関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆099◆

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◆関電は使用済み核燃料のごく一部をフランスに搬出すると発表!(2023/6/12)
 フランスでの実証研究は、中間貯蔵施設の県外設置と「同等」と主張!
 フランスと技術協定を結んだ経産省も、関電を支援!
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 詭弁、出まかせ、居直り、ごまかし、その場しのぎ
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【関電のこれまでの空約束】

関電が、福井県に2023年末と期限を切った使用済み核燃料の中間貯蔵地の県外確保の約束。
関電は、これまで
【1998年の約束】2000年までに。
【2017年の約束】2018年中に。
【2018年の約束】2020年末に。大飯3、4号機再稼働への西川知事の同意を取り付け
【2021年の約束】2023年末に。老朽、美浜3号機、高浜1、2号機再稼働への杉本知事の同意を取り付け。
・さらに詳しくは → ◆012◆
・期限の先送りは、むつ市の中間貯蔵施設(東電と日本原電がむつ市との協定の下に建設、23年度受け入れ開始目標)の共同利用の可能性を拠り所にしたものと考えられるが、当時の宮下むつ市長はこれを否定し、猛反発。宮下前むつ市長は、6/4に青森県知事に当選、関電の共同利用については「むつ市長時代に対応している通り」との公約。

・関電の森 現社長は、「期限の2023年末までに確定できるよう不退転の覚悟で取り組む」「23年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」と言明(2022年7月)。

【2023/6/12、関電の表明】

・関電の森望社長は、2023/6/12、福井県庁に杉本知事を訪ね、「使用済MOX燃料の再処理実証研究のために高浜原発から使用済MOX燃料(約10トン、20体)と使用済ウラン燃料(約190トン、400体)をフランスへ搬出する」と説明。「中間貯蔵と同等の意義がある」「ひとまず約束は果たされた」とした。

・杉本知事の「国内の搬出先が見つけられなかったのか」との質問に「引き続きあらゆる可能性を追求し続けることに変わりはない」と回答。

・福井県の杉本知事は2023/6/12、「内容を精査したい。立地市町や県議会などの意見も聞いて判断したい」と、回答を保留した。

・関電の公表の翌日に西村康稔経済産業相が「関電が福井県にしてきた約束を実現する上で重要な意義がある。姿勢は評価できる。」として「中間貯蔵と同等の意義がある」と関電と同じ表現のコメントを発するなどから、今回の動きには国が大きく関与していたと推定される。

【フランスへの搬出】

・今回のフランスへの搬出は実証研究のためであり、中間貯蔵地の確保とは無関係ではないか。

・この先、使用済み核燃料はどんどんフランスに送り込み続けるのか。
→今後も追加で海外搬出できる保証はない。

・関電社長の発言は「日本の使用済み核燃料の中間貯蔵地をフランスにする」と言っているようなもの、フランス国民の反発があるのでは。
→Kolin Kobayashiさん(在仏)「フランスとは、オラノOrano社のこと。フランスでは今のところ、この件に関しては、情報が出てきていません。隠したいのかもしれません。」「オラノは、アレバが再編して作られたものです。再編されるたびに社名を変えて、過去のドジを隠蔽しようとするのでしょう。」

・フランス政府、フランスの引受先、オラノ社は、引き受け続けるのか。
→2023/5/3、フランスのアニエス・パニエ=リュナシェ・エネルギー移行大臣と日本の西村康稔経済産業大臣との会談の機会に、原子力エネルギーの分野で特に日仏間の協力を深めるための共同宣言が署名された。その中で「フランスと日本はまた、核燃料サイクルに関する技術協力を加速し、共通の価値観を共有する国々の間で強固な原子力サプライチェーンを構築することの重要性を強調したい。」

・オラノ社は、MOX燃料も含めてどんどん再処理を進める能力があるのか。今回は「実証研究」ということだが、どうなることか。
→オラノ社ではラ・アーグ再処理工場に特殊燃料処理施設の建設を進めているが、稼働しているとか、実用化されたとの情報はない。

【フランスからの返還】

・フランスに搬出して処理された廃棄物やプルトニウムは、すべて、日本に戻されるのか。一部にとどまるのか。

・日本に戻ってくるとき、福井県には戻らないことになっているのか。福井県が今後そのように(福井県に戻さない約束を)主張する可能性もあり、それならば「県外に中間貯蔵地」の約束に沿った内容と言えるかもしれない。杉本知事がここまで要求するのかどうか。

・戻ってきたとき、国内での中間貯蔵地が決まっているかどうか。

・2020年代後半(2025~2029年)に搬出し、再処理は30年代初頭とのことだから、その計画通りに行ったとしても、日本に戻るのは、2030~2040年という先になる。先延ばしもいいところ。

・2030~40年頃、責任を問われるのは、自分(森 関電現社長)じゃないことは確か。

【使用済み核燃料プールは満杯まぢか】

・国内で、使用済み核燃料の中間貯蔵地探しはどうなるのか。関電は続けると言っているが、見通しはあるのか。

・関電の原発では、今後5~9年で(2028~2032年)使用済み核燃料プールが満杯になる(関電の原発プールでの使用済み燃料の貯蔵量は3680トン。管理容量に占める貯蔵率は約8割)。今回、少しだけ(5%か6%、200トン)フランスに送っても、満杯になる可能性がある。関電の原発では、今後、7基で年約130トンの使用済み核燃料が発生し、増えていく。国内に2000トンクラスの中間貯蔵施設を構想しているとされるが?

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【参考】
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(1) 使用済み核燃料プールが満杯になるのは、あと何年後?
 美浜原発…9.3年
 高浜原発…4.7年
 大飯原発…6.2年
 市川 章人 さん(京都自治体問題研究所 原子力災害研究会)による、
 2023年3月31日現在

(2) Webサイト関電のあまりにひどい詭弁を福井県は認めるな!」末田一秀さん →こちら

(3) 松本修さんから

(4) アレバ社とオラノ社~~BIG ISSUE ONLINE から(→こちら
 フランスの原子力産業アレバ社は、福島原発事故の影響から経営危機に陥り、核燃料サイクル部門をオラノ社として再編した。厳しい経営環境にあると伝えられているオラノ社を救済するための契約ではとの疑念が湧く。そのような事情が背景にあることから、関電が支払う再処理費用とMOX燃料加工費用は莫大な金額に跳ね上がるのではないか。さらに、JAEAは廃炉となった「もんじゅ」や「ふげん」の燃料をオラノ社で再処理する救済計画も進行中だ。(伴 英幸)
(2023年8月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 460号より)

◆098◆←←関西電力 闇歴史→→◆100◆

◆関西電力 闇歴史◆098◆

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◆原発最優先で再エネは後回しの関電!
 関電エリアで初めての再エネ出力制御(2023/6/4)
 【付 需給バランス制約による出力制御】
 【付 関電の供給力能力は約3000万kW】

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「安い規制料金」で
 関西は関電一強
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・関電はこれから大幅黒字経営を展望している。今夏に高浜1、2号機の再稼働を予定するなど、廃炉を決めたものを除く原発7基の全稼働を見込み、LNG価格も昨年秋から下落に転じている。規制料金の値上げをしなかったことで、低圧契約では顧客を増やしている。新電力から関電に移る数が増加している。(→ こちら

・「安い規制料金」に苦々しい思いでいるのは関西の新電力。自由料金が規制料金より高い逆転現象が続いており、新規契約を中止し、撤退を余儀なくされる新電力が続出している。新電力と連携して電気料金の削減を提案する日本電気保安協会(大阪市)の平井一二三(ひふみ)社長は「関西は “関電一強” で消費者が選べなくなっている。これで自由化といえるのか。原発の電気を市場にもっと供給するなど、競争を働かせる取り組みが必要だ」という。
(産経新聞、2023/5/30)

・公正取引委員会が2024/1/17に示した報告書「電力分野における実態調査報告書~卸分野について~」(→◆102◆)では、燃料費の上昇や電力需要の急増で市場価格が暴騰した場合、大手電力の規制料金が新電力の「自由料金」より安くなっていることから、規制料金が市場にあたえる影響を分析するよう、経産省に求めた。

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 原発はフル稼働で、再エネ電気はストップ !!!(> <)!!!
 関電は大儲けで、再エネ新電力は苦境に
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・関西電力は、「ベースロード電源」とされる原発をフル運転しつつ(原発は元々、出力調整ができない)、2023/6/4には、関西電力送配電が太陽光や風力などの再生可能エネルギーの受け入れを一時的に止める「出力制御」を実施した。

【付 需給バランス制約による出力制御】
・電気の発電量がエリアの需要量を上回る場合には、
①火力発電の出力の抑制、
②揚水発電のくみ上げ運転による需要創出、
③地域間連系線を活用した他エリアへの送電
を行う。
・次に、太陽光発電、風力発電の出力制御を行う。
・水力・原子力・地熱は「長期固定電源」と呼ばれ、出力を短時間で小刻みに調整することが技術的に難しく、一度出力を低下させるとすぐに元に戻すことができないため、最後に抑制することとされている。

・3日から休日で工場の稼働が少なく電力需要が少ない上、好天の予想で太陽光発電が伸びるとみられることによる。関西電力送配電は3日正午~午後4時、最大60万kWを他のエリアに送電した。太陽光と風力の関西の電力系統への接続済み設備量は、2023年4月末で718万kWになる。

・4日午前9時~午後1時30分に実施した出力制御は、太陽光(500kW以上)と風力の計42万~52万kW。再エネの出力制御は、関西で初めて。

・原発稼働は利益が大きい。その有無は電力会社の経営に直結する。関電の2023年3月期の実績によると、原発が1基動くことによる経常増益は大飯原発で月120億円、美浜原発と高浜原発で月85億円に上るという。

【付 関電の供給力能力は約3000万kW】
・原発…美浜3号、高浜3、4号、大飯3、4号の5基で、約500万KW稼働中。
 さらに高浜1、2号が稼働すれば、原発7基となり、650万kWになる。
・火力発電所…姫路1、2、赤穂、御坊、舞鶴、南港、堺港で約1300万KW(停止、点検中あり)
・他社融通電力…電源開発の橘湾火力140万、神鋼火力270KW、約410万kW(ロスがあり受電は多少減少する)
・再エネ発電…太陽光19万、風力6万、水力340.8万、バイオマス0.3万KWなど、約383万KW。今回の出力制御で、この関電の再エネ(太陽光、風力)25万kWについて出力制御が行われたかどうかは、不明。
・受け入れ自然エネ…400万KW
・関電の2023年のピーク時の需要は、2600万KWと推定されるが、供給能力は老朽原発再稼働が進めば、3000万kW以上となる。
・原発の割合が高まっていくので、今後、さらに再エネの出力制御の可能性がある。

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 出力制御とその課題
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・出力制御は、大手電力の地域間送電網の整備など再エネを生かす対策が進んでいないことによる。

・また、出力制御をオンライン化することによって、制御量を減らすことができる。オンライン制御なら、使用量に応じたきめ細かい対応が可能となる。しかし、オフラインでは、前日に決まった制御量を、発電業者が当日に発電所に行って人力で対応する–大雑把(>_<)
大手電力のエリアごとのオンライン化は(2022年8月末現在、太陽光)、
・九州電力…8割を超える
・北海道電力…約7割
・中部電力…4割弱
・東京電力…システムを開発中。オンライン化率すら示せていない。
・関西電力…システムを開発中で、オンライン化率すら示せていない。オンライン制御は、10月から実施予定。関電の6/4の出力制御は、オフラインで実施。

実は、6/3にも、当日になって供給過多の可能性がでてきたが、オフライン体制であるため当日の出力制御はできず、電力広域的運営推進機関による指示を得て、午後0~4時に、最大60万kW分の電力を、北陸電力送配電と東京電力パワーグリッドの両エリアに送電し、関電エリアの需給バランスを保った(広域機関の指示による「下げ代不足融通」、国内初の要請)。

出力制御などの順番は、「優先給電ルール」として決まっていて、自然変動電源(太陽光、風力)の出力制御を行ってもなお供給過多になる場合に、その後に広域機関の指示が行われることになっているが、6/3は、オンライン化の遅れのために、本来の順序を飛ばしてしまった。再エネの拡大についていけていない関電!
(朝日新聞2023/5/10、電氣新聞2023/6/6)

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 九州電力の出力制御は
 2018年度から

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・日本で最も再生可能エネルギーの普及が進む九州電力は2023年度、出力制御という形で、電力需要がない時間に作り過ぎて送電網で受け入れられない電力が最大で 7億4000万kWh に達する見込みを発表。仮に、これだけの電気を石油火力で発電すると、約200億円かかる。

・再生可能エネルギーの出力制御は、需要と供給のバランスを取りながら電力を供給することに貢献しているわけで、変動可能な電力供給として意義があり、電力網の安定化に寄与していると言える。しかし、太陽光など再生可能エネルギーが、出力変動が不可能な原発を補完する位置づけになっていて良いのか、という疑問が大きい。

・また、発電能力を一方的に制約するわけで、より経済性の高い電気(原発より安価な電気)を無駄にしていることになり、経済合理性を欠く。発電業者は、発電量が制約されることで収益が減少する可能性がある。

▼山崎久隆さん(たんぽぽ舎)の講演資料から

◆097◆←←関西電力 闇歴史→→◆099◆

◆関西電力 闇歴史◆番外編 004◆

関電の経営、コンプライアンス問題~年次をおって

(2011年3月~2023年5月)

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【以下の項目のリンクは、まとめて表示】
・県外中間貯蔵施設の約束→(◆012◆
・原発マネー不正還流→(◆018◆)、告発後の経過(◆072◆
・カルテル→(◆024◆
・不正閲覧→(◆087◆
・四つの調査報告書→(◆072◆
・【参考】関西電力 この11年(~2022年末)(◆番外編 001◆
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【2011年3月、福島事故で原発停止】

(八木誠 社長…2010年6月~2016年6月)
・福島第一原発事故後、原発停止期間が長引き、経営が悪化

【2012年5月、初めての原発ゼロ】

・5月に泊原発3号機が定期検査で運転停止→初めて全国の原発がすべて停止。同年7月に大飯3号機が再稼働されるまでの2か月間、日本は原発ゼロであった

【2012年、脱原発運動の盛り上がりと弾圧】

・大飯3号機が、新規制基準ができていない中で再稼働
・この前後から、全国各地で原発差止裁判、関電前抗議行動などがもりあがる
・この年、関電東海支社ビル前行動に対する弾圧(関電東海支社事件、◆068◆)、関電本店ビル前行動などに一連の弾圧(関西脱原発弾圧事件、◆069◆)など

【2013~2015年、2年近くの間、原発ゼロ】

・大飯4号機が2013年9月15日定期点検のため運転停止。そして、2015年8月11日に川内1号機が再稼働(新規制基準による最初の稼働)されるまで、1年11か月、日本は原発ゼロであった

【2013、2015年、原発が動かず経営悪化、料金値上げへ】

・2回の電気料金の値上げへ。関電幹部、電気料金値上げ審査会合でユーザー目線欠落を露呈(◆044◆

【2016年、低圧自由化が始まり、顧客離れ】

(岩根茂樹社長…2016年6月~2020年3月)
・4月…低圧までふくめた電力全面自由化が始まり、新電力や他の大手電力との競争が激化。低圧の顧客離れがとくに進行(2022年度までで約350万件が新電力へ移行)

【2017年、原発再稼働で取り戻し営業】

・6月、7月…高浜4、3号機が再稼働→翌年にかけて、安値、値引き攻勢の「取り戻し営業」( ◆087◆)を開始。その手段として、送配電部門の顧客情報を不正利用か。電力業界は、関電の極端な安値、値引き攻勢の話題で持ちきり→新電力からは、不当廉売の声も

【2018年、極端な安値、値引き攻勢の営業を大展開した後、カルテルへ】

・1月…森山栄治元高浜町助役に税務調査→2019年に原発マネー不正還流として発覚
・3月、5月…大飯3、4号機が再稼働。原発再稼動をすすめた結果「安価な」電気にめどをつけたのか、極端な安値、値引き攻勢の営業を大展開。当時の岩根茂樹社長は、昨秋(2017年秋)以降の営業の動向について「企業向けでは顧客の取り戻しが離脱を少し上回るようになった」と述べている
・5月…京阪電気鉄道は、大阪府や京都府を走る「京阪本線」の動力用の電気について、購入先を新電力のエネット(東京)から関電に切り替えた。関電の「取り戻し営業」が成功した例とされる(◆087◆
・秋頃カルテルについて、岩根茂樹社長、森本孝副社長、弥園豊一副社長が方針を決定。森本副社長がほかの電力会社に伝達。極端な安値、値引き競争の抑制に転換か(原価を無視した価格競争になっていたのか?、原価をきちんと把握せずに値引きに暴走したとの観測も)。安値、値引き攻勢「取り戻し営業」からカルテルへ転換。

【2019年、原発マネー不正還流が発覚、以後、不正噴出】

・3月…森山栄治元高浜町助役が死去
・3月…「関西電力良くし隊」が岩根茂樹社長に最初の警告文を送付。その後、4月に岩根社長と監査役に最後通牒各1通、6月に岩根社長への通告書1通、最終的な内部告発文書1通が発送された(◆041◆
・9月原発マネー不正還流の問題が、マスコミ報道で発覚

【2020年】

(森本孝 社長…2020年3月~2022年6月)
・3月…第三者委員会が調査結果を公表
・3月…原発マネー不正還流で経産省が業務改善命令
・4月関西電力送配電株式会社が分離(ただし100%子会社)。不十分な分離で、関電による顧客情報への不正閲覧は継続か
・6月…新会長に、榊原定征・元東レ会長(かねて原発の早期再稼働を主張)が就任
・6月…原発マネー不正還流で、会社訴訟と株主訴訟が開始(大阪地裁)(◆018◆
・10月カルテル(関電主導で、中部電力、中国電力、九州電力)について、公取委に自主申告

【2021年】

・2月…杉本達治福井県知事に、使用済み核燃料の県外搬出について「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1,2号機の運転は実施しない」と約束。新たな期限が示された結果、老朽原発の美浜3号機、高浜1、2号機が再稼働へ
・2月…美浜町に対して「特命発注で地元企業に特別の便宜」を約束(◆011◆
・4月カルテルについて、公取委が最初の立ち入り検査
・7月…役員報酬等の闇補填で、国税局から追徴課税(◆017◆
・7月…国家資格の施工管理技士の不正取得が発覚。第三者委員会報告書が公表(◆022◆
・9月…関西電力送配電、送電線保安業務で架空発注のコンプライアンス違反(◆032◆

【2022年】

(森望 社長…2022年6月~。2年で交替は異例「経営陣の若返り」)
・4月…コンプライアンス委員会が不適切取引3件(土砂処分、土地賃借、倉庫賃借)を指摘(◆062◆
・7月…森望社長が、福井県知事に「23年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」と約束。
・11月…2016年4月に自由化以来、一貫して減少していた関電の低圧契約数が、初めて増加に転じる。世界的なインフレ、ウクライナ戦争による輸入燃料価格の値上がり、卸電力市場の価格高騰などで、新電力が電気代の値上げに走る中、値上げをしなかった関電の規制料金の方が安くなったか。
・12月…新電力の顧客情報を不正閲覧していた件が発覚。その後、関電の場合、オール電化などの営業にも利用していたことが明らかになる。

【2023年】

・3月…公取委、独占禁止法違反のカルテルを認定
・3月…関西電力送配電、電圧測定を怠り記録を捏造、虚偽報告(◆093◆
・4月カルテル問題で、森望社長ら13人を減給などの処分
・4月不正閲覧をめぐり経産省が関電と関西電力送配電に、業務改善命令
・4月2023年3月期決算は当初、純損益で450億円の赤字予想であった。それにもかかわらず、規制料金値上げの申請をしていなかった。しかし、その後の報道(4/28、日経新聞)では、一転して176億円の黒字となった。連結では、純利益が前期の17倍の3050億円と、過去最高になる見通しとなっている。
・5月不正閲覧で、関電は森望社長ら16人を処分、関西電力送配電も8人を処分
・5月16日…年初以来、株価は上昇。年初来安値:1,181円(2023年1月12日)に対して、年初来高値:1,563円を記録(2023年5月16日現在)。
・6月…大手電力7社が電気料金を値上げ(2000~5300円)。標準的な家庭における値上げ率は北海道電力が21%、東北電力が24%、東京電力が14%、北陸電力が42%、中国電力が29%、四国電力が25%、沖縄電力が38%。関西電力、中部電力、九州電力は、値上げ申請をしていない。

◆関西電力 闇歴史◆097◆

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◆かつて関電などが計画した珠洲(すず)原発は阻止したが、
 今は志賀(しか)原発のある能登半島で大きな地震があいつぐ!
 [2] 2024/1/1には、震度7、M7.6 の能登半島地震で大災害
 【付 日本海側の大地震】
 【付 原発立地で「想定超えの揺れ」が頻発】

 [1] 2018年以来、群発地震が多発し、2023/5/5には、震度6強、M6.5 の地震
 【付 震度と長周期地震動】
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◆[2] 2024/1/1に、震度7、M7.6 の能登半島地震で大災害
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◆M7.6 の能登半島地震

・1/1の大地震の後、震度5以上の揺れが1週間以上もつづき、240人以上の死者、行方不明者、2万人を超える避難者がでている。直後には、多数の負傷者の救出が必要な状況で大混乱。珠洲市が4.5メートルの津波に襲われたのをはじめ、各地に津波が押し寄せた。大規模な火災の発生(輪島市)、家屋の倒壊(全半壊1000戸以上、住宅被害は7万棟こえ)、停電や断水や通信途絶などインフラの崩壊、山間部などで多数の地域の孤立などが発生した。深刻なのは、原発30キロ圏(約15万人)で最大8地区約400人が8日間孤立した。

・原発事故と重なった場合、即時避難は不可能であるし、倒壊もしくはその可能性のある家屋に屋内退避することもできない。土砂崩れや亀裂による段差の発生による道路の寸断(能登地方と金沢を結ぶ幹線の「のと里山海道」なども)(原発30キロ圏で道路の通行止めは16路線30か所)、のほか、空港、港湾などの交通も麻痺した。能登空港は滑走路にできた大きな亀裂を11日に応急処置し仮復旧、地震後10日たってようやく自衛隊機が離着陸できるようになった。民間機の運行再開は27日。港湾も8割が土地の亀裂、隆起などで機能を喪失した(1月末現在、県内69の漁港のうち60港で岸壁や防波堤が損傷、22漁港では海底の露出や水深の不足)。
▼しんぶん赤旗(2024年2月8日)

・観測地点によっては、11,760ガルの加速度(志賀町富来[とぎ]観測点で2828ガルを記録した地震動の加速度応答スペクトルで周期0.5秒以下の極短周期の加速度が、980ガル×12G=11,760ガル)を記録。原発が直撃されたら、どうなるのか。原発は、揺れの大きさに対して耐震設計基準が示されている一方、地盤のズレなどにより「原子炉建屋が傾いたり、損壊したりすれば壊滅的な被害となる」。配管にズレが生じると取水できず、核燃料を冷却できなくなる可能性もある。

・能登半島の北側の海岸部で3~4mもの陸地の隆起で海岸段丘が形成(志賀原発は隆起部分のわずか7kmほど南)。輪島市では約 4 m の隆起と約 1 m の西方向への変動、鹿磯[かいそ]漁港(輪島市)では 3.9 m の隆起と海岸線の海側への 250 mの移動、志賀町赤崎漁港では 0.25 m の隆起が報告されている。元東芝原発設計技術者の後藤政志氏は「メートル単位で上下や水平方向にズレが生じたら、計算するまでもなく原発はもたない」と指摘する。隆起は最大4メートルであったが、志賀原発の取水路の隆起想定は20センチ。
▼しんぶん赤旗(2024年2月18日)

・海底の断層の調査が十分に行われておらず、未知の断層(陸域の富来川南岸断層は認定されているが、それが海底にのびて志賀原発の沖合にまで至っている可能性)の指摘も。

・150キロに及ぶ震源断層とは20キロも離れた別の富来川南岸断層が連動して動いた可能性がある(約3キロにわたり最大50センチ程度の隆起と数十センチの横ずれを観測)。大きな地震の影響で付随的に動くため「お付き合い断層」ともよばれるが、約20キロも離れている例は、これまでにないという。
▼テレ朝news(2024年1月25日)

・珠洲市若山町の若山川沿いでも付随的に動いたとみられる断層が見つかっている。最大2メートルほどの段差が東西2キロにわたり確認された。調査が進めばさらに延びる可能性もあるという。能登半島をはじめ日本海の活断層にはまだ分からないことが多い。
▼東京新聞(2024年2月18日)

▼東京新聞(2024年2月18日)若山川沿いの断層

【付 日本海側の大地震】
 高浜、大飯、美浜、敦賀原発が立地する日本海側でも大震災が多発している。過去 100 年間に、新潟県から鳥取県の日本海沿岸では、マグニチュード(M)6 以上の地震が 13 回発生。M7 以上も、本年の能登半島地震の他に、次の4回が発生。
(1) 鳥取地震 1943 年 9 月 10 日 、鳥取県東部を震源とした M7.2の地震。当時の震度階級としては最大の震度 6 を記録。死者・行方不明者 1,083 人。家屋全壊 7,485 棟。
(2) 福井地震 1948 年 6 月 28 日、福井市の北北東約 10 km を震源とした M7.1 の地震。当時の震度階級としては最大の震度 6を記録。死者・行方不明者 3,728 人。家屋全壊 35,382 棟(福井市では、80%の住家が全壊)。
(3) 新潟地震 1964 年 6 月 16 日、新潟県粟島南方沖約 40 km を震源とした M7.5 の地震。死者 26 人。家屋全壊 1960 棟。石油タンク 143 基が延焼。
(4) 鳥取県西部地震 2000 年 10 月 6 日、鳥取県西部を震源としたM7.3 の地震。家屋全壊 435 棟。
【付 原発立地で「想定超えの揺れ」が頻発】
2005年以降に8回も、原発立地で「想定超えの揺れ」が頻発する“呆れた理由”
2024/3/1(科学ジャーナリスト:添田 孝史
・揺れの想定超えは、宮城県沖地震(2005年)の際に東北電力女川原発で初めて観測されて以来、志賀原発(2007)、東京電力柏崎刈羽原発(2007)、中部電力浜岡(2009)、女川・東電福島第一・日本原子力発電東海第二(2011)で起きています( ↓ 年表)。
・日本では、今世紀中には確実にやってくる南海トラフ地震、その前に増える内陸地震など、大地震が続きます。古い科学の知識で設計された原発を、どうも信頼しきれない電力会社に再稼働させるより、安くなっている再生可能エネルギーに切り替えた方が安全でしょう。

◆石川県 地域防災計画

・能登半島沖で想定される地震については、27年前に設定された能登半島北方沖を震源とするマグニチュード7.0の地震を想定。今回の地震よりも規模が小さく、「ごく局地的な災害で災害度は低い」と評価していた。
・また、被害想定も、
  死者が7人
  建物の全壊が120棟
  避難者が2781人
などと、今回の地震と比べて大幅に下回る想定となっていた。
・県の防災会議の震災対策部会で委員を務める地元の研究者からは2011年4月に、地震想定の見直しを求める意見書が県に出されていたが、県によると、見直しに着手したのは去年8月になってからであった。

◆志賀原発への影響

・地震発生以来、志賀原発をめぐる北陸電力の発表が訂正を重ねているため、経産省は正確な情報発信を指示した(1/10)。火災が発生したとの発表が取り消されたり、変圧器の油漏れの量について、訂正が重なっていた。

・なお、2026年1月までの再稼働を目指す志賀原発2号機は、敷地内の断層をめぐり、原子力規制委員会の審査が長期化。審査申請から8年半となる2023年3月にようやく「活断層ではない」と認められたばかり。2023年12月28日、経団連の十倉雅和会長が訪れ、格納容器内にまで入って視察、「一刻も早く再稼働できるよう心から願っている」と述べた。その4日後に、能登半島地震がおこっている。

・志賀原発には以下のような影響が!……(1)~(8)は、1月初~中旬の主に朝日新聞記事より

(1) 1、2号機の使用済み核燃料プールから汚染水があふれた。

(2) 1号機核燃料プールの冷却ポンプが約40分間停止した(給水停止)。原子炉内に核燃料はないが、燃料プールには1号機に672体、2号機に200体の使用済み核燃料が貯蔵され、冷却されてる。ただし、運転の停止からは13年近くがたっていることから核燃料の発する熱は大幅に下がっていて、北陸電力によると、仮に冷却が停止した場合、プールの水が蒸発する温度に上がるまでには1号機が17日間、2号機は29日間かかるとの計算。

(3) 1、2号機の外部電源を受け入れる変圧器の油漏れが大量に発生した(当初、1号機で3600リットル、2号機で3500リットルと発表されたが、後に2号機では1万9800リットルと訂正)。原発に隣接する海面には油膜ができた。また、原発が動いていたら、電源ケーブルのスパークで火災が発生した可能性があると指摘されている。原発が停止中で、ケーブルを流れる電流量が少なかったことが幸いしたとみられる。

(4) 外部電源の一部回線(3系統5回線のうち1系統2回線)が使用不能となり(1月末でも使用不能)、完全復旧にはかなりの時間を要する見込み(1回線は変圧器の修理部品がなく最低でも半年との報道)。ただし、非常用ディーゼル発電機の燃料は7日分の備えあり。

(5) 敷地内に引き込んでいる冷却用の海水の水位が3メートル上昇した。なお、押しよせた津波の高さは3メートルあったが、原発敷地は標高11メートルにあるので、影響はなかったとしている。

(6) 周辺(おもに原発北側15~30キロ)に設置したモニタリングポスト18か所の線量計のデータが確認できなかった(モニタリングポストは能登半島全体で120か所)。通信トラブルとみられる。原発から30キロ圏は事故時にはモニタリングポストの実測値で避難するか屋内退避かの判断がなされることになっているので、線量が不明というのは、致命的な結果を招く可能性がある。

(7) 津波対策として、海水を引き込んでいる水槽の周囲に設けた高さ約4メートルの防潮壁の一部が数センチ傾いた。

(8) 1号機原子炉建屋近くで道路の段差が発生した。

【その後、非常用ディーゼル発電機】

(9) 1月17日には、試験運転を行っていた志賀原発1号機の非常用ディーゼル発電機1台が運転開始から15分後に自動停止した。試験運転は、16日に志賀町で震度5弱の揺れを観測する地震が発生したことを受けて、異常がないか確認するため、1台あたり80分間かけて行っていた。なお、1号機、2号機あわせて、ほかに4台ある非常用発電機には異常はみられなかったとのこと。北陸電は自動停止の原因について地震の復旧作業で通常とは異なる電気系統に接続した結果、電気の流れ方が変わったと説明。これに対し、原子力規制委員会の山中伸介委員長は31日の記者会見で「一種の人為的ミス。(北陸電の)検討不足、考察不足。電気回路をしっかり検討していれば防げた」と指摘した。

【その後、放射線防護施設】

(10) 志賀原発30キロ圏にあり、事故時に高齢者らが一時避難する21の放射線防護施設のうち、能登半島地震で6施設に損傷や異常が起きていた。うち2施設は使えずに閉鎖し、病院など別の2施設は患者らを移した。閉鎖した1施設は被ばくを防ぐ機能を維持できず、残る5施設も地震後、長期間、機能の確認ができなかった。断水は全21施設で起きた。(2/21共同通信)
▼新潟日報(2024/2/21)より

◆基準地震動との関係

・日経新聞など…原発には施設や設備ごとに考えられる最大の揺れがあり、構造物ごとに揺れの大きさを示す加速度(ガル)を想定する。

1、2号機の原子炉建屋の基礎部分で揺れが想定を上回った。東西方向の0.47秒の周期で、1号機では918ガルの想定に対し957ガル、2号機では846ガルに対して871ガルであった。ただし規制委は、0.47秒という周期の振動は原発の安全機器が揺れやすい周期ではないとしている。北陸電力は、1号機の原子炉建屋地下で、399.3ガルを記録したと発表している。

・志賀原発の基準地震動との関係で、以下、井戸謙一弁護士のFB投稿→こちら

・志賀1,2号機とも、原子炉建屋基礎下端における東西方向の水平動が、周期0.47秒付近で1000ガル弱に達し、福島事故前の耐震バックチェック時(2006年に新耐震設計審査指針が定められたことから原子力安全・保安院の指示で北陸電力がバックチェックをした時)の基準地震動(Ss-1)を上回りました(なお、志賀1号機は廃炉が決まっていますから、これに代わる基準地震動はなく、志賀2号機は新規制基準での適合性審査に合格していませんから、新しい基準地震動は決まっていません)。……一部で超えています。たまたま、その周期付近を固有周期とする安全上重要な施設がなかったので、大事には至らなかったようです。この点からも、今回は、極めて幸運でした。

・志賀原発の基準地震動との関係で、以下、若狭連帯ネットワークの指摘。基準地震動を問題にする場合には解放基盤表面で定義された基準地震動と岩盤中(EL-10m)の地震観測記録のはぎとり解析結果とを比較するのが正しいやり方。
・はぎとり解析、はぎとり波とは→こちら[リンク切れ]

・志賀原発敷地内岩盤中地震観測記録が、周期0.4545秒で979ガル(EW方向:はぎとり解析なし)を記録し、基準地震動(耐震バックチェック時のSs-1)の同周期で969ガルを超えた(岩盤中記録をはぎとり解析すれば1.8倍程度に大きくなり広範囲の周期で基準地震動を超える)
・志賀原発北北西9kmの富来川南岸断層が連動して3km以上の地震断層が現れ、数km西のK-Net 富来観測点(志賀原発から11km北北西)で地表最大加速度2,828ガル(3成分合成値)を記録した(地震基盤波のはぎとり波は、この半分程度で1,000ガルを超える)

◆珠洲原発との関連

・さらに、建設されなかった珠洲原発との関連も、改めて注目されている。

・「幻の珠洲原発は原発集中立地計画だった、珠洲原発を阻止した人びとが日本を救った」小坂正則(脱原発大分ネットワーク「つゆくさ通信」第182号、2024年1月20日)→こちら[2 MB]

・北野進氏講演会 能登半島地震!
   (志賀原発を廃炉に!訴訟・原告団長)
   2024/2/18/14:00〜
   こちら

◆能登半島地震の教訓

・井戸謙一弁護士…3つの幸運と2つの教訓

幸運1…志賀原発は震度7を免れた。K-net富来[とぎ]観測点2828ガル、志賀原発地下2階399ガル
幸運2…志賀原発敷地は隆起を免れた
幸運3…とんでもない短周期地震動に襲われなかった~富来観測点の地震記録の特徴
教訓1地震については、まだよく分かっていない…①活断層の存否、位置、規模、②活断層の連動の可能性、地盤の隆起、③地震動の規模。
教訓2避難計画は絵に描いた餅…①屋内退避ができないこと、②交通(道路、港湾、空港)が途絶し避難ができないこと、③放射線量が分からないこと、④安定ヨウ素剤の配布ができないこと、⑤自治体の職員が被災者になってしまい住民避難対応をする余裕がないこと。

◆風力発電にも大打撃

・石川県能登地方で稼働している73基の風力発電施設すべてが、能登半島地震で運転を停止した。風車のブレード(羽根)が折れて落下したほか、施設を動かす電源が使えなくなり、半数超で運転再開の見通しが立っていないとのこと。(東京新聞、3月11日)
 
┌─────────────────────────────────
◆[1] 2018年以来、群発地震が多発し、2023/5/5に、震度6強、M6.5 の地震
└─────────────────────────────────
┌─────────────
◆関電などが計画していた珠洲(すず)原発は阻止したが、
 もしここに原発ができていたら、
 最近の群発地震、震度6強、M6.5 の地震(2023/5/5)で大丈夫か(>_<)?
 住民「揺れるたび、珠洲に原発なくてよかったと思う」
└─────────────

◆珠洲原発

・珠洲原発は、石川県珠洲市に建設する計画であった原子力発電所。北陸電力、中部電力、関西電力の電力会社3社による共同開発として取り組まれたが、1975年の計画浮上から29年目の2003年12月、地元から反対運動、産業構造の変化、景気低迷などにより、電力会社側が計画を凍結した。

・中部電力は珠洲市三崎町寺家(じけ)で、関西電力は珠洲市高屋町でそれぞれ立地を計画し、北陸電力が地元の調整役を担うという役割分担の下、3電力の共同開発として進められる。1993年、寺家地点、高屋地点を特定せず、珠洲地点として135万kW級2基を建設し2014年運転開始をするとの計画で国の要対策重要電源の指定を受ける。


▲「珠洲原子力発電所計画の凍結について」(2003年12月5日)より(→ こちら)。
ただし志賀原発の位置は加筆。

・以下、計画の始まりから凍結まで。おもに関電の動き
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・1975年11月…珠洲市議会が「調査要望書」を議決。
・1976年3月…資源エネルギー庁が珠洲市高屋町と三崎町寺家の両地区で地質調査を開始。これをうけ、北陸電力、中部電力、関西電力3社は同月、共同調査のためのプロジェクトチームを編成、原子力立地に向けた調査活動を開始。
・1984年4月…電力3社が「珠洲電源開発協議会」を開設
・1988年12月…北陸電力、関西電力が珠洲市に高屋地区での立地可能性調査を申し入れ
・1989年5月…関西電力が高屋地区での立地可能性調査に着手したが、建設反対派住民が珠洲市役所内で座り込みを開始。翌月、関西電力は立地可能性調査を一時見合わせ(以後、調査再開に至らず)。
・1996年5月…1993年に実施された珠洲市長選挙の無効訴訟で最高裁が上告を棄却。推進派の当選無効が確定。
・2003年12月…電力3社が珠洲原発計画の凍結(事実上の撤退)。
└─────────────

◆珠洲市で地震多発

・2023/5/5、石川県珠洲市で、★震度6強M6.5の揺れを観測する地震が発生。能登半島では2018年以来、地震回数が増加し、群発地震が継続している。珠洲市では2021年以後、M5以上の地震が4回もおきているが、今回、5/5にM6.5、その後の余震でM5.8、M4.9などを記録。火山などのないこの地域の地震は、地下の流体が原因ではないかと報道されている。
・珠洲原発建設予定地であった三崎町では、★震度5強、★長周期地震動(揺れが1往復するのにかかる時間が長い大きな揺れ)階級3 が、記録された。

【付 震度と長周期地震動】
震度こちら
・6強…はわないと動くことができない。飛ばされることもある。固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる。大きな地割れが生じたり、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある。
・5強…物につかまらないと歩くことが難しい。棚にある食器類や本で落ちるものが多くなる。固定していない家具が倒れることがある。補強されていないブロック塀が倒れることがある。
長周期地震動こちら
・階級3…立っていることが困難になる。キャスター付き什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。間仕切り壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。

◆住民の声

珠洲原発反対の運動に取り組み、現在も志賀しか原発に反対する運動をになっている北野進さん(「志賀原発を廃炉に!訴訟」原告団長、珠洲市在住)は、Facebookで、以下のように書いている。
┌─────────────
・ここ2年半、ほぼ3日に1回の地震。「揺れるたび、珠洲に原発なくてよかったと思ってる」との声を聞きます。
・6日に開かれた政府の地震調査委員会臨時会後の記者会見で平田直(なおし)委員長(東京大名誉教授)は「地下では、まだ私たちの理解が及ばない現象が起きている。引き続き研究を深めていく必要がある」と述べています。
・最も心配なのは地下の流体が能登半島北部沿岸域を走る断層帯を動かすケースです。この断層帯は北陸電力の評価では96 kmとされています。この断層帯が動くと能登の住民としては想像したくもない大地震となり、志賀原発への影響も否定できません。周辺断層の活動の影響を審査する今後の規制委の審査会合に注目です。理解できないことをさも理解できているかのように議論を進め「重大な影響はなし」と結論付けることは許されません。
・ちなみに珠洲原発の計画があった当時はこの断層帯の存在は明らかにされていませんでした。関電の予定地・高屋や中電の予定地・寺家のすぐ近くを走っています。断層帯の存在がわかっていればもっと早く珠洲原発の計画は中止になっていたと思います。
└─────────────

◆参考サイト

【参考サイト(1)】
関西電力の「珠洲原発」用地先行取得の舞台裏と検察OBコネクション
村山 治(朝日新聞「論座」> 法と経済のジャーナル)
2020年02月14日【シリーズ】関西電力元副社長・内藤千百里[ちもり]の証言
こちら(なお、朝日新聞「論座」サイトは2023年7月末に閉鎖、「Re:Ron」に移行)

朝日新聞「論座」 > 法と経済のジャーナル
以下、関電に関連した記事は、事件記者の目(村山 治)より。

      1. 関西電力元副社長が告白、トラブル解決で森山助役に依頼した県への圧力
        2020年03月07日
      2. 関西電力元副社長が語った中曽根、福田ら元首相への「盆暮れ」は漢方薬
        2020年03月01日
      3. 関西電力首脳から歴代首相への政治献金と原発建設ラッシュの関係は?
        2020年02月21日
      4. 関西電力の「珠洲原発」用地先行取得の舞台裏と検察OBコネクション
        2020年02月14日
      5. 関西電力と竹下蔵相、後藤田官房長官、磯田住銀会長、平和相銀事件
        2020年01月02日
      6. 関電元副社長の語る大物右翼との親密、暴力団幹部との会合
        2019年12月26日
      7. 関西電力元副社長「うるさい人が味方になったらこれはすごい」
        2019年12月19日
      8. 関電最高実力者側近だった元副社長が語る森山助役との出会いと腐れ縁
        2019年12月12日

【参考サイト(2)】
原発と関電マネー 立地「工作班」の証言
(全5回)→◆037◆
石川県・能登半島の最北端で、かつて関西電力が進めた原発計画。現地で展開された数々の「工作活動」を元社員が証言。原発立地をめぐる電力会社の水面下の動きとは。

【参考サイト(3)】
石川県珠洲群発地震と志賀原発・珠洲原発
| 2023年5月5日の地震は仮に珠洲原発が稼働中なら
| 旧耐震指針の「直下地震」タイプの可能性
└──── 今井孝司(地震がよくわかる会 → こちら
→志賀原発_諸問題(珠洲群発地震、珠洲原発、運転差し止め判決、能登半島地震等)関連記事
(同上サイト→こちら
→珠洲群発地震と志賀原発・珠洲原発
(同上サイト→こちら
  
つくづく、この地に、珠洲原発2機(135万kW)が建設されてなくてよかったと、心底思います。今回の地震の震源と建設予定地の位置を地図上にプロットしてみましたが、まさに、旧耐震指針で、直下地震として、定義したマグニチュード6.5と同じであり、距離10キロ以内でこそありませんが、10数キロであり、ほぼ、定義通りの直下地震といえるでしょう。

◆096◆←←関西電力 闇歴史→→◆098◆

◆関西電力 闇歴史◆096◆

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◆関電の全原発で、火災防護対象ケーブルの対策がなされず!(2023/3/29)
 認可された設計工事計画(設工認)に従わずに運転継続!
 数年かかる見通しの工事を怠って、規制委も関電も事態を軽視!
└─────────────────────────────────

◆火災防護対策の設工認違反

 福井新聞の報道「40年超運転の高浜原発1、2号機 再稼働時期が遅れる見通し 火災防護対策の指摘受け追加工事」(2023/4/25)によって、火災防護対策の設工認違反が、高浜原発1、2号機のみならず、既に再稼働している美浜原発3号機ほか、関電の全原発にも及ぶことが明らかになった。

 規制庁が2022年4~6月に美浜3号機を対象に行った原子力規制検査で、非常時に原子炉を冷却する補助給水ポンプ関連の火災防護対策に不備がみつかり、検査指摘事項に当たると判断。その後、高浜1、2号機でも、非常時に原子炉を安全に停止させる機器のケーブルを収納する電線管の火災防護対策が不十分だと検査官が現場確認したとのこと。以上は、2023/3/29の規制委会合で報告された。

 2023/3/29 規制委員会資料(→こちら)によれば、
 
┌─(規制委資料より)───
 令和3年度第3四半期に関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)美浜3号機に対し、3年に1回行う火災防護の原子力規制検査(チーム検査)を実施した。検査の結果、認可を受けた設計及び工事の計画(以下「設工認」という。)に従った工事が行われず、火災防護対象ケーブルのA系とB系の系統分離1がされていないことを検査指摘事項とした(令和4年7月22日委員会報告2、重要度3:緑、深刻度4:SLIV(通知なし)。
 原子力検査官からの検査指摘事項に対し、関西電力は、是正処置として火災影響範囲(ZOI: Zone of Influence)内の火災防護対象ケーブルを収容している電線管に耐火シート等を設置する対策を行うとしていることを確認した。
└─────────────

 これは明らかに「設工認」違反であり、火災防護対象ケーブルの対策がなされていないにもかかわらず、再稼働を認めていたことになる。2021/10/23、美浜3号機は特重施設が設置期限に間に合わず停止。その後、2022/8/30に再稼働している。

 とくに、美浜3号機は、火災影響範囲内の対象ケーブルの対策すらしていないことが問題。他のプラントは火災影響範囲外。しかし、対策はすることになっている。

 いずれの原発でも、「設工認」では火災防護対象ケーブルは火災影響範囲内か範囲外かを問わず、「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護にかかる審査基準」(「火災防護審査基準」)に基づく「1時間耐火壁+感知自動消火設備等による火災防護対策」を行うことになっている。しかし、現実はどうか。以下のように指摘されている。
 
┌─(規制委資料より)───
関西電力美浜3号機、高浜1~4号機及び大飯3,4号機並びに九州電力川内1,2号機及び玄海3,4号機において、火災影響範囲外の電線管には「1時間耐火壁+感知自動消火設備等の火災防護対策」がなされておらず、設工認に従った系統分離対策が施工されていない。


└─────────────

 上記「系統分離などがなされていなくて対策が必要なケーブルの長さ」の一覧を見ると、関電はすべての原発に及んでいて、長大になっている。しかし、関電など事業者の対応方針は、対策の実施完了までには相当の期間を要することから、実施完了までの間、本来の対策(「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準」)と同等水準の系統分離対策として、対象の電線管の周囲に可燃物を配置しない等の運用を組み合わせた処置を実施することで良いとしている。審査基準に適合していなくても、それと同等なら問題ないというわけだが、可燃物を放置してしまうようなミスは、2022/12/9 の高浜1、2号機の海水電解装置建屋火災事故でも起きていた(点検で使用したウエスなどが入ったビニール袋に着火したと推定→◆058◆)。そのようなことがあっても延焼しないために物理的に隔離する必要があってこその「設工認」なので、原子炉を停止して工事を行うよう求めるべきではないか。

◆設工認通りの対策を行うと、数年かかる

 3/29の規制委では、関電が最終的に設工認通りの対策を行う場合、時間がかかるので、その間、部分的な対策と可燃物を配置しない等の運用を組み合わせた対策とするとしていることについて、杉山委員が最終的とはどのくらいのスケール感なのかと質問している。それに対して、規制庁は次のように答えている(→こちら、p.30)。
 
┌─────────────
「○髙須原子力規制部検査グループ安全規制管理官(専門検査担当)
原子力規制庁、髙須でございます。
明に何年というのは具体的にはまだ聞いていませんけれども、数年は掛かるかなとは言っています。」
└─────────────

 これでは、対策工事に数年もかかり再稼働が遅れてしまうので、意図的に工事をしなかったと言わざるをえない。いかにも原発稼働で金儲けしか頭にない関電の考えそうなこと。

◆ずさんな関電、重く受け止めない規制委

老朽原発40年廃炉訴訟市民の会(→こちら)の柴山恭子さんの指摘は的確。
 
┌─────────────
 岸田政権の原発回帰政策で前提とされている「厳格な」原子力規制とは、工事計画認可違反にすぐに気づけず再稼働を許し、違反に気づいても、かつ、事業者がずさんな管理運営を繰り返していても、原発を運転し続けてよいとするレベルのものでしかないことを多くの方に知っていただきたいと思います。

 また、関西電力は、4/25の福井新聞の報道を受けて即座に「当社が発表したものではない、高浜1、2号機は計画どおり再稼働できるよう取り組んでいる」などと発表しましたが、3/31に提出した工事計画変更認可申請に対し、認可はなされていません。

 4/13の審査会合で審査した記録がありましたが、火災防護基準と同等の水準と言えるかどうか説明ができていないと指摘されていました。部分的な防護対策と可燃物持ち込み防止でとりあえずの対策にしたいようですが、可燃物持ち込みについて、関電が保安規定の変更もしないとしていることについて、杉山委員から「保安規定に書かれないというのはちょっと考えられないです」「そもそも、このお話は既許可の設工認の通りになっていないということがスタートですからね。もうちょっと問題を重く受け止めていただきたいと思います。」との指摘もありました。

 いや、ですから、規制委が重く受け止めて、美浜3号機をはじめ対象全原発を停止させるべきではないですか。

 工事計画認可通りに火災防護対策工事をしていなければ合格にはならず、稼働できないはずなのに、後から未施工がわかった場合は原発を止めなくてもいいという、これが世界最高水準の厳しい原子力規制なのでしょうか。
└─────────────

 なお、4/21に開催された福井県原子力安全専門委員会の資料に、本件についても出ている。
(→こちら、[4]、[5])

 また、関電の5/2のプレスリリース(→こちら)では、設工認の申請をして、以下のようになっている。
 
┌─────────────
当社は、3月31日に高浜発電所1、2号機電線管の火災防護(系統分離)対策に係る設計及び工事計画変更認可申請書を原子力規制委員会に提出しました。
現在、申請内容の審査中であることから、再稼動時期が高浜発電所1号機は2023年6月3日から、高浜発電所2号機は2023年7月15日からそれぞれ遅れる見通しとなりました。
└─────────────

 高浜原発における追加工事は「1号機が5月中旬、2号機が6月中旬の完了」と報道されている。しかし、関電がどの程度の工事をするつもりかは不明。関電と規制委のなれ合いで、ほどほどの代替工事ですませる可能性も大きい。追加工事が完了した後、規制庁が使用前検査を実施、問題がないことを確認してから、再稼働の工程に入ることになるわけだが、遅れはどれくらいになるか、5/3 現在では不明。

◆美浜の会の要望書

┌─────────────
●美浜の会は、5月9日 規制委員会へ要望書 (→こちら)

関西電力、及び九州電力のすべての原発が火災防護の基準違反
基準違反と分かっていながら、安易な「是正措置」を認めることは許されない

要 望 事 項
1.安易な「是正措置」の実施を認めた 3月29日の「対応方針」を撤回すること。
関電が3月31日に提出した「火災防護対象ケーブルの系統分離対策に係る設計及び工事計画(変更)認可申請」を認可しないこと。
2.少なくとも、火災防護審査基準(2.3.1(2))の系統分離対策を実施するまで、高浜 1・2 号の再稼働を認めないこと。
3.関電と九電のすべての原発を停止させ、火災防護審査基準(2.3.1(2))の系統分離対策を実施させること。
└─────────────

◆095◆←←関西電力 闇歴史→→◆097◆

◆関西電力 闇歴史◆095◆

┌─────────────────────────────────
◆関電・舞鶴発電所でバイオマス燃料から発火、
 火災は10時間半後に鎮火、4棟全焼(2023年3月14~15日)
 【付 グリーンウォッシュ】

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 2023/3/14、夜に京都府舞鶴市千歳で発生した関西電力舞鶴発電所の火災は、バイオマス燃料の供給設備4棟延べ計約1100平方メートルを焼き、通報から約10時間半後の15日午前8時半ごろに鎮火。けが人はなかった。

 舞鶴市消防本部や関電によると、焼けたのは木質ペレットを貯蔵するバイオマスサイロ2棟と燃料を供給するベルトコンベヤーの中継所2棟。舞鶴発電所は石炭火力発電所で、木質ペレットは石炭と混ぜて燃やすという。敷地内には1、2号機(出力計180万キロワット)があり、出火当時は2号機が運転中だった。

 火災の原因について関西電力は、バイオマス燃料として使う木質ペレットが発酵して発熱しサイロにたまった一酸化炭素などの可燃性のガスに引火して自然発火したとする社内調査の結果を発表。停止していた舞鶴発電所2号機は安全性が確認されたとして、3/20に運転を再開。

【舞鶴発電所とは】
・関西電力唯一の石炭火力発電所。
・京都府舞鶴市)西端、若狭湾国定公園内に位置し、1号機は平成2004年、2号機は2010年に営業運転を開始。
・関電によれば、「石炭は、埋蔵量が豊富で安定した電力供給を支えており、バイオマス燃料の木質ペレットを混焼することで、CO2排出量を削減しながら、お客さまに品質の良い電気を届けております。」とのこと。
・石炭落下事故については→◆081◆

【バイオマス混焼および専焼化はグリーンウォッシュ】
・国際環境 NGO FoE Japan、国際環境 NGO グリーンピース・ジャパンなど、90のNGO団体は、2023年4月、石炭火力発電のバイオマス混焼および専焼化はグリーンウォッシュ、気候変動を加速させ、森林生態系を破壊する」とのNGO共同声明[384 KB]を発表している。(Webサイト→こちら
1. 気候変動を加速させる
 1) バイオマスを燃焼するとCO2が排出される
 2) 石炭火力発電所を延命させる
2. 森林生態系を破壊する

【付 グリーンウォッシュ】

 企業や組織が自らの環境配慮や持続可能性に関する取り組みを、実際よりも良い印象を与えるように宣伝や広告を行い、環境に対する社会的な責任を装ったり、事実を歪めたりする行為のこと。

 具体的には、企業が環境に配慮した取り組みを公表し、環境保護や持続可能性に対する取り組みをアピールする一方で、実際には環境に対する悪影響を持続している場合や、環境に対する取り組みが不十分であるにもかかわらず、環境に優しいイメージを持たせるために広告や宣伝を行うことがある。

 グリーンウォッシュは、企業や組織が環境に対する取り組みを真剣に行っているかどうかを客観的に評価することが難しいため、社会的な問題となっている。消費者や投資家は、企業の環境に対する取り組みを見極める際に慎重になり、環境情報を正確に評価する必要がある。また、企業や組織に対しては、環境に対する責任を真剣に持ち、透明性を持って情報を公表することが求められている。

◆094◆←←関西電力 闇歴史→→◆096◆

◆関西電力 闇歴史◆094◆

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◆関電大阪本店から高浜原発まで、老朽原発うごかすな!リレーデモ、
 関電京都で、関電と関電送配電に
 申入書を手渡しで提出(2023年3月24日)

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2023年3月24日

関西電力株式会社 取締役代表執行役社長 森 望 様
関西電力送配電株式会社 代表取締役社長 土井 義宏 様

老朽原発うごかすな!実行委員会(*別紙注1)

申 入 書

 私たちは、3月21日から、貴社関西電力の老朽原発、高浜1、2号機の再稼働に反対し、大阪の本店前から高浜原発まで230kmのリレーデモを行っています。本日、京都を通過するに当たり、下記の2点を申し入れます。

一.私たちは、すべての原発について、運転を取りやめるよう求めます。原発ではトラブルが多発しています(*別紙注2)。過酷事故の危険性があって被害が甚大になること、使用済み核燃料の処分方法がまったくないことなどから、原発の稼働は許されるものではありません。

一.とりわけ、40年超えの老朽原発(美浜3号機、高浜1、2号機)については、事故のリスクが高く、市民に被ばくを強要することになります。再稼動はもってのほかであり、直ちに廃炉にすることを求めます。

 最近、関西電力、関西電力送配電について、マスコミに報道されるニュースが目立っています。

・2019年に発覚した「原発マネー不正還流」は、最悪の幹部腐敗です。役員など20名余が、福井県高浜町の森山栄治元助役やその関連会社から計約3億6千万円の金品を受領していたとのこと。1億円を超える金品をもらっていた原発事業の幹部もいます。平然と受け取り、しかも隠そうとしてきました。その上、減額された役員報酬の闇補填、追徴課税分の闇補填など、きわめて悪質です。会社幹部としてすべきことではありません。株主訴訟では当然の追及が行われていますが、現経営陣も原告となっている会社訴訟では、腐敗した元幹部にきちんと責任をとらせるべきです。

・2021年には、公正取引委員会が、関西電力のほか、中部電力と販売子会社の中部電力ミライズ、中国電力、九州電力の5社に対し、独占禁止法違反のカルテル(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を行いました。その後の報道では、このカルテルを主導したのは、関西電力とのことですが、課徴金は免除されるようです。電力システム改革がめざす自由で公正な競争を否定するのみならず、資本主義経済の基本原則を犯すような経営は許されません。課徴金を免除されるからと言って、責任をとらなくてよいはずはありません。

・2022年には、関西電力の小売部門が、子会社の関西電力送配電の情報に不正アクセスしていたという報道がありました。その後、不正閲覧は、広範に行われていたことが判明しています。経産省サイトの新電力情報の不正閲覧も指摘されています。電力システム改革の根本を否定する違法行為によって得た情報を、自社営業活動に利用することについて、何の疑問も抱かなかったのでしょうか。

・2022年から報道されている自治体の街灯電気料金過払い。京都市は、照明灯の電気料金約1億100万円を関西電力に過払いしていて、関西電力側に約1億円を返還させることで合意しました。これについて、京都市建設企画部長は「過払いや漏れ生じている立証責任を顧客側に全部投げてきている。関電さんの姿勢というのは我々的には受け入れがたい」とのこと。関西電力は「一度に大量に届くLEDへの契約変更や、撤去による契約廃止が起きた場合にも、適切に対応して記録も残るようにしていきたい」としているが、届けがいくら大量でも「適切に対応して記録も残る」ようにすることは、当然の業務であり、今さら、何を言っているのか。同様の問題は、大阪府、大阪市との間でも起こっています。

・2022年には施工管理技士の国家資格の不正取得、2023年には関西電力送配電が法律で義務付けられた電圧の測定を怠り記録を捏造した件が、報道されています。

 法令順守、コンプライアンスの精神が著しく欠けた会社には、原発をさわる資格はありません。原発は、ひとたび過酷事故が起これば、国土を喪失させるほどの甚大な災害をもたらすからです。

 関西電力は不祥事が多すぎてコンプライアンスが崩壊しています。そんな企業が原発を動かすのだから、恐ろしいこと、この上ありません。関西電力には原発を動かす資格はありません!

以 上

別紙注1、注2[525 KB]

◆093◆←←関西電力 闇歴史→→◆095◆

◆関西電力 闇歴史◆093◆

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◆関西電力送配電、電圧測定怠り記録を捏造、虚偽報告
 経産省が詳細報告求める(2023年3月)

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◆怠慢、捏造、虚偽報告
「使い方がわからなかった」として、虚偽データを報告
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・経産省は2023/3/14、関西電力送配電株式会社が法律で義務付けられた電圧の測定を怠り、記録を捏造していたと発表。問題があったのは、関西電力送配電の一部営業所。経産省は電気事業法に基づき報告を求め、ほかの送配電会社などでも同様の事案がないか、確認を始めた。

・電気の安定供給を確保するため、電気事業法では送配電会社に対し、電圧と周波数を測定し、記録を保管することを義務付けている。違反した場合は30万円以下の罰金が科される。作業は年1回行う必要があるが、関電送配電の営業所の一つが2020年度から3年間、約120か所の家庭を対象に測定していなかった。本店には虚偽の結果を報告していた。問題の営業所では、毎年1回、120程度の家庭を抽出し、その電圧を測定すべきところ、実際は行わずに虚偽の数値を本店に報告していた。不正は確認できる限りでは2020年度から始まっていた。

・関電送配電によると、測定を担当していた社員は「報告書を作成するシステムの使い方がわからず、上司に聞くこともできなかった」と話しているという。関電送配電は「定期電圧測定に対する知識の付与や、業務の進捗状況の管理方法が不十分だった」「報告書の様式が不適切に作成できる仕様になっていた」としていて、これらの調査結果と再発防止策を3/22、経済産業省に報告した。この報告内容は、信じられないレベル。

・関電は不祥事が多すぎてコンプライアンスが崩壊している。そんな企業が原発を動かすのだから、恐ろしいこと、この上ない。

◆092◆←←関西電力 闇歴史→→◆094◆

◆関西電力 闇歴史◆092◆

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◆際立つ関西電力の悪質な経営姿勢!
 原発を含めた基幹インフラをになう公益企業として
 目に余るルール無視、欠如する倫理や規律(2019~22年噴出)
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(1) 原発マネー不正還流…2019年発覚。総額3億7000万円もの金品受領、減額した役員報酬の闇補填、追徴課税分の闇補填、水増し高値発注、利益供与を目的とした発注など、最悪の幹部腐敗。株主による訴訟(◆018◆)では、関電現経営陣も及び腰ながら旧幹部を訴えざるを得なくなった。市民による刑事告発(◆072◆)では、大阪地検が露骨に関電を擁護して不起訴処分を連発しているため、検察審査会が舞台になっている。

(2) 不正資格取得…2021年発覚。グループ全体で社員180人と退職者17人が、国家資格の施工管理技士を不正取得。不正取得者は原発工事15件にも関係。(◆022◆

(3) カルテル…2021年発覚。関電が主導で大手電力のカルテル。自主申告をした関電は課徴金なしになった。自主申告がコンプライアンス(法令遵守)意識によるものか、単なる打算、経済的なインセンティブ(動機)にすぎないのか、地域独占と総括原価方式で培われた唯我独尊の企業体質が問われている。電力システム改革ばかりでなく、資本主義経済の競争原則を真っ向から否定する違法行為の責任は重大。電力業界のリーダー格とされる関電は、罰金を免れたからといって、責任をとらなくてよいはずはない。(◆024◆

(4) 不正閲覧…2022年発覚。関電の小売部門が送配電子会社の情報に不正アクセスし、競争相手の新電力の顧客情報を盗み見ていた。22年4~12月分では計1013人の社員らが計4万806件分もの情報を閲覧し、営業活動にも利用。関電の社内調査によると、閲覧した社員の4割は「電気事業法上問題になり得る」と認識していた。送配電分離という電力システム改革を真っ向から否認する違法行為。(◆087◆

(5) 使用済み核燃料の中間貯蔵施設を県外に確保…2023年末までに福井県に提示することになっている。過去何回も、約束を破り、前言を翻してきた。その場しのぎ、口先だけで騙しているともみえ、倫理観がまったく欠如している。森本前社長は「2023年末の期限までに計画地点を確定できない場合には、その後確定できるまでの間、美浜3号機、高浜1、2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨みたいと考えております」と発言している。森現社長も、「23年末までに計画地点を確定できない場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しないとする方針を引き継ぐ」と福井県知事に約束している。この約束を守ることができるのか。(◆012◆

……使用済み核燃料を何処に置くかを問題にしているわけではない。置き場所を早く決めるべきだと言うことでもない。使用済み核燃料についていえば、増やさないようにしなければならない。これまで何回も約束を守らなかった関電の口先の出任せが倫理観欠如。平気で空約束をする体質が問題。仮に今年はようやく守ったとしても、過去の不履行の非行は消えてなくなったりしない!

◆091◆←←関西電力 闇歴史→→◆093◆

◆関西電力 闇歴史◆091◆

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◆[1]◆福井地裁では、2023年1月現在、
 2件の仮処分裁判が進行中

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(1) 一つは、高浜原発1~4号機の運転差止を求めるもの。中嶌哲演さんと田内雄司さんが2022年に本人訴訟として始めたが、現在は代理人弁護士がついている。2023/1/30に第4回審尋。

(2) もう一つは、老朽美浜原発3号機の運転差止を求めるもの。大阪地裁での美浜3号機仮処分が2022/12/20に却下されたのを受けて(大阪高裁に即時抗告しているが)、それとは別に、福井県民10名が2023/1/13に申立。

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◆[2]◆高浜1~4号機の差止を求める仮処分について……上記[1]-(1)について
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 申立人のおもな主張。
・関電は原発を稼働しうる最大の根拠として「原子力規制委員会が新基準に適合の判断をしたこと」を掲げているが、地元住民としては根本的に疑義がある。規制委は、安全だとは言っていない。
・老朽原発の1・2号機が稼働すれば、危険はつねに緊急、重大である。
・若狭への15基もの集中化こそ、「危険性」を根源的に実証している。
・関西電力は、設置前後から企業倫理を逸脱!
・「あとからくる者のために」原発のない社会を!

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◆設置前後から企業倫理を逸脱していた関西電力!
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 第5準備書面(2022/9/30付)では、申立人が、「設置前後から企業倫理を逸脱していた関西電力!」などの主張のもとに、下記の資料を書証として裁判所に提出。

  • 『父と子の原発ノート――それは若狭に灯をともしたか』~~ゆきのした文化協会・日本科学者会議、1978年。高浜1・2号機反対の運動について。
  • 「脱原発のための小浜市民からの提言」~~『環境と公害』2016年1月号(岩波書店)より
     →本項◆091◆、以下に掲載。小浜市民の半世紀に及ぶ活動を簡約した論考。
  • 「インタビュー 関西電力との50年闘争」~~『世界』2020年4月号(岩波書店)より。高浜3・4号機増設の顛末について。
     →前項◆090◆

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◆[3]◆脱原発のための小浜市民からの提言
 中嶌哲演

 ~~『環境と公害』2016年1月号(岩波書店)より
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1.5次にわたる小浜市民のたたかい
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 15基もの原発群が集中した若狭において、小浜市民がこの40数年間、原発および関連施設を拒否し続けてきたたたかいは、要約すれば以下の通りである。

①小浜原発誘致の第一次阻止運動(1968~72年)
②同第二次阻止運動(1975~76年)
③同第三次阻止運動(1984~87年)
④使用済み核燃料中間貯蔵施設誘致の第一次阻止運動(1999~2004年)
⑤同第二次阻止運動(2008年)

 また、70年代の大飯原発1・2号機の建設、80年代の3・4号機の増設に対しても、実質上の地元住民(同原発から10 km以内の住民分布で、小浜市民は75%を占めていた)として、強力な反対運動に取り組んだ。だが、関西電力や国・県などの理不尽な原子力行政(「地元」は大飯原発の立地自治体の大飯町のみ)によって、阻止に至らなかったことは痛恨の極みである。

 関西電力の小浜原発誘致問題が浮上した頃、小浜市はすでに敦賀市、美浜町、高浜町で建設や計画が進む7基の原発によって包囲されていた。当時の小浜市長や市議会の多数会派も誘致に意欲満々であった。そのような四面楚歌の状況の中で、上記の小浜市民のたたかいは展開されたのである。

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2.美しい若狭を守ろう―共同と協働
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 これまでの運動を支えてぎた小浜市民の理念には、以下の3点があったように思う。

(1) 全運動を通じて、「美しい若狭を守ろう!」のメインスローガンが貫かれた

 上記①では、青・緑・赤の同心円のシンボルマークが大きな役割を果たした。美しく青い小浜・若狭の海を抱きこむ緑の半島や岬、それらを取り巻く原発群の危険な赤。最外円の赤は、その危険を美しい故郷を守る団結の輪に変えようという両義性をもっていた。また①の運動で、6回にわたって全戸配布されたビラの中でも、小浜を訪ねた観光客たちのことばも紹介しながら、次のような一節も含まれていた。

 「水がきれい/新鮮な魚/景色がすばらしい/古い文化財が多いのに感心/素朴、土地の人がとても親切/文化財と自然環境を破壊しないように/自然との調和を図りながら観光都市としての発展を。
…公害列島化しつつあるわが国において、美しい若狭は、いまや私たちだけのふるさとというものにとどまらず、国民的なオアシスになっています。また、こうした条件を生かす地域開発こそ、若狭・小浜の真の発展をもたらすものといえましょう」と。

 若狭の原発群から関西広域圏へ送電されてきた40余年の経緯を振り返るにつけ、小浜市民のこの初心を忘れてはなるまい。

(2) 共同と協働

 これがわが市民運動を支えてきた伝統でもあった。上記①~③の運動を担ったのは、1971年末に結成された原発設置反対市民の会である。60~70年代にすでに分裂していた原水禁運動や反原発運動のはざまで、小浜市民の会を構成した6加盟団体と3オブザーバー加盟団体は、先のシンボルマークの精神にそって、小浜に原発や中間貯蔵施設の設置を許さないという共同目的のもとに団結し、有権者(2万4000人)の過半数を達成する署名運動などで協働した。④の運動では、小浜市民の会だけでなく、若狭小浜の自然と文化を守る会などの広範な共同と協働によって、中間貯蔵施設誘致と引き換えに50年間で約1300億円の交付金をという誘惑を乗り越えて阻止したのである。

(3)「あとからくる:者のために」–注1)

 たとえば、④の運動の渦中で、小浜市民の会は全市民対象のビラの末尾で訴えた。「1970年代に、市民の声に耳傾けられた鳥居・浦谷両市長は、『原発による財源よりも、市民の豊かな心を選ぶ』と、小浜市への原発誘致を断られました。小浜の自然や歴史・文化をふまえた『食中心の町つくり』を高唱されている現在の村上市政にも、『核のゴミ施設』の誘致は決定的なイメージダウンを招くでしょう。何よりも、私たちの『後からくる可愛い者たちのために』再び小浜からの良識の声を上げていきましょう」と。数千世代後の後世代にまでそのツケを残す放射性廃棄物(死の灰)を、新たに生成・蓄積するという一事だけでも、原発の再稼働は許容されないだろう。

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3.3つの「地元」
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 「フクシマ」の惨禍にもかかわらず、原子力ムラと原子力行政は原発の再稼働と延命へ向けて暴走している。その背景をなす過去のプロセスと現在の問題点を、以下のような視座からとらえ直してみたい。

 原発の「地元」概念で、「立地地元」と「被害地元」の2つは定着したが、私は「消費地元」も加えて検討したい。日本列島の原発「地元」は、例外なく過疎・辺境の地域にある。敦賀・美浜・大飯・高浜の若狭の原発群もしかり。しかし、それらの地域が最初から原発を歓迎したわけでは決してない。道路やトンネル、橋などのインフラ整備、巨額の固定資産税や交付金などとの交換条件によって、当初の疑惑や反対運動が押さえ込まれていったのである。ここでは詳論できないが、その過程を「原発マネー・ファシズム」の支配あるいは「国内植民地化」と私は表現している。

 原発が真に「安全」で「必要」であるならば、火力発電所と同じように大都市圏の「消費地元」の海岸部になぜ建設できなかったのか。原発の「安全神話」と「必要神話」は、福島や若狭に1基目の原発が建設された時、すでに原理的にも客観的にも崩壊していたのではないだろうか。

 2014年5月の福井地裁の判決で明らかなように、大事故時の「被害地元」は、いまや250 km圏に及ぶ。それが、立地地元と消費地元を結びつけつつある。と同時に、「立地地元」住民は、目先のメリットのために自然や地域社会を破壊し、後世代に巨大なツケを残す倫理的責任を問われるだろうし、「消費地元」住民も、これまで弱小の地域・住民に危険施設を押し付けてきた倫理的責任を問われるのではないだろうか。原子力ムラや原子力行政の根本的な責任を糾明するとともに、3つの「地元」住民の各当事者性の内実をも反省する必要があろう。

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4.小浜市民からの6つの提言
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 若狭・小浜は、明治時代の一時期、滋賀県に属したことがある。ことほどさように、琵琶湖を介して、若狭と関西圏のつながりは地理的にも歴史的にも深い。小浜から奈良へのお水送りとお水取りの行事でも象徴されている通り、美しい若狭の海の塩や魚介類を畿内に送ってきた食の伝統は、全国の自治体に先駆けて2001年に制定された「小浜市食のまちづくり条例」に継承されている。それに基づく身土不二や地産地消の産業、環境、福祉、教育、観光などへの具体化は、原発関連産業とは両立せず、前記の中間貯蔵施設阻止運動を力強く支えた。

 若狭の原発群の廃炉や後始末へ向けて、私たちは小浜市民の会の隔月刊紙で2012年に次のような提言をおこなった(「若狭の原発を考える一はとぽっぽ通信」第190号より)。

①過酷な被災の後だったとはいえ、福島県は「原子力に依存しない安全・安心で持続的な発展可能な社会つくり」を決断し、国も法的・財政的な支援をすでに始めている。
②福井県も自ら原発震災を被る前に、福島県をモデルにするべきだろう。再稼働・延命存続のための巨額な予算と、脱原発に資する諸事業への予算の配分を逆転させよう。
③かつての国の基幹エネルギーとして石炭から石油へ転換した際に、「産炭地域振興臨時措置法」(1961~2001年)を制定・施行したことも再検討しよう。
④原発の後始末や原発に依存しない地域つくりを試みている海外の先行事例も参照してみよう。
⑤地元の草の根から原発にたよらない方途を模索している若い世代を支援しよう。
⑥原発電力の「消費地元」たる関西大都市圏なども、原発の永久停止を条件に、合理的な電気料金値上げも含めて、脱原発への具体的で速やかな方策にとりかかろう。

 この提言が反映されたのかは不明だが、2013年10月、福井県庁内に、原発依存の地域経済・社会をどう転換していくかという研究テーマも含む「廃炉・新電源対策室」が立ち上げられた。まだ緒についたばかりだが、若狭の住民・福井県民はこれに注目し、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富」(2014年5月21日「大飯原発3、4号機運転差止請求事件」の福井地裁の判決文より)という精神を吹き込んでいかなければならない。

 そのことはまた、関西広域圏の水がめを守るための上記⑥の実践ともつながらなければならない。
(なかじま てつえん・明通寺住職〉


1) 坂村真民(1974)「あとからくる者のために」『詩国』13巻12月号(通巻150号)([1986]『坂村真民全詩集』第3巻(大東出版社)等に収録)。

◆090◆←←関西電力 闇歴史→→◆092◆