関西電力 闇歴史」カテゴリーアーカイブ

◆関西電力 闇歴史◆087◆

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◆関電の小売部門が送配電子会社の情報を不正閲覧
 「電力システム改革」の重要課題に違反
 関電のコンプラ意識がさらに問われる事態
 【付 電力システム改革】

(エネ庁サイトへの不正閲覧→◆100◆
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▼二つの不正閲覧

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[9] 個人情報保護委員会(個情委)が行政指導
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・大手電力の小売部門が送配電部門の個人情報不正閲覧していた件について、個情委は個人情報保護法の規定に違反すると認定。北海道電力と東京電力を除く大手電力の小売り・送配電部門の計15社が対象。(2023/6/29)

・政府の個人情報保護委員会(個情委)は、エネ庁サイトへの不正閲覧でも、大手電力全10グループと送配電子会社など19社に対して、行政指導を行った(→◆100◆)。

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[8] 関電は16人を処分、送配電も8人を処分
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・関電は、2023/5/12、業務改善計画を経済産業省に提出するとともに、森望社長ら16人の報酬を減らすなどの処分を発表。

森 望   (取締役代表執行役社長)  月額報酬50% 3か月※
稲田 浩二 (取締役代表執行役副社長) 月額報酬30% 3か月
西澤 伸浩 (取締役代表執行役副社長) 月額報酬30% 3か月
松村 幹雄 (代表執行役副社長[ソリューション本部長]) 月額報酬50% 3か月
槇山 実果 (執行役常務[ソリューション本部長代理]) 月額報酬30% 3か月
宮本 信之 (執行役常務[総務室担当]) 月額報酬20% 2か月
荒木 誠  (執行役常務[経営企画室、IT戦略室担当]) 月額報酬20% 2か月
池田 雅章 (執行役常務[コンプライアンス推進室、経営監査室担当]) 月額報酬20% 2か月
高西 一光 (執行役常務[エネルギー需給本部長]) 月額報酬20% 1か月
杉本 康  (取締役監査委員会委員) 月額報酬10% 3か月
島本 恭次 (取締役監査委員会委員) 月額報酬10% 3か月
 上記の他、本件に関係する執行役員ならびに従業員(合計5名)についても、社内規程に基づき厳正に対処します。
※本件に関し、本年3月から6か月間、月額報酬の50%を自主返上中であり、上記処分を超える期間については、引き続き自主返上とします。
 なお、榊原 定征(取締役会長)から月額報酬の20% 3か月を、自主返上する旨の申出があり、受理しました。

【参考】2023年6月の「第99回  定時株主総会 招集ご通知」より

・関西電力送配電も、8人を処分。

土井 義宏 (代表取締役社長) 月額報酬50%、3か月※
白銀 隆之 (取締役副社長執行役員) 月額報酬30%、3か月
大川 博己 (取締役常務執行役員) 月額報酬30%、3か月
高市 和明 (常務執行役員) 月額報酬30%、3か月
津田 雅彥 (常任監査役) 月額報酬10%、3か月
戸田 誠一郎 (常任監查役) 月額報酬10%、3か月
 上記の他、本件に関係する執行役員ならびに従業員(合計2名)についても、社內規程に基づき厳正に対処します。
※本件に関し、本年4月から3か月間、月額報酬の50%を自主返上中であり、既返上分は自主返上の扱いとします。

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[7] 関電は短期間の営業自粛
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・新電力顧客情報の不正閲覧をめぐり、関西電力は3/24から4/30まで電気・ガスの販売で営業活動を初めて全面自粛すると発表。
・関電は4月中に不正に関する社内調査結果をまとめる予定だったが、4月17日に経産省から業務改善命令を受け、5月12日までに内部統制の強化策などを含む業務改善計画を公表することを求められている。そのため、営業自粛期間を報告提出まで延長した。
・ただし不祥事の続出で露呈したコンプライアンス(法令順守)意識の欠如が短期間で改善されるかは疑問。顧客からの契約申し込みは受け付けるなど、甘い形式的な自粛。

営業目的の閲覧が多数…なお、4/19、関電は、2019年11月からの約3年間で、社員62人が新電力の家庭向け契約5万4774件の顧客情報を営業目的で閲覧していたと明らかにした。このうち4000件近くは、閲覧後に契約が関西電力に切り替わっていた。2月の公表時点では、営業活動に使っていたのは社員35人で4332件と説明していた。また企業向けの契約でも、社員ら2千人超が1万940件の情報を不正閲覧していたことが新たに発覚した。

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[6] 経産省、関電に業務改善命令
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・経産省は、2/21、関電に対してコンプライアンスなどについて、緊急点検を指示した。
・電力・ガス取引監視等委員会は、経産省に対してカルテルや不正閲覧問題で該当する電力各社に業務改善命令などをだすよう勧告。
・これをうけた経産省は、2023/4/3、業務改善命令に係る弁明の機会の付与を通知。4/17、関西電力と関西電力送配電などに対し「業務改善命令」を出した。電気事業法に基づく行政処分としては、最上級に厳しい処分。関電の不正閲覧は、2022年12月までの約3年で、関電の社員と委託先の社員、計約1600人が、「新電力」の顧客情報約15万3000契約分にのぼることが判明。不正閲覧は常態化していた。関電に業務改善命令が出されたのは、原発マネー不正還流◆018◆)による金品受領問題に関連して出された2020年3月以来。つまり、関電は、3年間で2度の業務改善命令を受ける事態。参考→◆024◆
   
・業務改善命令…関西電力、関西電力送配電、中国電力ネットワーク、九州電力、九州電力送配電の5社。
・業務改善勧告…東北電力、四国電力など。故意に閲覧できるようにしていた関電より、悪質性は低いと判断。
・業務改善指導…沖縄電力など。

【自治体の処分】
・大阪府は2023/4/24、関西電力を2024/2/1まで「入札参加停止」とした。関電はすでにカルテルの問題をめぐり、大阪府から「入札参加停止」措置を受けていて、4/3以降、府の入札に参加できなくなっていて、今回は不正閲覧問題を受け、「措置が延長された形」。

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[5] 不正閲覧が拡大
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過去3年分(2019年11月~2022年12月)を調査……関西電力送配電と関西電力は、新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題で新たな調査結果を発表(2023年2月17日)。関西電力送配電は、託送システムへのログ件数の調査期間を、記録が残る過去3年分まで拡大。その結果、非公開情報を閲覧した関電社員は委託先職員を含め1606人で、契約数は15万3095件に上ることが新たに判明した。社員35人がオール電化の営業に使ったという。
・経済産業省は2月21日、関電に対し法令順守などに関する緊急指示を出し、資源エネルギー庁長官が経産省内で関電の森望社長に手渡した。

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[4] 大手電力、各社で同じ違法行為がまん延
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・大手電力による顧客情報の不正アクセスは、関西電力のほかに、東北電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力でも報告されている。
・電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は、大手電力に遠慮して、監視の役割を果たしていない。

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[3] 子会社「関電システムズ」からも不正に情報入手
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 関西電力は2022年10月まで4年半の間、システムの運営などを委託する子会社「関電システムズ」に依頼し、競合する新電力の顧客氏名や、スイッチング(契約切り替え)情報などを不正に入手していた。子会社側は関電の求めに応じ、送配電のシステムから共有を禁じられているライバル社の情報を渡していた。(2022/1/17 報道)

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[2] 電取委への報告で明らかな法令無視の姿勢
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 関西電力は、2023/1/13、社員および委託先社員を対象にしたアンケート調査の結果を発表。電力・ガス取引監視等委員会に報告書を提出。2022年9月から12月にかけての3か月間で、社員および委託先社員730人によるライバル関係にある新電力の顧客情報への不正なアクセスは、あわせて1万4657契約とのこと。このうち関西電力社員239人の4割が「電気事業法上の問題になり得る」と認識していた。社員30人が「関電として提案活動を行うため」と「オール電化」の営業活動に利用していた。関電の松村幹雄副社長は記者会見で「電力の公正な競争を揺るがすことと認識している」と謝罪した。「事業活動よりコンプライアンスを優先するという意識徹底が不十分であった」と。

・関電の「新電力顧客情報の取扱いに係る調査結果の報告について(電力・ガス取引監視等委員会からの報告徴収への報告)2023/1/13」→こちら

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[1] 不正アクセス事件とカルテル事件
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 関電の小売部門が子会社の送配電会社「関西電力送配電株式会社」の情報に不正アクセスしていたという報道があった(2022年12月27日)。この不正アクセス事件は、カルテル事件(◆024◆)と並んで、関電の「電力システム改革」無視、法令無視、倫理観欠如の姿を明らかにしている
【参考】森と暮らすどんぐり倶楽部 ブログ「関電  新電力の顧客情報不正閲覧!」→こちら

 報道では、関電とライバル関係にある新電力の情報が筒抜けだった可能性があり、不正アクセスが常態化していた恐れもあるとされている。電気事業法が禁止する行為として、電力・ガス取引監視等委員会は両社に報告を求める通知を出した。経済産業省は、今回の事態を重くみて、他の大手電力9社についても同様の問題がないかを速やかに調査、経産相は、調査結果を踏まえ適切な対応を取るとのこと。

 しかし、大手電力の意向に沿ってすすめてきた「電力システム改革」の当然の結末の一つだろう。カルテル事件でも、電力・ガス取引監視等委員会(電取委)はその不法行為を見逃していたことになる。どうして電取委は、カルテルにも気づかず、送配電部門の中立性確保ができていないことにも気づかなかったのか。

 新電力の関係者は「やっぱり」「今さら」「氷山の一角」と言うだろう。新電力と契約している客の名前や連絡先、電気の使用量などの情報が関電にもれていれば、関電の小売営業はひじょうに助かるはずだ。関電は、とくに高圧、特別高圧で新電力に流れた顧客を取り返す「取り戻し営業」に力を入れている。

【取り戻し営業】

・いったん関電から離脱して新電力に移った顧客を、再び、関電の契約に引き戻すという,関電の営業政策。とくに、法人の大口顧客の流出に対して、値下げを含めた「取り戻し営業」を強化。
・京阪電気鉄道は、2018年5月、大阪府や京都府を走る「京阪本線」の動力用の電気について、購入先を新電力のエネット(東京)から関電に切り替えた。関電の取り戻し営業が成功した例とされる。
・岩根茂樹社長(2018年当時)は、昨秋(2017年秋)以降の営業の動向について「企業向けでは顧客の取り戻しが離脱を少し上回るようになった」と言っている。
(産経新聞→こちら
安値、値引き攻勢「取り戻し営業」からカルテルへ◆024◆
「関西電力 闇歴史」番外編(1)関西電力 この11年(2022年末)こちら

【関電社内のコンプライアンス感覚】

・ 関電のプレスリリース(→こちら)によると、「本件は、12月9日、当社社員が新電力顧客情報を閲覧できることに気付き、12月13日に関西電力送配電株式会社に照会し、判明したもの」となっている。

「電力システム改革」の中でもっとも重要な課題に関して、当該の電力従業員らは何も知らないのか。知っていても、素知らぬ顔をしていたのか、あきれかえって、言うべき言葉もない。コンプライアンスは、お題目ではない。日々、職場の中で実践されるべき課題なのに、関電とは、何という会社か…分かっていることだが、改めて怒りがこみあがるニュースだ。

・電力システム改革の中で最重要課題の一つとも言える「送配電部門の中立性確保」について、一人の「当社社員」以外、関電社員は何も知らないのか。「12月6日から12日までの1週間で少なくとも329人の関電の営業部門の社員が1327件の顧客情報にアクセス」と報道されている。329人は、何を考えていたのか。自分の営業成績だけか。「行為規制」を知らなかったとしても、知ってて無視したとしても、重大な違反行為だ。

・知らなかったとしても、知っていても無視し続けてきたとしても、関電社内のコンプライアンス感覚がまったく最低レベルであることを示して余りある事態だ。

・オンラインコメント…「当時新電力として事業に携わっていましたが、高圧(事業用)以上の案件で旧電力からの契約切替の話が進むと、急にその需要家(顧客候補)に旧電力からの営業攻勢として大幅な値引き提案が入りご破産になることが多々ありました。この問題は公平な競争環境の構築による顧客メリットを大きく阻害しています。」
「関電の社員であれば電気事業法を理解しているはずであり、少なくとも一人ぐらいは問題視し、早期に対策(閲覧禁止)を取ったはずです。一人もそれに気づかない、気付いたとしても対策を取らない社員ばかりであるということは信じられません。関電を含め電力関係会社の情報管理能力およびその倫理観を含めて、再教育する必要があるでしょう。」

関電の広報には「厳格な情報遮断」を記載】

・「発送電分離は、小売全面自由化と並ぶ電力システム改革の大きなポイント」として、その「中立性の確保に向けて」の項目では、「日本では中立性を確保する方法として、送配電を行う会社を電力会社とは切り離し別会社とし……両者の間で厳格な情報遮断等を行うというものになります。」とある。

・言葉が踊っているだけ。「厳格な情報遮断」が聞いて呆れる。表面を取り繕うだけで、まるで内容がなく、社外向けの建前広報だけ。

【大手電力は解体して再編を】

・大手電力の権益温存をはかって進められている「電力システム改革」は、カルテル事件、今回の不正アクセス事件で、その限界が明らかになった。

・ 関電の発電部門、小売部門、送配電部門は、それぞれ完全に独立した別の会社にすべきだ(所有権分離)。9電力会社の地域独占の送配電会社は、統合して、全国単一の送配電網に整備すべきだ。
関電解体!

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【付 電力システム改革】
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(1) 2012年以来の「電力システム改革」とは
・第一段階…電力広域的運営推進機関(OCCTO、オクト)の設置(2015年度~)
・第二段階…小売全面自由化(2016年度~)
・第三段階…送配電部門の中立化=法的分離(2020年度~)、
 料金規制の撤廃(2020年度からは実施予定であったが、新電力未成長により未実施)

(2) 電力の小売自由化の中で、常に指摘されているのが、全面自由化後も日本の発電所の約80%を大手電力が所有しており、発電分野での競争が働かない状況が続いている点である。このため、大手電力が自社小売部門(もしくはグループの小売会社)と新電力を差別せず、公平に扱うこと「内外無差別」(「大手電力の発電部門と小売部門の相対取引」と、「大手電力と新電力との間の相対取引」とのイコールフッティングが担保されていること)が実現されない。そして、もう一つ、常に議論されてきたのが「送配電部門の中立性確保」の必要性。

【参考】内外無差別と常時BU
 北海道電力は2023/11/2、2024年度は新電力への常時バックアップ常時BU)を行わないと発表した。23年度年間物の電力の相対卸取引で、自社の小売部門と新電力を差別せず公平に扱ったこと(内外無差別◆102◆)を電力・ガス取引監視等委員会(電取委)が認めたため。2023/10に改定の「適正な電力取引についての指針(適取ガイドライン)」(→こちら)に、監視委が内外無差別性を確認すれば常時BUを行う必要はないとしたことを踏まえた措置。
 なお、常時BUとは、新電力が需要家に電力を供給する際に、大手電力(旧一般電気事業者)から継続的に電力を購入するしくみのこと。新電力が新しく参入する際に、ベースとなる電源供給量が足りないことや、新電力がベース電源となる発電所を新たに建設するのはコスト面で厳しく、参入の大きな障壁となるため、大手電力から一定量の電力を継続的に卸売りしてもらうしくみ。適取ガイドラインに基づく。

(3)  2003年…「送配電部門の中立性確保」のために「会計分離」が実施される。
(例)関電の中で、送配電部門とその他の部門の会計を分ける。しかし、送配電部門の中立性確保が不十分との指摘が絶えなかった。
(例)関電など大手電力の小売部門と送配電部門が共同して、新電力の小売営業を妨害するようなこと。

(4) 2020年…送配電部門の「法的分離」が実施される。ただし、この分離では、資本関係は維持される。
そこで、送配電会社の中立性、独立性を保つために「行為規制」が課されている。
(例)送配電部門を完全に独立した別会社にする「所有権分離」がもっとも厳格な制度であるが、関西電力送配電株式会社は関電の100%子会社。大手電力に配慮した政策。


▲資源エネルギー庁資料(→こちら)による。

(5) 行為規制…大手電力と新電力が、送配電網を公平に利用できるようにするための規制。会計分離以来、重要課題であったはずなのに、関電社員にはこれがまるで頭に入っていない。
・送配電部門(送配電会社)が託送業務を通じて知りえた情報の、目的外利用の禁止
・送配電部門(送配電会社)と発電・小売部門(親会社)との内部相互補助の禁止
・託送業務について、親会社と新電力との間での差別的取扱の禁止
・送配電会社と親会社で、取締役・執行役の兼職を禁止

(6) つまり、関電の場合では、以下の通り。
関西電力株式会社…発電部門、小売部門からなる。小売部門は、自社の顧客情報はもっているが、新電力顧客情報は知りうる立場にない、アクセスすることができないのが建前。

関西電力送配電株式会社…関電の100%子会社で、地域独占の送配電部門。関電エリア全体の顧客情報をもつが、親会社と情報が遮断されていることになっている。

(7)「発送電分離」の陰で進む大手電力会社による新電力潰しの実態
こちら(2020/4/24)

◆086◆←←関西電力 闇歴史→→◆088◆

◆関西電力 闇歴史◆086◆

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◆老朽高浜1、2号機の再稼働にむけて
 燃料プールの「過度に保守的な」安全策を廃止し「現実的な評価」へ
 2022年12月21日、中性子吸収体の廃止などを規制委が許可
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・関電の主張
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 高浜発電所1、2号炉の使用済燃料ピットでは、燃料の使用状態に応じて保管エリアを設定する(燃焼度3段階別)とともに、大部分の燃料に中性子吸収体の存在を考慮しなければならないことになっている。保管エリアを三つに区分する現状で、今後、再稼働するとなると、燃料棒の配置がうまくいかなくなる。中性子吸収体も必要となるが、手持ちでは不足しているし、新しい中性子吸収体の製造には時間も費用もかかる。燃料の再配置入れ替えによる作業員の被曝も増える。そこで、燃焼度や、中性子吸収体の存在を考慮しなくてもよい管理に移行したい。


▲縛りの大きい変更前(現状)と自由になる変更後。関電の資料より。こうすることによって、使用済み核燃料の貯蔵スペースを増やすことができる点が、大きな目的とみられる。

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・規制委の説明
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 これまでこういうプールの臨界安全を考えるときに、プール中の水密度を連続的に変化させて、全ての状態で臨界条件をクリアしている(臨界に達しないようにしている)という、そういう条件で判定していた。しかし、これは「過度に保守的」であった。そのため、今回、初めて「現実的な評価」を行って、燃料プールでは、「中性子吸収体の設置」並びに「燃料体の配置制限」、この二つを廃止することになった。

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・安全対策に無駄はない
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 保守的」とは「より安全側にたつ」ということ。電力会社が好んで使う言葉だが、「過度に保守的」となると「無駄で無意味な」という意味になる。そこまで安全を考える必要はない、という主張になる。目的は、使用済み核燃料の保存スペースを増やすことにある。安全対策で入れてあるものは取り外すべきではない。

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・参考など
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・高浜発電所の原子炉設置変更許可について→ こちら
(1、2号機の使用済燃料ピット保管時の燃料の管理方法の変更)
(関電資料、2022年12月21日)

・令和4年度原子力規制委員会 第39回会議議事録 令和4年9月21日→ こちら

【参考】
・加圧水型原発の燃料集合体では、燃料棒の間に適当な間隔で制御棒が入るようになっていて、1本の燃料集合体となる。サイズは、およそ 21cm×21cm×4.2m。
・使用済み燃料になった場合は、制御棒の場所に中性子吸収棒をさしこんで、臨界状態にならないようにしている。サイズは、およそ 15cm×15cm×4.0m。
・中性子吸収棒(一つの燃料集合体に差し込む中性子吸収棒は20本あってまとめられていて、それが中性子吸収体という)とは →(関電資料→ こちら )。制御棒と中性子吸収棒の仕様は、全く同一。中性子吸収材は、銀80%、インシジウム15%、カドミウム5%の合金(とっても高価そう(^o^)
 

◆085◆←←関西電力 闇歴史→→◆087◆

◆関西電力 闇歴史◆085◆

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◆シビアアクシデント対策は、放水砲とシルトフェンス!
 放水砲とシルトフェンスで放射能の拡散を防げるか??
 「格納容器の破損」「炉心を損傷するような重大事故」対応??

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・大気への放射能放出抑制→放水砲(大型の放水銃)
・海洋への放射能拡散抑制→シルトフェンス(放射性物質吸着剤をつけたカーテン)

【放水砲】
・格納容器に水をかけて、放出される目に見えない放射性物質を打ち落とすというわけか?
放水砲で落とすことができても、できなくても、極度の汚染は免れないのでは?
格納容器が破損してしまったような事態のとき、損傷筒所へ放水するという(関電 原子力ライブラリ)が、こんな放水砲が本当に有効なのか?

【シルトフェンス】(下の絵は→こちら を開いて「放射性物質の拡散抑制」をクリック)
・半減期が8日のヨウ素をフェンス内で閉じ込める作戦とのこと。根本的に放出をとめてる訳ではないので、たいして意味はない。どこから漏れてるかもわからない。
・たいそうな名前が付いていても、単なる布切れのカーテン。海底からすべてをカバー出来るわけもなく、隙間もある。波もなく、潮の満ち引きもなく、海底が平坦で、土砂には隙間もない、そんな場所が、この地球上に存在するのか。
・シルトフェンスなんか張ってるときか?
トットと逃げるときでは?

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関電は京都地裁「大飯原発差止訴訟」で
放射性物質の異常放出が生じる危険性はない、と断言
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・「本件発電所において重大事故等が発生し、放射性物質の異常放出等が生じて原告らの人格権などが侵害される具体的危険性が認められることはない。」
・「周辺環境に放射性物質が大量に放出されることはなく、原告らの人格権等が侵害される具体的危険性が認められることない。」
・関電のこのような主張(関電提出の第20、31準備書面)は、まさに「安全神話」そのもの。ここには、福島第一原発事故の反省にたち、「原子炉」の安全だけでなく、「周辺住民」の安全を重視するという姿勢がまったくない。
・この姿勢こそが被告関電の本質。(原告第95準備書面)

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「格納容器の破損」「炉心を損傷するような重大事故」も想定していると言いつつ
基本的に、「原発安全神話」と「放射能安全神話」の世界
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「原発安全神話」…関電は、原発で過酷事故が起こる可能性に向きあっていない。原発は安全、事故は起きないという「お花畑」で、「原発安全神話」にひたりきっている。
「放射能安全神話」…関電は、放射能の異常放出は起きないし、放出は少量なので、そんな放射能はたいして危険ではない、と考えている。福島第一原発事故の後に広められている「放射能安全神話」にほかならない。

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「放射性物質が大量に放出されない」前提で、形だけの訓練
訓練は、いかにも形だけ、ちゃち
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・しかし、周辺住民には、「格納容器の破損」「炉心を損傷するような重大事故」も想定して訓練をしているという、ポーズが求められるため、形だけの訓練を行って宣伝している。
・あくまで「周辺環境に放射性物質が大量に放出されることはない」という前提にたっての訓練。
・したがって、そうした訓練に実効性があるとは考えられない。
・自治体の避難訓練が、「日帰りピクニック」に終わっているのと同じ。
・関電のシビアアクシデント対策の中心は、放水砲とシルトフェンスであるが、このほかに、瓦礫撤去の大型ブルドーザーとか、「格納容器の破損防止、水素爆発防止対策」のため、水素を酸素と結合させたり、燃焼させて減少させる装置(イグナイタ。ライターみたいな点火装置。格納容器の中に設置)もある。いざというとき、きちんと機能して、水素爆発を防止できるかどうか、火遊びでなければ良いが??

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本当はどうか?
どちらにしろ、関電の姿勢には大きな問題!
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シビアアクシデントはないと思っているなら、訓練は、実のないものになるだろう。

「本当はこんなことは必要ないんだ」と思っていたら、まともな訓練ができるはずがない。現実に、シビアアクシデント対策の放射性物質の拡散抑制は、放水砲とシルトフェンスという、きわめて不十分でいい加減な対処にとどまっている。そういうところをみると、こちらが関電の本心のように見える。シビアアクシデントはないと思っていても、起こった場合を想定しておくのが深層防護だから(前段否定:前の層が万全であっても、失敗するとして対策を取る。後段否定:後の層が万全であっても、頼らない。)訓練をしても良いのだが、放水砲とシルトフェンスでは、余りにも頼りない、いい加減な訓練ではないか。

シビアアクシデントがあると思っているなら、法廷で、嘘を言っていることになる。

関電もシビアアクシデントは起こる前提に立ちながら、しかし、福島ほどの事故にはならないとか、「放射能安全神話」に浸っている可能性もあるように見える。この場合、法廷でのウソは許しがたい。

・形だけの訓練をしているか、法廷で嘘をついているか、どちらか。

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以下、Webサイトで大宣伝の放水砲とシルトフェンス
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Webサイトで宣伝の「放射性物質の拡散抑制」とは
放水砲とシルトフェンス(>_<)
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・放射性物質の拡散抑制は、放水砲とシルトフェンスだけ。
・関電の訓練では、敷地外への放射性物質の拡散抑制として、陸では放水砲、海ではシルトフェンスが登場している。
・これは、関電に限らず、すべての大手電力に共通。

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(1) 放水砲とシルトフェンスで、放射性物質の拡散抑制【その1】
 関西電力の地域交流誌「越前若狭のふれあい」特別号No.27(平成26年6月4日現在)
こちらより
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▲陸では放水砲、海ではシルトフェンス

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(2) 放水砲とシルトフェンスで、放射性物質の拡散抑制【その2】
 →滋賀県資料より。関電提供の写真。こちら
 →長浜市の資料より。関電提供の写真。こちら
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(3) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その1】
 関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備
 こちらより
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▲どこにあるのか見えない放射能を打ち落とすのか。
仮に打ち落としたとして、その放射能は、地表に拡散される。

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(4) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その2】
 関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>様々なリスクへ備える安全対策
 こちらより
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▲左下のヘリコプターの写真は、別サイトによれば「ヘリコプターで資機材を運搬」となっている。
関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備。→こちらより
さらに、別サイトによれば、「当社提供のヘリによる避難訓練」となっている。→こちらより


▲発電所外に置いてある資機材を運搬
計測器類、放射線防護服、防護用全面マスクなど。
ただし、ヘリコプターは、気象条件によっては飛べなくなるし、
離着陸の場所も限定される。
▼ヘリによる避難訓練

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(5) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その3】
 こちらより
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(6) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その4】
 放水砲に水を送るのは、大容量ポンプ車
 関電HOME>事業概要>原子力発電について>あくなき安全性の追求>安全対策>万が一の重大事故に備えた技術力の向上と体制の整備
 こちらより
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(7) 放水砲で、放射性物質の拡散抑制【その5】
 大地震による美浜原発3号機の事故を想定…住民避難の訓練も実施 原子力総合防災訓練(2022年11月5日)
 → YouTube こちらより
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(8) 使用済燃料ピットでの大規模漏えいを仮定
 こちらより
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 「基準地震動にも耐える構造・強度であるが、敢えてピットが損傷することを仮定」との断り書きあり。

◆084◆←←関西電力 闇歴史→→◆086◆

◆関西電力 闇歴史◆084◆

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◆美浜3号機…建設時、生コンに大量加水、強度検査も不正
 設計基準強度を下回る可能性があるも、関電は否定
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 2022/12/11現在、老朽原発美浜3号機の運転禁止仮処分の決定は、12/19(月)か12/20(火)に出されることが確定してきた。美浜3号機には数々の問題点が指摘されてきた(◆071-1◆)が、さらに、シャブコンの問題もある。

(1) 2000/2/18、朝日新聞の報道の概略は、以下の通り。

・美浜3号機は、1972年7月に着工、1976年12月に営業運転を開始。
・工事関係者の話や内部資料によると、美浜3号機の建設工事で、生コンクリートを型枠に流し込む際、余分な水を加える手抜き工事が日常化していた。
・加水は、コンクリートの早期劣化を引きおこすが、コンクリートが流れやすくなるので、流し込む際の作業効率を高めることができる。当時は、ポンプ車で生コンを型枠に流し込む工法が普及したばかりで、ポンプ車の性能不足から、長さ数10m~100mの配管がしばしば詰まって作業が中断したという。
・こうした加水の結果、関電が定めた設計基準強度を下回る場所がある可能性を否定できない。

・関電によると、現場では関電、大手ゼネコンの技術者計30人が交替で指導、監理にあたっていたという。関電は現場で生コンを抜き取って検査していたというが、「目を盗んで水を入れていた」と証言している。

(2) 2000/2/19、朝日新聞の報道の概略は、以下の通り。

・2/18、記者会見した関電の担当者は、「考えられない」という説明を繰り返した。
・生コン会社は「加水はないと確信」という。
・美浜町の山口治太郎町長は「現在の強度が保証されているなら、よし、としないと」。

(3) 2000/2/21、朝日新聞の報道の概略は、以下の通り。

・生コンへの余分な加水、強度試験に使う検体のすり替えは、今も続いている。
・強度不足のデータは破棄されて、別のデータが記録に残されるという。

(4)『工学倫理はペイするか : 美浜原発3号機のコンクリート大量加水事件をめぐって(<特集>工学倫理を考える)』羽地, 亮 1-Dec-2000 京都大学文学部哲学研究室紀要, 3: 48-57
こちら

【参考:シャブコン】
・生コンクリートに適切な量を超えた水を加えたものを、俗に「シャブコン」という。
・通常の生コンだと、流し込んだ際に「すきま」ができやすいので、それを防ぐためには、かき回して押し込むことが必要となる。しかし、シャブコンなら、そういった作業の必要もなく手間がかからないから、安上がりに仕上げることができる。シャブコンの下と上では、強度に差が出る。水が多い生コンでは、重い砂利は下に沈みやすく、砂利のない上の方はただのモルタルになるので、強度に差が出る。
・ネットでは「水増ししたセメントを打設する業者なのでコンクリが乾こうが乾くまいが関係ないです、完成直後は見た目変わらないので発覚もほとんどしません。材料費節約+工期短縮のメリットは素人さんの想像以上にでかい」とのこと。
・「麻薬のコンクリート」なので、覚醒剤シャブになぞらえて「シャブコン」。水がジャブジャブ入ったコンクリートという意味で、「ジャブコン」ともいわれる。

(5) 国会でもシャブコンの追及、吉井英勝議員

・2000-02-22 第147回国会 衆議院 予算委員会
まず、関電美浜原発三号機で、生コンに加水するというシャブコンが使用されたことは事実なのかどうか。それから、テストピースのすりかえでコンクリートの強度データが偽造されていたものがあるということ、これについて事実なのかどうか。これを通産省の方から伺いたいと思います。

・2000-02-24 第147回国会 衆議院 商工委員会
先日も取り上げましたが、関電美浜三号機で、しゃぶしゃぶの生コンクリート、いわゆるシャブコンと言われる加水したもの、それからテストピースのすりかえでコンクリート強度データが偽造されていたという問題とか、MOX燃料のデータの偽造の問題(◆003◆)などですが、当初、関電の数度の調査でも、MOX燃料データ改ざんについていえば、問題なしとしてきたデータにも捏造があったということが明らかになったわけです。

・2000-02-24 第147回国会 衆議院 商工委員会
二つの問題がありまして、MOX燃料の方と、それからいわゆるシャブコンという問題ですが、シャブコンということだけじゃなしに、テストピースそのもののすりかえ等がよくやられているというのを生コン業界の方から私は聞いております。ですから、今おっしゃったのはあくまでも書類チェックなんです。書類チェックだけではそれは確認できないということなんです。

◆083◆←←関西電力 闇歴史→→◆085◆

◆関西電力 闇歴史◆083◆

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◆さすが関電!異能の京大院卒若手社員!
 違法な就活替え玉受検で大儲け!
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 2022/11/23の報道によると、関西電力社員の田中信人容疑者(28)(大阪市北区大淀南)が、就職採用のウェブテストの「替え玉受検」事件で逮捕された。SNSで有名企業の名前を列挙し、テストの「合格」をアピールしていて、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で警視庁に逮捕された。

 田中容疑者は京都大出身で、大学院時代に友人と共に替え玉受検を開始。数年前からはツイッターで「京都大学院卒、ウェブテスト請け負い経験4年」「通過率95%以上」などと宣伝。替え玉受検の成功実績として大手商社や広告会社、外資系コンサルタント会社などの有名企業をあげ、就活生から1件2000円で替え玉受検を請け負っていた。約4年前から4000件以上を請け負い、約1000万円の報酬を得たとみられている。

 逮捕前、マスコミ取材に対して「コネ入社や裏金入社がはびこる現状をみると、別に悪いことだとは思わない」と語っていたとの報道。コネ入社や裏金入社には、関電も入っているのか、どうか?

 関西電力のコメント。「当社社員が逮捕されたことは、大変遺憾であり、重く受け止めている。今後事実関係を確認の上、厳正に対処してまいりたい」ということで、通り一遍。

 なお、12/8には「TOEIC試験も代行受検」と報道されている。英語能力を測る「TOEIC」のオンライン受検の代行も請け負っていた、という趣旨の供述をしているという。

 2023/3/28、私電磁的記録不正作出・同供用の罪に問われた関西電力の元社員田中信人被告(28)に、東京地裁は懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決。

◆082◆←←関西電力 闇歴史→→◆084◆

◆関西電力 闇歴史◆082◆

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◆青森県六ヶ所村で核燃料サイクル推進!
 関電小林庄一郎社長が電事連会長として県と村に立地を要請、
 地方を見下して尊大にふるまう(1984年)

 【付 電事連の核燃料サイクル、新聞広告】
 【付 核燃料サイクルと、核のごみ】

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[1] 1984年、青森県と六ヶ所村に核燃料サイクル施設立地を要請
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 電気事業連合会(電事連)が核燃料サイクル施設の建設立地を六ヶ所村と決定し、核燃料サイクル3施設の立地を青森県と六ヶ所村に受け入れを要請したのは、1984年7月27日。当時の電事連会長は、関西電力社長の小林庄一郎。

【核燃料サイクル3施設→5施設】(日本原燃株式会社、原子燃料サイクル施設概要→こちらより)
① 再処理工場…1993~未完成(1993年4月28日着工、当初完成予定は1997年)。総事業費は、当初発表されていた7600億円から、14.44兆円(2021年時点)に膨れ上がっている。2022年9月には、26回目の竣工延期、完成予定は未定となっている。
核燃料サイクルとその破綻、トリチウムの放出◆003◆◆075◆
② 低レベル放射性廃棄物埋設センター…1990年工事開始~1992年操業開始。規模は、124,672立方メートル(200リットルドラム缶 623,360本相当)。最終的には約60万立方メートル(同約300万本相当)

【参考】低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、低レベル放射性廃棄物をコンクリートの箱で囲い、深さ約20メートルの地中に埋める。原燃は2021年に規制委から事業変更の許可を得た際、放射性物質が漏れるのを防ぐため、水を通しにくい粘土鉱物「ベントナイト」を約20~30%混ぜた土を使うとしていた。しかし、2023年、12・5%に減らす方針を示し、原子力規制庁が難色。2024年5月、割合減は原燃が撤回し中止となった。→ 資源エネルギー庁「放射性廃棄物について」こちら

③ ウラン濃縮工場…1988年工事開始~1992年操業開始。1992年に運転を開始したが、2017年9月から新規制基準に基づく安全対策工事や設備トラブルなどで生産を一時停止。当初は18年度中の運転再開を予定していたが、安全対策工事が期限までに完了せず、再開目標を5回延期していた。2023/8/25、約6年ぶりに運転を再開。
・2023/12/29に遠心分離機へのウラン(六フッ化ウラン)供給が始まったが、2024/2/6、ウラン濃縮工場で濃縮度を測定する装置2系統でいずれも異常が起き、遠心分離機へのウラン供給を停止したと発表(日本原燃)。同社は「周辺環境への影響はない」としている。原因を調査中で、再開の見込みは立っていない。同社によると、5日午後、遠心分離機から取り出したウランの濃縮度を測定する装置の警報が鳴り、保安規定で定める1日1回以上の濃縮度測定ができなくなった。遠心分離機内部のウラン回収は終了しているという。その後、4/30再開→5/13停止。
 
現在はさらに追加、5施設。
 
④ 高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター…1992年工事開始~1995年操業開始。返還廃棄物貯蔵容量…ガラス固化体 2,880本、2023/10/4、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(ガラス固化体受入れ建屋、ガラス固化体貯蔵建屋、ガラス固化体貯蔵建屋B棟)において、ガラス固化体貯蔵建屋の収納管排風機を除き、2系統で構成される全ての送排風機が両系統とも一時停止した(→こちら)。
⑤ MOX燃料工場…2010年工事開始~未完成。2020年12月7回目の竣工延期、完成予定は2024年度。最初に燃料が加工できるようになるのは25年度で、年間の加工可能量をプルトニウム量で原発1基分にあたる0.6トンと計画している。(MOX燃料の危険性、経済性◆003◆

【参考:小林庄一郎】
1947年 関西配電(現・関西電力送配電株式会社)に入社
1984年6月~1985年12月電気事業連合会会長
1977年に関西電力社長、1985年に会長
1987年、関電の最高実力者で代表取締役名誉会長の芦原義重氏と腹心の内藤千百里(ちもり)副社長を電撃解任(関電二・二六事件)(→◆036◆
1997年相談役、2002~15年6月顧問、2020年死去

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[2] 小林庄一郎・電事連会長の認識
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(1) 彼は、84年9月、朝日新聞青森支局のインタビューに答えて、この土地の印象を次のように語っている。佐野眞一著『日本のゴミ−豊かさの中でモノたちは』(講談社、1993、p.322-323)より。

「仙台以北は生まれて初めて行きました。六ヶ所村のむつ小川原の荒涼たる風景は関西ではちょっとみられない。やっぱりわれわれの核燃料サイクル三点セットがまず進出しなければ、開けるところではないとの認識を持ちました。日本の国とは思えないで、よく住みついてこられたと思いますね。いい地点が本土にも残っていたな、との感じを持ちました。人口稠密地区から離れ、港湾施設なんかもできつつあるし……」

「これは広いところですなぁ、私は関西ですから、非常にゴチャゴチャした海岸線…人家が急密なところばっかりありますんで、こういう土地があるというのは初めてみました。びっくりしました。良いところがありましたなぁ」

(2) また、以下は、坂本龍彦著『下北・プルトニウム半島』(朝日新聞社、1994、p.38)より
「六ヶ所村のむつ小川原の荒涼たる風景を見て、われわれの核燃料サイクル三点セットがまず進出しなければ、開ける所ではないとの認識を持った。日本の国とは思えないくらいで、よく住みついてこられた、と思う。いい地点が本土にも残っていた。人工稠密地点から外れ、港湾施設も作られつつある。」

(3) これらは、典型的な夜郎自大(やろうじだい)の発言といえる。夜郎自大とは、自分の力が大きいことを見せつけ自慢して相手を見下し、尊大に振る舞う様子。都市部の人間が地方を見るときの見下げた視線のこと。

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[3] 1985年、青森県と六ヶ所村が受入を回答
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(1) 1985年3月。電力業界が「原子力燃料サイクル基地」建設のために「日本原燃産業株式会社」を発足させる

(2) 1985年4月。県(北村正哉知事)及び村は、受入を正式に回答

【参考:日本原燃株式会社(日本原燃)】
・1980年、日本原燃サービス株式会社、核燃料サイクルの商業利用を目的に設立
・1985年、日本原燃産業株式会社、核燃料サイクル施設建設を目的に設立
・1992年、日本原燃サービス株式会社と日本原燃産業株式会社とが合併して、日本原燃株式会社となる。
・日本原燃は、六ヶ所村の核燃料サイクル5施設などを建設、運営。主要株主は、東電など大手電力9社および日本原電(→◆030◆)。会長と社長の多くが東電の出身

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【付 電事連の核燃料サイクル、新聞広告】
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(1) 電気事業連合会(電事連)は、早くから核燃料サイクル、プルトニウム利用を推進していた。地域独占下の個別電力会社では出しにくい全国紙への広告を、電力会社の総意として打ち出した。1983年の広告時点からすでに40年。核燃料サイクルは未だに実現していないどころか、その破綻が明白になっている。電事連としての総括はないのか。社会に向けて、きちんと発信すべきことがあるのではないか。

(2) 参考図書としては、本間龍著『原発プロパガンダ』(岩波新書、2016年)。参考サイトとしては、「天野祐吉のあんころじい」。

▼朝日新聞、1983/4/12。「着古したセーターでもちょっと手を加えれば新品同様。ウラン燃料もくり返し使えます」。この広告当時の電事連会長は、平岩外四(東電)

(↓ 文字を拡大)

▼朝日新聞、1985/7/28。「ウラン燃料は再処理をして繰り返し使える」。この広告当時の電事連会長は、小林庄一郎(関電)

(↓ 文字を拡大)

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【付 核燃料サイクルと、核のごみ】
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(1) 核燃料サイクルの下で使用済み核燃料再処理すると、「核のごみ」が出てくる。それは、ガラス固化体にして地中に埋設するという。(下図→こちら、NUMO[ニューモ:原子力発電環境整備機構])による。

(2) 核のごみ(朝日新聞デジタル>トピックス>核のごみに関する最新ニュース→こちら



(3) 放射性廃棄物関連施設を巡る自治体の動向
(2023年8月19日、東京新聞)



(4) 高レベル放射性廃棄物放射性廃棄物の現在量
(2023年3月末現在、はんげんぱつ新聞 2023年6月20日)

◆081◆←←関西電力 闇歴史→→◆083◆

◆関西電力 闇歴史◆081◆

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◆火力発電所で環境汚染
 舞鶴の火力発電所で、石炭が海へ落下
 赤穂の火力発電所で、環境基準超えの汚水が海へ流出
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[1] 舞鶴の石炭火力発電所で
 石炭が海へ落下(2021年2月)
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・2021年2月7日、舞鶴の石炭火力発電所(京都府舞鶴市)において、石炭船からサイロへの石炭の運搬作業中に、受入コンベア横の通路に石炭がこぼれ落ちているのを発見し、当該通路のグレーチング箇所から、一部の石炭が海(揚炭桟橋と発電所間の海上)に落下していることを確認したという。

・コンベア内に何らかの理由で石炭が多量に堆積し、溢れ、こぼれ落ちたものと推測。海に落下した石炭は少量としている。

・関電は「深くお詫び申し上げます」と陳謝。
詳しくは→こちら

・⽯炭⽕⼒発電のバイオマス混焼および専焼化はグリーンウォッシュ気候変動を加速させ、森林⽣態系を破壊する→◆095◆

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[2] 赤穂の石油火力発電所で
 環境基準超えの汚水が海へ流出(2022年7月)
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・2022年7月26日、関電の赤穂火力発電所(兵庫県赤穂市)から汚水約30立方メートルが海に流出した。

・ボイラーに送る空気を加熱するための器具を洗浄した際、排水処理装置に送水する配管の亀裂から、排水の一部が雨水系統に流出し沈砂池から海へ。作業員は流出を防ぐため、海へつながるゲートを閉めたが、付着した貝などによって完全に閉まらず、隙間から流出したという。周辺海域の鉄や亜鉛などの含有量が、一時、環境基準を超えた。

・関電は「深くおわび申し上げます」と陳謝。調査結果を県などに報告し、再発防止に努めるとしている。

・8月16日、調査結果と今後の対応などを発表。
詳しくは→こちら

◆080◆←←関西電力 闇歴史→→◆082◆

◆関西電力 闇歴史◆080◆

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◆石炭火力発電を推進する関電、
 仙台パワーステーションで、アセス逃れ、消極的な情報公開のほか、
 自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデル!
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・大手電力会社は地域独占体制の下(総括原価方式◆036◆)、経産省の支援により、一貫して大規模集中型の発電システムを拡大させ、固定資産と売電量を最大化させてきた。原発の増設を進めつつ、石炭火力の発電量も増加させてきた。関電も、そうした方向の一翼を担ってきた、というか、その先頭を走ってきている。

・関電の石炭火力発電の問題を告発したのが、2017年9月提訴の仙台パワーステーション(仙台PS)操業差止訴訟。周辺住民ら124人が運転の差し止めを求めた。仙台PSは、2014年9月に設立された発電会社で、1日当たり約900トンの石炭を消費し、微小粒子状物質(PM2.5)やばいじんなどを排出している。株式会社関電エネルギーソリューション(関電が100%出資する子会社)と、エネクス電力株式会社(伊藤忠商事の孫会社)が出資。2022年3月現在、仙台PSの代表は、砥山浩司 関電エネルギーソリューションの取締役執行役員電力本部長。

・仙台PS操業差止訴訟の原告でもあった明日香 壽川さん(あすか・じゅせん、東北大学教授)の『グリーンニューディール』(岩波新書)や、下記に詳しい。

【Webサイト】
仙台パワーステーション訴訟関連資料 → こちら
仙台パワーステーション操業差止訴訟 → こちら
仙台パワーステーション株式会社 → こちら
仙台パワーステーション石炭火力発電所の発電開始への抗議 → こちら
石炭火力発電所の建設 – 日本共産党 仙台市議団 → こちら

【YouTube】
よくわかる仙台パワーステーション操業差止訴訟(14分)→ こちら

・裁判の結果は、2020年10月に一審判決で敗訴、2021年4月、二審も敗訴。電力は余っており、かつ首都圏に送るのに、仙台PSは発電所として公共性を持つという判決文は間違っている。しかし、地裁判決では、情報公開への消極性など公害防止協定違反を認めた点、「被告は、本件発電所の運転を継続する限り……最善の公害防止対策を実施して良好な環境の保全に尽くすなど、環境汚染による地域住民の不安を解消するよう努める社会的責任を負うものであることを、最後に付言する」とした点などは、判決の積極面として評価できるという指摘もある。
(→ こちら

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◆住民の声(1)
 仙台パワーステーション発電所。
 電力は首都圏へ、利益は関西へ、汚れた空気だけ被災地に
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福島かずえ、2018年。The PhotoVoice Project|仙台市 → こちら

 被災地では、離れざるを得なくなったふるさと、住み慣れた地域、そして隣人との思い出を何かに残そう、新たにつなげようと今もなお、努力する人々がいる。
 一方、資本・大企業は惨事に便乗し利益をあげようと、そうした被災地の安い土地に時代遅れの石炭火力発電所を次々に建設しようと集まって来る。
 国も、石炭火力発電を原発とともにベースロード電源に位置付け後押ししている。
 仙台パワーステーション発電所は関西電力と伊藤忠商事の関連会社がつくった環境アセスメント逃れの小規模発電所。
 4キロメートル圏内には23も学校があるというのに。地元東北電力の火力発電はLNG(液化天然ガス)を燃料にしているというのに。
 遠い被災地だから、「あっちのほう」だからできることなのか…。被災地ではいっそう大きく、悲しみと怒りが渦巻いている。

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◆住民の声(2)
 仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会。
 悪臭・大気汚染・粉塵による窓や室内の汚れなどに悩まされる日々
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仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会こちら
 ↓【転載・シェア大歓迎】(2022年9/15)
 2017年10月1日、関西電力と伊藤忠商事の関連会社、仙台パワーステーション株式会社は、地域住民などによる5万近い反対署名や原告124名による提訴をあざ笑うかのように、仙台パワーステーション(仙台PS)の営業運転を開始しました。以来、多賀城市・塩釜市や仙台市宮城野区、七ヶ浜町などでは、悪臭・大気汚染・粉塵による窓や室内の汚れなどに悩まされる日々が続いています。定期点検などで1ヶ月ぐらい運転休止が続くと、床も汚れず、洗濯物も外干しできて、ホッとするという声が多く聞かれます。
この5年間、仙台PSの煙突から出る煙を見るだけで、ユウウツになる、ウンザリするという声もたくさん寄せられています。
 仙台パワーステーションの早期閉鎖を求めるとともに、レノバ社などによるバイオマス火力発電所の建設工事、住友商事によるバイオマス火力発電所の本格着工開始にも抗議します。
仙台港の空を、蒲生(がもう)の空をこれ以上汚すな!
蒲生干潟の生物・生態を脅かすな!
石炭火力で、気候危機の深刻化に加担するな!

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◆「気候ネットワーク」の報告
 仙台PSは汚染排出データの開示に転じたが
 旧式の低効率技術を採用し、汚染排出も既存発電所に比べて最大で10倍!
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気候ネットワークの報告(2016/10/12)が実情を明らかにしている → こちら

・仙台パワーステーションの発電性能は、石炭火力発電技術のうち、1950年代から導入されている、低効率で最も古い「亜臨界圧(Sub-C)」という技術。途上国でも導入すべきでないとされる旧式の技術。
・汚染排出データの窒素酸化物量とばいじん量の数字は、他の小規模石炭火力発電所(名古屋第二発電所)と比べて、それぞれ5倍、6倍。また、硫黄酸化物濃度、ばいじん濃度は、2009年より稼働している既存の石炭火力発電所(磯子発電所新2号機)の10倍、窒素酸化物濃度は8倍。

・以下の内容を含む閲覧用PDFファイル → こちら
参考:火力発電所に係る国の環境アセスメントの対象要件
参考:石炭火力発電の技術
別表:環境アセスメント逃れ小規模石炭火力発電所計画 調査対象案件

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◆火力発電にとどまらない関電の経営姿勢、
 明日香 壽川さん著『グリーンニューディール』より
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・仙台PS操業差止訴訟の訴状の主張
①大気汚染による健康被害
②地球温暖化による被害
③仙台港近くにある蒲生(がもう)干潟への悪影響

・仙台PSの発電規模は11.2万kW。環境アセスメントが必要となる規模が11.5万kW以上なので、アセス逃れが明白。アセス逃れの小規模石炭火力の建設計画は、2012年以降、日本全体で19基あった。(p.67)

・「なぜ被告だけが温室効果ガス排出などの責任を問われるのか?」(p.68)
①電気が余っている現状で首都圏に売電し(公共性なし)
②健康被害発生の蓋然性があるなかで(PM2.5被害の深刻さは基地で、仙台PS周辺地域は、米国やWHOより緩い日本のPM2.5環境基準を超える場合もあるレベルのバックグラウンド濃度)
③故意に稼働前アセス・健康調査をせず(加害責任の曖昧化)
④電力自由化便乗、自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデル(安い石炭で売り抜け)
⑤パリ協定遵守に不十分な日本の温暖化対策にさえ不整合(温暖化対策をほとんど考えていない)

・アセス逃れ、消極的な情報公開のほか、自己短期利益最優先、住民無視、被災地感情無視のビジネスモデルについての指摘は、火力発電のみならず、原子力発電を含む関電の経営姿勢を象徴している。

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◆石炭火力発電所のほか、
 揚水式発電所でも、水力発電所でも、風力発電所でも

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・関電が風力発電を計画→ 宮城県の計画は断念して撤回(2022年)
 宮城県知事、山形県知事「どうして関電なのか」
 宮城県知事は「誠意ない」「明確に反対」
 役場訪問の関電幹部に地元2町長は「白紙撤回を」「京都の嵐山に造ったら」
 自然環境への配慮が著しく欠如、北海道の1件も断念して撤回
 ◆066◆
・黒部川の出し平[だしだいら]ダムと宇奈月ダムの連携排砂

 富山湾にヨコエビが異常繁殖、漁業に被害か(2002年提訴)
 関電は、補償金は出しても因果関係は認めず
 ◆063◆
・芦生(あしゅう)の揚水式発電ダム計画
 
芦生の美しい自然と、対極の関電
 ~関電のダム計画、金銭で人の心を奪い取る~(~2006年)
 ◆043◆

◆079◆ ←← 関西電力 闇歴史→→◆081◆

◆関西電力 闇歴史◆078◆

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◆「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」一般負担金、
 大手電力分を合計で293億円、こっそり減額!(2022年)
 関電などは電気料金に入れて徴収済みの分を自分のポケットに!
 【付 託送料金とは】

 【付 グリーンコープ託送料金訴訟】
 【付 社会常識を覆す廃炉会計制度】
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(★印は、末尾に注釈あり)

福島第一原発事故の事故処理費★1★は、現在、4分野(廃炉、賠償、除染、中間貯蔵施設)で21.5兆円と見積もられている。そして、その多くが国民負担で回収されることになっている。

・福島第一原発事故の事故処理費のうち、賠償分は、大手電力9社と日本原電、日本原燃が「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に毎年「一般負担金」を納めることになっている。東電だけは「特別分担金」も納める。

・一般負担金は、沖縄電力を除く大手電力9社と日本原電、日本原燃が「機構」に毎年度納付する。13~19年度は計1630億円ずつ払ってきた。

・しかし、福島第一原発事故の賠償費用が当初の想定より増えることが判明し、国は、20年度から毎月の電気料金に含まれる託送料金 ★2★ から毎年約600億円を徴収し、一般負担金に上乗せする仕組み(「賠償負担金」の徴収)を考案。つまり、原発を保有しない新電力の利用者を含め、全電力消費者に負担を求めることになった。★3★

・こうした仕組みは、過去に原価に盛り込み損ねた費用を、実際の消費の有無にかかわらず、後から請求して回収するものとなっている。普通の商行為ではあり得ない違法なやり方であるとして、グリーンコープが託送料金訴訟★4★を起こしている。

・2020年度の賠償負担金は、下期から導入したので、半分の約300億円であった。2021年度は満額の約600億円となり、電気料金に含まれる電線使用料「託送料金」に上乗せされて、徴収された。

・その結果、「機構」への納付額が増えるはずだった。しかし、2021年度の実質負担額は、前年より計293億円減額されていたことがNPO法人「原子力資料情報室」の調査で分かった。大手電力などの一般負担金が前年度の計1630億円から、計1337億円に減額されていた。また、朝日新聞の報道によれば、東電の特別負担金も100億円減額されていた。これらの減額は、公表されていなかった。会計検査院は、これらの減額について説明するように指摘している。★5★
(2021年度、各社ごとの一般負担金は → ★6★
(各社ごとの減額幅は減額前の80%。中部電力が102.8%に増額されたのは、当初の負担額設計時に浜岡1、2号機を廃炉にしていたため減額されていたのが元に戻されたためか、なぜ増額されたのか、理由が不明で、この点も大きな問題)

・一般負担金の額は、年度ごとに「機構」が申請し、経済産業相の認可で決定する。経産省も、強欲大手電力と共犯になって減額したわけだ。「減額しなければ電力の安定供給にも影響を与える」とは、とんだ言い草。「安定供給」というのは、総括原価方式の時代から大手電力の錦の御旗であったが、今でも通用すると思っているのか。国民に負担を強いながら、大手電力負担分を減額するのは不当としか言いようがない。

・とりわけ悪質なのは、北陸電力、中国電力、中部電力を除く大手電力6社(北海道電力、東北電力、東京電力、関西電力、四国電力、九州電力)。関電など6社は、一般負担金を電気料金の原価に含め、電力消費者の電気料金で回収している。それにもかかわらず、減額された分は、自社の利益に取り込んでいる点で、きわめて悪質。一般負担金が減額された6社の減額総額は258億円で、これが、6社の不当な利益の総額となっている。関電は当然、この中に入っている。
(北陸電力、中国電力は、一般負担金を電気料金の原価に含めていない。)
(中部電力は、一般負担金が増額されている。)

・また、上記の「一般負担金」のほか、「廃炉円滑化負担金」などをふくむ諸制度について、社会常識を覆す「廃炉会計」制度★7★であると批判されている。

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『はんげんぱつ新聞』(2022/9/20)で指摘している4つの問題点
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2022年7/4に東洋経済が「福島原発の賠償負担金、密かに軽減されていた~電気代高騰の陰で電力会社が293億円の恩恵」というニュースを報じた→こちら
  
 大手電力各社が負担している福島原発事故の損害賠償費用の一部について、きちんとした説明もないまま、負担額がひそかに軽減されていた。この事実を突きとめたのは、NPO法人・原子力資料情報室 事務局長の松久保肇さん。『はんげんぱつ新聞』の記事も松久保さん執筆で、この「関西電力 闇歴史◆078◆」も参考にしている m(_ _)m

「何が問題なのか」4つの問題点
(1) およそ通常の商行為ではありえない「過去分」を国民に負担させながら、その裏で当事者の大手電力らの負担分を軽減している。
(2) 各社ごとの減額幅は減額前の80%。ところが、中部電力が102.8%に増額された。浜岡1、2号機を廃炉にしていたため減額されていたのが元に戻されたためか。そうであれば、廃炉にペナルティーを課している。
(3) 大手6社は、一般負担金を電気料金の原価に含め、電力消費者の電気料金で回収している。それにもかかわらず、減額された分は、自社の利益に取り込んでいる。
(4) 交付国債は無金利だが、償還の際、国は銀行などから借りて機構に資金を渡す。その際の金利などは、国庫負担、つまり税金、つまり国民負担。


★1★ 福島第一原発事故の事故処理費とは、以下(1)~(4)の合計で21.5兆円。
(1)廃炉(8兆円)…東電が自分で資金を積み立てる
(2)賠償(7.9兆円)…A大手電力などの一般負担金+B東電の特別負担金でまかなう
(3)除染(4兆円)…C東電株をもつ国の認可法人が将来の株式の売却益でまかなう
(4)除染作業で出た土壌を管理する中間貯蔵施設の整備(1.6兆円)…D電源開発促進税でまかなう
ADは、国費や借金(交付国債、政府保証債など)で立て替えた後、各社負担金や税金などで「返済」することになっている。


★2★ 託送料金とは
 電気を送る際に小売電気事業者が利用する送配電網の利用料金などとして一般送配電事業者(関西電力送配電株式会社などの送配電会社)が徴収する料金。電気料金の30~40%をしめる。送配電会社は、総括原価方式◆036◆)をとっているので、すべての費用を「総括原価」とし,さらにその上に一定割合(たとえば3%)の会社利益を上乗せした金額で,料金を決めることができる。全利用者をもれなく対象とするので、法令などでいろいろな費目を付加しても、取りっぱぐれがないことをいいことに、政府が原発を支援する費目を追加して不当な国民負担を強いている。
 託送料金は、送配電会社が算定する送配電網設備の利用料金のほかに、法令などで付加される使用済燃料再処理費用電源開発促進税賠償負担金廃炉円滑化負担金などからなる。なお、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」によって電力会社が買取りに要した費用を、電気の利用料に応じて消費者が負担するもの。託送料金ではないが、電気料金の一部。

【レベニューキャップ制度】なお、託送料金は、2022年度末までは「総括原価方式」で決まっていたが、2023年度からは、レベニューキャップ制度に変わる。レベニューキャップ(revenue cap)は「収入上限」という意味。
 コスト削減が行われにくい総括原価方式ではなく、必要な投資の確保と、国民負担の抑制(コスト効率化)の両立が可能となる、とされる。一般送配電事業者が、目標を明確にした事業計画を策定、その実施に必要な費用を見積もって収入上限を算定して国の審査を受け、収入上限の範囲内で託送料金を設定する。収入上限の中で実績費用を少なくすれば、その分、事業者の利益が増える。この制度による託送料金は、どの送配電会社でも、低圧、高圧、特別高圧とも現行より高くなる見通し。


▲電気料金の内訳。資源エネルギー庁による→こちら


▲再生可能エネルギー発電促進賦課金 →こちら


★3★ 原子力損害賠償・廃炉等支援機構と一般負担金
 東電福島第一原発事故の膨大な損害賠償を援助するため、大手電力会社と国などが出資し、2011年9月に設立。各社が一般負担金を支払う。賠償費用の不足を補うため、経産省は20年、託送料金から一般負担金を回収できる新料金システムを認可。各社が40年間で計2兆4000億円を回収する計画で、毎年度の一般負担金に上乗せしている。


★4★ グリーンコープ託送料金訴訟 こちら
 2020/10/15、グリーンコープ(福岡を中心に大阪、兵庫、滋賀にも)は、原発にかかる「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」を託送料金(電線使用料)に上乗せして回収することを認可した経済産業省令は違法であるとし、その取り消しを求めて福岡地裁に提訴(2020年9/4にその上乗せを盛り込んだ新しい託送供給約款が経済産業省によって認可され、10/1からその徴収が開始された)。その後、2023/3/22に請求棄却の判決→福岡高裁に控訴。
【地裁判決の内容】2つの負担金(賠償負担金と廃炉円滑化負担金)は公共のために電気利用者のすべてが負担するものであり、経産省の認可処分は法律の委任の範囲内のものであり、違法ではない。国が出した準備書面をそのままなぞる判決。
 なお、廃炉円滑化負担金とは、原発依存度の低減というエネルギー政策の基本方針の下、原子力発電所を円滑に廃炉するための費用を託送料金の仕組みを利用して需要家から回収するもの。発電事業者が想定よりも早期に廃炉する場合に、設備の残存簿価の一括減損等により一時的に多額の費用が生じることで廃炉判断を躊躇する可能性があったことから、費用の分割計上を可能とする「廃炉会計制度」を2013年に措置していた。当時は小売規制料金による回収を認めることが前提とされていたが、小売規制料金が原則撤廃される2020年以降、制度を安定的に継続させる観点から、2017年に託送料金の利用を可能とする制度措置(電気事業法施行規則等の省令改正)がなされた。賠償負担金・廃炉円滑化負担金に関する制度は、2020年4月より施行された。

グリーンコープの説明 こちら
・「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」とはいったい何かということですけれども、実はこれは経済産業省令の中に定義規定がありまして、「賠償負担金」というのは、本来原子力損害賠償のために、各電気事業者が元々自分たちで蓄えていなければならなかったお金、法律用語としては、備えておくべきだった資金であって、それまでに備えてなかったお金をいいます。普通に常識で考えていただければ分かりますが、原価200円の魚を100円で売って、後になって元々の魚の原価は200円だったから後で100円払ってねということが、世の中の常識として通用するのかという疑問が基本的にあります。この論理だと、電気料金に関して本来200円取るべきところを経済産業省はずっと100円で認可してきた、そして後になって実は200円だったので不足分の100円を追加で取りますという論理なんですね。

・本来であれば、汚染者(加害者)負担が当然。しかし、事故を起こした東電は自力での負担が難しい(本来なら破綻)という理由で多額の税金が投入されている。
・福島第一原発事故以前に確保しておくべきだった賠償の備えを遡って回収する⇒「過去分」という理屈は通常ではあり得ない!!
・事故の賠償負担は、東電救済でしかない!!

・それからもう一つの「廃炉円滑化負担金」、こちらはもっと理解が難しい制度です。「廃炉円滑化負担金」というのは、簡単に言うと、福島第一原発事故以降、古い原子力発電所は次々と廃炉していかなければ安全性の点からも問題があるということになるわけですが、まだ償却が終わっていないもの、残存期間が残っているものは、通常であればその減価償却費を毎年の電気料金の中で回収していくということでやっていたのですが、まだ償却前の時点で廃炉にしてしまうと、未償却の分が一括して損失になる、且つそのお金の回収の目途もないということになるので、そういうことを理由として早期の廃炉を電気事業者が躊躇するのではないかということで、そのために「廃炉円滑化負担金」というものを一般の電気の使用者から回収し、原子力発電事業者に渡す制度と説明されています。廃炉の判断をするのは原子力発電事業者ですが、原子力発電事業者は判断を躊躇するかもしれないから、判断しやすいように制度をつくる。そのために普通の電気の消費者が負担するというのが、よく分かりません。

・原発廃炉を適切に進めるために必要と言う。廃炉を適切に進めることそのものは大事なこと。しかし、そのためには、かかる費用を明確にしていく必要がある。託送料金での回収では何も明らかにされない。このままでは国民に負担だけが課せられるという構造が続く。
・「原発推進」「原発優遇」があるだけ。申請されたのは全ての廃炉原発で、「想定より早く廃炉をした原発」に限られていない。電力会社によって申請額に大きな開きがあるのは、電力会社毎の廃炉費積立努力の差なのか。廃炉費を廃炉円滑化負担金に移しかえることで自社の電気料金を値下げした電力会社がある疑いもある。


★5★ 一般負担金の内訳の変遷
▼『はんげんぱつ新聞』2022/9/20による。単位:億円。2020年度は下期だけなので半額。

▼『朝日新聞』2022/11/8による。一部改変。東電の特別負担金も100億円減額されて、過去最低額になった。特別負担金が今後も400億円の場合、返済は最長で2064年度までかかり、支払利息は2388億円にのぼるという。


★6★ 経産省が認可した原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく一般負担金(2021年度)

▲東電は675.5億円、関電は397.7億円、九電は196.3億円などとなっている。負担金率は小数第三位を四捨五入。出典は → こちら


★7★ 社会常識を覆す「廃炉会計」制度
(1) 社会常識を覆す「廃炉会計」制度[134 KB]。←このPDFは、グリーンコープ共同体、「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」を経済産業省令によって託送料金に上乗せするのがどうして違法、不当なのかについて(2019 年12月18日、全文はこちら)より、「廃炉会計」に関する部分を抽出したもの。全ての廃止原発施設が資産となり、使わなくなった核燃料さえ資産に加えられた。こうして、原発廃炉によって電力会社は 1 円の損失もせず、使わなくなった施設と核燃料が全部資産となって、数十年かかる廃炉作業期間中、その減価償却分を電気料金で徴収し続けられるようになった。

(2) 『原子力発電と会計制度』(金森絵里著、中央経済社、2016/3/11)は、「会計を基礎にした(原発の)電気料金」という本来の枠組みが、「電気料金を前提にした会計制度」という思考に逆転しているため、原発会計制度により算出される会計数値に歪みがもたらされている、と主張する。原発会計制度とは,「原子力発電工事償却引当金,使用済燃料再処理等(準備)引当金,原子力施設解体引当金,特定放射性廃棄物拠出金および 2013 年および 2015 年に制度化された廃炉に係る会計制度を総称」したものとして(p. ii)、以下のように指摘している(p.194)。
原発会計制度については、「一般に認められた」とはまったくいえない、電力会社のみを保護・優遇する「一般に認められない」会計である。

(3) 核燃料サイクルと再処理等拠出金法における会計問題 については→ ◆003◆


◆077◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆079◆

◆関西電力 闇歴史◆077◆

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◆自治体が関電に電気代を過払い(2022年5月以後に報道)
 大阪府、大阪市、和歌山県などが、道路照明灯(街灯)などの料金を関電に過払い
 原因は、自治体側もしくは関電による契約変更の手続きミスか?
 原因がどうであれ、関電は使っていない電気代までとるな!
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[4] 豊中市、道路照明灯の廃止後も電気代約900万円を過払い
 関電の契約手続き漏れが原因

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 2023/7/14付報道によると、大阪府豊中市は14日、市が管理する道路照明灯について、契約を廃止した分の電気代などを関西電力に支払い続けていたと発表した。過払い額は記録が残る1992年度以降で、約900万円(84件)になる。市基盤保全課の担当者は「関西電力の契約手続き漏れが原因と考えている」と話した。再発防止策として、今後は電話ではなくインターネット上での手続きを徹底し、記録を残すという。
 内訳は、契約廃止分が約540万円(69件)、一つの照明に二つの契約があったものが約360万円(15件)。二つの契約があった約360万円のうち10年分にあたる約147万円は、返還されることで関西電力と合意したが、残りはまだ協議が続いているという。
 一方、2007年度以降に市が新設した道路照明灯の電気代約120万円(28件)が未払いになっていたこともわかった。関西電力は市に電気代を請求しないと伝えているという。

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[3] 京都市には1億円、返還
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 2023/3/14付報道によると、京都市は、道路照明灯の電気料金約1億円を関西電力に過払いしていて、関西電力側に約1億円を返還させることで合意。

 関電は返還に当たって、市に対し申請書類などの「証拠」を求めており、12年7月~22年12月分の契約変更分約8800万円(9255件)、廃止分約160万円(21件)の計約8960万円の返還で合意した。利子を含めて約1億800万円になる。市は残りの約2500万円の過払い分も返還を求めている。これについて、京都市建設企画部長は「過払いや漏れ生じている立証責任を顧客側に全部投げてきている。関電さんの姿勢というのは我々的には受け入れがたい」とのこと。関西電力は「一度に大量に届くLEDへの契約変更や、撤去による契約廃止が起きた場合にも、適切に対応して記録も残るようにしていきたい」としているが、届けがいくら大量でも「適切に対応して記録も残る」ようにすることは、当然の業務であり、今さら、何を言っているのか。

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[2] 裁判であらそう
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(1) 大阪府…2023/3/9、大阪地裁で、道路照明灯を撤去したのに電気代を支払わされ続けてきたのは不当だとして、大阪府が関西電力に約6600万円の返還(1975~2022年の支払い分)を求めた訴訟の第1回口頭弁論。府は「関電は契約廃止を確認できた。既に撤去した照明灯の電気代は不当利得にあたる」と主張。関電は「府からの通知がなければ撤去を知るすべがなく、電気が使用されていない認識はなかった」と反論。

(2) 大阪市…2023年2月の市議会定例会で、訴訟を起こすとした議案を可決。22年までに支払った計約5400万円の返還を求める方針。

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[1] 自治体が関電に電気代を過払い(2022年5~8月報道)
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(1) 大阪府…約1億円を関電側に過払い。そのうち約1700万円は返還に合意したが、残りについてはめどが立っていない。約3400万円は照明灯撤去後の解約手続きが行われたかどうかを巡って関電側と主張が対立。2022年5月報道。
(詳細…過払いは573件、計1億238万円に上り、最も古いケースは1976年から続いていた。うち188件、計2929万円は民法上、返還請求の時効にあたる10年を過ぎていたという。)
 こちら

 2022/09/21報道によると、大阪府が長年、道路照明灯の電気料金を関西電力に過払いしていた問題で、府は料金の返還を求め裁判を起こす方針を固めたとのこと。大阪府は今年5月、すでに撤去され存在していない道路照明灯など573件に関して、電気料金を無駄に支払っていたと発表。総額は約1億200万円にのぼっていた。こうした過払いは「最長で昭和50年代ごろから続いていた」としている。府は、電気契約の解除を口頭で伝えた際、関電が必要な手続きをしなかったのが原因だと主張。関電からは約1700万円が返還される予定であるが、府は残りについても返還を求めて、関電を相手取り裁判を起こす方針を固めた。28日からの府議会に、提案する予定。

(2) 大阪市…2020年度の1年間で約470万円の過払い。他の年度を含めた総額を調査中。2022年5月報道。
 こちら

(3) 大阪市…関電に対し必要のない支払いを続けていた契約は201件で、約4722万円。2022年7月報道。
 こちら

(4) 大阪府…漁港照明電気代、15件で130万円を過払い。撤去した照明灯の契約が残っていたり(2件、6万円)、実際よりも小さな容量での契約が可能だったために過払いになったていた(13件、約124万円)ことが原因。府は、廃止や契約の見直しは電話連絡などでしていたが、関電が必要な手続きを取っていなかったことなどが原因と考えられるとしている。2022年8月報道。
 こちら

(5) 和歌山県…1600万円を関西電力に過払い。既に撤去・移設して存在しない照明灯の契約で59件約1400万円、料金単価の安い発光ダイオード(LED)照明に付け替えた後も従来の単価で支払いを続けていたのが102件約200万円。2022年8月報道。
 こちら

(6) 堺市…道路照明灯の電気料金について、いずれも1500万円を超える過払いと未払いがあったと発表(2023/4/27)。去年までの13年間で、すでに撤去していた照明灯などの電気料金、少なくともおよそ1630万円が過払いとなっていた。撤去した際の契約の廃止や、契約料の安いLEDに交換した際の契約変更をしていなかったのが原因で、過払い分の一部は返還されることで関電と合意。また、契約そのものがなかった照明灯もあり、堺市が関西電力に対して、少なくともおよそ1540万円未払いだったことも分かった。堺市が適正な契約手続きをしなかった原因は不明で、未払い分は順次、新たな契約を進めているとのこと。

(7) その他…京都府、京都市、兵庫県、神戸市などは大丈夫か。

 自治体側の過払いが発生してしまった原因は、自治体側もしくは関電による契約変更、解除などの手続きミスと推定される。しかし、原因が自治体側にあろうと関電側にあろうと、照明灯が実際には使われていなかったり、実際よりも小さな容量で使用していたというなら、関電は、その電気代を返還すべきではないか。

 大阪府や大阪市は、返還に応じてもらえない場合は法的措置を検討するとしている。松井一郎・大阪市長は記者団に「返してもらいたいが、関電側は行政側にチェックミスがあるという。司法に判断してもらうことになる」と述べた。

 行政側にチェックミスがあるかもしれないが、それは、行政の問題であって、使っていない電気の料金を徴収しておいて、返さなくても良いということにはならないはず。関電は、使ってない電気代までとるな!

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