投稿者「meisei」のアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆087◆

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◆関電の小売部門が送配電子会社の情報を不正閲覧
 「電力システム改革」の重要課題に違反
 関電のコンプラ意識がさらに問われる事態
 【付 電力システム改革】

(エネ庁サイトへの不正閲覧→◆100◆
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▼二つの不正閲覧

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[9] 個人情報保護委員会(個情委)が行政指導
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・大手電力の小売部門が送配電部門の個人情報不正閲覧していた件について、個情委は個人情報保護法の規定に違反すると認定。北海道電力と東京電力を除く大手電力の小売り・送配電部門の計15社が対象。(2023/6/29)

・政府の個人情報保護委員会(個情委)は、エネ庁サイトへの不正閲覧でも、大手電力全10グループと送配電子会社など19社に対して、行政指導を行った(→◆100◆)。

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[8] 関電は16人を処分、送配電も8人を処分
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・関電は、2023/5/12、業務改善計画を経済産業省に提出するとともに、森望社長ら16人の報酬を減らすなどの処分を発表。

森 望   (取締役代表執行役社長)  月額報酬50% 3か月※
稲田 浩二 (取締役代表執行役副社長) 月額報酬30% 3か月
西澤 伸浩 (取締役代表執行役副社長) 月額報酬30% 3か月
松村 幹雄 (代表執行役副社長[ソリューション本部長]) 月額報酬50% 3か月
槇山 実果 (執行役常務[ソリューション本部長代理]) 月額報酬30% 3か月
宮本 信之 (執行役常務[総務室担当]) 月額報酬20% 2か月
荒木 誠  (執行役常務[経営企画室、IT戦略室担当]) 月額報酬20% 2か月
池田 雅章 (執行役常務[コンプライアンス推進室、経営監査室担当]) 月額報酬20% 2か月
高西 一光 (執行役常務[エネルギー需給本部長]) 月額報酬20% 1か月
杉本 康  (取締役監査委員会委員) 月額報酬10% 3か月
島本 恭次 (取締役監査委員会委員) 月額報酬10% 3か月
 上記の他、本件に関係する執行役員ならびに従業員(合計5名)についても、社内規程に基づき厳正に対処します。
※本件に関し、本年3月から6か月間、月額報酬の50%を自主返上中であり、上記処分を超える期間については、引き続き自主返上とします。
 なお、榊原 定征(取締役会長)から月額報酬の20% 3か月を、自主返上する旨の申出があり、受理しました。

【参考】2023年6月の「第99回  定時株主総会 招集ご通知」より

・関西電力送配電も、8人を処分。

土井 義宏 (代表取締役社長) 月額報酬50%、3か月※
白銀 隆之 (取締役副社長執行役員) 月額報酬30%、3か月
大川 博己 (取締役常務執行役員) 月額報酬30%、3か月
高市 和明 (常務執行役員) 月額報酬30%、3か月
津田 雅彥 (常任監査役) 月額報酬10%、3か月
戸田 誠一郎 (常任監查役) 月額報酬10%、3か月
 上記の他、本件に関係する執行役員ならびに従業員(合計2名)についても、社內規程に基づき厳正に対処します。
※本件に関し、本年4月から3か月間、月額報酬の50%を自主返上中であり、既返上分は自主返上の扱いとします。

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[7] 関電は短期間の営業自粛
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・新電力顧客情報の不正閲覧をめぐり、関西電力は3/24から4/30まで電気・ガスの販売で営業活動を初めて全面自粛すると発表。
・関電は4月中に不正に関する社内調査結果をまとめる予定だったが、4月17日に経産省から業務改善命令を受け、5月12日までに内部統制の強化策などを含む業務改善計画を公表することを求められている。そのため、営業自粛期間を報告提出まで延長した。
・ただし不祥事の続出で露呈したコンプライアンス(法令順守)意識の欠如が短期間で改善されるかは疑問。顧客からの契約申し込みは受け付けるなど、甘い形式的な自粛。

営業目的の閲覧が多数…なお、4/19、関電は、2019年11月からの約3年間で、社員62人が新電力の家庭向け契約5万4774件の顧客情報を営業目的で閲覧していたと明らかにした。このうち4000件近くは、閲覧後に契約が関西電力に切り替わっていた。2月の公表時点では、営業活動に使っていたのは社員35人で4332件と説明していた。また企業向けの契約でも、社員ら2千人超が1万940件の情報を不正閲覧していたことが新たに発覚した。

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[6] 経産省、関電に業務改善命令
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・経産省は、2/21、関電に対してコンプライアンスなどについて、緊急点検を指示した。
・電力・ガス取引監視等委員会は、経産省に対してカルテルや不正閲覧問題で該当する電力各社に業務改善命令などをだすよう勧告。
・これをうけた経産省は、2023/4/3、業務改善命令に係る弁明の機会の付与を通知。4/17、関西電力と関西電力送配電などに対し「業務改善命令」を出した。電気事業法に基づく行政処分としては、最上級に厳しい処分。関電の不正閲覧は、2022年12月までの約3年で、関電の社員と委託先の社員、計約1600人が、「新電力」の顧客情報約15万3000契約分にのぼることが判明。不正閲覧は常態化していた。関電に業務改善命令が出されたのは、原発マネー不正還流◆018◆)による金品受領問題に関連して出された2020年3月以来。つまり、関電は、3年間で2度の業務改善命令を受ける事態。参考→◆024◆
   
・業務改善命令…関西電力、関西電力送配電、中国電力ネットワーク、九州電力、九州電力送配電の5社。
・業務改善勧告…東北電力、四国電力など。故意に閲覧できるようにしていた関電より、悪質性は低いと判断。
・業務改善指導…沖縄電力など。

【自治体の処分】
・大阪府は2023/4/24、関西電力を2024/2/1まで「入札参加停止」とした。関電はすでにカルテルの問題をめぐり、大阪府から「入札参加停止」措置を受けていて、4/3以降、府の入札に参加できなくなっていて、今回は不正閲覧問題を受け、「措置が延長された形」。

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[5] 不正閲覧が拡大
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過去3年分(2019年11月~2022年12月)を調査……関西電力送配電と関西電力は、新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題で新たな調査結果を発表(2023年2月17日)。関西電力送配電は、託送システムへのログ件数の調査期間を、記録が残る過去3年分まで拡大。その結果、非公開情報を閲覧した関電社員は委託先職員を含め1606人で、契約数は15万3095件に上ることが新たに判明した。社員35人がオール電化の営業に使ったという。
・経済産業省は2月21日、関電に対し法令順守などに関する緊急指示を出し、資源エネルギー庁長官が経産省内で関電の森望社長に手渡した。

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[4] 大手電力、各社で同じ違法行為がまん延
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・大手電力による顧客情報の不正アクセスは、関西電力のほかに、東北電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力でも報告されている。
・電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は、大手電力に遠慮して、監視の役割を果たしていない。

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[3] 子会社「関電システムズ」からも不正に情報入手
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 関西電力は2022年10月まで4年半の間、システムの運営などを委託する子会社「関電システムズ」に依頼し、競合する新電力の顧客氏名や、スイッチング(契約切り替え)情報などを不正に入手していた。子会社側は関電の求めに応じ、送配電のシステムから共有を禁じられているライバル社の情報を渡していた。(2022/1/17 報道)

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[2] 電取委への報告で明らかな法令無視の姿勢
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 関西電力は、2023/1/13、社員および委託先社員を対象にしたアンケート調査の結果を発表。電力・ガス取引監視等委員会に報告書を提出。2022年9月から12月にかけての3か月間で、社員および委託先社員730人によるライバル関係にある新電力の顧客情報への不正なアクセスは、あわせて1万4657契約とのこと。このうち関西電力社員239人の4割が「電気事業法上の問題になり得る」と認識していた。社員30人が「関電として提案活動を行うため」と「オール電化」の営業活動に利用していた。関電の松村幹雄副社長は記者会見で「電力の公正な競争を揺るがすことと認識している」と謝罪した。「事業活動よりコンプライアンスを優先するという意識徹底が不十分であった」と。

・関電の「新電力顧客情報の取扱いに係る調査結果の報告について(電力・ガス取引監視等委員会からの報告徴収への報告)2023/1/13」→こちら

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[1] 不正アクセス事件とカルテル事件
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 関電の小売部門が子会社の送配電会社「関西電力送配電株式会社」の情報に不正アクセスしていたという報道があった(2022年12月27日)。この不正アクセス事件は、カルテル事件(◆024◆)と並んで、関電の「電力システム改革」無視、法令無視、倫理観欠如の姿を明らかにしている
【参考】森と暮らすどんぐり倶楽部 ブログ「関電  新電力の顧客情報不正閲覧!」→こちら

 報道では、関電とライバル関係にある新電力の情報が筒抜けだった可能性があり、不正アクセスが常態化していた恐れもあるとされている。電気事業法が禁止する行為として、電力・ガス取引監視等委員会は両社に報告を求める通知を出した。経済産業省は、今回の事態を重くみて、他の大手電力9社についても同様の問題がないかを速やかに調査、経産相は、調査結果を踏まえ適切な対応を取るとのこと。

 しかし、大手電力の意向に沿ってすすめてきた「電力システム改革」の当然の結末の一つだろう。カルテル事件でも、電力・ガス取引監視等委員会(電取委)はその不法行為を見逃していたことになる。どうして電取委は、カルテルにも気づかず、送配電部門の中立性確保ができていないことにも気づかなかったのか。

 新電力の関係者は「やっぱり」「今さら」「氷山の一角」と言うだろう。新電力と契約している客の名前や連絡先、電気の使用量などの情報が関電にもれていれば、関電の小売営業はひじょうに助かるはずだ。関電は、とくに高圧、特別高圧で新電力に流れた顧客を取り返す「取り戻し営業」に力を入れている。

【取り戻し営業】

・いったん関電から離脱して新電力に移った顧客を、再び、関電の契約に引き戻すという,関電の営業政策。とくに、法人の大口顧客の流出に対して、値下げを含めた「取り戻し営業」を強化。
・京阪電気鉄道は、2018年5月、大阪府や京都府を走る「京阪本線」の動力用の電気について、購入先を新電力のエネット(東京)から関電に切り替えた。関電の取り戻し営業が成功した例とされる。
・岩根茂樹社長(2018年当時)は、昨秋(2017年秋)以降の営業の動向について「企業向けでは顧客の取り戻しが離脱を少し上回るようになった」と言っている。
(産経新聞→こちら
安値、値引き攻勢「取り戻し営業」からカルテルへ◆024◆
「関西電力 闇歴史」番外編(1)関西電力 この11年(2022年末)こちら

【関電社内のコンプライアンス感覚】

・ 関電のプレスリリース(→こちら)によると、「本件は、12月9日、当社社員が新電力顧客情報を閲覧できることに気付き、12月13日に関西電力送配電株式会社に照会し、判明したもの」となっている。

「電力システム改革」の中でもっとも重要な課題に関して、当該の電力従業員らは何も知らないのか。知っていても、素知らぬ顔をしていたのか、あきれかえって、言うべき言葉もない。コンプライアンスは、お題目ではない。日々、職場の中で実践されるべき課題なのに、関電とは、何という会社か…分かっていることだが、改めて怒りがこみあがるニュースだ。

・電力システム改革の中で最重要課題の一つとも言える「送配電部門の中立性確保」について、一人の「当社社員」以外、関電社員は何も知らないのか。「12月6日から12日までの1週間で少なくとも329人の関電の営業部門の社員が1327件の顧客情報にアクセス」と報道されている。329人は、何を考えていたのか。自分の営業成績だけか。「行為規制」を知らなかったとしても、知ってて無視したとしても、重大な違反行為だ。

・知らなかったとしても、知っていても無視し続けてきたとしても、関電社内のコンプライアンス感覚がまったく最低レベルであることを示して余りある事態だ。

・オンラインコメント…「当時新電力として事業に携わっていましたが、高圧(事業用)以上の案件で旧電力からの契約切替の話が進むと、急にその需要家(顧客候補)に旧電力からの営業攻勢として大幅な値引き提案が入りご破産になることが多々ありました。この問題は公平な競争環境の構築による顧客メリットを大きく阻害しています。」
「関電の社員であれば電気事業法を理解しているはずであり、少なくとも一人ぐらいは問題視し、早期に対策(閲覧禁止)を取ったはずです。一人もそれに気づかない、気付いたとしても対策を取らない社員ばかりであるということは信じられません。関電を含め電力関係会社の情報管理能力およびその倫理観を含めて、再教育する必要があるでしょう。」

関電の広報には「厳格な情報遮断」を記載】

・「発送電分離は、小売全面自由化と並ぶ電力システム改革の大きなポイント」として、その「中立性の確保に向けて」の項目では、「日本では中立性を確保する方法として、送配電を行う会社を電力会社とは切り離し別会社とし……両者の間で厳格な情報遮断等を行うというものになります。」とある。

・言葉が踊っているだけ。「厳格な情報遮断」が聞いて呆れる。表面を取り繕うだけで、まるで内容がなく、社外向けの建前広報だけ。

【大手電力は解体して再編を】

・大手電力の権益温存をはかって進められている「電力システム改革」は、カルテル事件、今回の不正アクセス事件で、その限界が明らかになった。

・ 関電の発電部門、小売部門、送配電部門は、それぞれ完全に独立した別の会社にすべきだ(所有権分離)。9電力会社の地域独占の送配電会社は、統合して、全国単一の送配電網に整備すべきだ。
関電解体!

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【付 電力システム改革】
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(1) 2012年以来の「電力システム改革」とは
・第一段階…電力広域的運営推進機関(OCCTO、オクト)の設置(2015年度~)
・第二段階…小売全面自由化(2016年度~)
・第三段階…送配電部門の中立化=法的分離(2020年度~)、
 料金規制の撤廃(2020年度からは実施予定であったが、新電力未成長により未実施)

(2) 電力の小売自由化の中で、常に指摘されているのが、全面自由化後も日本の発電所の約80%を大手電力が所有しており、発電分野での競争が働かない状況が続いている点である。このため、大手電力が自社小売部門(もしくはグループの小売会社)と新電力を差別せず、公平に扱うこと「内外無差別」(「大手電力の発電部門と小売部門の相対取引」と、「大手電力と新電力との間の相対取引」とのイコールフッティングが担保されていること)が実現されない。そして、もう一つ、常に議論されてきたのが「送配電部門の中立性確保」の必要性。

【参考】内外無差別と常時BU
 北海道電力は2023/11/2、2024年度は新電力への常時バックアップ常時BU)を行わないと発表した。23年度年間物の電力の相対卸取引で、自社の小売部門と新電力を差別せず公平に扱ったこと(内外無差別◆102◆)を電力・ガス取引監視等委員会(電取委)が認めたため。2023/10に改定の「適正な電力取引についての指針(適取ガイドライン)」(→こちら)に、監視委が内外無差別性を確認すれば常時BUを行う必要はないとしたことを踏まえた措置。
 なお、常時BUとは、新電力が需要家に電力を供給する際に、大手電力(旧一般電気事業者)から継続的に電力を購入するしくみのこと。新電力が新しく参入する際に、ベースとなる電源供給量が足りないことや、新電力がベース電源となる発電所を新たに建設するのはコスト面で厳しく、参入の大きな障壁となるため、大手電力から一定量の電力を継続的に卸売りしてもらうしくみ。適取ガイドラインに基づく。

(3)  2003年…「送配電部門の中立性確保」のために「会計分離」が実施される。
(例)関電の中で、送配電部門とその他の部門の会計を分ける。しかし、送配電部門の中立性確保が不十分との指摘が絶えなかった。
(例)関電など大手電力の小売部門と送配電部門が共同して、新電力の小売営業を妨害するようなこと。

(4) 2020年…送配電部門の「法的分離」が実施される。ただし、この分離では、資本関係は維持される。
そこで、送配電会社の中立性、独立性を保つために「行為規制」が課されている。
(例)送配電部門を完全に独立した別会社にする「所有権分離」がもっとも厳格な制度であるが、関西電力送配電株式会社は関電の100%子会社。大手電力に配慮した政策。


▲資源エネルギー庁資料(→こちら)による。

(5) 行為規制…大手電力と新電力が、送配電網を公平に利用できるようにするための規制。会計分離以来、重要課題であったはずなのに、関電社員にはこれがまるで頭に入っていない。
・送配電部門(送配電会社)が託送業務を通じて知りえた情報の、目的外利用の禁止
・送配電部門(送配電会社)と発電・小売部門(親会社)との内部相互補助の禁止
・託送業務について、親会社と新電力との間での差別的取扱の禁止
・送配電会社と親会社で、取締役・執行役の兼職を禁止

(6) つまり、関電の場合では、以下の通り。
関西電力株式会社…発電部門、小売部門からなる。小売部門は、自社の顧客情報はもっているが、新電力顧客情報は知りうる立場にない、アクセスすることができないのが建前。

関西電力送配電株式会社…関電の100%子会社で、地域独占の送配電部門。関電エリア全体の顧客情報をもつが、親会社と情報が遮断されていることになっている。

(7)「発送電分離」の陰で進む大手電力会社による新電力潰しの実態
こちら(2020/4/24)

◆086◆←←関西電力 闇歴史→→◆088◆

◆関西電力 闇歴史◆086◆

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◆老朽高浜1、2号機の再稼働にむけて
 燃料プールの「過度に保守的な」安全策を廃止し「現実的な評価」へ
 2022年12月21日、中性子吸収体の廃止などを規制委が許可
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・関電の主張
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 高浜発電所1、2号炉の使用済燃料ピットでは、燃料の使用状態に応じて保管エリアを設定する(燃焼度3段階別)とともに、大部分の燃料に中性子吸収体の存在を考慮しなければならないことになっている。保管エリアを三つに区分する現状で、今後、再稼働するとなると、燃料棒の配置がうまくいかなくなる。中性子吸収体も必要となるが、手持ちでは不足しているし、新しい中性子吸収体の製造には時間も費用もかかる。燃料の再配置入れ替えによる作業員の被曝も増える。そこで、燃焼度や、中性子吸収体の存在を考慮しなくてもよい管理に移行したい。


▲縛りの大きい変更前(現状)と自由になる変更後。関電の資料より。こうすることによって、使用済み核燃料の貯蔵スペースを増やすことができる点が、大きな目的とみられる。

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・規制委の説明
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 これまでこういうプールの臨界安全を考えるときに、プール中の水密度を連続的に変化させて、全ての状態で臨界条件をクリアしている(臨界に達しないようにしている)という、そういう条件で判定していた。しかし、これは「過度に保守的」であった。そのため、今回、初めて「現実的な評価」を行って、燃料プールでは、「中性子吸収体の設置」並びに「燃料体の配置制限」、この二つを廃止することになった。

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・安全対策に無駄はない
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 保守的」とは「より安全側にたつ」ということ。電力会社が好んで使う言葉だが、「過度に保守的」となると「無駄で無意味な」という意味になる。そこまで安全を考える必要はない、という主張になる。目的は、使用済み核燃料の保存スペースを増やすことにある。安全対策で入れてあるものは取り外すべきではない。

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・参考など
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・高浜発電所の原子炉設置変更許可について→ こちら
(1、2号機の使用済燃料ピット保管時の燃料の管理方法の変更)
(関電資料、2022年12月21日)

・令和4年度原子力規制委員会 第39回会議議事録 令和4年9月21日→ こちら

【参考】
・加圧水型原発の燃料集合体では、燃料棒の間に適当な間隔で制御棒が入るようになっていて、1本の燃料集合体となる。サイズは、およそ 21cm×21cm×4.2m。
・使用済み燃料になった場合は、制御棒の場所に中性子吸収棒をさしこんで、臨界状態にならないようにしている。サイズは、およそ 15cm×15cm×4.0m。
・中性子吸収棒(一つの燃料集合体に差し込む中性子吸収棒は20本あってまとめられていて、それが中性子吸収体という)とは →(関電資料→ こちら )。制御棒と中性子吸収棒の仕様は、全く同一。中性子吸収材は、銀80%、インシジウム15%、カドミウム5%の合金(とっても高価そう(^o^)
 

◆085◆←←関西電力 闇歴史→→◆087◆

◆報告とお礼~大阪地裁「美浜3号機運転禁止仮処分」申立てを却下

【2022年12月23日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

三権分立、民主主義の危機
大阪地裁「美浜3号機運転禁止仮処分」申立てを却下

 福井、滋賀、京都在住の9人が大阪地裁に申し立てていた「老朽美浜3号運転禁止仮処分」は、7月末に最後の審尋を終え、早期の決定申し渡しが求められていました。しかし、大阪地裁は、4カ月以上も経た12月2日になってやっと「12月12日~20日の間に決定を出す」と不可解な予告をし、また、決定の交付日時を12月20日午後2時と確定して発表したのは公布日の前日という、異例の暴挙を行いました。司法の公共性・公正性を放棄し、申立てに注目する人々を翻弄するもので、怒りを禁じ得ません。

原発推進に暴走する岸田政権に追従し、
司法の独立性をかなぐり捨てた大阪地裁

 12月20日の決定で、大阪地裁は標記仮処分の申し立てを却下しました。

 以下に、大阪地裁決定の概要を述べますが、決定は「却下を決めておいて、理由を後付けした」ものであり、「原子力規制委員会(規制委)の審査を追認するだけでなく、関電の言い分をそのまま認め、ことごとく関電を救済している」ものです。裁判官自らは、何らの判断を示さず、司法の役割と責任を放棄した決定です。裁判官にとっては、福島原発事故の悲劇は忘却の彼方であり、現政権に忖度することのみが関心事であると推量されます。

 詳細は「脱原発弁護団全国連絡会」のホームページ(→こちら)に掲載の、決定要旨、決定書、弁護団声明をご覧ください。

申立人、関電の主な主張と決定内容

①原発老朽化について
(申立人)老朽化に伴って設備や機器が想定外に劣化し、重大事故を起こす可能性が高い。
(関電)点検・管理で劣化状況を調べ、部品を取り換え、60年運転になっても安全性は十分に確保している。
(決定)関電は新規制基準が求める対策を実施している。原子力規制委員会の審査も問題ない。

②地震対策について
(申立人)原発の耐震設計で想定する基準地震動には、原発周辺の活断層の影響が正確に反映されていない。原発から約1kmに活断層があり、真下には破砕帯が通り、地盤にずれが生じる可能性がある。
(関電)震源想定の断層の長さや面積は、大きく見積もって基準地震動を策定している。活断層は影響を考慮する距離ではなく、破砕帯は12万年~13万年前以降活動しておらず、将来動く可能性はない。
(決定)活断層は考慮する距離ではないとした規制委の判断や、関電の破砕帯についての評価に不合理な点はない。

③避難計画について
(申立人)避難場所や経路に他の原発周辺エリアが含まれ、巨大地震での多発的原発事故を想定したルートが策定されておらず、避難計画の設定に実効性がない。
(関電)国の原子力防災会議で「具体的かつ合理的」と了承され、国や自治体との防災訓練で実効性は向上している。
(決定)具体的な危険性について十分な証明がない。避難計画の不備も認められない

不当決定を許さない!怒りの声噴出

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、決定交付の日時が12月20日午後2時と判明した直後(19日午後)から、あらゆる手段を駆使して、かねてより準備してきた行動への参加を呼びかけ、実行しました。

 20日11時、関電本店前に有志十数名が集合し、大阪地裁までのヒトリデモ(各人が数10m離れて歩くデモ:集団示威行為ではないので届け出不要)を敢行しました。旗、幟、プラカードを掲げ、街宣文をスピーカーで流しながら「老朽原発うごかすな!」を道行く人に訴えましたが、スマホを向けたり、手を振って声援くださる人に励まされました。

 12時からの大阪地裁前前段集会には、福井、関西、名古屋、東京などから、決定を見守ろうと約120人が結集し、申立人や弁護団から語られる、仮処分申し立ての経緯や、決定に寄せる思いなどに耳を傾けました。午後2時前になって、「大阪地裁は公正な判断を行え!」などのシュプレヒコールで入廷行進を盛り上げた後、決定の旗出しを固唾をのんで待ちました。

 多くのマスコミがカメラを構える中、出された旗には、「不当決定ゆるさず、即時抗告へ!」「決着は大阪高裁だ!」の文言が・・・。一同落胆のため息が漏れる中、カメラのシャッターを切る音が響き渡りました。弁護団から簡単な報告を受けた後、「大阪地裁は美浜3号の事故責任がとれるのか!」「司法の原発政策への忖度を許さないぞ!」など怒りのシュプレヒコールで大阪地裁決定を糾弾しました。

 その後、記者会見と報告会へと向かう人以外(約30名)は、抗議行動のため、関電本店に向かいました。関電前では、冷たいビル風が吹く中、不当決定への怒りのシュプレヒコールをたたきつけ、原発に固執し、トラブル頻発、原発マネー不正還流など関電の腐敗した体質を糾弾するアピールが続きました。最後に、「決定に一喜一憂することなく、更なる『老朽原発うごかすな!』の大行動を!」と誓い合いました。

12.20行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。

 この仮処分の申し立て人、弁護団は、大阪高裁への即時抗告を決定しました。

市民運動と裁判闘争が結合した大きなうねりを創造し、
原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に
向かって前進しましょう!

▼入廷行進

▼決定交付後の旗だし

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先090-1965-7102(木原)

▼2022年12月21日毎日新聞朝刊

▼2022年12月21日朝日新聞朝刊

▼2022年12月21日京都新聞朝刊

▼2022年12月21日しんぶん赤旗

◆関西電力 闇歴史◆085◆

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◆シビアアクシデント対策は、放水砲とシルトフェンス!
 放水砲とシルトフェンスで放射能の拡散を防げるか??
 「格納容器の破損」「炉心を損傷するような重大事故」対応??

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・大気への放射能放出抑制→放水砲(大型の放水銃)
・海洋への放射能拡散抑制→シルトフェンス(放射性物質吸着剤をつけたカーテン)

【放水砲】
・格納容器に水をかけて、放出される目に見えない放射性物質を打ち落とすというわけか?
放水砲で落とすことができても、できなくても、極度の汚染は免れないのでは?
格納容器が破損してしまったような事態のとき、損傷筒所へ放水するという(関電 原子力ライブラリ)が、こんな放水砲が本当に有効なのか?

【シルトフェンス】(下の絵は→こちら を開いて「放射性物質の拡散抑制」をクリック)
・半減期が8日のヨウ素をフェンス内で閉じ込める作戦とのこと。根本的に放出をとめてる訳ではないので、たいして意味はない。どこから漏れてるかもわからない。
・たいそうな名前が付いていても、単なる布切れのカーテン。海底からすべてをカバー出来るわけもなく、隙間もある。波もなく、潮の満ち引きもなく、海底が平坦で、土砂には隙間もない、そんな場所が、この地球上に存在するのか。
・シルトフェンスなんか張ってるときか?
トットと逃げるときでは?

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関電は京都地裁「大飯原発差止訴訟」で
放射性物質の異常放出が生じる危険性はない、と断言
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・「本件発電所において重大事故等が発生し、放射性物質の異常放出等が生じて原告らの人格権などが侵害される具体的危険性が認められることはない。」
・「周辺環境に放射性物質が大量に放出されることはなく、原告らの人格権等が侵害される具体的危険性が認められることない。」
・関電のこのような主張(関電提出の第20、31準備書面)は、まさに「安全神話」そのもの。ここには、福島第一原発事故の反省にたち、「原子炉」の安全だけでなく、「周辺住民」の安全を重視するという姿勢がまったくない。
・この姿勢こそが被告関電の本質。(原告第95準備書面)

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「格納容器の破損」「炉心を損傷するような重大事故」も想定していると言いつつ
基本的に、「原発安全神話」と「放射能安全神話」の世界
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「原発安全神話」…関電は、原発で過酷事故が起こる可能性に向きあっていない。原発は安全、事故は起きないという「お花畑」で、「原発安全神話」にひたりきっている。
「放射能安全神話」…関電は、放射能の異常放出は起きないし、放出は少量なので、そんな放射能はたいして危険ではない、と考えている。福島第一原発事故の後に広められている「放射能安全神話」にほかならない。

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「放射性物質が大量に放出されない」前提で、形だけの訓練
訓練は、いかにも形だけ、ちゃち
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・しかし、周辺住民には、「格納容器の破損」「炉心を損傷するような重大事故」も想定して訓練をしているという、ポーズが求められるため、形だけの訓練を行って宣伝している。
・あくまで「周辺環境に放射性物質が大量に放出されることはない」という前提にたっての訓練。
・したがって、そうした訓練に実効性があるとは考えられない。
・自治体の避難訓練が、「日帰りピクニック」に終わっているのと同じ。
・関電のシビアアクシデント対策の中心は、放水砲とシルトフェンスであるが、このほかに、瓦礫撤去の大型ブルドーザーとか、「格納容器の破損防止、水素爆発防止対策」のため、水素を酸素と結合させたり、燃焼させて減少させる装置(イグナイタ。ライターみたいな点火装置。格納容器の中に設置)もある。いざというとき、きちんと機能して、水素爆発を防止できるかどうか、火遊びでなければ良いが??

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本当はどうか?
どちらにしろ、関電の姿勢には大きな問題!
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シビアアクシデントはないと思っているなら、訓練は、実のないものになるだろう。

「本当はこんなことは必要ないんだ」と思っていたら、まともな訓練ができるはずがない。現実に、シビアアクシデント対策の放射性物質の拡散抑制は、放水砲とシルトフェンスという、きわめて不十分でいい加減な対処にとどまっている。そういうところをみると、こちらが関電の本心のように見える。シビアアクシデントはないと思っていても、起こった場合を想定しておくのが深層防護だから(前段否定:前の層が万全であっても、失敗するとして対策を取る。後段否定:後の層が万全であっても、頼らない。)訓練をしても良いのだが、放水砲とシルトフェンスでは、余りにも頼りない、いい加減な訓練ではないか。

シビアアクシデントがあると思っているなら、法廷で、嘘を言っていることになる。

関電もシビアアクシデントは起こる前提に立ちながら、しかし、福島ほどの事故にはならないとか、「放射能安全神話」に浸っている可能性もあるように見える。この場合、法廷でのウソは許しがたい。

・形だけの訓練をしているか、法廷で嘘をついているか、どちらか。

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以下、Webサイトで大宣伝の放水砲とシルトフェンス
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Webサイトで宣伝の「放射性物質の拡散抑制」とは
放水砲とシルトフェンス(>_<)
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・放射性物質の拡散抑制は、放水砲とシルトフェンスだけ。
・関電の訓練では、敷地外への放射性物質の拡散抑制として、陸では放水砲、海ではシルトフェンスが登場している。
・これは、関電に限らず、すべての大手電力に共通。

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(1) 放水砲とシルトフェンスで、放射性物質の拡散抑制【その1】
 関西電力の地域交流誌「越前若狭のふれあい」特別号No.27(平成26年6月4日現在)
こちらより
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▲陸では放水砲、海ではシルトフェンス

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(2) 放水砲とシルトフェンスで、放射性物質の拡散抑制【その2】
 →滋賀県資料より。関電提供の写真。こちら
 →長浜市の資料より。関電提供の写真。こちら
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(3) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その1】
 関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備
 こちらより
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▲どこにあるのか見えない放射能を打ち落とすのか。
仮に打ち落としたとして、その放射能は、地表に拡散される。

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(4) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その2】
 関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>様々なリスクへ備える安全対策
 こちらより
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▲左下のヘリコプターの写真は、別サイトによれば「ヘリコプターで資機材を運搬」となっている。
関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備。→こちらより
さらに、別サイトによれば、「当社提供のヘリによる避難訓練」となっている。→こちらより


▲発電所外に置いてある資機材を運搬
計測器類、放射線防護服、防護用全面マスクなど。
ただし、ヘリコプターは、気象条件によっては飛べなくなるし、
離着陸の場所も限定される。
▼ヘリによる避難訓練

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(5) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その3】
 こちらより
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(6) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その4】
 放水砲に水を送るのは、大容量ポンプ車
 関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備
 こちらより
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(7) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その5】
 大地震による美浜原発3号機の事故を想定…住民避難の訓練も実施 原子力総合防災訓練(2022年11月5日)
 → YouTube こちらより
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(8) 使用済燃料ピットでの大規模漏えいを仮定
 こちらより
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 「基準地震動にも耐える構造・強度であるが、敢えてピットが損傷することを仮定」との断り書きあり。

◆084◆←←関西電力 闇歴史→→◆086◆

◆関西電力 闇歴史◆084◆

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◆美浜3号機…建設時、生コンに大量加水、強度検査も不正
 設計基準強度を下回る可能性があるも、関電は否定
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 2022/12/11現在、老朽原発美浜3号機の運転禁止仮処分の決定は、12/19(月)か12/20(火)に出されることが確定してきた。美浜3号機には数々の問題点が指摘されてきた(◆071-1◆)が、さらに、シャブコンの問題もある。

(1) 2000/2/18、朝日新聞の報道の概略は、以下の通り。

・美浜3号機は、1972年7月に着工、1976年12月に営業運転を開始。
・工事関係者の話や内部資料によると、美浜3号機の建設工事で、生コンクリートを型枠に流し込む際、余分な水を加える手抜き工事が日常化していた。
・加水は、コンクリートの早期劣化を引きおこすが、コンクリートが流れやすくなるので、流し込む際の作業効率を高めることができる。当時は、ポンプ車で生コンを型枠に流し込む工法が普及したばかりで、ポンプ車の性能不足から、長さ数10m~100mの配管がしばしば詰まって作業が中断したという。
・こうした加水の結果、関電が定めた設計基準強度を下回る場所がある可能性を否定できない。

・関電によると、現場では関電、大手ゼネコンの技術者計30人が交替で指導、監理にあたっていたという。関電は現場で生コンを抜き取って検査していたというが、「目を盗んで水を入れていた」と証言している。

(2) 2000/2/19、朝日新聞の報道の概略は、以下の通り。

・2/18、記者会見した関電の担当者は、「考えられない」という説明を繰り返した。
・生コン会社は「加水はないと確信」という。
・美浜町の山口治太郎町長は「現在の強度が保証されているなら、よし、としないと」。

(3) 2000/2/21、朝日新聞の報道の概略は、以下の通り。

・生コンへの余分な加水、強度試験に使う検体のすり替えは、今も続いている。
・強度不足のデータは破棄されて、別のデータが記録に残されるという。

(4)『工学倫理はペイするか : 美浜原発3号機のコンクリート大量加水事件をめぐって(<特集>工学倫理を考える)』羽地, 亮 1-Dec-2000 京都大学文学部哲学研究室紀要, 3: 48-57
こちら

【参考:シャブコン】
・生コンクリートに適切な量を超えた水を加えたものを、俗に「シャブコン」という。
・通常の生コンだと、流し込んだ際に「すきま」ができやすいので、それを防ぐためには、かき回して押し込むことが必要となる。しかし、シャブコンなら、そういった作業の必要もなく手間がかからないから、安上がりに仕上げることができる。シャブコンの下と上では、強度に差が出る。水が多い生コンでは、重い砂利は下に沈みやすく、砂利のない上の方はただのモルタルになるので、強度に差が出る。
・ネットでは「水増ししたセメントを打設する業者なのでコンクリが乾こうが乾くまいが関係ないです、完成直後は見た目変わらないので発覚もほとんどしません。材料費節約+工期短縮のメリットは素人さんの想像以上にでかい」とのこと。
・「麻薬のコンクリート」なので、覚醒剤シャブになぞらえて「シャブコン」。水がジャブジャブ入ったコンクリートという意味で、「ジャブコン」ともいわれる。

(5) 国会でもシャブコンの追及、吉井英勝議員

・2000-02-22 第147回国会 衆議院 予算委員会
まず、関電美浜原発三号機で、生コンに加水するというシャブコンが使用されたことは事実なのかどうか。それから、テストピースのすりかえでコンクリートの強度データが偽造されていたものがあるということ、これについて事実なのかどうか。これを通産省の方から伺いたいと思います。

・2000-02-24 第147回国会 衆議院 商工委員会
先日も取り上げましたが、関電美浜三号機で、しゃぶしゃぶの生コンクリート、いわゆるシャブコンと言われる加水したもの、それからテストピースのすりかえでコンクリート強度データが偽造されていたという問題とか、MOX燃料のデータの偽造の問題(◆003◆)などですが、当初、関電の数度の調査でも、MOX燃料データ改ざんについていえば、問題なしとしてきたデータにも捏造があったということが明らかになったわけです。

・2000-02-24 第147回国会 衆議院 商工委員会
二つの問題がありまして、MOX燃料の方と、それからいわゆるシャブコンという問題ですが、シャブコンということだけじゃなしに、テストピースそのもののすりかえ等がよくやられているというのを生コン業界の方から私は聞いております。ですから、今おっしゃったのはあくまでも書類チェックなんです。書類チェックだけではそれは確認できないということなんです。

◆083◆←←関西電力 闇歴史→→◆085◆

◆12/6 第35回口頭弁論の報告

 2022年12月6日(火)に京都地裁で第35回口頭弁論が開かれました。
模擬法廷&報告集会は、弁護士会館で行いました。
事前のお知らせチラシ→こちら

  • 今回、1年ぶりに開廷前の裁判所周辺デモを行いました。参加者は、30名程度とやや少なめでしたが、今後は、さらに呼びかけを広げます。
  • 開廷前デモ、法廷傍聴、報告集会にご参加の皆さまは、たいへん御苦労様でした。
  • 原告席…8名の申込を受け付けました。次回からは人数が多くなるとのことです。
  • 傍聴席…6月よりコロナ禍による制限がなくなり、全席およそ90席が使えるようになったのですが、傍聴希望者の方が少なくて抽選にはなりませんでした。
  • 原告の意見陳述…おおい町名田庄に在住の村上道子さん。原発事故が起こったときの避難の困難性、ヨウ素剤配布の問題などを具体的に主張しました。→こちら[238 KB]
  • 弁護団の準備書面…被告関電準備書面(33)第3に対する反論(サイト特性に関して)、 被告関電準備書面(33)第2への反論(漫然と平均値で基準地震動を算出していること)。被告関電準備書面(31)への反論(関電が未だに安全神話の中にあり「周辺住民」の安全を重視するという姿勢が全くないこと)。
  • 報告集会…意見陳述をされた村上道子さんの発言があり、弁護団および原告団からの報告がありました。50名ほどの参加で、活発な意見交換がありました。
  • カンパ…参加者の皆さまからカンパをいただきました。感謝いたします。


▲報告集会にて。原告として意見陳述をした村上道子さん。

◆報告とお礼~12.4 関電包囲全国集会に900人

【2022年12月6日から配布、京都キンカンでは12月9日配付】

報告とお礼

老朽原発うごかすな!
「超危険!美浜3号もう廃炉」を訴え
関電包囲全国集会に900人(12月4日)

危険この上ない老朽原発を体制老朽化の関電が運転

 関電は、運転開始後46年を超えた(本年12月現在)老朽原発・美浜3号機の8月12日再稼動を目指していましたが、目前の8月1日、放射性物質を含む水7トンの漏洩が発覚し、再稼動は延期されました。また、次の再稼動を目論んだ23日の直前の21日に、「緊急時に、原子炉の暴走を防ぐために、1次冷却系に注入するほう酸水を蓄えている蓄圧タンク」の圧力低下が確認され、再稼働はさらに延期され、30日にやっと再稼働に漕ぎつけました。

 これらのトラブルの原因は、あきれ返るほど稚拙なミスです(詳細割愛)。技術者がしっかりしていれば、このようなミスには簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け任せの上に、責任感と科学的常識の乏しい、技術者、作業者、監督者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が老朽化・腐敗しているのです。

 なお、その関電は、48年、47年超えの高浜1、2号機の再稼働を来年6、7月に画策しています。

「原発依存社会」を画策する岸田首相

 電力会社、政府、財界などの原発推進勢力は、ウクライナ紛争によるエネルギーひっ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

 この状況に乗じた岸田首相は、8月24日、自らが昨年10月に閣議決定した「原発の新増設やリプレースは想定しない」とする「エネルギー基本計画」まで無視し、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、唐突に、原子力政策を原発の建て替えや長期運転へと転換する意向を示しました。

 福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、原発推進を打ち出したのです。

電気は足りています

 原発推進勢力が原発推進の口実としているのは、電力の需給ひっ迫ですが、電気は足りています(余っています)。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6月末から7月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。過酷事故の危険性が高い、老朽原発の再稼働などもっての外です。

900人が怒りの「老朽原発うごかすな!
関電包囲全国集会」、御堂筋デモ

 12月4日(日)13時、関電本店周囲は「老朽原発うごかすな!」の怒りと熱気に溢れた。

 集会は、シュプレヒコールから始まった。

 主催者挨拶で中嶌哲演さんは「首都圏や関西への電力供給のために福島や若狭に原発が押し付けられた理不尽」「被ばくを強いる避難計画の不合理」「老朽原発運転の危険性」を強調した。

 井戸謙一弁護士は、
①大阪地裁での「美浜3号機運転差止仮処分」裁判の決定が2カ月以上も遅れて12月中旬に出されること、この裁判と決定の遅れの原発情勢への影響、
②12月1日に大阪地検が「関電幹部の金品受領」「不正・不適切な発注」「役員報酬減額分、追加納税分の補填」の全てを「嫌疑不十分」で不起訴としたことの不当性、
③関電、中部電、中国電、九電が顧客獲得に関するカルテルを結んで、公取委から独禁法違反とされ、関電以外の3社が計1000億円超の課徴金を求められた事件で、関電は、公取委の立ち入り調査前に自主申告(密告)していたこと
などについて述べ、企業倫理に欠ける関電による老朽原発再稼働を許してはならないと結んだ。

 次いで、老朽原発立地の住民からのアピールを受けた。

 美浜3号機から10km圏に住む山本貴美子敦賀市議は、美浜町で行ったアンケート結果によって、避難計画の非合理性、避難の困難さ、原発について公けに語れない住民の不安が浮き彫りにされと述べた。

 高浜町民の東山幸弘さんは、メッセージを寄せ(小浜市民の会代読)、運転開始後37年を超えた高浜原発3、4号機の40年超え運転の認可が申請されたことについて触れ、蒸気発生器伝熱管などのトラブルを頻発させている超危険なこれらの原発の再稼働阻止を訴えた。

 運転開始後43年を超え、3.11で被災した東海第2原発の地元からは、披田信一郎さんが、東海第2原発の再稼働を止める会および東海第2差止訴訟原告世話人の一人としてアピールした。

 運転開始後38、37年になり、運転延長を申請した川内原発1、2号機の立地からは、ストップ
川内原発!3.11鹿児島実行委員会の向原祥隆さんが「たかが40年の原発のために、何万年も住み続けている我々がなぜ避難しなければならないのか?」と怒りの発言。

 若狭の原発の風下にある東海からは、原子力規制委員会を相手に裁判を闘う老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の草地妙子さんが「規制委は、関電の提出したデータを鵜吞みにして運転認可している」と規制委のいい加減さを追及した。

 発言後、東海、鹿児島、東海の代表に、実行委員会から「老朽原発うごかすな!」の幟が贈呈された。

 この後、関東、福島、伊方など全国から参加された皆さん、メッセージを頂いた全国各地の団体が紹介された(メッセージは、配布プログラム冊子に収録)。

福島から避難し、国と東電の責任を追及し、被害賠償を求めて闘っている原発賠償3訴訟(京都、ひょうご、関西)の原告は「原発事故は終わっていない」「普通の暮らしと避難の権利を保障せよ」「公正な裁判を」と訴えた。

 続いて、関電に向かってポテッカーアクションを行った後、カンパが要請された(177,971円のカンパを頂いた)。

 関西各地からのアピールが続いた。「脱原発を目指す東びわこ市民の会(沢井清さん)」「原発ゼロの会・大阪(庄司修さん)」「関電の原発マネー不正還流を告発する会(末田一秀さん)」「脱原発播磨アクション(玉田れい子さん)」「原発ゼロ・被災者支援奈良の集い実行委員会(堀田みえこさん)」から、滋賀、大阪、兵庫、奈良の脱原発運動の現状が披露された。

 労働組合からの挨拶で、
大阪ユニオンネットワークの西山直洋代表は「原発の40年廃炉は約束であるから履行させなくてはならない」と、
フォーラム平和・人権・環境の谷雅志副事務局長は「原発に反対の声は多数であることを政府に突きつけよう」と、
全労連近畿ブロックの菅義人議長は「原発をなくし、自然エネルギーを進める議員、議会を増やし、岸田政権を退陣に追い込もう」と訴えた。

 最後に、集会決議(裏面参照)、緊急のアピール(下記参照)が提案・採択され、デモ行進についての説明を受け、関電に向けた「老朽原発うごかすな!」の力強いシュプレヒコールで集会を終えた。
デモは、うつぼ公園から御堂筋を経て難波までのコースで、市民、通行人に「原発全廃」を訴えた。

12.4行動にご参加、ご支援いただきました
皆様、ありがとうございました。

緊急のお願い

 福井、関西在住の9人が、大阪地裁に申し立てていた「美浜3号機運転禁止仮処分」裁判については、早期の決定が待たれていましたが、大阪地裁は、12月2日になってやっと「12月中旬に決定を出す」と発表しました。日時の詳細は、1週間前に井戸弁護団長宛に連絡されます。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、決定発表の日、入廷行進の1時間前より、地裁前で前段大集会を開催し「美浜3号うごかすな!」を訴えます。また、決定受取り後には、弁護団からの簡単な報告を受け、関電本店前に移動して、「老朽原発うごかすな!」集会を開催します。

 皆様のご賛同、ご参加をお願いします。

 市民運動と裁判闘争が結合した大きな闘いのうねりを構築し、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会に向かって前進しましょう!

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12.4「関電包囲全国集会」に関する
決議文、写真、新聞報道は以下をご覧ください。
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12.4「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」決議
└─────────────

超危険な老朽原発を廃炉にし、
原発のない明日を実現しよう!

 今、岸田政権は、原発の60年超え運転を画策するだけでなく、「革新」や「小型」の言葉をもてあそび、人々をだまして、原発の新増設も企てています。また、60年以上も膨大な研究費を投下してきたにも拘らず、実用化の兆しも見えない高温ガス炉や核融合、破綻が明らかな高速炉を新しいテーマのごとく取り上げて、さらに膨大な予算を投下しようとしています。「原子力ムラ」の経済的救済のためであり、福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、人の命と尊厳を蹂躙するものです。

 一方、関電と政府は、運転開始後48年、47年、46年を超えた老朽原発・高浜1、2号機、美浜3号機の稼働に躍起です。

 このうち、昨年6月に再稼働したものの特定重大事故等対処施設の設置が間に合わず、わずか4カ月の稼働の後に停止していた美浜3号機については、8月10日再稼動を目指していましたが、目前の8月1日、放射性物質を含む水7トンが漏洩していることが発覚し、再稼動は延期されました。また、次の再稼動を目論んだ8月23日の直前の21日に、「緊急時に、1次冷却系に注入するほう酸水を蓄えているタンク」の圧力低下が確認され、再稼働はさらに延期され、8月30日になってやっと再稼働に漕ぎつけました。

 トラブルによる再稼働延期は、運転開始後40年に満たない高浜原発4号機でも発生しています。関電は、去る10月21日、伝熱管損傷などのトラブル多発の高浜4号機の再稼慟を画策しましたが、私たちの予測通り(??)、さらにトラブルを発生させ、再稼慟は11月4日にずれ込みました。トラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の異常』です。

 これらの原発過酷事故を招きかねない極めて深刻なトラブルの原因は、あきれ返るほど稚拙なミスです。下請け任せの上、責任感と科学的常識の乏しい、技術者、作業者、監督者などが原発を動かそうとしていることを示します。原発を動かそうとする体制自体も老朽化しているのです。

 その関電は、老朽原発・高浜1、2号機の来年6月、7月稼働も画策しています。許してはなりません。

 今、電気は足りています(余っています)。一時的な電力需給のひっ迫はあっても、節電によって乗り越えることができます。したがって、放射線被ばくを強い、過酷事故で人々に塗炭の苦難を与えかねず、何万年もの未来にまで負の遺産・使用済み核燃料を残す原発を稼働させる必要は全くありません!

 本日、「老朽原発うごかすな!」を合言葉に関電を包囲した私たちは、老朽原発の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない、人の命と尊厳が大切にされる社会の実現に向けて邁進することを決議します。

2022年12月4日
「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」参加者一同

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関電本店前を埋め尽くす集会参加者
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(1)

(2)

(3)

(4)

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ARDドイツテレビが取材
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御堂筋を堂々のデモ
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(1)

(2)

(3)

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2022年12月2日 毎日新聞(集会の案内)
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2022年12月5日 しんぶん赤旗
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┌─────────────
老朽原発うごかすな!実行委員会
2023年の予定
・関電本店-高浜原発200kmリレーデモ、
  3.21(火、休)関電本店前を出発、
  4. 2(日)高浜原発着
・「老朽原発・高浜1、2号機うごかすな!高浜全国集会」
  4.29(土、休)、高浜文化会館
└─────────────

2022年12月6日老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先;木原(090-1965-7102)

◆12/6 第35回口頭弁論のお知らせ

・電話、FAX、葉書による連絡で原告席参加を希望される場合(郵送希望原告に登録されている場合)は、まもなく案内の郵便を発送しますので、その案内にしたがって申込ください。
・メールによる参加申込は、11月21日のメーリングリストによる案内を受信されてから申込ください。
・今回の重要な変更点は、以下の通りです。
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・久しぶりに開廷前の裁判所周辺デモを行います。
・模擬法廷、閉廷後の報告集会は、弁護士会館(地階ホール)となります。
└─────────────

◆特別のお願い
傍聴席の制限は解除されています。可能な範囲で多くの皆さまの傍聴ご参加をお待ちしていますが、無理をされないようにお願いします。
発熱や風邪のような症状のある方、体調不良の方は、参加をお控えください。マスク着用をお願いします。咳エチケットの励行をお願いします。また、消毒液が用意されていますので、お使いください。
・模擬法廷&報告集会の会場入口では、念のための連絡用として、氏名と電話番号をご記入ください。2週間程度で廃棄します。

◆タイムテーブル
12:10…裁判所構内の南東角、弁護士会館の玄関前に集合
12:15…裁判所周辺の定例デモに出発。13:00頃まで
13:25(見込み)…傍聴券の抽選リストバンド配布開始。地裁北玄関前。傍聴は誰でも参加可能
13:40(見込み)…裁判所による傍聴席の抽選リストバンド配付終了。直ちに抽選→傍聴券の配布。抽選にもれた方、入廷を希望されず模擬法廷に参加される方は14:30までに弁護士会館(地階ホール)の模擬法廷へどうぞ
14:30…開廷、弁論開始。同時刻に弁護士会館(地階ホール)で模擬法廷も開始
15:45頃から…閉廷後、弁護士会館(地階ホール)で報告集会。30~60分程度

裁判に参加する方法…以下、三つの方法があります。
原告の皆さまは下記、[1] 原告席か、[2] 傍聴席か、[3] 模擬法廷のいずれかでご参加ください。
原告でない方は、[2][3]でご参加ください。

[1] 原告席…法廷の中で柵の内側に、原告として入ります。
被告「関電、国」の正面に座ります。
・原告団が氏名を裁判所に通知します。希望される場合は、郵送の案内またはメーリングリストにしたがって、事務局宛ご連絡ください。
・コロナ以前は合計35名ほどの原告が参加できましたが、今回は、8名程度となります。
・定員に達するまで、先着順で受け付けます。

[2] 傍聴席…法廷の中で柵の外側。88席あります。
傍聴席に座るには、裁判所が抽選を行います。
・13:25~13:40(見込み)の間に、京都地裁正面玄関前で、抽選リストバンドが配布されます。
・傍聴席は、原告でない方も、誰でも抽選によって参加することができます。
・傍聴席に入ることができなかった場合、または、最初から法廷に入ることを希望されない場合は、次項に記載の模擬法廷にご参加ください。

[3] 模擬法廷…弁護団が用意します(法廷と同じ14:30開始)。そこに参加するには
・弁護士会館(地階ホール)へ、直接おこしください。
・法廷よりもわかりやすく、弁護団が解説します。
・事前に提出されている被告(国や関電)側の書面があれば、その解説も行います。

◆報告集会の開催
・法廷の終了後、弁護士会館(地階ホール)にて報告集会を開催します(15:45頃から16:30頃まで)。
・裁判の進行などを、弁護団から説明いたします。裁判に関するご質問などもどうぞ。
・コロナ禍の状況によっては、報告集会自体を取りやめる可能性もあります。その場合は、あらかじめ原告団Webサイト(「京都脱原発原告団」で検索可)に掲載します。
・電話でのお問い合わせは、090-5660-2416(吉田あて)。


(大津地裁の件、詳しくは→こちら
(原発賠償京都訴訟、大阪高裁について、詳しくはこちら。)

◆報告とお礼~11.22 「MOX燃料搬入を許すな!」 緊急抗議行動に20数人が結集

【2022年11月25日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

11.22 「MOX燃料搬入を許すな!」
緊急抗議行動に早朝より20数人が結集

 去る9月17日に、2隻の輸送船でフランス、シェルブール港を出港したMOX (ウラン・プルトニウ厶混合酸化物)燃料が、11月22日の早朝に高浜原発に到着しました。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」の緊急の呼びかけに応えて、早朝より高浜町音海地区の「物揚げ広場」(高浜原発が面する内浦湾の入口)に結集した20数人は、以下のように満腔の怒りを込めた抗議行動を展開しました。

①午前6時に高浜町音海地区の「物揚げ広場」で抗議行動
②7時過ぎに高浜原発から音海地区より300mの展望所に車で移動し、デモ行進で、高浜原発北ゲート前に移動
③北ゲート前で抗議行動(9時10分頃解散)

緊急の呼びかけにも拘わらず、
ご結集、ご支援いただいた皆様、
有難うございました。

 日本向けのMOX燃料のフランスからの輸送は、1999年に始まり、今回が8回目です。前回は、昨年9月にシェルブールを出港し、同11月に高浜原発に到着しています。

 今回到着のMOX燃料は、フランスの原子力大手•オラノが製造したもので、高浜原発3、4号機で使用されます。原料のプルトニウムは、関電の原発の使用済み核燃料からラアーグ再処理工場で分離して取り出されたものです。関電は2017年、MOX燃料の集合体32本の製造を日本の会社を介してメロックス工場に委託していましたが、同工場では、ウランとプルトニウ厶が均等に混ざり合わない不良品が続出して、16体は昨年11月に高浜原発に到着したものの、残りの到着は約1年遅れていました。
 MOX燃料出港に際して、環境団体グリーンピースは「世界が極めて不安定な中、危険な物質を輸送するのは全く無責任だ」と批判し、抗議行動を展開しています。なお、今回のMOX燃料の出港は、シェルブール港のクレーンが故障して、燃料の一部を輸送船に積み込めなかったため、10日間遅れています。

MOXを燃料とする原発プルサーマル運転は、
ウラン燃料運転に比べて、格段に危険です。

【1】酸化物であるMOX中のプルトニウ厶が核分裂すれば、酸素と結合し難い白金族元素が多く生成し、酸素が余り、余った酸素が燃料被覆管を腐食します。また、プルトニウムからは、核分裂生成物ガスとヘリウムガスであるアルファ線の放出が多く、燃料棒內の圧力が高くなり、被覆管の破損を招きます。

【2】MOX燃料では、プルトニウムの高次化によって、中性子を吸収しやすいアメリシウムが生成し、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

【3】MOX中のプルトニウムが集まって核燃料が不均質化(いわゆるプルトニウムスポットの生成)します。

【4】MOX燃料では、中性子束(中性子密度)が大きく、高出力で、過渡時(すなわち出力の増減時)に原子炉の制御がより困難です。

【5】使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難く、使用済みウラン燃料の4倍以上も長期にわたって燃料プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態になりません。

 高浜原発1、2号機は、運転開始後48、47年超えの老朽原発です。蒸気発生器伝熱管などの1次冷却系配管のトラブルを頻発させている3、4号機も、もうすぐ38年超えになり、老朽原発の仲間入り直前です。3、4号機は、危険極まりないプルサーマル運転を続けています。したがって、

高浜原発は、世界一危険な原発

と言っても過言ではありません。
 老朽原発•高浜2号機、美浜3号機(12月で46年超え)の廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発全廃に向けて前進しましょう!

老朽原発うごかすな!実行委員会・木原壯林


11月22日早朝の緊急抗議行動





▼2022 年11月23日 福井新聞 朝刊

▼2022年11月23日 県民福井・中日新聞 朝刊

▼2022年11月23日読売新聞 朝刊


12.4「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会
-超危険な美浜3号、もう廃炉-」
に総結集を!

 福井、滋賀、京都の9人が大阪地裁に申し立てた「美浜原発3号機運転差し止め仮処分裁判」は、7月31日に最終審尋が行われ、9月中の運転差し止め決定が期待されましたが、未だに決定は出ていません。(決定の出る日は、1週間前には大阪地裁から連絡されることになっています。)

 そのような中で、「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、次の行動を提起しています。皆様のご参加、ご支援をお願いいたします。

 大阪地裁仮処分裁判に勝っても負けても、仮処分決定が出ていなくても、12月4日(日)、「老朽原発うごかすな!関電包囲全国集会」を開催し、御堂筋デモを敢行します。ご支援、ご参加をお願いします。

┌────────────────────────────────┐
12.4集会概要

日時:12 月 4 日(日)13:00~14:30(集会)
場所:関西電力本店前
(地下鉄肥後橋駅、京阪中之島線渡辺橋)
集会後、うつぼ公園に移動して、
15:00 にデモ出発。16:30頃なんばで解散。
主催:老朽原発うごかすな!実行委員会

└────────────────────────────────┘

以下は、12.4集会のチラシの裏面です。


老朽原発うごかすな!
超危険な美浜3号、もう廃炉!

「12・4関電包囲全国集会」に総結集を!

 原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、発生後11年半を経た福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。一方、ウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻擊目標になることが実証されました。

 このように、原発は、人類の手に負える装置でなく、人の命と尊厳を脅かします。

 それでも、政府や電力会社は、ウクライナ紛争によるエネルギーひつ迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。

 政府は、昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」の中で「原発の新増設や建て替えは想定しない」としていましたが、岸田首相は、決定から1年もたたない8月24日、この基本計画まで無視し、また、原発の運転期間は最大60年とした法律を蔑ろにして、

•次世代原発の建設検討、
•原発運転期間の60年超への延長、
•新規制基準審査に合格している原発17基のうち最大9基の今冬、残る8基の来年以降早期の稼働

を打ち出しました。福島原発事故の犠牲と教訓を軽んじ、科学的な説明や議論もなく、さらなる原発推進を打ち出したのです。

 一方、関電は、昨年6月に再稼働したものの「特重施設」の設置が間に合わず、わずか4力月の稼働の後停止していた老朽原発•美浜3号機(運転開始後45年超)の稼働を去る8月30日に強行しました。この原発は、昨年の再稼慟以降に、過酷事故につながりかねない深刻なトラブルを4度も発生させています。しかも、トラブルの原因は、いずれもあきれ返るほど稚拙なミスです。このようなミスは、技術者がしっかりしていれば、簡単に気がつくものです。しかし、現在は、下請け依存の上に、責任感の薄い、関電および下請けの技術者、監督者、点検者などが原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。

 その関電は、運転開始後48年、47年になろうとする老朽原発・高浜1、2号機の来年6、7月稼働も画策しています。

 今、原発の推進のために電力需給のひつ迫が喧伝されています。しかし、日常的には、電気は余っています。一時的に電力ひつ迫が発生しても、節電によって回避できます。このことは今年3月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリアでの電力不足、今夏の猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 一時的な電力需給ひつ迫を口実に、人々や環境に放射線被ばくを強い、負の遺産・使用済み核燃料を残す原発の推進を許してはなりません!とりわけ危険な老朽原発の再稼働など、もってのほかです。

 美浜3号機、高浜1、2号機の廃炉を勝ち取り、それを突破口に原発のない社会を実現しましょう!

岸田政権の原発推進への暴走を許すな!

老朽原発うごかすな!実行委員会(090-1965-7102)

◆12/6 第35回口頭弁論 原告提出の書面

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【原告】裁判資料ーー準備書面、意見陳述こちら
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【原告】裁判資料ーー証拠説明書と書証(甲号証)→ 以下に
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★[第98準備書面[942 KB] 関係]証拠説明書甲第619号証[87 KB]
(2022年11月28日)

甲第619号証[2 MB]…「スケーリング則再検討」宮越他

第97準備書面[1 MB] 関係]証拠説明書、書証…なし
(2022年11月24日)

第96準備書面[362 KB] 関係]証拠説明書…甲第615~618号証[88 KB]
(2022年11月24日)

甲第618号証[238 KB]…口頭弁論要旨【村上道子さん】
甲第617号証[359 KB]…環境省_自然・人工放射線からの被ばく線量
甲第616号証[4 MB]…原子力災害時における住民避難計画(おおい町)
甲第615号証[14 MB]…おおい町住民避難マニュアル(原子力災害)

第95準備書面[426 KB] 関係]証拠説明書…甲第614号証[76 KB]
(2022年11月24日)

甲第614号証(表)[657 KB]…内閣府ちらし(表)
甲第614号証(裏)[363 KB]…内閣府ちらし(裏)


【注】裁判資料ページ全体の構成変更にともない、第27回口頭弁論から、前回までのタイトル「原告提出の書証」を、「原告提出の書面」に変更しています。内容的には、証拠説明書と書証を掲載している点で、ほぼ同じです。(ページの上のプルダウンメニューから入る場合と、右の更新情報から入る場合と、両方に対応する形にしました。)