】
・守田敏也さん「明日に向けて(1883)」(美浜原発3号機配管破断による5人死亡6名重軽傷事故を振り返る)
・社長が「労災防止」を誓った3日後にも重傷労災。2020年8月9日の慰霊行事(写真)の直後、12日と28日に労災事故が発生した。(◆008◆
・さらに2021年8月9日の慰霊行事の直後にも、18日に労災事故が発生。(◆009◆→(6) )
・上記2件の公表は、9月になってからです–安全の誓いの直後に労災事故を起こしていて当月中(8月中)に発表するのは恥ずかしかったのか。
(もっとも、老朽原発の “安全工事” では、慰霊行事の直後に限らず、絶え間なく労災事故が発生しているのですが)

▼美浜発電所3号機のしくみと復水配管破損個所(→こちら

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