投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆047◆

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◆関電の老朽原発、高浜原発1、2号機運転延長担当の課長が自殺
 過密な規制委審査に、負担が集中(2016年4月)

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 2016年4月20日、出張先の東京都内のホテルで、高浜原発1,2号機運転延長に関わっていた関電課長(40代男性)の自殺が見つかりました。同日、1、2号機運転延長審査の合格にあたる「審査書」が了承されました。

 高浜原発1、2号機について関電が原子力規制委員会に提出した資料は約8万7000ページに上っており、審査期限に間に合わせるよう、課長を含む担当職員は厳しい勤務状況にあったとみられています。高浜1、2号機の場合、1昨年3月の安全審査申請から昨年6月の運転延長認可まで、事務レベルでの会合は233回、亡くなられた課長の残業が急増した1~4月の4か月間では、100回を数え、平日はほぼ毎日、複数回の打ち合わせがある過密日程で、最大月200時間、亡くなった4月は19日までに150時間の残業をしていたといわれています。関電は、原子力規制委員会から、適合性審査を受ける原発の優先順位をつけるようにと指摘されても、優先順位を付けずに、高浜原発、大飯原発、美浜原発の設置変更許可申請をし、適合性審査を強引に推し進めました。

 3月からは東京に長期出張していました。7月7日までに審査に合格しなければ廃炉になる可能性がありました。電力関係者は「(審査会合では)一つ資料を出すと、10個宿題が返ってくるような感じで、大変だとの話をよく聞いた」と証言しています。

 労働基準監督署は、労災を認定しました。関電の岩根茂樹社長は10月28日の会見で、「忙しいという状況があったのは事実」と認めつつも、「社員であるかも含めて回答は差し控える」と従来の見解をくり返しました。福井労働局敦賀労働基準監督署が関電の岩根茂樹社長を出頭させ、管理職を含む全社員の労働時間管理の徹底を求める指導票を交付していたことが分かりました(2017/01/16)。

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『しんぶん赤旗』~職場で広がる怒り 関電過労自殺を追う~
(2016年11月20日)→こちら
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病む職場“氷山の一角だ”
再稼働優先で長時間労働に

 大阪・中之島の関西電力本店や近畿各支社の職場では、高浜原発再稼働に対応した課長が過労自殺した事件がテレビや新聞で報じられると、「擦り切れるまでこき使うて、えげつないわなあ」「過労死するほど仕事を与えたらあかん。けど、それを考えることができる役員こそ必要や」との声があがりました。
 他方、「心を病んだり、自殺者が出ているのに、あまり驚かなくなっている」との声も少なくありません。
 関電OBと労働者らでつくる「電力労働運動近畿センター」の調べでは、精神障害の欠勤者は1995年度に36人、従業員数の0・13%だったものが、2012年度には165人、0・81%と増えています。
 「これは“氷山の一角”。職場は数字以上に病んでいる」と労働者たちはいいます。
6月の関西電力労働組合の大会では、若狭・高浜支部の代議員が「震災以降、原子力部門では時間外労働が高止まりしている」と発言しました。同労組機関紙が報じています。

 長時間労働がまん延している事態に対し、関電はこれまで、「全社員が閲覧できる社内ウェブサイトに在職死亡者を掲載していた」(労働者)といわれます。現在、これらは役職者や一部管理職のサイトでしか見られなくなったといいます。

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原発の審査業務は労働時間規制の適用外
NPO法人働き方ASU-NET→こちら
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 原子力発電所の再稼働の前提となる規制基準の審査をめぐる業務については、厚生労働省の通達で労働基準法の残業時間に関する規制の適用を除外し、定められた労働時間を超えて残業をさせることができるようになっています。

 労働基準法の残業時間の上限を超えて残業できるようにしていたのは、原発の再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に平成25年11月までに申請を済ませた北海道電力、東京電力、関西電力、四国電力、それに九州電力です。それぞれ労使で協定書を結び、適用除外ができるようにしていましたが、対象となる人数や残業時間については「公表できない」などとしています。

原発の審査をめぐる業務を適用除外にする理由について、厚生労働省は「公益事業であり、集中的な作業が必要とされる」などとしています。

◆046◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆048◆

◆関西電力 闇歴史◆046◆

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◆関電争議と関電の原発推進政策
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 関西のトップ企業である関西電力は1960年代から「生産性向上運動」と称して、日本共産党員やその支持者と目した労働者に対し差別的な扱いをしてきた。ビラまきへの処分、監視や尾行、盗み取り、職場での孤立化、賃金差別などの攻撃、差別が行われた。これに対し労働者は関電を告訴し、1969年にはビラ処分事件提訴、1971年には人権裁判提訴などの行動に出た。1995年9月5日には、人権裁判の最高裁判決で、「職場における自由な人間関係を形成する自由」という判決が出され、関西電力の労務管理が憲法違反と断罪された。しかし、関西電力は最高裁判決後も差別責任を認めず、原告らの賃金や資格が低いことの理由として能力や成績が悪いことが原因などとして、差別行為への関与を否認した。

 1998年9月には、近畿をはじめ全国からかけつけた人達約5000人が職場での人権侵害や差別の是正等争議の全面解決を求めて「関電争議支援総行動」を行い、中之島から関西電力本店までデモ行進し、本店前での抗議要請行動を行った。その日、関電はシャッターをおろし、門を固く閉ざして対応。15名の要請団を受け入れず、門の前の激しいやり取りの末、やっと7名の要請団を受け入れるというお粗末な対応であった。要請団は「原告への謝罪や、処遇の改善、争議解決のため話し合いのテーブルにつけ」と強い申し入れを行ったが、関電側は話し合いのテーブルには応じないという態度に終始した。

 この「関電争議」は、30年にも及んだ法廷闘争と労働運動の末、1999年12月8日、大阪地裁において、労働者側の全面勝利により解決した。関電は、憲法に従って他の従業員と公平に取り扱うことなどを約束、解決金を支払って和解した。

 このときの関西電力争議団が母体となって、電力労働運動近畿センターが生まれ、関西電力の労働者、OB、支援者らで組織する労働団体として現在まで運動を続けている。

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◆関電争議に見る原発問題の底流
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 関電社内では、関電が原発を推進するとともに、「電力の民主化」を主張していた労働者への弾圧が激しくなった。1971年にマル秘の労務管理資料が見つかった。それは、会社が特殊対策と称し従業員とその妻の日本共産党籍の有無、交友関係など身辺調査の方法や警察からの情報入手、監視者を配置し尾行・盗撮した状況、さらには職場での孤立化・差別等の攻撃手口まで書いたレポートであった。こうした異常な人権侵害の実態は、社会的にも明るみになった。

 争議団の三木谷英男さん…会社は原発建設の前に、地域に狙いをつけて、そこに原発賛成派をつくる工作をします。札束で住民のなかのコミュニティを分断していくわけです。職場の反共労務管理は、「あのようにされてええのか」と私らを見せしめにして労働者をおどし、私らに接近させないようにするわけです。職場の中と外で、まったく同じやり方なのです。→こちら

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関西電力事件…判決。
 独立行政法人労働政策研究・研修機構
 最三小判平7.9.5 労判680-28
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(1)事件のあらまし
一審原告側労働者Xら(被控訴人・被上告人)は、関西を中心に支店営業等を有する発電・送電等を業とする一審被告側使用者Y(控訴人・上告人)の従業員である。Xらは共産党員もしくはその同調者であり、労使協調路線に反対する組合内少数派に属する者である。

Yは、企業防衛のために「特殊対策」を推進し、Xらにかかってきた電話を調査し、ロッカー内の私物を密かに写真撮影し、他の従業員にXらと接触・交際しないように働きかけ、Xらを会社の行事から排除し、Xらの孤立化を図った。Yの内部資料を入手したXらは、上記の対策を知るに至り、不法行為(故意・過失によって他人の権利を侵害し損害を与える行為)に基づく各自200万円の慰謝料と87万1,000円の弁護士費用、ならびに謝罪文の掲示と社内報への掲載を求めて訴えを提起した。

(2)判決の内容
労働者側勝訴

Xら一人あたり80万円の慰謝料と10万円の弁護士費用の支払いをYに命じた第二審の判決を支持した。

Yは、Xらが現実には企業秩序を破壊し混乱させるなどのおそれがあるとは認められないにもかかわらず、Xらが共産党員又はその同調者であることのみを理由とし、その職制等を通じて、職場の内外でXらを継続的に監視する態勢を採った上、種々の方法を用いてXらを職場で孤立させるなどしたというのであった。

これらの行為は、Xらの職場における自由な人間関係を形成する自由を不当に侵害するとともに、その名誉を毀損するものである。また、ロッカー内の私物を写真撮影する行為はプライバシーを侵害するものでもあって、同人らの人格的利益を侵害するものである。これら一連のYの行為は、YのXらに対する不法行為を構成し、YはXらに対して慰謝料等を支払うよう命ずる。

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◆今も関電社員による「ビラ回収」(2020年)
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電力労働運動近畿センターからの訴え

 写真は、過日、関電滋賀支社前にて、当センター機関紙「人権」を配布しているときに、関電社員が配布者の目の前で「ビラ回収」しているさまです。明らかに言論・表現・出版の自由を侵す憲法違反行為であります。原発マネー還流疑惑で世間から批判を浴びている状況下、このような憲法違反行為を平気で行っています。大いに猛省を促すものであります・・・

 みなさまのメル友、フェイスブックなど大きく拡散願えれば幸甚です。宜しく願いします・・・(2020年)

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◆ビラまきへの妨害、2022年6/28 株主総会でも質問
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『2022 年関西電力株主総会ドキュメント』より
NPO法人 エネルギ―未来を考える市民株主と仲間の会
大阪市福島区福島2-8-16 コトブキビル 4F 電力労働運動近畿センタ―内

■ビラまきへの妨害、職場における自由な人間関係を形成する自由の侵害について
Q:(伊藤理事)
社内での活発な議論が、原子力の安全の推進 などに役立つ。先程は国際的な基準に則って社内で取り組むという話があった。しかし、1995年に社内の人権問題について最高裁から、職場における自由な人間関係を作る自由を侵してはならないという判決が下された。その判決は今でも有効で、それは今でも社内で実行していくものだと思っている。しかし、滋賀支社においては、門の前でビラをまいていると、社内から社員が出てきて、ビラの受け取りを監視していたり、ゴミ箱を置いてここに入れろと言っている。さらにひどいのは、ビラを別の社員が取り上げるという人権侵害が行われている。これは関西電力が、その社員に指示して行なっていたものか? お答え願いたい。
A:(宮本常務)
当社では、国際基準に基づく人権尊重に関す る方針を策定して、企業活動に関連する人権への負の影響を防止し、軽減し、当然のこととして人権尊重への責任を果たす。「関西電力グループ行動憲章」には人権尊重の責任果たす旨を表明し、また「ビジネスと人権に関する指導原則」が求める要件を考慮して人権方針を策定たところで、それについて取り組む。ご指摘のような、会社として社員に指示したということはない。

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◆電力労働運動近畿センターとは
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・関西電力の労働者、OB、支援者らで組織する労働団体。その母体となったのは「関西電力争議団」。

・1946(昭和21)年に発電、送電、配電関係労組で結成された産業別組合「日本電気産業労働組合(電産)」は、1950年代前半にかけて日本の労働運動に指導的役割を演じた。しかし、その後の歴史は、企業別連合の電労連(のち電力労連)に至る。1981年、電力労連が中心となり、電工労連、全国検集労連、電保労連の大部分とともに全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を結成。1989年、総評の解散に伴い、日本労働組合総連合会(連合)に加盟。

・1960年の安保闘争のあと、関西電力の経営は、共産党やその支援者、いわゆる「左派」の労働者を職場から排除するか、考え方を改めさせる「反共労務管理」を進めていく。転向強要、不当配転、職場でのいじめなどが常態化し、人権無視の労務管理の中で、退職に追い込まれる者も多く、中には自殺者も出た。労働組合から締め出され、職場でも孤立させられた「左派」の労働者にとって、自分たちの考えを訴える最後の手段はビラを配って、思いを訴えること。だが、それも許さず、懲戒処分にしてしまう。そして、すべての労働者をしめつける労務政策が、原発推進政策と軌を一にして、強化された。1970年初めて美浜原発が稼働した。

・こうした人権侵害、賃金差別の是正を訴え、101人の労働者が「関西電力争議団」として関電を提訴した。この「人権裁判」では、提訴から25年後の1995年、最高裁が「現実には企業秩序を破壊し、混乱させる恐れがあるとは認められないにもかかわらず、共産党員またはその同調者であることのみを理由にして行われた関電の反共労務管理は、異常で非人間的な不法行為だ」と述べ、「職場での自由な人間関係を形成する自由を侵してはならない」という判断を下した。

・この判決から4年後の1999年、関電は憲法に従って他の従業員と公平に取り扱うことなどを約束。解決金として12億円を支払って和解した。その資金で設立されたのが、電力労働運動近畿センター。

・電力労働運動近畿センターは、働く人々の助けあい、交流と学びをすすめている。
 ●私たちの想い…「環境」、「人権」、「平和」、「格差是正」、「青年の参加」
 ●活動…①働く人々の連帯、②対話と相談活動、③市民との連帯、④政策研究、⑤新しい労働運動
 〒553-0003 大阪市福島区福島2-8-16 コトブキビル401号

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◆関西電力–人権裁判、ネット上の情報
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・関西電力争議、全面勝利解決|京都第一法律事務所
 こちら
・関電裁判に見る原発問題の底流|京都第一法律事務所
 こちら
・関西電力の人権侵害
 こちら
・「関西電力争議」勝利和解から20年|うずみ火
 こちら
・『関西電力の誤算 上・下 』(2002年)。徹底した“忠誠”を求める関西電力と、人間の“自由”を求めて闘いつづけた30年にわたる人々の真実のドラマ【推薦・佐高信】。労働旬報社
 こちら
 

 

 

 

 

 

◆045◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆047◆

◆関西電力 闇歴史◆045◆

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◆原子力規制委員会による原子力規制検査等の結果(2021年)
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トップページ > 原子力の規制 > 原子力規制検査 > 原子力施設別の状況 > 検査指摘状況一覧
(→こちら
 以下の各四半期ごとに詳しい「原子力規制検査報告書」あり。
多くは、重要度「緑」、深刻度「Ⅳ」とたいしたことはないと判断されている。しかし、原発は巨大なシステムなので、小さなトラブルは絶えず発生している。こうしたトラブルは、新聞などでも報道されないことが多い。1つの重大災害や重大な事故1件につき,軽微な事故が29件,さらにその背後に隠れた事故寸前の案件が300件あるというのが、ハインリッヒの法則◆071-1◆)。元々労働災害に関する経験則だが,普遍的な意味がある。

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最新の結果報告は、2021(令和3)年11月17日
2021(令和3)年度第2四半期の原子力規制検査等の結果」(→こちら
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(関電の原発のみ抽出)
●美浜発電所3号機…タービン動補助給水ポンプの不適切な保全による待機除外(◆025◆
→定期検査中の3号機において、タービン動補助給水ポンプによる蒸気発生器への実注入試験を行っていたところ、ポンプ入口ストレーナにスラッジが蓄積してストレーナ差圧が上昇したため、当該ポンプを停止させ、待機除外とした。

●高浜発電所4号機…屋内消火栓元弁の不適切な管理
→4号機中間建屋1階にある屋内消火栓1台の消火水の供給元弁が、本来は全開状態であるべきところ、全閉状態であった。検査官が7月に確認。規制庁の検査官が、昨年発生した4号機での作業者の顔面・身体汚染の際の記録から、内部被ばくの可能性の評価などを実施していなかったことが確認された。

●高浜発電所…固定式周辺モニタリング設備の伝送系の多様性確保に係る不備
→固定式周辺モニタリング設備のモニタポストから中央制御室野外モニタ中央監視盤等への空間線量率の測定データの有線伝送が途絶えたことにより無線伝送も途絶えた。7月に高浜原発のモニタリングポスト1台から中央制御室への有線方式のデータ伝送が動物にケーブルをかじられるなどして損なわれた際、無線方式のデータ伝送も途切れ、データ欠損が生じた。これは、設計のミスが原因と指摘された。

●高浜発電所4号機…原子炉キャビティ除染工事の身体汚染における内部摂取判断の不備
→4号機原子炉キャビティ除染工事に従事していた作業者の鼻腔入口に 10kcpm の汚染が計測された。事業者マニュアルの基本フローでは核種組成等の確認、鼻腔入口の汚染を吸入することによる内部摂取の可能性を評価することになっていたが実施していなかった。

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2021(令和3)年度第1四半期の原子力規制検査等の結果」(→こちら
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(関電の原発のみ抽出)
●高浜発電所4号機…充てん/高圧注入ポンプ配管室における煙感知器の不適切な箇所への設置
→充てん/高圧注入ポンプ配管室の現場確認を実施したところ、天井に取り付けられている火災感知器のうち、煙感知器1台が換気口の空気吹き出し口から水平距離で1.5m以上必要とされているところ、約1.1m離れた箇所に設置されていた。

●高浜発電所3号機…ほう酸ポンプ室前の通路に設けられた煙感知器の不適切な箇所への設置
→ほう酸ポンプ室前の通路天井に設置されていたケーブルトレイを1時間耐火シートで覆ったため天井面が約90cm低くなり、煙感知器が周囲を囲まれた、くぼみに設置されていた。

●大飯発電所4号機…燃料取扱装置における不適切な是正処置について
→2018年、3号機燃料取替装置においてゴム製Oリングの経年劣化による駆動用空気漏れが発生した際、是正処置として同一機種である4号機も含めてゴム製Oリングを使用した部位に対する適切な是正処置を実施すべきであったが、4号機の同一機器を是正処置の対象にしなかった結果、2019年、4号機燃料取替装置において同様の空気漏れが再発していた。

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2020(令和2)年度第4四半期の原子力規制検査等の結果」(→こちら
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(関電、敦賀の原発のみ抽出)
●高浜発電所4号機…保守管理不備により発生したスケールによる蒸気発生器伝熱管の損傷事象
→高浜発電所4号機第23回定期検査において、3基ある蒸気発生器のうち2基から、外面からの減肉率が20%を超える伝熱管が計4本(減肉率は、A-SGが約33%、C-SGが約36%、約25%及び約32%)認められた。(◆021◆

●高浜発電所3,4号機…不適切なケーブル敷設による火災影響軽減対策の不備
→他事業者(伊方、川内)での検査指摘事項(不適切なケーブル敷設による火災影響軽減対策の不備)に対する事業者による水平展開の結果、3号機で9火災区画52箇所、4号機で9火災区画53箇所にて、耐火隔壁を設置したケーブルトレイから露出したケーブルが確認された。

●大飯発電所3、4号機…不適切なケーブル敷設による火災影響軽減対策の不備
→同上の結果、3号機で9火災区画33箇所及び4号機で10火災区画34箇所にて、耐火隔壁を設置したケーブルトレイから露出したケーブルがあることを確認した。

●敦賀発電所…浦底モニタリングポストのダストサンプラの不適切な試料採取
→モニタリングポストの施設内に設置されているダストサンプラが本来施設外部の空気を試料として放射線計測を行うべきところ、施設内部の空気を吸入していた。

●美浜発電所3号機における管理区域入域時間の不適切な管理の多発について
→管理区域の入域管理室において、作業員が警報付デジタル個人線量計の登録を行う管理ゲートを通らずに入域する事例が多発したにもかかわらず、適切な不適合管理がとられていなかった。

●高浜発電所…A廃棄物庫における不適切な放射性廃棄物の収容による管理区域境界の線量率(目安値)超過
→固体廃棄物貯蔵庫において比較的高線量のドラム缶に適切な遮へい措置等を行わなかったため、貯蔵庫外部の管理区域境界において管理基準以上の線量率が確認された。

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2020(令和2)年度第3四半期の原子力規制検査等の結果」(→こちら
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(関電の原発、なし)

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2020(令和2)年度第2四半期の原子力規制検査等の結果」(→こちら
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(関電の原発のみ抽出)
●高浜発電所3号機…2次側配管の異物管理対策不備による蒸気発生器伝熱管の損傷事象(法令報告)
→高浜発電所3号機第24回定期検査において、3基ある蒸気発生器のうち2基から、外面からの減肉率が20%を超える伝熱管が計2本発見された。

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2020(令和2)年度第1四半期の原子力規制検査等の結果」(→こちら
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(関電の原発のみ抽出)
●美浜発電所3号機…不適切な保全による海水ポンプ自動停止
→保全計画において、設置環境及び使用環境が適切に考慮されておらず、使用済み燃料ピット等の熱除去に用いられる海水ポンプが自動停止した。

◆044◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆046◆

◆関西電力 闇歴史◆044◆

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◆関電の顧客軽視、ユーザー目線の欠落は生来の体質
 2015年4月、経産省、電気料金値上げ審査会合にて
 「関電には事業者としての誠意が感じられない」
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 以下は、『よくわかる最新 発電・送電の基本と仕組み』(木舟辰平著、秀和システム、2016年11月発行)column「大手電力は変わるのか」(p.210)からの引用です。この中でまったく誠意がないと指摘されている関電幹部とは、八木誠、岩根茂樹の両氏。columnの最後は「(関電の)こうした体質が今後も変わらないままであるならば、今は地元で圧倒的な存在感を持つ彼らですが、今後の市場競争の中で淘汰されていく可能性もゼロではないでしょう。」となっています。

 ここに書かれている二つの発言は「第25回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電気料金審査専門小委員会(2015年4月21日、経済産業省)」の議事録に載っているので、確認できます。→こちら

 その議事録には、さらに、小売り電力自由化(2016年4月~)直前の状況から、以下のような発言もあります。

 「今私たちはスマートメーターが入っていませんから、電力会社を選べません。でも、もうしばらくしたら、どんな形で電力システム改革が実現するかわかりませんけれども、間違いなく私たち一人一人の消費者も電力の選択に関して意思表示をすることができます。そのことをしっかりと今回関西電力さんにはわかっていただきたいというふうに思っています。」という発言もあります。

 加速する関電の顧客離れの根底には、電気代の違いにとどまらない関電の企業体質の問題が横たわっています。関電の顧客軽視、消費者軽視の姿勢は、地域独占総括原価方式◆036◆)で培われた本性のようなものです。

 2015年当時、関電幹部は自社の電気料金値上げを求めている裏で、多額の賄賂をもらっていました。原発マネー不正還流は、2000年代に入ってからの金品の授受で、2011年の原発事故以降にエスカレートし、総額3億2000万円に上ったのです。八木誠氏は50万円の超高級背広を着て、東京に出張したのでしょうか。値上げが実現できた後には、役員報酬の闇補填までしていました。(◆018◆


▲関電幹部が受け取っていた賄賂額は2015年には、合計5000万円
(NHKクローズアップ現代 2019年10月23日 追跡 関西電力・金品受領の裏で何が?→ こちら

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(以下、引用)
 大手電力の社員はみな異口同音に、どんな文脈においても、自社の顧客のことを「お客様」と言います。おそらく新入社員の頃から、その呼び方を徹底的に叩き込れているのでしょう。ですが、その徹底性と形式主義が、その言葉に内実を伴わない空虚さを与えています。

 実際のところ彼らが顧客の側に立って物事を考えてきたとはあまり思えません。これもまた地域独占で長年守られてきた9電力体制の負の側面といえるでしょう。そして、この顧客軽視の体質は福島第一原発の爆発という業界にとっての未曾有の危機を経た今も変わっていないようです。

 「一人一人の利用者の暮らしや思いにどれだけ寄り添ってくださっているのか。私は関西電力さんの対応に、事業者としての誠意があったかというと、感じることができませんでした」

 「エネルギー問題は専門的な話が多くて消費者には難しいところもあるけれど、消費者は何もわかっとらんという格好で切り捨てられるというのがちょっと困ったなと思っています。今後電力会社さんがそういう姿勢から早く脱却して、一緒によいエネルギー社会を築けていけたらいいと思っています」

 2015年4月のある日、場所は東京・霞が関の経済産業省内にある会議室。消費者団体の代表者から次々に厳しい言葉が飛びました。その言葉の先に座っていたのは、関西電力の幹部たちでした。

 この日、東日本大震災後2回目となる関西電力の電気料金値上げ申請の専門会合での審査がようやく終わりを迎えました。審査は当初の想定より長引き、関電の値上げ実施は申請した際のスケジュールから2カ月遅れることになりました。

 遅れの原因は関電自身にあったといえます。専門会合に対する関電の対応は、多くの委員にとって誠意のないものだと受け止められ、その分だけ審議は長引きました。ここで挙げた2つの辛辣な発言は、委員たちの心証を象徴的に表したものです。

 これらの言葉が関電の幹部たちの胸にどれだけ響いたのかは分かりません。自分が彼らの立場だったら新大阪への帰りの新幹線の中で泣いちゃうのではないかと思いましたが、日本を代表する大企業・関電の経営中枢にいる人間の精神はそんなに軟ではないのかもしれません。

 もちろんそれは褒め言棄ではありません。こうした体質が今後も変わらないままであるならば、今は地元で圧倒的な存在感を持つ彼らですが、今後の市場競争の中で淘汰されていく可能性もゼロではないでしょう。
(以上、引用)
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2020年第三者委員会に指摘された
関電のユーザー目線欠落

◆原発マネーの不正還流に関して2020年3月14日に発表された,関電の第三者委員会の報告書では,下記のように関電の「ユーザー目線の欠落」が指摘されている(p.188~189)。

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(以下,引用)
第3 関西電力にはびこる内向きの企業体質(ユーザー目線の欠落と透明性の軽視)

……長年にわたって関西電力において醸成されてきた内向きの企業体質がある。より具体的には,関西電力においては,電力の安定供給の観点からも,経営の観点からも,原子力発電所の安定的な運営・稼働を重視する考えが強く,それがコンプライアンスを凌駕する至上命題となることがあり,また,上記のとおりの前任者らからの伝承や自らの保身が,ユーザーや株主を含めた関西電力の「外」の関係者からの期待よりも優先されてきた。…
……本件問題発覚後の事後的な対応において,本件問題ほどの重大な問題を公表せず,社外取締役を含む取締役会に報告すらしなかったことにも,社内の物差しを優先させ,社外の意見,ユーザーや社会一般の視点を軽視したことが表れている。……

……以上のとおり,当委員会は,コンプライアンスよりも事業活動が優先されてしまう,また,ユーザーや社会一般の視点が欠落してしまうという内向きの企業体質が,数々の原因に通底する根本的問題であったと結論付けた。……
(以上,引用)
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◆043◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆045◆

◆関西電力 闇歴史◆043◆

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◆芦生の美しい自然と、対極の関電
 ~関電のダム計画、金銭で人の心を奪い取る~(~2006年)

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 関西電力が、旧美山[みやま]町の芦生[あしゅう]研究林(京大演習林、京都府、現南丹市)と名田庄[なたしょう]村(福井県、現おおい町)に建設しようとしていた揚水式発電ダムは、2005年末、関電側から旧美山町に対し計画中止を申し入れ、覚書を交わして中止された。この計画は1966年に上部ダムを芦生に下部ダムを名田庄村に建設する計画であった。しかし、芦生の貴重な自然に対する社会的関心の高まり、用地買収の難航、電力需要の低下などを背景に、計画中止に至った。旧美山町としては大きな財源としての期待もあったが、ダム建設に対する住民の不安もあり、中止することで関電と合意したとのこと(2006年6月28日、京都新聞朝刊)。

 なお、芦生ダムの計画発表後の経緯や年表については『森の通い帳 芦生への招待』(芦生のダム建設に反対する連絡会編刊、1990年、32p)や、『由良川源流芦生原生林生物誌』(渡辺弘之著、ナカニシヤ出版、2008年、10,168p)に詳しい。いずれも、京都府立京都学・歴彩館に所蔵。

 芦生の自然と、関電のダム計画について、「芦生山の家」の管理運営者である今井崇さんが、大飯原発差止訴訟[京都地裁]の第25回口頭弁論で原告として、意見陳述されている。その中で、ダム建設に伴い、地域が関電に振り回され、金銭で人の心を奪い取るようなことを何度も仕掛けられたことを述べている。以下、今井さんの了承の下に、全文を収録。
(芦生山の家→ こちら
(大飯原発差止訴訟、意見陳述→ こちら

 関電のやってきたことは、何処でも一緒。その醜い姿 !!!(> <)!!!

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2019年11月28日
今井 崇

 私は南丹市美山町芦生に住まいして66年になります今井崇と申します。芦生は由良川最上流の村で、美山町のなかでも一番北東の位置にあります。おおい町とも隣接しており、大飯原発から30km範囲のところで生活しています。

 今日は大飯原発の差し止めを求める意見陳述をいたします。

 私が住んでいる芦生は約5200ヘクタール程の面積がございます。そのうち4200ヘクタールは京都大学の研究林として使われており、650ヘクタールが村の山で、芦生の面積のほとんどは山です。山深く生活条件の大変厳しいところに、2歳の子供から92歳のお婆さんまで計38名が地域住民として生活しています。あと、研究林に勤める京都大学の職員さんが生活しています。

 生活するのが困難な芦生でありますが、自然を守り自然を生かして生活してきたからこそ今日まで住み続けてこられました。私は「芦生山の家」の管理運営をやっています。訪れていただく皆さんには、芦生でとれた物を食べていただいております。お婆さんの作る野菜、私が栽培する椎茸、なめこなどのキノコ類です。また、山の家の下に流れる由良川には、鮎をはじめ様々な種類の魚が泳いでいます。これらも大切な食材です。皆、食事がおいしいと言われます。そしてブナの木1本ブリ千匹とも言います。自然の中に在り自然を生かして生活することがこれからの芦生につながっていくものだと確信をしています。台風や大雨にも大きなダメージを受けましたが、その都度地域のみんなで力を合わせ復旧してきました。自然災害は、人々が住む地域を奪われるということはありませんが原発の事故だったらどうでしょうか。30キロ圏内の我々は地域再生が出来なくなり、生活の場を奪われてしまいます。

 現在、生活道路である市道芦生灰野線と府道38号線を通学バスと市営バスが1日に7本程度走っています。ところが、市道芦生灰野線は最終まで完成していません。車道がなくなる終点からトロッコ道を約1キロ歩いたところにお二人の方が生活しておられます。今までも台風により橋が流され孤立するということが起きています。私が生まれた4日後、昭和28年の13号台風により自宅には土砂が入り大変でした。その後昭和40年の台風24号、57年台風10号、平成2年台風19号、3年の台風19号、と大きな災害が発生しています。雪も一晩に95センチ積もる大雪の時もありました。

 災害のたびに生活道路が通行止めになることが、たびたび発生しています。南丹市道は道幅3.5メートと狭いうえに、ガードレールが整備されていないところもあり、一つ間違えると命がなくなるような道を、生活道路として活用しています。冬季になると除雪作業が行われますが、夕方6時ごろから朝6時ごろまでは30センチ以上の積雪になると通行止めになります。府道38号線も道幅も狭く150ミリの雨が降ると通行止めになります。台風時の倒木、土砂の流出、冬季の積雪、自然災害のたびに通行止めとなります。

 このような状況で、由良川の最上流に住んでいる者は避難をすることは困難です。無理です。陸の孤島になる状況です。

 また、京都大学芦生研究林は、滋賀県福井県と県境を接した山深いところに位置しここに京都大学生をはじめ多くの学生が植物等の研究にやってきます。職員さんも林内の整備や調査等、頻繁に入山されています。この研究地一部は一般にも開放されており4月から11月ごろまで多くの一般の方がハイキングに訪れていますが、これらのことは原発事故の想定がなされていません。山の中にいる時に事故が起こればどこへ行けばいいのか、入山者に知らせる手立てはあるのか、知らせることが出来たとしても逃げるすべがありません。

 私は、昨年度集落の区長をいたしました。台風時においても、連絡網はあるが、独居老人まで、連絡が難しく何よりも避難場所に集まるということ自体無理です。落石や倒木の危険の中、トロッコ道を約一キロ歩き村に出てくることや3.5キロにおよび点在している人家、安全に避難をすることは無理です。降雪時も同じです。

 私が管理運営する「芦生山の家」では、原生林のハイキングの案内もしております。専任のガイドが研究林内を案内するものです。ガイドには衛星携帯を所持しながら案内をしておりますが、林内は、通話できるところが限られており、谷合では通話できません。原発事故を知らせるすべがございません。京都大学からも原発事故の対応についての指示は何もありません。由良川の最上流に位置する芦生の森を守ることはそこに住んでいる者だけの利益だけではありません。川を守りそして海を守る、ブナの木一本、ぶり千匹と言われているように豊かな海を守っていくためにも山を荒らしてはなりません。原発事故が起これば、山も川もそして海もあらしてしまいます。元には還りません。原発は自然との共生は出来ないのです。

 芦生にはかつて高浜原発とセットで建設されようとしていた、揚水式のダム計画がありました。芦生の研究林内に建設が計画されたのです。地域は関西電力に振り回されました。お金をちらつかせたり、飲食を提供したり、金銭で人の心を奪い取るようなことを何度も仕掛けましたが、村に生きる人々は、お金は一時のもの、一度ダムで村を潰してしまえば二度と美しい山は戻らない。頭の上に水を張ったバケツを置いて安心して眠ることなど出来るはずがないと、反対を貫いてきました。今、この自然を求めて多くのハイカーが訪れてくれています。ここに住まいするものの使命は自然を大切に守り発展させることです。地域に仕事場を作りたくさんの人が住まいできる村にしなくてはなりません。

 原発事故が起きたらどうするのか、どう逃げるのか、このような思いを抱えて生活するのは息苦しくて未来への展望も生まれてきません。住むものがこの地を生かして住み続けるために、原発停止、完全な廃止しかないと強く思います。

 芦生の村人は貧乏な者ばかりでした。子育て中もどんなにか苦労をしてきたかと思います。けれども貧乏をしてもお金に惑わされなかった父達は、本当に正しかったと思います。ダム建設を許さず、芦生に生きてきた人々のおかげでこの村がある。私もその思いを受け止めこの地域で生きていくそのためにも原発の再稼働中止、そして原発廃止を強く願うものです。
                  以 上
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◆2021年秋、季節外れのJEPX高騰、限界費用の見直し

(1) JEPXスポット市場が全国で50円/kWh超え、原因不明の高騰に不安広がる
「公開情報から高騰要因が読み解けない」

~~日経エネルギーNext 2021/10/08
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00001/00064/

日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場が高騰している。10月7日に約定した8日受け渡し分の16時30分~17時のコマは、システムプライス(全国平均)が50円/kWhとなり、全国9エリアすべてで50円/kWhを付けた。例年なら低価格で推移する10月の高騰に衝撃が走っている。
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・新電力の多くが2020年度冬季高騰時のインバランス料金の弁済、この秋のJEPX高騰、さらに冬場に向けた電源確保のための前金支払いのトリプルパンチを受けている。
・JEPXスポット市場の異変は9月の西日本から始まった。10月に入ると北海道エリアが高騰。10月1日には2021年度としては最高値となる55円/kWhを付けた。その後も西日本が深夜も含めて1日を通して高値をつけるようになった。11月上旬から東日本や九州も高値となり、その状況が延々と続いている。
・電力需要が低くなる週末まで高値を付けるようになり、過去に例のない事態が起きている。端境期である10月、11月は太陽光の発電量が多い日中や需要が少ない夜間の市場価格は安価であるのが通常だ。だが、今年は早朝深夜から日中も含めて1日を通して極寒の厳冬のようなベース高騰が起きている。しかも、1か月以上この状況が続くとは衝撃的。
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(2) 季節外れのJEPX高騰の背景に膨大すぎる「ブロック入札」
経済産業省の新電力向け勉強会で明らかに

~~日経エネルギーNext 2021/11/12
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00001/00067/

日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場の高騰が続いている。高騰理由は諸説あるものの、公開情報からは特定できない状況が続いてきた。しかし、ここへきて驚くべき量の「ブロック入札」の存在が明らかになった。
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・監視委員会が明らかにしたデータは「約定率が非常に低い大手発電事業者が7社おり、そのうち5社は入札量の9割以上がブロック入札だった」というもの。ここでいう大手発電事業者とは、大手電力7社、JERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力が出資する発電会社)、Jパワー(電源開発株式会社)の9社を指しており、この中の5社という意味だという。
・入札量のほとんどをブロック入札にしている大手発電事業者は、ブロック入札を利用した売り控えをしていたと見られても、なんら不思議はない。
・今回のブロック入札の件も含めて、監視委員会が市場を正常に機能させるために監視を強めないことには、日本の電力自由化は新電力総崩れとともに幕を下ろすことになる。
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・「ブロック入札」とは

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電力市場が史上2番目の高値、意外な2つの理由
問われる大手電力の「燃料制約」と「ブロック入札」(少し古いですが、2018/02/16)
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/031400070/021500046/

・ブロック入札は、4コマ(2時間)以上の複数の時間帯にまとめて入札し、指定した時間帯に渡って売り入札量全量が約定したときだけ、取引が成立する。
・売り手(発電業者)から見れば、実需給前日に開かれるスポット市場でまとまった規模の需要が見込めれば発電所を稼働させるという性格の取引で、バランス停止対策に有効という理由から導入された。バランス停止とは、需要が見込めるかどうか(市場で売れるかどうか)分からないなどの理由から火力発電所の火を落とすことを言う。
・ところが、本気で約定を目指しているとは思えないようなブロック入札の実態が明らかになった。
・「1日24時間・30万kWh/h・12.6円/kWh」というブロック入札があったことが監視委員会から報告された。容量で30万kWといえば、原子力発電1基の3分の1に相当する規模で、これが24時間満遍なく売れなければ、微塵も売り渡さない(発電しない)という取引である。
・監視委員会の報告は、約定の可能性が低いブロック入札が量的にも件数でも少なくないことを示唆するものだった。どのようなブロック入札が行われているのかの実態は、日々取引に参加している市場関係者にも分からない。
・しかし、ある大手電力幹部は「(約定の見込みのない)ブロック入札は複数の大手がやっている」と証言する。ブロック入札が、バランス停止実施のためのアリバイづくりだとしたら問題だろう。
・燃料制約やブロック入札の実態から、大手電力は自社の顧客向けを優先して、卸電力市場などに投入するための発電は抑制したという構図が浮かび上がる。
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(3) 大手電力の度重なる買い越しが意味するもの
「端境期」になぜ電力市場が高騰するのか

~~日経エネルギーNext電力研究会 2021/11/24
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00003/00018/

今秋、電力市場はこれまでに見たことのない値動きを見せている。何が起きているのか。足元の端境期に生じている電力市場高騰の謎に迫る。
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・制度設計専門会合(第66回)では、オブザーバーとして出席した大手電力の役員から、LNG高騰時にLNGを転売し、国内の電力需要にはJEPXから電力調達を行うという事態に関する発言があった。
・「燃料制約がなくても燃料市場が高騰していた時に、電力市場に投入すると損が出てしまい、JKM(北東アジアのスポットLNG価格指標)で売った方が良いという状況がある。平常時にこの動きが認められないのであれば、改めてご検討をお願いしたい」というもの。
・仮に、長期契約により安値で獲得した燃料を高値で国際燃料市場に転売し、その分の電力を国内電力市場から高値で買い付ける行為が常態化したら、国内事情より先にグローバルな価格水準と国内電力価格が裁定し始め、それにJEPX価格が振り回されるようになる。
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(4) 東北電やJERA、JEPXスポット市場への売り入札価格を変更
「限界費用」の見直しで電力市場が変わる?

~~梅田あおば=電力事業アナリスト 2021/12/02
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00067/

11月、東北電力とJERAが日本卸電力取引所に玉出しする際の入札価格の基準を変更すると発表した。売り入札価格のベースとなる「限界費用」の考え方を変える。電力需給の実態をより市場に反映させる政府方針に沿ったもので、2社以外の大手電力にも広がる可能性が高い。だが、電力市場価格の変動が大きくなる要因にもなりそうだ。
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・現在、旧一般電気事業者は「自主的取組」として、余剰電力の全量を市場に供出すること、限界費用でスポット市場に売り入札することが求められている。各社は従来、長期契約や燃料スポット市場などによる調達済み燃料の「加重平均価格」を限界費用とする考え方をとってきた。東北電は11月24日以降(準備が出来次第)、これを燃料スポット調達などによる「追加的な調達を考慮した価格」に変更する。現在、LNGのスポット価格は長期契約価格を大きく上回っているため、東北電などの変更は売り入札価格を上げる効果を持つ。
・燃料スポット価格をより直接的に反映することにより、売り入札価格は高値/安値いずれの方向に向けても従来以上に変動性が増すことになる。
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・監視委員会は、燃料の需給状況を価格シグナルとして反映させるという観点から、燃料の追加的な調達価格を限界費用としたうえで、売り入札価格に反映することを許容するとしている。しかし、相場操縦を目的として事前に燃料調達量を減らす行為や、燃料を転売することにより不当に追加的な燃料調達を発生させる行為は問題となる。
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・火力発電燃料のうち、マイナス162℃で液化されたLNGは長期貯蔵に向かず、特に調達戦略が難しい燃料であると考えられる。LNGタンカーからタンクに受け渡されたLNGを再び船に払い出すこと(リロード)は技術的難度の高さから一般的には行われておらず、LNG取引の多くはLNG産出国から日本に到着するまでの2カ月の輸送期間を考慮した配船計画を伴うものとなっている。
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・今後、スポット市場に供出される余剰電力(入札可能量)に対しては、新たな限界費用が適用されることとなる。今冬、LNGスポット価格が高い場合、JEPXスポット価格も上昇する蓋然性が高い。
・スポット市場における価格シグナル性が増すこと自体は健全なことだが、小売電気事業者がどのようなルート(相対卸供給・常時バックアップ・スポット市場)から調達するかにより、あまりに大きな値差が恒常的に生じる事態になったとしたら、調達ルートの新たな選別や忌避を招くおそれがある。限界費用の考え方の見直しは、スポット市場における大きなゲームルールチェンジである。逆に言えば、従来のスポット市場価格の安定性は燃料の長期契約価格の安定性に支えられていたことを改めて認識させられることとなった。
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(5) JERA幹部が明かす、冬の電力不足を防ぐ「PPA」「限界費用」見直しの意義
野口高史・JERA最適化戦略部長に聞く

2021/12/14
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00002/00017/

日本最大の発電事業者JERA(東京都中央区)が、東京電力エナジーパートナー(東電EP)とのPPA(電力購入契約)の見直しに踏み切った。さらに限界費用によるJEPX(日本卸電力取引所)入札価格の算定方法の見直しも公表した。なぜ見直しを決めたのか。JERA最適化本部・最適化戦略部の野口高史部長に聞いた。
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・第1に、東京エリアは自由化の進展によって、東電EPから新電力への離脱が進み、エリア全体の需要と東電EPの需要の差が大きくなっています。東電EPから離脱した需要は3割に迫ろうとしており、需要の動向を予測するのが難しい状況にあります。
・当社は東京エリア最大の発電事業者ですから、エリア全体の需給のしわ取りを期待されています。ですが、東京エリアには、ガス会社の火力発電所や共同火力など、様々な電源があり、当社の電源比率はエリアの5~6割にとどまります。
・第2が、東電EPとのPPAが、ゲートクローズ(実需給の1時間前)直前まで東電EPが当社から調達する電力量を変更できる「変動数量契約」となっていたことです。東電EPはギリギリまで自社需要に供給量を合わせるべく、当社に対して供給量の通告変更が可能でした。
・東電EPへの供給量がゲートクローズ直前まで変動するため、適正量のLNGを調達するのが難しくなっていたのです。
・第3が、電力市場との接点を東電EPが持っていたことです。JEPXへの余剰電力の玉出しも東電EPが手がけていました。本来であれば燃料市場やLNG在庫運用に知見のある当社が実施すべきでしたが、慣例的に小売部門が担ってきたのです(編集部注:中部エリアはかねてJERAが玉出しを実施)。
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・北東アジア着のLNGスポット価格指標「JKM」(Japan Korea Marker)の価格をJEPXスポット価格と見比べると、2倍の差があります。例えば、100億円分のLNGを調達したとして、発電して電力として売ると50億円にしかならない。長期契約で確保しているLNG価格とスポット市場価格の差が、あまりに大きい。今の状況では、電力供給の担い手である大手電力が「LNGを自ら調達せず、電力を買う方が得だ」との判断もあり得る状況。
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(6) 河野規制改革相が検討を要求、日本の電力自由化に「発販分離」が必要なワケ
JERAも東電や中部電の小売部門に縛られている

~~日経エネルギーNext電力研究会 2021/05/25
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00003/00011/

にわかに「発販分離」が電力改革のテーマに浮上してきた。大手電力の発電部門を販売部門から切り離し、発電競争を促進しなければ健全な電力市場の発展は望めない――。河野太郎規制改革相のタスクフォースが経済産業省に、9月までに発販分離の検討を報告するよう迫った。
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・発電部門を縛る「変動数量契約」とは
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・大手電力内部において発電部門が販売部門に電力を受け渡す際の契約で、販売部門が発電部門に発注する電力調達量は実需給断面に近いタイミングで決めるというものだ。つまり、販売部門が需要変動に応じて常時、自分たちに必要な量の電力を発電部門から調達できるという仕組み。
・電力の相対取引の大部分を占める大手電力の内部取引で変動数量契約(量を決めない契約)が幅を利かせていれば、発電部門の取引を縛る契約の拡大は自由化に逆行する。グループ内外を問わず、変動数量契約を廃止し、すべての相対取引は確定数量契約とするのが筋である。
・変動数量契約が締結されている限り、取引実態としては旧来の発販一体体制が続いると言って過言ではない。販売部門は実需給に合わせた調達がいつでも可能な一方で、発電部門は実需給直前まで取引量が決まらないというのは、販売部門に極めて有利な契約である。需給がタイトになるほど、発電部門はギリギリまで電源を確保する必要に迫られる。組織的には別会社であったとしても、発電部門が販売部門に振り回される(従属している)実態は変わらない。
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(7) 朝日新聞 凄腕(スゴウデ)仕事人

(2021/12/13)「日本卸電力取引所 企画業務部長 国松亮一さん」
運営する卸電力市場の取引が総需要の37%

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・日々の業務で目をこらすのは、価格を恣意的に動かそうとする取り引きがないかだ。
・発電設備を抱える事業者が本来はもっと発電できるのに、価格をつり上げるために不当に抑えていないか。値動きが気になったら、まず電話する。納得がいかないと、直接本社に出向く。「高くしようとしていると、疑われないようにしてほしい」
・政府の電力・ガス取引監視等委員会のような公的な調査権限はないが、「抑止力という形で作用すると信じている」。
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◆12/16 第31回口頭弁論の報告—宗川吉汪さんから

2021年12月16日、京都地裁で大飯原発運転差止訴訟の審理が行われました。

谷文彰弁護士の弁論

 原告は、これまで、大飯原発敷地の地下構造が脆弱で、原発設置は危険だ、と証拠をもって示してきました。それに対して関電は、専門家の意見書を添えて反論しました。
 今回、谷弁護士は再度反論し、大飯原発敷地の地下構造を調べた弾性波トモグラフィー解析の結果は、敷地の地盤が柔らかい構造であることを示している、と述べました。(図の濃い青色部分が固い構造。黄色や薄い青色部分は柔らかい構造)
 

弾性波とは、弾性体(力を加えると変形し、力を取り除くと元の形に戻る物質)内を伝わる波のこと。弾性波トモグラフィーとは、CTスキャナーの原理を応用して地質の構造を調べる手法。固い地盤では弾性波の縦波・横波とも起こるが、柔らかい地盤ではずれに対して弾性を示さないので横波は起こらない。

迫田薫さん(エコネットまいづる事務局長)の口頭弁論

 迫田さんは、舞鶴市の避難計画には、三つの重大な問題点がある、と述べました。
1)市民への説明会は自治会長などに限られていて、ほとんどの市民には避難計画の内容が知らされていない。
2)避難計画は実効性がない。例えば、多くの高齢者には、HP・スマホ・Line・FMまいづるなどでは伝わらない。避難バスは来るのか。避難場所に行くのに徒歩・自家用車・乗せてもらう、など自己責任が強いられている。地震などで道路は大混雑が予想される。避難した3〜4千人を誰が仕切るのか。避難中のトイレはどうする。ガソリンはどうなる、などなど。
3)今の計画では、被ばくしないでヨウ素剤を配布したり服用することは不可能。
 避難計画でなく、原発を止めろ。しかし、使用済み核燃料があるかぎり安全でない。安全な保管方法に切り替えろ、と訴えました。

2021年12月
原発ゼロを目指す左京の会
(共同代表 宗川吉汪[そうかわ・よしひろ] sokawaあっとsnr.kit.ac.jp)

◆12/16 第31回口頭弁論の報告—世話人会から

2021年12月16日(木)に京都地裁で第31回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、弁護士会館で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 開廷前の裁判所周辺デモは、天気に恵まれました。コールなしでスピーチのみでしたが、久しぶり(コロナ禍で2回中止にしていましたので)。
  • この日は原発賠償京都訴訟(大阪高裁で控訴審)と重なったため、参加者数がどうなるか、気になりましたが、コロナの感染者数が一段落しているせいか、傍聴席応募も、報告集会参加者も、前回より多くなりました。傍聴席は抽選になり、当日配付資料は100部用意して、残部は17でした。報告集会の参加者も60名ほどで(名簿記入は39名)、カンパ額は、前回、前々回を上まわりました。ありがとうございました。
  • 原告の意見陳述は、舞鶴市の迫田薫さん(エコネット舞鶴)。若狭の原発に隣接する舞鶴市民にとって原発とは、原発で事故が起こった場合の避難の困難性を訴えました。また、弁護団より4つの準備書面が提出されました。以上、原告の意見陳述、弁護団からの準備書面は→こちら
  • 閉廷後,「弁護士会館」で報告集会が開かれ,弁護団からは準備書面の解説があり、原告団からは活動報告などを行いました。会場カンパ、感謝いたします。

◆報告とお礼~12.5「老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」に1600 人

【2021年12月9日,実行委MLで配付】

 関電が6 月に再稼働させた危険極まりない老朽原発・美浜3 号機は、特重施設の設置が期限に間に合わなかったため、僅か4 ヶ月の運転で、10 月23 日、停止に追い込まれました。老朽原発・高浜1、2 号機も、特重施設が完成せず、今でも停止したままです。美浜3 号機、高浜1、2 号機の特重施設の完成は、早くても2022 年9 月、2023 年5、6 月といわれています。ただし、これらの老朽原発は、特重施設の完成後に再稼働されたとしても、2023 年末には停止に追い込まれる可能性が大です。それは、関電は「使用済み核燃料の県外中間貯蔵地を2023 年末までに探せなければ、老朽原発を停止する」と明言していますが、中間貯蔵候補地探しは至難であるからです。老朽原発停止を突破口に原発全廃に向かって大きく前進するチャンスです。

 そう考えた「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、老朽原発廃炉に向けて「やれることは全てやる」ことを決定し、現在までに以下を実行しました。

【1】「老朽原発このまま廃炉キャンペーン期間」(10 月23日~12 月4日)を設定しましたが、賛同して実施された行動は全国で72 に上りました(期間に先立つ行動を含む)。「ヒトリデモ」「集会」「デモ行進」「スタンディングアピール」「チラシ配布とアメーバデモ」など、多種多様な行動でした(後段参照)。以下は、代表的な行動です。

10.25「美浜3 号もう動かすな!現地行動」;美浜3 号機が停止した直後の10 月25 日、関西・福井・中部などから63名が美浜原発対岸の公園に結集し、集会、原発ゲート前を往復するデモで関電を糾弾しました。後、関電原子力事業本部(美浜町)前に移動し、怒りのアピールと、申入れの後、町内デモで「美浜3号もう動かすな!」を訴えました。大雨、寒風にも拘わらず、熱い行動でした。

11.17「MOX 燃料搬入抗議行動」;運搬船到着地・高浜原発の対岸・荷上場に、早朝より、関西、福井の30 名が結集し、12 メートルの横断幕2 枚を掲げて、2 時間にわたって「プルサーマル運転反対!」「MOX 燃料の搬入を許さないぞ!」などの怒りの声を上げた後、原発までデモ行進し、北ゲート前で抗議行動を展開しました。

11.23(高浜原発前出発)-11.27(美浜町到着)「老朽原発このまま廃炉!リレーデモ」;延べ130 名が参加しました(出発日には、名古屋、岐阜、関西一円、福井から、約60名が参加)。天候が急変し、雨、霰、みぞれ、強風が襲う荒天にもめげず、5 日間を歩きました。今回のリレーデモでは、若狭の住民からのご声援が格段に多くなっていることを実感し、参加者一同、感激することしきりでした。

【2】「12.5 老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」に全国から1600 名が結集し、昨年の9.6(1600 人結集)、本年の6.6(1300 人結集)「老朽原発うごかすな!大集会in おおさか」に引き続く大集会となりました。集会後は、圧巻の御堂筋デモ行進を行いました。コロナ禍で、市民団体や労働団体の組織参加は自粛されたものの、脱原発を目指す市民団体、労働団体、政党の多くの代表が参加されました。

 12 月5 日のうつぼ公園(大阪市西区)では、赤く染められた「老朽原発うごかすな!」の大横断幕が参加者を待っていました。一時間前から始まった川口真由美さん等のミニライブで盛り上がった後、中嶌哲演さんの主催者あいさつで集会が開始されました。中嶌さんは、「目に見え、耳に聞こえる運動で世論を作ろう」と訴え、さらに大きな運動の構築を目指す次回実行委員会(12 月14 日)への結集を呼びかけました。

 井戸謙一弁護士は、大阪地裁に申し立てた「美浜3号機運転差し止め仮処分」の経緯と現状を報告しました。また、「裁判官も一人の人間。老朽原発の稼働は誤りと思わせるように、大衆運動の力で背中を押そう」と呼びかけられました。

 名古屋地裁の老朽原発廃炉訴訟、老朽原発の地元(若狭町、小浜市、東海)からの発言が続き、全員でのポスタ―掲示行動の後、原発賠償関西訴訟原告の発言、全国から駆け付けた闘うみなさん(青森、福島、首都圏、石川、四国)20 数名および参加政党の代表の紹介、関西の市民団体からからのアピール、「キャンペーン期間」の行動報告、労働団体からのあいさつと続き、最後に、「原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しよう!」という集会アピールが提案され、拍手で採択されました。集会後の御堂筋デモは、にぎやかに貫徹され、道行く人から熱い応援を得ました。

 集会には、全国で脱原発、核施設建設反対を闘う立地の団体、住民からのメッセージが寄せられ、冊子として配布されました。また、集会に先立つライブ、集会、デモの様子は、IWJにより全国に中継されました。

ご参加、ご支援くださいました皆さん、
ありがとうございました。

老朽原発をこのまま廃炉に追い込み、
原発全廃の突破口にしよう!
来る年には、さらなる大行動を!

2021年12月8日
老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2021 年12 月6 日しんぶん赤旗

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*老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか/ IWJ・エリアCh6/ へのアクセス
・前段ライブ:→こちら
・集会:→こちら
・デモ:→こちら
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「老朽原発このまま廃炉!キャンペーン」期間中に
取り組まれた行動(全74)

(12 月5 日までに実行委員会が把握している行動)

【注】以下、①ヒトリデモ、ひとりウオークとは;一人ひとりが十分な間隔(例えば20m)をとって、拡声器、ポスター、旗、のぼりを持って「原発反対」を訴えながら歩く行動。②アメーバデモとは;小集団に分かれて地域の隅から隅まで、徒歩あるいは街宣車で「原発反対」を訴えながら廻り、チラシを各戸配布する行動。①、②ともに「集団示威行動」にはならず、警察への届け出は不要で、いつでもどこでも実行できます。
<大阪(ヒトリデモ6回、スタンディング・チラシ配布2回、団体廻り1回)>
・8月20 日:枚方ヒトリデモ、第1回御堂筋ひとりウォーク、
・10 月26 日:「原子力の日」反原発関電本店前行動、
・10 月8日:高槻ヒトリデモ、
・11 月2 日:第2回御堂筋ひとりウォーク、
・11 月7 日:釜ヶ崎ヒトリデモ、
・11 月9 日:政党、労組、団体廻り9か所、
・11 月11 日:高槻駅歩道橋スタンゲィングとチラシ配布、
・12 月1 日:第3回御堂筋ひとりウォーク

<兵庫(団体廻り1回、集会でアピール1回)>
・11 月8 日:政党、議員、労組、団体廻り9 か所、
・11 月8日:樋口英明さん講演会でアピール

<奈良(集会アピール・デモ4 回、スタンディングアピール13 回)>
・8月~11 月の6 日:ロックアクションでアピールとゼッケンデモ、
・8月~11 月の、9 日と19 日:近鉄生駒駅前スタンディングアピール、
・8月28 日、9月25 日、11 月13 日:JR 王寺駅前スタンディングアピール、
・9月18、28日:メガソーラ反対行動

<京都(ヒトリデモ8 回、集会チラシ配布数回、アメーバ各戸チラシ配布1 回、申入れ行動1 回、団体廻り1 回)>
・8 月31 日:鴨川ヒトリデモ、
・9月3、10 日:三条から関電ヒトリデモ、
・9月19 日、10 月1 日:市役所から関電ヒトリデモ、
・11 月3 日:憲法集会でチラシ配布、
・10 月2 日、11 月6 日、12 月4 日:八幡ヒトリデモ、
・10 月29 日:洛北街宣とアメーバ各戸チラシ配布、
・11 月11 日:関電京都支社へ申入れ行動、
・11 月16 日:政党、労組、団体廻り5 か所

<滋賀(ヒトリデモ3 回、デモ7 回、講演会2 回、団体廻り1 回)>
・8 月28 日、9 月11 日、10 月23 日、11 月13 日、12 月4 日:脱原発市民ウォークin しが、
・8月28 日、9月11 日:びわ湖ヒトリデモ、
・10 月6 日:髙島ヒトリデモとチラシ各戸配布、
・10 月9 日:「美浜3号機差止仮処分申し立ての意義」井戸謙一弁護士講演会、
・10 月30 日、11 月27 日:脱原発市民ウォークin 近江八幡、
・11 月3 日:憲法集会でチラシ折込み、
・11 月13 日:「老朽原発このまま廃炉」井戸弁護士講演会、
・11 月16 日:政党、労組廻り4 か所

<福井(アメーバ各戸チラシ配布4 回、アンケート結果配布1 回、緊急行動とデモ2 回、リレーデモ5 日間)>
・8月8日:美浜町住民へのアンケート結果の配布、
・10 月13 日:美浜町アメーバ各戸チラシ配布(美浜)、
・10 月25 日:「美浜3号もう動かすな!現地行動」抗議集会とデモ(63 人)、
・11 月10 日:アメーバ各戸チラシ配布(高浜)、
・11 月17 日:アメーバ各戸チラシ配布(高浜)、
・11 月17 日:MOX燃料搬入抗議行動とデモ(30 人)、
・11 月23 日~27 日:老朽原発このまま廃炉高浜から美浜リレーデモ・アメーバ各戸チラシ配布も(のべ130 人)

<名古屋>「老朽原発40 年廃炉訴訟市民の会」による
・10月23日:美浜原発このまま廃炉スタンディングアクション
・11月15日:老朽原発40年廃炉訴訟 期日(名古屋地裁)支援、報告集会でアピール
・12月 5日:名古屋同時スタンディングアクション(名古屋栄ラシック西側歩道)

<岐阜>
・12 月11 日(予定):さよなら原発パレードin ぎふ(12.5 集会に連帯して)

<郡山>
・11 月6 日:「原発いらない福島の女たち」「チェルノブイリ法日本版の会」による連帯アピール行動

<岩国>
・11 月22 日:岩国基地反対集会で、全員でプラカードを掲げるアピール行動


12.5 集会にメッセージを寄せられた団体、個人

北海道後志(しりべし)原発とエネルギーを考える会、
核の中間貯蔵はいらない!下北の会、
なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク、
原発いらない福島の女たち、
放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会、
みやぎ脱原発・風の会、
東海村議会議員、
柏崎刈羽原発絶対反対地元住民有志、
さよなら原発・ぎふ、
浜岡原発を考える静岡ネットワーク、
敦賀市議会議員、
美浜町議会議員、
おおい町住民、
高浜町住民、
さよなら島根原発ネットワーク、
上関原発を建てさせない山口県民連絡会、
伊方から原発をなくす会、
玄海原発プルサーマルと全原発をみんなで止める裁判の会、
ストップ川内原発!3.11 鹿児島実行委員会


12.5 大集会で採択された集会アピール

原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しよう!

 福島原発事故は、原発が一旦重大事故を起こせば、人々の生活を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。それでも、関電と政府は、運転開始後45 年を超える、危険極まりない老朽原発・高浜1、2 号機、美浜3号機の運転を画策しています。

 私たちは、以下の理由により、老朽原発廃炉、原発全廃を訴えます。

原発を動かせば、何万年もの保管を要する負の遺産・使用済み核燃料を生み出しますが、その処理・処分法はなく、中間貯蔵すら引き受ける場所がありません。

政府や自治体は、私企業である電力会社が運転する原発の重大事故を想定した避難訓練を、血税を使って行っていますが、それは、原発は重大事故を起こしかねないことを政府や自治体が認めているからです。ただし、その「避難訓練」も、僅かの人数による僅かの期間だけの訓練で、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りに過ぎません。原発過酷事故時の避難は、訓練ができないほど深刻で困難なのです。

関電の原発に関して、各種のトラブルが頻繁に発生、発覚しています。

 最近では、1 昨年10 月および昨年11 月に高浜4 号機で、昨年2 月に高浜3 号機で蒸気発生器伝熱管の損傷・減肉が発覚しました。去る6 月に再稼働した老朽原発・美浜3 号機でも、7 月2 日に、緊急時に蒸気発生器に給水する補助給水ポンプのフィルターに鉄さびが詰まるトラブル、10 月6 日には、非常用ディーゼル発電機が緊急停止するトラブルが発生しています。7 月に再稼働した大飯3 号機でも、8 月4 日、復水器に海水を送る配管が腐食し、直径4 cm の穴が開いていました。

 このような数々の配管トラブルは、若狭の原発の配管は相当危険な状況にあることを示します。老朽原発の運転など、もってのほかです。

若狭の原発の耐震性は疑問です。例えば、活断層の巣の中にある美浜3 号機の耐震性の評価にあたって、震源が近くにあることの配慮はなく、地盤変位に対する考察もありません。また、地震が繰り返された場合の考慮が不十分です。さらに、美浜3 号機の基準地震動の評価は、405 ガルから993 ガルへと増大していますが、それに見合って原発の耐震性が強化されているとは言えません。

原発電力のコストは上限を試算できないほど高額です。去る7 月に試算された2030 年の1 キロワット時あたりの発電コストは、原発では「11 円台後半以上」で、太陽光や陸上風力などに比べて、原発の優位性は否定されています。なお、原発コストの試算額には上限がありません。「事故処理費用が見込みづらい」ためです。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・保管費を含めれば、原発の発電コストは膨大になります。

関電は、老朽原発の再稼働を巡って、立地自治体に同意を要請し、苦悩の選択を迫りましたが、福井県知事が同意を表明した直後に、高浜1、2 号機の再稼働断念を発表しました。このように、関電は、自社の都合のみで、人々を混乱に陥れています。このことと、一昨年来の原発マネー不祥事、使用済み核燃料中間貯蔵地探しに関わる再三の約束違反を考えあわせますと、関電は、企業倫理に欠け、何の成算もなく約束し、それを平気で反古にする企業と言わざるを得ません。

 以上のように、原発は、使用済み核燃料の蓄積、重大事故時の避難の困難さ、トラブルの多さ、耐震性の低さ、発電コストの高さ、電力会社の企業倫理の低さ、いずれの面からも、稼働を容認できる装置ではありません。原発は万が一にも重大事故を起こしてはならない装置です。
 老朽原発を廃止に追い込み、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会を実現しましょう!
2021 年12 月5 日

「老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか」参加者一同


◆12/16 第31回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー準備書面、意見陳述こちら
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【原告】裁判資料ーー証拠説明書と書証(甲号証)→ 以下に
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第89準備書面[2 MB] 関係]証拠説明書 甲第603号証[87 KB]
(2021年12月6日)

甲第603号証[3 MB]…大飯発電所の敷地地下構造の不整形性について(2)


第88準備書面[264 KB] 関係]
(2021年12月6日)

・証拠なし


第87準備書面[1 MB] 関係]証拠説明書 甲第602号証[93 KB]
(2021年12月6日)

甲第602号証[2 MB]…大飯原発のPS検層結果による地盤震動特性


第86準備書面[1 MB] 関係]証拠説明書 甲第596~601号証[122 KB]
(2021年12月6日)

甲第596号証[2 MB]…大飯発電所の敷地地下構造の不整形性について
甲第597号証[2 MB]…澤田意見書批判
甲第598号証[2 MB]…小島意見書批判
甲第599号証[1 MB]…高浜発電所・大飯発電所 地下構造について(コメント回答)
甲第600号証[2 MB]…田村八洲夫意見書
甲第601号証[20 MB]…美浜発電所 地下構造評価について


第85準備書面[540 KB] 関係]証拠説明書 甲第595号証[81 KB]
(2021年12月6日)

甲第595号証[733 KB]…口頭弁論要旨


【注】裁判資料ページ全体の構成変更にともない、第27回口頭弁論から、前回までのタイトル「原告提出の書証」を、「原告提出の書面」に変更しています。内容的には、証拠説明書と書証を掲載している点で、ほぼ同じです。(ページの上のプルダウンメニューから入る場合と、右の更新情報から入る場合と、両方に対応する形にしました。)