投稿者「meisei」のアーカイブ

◆【memo】オール電化プランの価格改定

2022年になって、関電など大手電力で、深夜電力の値上げやオール電化プランの価格改定が行われている。
4月…中部電力ミライズ、四国電力、北陸電力
7月…関西電力
10月…東京電力エナジーパートナー

 いずれも、夜間を値上げして、昼間を値下げする(夜間と昼間の区分定義は各社で様々だが)。全体として、電気料金が値上げになるか値下げになるかは、各社ごと、そして生活パターンによるようだ(夜間にたくさん電気を使っていた場合は、値上がりになる)。

 これまでオール電化は夜間電力で(出力調整のできない原発の電気を利用)、ということになっていた。しかし、今は、太陽光発電の普及で、昼間の電気が豊富でかなり安価になっている(その分、深夜電力が相対的に割高になっている)。「夜間電力は安い」のは過去のもの。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)による太陽光電力は、昼間、卸電力市場に限界費用(燃料費の増加分費用のみ、建設費などを含まない)(取引価格は昼間の時間帯によっては0.01円/kWh=1銭にもなっている)で卸電力市場に大量に投入されている。
【参考サイト】
・再生可能エネルギーと電力市場 1kWhあたり0.01円の電気とは?→ こちら

 こういう事情を反映しているのか。これからは、オール電化は太陽光発電で、という方向かもしれない。原発は要らない、ということになると良いのだが。再エネが普及すればするほど、原発が不要になるのは確か。

 関電の説明は、以下の通り。
「近年、太陽光発電の設置拡大や省エネルギーの進展等に伴い、お客さまの一日の電気のご使用形態が大きく変化しています。昼間の電力需要が減少する中で、電気給湯機の普及やライフスタイルの多様化等に伴い夜間の電力需要が増加し、発電にかかる昼間と夜間の費用の差が縮小しています。
見直しを行う電気料金メニューは、これまで電力需要が多い昼間は燃料費の割高な発電所の運転が必要となるため料金を高く、需要が少ない夜間は料金を安く設定していましたが、このたび、上記の変化に伴う発電コストの変化を反映し、一部電気料金メニューを見直しするものです。」
 
関電の説明に疑問あり
 
(1) 昼間の需要が減少しているのではなく、昼間の供給(しかもひじょうに安価)が増加している、というのが、正確ではないか。昼間は、安い電力を仕入れて売った方が利益が大きい。

(2) 夜間の需要が増加したのは、関電が夜間電力の大幅割引でオール電化を推進してきたためではないか。ライフスタイルの変化とか言っているのは、不正確ではないか。夜より昼に多く売った方が儲かるという経営判断と思われる。

 今回の料金改定によって、全体として値上げになった場合、新電力に切り替えてしのぐことも考えられる。しかし、オール電化プランは元々、大幅割引価格なので、大手電力より安いところを探すのは難しいという指摘もある。IH、EV充電、エコキュートなど、電力消費の大きい機器の利用は、従来の時間帯で良いかどうか、再検討が必要かもしれない。大手電力の肩を持つのは不愉快だが、該当する場合は、下記サイトなどを参考にそれぞれご判断ください。
【参考サイト】
・「電化上手」(東京電力)や深夜電力の値上げ話にだまされないで!
こちら
・オール電化や深夜電力は安いはずなのに電気代が高いのはなぜ?
こちら

(2022年10月)

◆原発40年運転に、休止期間を含めないのが、合理的か

 関電の老朽原発、美浜3号機で、40年超え運転が始まっている。

 原子力ムラには、40年の計算に、ドイツのように、休止期間を含めないで数えるのが合理的だという主張がある。福島第一原発事故のあと、10年止まっていたら、その期間は、40年に算入しないというわけだ。

 本当に合理的だろうか。

 確かに、休止している期間は高温や高圧、中性子などの影響は少ないかもしれないが、コンクリートやケーブルの劣化はすすんでいる。40年経てば、当初の設計寿命は尽きているはずだ。

 しかし、それよりも何より、日本列島は、ドイツに比べて、原発立地そのものの合理性が、著しく低い。休止期間を運転年数に加えないドイツの合理性は、日本に当てはめた場合、そのまま日本の合理性にはならない。ドイツは、ユーラシアプレート上にあり、地震の発生しやすい地域からも遠く離れている。1992年4月にマグニチュード5.9、2022年7月マグニチュード4.1の地震が観測されているが、日本列島よりははるかに少なく、かつ、小規模。

 世界各国の地震頻度(国土面積あたり、マグニチュード5.5以上)をみると、日本列島は1.14回/年であるのに対して、ドイツは0.05回となっている。マグニチュード6以上の地震は、日本列島ではまったく珍しくないが、ドイツでは、ほとんど例がない。

 地震、火山、津波などによる激烈な自然災害が珍しくない日本列島では、原発はどだい無理、というのが脱原発の基本。南海トラフ大地震、首都圏直下大地震などが予想され、大地震では大津波も考えなければならない状況では、原発の存在自体が、人格権を著しく脅かす極限の不合理と言える。

 原発立地の不合理性が極限大に及んでいるのだから、一刻も早く、全原発の廃炉を行うのが、もっとも合理的な判断であって、原発40年廃炉期間に運転期間を含めないなどと言う極小の合理性が存在できる余地はまったくないと思う。

【参考サイト】
世界各国の地震頻度 → こちら
各電源の諸元一覧(総合資源エネルギー調査会)→ こちら
火力発電所の余寿命評価技術 → こちら

(吉田めいせい)

◆関西電力 闇歴史◆079◆

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◆「使用済み核燃料の置き場」がなくなる!
 2026年には高浜は100%、大飯は94%がうまってしまう!
 福井県との県外搬出の約束期限は2023年末に迫る

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・電気事業連合会(電事連)のデータによると、現在、再稼働済み、再稼働予定とされている原発のうち、柏崎刈羽、高浜、大飯、川内、東海第二の各原発では、2021年の約5年後、2026年の貯蔵割合が94〜100%に到達する。つまり、これらの原発では使用済み核燃料の置き場がなくなるわけだ。
・関電では、高浜は100%、大飯は94%となる。若狭湾沿岸には、美浜470トン、大飯1740トン、高浜1340トン、敦賀630トン、計4180トンの使用済み核燃料がため込まれている(2021年3月末現在)。
・関電は、福井県から使用済み核燃料の県外搬出を迫られていて、空約束を繰り返している。次の期限は、2023年末だが。→ ◆012◆
・美浜原発3号機では、使用済み核燃料の交換可能年数を2倍に水増し(2021年)→◆031◆

▼関電の使用済み核燃料のプールでの貯蔵率といつ頃満杯になるか
・若狭ネット(長沢先生)の下記ページ→こちら、p.6~7 あたりが詳しい(2023年2月)。

▼使用済燃料貯蔵対策の取組強化についてこちら
(「使用済燃料対策推進計画」)2021年5月25日、電気事業連合会

【参考サイト】
(1) 日経エネルギーNext。「原発再稼働で電力不足解消」は幻か、限界迫る使用済み核燃料 核燃料サイクルの長期停滞という負の遺産こちら。わが国では、使用済み核燃料は「全量再処理」が原則で、再利用可能なウランやプルトニウムを取り出し、発電に利用することになっている(核燃料サイクル)。しかし、日本原子力研究開発機構の再処理施設(茨城県東海村)はわずかに稼働したのみで廃止が決定。日本原燃の再処理工場(青森県六ヵ所村)は、2022年9月には26回目となる稼働延期となり、竣工時期は未定。1950年代から再処理の旗を掲げているが、約70年たっても実現できていない。(核燃料サイクルの破綻 → ◆003◆

(2) 日経エネルギーNext。日本の年間消費電力量は急減、電力需給ひっ迫は「タイムシフト」で解決かこちら。日本の消費電力量がこの10年、ほぼ右肩下がりで減っている。2010年の日本の最終消費電力量は1123.75TWh。一方、2020年のそれは986.95TWhで、136.8TWh(約12%)も減った。電力の需要が減っているのに、供給(発電量)を増やすのは、どだい無理筋。日本では連系線の増強工事が大幅に遅れた上に、蓄電システムについては国レベルの導入計画がいまだ具体化していない。これを主導すべき経済産業省の機能不全が日本の本当の課題。

◆078◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→◆080◆

◆関西電力 闇歴史◆078◆

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◆「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」一般負担金、
 大手電力分を合計で293億円、こっそり減額!(2022年)
 関電などは電気料金に入れて徴収済みの分を自分のポケットに!
 【付 託送料金とは】

 【付 グリーンコープ託送料金訴訟】
 【付 社会常識を覆す廃炉会計制度】
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(★印は、末尾に注釈あり)

福島第一原発事故の事故処理費★1★は、現在、4分野(廃炉、賠償、除染、中間貯蔵施設)で21.5兆円と見積もられている。そして、その多くが国民負担で回収されることになっている。

・福島第一原発事故の事故処理費のうち、賠償分は、大手電力9社と日本原電、日本原燃が「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に毎年「一般負担金」を納めることになっている。東電だけは「特別分担金」も納める。

・一般負担金は、沖縄電力を除く大手電力9社と日本原電、日本原燃が「機構」に毎年度納付する。13~19年度は計1630億円ずつ払ってきた。

・しかし、福島第一原発事故の賠償費用が当初の想定より増えることが判明し、国は、20年度から毎月の電気料金に含まれる託送料金 ★2★ から毎年約600億円を徴収し、一般負担金に上乗せする仕組み(「賠償負担金」の徴収)を考案。つまり、原発を保有しない新電力の利用者を含め、全電力消費者に負担を求めることになった。★3★

・こうした仕組みは、過去に原価に盛り込み損ねた費用を、実際の消費の有無にかかわらず、後から請求して回収するものとなっている。普通の商行為ではあり得ない違法なやり方であるとして、グリーンコープが託送料金訴訟★4★を起こしている。

・2020年度の賠償負担金は、下期から導入したので、半分の約300億円であった。2021年度は満額の約600億円となり、電気料金に含まれる電線使用料「託送料金」に上乗せされて、徴収された。

・その結果、「機構」への納付額が増えるはずだった。しかし、2021年度の実質負担額は、前年より計293億円減額されていたことがNPO法人「原子力資料情報室」の調査で分かった。大手電力などの一般負担金が前年度の計1630億円から、計1337億円に減額されていた。また、朝日新聞の報道によれば、東電の特別負担金も100億円減額されていた。これらの減額は、公表されていなかった。会計検査院は、これらの減額について説明するように指摘している。★5★
(2021年度、各社ごとの一般負担金は → ★6★
(各社ごとの減額幅は減額前の80%。中部電力が102.8%に増額されたのは、当初の負担額設計時に浜岡1、2号機を廃炉にしていたため減額されていたのが元に戻されたためか、なぜ増額されたのか、理由が不明で、この点も大きな問題)

・一般負担金の額は、年度ごとに「機構」が申請し、経済産業相の認可で決定する。経産省も、強欲大手電力と共犯になって減額したわけだ。「減額しなければ電力の安定供給にも影響を与える」とは、とんだ言い草。「安定供給」というのは、総括原価方式の時代から大手電力の錦の御旗であったが、今でも通用すると思っているのか。国民に負担を強いながら、大手電力負担分を減額するのは不当としか言いようがない。

・とりわけ悪質なのは、北陸電力、中国電力、中部電力を除く大手電力6社(北海道電力、東北電力、東京電力、関西電力、四国電力、九州電力)。関電など6社は、一般負担金を電気料金の原価に含め、電力消費者の電気料金で回収している。それにもかかわらず、減額された分は、自社の利益に取り込んでいる点で、きわめて悪質。一般負担金が減額された6社の減額総額は258億円で、これが、6社の不当な利益の総額となっている。関電は当然、この中に入っている。
(北陸電力、中国電力は、一般負担金を電気料金の原価に含めていない。)
(中部電力は、一般負担金が増額されている。)

・また、上記の「一般負担金」のほか、「廃炉円滑化負担金」などをふくむ諸制度について、社会常識を覆す「廃炉会計」制度★7★であると批判されている。

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『はんげんぱつ新聞』(2022/9/20)で指摘している4つの問題点
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2022年7/4に東洋経済が「福島原発の賠償負担金、密かに軽減されていた~電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵」というニュースを報じた→こちら
  
 大手電力各社が負担している福島原発事故の損害賠償費用の一部について、きちんとした説明もないまま、負担額がひそかに軽減されていた。この事実を突きとめたのは、NPO法人・原子力資料情報室 事務局長の松久保肇さん。『はんげんぱつ新聞』の記事も松久保さん執筆で、この「関西電力 闇歴史◆078◆」も参考にしている m(_ _)m

「何が問題なのか」4つの問題点
(1) およそ通常の商行為ではありえない「過去分」を国民に負担させながら、その裏で当事者の大手電力らの負担分を軽減している。
(2) 各社ごとの減額幅は減額前の80%。ところが、中部電力が102.8%に増額された。浜岡1、2号機を廃炉にしていたため減額されていたのが元に戻されたためか。そうであれば、廃炉にペナルティーを課している。
(3) 大手6社は、一般負担金を電気料金の原価に含め、電力消費者の電気料金で回収している。それにもかかわらず、減額された分は、自社の利益に取り込んでいる。
(4) 交付国債は無金利だが、償還の際、国は銀行などから借りて機構に資金を渡す。その際の金利などは、国庫負担、つまり税金、つまり国民負担。


★1★ 福島第一原発事故の事故処理費とは、以下(1)~(4)の合計で21.5兆円。
(1)廃炉(8兆円)…東電が自分で資金を積み立てる
(2)賠償(7.9兆円)…A大手電力などの一般負担金+B東電の特別負担金でまかなう
(3)除染(4兆円)…C東電株をもつ国の認可法人が将来の株式の売却益でまかなう
(4)除染作業で出た土壌を管理する中間貯蔵施設の整備(1.6兆円)…D電源開発促進税でまかなう
ADは、国費や借金(交付国債、政府保証債など)で立て替えた後、各社負担金や税金などで「返済」することになっている。


★2★ 託送料金とは
 電気を送る際に小売電気事業者が利用する送配電網の利用料金などとして一般送配電事業者(関西電力送配電株式会社などの送配電会社)が徴収する料金。電気料金の30~40%をしめる。送配電会社は、総括原価方式◆036◆)をとっているので、すべての費用を「総括原価」とし,さらにその上に一定割合(たとえば3%)の会社利益を上乗せした金額で,料金を決めることができる。全利用者をもれなく対象とするので、法令などでいろいろな費目を付加しても、取りっぱぐれがないことをいいことに、政府が原発を支援する費目を追加して不当な国民負担を強いている。
 託送料金は、送配電会社が算定する送配電網設備の利用料金のほかに、法令などで付加される使用済燃料再処理費用電源開発促進税賠償負担金廃炉円滑化負担金などからなる。なお、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」によって電力会社が買取りに要した費用を、電気の利用料に応じて消費者が負担するもの。託送料金ではないが、電気料金の一部。

【レベニューキャップ制度】なお、託送料金は、2022年度末までは「総括原価方式」で決まっていたが、2023年度からは、レベニューキャップ制度に変わる。レベニューキャップ(revenue cap)は「収入上限」という意味。
 コスト削減が行われにくい総括原価方式ではなく、必要な投資の確保と、国民負担の抑制(コスト効率化)の両立が可能となる、とされる。一般送配電事業者が、目標を明確にした事業計画を策定、その実施に必要な費用を見積もって収入上限を算定して国の審査を受け、収入上限の範囲内で託送料金を設定する。収入上限の中で実績費用を少なくすれば、その分、事業者の利益が増える。この制度による託送料金は、どの送配電会社でも、低圧、高圧、特別高圧とも現行より高くなる見通し。


▲電気料金の内訳。資源エネルギー庁による→こちら


▲再生可能エネルギー発電促進賦課金 →こちら


★3★ 原子力損害賠償・廃炉等支援機構と一般負担金
 東電福島第一原発事故の膨大な損害賠償を援助するため、大手電力会社と国などが出資し、2011年9月に設立。各社が一般負担金を支払う。賠償費用の不足を補うため、経産省は20年、託送料金から一般負担金を回収できる新料金システムを認可。各社が40年間で計2兆4000億円を回収する計画で、毎年度の一般負担金に上乗せしている。


★4★ グリーンコープ託送料金訴訟 こちら
 2020/10/15、グリーンコープ(福岡を中心に大阪、兵庫、滋賀にも)は、原発にかかる「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」を託送料金(電線使用料)に上乗せして回収することを認可した経済産業省令は違法であるとし、その取り消しを求めて福岡地裁に提訴(2020年9/4にその上乗せを盛り込んだ新しい託送供給約款が経済産業省によって認可され、10/1からその徴収が開始された)。その後、2023/3/22に請求棄却の判決→福岡高裁に控訴。
【地裁判決の内容】2つの負担金(賠償負担金と廃炉円滑化負担金)は公共のために電気利用者のすべてが負担するものであり、経産省の認可処分は法律の委任の範囲内のものであり、違法ではない。国が出した準備書面をそのままなぞる判決。
 なお、廃炉円滑化負担金とは、原発依存度の低減というエネルギー政策の基本方針の下、原子力発電所を円滑に廃炉するための費用を託送料金の仕組みを利用して需要家から回収するもの。発電事業者が想定よりも早期に廃炉する場合に、設備の残存簿価の一括減損等により一時的に多額の費用が生じることで廃炉判断を躊躇する可能性があったことから、費用の分割計上を可能とする「廃炉会計制度」を2013年に措置していた。当時は小売規制料金による回収を認めることが前提とされていたが、小売規制料金が原則撤廃される2020年以降、制度を安定的に継続させる観点から、2017年に託送料金の利用を可能とする制度措置(電気事業法施行規則等の省令改正)がなされた。賠償負担金・廃炉円滑化負担金に関する制度は、2020年4月より施行された。

グリーンコープの説明 こちら
・「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」とはいったい何かということですけれども、実はこれは経済産業省令の中に定義規定がありまして、「賠償負担金」というのは、本来原子力損害賠償のために、各電気事業者が元々自分たちで蓄えていなければならなかったお金、法律用語としては、備えておくべきだった資金であって、それまでに備えてなかったお金をいいます。普通に常識で考えていただければ分かりますが、原価200円の魚を100円で売って、後になって元々の魚の原価は200円だったから後で100円払ってねということが、世の中の常識として通用するのかという疑問が基本的にあります。この論理だと、電気料金に関して本来200円取るべきところを経済産業省はずっと100円で認可してきた、そして後になって実は200円だったので不足分の100円を追加で取りますという論理なんですね。

・本来であれば、汚染者(加害者)負担が当然。しかし、事故を起こした東電は自力での負担が難しい(本来なら破綻)という理由で多額の税金が投入されている。
・福島第一原発事故以前に確保しておくべきだった賠償の備えを遡って回収する⇒「過去分」という理屈は通常ではあり得ない!!
・事故の賠償負担は、東電救済でしかない!!

・それからもう一つの「廃炉円滑化負担金」、こちらはもっと理解が難しい制度です。「廃炉円滑化負担金」というのは、簡単に言うと、福島第一原発事故以降、古い原子力発電所は次々と廃炉していかなければ安全性の点からも問題があるということになるわけですが、まだ償却が終わっていないもの、残存期間が残っているものは、通常であればその減価償却費を毎年の電気料金の中で回収していくということでやっていたのですが、まだ償却前の時点で廃炉にしてしまうと、未償却の分が一括して損失になる、且つそのお金の回収の目途もないということになるので、そういうことを理由として早期の廃炉を電気事業者が躊躇するのではないかということで、そのために「廃炉円滑化負担金」というものを一般の電気の使用者から回収し、原子力発電事業者に渡す制度と説明されています。廃炉の判断をするのは原子力発電事業者ですが、原子力発電事業者は判断を躊躇するかもしれないから、判断しやすいように制度をつくる。そのために普通の電気の消費者が負担するというのが、よく分かりません。

・原発廃炉を適切に進めるために必要と言う。廃炉を適切に進めることそのものは大事なこと。しかし、そのためには、かかる費用を明確にしていく必要がある。託送料金での回収では何も明らかにされない。このままでは国民に負担だけが課せられるという構造が続く。
・「原発推進」「原発優遇」があるだけ。申請されたのは全ての廃炉原発で、「想定より早く廃炉をした原発」に限られていない。電力会社によって申請額に大きな開きがあるのは、電力会社毎の廃炉費積立努力の差なのか。廃炉費を廃炉円滑化負担金に移しかえることで自社の電気料金を値下げした電力会社がある疑いもある。


★5★ 一般負担金の内訳の変遷
▼『はんげんぱつ新聞』2022/9/20による。単位:億円。2020年度は下期だけなので半額。

▼『朝日新聞』2022/11/8による。一部改変。東電の特別負担金も100億円減額されて、過去最低額になった。特別負担金が今後も400億円の場合、返済は最長で2064年度までかかり、支払利息は2388億円にのぼるという。


★6★ 経産省が認可した原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく一般負担金(2021年度)

▲東電は675.5億円、関電は397.7億円、九電は196.3億円などとなっている。負担金率は小数第三位を四捨五入。出典は → こちら


★7★ 社会常識を覆す「廃炉会計」制度
(1) 社会常識を覆す「廃炉会計」制度[134 KB]。←このPDFは、グリーンコープ共同体、「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」を経済産業省令によって託送料金に上乗せするのがどうして違法、不当なのかについて(2019 年12月18日、全文はこちら)より、「廃炉会計」に関する部分を抽出したもの。全ての廃止原発施設が資産となり、使わなくなった核燃料さえ資産に加えられた。こうして、原発廃炉によって電力会社は 1 円の損失もせず、使わなくなった施設と核燃料が全部資産となって、数十年かかる廃炉作業期間中、その減価償却分を電気料金で徴収し続けられるようになった。

(2) 『原子力発電と会計制度』(金森絵里著、中央経済社、2016/3/11)は、「会計を基礎にした(原発の)電気料金」という本来の枠組みが、「電気料金を前提にした会計制度」という思考に逆転しているため、原発会計制度により算出される会計数値に歪みがもたらされている、と主張する。原発会計制度とは,「原子力発電工事償却引当金,使用済燃料再処理等(準備)引当金,原子力施設解体引当金,特定放射性廃棄物拠出金および 2013 年および 2015 年に制度化された廃炉に係る会計制度を総称」したものとして(p. ii)、以下のように指摘している(p.194)。
原発会計制度については、「一般に認められた」とはまったくいえない、電力会社のみを保護・優遇する「一般に認められない」会計である。

(3) 核燃料サイクルと再処理等拠出金法における会計問題 については→ ◆003◆


◆077◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆079◆

◆9/6 第34回口頭弁論の報告

 2022年9月6日(火)に京都地裁で第34回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、鴨沂会館で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 法廷傍聴、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。ただ、台風接近で雨、報告集会の場所がやや遠い鴨沂会館であったこと、デモ中止などで、全体の参加者は少なめでした。
  • 6月より急にコロナ禍による傍聴席の制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになったのですが、傍聴希望者の方が少なくて抽選にはなりませんでした。
  • 開廷前の裁判所周辺デモは、リスク回避を優先して中止としました。。
  • 参加者が全員、抽選なしで傍聴席に入りました。模擬法廷は、1名のみでした。
  • 報告集会では、意見陳述をされた濱中 博さんの発言があり、弁護団および原告団からの報告がありました。35名ほどの参加でした。
  • 報告集会では、カンパをいただきました。感謝いたします。

◆報告とお礼~8.30 美浜3号再稼働 現地緊急抗議行動に35人

【2022年9月2日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

関電またも暴挙
わずか22時間前の予告で
トラブル続きの老朽原発・美浜3号機を再稼働(8月30日)
現地緊急抗議行動に35人結集

 電力会社、政府、財界などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

「原発依存社会」を画策する岸田首相

 この状況に乗じた岸田首相は、8月24日、自ら昨年10月に閣議決定した「原発の新増設やリプレースは想定しない」とする「エネルギー基本計画」まで無視し、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、唐突に、原子力政策を転換する意向を示しました。

その中では、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●すでに新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基を今冬に、残る8基を来年以降の早期に稼働させる方策を検討するとしています。

福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。

電気は足りています

 原発推進勢力が原発推進の口実としているのは、電力の需給ひっ迫ですが、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。とくに、圧力容器の脆化が進み、配管トラブル多発の蒸気発生器を持ち、原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働などもっての外です。

危険この上ない老朽原発

 関電は老朽原発・美浜3号機の再稼動(並列)を10月から8月12日に前倒しすると発表していましたが、その再稼働を目前にした8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。

 関電は美浜3号機の水漏れについて、「昨年6月の定期検査中に、下請け作業員が、容器のふたを閉めるボルトを規定の5分の1の弱い力で締め付けていたため、隙間を塞ぐ円形のゴム(Oリング:パッキング)に圧力がかかり、破損した」としました。手順書に誤った規定値が記載されていましたが、作業員はそれに従ったのです。これは、あきれ返るミスです。今回のようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。「こんな数値では、水圧に負ける!」と。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

 関電は、水漏れした美浜3号機の23日再稼働を目指していましたが、21日にまた「美浜3号機の運転上の制限の逸脱」が関電から発表され、再稼働はさらに先送りされました。「アキュムレータ圧力が保安規定に定める運転上の制限値4.04MPa(約40気圧)を下回って、警報が発信した」のです。原子炉冷却水喪失事故時など、1次冷却系統の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系統に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力が低下していることが確認されたのです。

 関電は、このトラブルの原因について、「アキュムレータ本体、周辺機器の外観点検を行った結果、安全弁に打痕を観察したとし、打痕は、当該弁近傍で行われた足場設置作業の資材が接触したために生じた」としています。安全上極めて重要な機器に資材を接触されるという、とんでもない不注意が発生しているのです。

 以上のように、関電の原発は、稚拙な原因による」トラブル続きです。「先端科学技術」といわれた原子力は、今や、「腐敗した科学技術」の象徴であることを物語ります。
(再処理工場稼働の26回延期、
東海再処理工場高レベル廃液処理の中断頻発、
もんじゅの廃炉と廃炉作業の遅れ、
福島事故炉の廃炉作業の遅れ、
使用済み燃料貯蔵地探し期限の再三の延期、
原発特重施設の建設の遅れ、
などなどもこのことを実証しています。)

8月30日「美浜3号再稼働抗議
現地緊急行動」に35人決起!

 関電は、8月29日午後3時過ぎ、トラブル頻発の美浜3号機を30日に再稼働させると発表しました。

 このように直前の再稼働予定の発表は、極めて異例のことです。しかも、この再稼働については、立地自治体である美浜町とも、福井県とも公式の事前協議をしていないのです。関電の傲慢な体質を如実に示しています。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は「老朽原発完全廃炉を勝ち取るまで粘り強く、何度でも何度でも決起する」の決意の下に、29日午後、可能な全ての手段を駆使して、再稼働当日・30日の美浜原発前および関電原子力事業本部前緊急抗議行動を呼びかけました。

 8月30日11時過ぎ、美浜原発前には、緊急の呼びかけにも拘わらず、京都、大阪、滋賀、兵庫などの関西、福井市方面、若狭各地、美浜町内から約35人が、自家用車などで結集しました。参加者は、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙してトラブル続きの老朽原発・美浜3号機の再稼動を企む関電に、満腔の怒りのシュプレヒコール、抗議の声を叩きつけました。

 それでも関電は、13時に再稼働を強行したため、参加者は、関電原子力事業本部に移動して、さらに抗議行動を続行した後、「老朽原発の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現する」ことを確認し合い、この日の行動を終えました。

8.30行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機
廃炉に向けてさらに前進しましょう!

2022年9月1日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)



▲美浜原発前


▲関電原子力事業本部前


▲福井新聞 2022年8月31日


▲日刊県民福井・中日新聞 2022年8月31日


▲毎日新聞 2022年8月31日

◆老朽原発・美浜3号、高浜1、2号を廃炉に~過酷事故が起こる前に

【2022年8月29日まで、美浜町などで配付】

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後11年を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

 一方、去る2月に始まったウクライナ紛争では、欧州最大の原発・ザポリージャ原発やチェルノブイリ(チョルノービリ)原発が占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、電力会社、政府、原発立地自治体などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

岸田首相は「原発依存社会」を画策
説明も議論もなく、政策を転換

 岸田内閣は、昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設やリプレースは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律をないがしろにして、唐突に、原子力政策を以下のように転換する意向を示しました。

 岸田首相は、
●次世代原発の建設検討、
●原発運転期間の60年超への延長、
●すでに新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基を今冬に、残る8基を来年以降の早期に稼働させる方策
を検討するとしています。

 福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。このように原発に前のめりな政策がまかり通れば、急ぐべき再生可能エネルギー活用が後回しにされ、世界の趨勢からも取り残されます。

原発はトラブル頻発の装置
過酷事故を起こしかねない

老朽原発・美浜3号機で相次ぐトラブル

 関電は、運転開始後45年を超えた老朽原発・美浜3号機を昨年6月23日に再稼働させましたが、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか3ヶ月の営業運転で停止を余儀なくされています。しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。そのうちの一つは、電源が断たれて蒸気発生器中の2次冷却水が失われたとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かすために、10年近く準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 さらに、関電は、特重施設が完成したとして、美浜3号機の再稼動(並列)を、当初予定の10月から8月12日に前倒しすると発表していましたが、再稼働を目前にした8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。

 関電は、水漏れについて、「昨年6月の定期検査中に、下請け作業員が、容器のふたを閉めるボルトを規定値の5分の1の弱い力で締め付けていたため、隙間を塞ぐ円形のゴム(Oリング:パッキング)に圧力がかかり、破損した」としました。作業員が、誤った規定値の記載された手順書に従ったのです。これは、あきれ返るミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者・・・が原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体がたるみ切っているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。

 美浜3号機では、8月21日にも「運転上の制限の逸脱」が生じました。「アキュムレータの圧力が保安規定に定める運転上の制限値4.04MPa(約40気圧)を下回り、警報が発信した」というものです。原子炉冷却水喪失事故時などで1次冷却系の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力低下が確認されたのです。「アキュムレータ圧力の低下」の原因は明らかにされていませんが、1次冷却水喪失時や、制御棒の挿入に失敗した時に働かなければならない装置のトラブルは、重大事故に繋がりかねず、深刻です。

高浜3、4号機、大飯3、4号機でもトラブル頻発

 美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年に到っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。とくに、320℃、160気圧近くの高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、本年3月、定期点検中の高浜原発3号機では、蒸気発生器伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。蒸気発生器の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているともいわれています。同様な伝熱管損傷は、一昨年11月、高浜4号機でも起こっています。
 トラブル続きで、過酷事故を起こしかねない原発は、一刻も早く全廃しましょう!

電気は足りています

 今、政府は電力需給のひっ迫を喧伝し、原発の推進に躍起です。しかし、日常的には、電気は足りています(余っています)。一時的に電力逼迫が発生しても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

【節電協力で電力需給ひっ迫を乗り切った例】

 3月22日、東京、東北エリアで、地震による発電所の停止と急激な寒波到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。この需給ひっ迫を乗り切れたのは、揚水発電と広域での電力融通に加え、次のような節電が行われたからです。

 当日8〜23時の時間帯で約4000万kW時(W;ワット)、また、需要の大きな17時台の1時間に、約500万kWの節電が実行されています。原発5基分(1基約100万kWとして)もの節電が可能であることを示しています。

 上記は要請に応えた節電の例ですが、「節電で余剰電力を得ることは、発電所を新設することと同じ価値がある」との考えから「発電所ではなくて節電所を」の提案もあります。国民(約1億2500万人)一人ひとりが100W節電すれば、1250万kW(原発10基分以上)の電力需要を抑制できます。

 電力需給ひっ迫時だけでなく、日常からの節電も重要です。電気機器やシステムのエネルギー効率のよいものへの更新、断熱などの「省エネルギー化」も節電です。

電力需要量と供給量を正しく把握し、
適度な節電に心がければ、
大規模停電=ブラックアウトに
なることもありません

 大規模停電は、地震などによって一気・多量の電力供給不足が生じたときに起こります。通常の需要増加で大停電に至った例はありません。原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性があります。

 電力需給ひっ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

「老朽原発依存社会」を招く
政府、電力会社

 原発の運転期間について、2012年6月の原子炉等規制法の改正で「原発の運転期間は40年とし、例外中の例外として20年の延長を認める」と規定しています。

 したがって、運転開始後40年を超えた全原発の運転延長を認めた原子力規制委員会の姿勢は、明らかに法令違反です。なお、「40年」の根拠について、細野原発事故担当相(当時)は、「電力会社が、ほとんどの原子炉の運転年数を40年と想定して認可申請している」からと答弁しています。「40年」は、電力会社が求めたものです。

 それでも、政府、経団連、電力会社は「40年超え運転」を「例外」から「原則」に変えようとし、福島原発事故後の運転停止期間を運転年数から除外し、停止期間分を追加運転しようとしています。さらに、60年超え運転も画策しています。法令違反を公然と行おうとしているのです。

 もし、「40年超え運転」を認めず、原発の新設を阻止すれば、2033年に若狭から、2049年に全国から稼働可能な原発が無くなります。

 一方、「40年超え運転」が「原則」となり、建設中の3基の原発(大間原発、島根原発3号機、東電東通原発)の運転が強行されれば、
8年後(2030年)には、稼働可能な原発36基のうちの15基が老朽原発に、
18年後(2040年)には、稼働可能な原発32基のうちの24基が老朽原発に、
28年後(2050年)には、稼働可能な原発23基のうちの20基が老朽原発
になります。さらに、停止期間分の追加運転を許せば、
2030年には、稼働可能な原発36基のうちの15基が老朽原発に、
2040年には、稼働可能な原発36基のうちの28基が老朽原発に、
2050年には、稼働可能な原発30基のうちの27基が老朽原発
になります。

政府や電力会社は「老朽原発依存社会」を
作ろうとしているのです。
「原発過酷運転(酷使)」を画策する
政府、電力会社

 岸田政権が昨年10月22日に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では、2030年の電源構成に占める原子力の割合を20〜22%にしようとしています。(なお、先述のように、岸田首相は、8月24日、この「エネルギー基本計画」を無視し、これを遙かに上回る原発推進政策を打ち出しています。)

 政府は、「エネルギー基本計画」を達成するために、2030年には15基となる老朽原発の再稼働と建設中の3原発の稼働を画策するだけでなく、以下のように、原発の過酷運転を行い、原発利用率を引き上げようとしています。危険極まりない老朽原発運転と原発過酷運転を許してはなりません。

●定期検査間の運転期間の長期化 現在は13ヶ月ごとに定期検査していますが、18ヶ月〜24ヶ月に変えようとしています。

●検査内容の変更による定期検査の効率的実施と原発酷使 現在の定期検査では、原子炉を停止し、平均90日をかけて一斉分解点検していますが、これを、米国の30日にならって短縮しようとしています。短縮のために、
①「状態監視保全」方式(早めの部品交換をせず、機器ごとに劣化状況に合わせて保守する方式)を導入し、機器を限界まで酷使しようとしています。
②原子炉を止めないでおこなう検査「運転中保全」を導入しようとしています。

 以上の検査内容の変更は2009年に行われていましたが、実行は福島原発事故で中断されていました。

 なお、上記は政府の計画ですが、電気事業連合会(電事連;電力10社で構成)は、さらにスザマシイ目標を掲げています。電事連は、2030年の原発比率29%を目標とし、そのために、原発36基全ての早期稼働と稼働率90%を目指しています。原発60年運転の推進、定期検査の効果的な実施、運転サイクルの長期化をかかげ、原発80年運転への法改正も画策しています。

老朽原発を酷使すれば、
重大事故の危険度が急増します。
原発重大事故時、避難は不可能

 政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は重大事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。しかし、政府や自治体で考えている「原発災害時の避難計画」では、わずかの期間だけ避難することになっていて、原発事故では住民全員が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視しています。「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているのです。

 ところで、政府や自治体の避難計画では、若狭の原発で過酷事故が起こったとき、原発から5km圏内の住民は即時避難となっていますが、それ以外の住民は屋内退避となっていて、放射能汚染レベルが自然放射能の1万倍の500マイクロシーベルトになって、初めて避難を始めることになっています。一斉避難は不可能であるから、原発周辺の住民のほとんどは、大量被ばくするまで待ちなさいと定めているのです。

 避難先も非現実的です。例えば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、美浜町の皆さんの避難先は、おおい町または大野市になっています。しかし、人口約8100人のおおい町が、9600人を超える美浜町の皆さんを一週間以上の長期にわたって受け入れることは不可能です。人口約33600人の大野市でも不可能です。

 過酷事故を起こしかねず、事故が起これば大量被ばくを強いる老朽原発再稼働を許してはなりません。原発廃炉こそが、最大の安全対策です。即時廃炉を求めましょう!

処理法も行き場もない使用済み核燃料
それでも老朽原発再稼働まで画策

 関電は、2017年、「2018年末までに、使用済み核燃料の中間貯蔵候補地を福井県外に探す」と明言しました。西川前福井県知事が、大飯原発の再稼働に同意したのは、この約束を前提としていました。しかし、関電は、この約束をホゴにし、「候補地提示期限を2020年末まで」と再約束して、原発の運転を継続し、使用済み核燃料を増やし続けました。さらに関電は、再約束の期限もホゴにし、昨年2月12日には、候補地提示期限を「2023年末まで」と先送りし、「この期限が守られなければ老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機を停止する」として、福井県に老朽原発再稼働への同意を求めました。これを受けて、杉本知事は、それまでの「中間貯蔵地を示すことが再稼働議論の前提」とした発言を一転させ、再稼働同意へと変節しました。なお、関電が「2023年末を期限」とした拠り所は、青森県むつ市の中間貯蔵施設の共同利用の可能性ですが、宮下むつ市長は、これを否定し、猛反発しています。

 関電は、何の成算も無く「空約束」を繰り返し、平気でそれをホゴにした、倫理のかけらも持ち合わせない企業です。こんな関電に原発を安全に運転できるはずがありません。

老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の
再稼働を許さず、即時廃炉を!
企業倫理と責任感が欠如した電力会社は
原発過酷事故を起こしかねません

 7月13日、東京地裁は「東電株主代表訴訟]判決で、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故による損害・13兆円の賠償を命じています。

 今、関電経営陣が、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働するのは「安全意識や責任感の根本的欠如」のためとしか言いようがありません、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故に至った場合、それは関電経営陣の故意による犯罪です。
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原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い
老朽原発・美浜3号機、高浜1、2
号機の運転を許してはなりません!
老朽原発完全廃炉を目指して、
若狭、関西および全国での
行動に総決起を!

└────────────────────────────────┘

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)

◆関西電力 闇歴史◆077◆

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◆自治体が関電に電気代を過払い(2022年5月以後に報道)
 大阪府、大阪市、和歌山県などが、道路照明灯(街灯)などの料金を関電に過払い
 原因は、自治体側もしくは関電による契約変更の手続きミスか?
 原因がどうであれ、関電は使っていない電気代までとるな!
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┌─────────────
[4] 豊中市、道路照明灯の廃止後も電気代約900万円を過払い
 関電の契約手続き漏れが原因

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 2023/7/14付報道によると、大阪府豊中市は14日、市が管理する道路照明灯について、契約を廃止した分の電気代などを関西電力に支払い続けていたと発表した。過払い額は記録が残る1992年度以降で、約900万円(84件)になる。市基盤保全課の担当者は「関西電力の契約手続き漏れが原因と考えている」と話した。再発防止策として、今後は電話ではなくインターネット上での手続きを徹底し、記録を残すという。
 内訳は、契約廃止分が約540万円(69件)、一つの照明に二つの契約があったものが約360万円(15件)。二つの契約があった約360万円のうち10年分にあたる約147万円は、返還されることで関西電力と合意したが、残りはまだ協議が続いているという。
 一方、2007年度以降に市が新設した道路照明灯の電気代約120万円(28件)が未払いになっていたこともわかった。関西電力は市に電気代を請求しないと伝えているという。

┌─────────────
[3] 京都市には1億円、返還
└─────────────
 2023/3/14付報道によると、京都市は、道路照明灯の電気料金約1億円を関西電力に過払いしていて、関西電力側に約1億円を返還させることで合意。

 関電は返還に当たって、市に対し申請書類などの「証拠」を求めており、12年7月~22年12月分の契約変更分約8800万円(9255件)、廃止分約160万円(21件)の計約8960万円の返還で合意した。利子を含めて約1億800万円になる。市は残りの約2500万円の過払い分も返還を求めている。これについて、京都市建設企画部長は「過払いや漏れ生じている立証責任を顧客側に全部投げてきている。関電さんの姿勢というのは我々的には受け入れがたい」とのこと。関西電力は「一度に大量に届くLEDへの契約変更や、撤去による契約廃止が起きた場合にも、適切に対応して記録も残るようにしていきたい」としているが、届けがいくら大量でも「適切に対応して記録も残る」ようにすることは、当然の業務であり、今さら、何を言っているのか。

┌─────────────
[2] 裁判であらそう
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(1) 大阪府…2023/3/9、大阪地裁で、道路照明灯を撤去したのに電気代を支払わされ続けてきたのは不当だとして、大阪府が関西電力に約6600万円の返還(1975~2022年の支払い分)を求めた訴訟の第1回口頭弁論。府は「関電は契約廃止を確認できた。既に撤去した照明灯の電気代は不当利得にあたる」と主張。関電は「府からの通知がなければ撤去を知るすべがなく、電気が使用されていない認識はなかった」と反論。

(2) 大阪市…2023年2月の市議会定例会で、訴訟を起こすとした議案を可決。22年までに支払った計約5400万円の返還を求める方針。

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[1] 自治体が関電に電気代を過払い(2022年5~8月報道)
└─────────────
(1) 大阪府…約1億円を関電側に過払い。そのうち約1700万円は返還に合意したが、残りについてはめどが立っていない。約3400万円は照明灯撤去後の解約手続きが行われたかどうかを巡って関電側と主張が対立。2022年5月報道。
(詳細…過払いは573件、計1億238万円に上り、最も古いケースは1976年から続いていた。うち188件、計2929万円は民法上、返還請求の時効にあたる10年を過ぎていたという。)
 こちら

 2022/09/21報道によると、大阪府が長年、道路照明灯の電気料金を関西電力に過払いしていた問題で、府は料金の返還を求め裁判を起こす方針を固めたとのこと。大阪府は今年5月、すでに撤去され存在していない道路照明灯など573件に関して、電気料金を無駄に支払っていたと発表。総額は約1億200万円にのぼっていた。こうした過払いは「最長で昭和50年代ごろから続いていた」としている。府は、電気契約の解除を口頭で伝えた際、関電が必要な手続きをしなかったのが原因だと主張。関電からは約1700万円が返還される予定であるが、府は残りについても返還を求めて、関電を相手取り裁判を起こす方針を固めた。28日からの府議会に、提案する予定。

(2) 大阪市…2020年度の1年間で約470万円の過払い。他の年度を含めた総額を調査中。2022年5月報道。
 こちら

(3) 大阪市…関電に対し必要のない支払いを続けていた契約は201件で、約4722万円。2022年7月報道。
 こちら

(4) 大阪府…漁港照明電気代、15件で130万円を過払い。撤去した照明灯の契約が残っていたり(2件、6万円)、実際よりも小さな容量での契約が可能だったために過払いになったていた(13件、約124万円)ことが原因。府は、廃止や契約の見直しは電話連絡などでしていたが、関電が必要な手続きを取っていなかったことなどが原因と考えられるとしている。2022年8月報道。
 こちら

(5) 和歌山県…1600万円を関西電力に過払い。既に撤去・移設して存在しない照明灯の契約で59件約1400万円、料金単価の安い発光ダイオード(LED)照明に付け替えた後も従来の単価で支払いを続けていたのが102件約200万円。2022年8月報道。
 こちら

(6) 堺市…道路照明灯の電気料金について、いずれも1500万円を超える過払いと未払いがあったと発表(2023/4/27)。去年までの13年間で、すでに撤去していた照明灯などの電気料金、少なくともおよそ1630万円が過払いとなっていた。撤去した際の契約の廃止や、契約料の安いLEDに交換した際の契約変更をしていなかったのが原因で、過払い分の一部は返還されることで関電と合意。また、契約そのものがなかった照明灯もあり、堺市が関西電力に対して、少なくともおよそ1540万円未払いだったことも分かった。堺市が適正な契約手続きをしなかった原因は不明で、未払い分は順次、新たな契約を進めているとのこと。

(7) その他…京都府、京都市、兵庫県、神戸市などは大丈夫か。

 自治体側の過払いが発生してしまった原因は、自治体側もしくは関電による契約変更、解除などの手続きミスと推定される。しかし、原因が自治体側にあろうと関電側にあろうと、照明灯が実際には使われていなかったり、実際よりも小さな容量で使用していたというなら、関電は、その電気代を返還すべきではないか。

 大阪府や大阪市は、返還に応じてもらえない場合は法的措置を検討するとしている。松井一郎・大阪市長は記者団に「返してもらいたいが、関電側は行政側にチェックミスがあるという。司法に判断してもらうことになる」と述べた。

 行政側にチェックミスがあるかもしれないが、それは、行政の問題であって、使っていない電気の料金を徴収しておいて、返さなくても良いということにはならないはず。関電は、使ってない電気代までとるな!

◆076◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆078◆

◆関西電力 闇歴史◆076◆

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◆電力総連の組織内議員が原発推進
 電力総連政治活動委員会が巨額の政治資金で活動
 各電力労組の政治連盟あるいは政治活動委員会は42万人超え
 政治資金規正法違反ではないか、との指摘
 関電社員議員、関電労組政治団体に関する指摘
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◆電力総連の二人の組織内参議院議員=国民民主党が原発推進
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・電力総連(全国電力関連産業労働組合総連合)は、参議院の全国区で組織内議員を二人抱えている。2019年には、関電労組出身の浜野喜史(はまの・よしふみ)が256,928票で当選。2022年には、東電労組出身の竹詰仁(たけづめ・ひとし)が、238,956票で当選している(3期18年の小林正夫、東電労組出身から交代)。国会では、国民民主党に所属して、原発推進を主張している。

・組織内候補の選挙運動は、ひたすら全国の関連組織を回って訴える形なので、一般の有権者の目に触れる機会はほとんどない。その選挙運動の中心を担っているのは、さすがに、労働組合そのものではまずいという判断なのだろう、電力総連政治活動委員会である。

┌─────────────
◆電力総連政治活動委員会の政治資金収支報告書
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・総務省、2021(令和3)~2020(令和2)年受付、沖縄*2015(平成27)年
こちら
をみると、その政治資金収支報告書がわかる。

・収入総額は、1億7043万6556円で、繰越額を除いた「本年の収入額」が、5855万1156円。
・収入項目別にみると、寄付が、5854万7130円で大半を占めている。
・寄付の内訳は、各電力労組の政治連盟あるいは政治活動委員会などの政治団体からのものが大半となっている。政治団体別にみると、たとえば、関西電力労働組合政治活動委員会は、958万8960円を寄付している。(他には、参院議員の個人寄付が168万円)

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◆各電力労組の政治連盟あるいは政治活動委員会は42万人超え
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・各電力労組の政治連盟あるいは政治活動委員会の収支報告書も、総務省のWebサイトに掲載されている(北海道電力労働組合政治連盟を除く)。
・以下、「員数(党費または会費を納入した人の数)」と「本年の収入額」を示す。データの年次はまちまち。

・北海道電力労働組合政治連盟…ここのみは掲載されていない
 
・東北電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、128,893人、金額、72,055,500円
 こちら
・東京電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、27,539人、金額、149,628,400円
 こちら
・中部電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、14,496人、金額、70,549,985円
 こちら
・北陸電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、4,004人、金額、30,731,400円
 こちら
・関西電力労働組合政治活動委員会…会費を納入した個人の数、17,567人、金額、49,488,800円
 こちら
・中国電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、7,592人、金額、47,111,000円
 こちら
・四国電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、5,139人、金額、34,352,100円
 こちら
・九州電力労働組合政治活動委員会…会費を納入した個人の数、149,965人、金額、89,979,000円
 こちら
・沖縄電力労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、1,179人、金額、1,424,000円
 →こちら…リンク切れ
・日本原子力発電労働組合政治活動委員会…会費を納入した個人の数、15,013人、金額、7,506,500円
 こちら
・J-POWERグループユニオン政治活動委員会…会費を納入した個人の数、48,809人、金額、6,093,800円
 こちら
・日本原燃労働組合政治連盟…会費を納入した個人の数、2,135人、金額、6,371,400円
 →こちら…リンク切れ

・以上、「員数(党費または会費を納入した人の数)」と「本年の収入額」の合計(北海道電力労働組合政治連盟を除く)は、
★会費を納入した個人の数、合計で、421,692人。
★金額、合計で、5億6517万2485円。

・九州電力労働組合政治活動委員会では、会費を納入した個人の数が149,965人であるのに対して、関西電力労働組合政治活動委員会では、17,567人と、人数のアンバランスが大きい。なお、関西電力の従業員数(2022年3月)は、連結で31,963人、関電本体で8,633人(なお、2020年3月では18,141人となっている。2022年には関西電力送配電株式会社の8,806人が連結に計上されたか)。

・直近の電力総連組織内、参議院議員の得票数、256,928票、238,956票をみれば、全国の各電力労組の政治連盟あるいは政治活動委員会の会員の半分を押さえれば(家族票もあるだろう)、当選できるような関係になっている。

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◆政治資金規正法違反ではないか、との指摘
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・人数的にも、財政的にも大きな規模の、各電力労組の政治連盟あるいは政治活動委員会には、総務大臣や選挙管理委員会に届出をする義務があり、それをしないまま収支を伴う活動をすれば政治資金規正法違反に問われるとの指摘がある。

・たとえば、関西電力労働組合政治活動委員会の政治資金収支報告書(大阪府選挙管理委員会、2021年3月10日受付)→こちら、によれば、会費を納入した個人の数、17,567人、金額、49,488,800円となっている。

・友好議員懇談会費や職場後援会活動費の支出先として、
「関労政治活動委員会大阪北地区本部」
「同大阪南地区本部」
「同兵庫地区本部」
「同姫路地区本部」
「同京都地区本部」
「同和歌山地区本部」
「同奈良地区本部」
「同滋賀地区本部」
「同若狭地区本部」
「同東海地方本部」
「同北陸地方本部」
といった名称がある。

・「関労政治活動委員会」という名称を冠している点から判断して、「関電労組政治活動委員会」の下部組織で、かつ政治団体であることは明白ではないか。

・これらの団体が、はたして政治団体として届け出されているのか。結論から言えば、選管に政治団体の届出はなし、会計責任者は「地域組織です」「政治団体というより地域組織です」と繰り返すとのこと。

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◆関電社員議員、関電労組政治団体に関する指摘
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(1)関電社員議員は近畿6府県に24人議員報酬+関電給与1千万円+関電労組献金=原発大推進
(2012/04/06)三宅勝久
こちら

(2)「原発推進」関電労組政治団体が“資金洗浄”使途不明4163万円、正体不明の無届団体通じ
(2012/04/17)三宅勝久
こちら

(3)関西電力、赤字転落も「待遇変化なし」嵐の過ぎ去りを待つ日々
(2012/05/17)ココで働け取材班
こちら

(4)政治資金規正法違反の疑いも――関電労組政治団体に使途不明金
週刊金曜日オンライン2012年6月1日号(2012/06/12)三宅勝久
こちら

(5)関電労組政治団体の違法行為や電力会社社員議員を許すな!
『原発を止める55の方法』(宝島社、2012年10月発行)、三宅勝久
・脱原発への道として、関西電力労組団体の規制法違反を告発する、“給料二重取り”の議員に投票しない、原発企業の天下り官僚を辞めさせる、を挙げている。

(6)原発大推進の連合「関電労組」政治団体に不正会計発覚、使途不明金6千万円超に
(2014/01/27)三宅勝久
こちら

(7)「関電労組」政治団体が無届け組織に多額支出――6000万円超が使途不明に
週刊金曜日オンライン2014年2月24日号
こちら

(8)311以降も続く電力9社の「ステルス式」献金2012年までの3年で自民団体に1億4300万円貢ぐ
(2014/08/16)三宅勝久
こちら

(9)◆2017◆原発大推進の「関電労組」系政治団体が無届団体に違法な闇支出を続行、使途不明金は過去8年で9400万円に――NHKは放送できず
(2017/08/01)三宅勝久
こちら

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◆9/6 第34回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー準備書面、意見陳述こちら
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【原告】裁判資料ーー証拠説明書と書証(甲号証)→ 以下に
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[第94準備書面 関係]証拠説明書 甲第612~613号証[79 KB]
(2022年8月30日)

甲第613号証[870 KB]…口頭弁論要旨【濱中博さん】
甲第612号証[2 MB]…京丹後市地域防災計画 原子力災害対策編


【注】裁判資料ページ全体の構成変更にともない、第27回口頭弁論から、前回までのタイトル「原告提出の書証」を、「原告提出の書面」に変更しています。内容的には、証拠説明書と書証を掲載している点で、ほぼ同じです。(ページの上のプルダウンメニューから入る場合と、右の更新情報から入る場合と、両方に対応する形にしました。)