投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆083◆

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◆さすが関電!異能の京大院卒若手社員!
 違法な就活替え玉受検で大儲け!
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 2022/11/23の報道によると、関西電力社員の田中信人容疑者(28)(大阪市北区大淀南)が、就職採用のウェブテストの「替え玉受検」事件で逮捕された。SNSで有名企業の名前を列挙し、テストの「合格」をアピールしていて、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で警視庁に逮捕された。

 田中容疑者は京都大出身で、大学院時代に友人と共に替え玉受検を開始。数年前からはツイッターで「京都大学院卒、ウェブテスト請け負い経験4年」「通過率95%以上」などと宣伝。替え玉受検の成功実績として大手商社や広告会社、外資系コンサルタント会社などの有名企業をあげ、就活生から1件2000円で替え玉受検を請け負っていた。約4年前から4000件以上を請け負い、約1000万円の報酬を得たとみられている。

 逮捕前、マスコミ取材に対して「コネ入社や裏金入社がはびこる現状をみると、別に悪いことだとは思わない」と語っていたとの報道。コネ入社や裏金入社には、関電も入っているのか、どうか?

 関西電力のコメント。「当社社員が逮捕されたことは、大変遺憾であり、重く受け止めている。今後事実関係を確認の上、厳正に対処してまいりたい」ということで、通り一遍。

 なお、12/8には「TOEIC試験も代行受検」と報道されている。英語能力を測る「TOEIC」のオンライン受検の代行も請け負っていた、という趣旨の供述をしているという。

 2023/3/28、私電磁的記録不正作出・同供用の罪に問われた関西電力の元社員田中信人被告(28)に、東京地裁は懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決。

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◆MOX燃料・プルサーマル運転をゆるすな!

【2022年11月18日,京都キンカンで配付】

去る9月17日に、2隻の輸送船でフランス、シェルブール港を出港したMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料が、11月21日(月)~24日(木)の何れかに高浜原発に到着するという情報が入りました。

 日本向けのMOX燃料のフランスからの輸送は、1999年に始まり、今回が8回目です。前回は、昨年9月にシェルブールを出港し、同11月に高浜原発に到着しています。

 今回到着のMOX燃料は、フランスの原子力大手・オラノが製造したもので、高濱原発3、4号機で使用されます。原料のプルトニウムは、関電の原発の使用済み核燃料からラアーグ再処理工場で分離して取り出されたものです。関電は2017年、MOX燃料の集合体32本の製造を日本の会社を介してメロックス工場に委託していましたが、同工場では、ウランとプルトニウムが均等に混ざり合わない不良品が続出して、16体は昨年11月に高浜原発に到着したものの、残りの到着は約1年遅れていました。

 MOX燃料出港に際して、環境団体グリ-ンピースは「世界が極めて不安定な中、危険な物質を輸送するのは全く無責任だ」と批判し、抗議行動を展開しています。なお、今回のMOX燃料の出港は、シェルブール港のクレーンが故障して、燃料の一部を輸送船に積み込めなかったため、10日間遅れています。

MOXを燃料とするプルサーマル運転は、以下のように、ウラン燃料運転に比べて、格段に危険です。

【1】酸化物であるMOX中のプルトニウムが核分裂すれば、酸素と結合し難い白金族元素が多く生成し、酸素が余り、余った酸素が燃料被覆管を腐食します。また、プルトニウムからは、核分裂生成物ガスとヘリウムガスであるアルファ線の放出が多く、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管の破損を招きます。

【2】MOX燃料では、プルトニウムの高次化によって、中性子を吸収しやすいアメリシウムが生成し、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

【3】MOX中のプルトニウムが集まって核燃料が不均質化(いわゆるプルトニウムスポットの生成)します。

【4】MOX燃料では、中性子束(中性子密度)が大きく、高出力で、過渡時(すなわち出力の増減時)に原子炉の制御がより困難です。

【5】使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難く、使用済みウラン燃料の4倍以上も長期にわたって燃料プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。

老朽原発うごかすな!実行委員会は、MOX燃料到着日には、早朝より抗議行動を展開する予定です。到着日が確定し次第、ご案内しますので、皆様のご参加をお願いします。

MOX燃料搬入日の行動予定

①午前6時に高浜町音海地区の「物揚げ広場」(国道27号より高浜原発に向かい、原発を通り過ぎて音海地区の最先端・行き止まりの駐車場)で抗議行動
②7時過ぎに高浜原発から音海地区より300mの展望所に来るまで移動し、デモ行進で、高浜原発北ゲート前に移動
③北ゲート前で抗議行動(9時30分頃解散)

行動の詳細および関西よりの配車については、お問い合わせください。
老朽原発うごかすな!実行委員会・木原壯林(090-1965‐7102)

◆京都市政出前トーク(2022/11/15)の案内と、報告

その案内

 「使い捨て時代を考える会」の脱原発委員会では、かねて、京都市の電力調達の状況がどうなっているか、疑問があり、市長との懇談を希望してきました。それに対し、市から「京都市政出前トーク」の提案がありましたので、申し込みました。

 その結果、下記のように、京都市から職員(環境政策局・地球温暖化対策室 課長ほか)に出講してもらうことになりました。

 申し込んでいるテーマは、「京都市環境基本計画の推進について~環境共生と脱炭素のまち・京都を目指して~」です。会からは事前に、再生可能エネルギーの普及、京都市の脱原発の施策など、具体的な質問を提出しましたが、この「出前トーク」は、おもに現在の京都市の考え方を聞きつつ、現状を確認する懇談となります。関心のある皆さまはご参加ください。

・日時…11/15(火)14:00~16:00頃。担当職員の説明と、質疑応答
・場所…「使い捨て時代を考える会」事務所(コミュニティスペース)。下京区富小路仏光寺下る筋屋町141(ライブハウス磔磔の南側)。地図 →こちら
・参加予定人数…15人程度
・参加費…無料、申込不要
・主催…「使い捨て時代を考える会」
・連絡先…075-361-0222 同上、事務所

その報告

 今回、申し込んだテーマは「京都市環境基本計画の推進について~環境共生と脱炭素のまち・京都を目指して~」。これについて、11/15(火)、環境政策局・地球温暖化対策室の職員二人に使い捨て時代を考える会のコミュニティスペースに来てもらったものです。おもに現在の京都市の考え方を聞きつつ、会からは事前に、京都市における再生可能エネルギーの普及、脱原発の施策など、具体的な質問を提出しましたので、その回答と質疑応答がありました。参加者は15人。

 全体的として、市の職員は、市のエネルギー政策、地球温暖化対策などをテキパキと説明、こちらの質問にもきちんと回答してもらいました。市全体の電力調達では、関電が大きな割合をしめていることは、予想通り。

 京都市の政策が脱原発にあるにもかかわらず、関西電力は原発を推進し、とりわけ老朽原発の再稼働まで進めています。こうした現状に対して、京都市の電力調達は関電に偏っていて、関電の原発推進政策を改めさせる具体的な方向性を持っていないわけで、ここが私たちの大きな問題意識です。「原発の電気はいらない署名@関西」の運動では、これまで、個人の電力契約切り換えを訴えてきましたが、今後は、京都市をはじめ自治体の電力調達も、原発の電気を使わない方向に切り替えるようアピールしていくことが重要だと思います。今回の出前トークをふまえて、さらに運動を進めていきましょう。

【参考】京都市の脱原発政策と関電
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 京都市および市議会は、これまでから脱原発の姿勢を明確にしています。
(1) 省エネ、再エネの促進…京都市地球温暖化対策条例(2004年12月、以後改訂)
(2) 2012年度から毎年度,関電の大株主として株主総会で脱原発の株主提案 → しかし、関電はすべて拒否
(3) 2012年3月に市会において
「原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換と再生可能エネルギーの普及拡大に関する決議」採択
(4) 京都市のエネルギー政策…原発に依存しない持続可能なエネルギー社会。「京都市のエネルギー政策推進のための戦略」(2013年12月)
(5) 省エネの加速、再エネの飛躍的な拡大…京都市地球温暖化対策計画<2021-2030>(2021年)

・京都市は若狭の原発に近いが、関電はますます原発依存を深め、老朽原発までも再稼働。関電の原発は、京都市民の生命、生活を脅かしている。若狭で過酷事故が起これば、京都はお終い。
・京都市および市民は、電力調達先として関電の大きな利用者、消費者なのに、関電の経営姿勢は京都市、市民無視ではないか。
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事前に提出した質問と、回答概略

[1] 京都市の市庁舎などの電力調達について

(1) 京都市の市庁舎の電力調達は、本庁舎(随意契約)、西庁舎(随意契約)、分庁舎(電子入札)となっているという理解で良いでしょうか。

→【回答】市役所は、本庁舎(西庁舎、北庁舎=工事中)と分庁舎からなり、両者で全庁舎とする。随意契約となっているは、庁舎の改築工事をしていたため。

(2) 本庁舎では、2020年度~2022年度の各年度で、調達先、契約金額は、どうなっているでしょうか。

→【回答】本庁舎は3年とも、関電。庁舎別電力使用実績を公開中。
・直近、2年間の電力使用量実績→こちら

(3)「市長部局 電子入札対象案件 入札執行結果の一覧表」はネット上で閲覧できますが、市長部局以外の入札状況、随意契約(たとえば交通局とか、上下水道局など)は、アップされていないのでしょうか。

→【回答】ネットで検索できる。
・交通局→こちら、との回答。しかし、その交通局サイト内で、「電力調達」と検索しても、全0件という結果になる。
・上下水道局→こちら、との回答。交通局の場合と同様の結果。

(4) 指定管理施設、外郭団体の電力調達は、どういう仕組みで行われているでしょうか。

【回答】市の環境配慮契約方針に従うよう呼びかけているが、基本的に管理者が決める

[2] 京都市の施策について

(1) ゼロ円ソーラー…ソーラーパネル。応募状況、成果などは?

→【回答】問い合わせはあるが、実際の契約は、年二桁。

(2) EE電(いい電)…再エネ電力グループ購入 。応募状況、成果などは?

(3) みんなのおうちに太陽光…太陽光パネル+蓄電池、共同購入。応募状況、成果などは?

→【回答】参加登録は増加。R2.5~8で485世帯、R3.4~8で721世帯、R4.4~9で1027世帯

(4) 市の施設での、自然エネルギー利用例、規模、発電量などは?

→【回答】太陽光パネルの設置、ゴミ発電など

[3] 京都市「環境に配慮した電力調達契約評価基準」について

(1) 制定はいつ? 更新は? その経過? 市議会での審議状況は?

→【回答】制定は2008年。しばしば更新。市議会では、質問と答弁あり(2016年くらし環境委員会などで)。京都市会|会議録検索 があるとのこと回答だったが、このサイトは内容量が膨大で、実際に検索しても目的の記事にたどり着けなかった。会議録は前文のみで、全文は読めないのでは?

(2)「京都市、小売電気事業者の評価結果(令和3年1月7日時点)(PDF)」をみると、
70点以上で合格しているのは4社のみですが、
「市長部局 電子入札対象案件 入札執行結果」をみると、
4社以外でも応募、落札している業者が多くあるが、どうしてでしょうか。
(評価結果 PDFは 更新されていて→令和5年3月時点では→こちら。)

→【回答】70点以上の合格事業者は、例年4~6社で、これが競争維持で適当な数。指定管理施設の場合は多くの業者が落札している。

(3) この基準について、以下のように提案したいと考えていますが、如何でしょうか。

①「再生可能エネルギーの導入状況」を最優先してはどうでしょうか。再生可能エネルギーの導入が進展すれば、二酸化炭素の排出は減少します。二酸化炭素排出計数の低減を優先すれば、原発はますます推進され、持続可能性は失われます。原発が推進されれば、再生可能エネルギー普及の障害が大きくなります。

②「再生可能なエネルギー導入状況」では、地産・地消を優先しているかどうか、地元住民の理解の上に事業を進めているかどうかについて、配点してはどうでしょうか。

③「脱原発の状況」という環境評価項目を設けて、京都市、京都市民の脱原発の意思を明確にしてはどうでしょうか。

④「地域経済の重視」という環境評価項目を設けてはどうでしょうか。価格のみを基準とした電力調達となってしまうと、大手電力が契約の大半を占め、市内の中小事業者が契約から除外されがちだと思われます。

◆11/23の高齢者大会で大飯原発差止訴訟を報告

11/23(水、祝)、第35回日本高齢者大会in京都の集会が開催されます。
詳しくは→こちら

第4分科会「原発廃止、再稼働を許さない運動」では、京都脱原発弁護団と原告団から「日本の脱原発裁判と京都脱原発原告団」の報告を行います。

13:30~16:30、教文センター。京都脱原発弁護団(渡辺輝人・弁護団事務局長)と原告団(吉田めいせい・原告団事務局長)から、京都地裁の大飯原発差止訴訟について。

守田敏也さんも、「原発推進・拡大路線はとても危険ーみんなで打ち破ろう」として、岸田政権の原発推進政策への批判などをアピールされます。

◆原発賠償京都訴訟、12/7 の第16回控訴審(大阪高裁)

 12月7日(水)の第16回控訴審(大阪高裁)期日のスケジュールです。
 今回は、30分ほど1審原告側プレゼントが行われます。主な内容は、6月17日の最高裁判決に対する反論・批判(シビアアクシデント対策・防潮堤以外の防水対策はあった)です。
 また、ダマリー国連特別報告者の「調査終了後のステートメント」(10/7)や自由権規約委員会の勧告(11/1)についても書面として提出されます。
 ぜひ、ご参加ください。
 法廷に来られない方は、ぜひオンラインで参加してください。模擬法廷・報告集会は対面とオンライン併用で開催します。

◆第16回控訴審(大阪高裁)期日◆
12月7日(水) 14時30分開廷(本庁舎201号法廷・予定)
*報告集会は対面とオンラインのハイブリッドで開催します。
・13:05 署名提出行動(13:00 別館・玄関前集合)
・13:30 原告・支援者入廷行動(正面)
・13:45~13:55 抽選券交付(本館・南西芝生)
・14:30 第16回口頭弁論期日 開廷(201号大法廷)
・14:30 模擬法廷開始
*今回は一審原告側プレゼンが30分ほどあります。
*模擬法廷を実施いたします。

◆第16回控訴審期日報告集会◆
*期日の進行により、開始時刻が前後する場合があります!
・15:00頃 第16回期日報告集会(大阪市立中央公会堂(地下)大会議室)
*集会内容(骨子)
開会/あいさつ(弁護団・支援する会)/弁護団報告/署名提出行動報告/参加原告からの感想・決意/
国連特別報告者・調査終了後のステートメントについて/各地訴訟からの連帯メッセージ/
アピール・タイム/次回期日の確認/原告団からのお礼
・17:00 終了予定

◆模擬法廷と報告集会のオンライン参加方法
こちらのURLをクリックして参加してください!
ミーティングID: 876 1238 8785、パスコード: 629408

◆京都原告団のメッセージ映像はこちらからご覧いただけます。

◆関西電力 闇歴史◆082◆

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◆青森県六ヶ所村で核燃料サイクル推進!
 関電小林庄一郎社長が電事連会長として県と村に立地を要請、
 地方を見下して尊大にふるまう(1984年)

 【付 電事連の核燃料サイクル、新聞広告】
 【付 核燃料サイクルと、核のごみ】

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[1] 1984年、青森県と六ヶ所村に核燃料サイクル施設立地を要請
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 電気事業連合会(電事連)が核燃料サイクル施設の建設立地を六ヶ所村と決定し、核燃料サイクル3施設の立地を青森県と六ヶ所村に受け入れを要請したのは、1984年7月27日。当時の電事連会長は、関西電力社長の小林庄一郎。

【核燃料サイクル3施設→5施設】(日本原燃株式会社、原子燃料サイクル施設概要→こちらより)
① 再処理工場…1993~未完成(1993年4月28日着工、当初完成予定は1997年)。総事業費は、当初発表されていた7600億円から、14.44兆円(2021年時点)に膨れ上がっている。2022年9月には、26回目の竣工延期、完成予定は未定となっている。
核燃料サイクルとその破綻、トリチウムの放出◆003◆◆075◆
② 低レベル放射性廃棄物埋設センター…1990年工事開始~1992年操業開始。規模は、124,672立方メートル(200リットルドラム缶 623,360本相当)。最終的には約60万立方メートル(同約300万本相当)

【参考】低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、低レベル放射性廃棄物をコンクリートの箱で囲い、深さ約20メートルの地中に埋める。原燃は2021年に規制委から事業変更の許可を得た際、放射性物質が漏れるのを防ぐため、水を通しにくい粘土鉱物「ベントナイト」を約20~30%混ぜた土を使うとしていた。しかし、2023年、12・5%に減らす方針を示し、原子力規制庁が難色。2024年5月、割合減は原燃が撤回し中止となった。→ 資源エネルギー庁「放射性廃棄物について」こちら

③ ウラン濃縮工場…1988年工事開始~1992年操業開始。1992年に運転を開始したが、2017年9月から新規制基準に基づく安全対策工事や設備トラブルなどで生産を一時停止。当初は18年度中の運転再開を予定していたが、安全対策工事が期限までに完了せず、再開目標を5回延期していた。2023/8/25、約6年ぶりに運転を再開。
・2023/12/29に遠心分離機へのウラン(六フッ化ウラン)供給が始まったが、2024/2/6、ウラン濃縮工場で濃縮度を測定する装置2系統でいずれも異常が起き、遠心分離機へのウラン供給を停止したと発表(日本原燃)。同社は「周辺環境への影響はない」としている。原因を調査中で、再開の見込みは立っていない。同社によると、5日午後、遠心分離機から取り出したウランの濃縮度を測定する装置の警報が鳴り、保安規定で定める1日1回以上の濃縮度測定ができなくなった。遠心分離機内部のウラン回収は終了しているという。その後、4/30再開→5/13停止。
 
現在はさらに追加、5施設。
 
④ 高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター…1992年工事開始~1995年操業開始。返還廃棄物貯蔵容量…ガラス固化体 2,880本、2023/10/4、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(ガラス固化体受入れ建屋、ガラス固化体貯蔵建屋、ガラス固化体貯蔵建屋B棟)において、ガラス固化体貯蔵建屋の収納管排風機を除き、2系統で構成される全ての送排風機が両系統とも一時停止した(→こちら)。
⑤ MOX燃料工場…2010年工事開始~未完成。2020年12月7回目の竣工延期、完成予定は2024年度。最初に燃料が加工できるようになるのは25年度で、年間の加工可能量をプルトニウム量で原発1基分にあたる0.6トンと計画している。(MOX燃料の危険性、経済性◆003◆

【参考:小林庄一郎】
1947年 関西配電(現・関西電力送配電株式会社)に入社
1984年6月~1985年12月電気事業連合会会長
1977年に関西電力社長、1985年に会長
1987年、関電の最高実力者で代表取締役名誉会長の芦原義重氏と腹心の内藤千百里(ちもり)副社長を電撃解任(関電二・二六事件)(→◆036◆
1997年相談役、2002~15年6月顧問、2020年死去

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[2] 小林庄一郎・電事連会長の認識
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(1) 彼は、84年9月、朝日新聞青森支局のインタビューに答えて、この土地の印象を次のように語っている。佐野眞一著『日本のゴミ−豊かさの中でモノたちは』(講談社、1993、p.322-323)より。

「仙台以北は生まれて初めて行きました。六ヶ所村のむつ小川原の荒涼たる風景は関西ではちょっとみられない。やっぱりわれわれの核燃料サイクル三点セットがまず進出しなければ、開けるところではないとの認識を持ちました。日本の国とは思えないで、よく住みついてこられたと思いますね。いい地点が本土にも残っていたな、との感じを持ちました。人口稠密地区から離れ、港湾施設なんかもできつつあるし……」

「これは広いところですなぁ、私は関西ですから、非常にゴチャゴチャした海岸線…人家が急密なところばっかりありますんで、こういう土地があるというのは初めてみました。びっくりしました。良いところがありましたなぁ」

(2) また、以下は、坂本龍彦著『下北・プルトニウム半島』(朝日新聞社、1994、p.38)より
「六ヶ所村のむつ小川原の荒涼たる風景を見て、われわれの核燃料サイクル三点セットがまず進出しなければ、開ける所ではないとの認識を持った。日本の国とは思えないくらいで、よく住みついてこられた、と思う。いい地点が本土にも残っていた。人工稠密地点から外れ、港湾施設も作られつつある。」

(3) これらは、典型的な夜郎自大(やろうじだい)の発言といえる。夜郎自大とは、自分の力が大きいことを見せつけ自慢して相手を見下し、尊大に振る舞う様子。都市部の人間が地方を見るときの見下げた視線のこと。

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[3] 1985年、青森県と六ヶ所村が受入を回答
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(1) 1985年3月。電力業界が「原子力燃料サイクル基地」建設のために「日本原燃産業株式会社」を発足させる

(2) 1985年4月。県(北村正哉知事)及び村は、受入を正式に回答

【参考:日本原燃株式会社(日本原燃)】
・1980年、日本原燃サービス株式会社、核燃料サイクルの商業利用を目的に設立
・1985年、日本原燃産業株式会社、核燃料サイクル施設建設を目的に設立
・1992年、日本原燃サービス株式会社と日本原燃産業株式会社とが合併して、日本原燃株式会社となる。
・日本原燃は、六ヶ所村の核燃料サイクル5施設などを建設、運営。主要株主は、東電など大手電力9社および日本原電(→◆030◆)。会長と社長の多くが東電の出身

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【付 電事連の核燃料サイクル、新聞広告】
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(1) 電気事業連合会(電事連)は、早くから核燃料サイクル、プルトニウム利用を推進していた。地域独占下の個別電力会社では出しにくい全国紙への広告を、電力会社の総意として打ち出した。1983年の広告時点からすでに40年。核燃料サイクルは未だに実現していないどころか、その破綻が明白になっている。電事連としての総括はないのか。社会に向けて、きちんと発信すべきことがあるのではないか。

(2) 参考図書としては、本間龍著『原発プロパガンダ』(岩波新書、2016年)。参考サイトとしては、「天野祐吉のあんころじい」。

▼朝日新聞、1983/4/12。「着古したセーターでもちょっと手を加えれば新品同様。ウラン燃料もくり返し使えます」。この広告当時の電事連会長は、平岩外四(東電)

(↓ 文字を拡大)

▼朝日新聞、1985/7/28。「ウラン燃料は再処理をして繰り返し使える」。この広告当時の電事連会長は、小林庄一郎(関電)

(↓ 文字を拡大)

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【付 核燃料サイクルと、核のごみ】
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(1) 核燃料サイクルの下で使用済み核燃料再処理すると、「核のごみ」が出てくる。それは、ガラス固化体にして地中に埋設するという。(下図→こちら、NUMO[ニューモ:原子力発電環境整備機構])による。

(2) 核のごみ(朝日新聞デジタル>トピックス>核のごみに関する最新ニュース→こちら



(3) 放射性廃棄物関連施設を巡る自治体の動向
(2023年8月19日、東京新聞)



(4) 高レベル放射性廃棄物放射性廃棄物の現在量
(2023年3月末現在、はんげんぱつ新聞 2023年6月20日)

◆081◆←←関西電力 闇歴史→→◆083◆

◆関西電力 闇歴史◆081◆

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◆火力発電所で環境汚染
 舞鶴の火力発電所で、石炭が海へ落下
 赤穂の火力発電所で、環境基準超えの汚水が海へ流出
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[1] 舞鶴の石炭火力発電所で
 石炭が海へ落下(2021年2月)
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・2021年2月7日、舞鶴の石炭火力発電所(京都府舞鶴市)において、石炭船からサイロへの石炭の運搬作業中に、受入コンベア横の通路に石炭がこぼれ落ちているのを発見し、当該通路のグレーチング箇所から、一部の石炭が海(揚炭桟橋と発電所間の海上)に落下していることを確認したという。

・コンベア内に何らかの理由で石炭が多量に堆積し、溢れ、こぼれ落ちたものと推測。海に落下した石炭は少量としている。

・関電は「深くお詫び申し上げます」と陳謝。
詳しくは→こちら

・⽯炭⽕⼒発電のバイオマス混焼および専焼化はグリーンウォッシュ気候変動を加速させ、森林⽣態系を破壊する→◆095◆

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[2] 赤穂の石油火力発電所で
 環境基準超えの汚水が海へ流出(2022年7月)
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・2022年7月26日、関電の赤穂火力発電所(兵庫県赤穂市)から汚水約30立方メートルが海に流出した。

・ボイラーに送る空気を加熱するための器具を洗浄した際、排水処理装置に送水する配管の亀裂から、排水の一部が雨水系統に流出し沈砂池から海へ。作業員は流出を防ぐため、海へつながるゲートを閉めたが、付着した貝などによって完全に閉まらず、隙間から流出したという。周辺海域の鉄や亜鉛などの含有量が、一時、環境基準を超えた。

・関電は「深くおわび申し上げます」と陳謝。調査結果を県などに報告し、再発防止に努めるとしている。

・8月16日、調査結果と今後の対応などを発表。
詳しくは→こちら

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◆報告とお礼~10.21 高浜原発4号機再稼働阻止緊急行動に25人が結集

【2022年10月28日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

高浜原発4号機再稼働阻止緊急行動に
25人が結集(10月21日)
高浜4号機は、圧力逃し弁異常で再稼働できず

 去る10月21日、関電は、伝熱管損傷などトラブル多発の高浜4号機の再稼慟を画策していましたが、私たちの予測通り(??)、さらにトラブルを発生させ、再稼慟を延期しました。(高浜4号機は、運転開始後37年の原発で、40年超えの運転を目指して特別点検を始めています。また、MOX燃料とするプルサーマル運転を行っています。)
 関電が21日再稼働を予告したのは、前日の20日でした。去る8月30日に再稼慟した美浜3号機の再稼働予告も前日でした。従来の例からすれば、極めて異常なことですが、関電は、直前の再稼働予告を定常化しようとしているのです。人々、立地自治体などへの原発情報の提供を極力避けようとしているとしか考えられません。許されるものではありません。

 ところで、高浜原発4号機で21日発生したトラブルは、以下のように深刻なものです。

 トラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の出口の温度が上昇しているとの警報が鳴り(1時間で42℃から77℃に上昇)、そのため、加圧逃し弁の元弁を閉止した』というものです。原子炉内で緊急事態が発生したとき、1次冷却系に緊急給水しなければなりませんが、1次冷却系の圧力が高すぎると、水が入りません。「圧力逃し弁」は、このような事態に至ったとき、1次冷却系の圧力を逃がすための弁で、緊急事態に対処する場合に、極めて重要なものです。この弁が正常に働かなければ、緊急給水できなくなる場合があります。高浜4号機には、3台設置されています。

 高浜4号機では、今回だけでなく、たびたびトラブルが発生しています。とくに、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、本年6月3日からの定期点検中に蒸気発生器伝熱管12本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊(スケール)がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。関電は、蒸気発生器中を薬品洗浄していますが、高浜3号機の例では、洗浄1回で、1基あたり約1トンもの鉄分(スケール、スラッジ、鉄イオン)が除去されたとしています。ただし、洗浄後にも相当量の鉄分が残存し、配管を損傷していることも認めています。

 蒸気発生器伝熱管の損傷は、定期点検のたびに見つかり、高浜4号機では、3基の蒸気発生器中の合計10146本の伝熱管の4.1%(415本)が使用不能になり、栓がされています。

 高浜4号機は、運転後40年に至っていないにも拘らず、上記のようにボロボロです。45年を超えた老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の運転などもっての他です。

 美浜3号機、高浜1、2号機の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない社会を実現しまし
ょう!

 10月21日には、再稼働阻止現地闘争に、緊急の呼びかけにも拘わらず、20数人が結集されました。ご結集の皆様、ご支援いただきました皆様、有難うございました。

▼10月21日の現地闘争

老朽原発うごかすな!実行委員会(090-1965-7102)

▼2022年10月22日 県民福井、中日新聞

ご参加、ご支援のお願い

 福井、滋賀、京都の9人が大阪地裁に申し立てた「美浜原発3号機運転差し止め仮処分裁
判」は、7月31日に最後の審尋が行われ、9月中の運転差し止め決定が期待されましたが、未だに決定は出ていません。(決定の出る日については、1週間前には大阪地裁から連絡されることになっています。)

 そのような中で、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、次の行動を提起しています。皆
様のご参加、ご支援をお願いいたします。

大阪地裁「美浜原発3号機運転差し止め仮処分裁判」決定当日の、
地裁前「前段行動」、
関電本店前「関電糾弾闘争」に結集しよう!

 決定が出る日には、入廷行進の前に、大阪地裁前で1時間程度の大規模前段集会を行いま
す。決定文を受け取り、旗出しの後には、大阪地裁前での短時間の報告集会の後、関電本店に移動し、関電糾弾集会を行います。奮ってのご参加をお願いします。

12月4日(日)
「老朽原発うごかすな!
関電包囲全国集会
―超危険な美浜3号、もう廃炉―」
に総結集を!

 大阪地裁仮処分裁判に勝っても負けても、仮処分決定が出ていなくても、12月4日(日)、「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」を開催し、御堂筋デモを敢行します。ご賛同、ご支援、ご参加をお願いします。

 以下は、12.4集会のチラシです。
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(チラシ表面)
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(チラシ裏面)
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老朽原発うごかすな!
超危険な美浜3号、もう廃炉!
「12.4関電包囲全国集会」に総結集を!

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないこと、発生後11年半を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。一方、ウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、政府や電力会社は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

 政府は、昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基の今冬、残る8基の来年以降早期の稼働
を打ち出しました。福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、さらなる原発推進を打ち出したのです。

 一方、関電は、昨年6月に再稼働したものの「特重施設」の設置が間に合わず、わずか4カ月の稼働の後停止していた老朽原発・美浜3号機(運転開始後45年超)の稼働を去る8月30日に強行しました。この原発は、昨年の再稼慟以降に、過酷事故につながりかねない深刻なトラブルを4度も発生させています。しかも、トラブルの原因は、いずれもあきれ返るほど稚拙なミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け依存の上に、責任感の薄い、関電および下請けの技術者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。

 その関電は、運転開始後48年、47年になろうとする老朽原発・高浜1、2号機の来年6、7月稼働も画策しています。

 今、原発の推進のために電力需給のひっ迫が喧伝されています。しかし、日常的には、電気は余っています。一時的に電力ひっ迫が発生しても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、今夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 一時的な電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、負の遺産・使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

 美浜3号機、高浜1、2号機の廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発のない社会を実現しましょう!

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12.4集会概要

日時:12月4日(日)13:00~14:30(集会)
場所:関西電力本店前(地下鉄肥後橋駅、京阪中之島線渡辺橋)
集会後、うつぼ公園に移動して、
15:00にデモ出発。16:30頃なんばで解散。
主催:老朽原発うごかすな!実行委員会
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岸田政権の原発推進への暴走を許すな!

老朽原発うごかすな!実行委員会(090-1965-7102)

◆関西電力 闇歴史◆080◆

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◆石炭火力発電を推進する関電、
 仙台パワーステーションで、アセス逃れ、消極的な情報公開のほか、
 自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデル!
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・大手電力会社は地域独占体制の下(総括原価方式◆036◆)、経産省の支援により、一貫して大規模集中型の発電システムを拡大させ、固定資産と売電量を最大化させてきた。原発の増設を進めつつ、石炭火力の発電量も増加させてきた。関電も、そうした方向の一翼を担ってきた、というか、その先頭を走ってきている。

・関電の石炭火力発電の問題を告発したのが、2017年9月提訴の仙台パワーステーション(仙台PS)操業差止訴訟。周辺住民ら124人が運転の差し止めを求めた。仙台PSは、2014年9月に設立された発電会社で、1日当たり約900トンの石炭を消費し、微小粒子状物質(PM2.5)やばいじんなどを排出している。株式会社関電エネルギーソリューション(関電が100%出資する子会社)と、エネクス電力株式会社(伊藤忠商事の孫会社)が出資。2022年3月現在、仙台PSの代表は、砥山浩司 関電エネルギーソリューションの取締役執行役員電力本部長。

・仙台PS操業差止訴訟の原告でもあった明日香 壽川さん(あすか・じゅせん、東北大学教授)の『グリーンニューディール』(岩波新書)や、下記に詳しい。

【Webサイト】
仙台パワーステーション訴訟関連資料 → こちら
仙台パワーステーション操業差止訴訟 → こちら
仙台パワーステーション株式会社 → こちら
仙台パワーステーション石炭火力発電所の発電開始への抗議 → こちら
石炭火力発電所の建設 – 日本共産党 仙台市議団 → こちら

【YouTube】
よくわかる仙台パワーステーション操業差止訴訟(14分)→ こちら

・裁判の結果は、2020年10月に一審判決で敗訴、2021年4月、二審も敗訴。電力は余っており、かつ首都圏に送るのに、仙台PSは発電所として公共性を持つという判決文は間違っている。しかし、地裁判決では、情報公開への消極性など公害防止協定違反を認めた点、「被告は、本件発電所の運転を継続する限り……最善の公害防止対策を実施して良好な環境の保全に尽くすなど、環境汚染による地域住民の不安を解消するよう努める社会的責任を負うものであることを、最後に付言する」とした点などは、判決の積極面として評価できるという指摘もある。
(→ こちら

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◆住民の声(1)
 仙台パワーステーション発電所。
 電力は首都圏へ、利益は関西へ、汚れた空気だけ被災地に
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福島かずえ、2018年。The PhotoVoice Project|仙台市 → こちら

 被災地では、離れざるを得なくなったふるさと、住み慣れた地域、そして隣人との思い出を何かに残そう、新たにつなげようと今もなお、努力する人々がいる。
 一方、資本・大企業は惨事に便乗し利益をあげようと、そうした被災地の安い土地に時代遅れの石炭火力発電所を次々に建設しようと集まって来る。
 国も、石炭火力発電を原発とともにベースロード電源に位置付け後押ししている。
 仙台パワーステーション発電所は関西電力と伊藤忠商事の関連会社がつくった環境アセスメント逃れの小規模発電所。
 4キロメートル圏内には23も学校があるというのに。地元東北電力の火力発電はLNG(液化天然ガス)を燃料にしているというのに。
 遠い被災地だから、「あっちのほう」だからできることなのか…。被災地ではいっそう大きく、悲しみと怒りが渦巻いている。

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◆住民の声(2)
 仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会。
 悪臭・大気汚染・粉塵による窓や室内の汚れなどに悩まされる日々
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仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会こちら
 ↓【転載・シェア大歓迎】(2022年9/15)
 2017年10月1日、関西電力と伊藤忠商事の関連会社、仙台パワーステーション株式会社は、地域住民などによる5万近い反対署名や原告124名による提訴をあざ笑うかのように、仙台パワーステーション(仙台PS)の営業運転を開始しました。以来、多賀城市・塩釜市や仙台市宮城野区、七ヶ浜町などでは、悪臭・大気汚染・粉塵による窓や室内の汚れなどに悩まされる日々が続いています。定期点検などで1ヶ月ぐらい運転休止が続くと、床も汚れず、洗濯物も外干しできて、ホッとするという声が多く聞かれます。
この5年間、仙台PSの煙突から出る煙を見るだけで、ユウウツになる、ウンザリするという声もたくさん寄せられています。
 仙台パワーステーションの早期閉鎖を求めるとともに、レノバ社などによるバイオマス火力発電所の建設工事、住友商事によるバイオマス火力発電所の本格着工開始にも抗議します。
仙台港の空を、蒲生(がもう)の空をこれ以上汚すな!
蒲生干潟の生物・生態を脅かすな!
石炭火力で、気候危機の深刻化に加担するな!

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◆「気候ネットワーク」の報告
 仙台PSは汚染排出データの開示に転じたが
 旧式の低効率技術を採用し、汚染排出も既存発電所に比べて最大で10倍!
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気候ネットワークの報告(2016/10/12)が実情を明らかにしている → こちら

・仙台パワーステーションの発電性能は、石炭火力発電技術のうち、1950年代から導入されている、低効率で最も古い「亜臨界圧(Sub-C)」という技術。途上国でも導入すべきでないとされる旧式の技術。
・汚染排出データの窒素酸化物量とばいじん量の数字は、他の小規模石炭火力発電所(名古屋第二発電所)と比べて、それぞれ5倍、6倍。また、硫黄酸化物濃度、ばいじん濃度は、2009年より稼働している既存の石炭火力発電所(磯子発電所新2号機)の10倍、窒素酸化物濃度は8倍。

・以下の内容を含む閲覧用PDFファイル → こちら
参考:火力発電所に係る国の環境アセスメントの対象要件
参考:石炭火力発電の技術
別表:環境アセスメント逃れ小規模石炭火力発電所計画 調査対象案件

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◆火力発電にとどまらない関電の経営姿勢、
 明日香 壽川さん著『グリーンニューディール』より
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・仙台PS操業差止訴訟の訴状の主張
①大気汚染による健康被害
②地球温暖化による被害
③仙台港近くにある蒲生(がもう)干潟への悪影響

・仙台PSの発電規模は11.2万kW。環境アセスメントが必要となる規模が11.5万kW以上なので、アセス逃れが明白。アセス逃れの小規模石炭火力の建設計画は、2012年以降、日本全体で19基あった。(p.67)

・「なぜ被告だけが温室効果ガス排出などの責任を問われるのか?」(p.68)
①電気が余っている現状で首都圏に売電し(公共性なし)
②健康被害発生の蓋然性があるなかで(PM2.5被害の深刻さは基地で、仙台PS周辺地域は、米国やWHOより緩い日本のPM2.5環境基準を超える場合もあるレベルのバックグラウンド濃度)
③故意に稼働前アセス・健康調査をせず(加害責任の曖昧化)
④電力自由化便乗、自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデル(安い石炭で売り抜け)
⑤パリ協定遵守に不十分な日本の温暖化対策にさえ不整合(温暖化対策をほとんど考えていない)

・アセス逃れ、消極的な情報公開のほか、自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデルについての指摘は、火力発電のみならず、原子力発電を含む関電の経営姿勢を象徴している。

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◆石炭火力発電所のほか、
 揚水式発電所でも、水力発電所でも、風力発電所でも

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・関電が風力発電を計画→ 宮城県の計画は断念して撤回(2022年)
 宮城県知事、山形県知事「どうして関電なのか」
 宮城県知事は「誠意ない」「明確に反対」
 役場訪問の関電幹部に地元2町長は「白紙撤回を」「京都の嵐山に造ったら」
 自然環境への配慮が著しく欠如、北海道の1件も断念して撤回
 ◆066◆
・黒部川の出し平[だしだいら]ダムと宇奈月ダムの連携排砂

 富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か(2002年提訴)
 関電は、補償金は出しても因果関係は認めず
 ◆063◆
・芦生(あしゅう)の揚水式発電ダム計画
 
芦生の美しい自然と、対極の関電
 ~関電のダム計画、金銭で人の心を奪い取る~(~2006年)
 ◆043◆

◆079◆ ←← 関西電力 闇歴史→→◆081◆

◆【memo】燃料費調整額の上限到達で今後、電気料金はどうなるか?

 燃料費調整制度とは、火力燃料(原油・LNG〔液化天然ガス〕・石炭)の価格変動を電気料金に迅速に反映させるため、その変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する制度。

 事業者(電力会社=燃料費調整、ガス会社=原料費調整)の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、経済情勢の変化をできる限り迅速に料金に反映させ、事業者の経営環境の安定を図ることが目的とされる。1996年1月に導入。

 関電ほか大手電力では、規制分野の料金には上限が設定(関電では2.24円/kWhの上限)。2022年10月には、大手電力すべてが、設定された上限に到達。上限を超えた分は電力会社が負担することになるが、いつまでも負担できるのか。

 自由化分野の料金は、2022年中に大手9電力すべてが上限を撤廃する(中部、東北、四国、北海道電力などなど、上限を設定していたところも、上限を撤廃する)(関電は元々撤廃している)。上限の設定がないと、燃料費調整額が青天井になる。関電では、2022年10月に7.47円/kWhに上昇している。下図は「大手電力10社の燃料費調整額 単価の推移表」こちらより。

 自由化分野とは、ガスとのセット販売、オール電化プラン、深夜電力など、2016年の電力自由化で各社が導入。規制料金より数%安いことが多いが、既に、一部では料金が逆転している。大手電力各社の家庭向け販売電力量(6月)にしめる自由料金の割合は、52.9%にのぼる。関電の販売電力量[低圧]に占める自由料金メニューの割合は54.0%(6月)→ こちら。大手電力の多くのユーザーは、安いという宣伝の自由化料金で契約しているが、燃料費調整額で、かえって料金が高くなっていることもある。

 また、新電力の中でも、燃料費調整額に上限を設けていないため、大手電力の規制料金よりも料金が高くなっている例がある。料金の額、経済的メリットだけを比較して新電力を選んでいる場合、高くついている場合がある。新電力によっては、ユーザーに燃料費調整額の上限がないことを周知していなかったことをお詫びし、告知したときまでの期間の電気代を割り引くなどの措置を取っているところもある(「コープでんき」など)。

(2022年10月)