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◆8.10 老朽原発・美浜3号 再稼働阻止!現地緊急行動

【2022年8月30日から配付】

老朽原発・美浜3号機を廃炉に!
過酷事故が起こる前に

8.10老朽原発・美浜3号
再稼働阻止現地緊急行動

に起とう!

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行動概要(詳細は追ってご連絡します)

●8月10日(水)13時に美浜原発周辺に結集→原発前をデモ
行進→関電原子力事業本部前に移動して抗議・申し入れ行動→町内デモ(16時解散予定)
●大阪、京都、滋賀からは、マイクロバスなどを配車予定
【ご利用希望者は、橋田(電話090-5676-7068)まで】
●主催;老朽原発うごかすな!実行委員会
(行動日程は、再稼働が早まれば、変更します。)
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 関電は、10月に予定していた美浜3号機の運転再開(並列)を8月12日に前倒しすると発表しました(6月10日)。「再稼働(原子炉起動)」は8月10日と推測されます。

 再稼働される美浜3号機は、運転開始後45年を超えた老朽原発で、昨年6月23日に一旦再稼働したものの、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか3ヶ月間の営業運転で停止を余儀なくされていたものです。

 しかも、この短い運転中に二度もトラブルを発生させています。一つは、蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。

 老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 一方、美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4号機でも、これらの原発は運転開始後40年にいたっていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。とくに、約320℃、約160気圧の高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。

 例えば、本年3月、高浜原発3号機では、蒸気発生器伝熱管3本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしていますが、蒸気発生器の中には、腐食等によって、2トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生していると報道されています。

 このようにトラブル多発の蒸気発生器ですが、美浜3号機の蒸気発生器は、取り替え後26年を経た老朽機器で、配管の完全破断を起こしかねません。

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


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 電気は足りてる
 大停電は節電で回避できる
 危険な老朽原発うごかすな!
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 今、原発推進派は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。また、岸田首相は、冬向け電力の逼迫を喧伝し、9基の原発を稼働させる方針を発表しています。

 しかし、電力需要量と供給量を正しく把握し、適度な節電に心がければ、電力不足にはならず、大規模停電=ブラックアウトになることもありません。

 大規模停電は、地震などによって電力供給不足が一気に多量に起こったときに起こります。通常の需要増加で大停電に至った例はありません。原発が重大事故を起こせば、電力の大規模供給不足になり、大規模停電に至る可能性があります。

【大規模停電の例】
 2018年9月6日早朝、北海道胆振(いぶり)東部を最大震度7の地震が襲いました。この地震によって、日本で初めて、電力会社の管轄エリア(北海道)全域で295万戸が大規模停電(ブラックアウト)しました。電力に関しては、供給と需要のバランスが保たれていることが重要で、バランスが崩れると周波数に異常が生じ、安全装置が働いて、発電所が停止します。この北海道大停電では、苫東厚真(とまとうあつま)発電所の大型火力発電機2機の機器が地震により破損し、大型水力発電所からの送電線が切断されて、電力供給が減少し、周波数が下がったため、連鎖的に発電所が停止し、大規模停電に至りました。

電気の需給ひっ迫に、
どう対処すればよいか?

[1]「供給を増やす」は旧来の考え

 かつての電力会社は、電力の無限供給(需要側が使いたい時に必ず供給する)義務を負っていて、その代わりに、地域独占と総括原価方式(発電、送電、電力販売費、人件費などの全ての費用を「総括原価」とし、それに一定の報酬を上乗せして電気料金を決める方式で、電気供給は公共性が高いのでこの方式をとる:この方式だと経営は常に安定している)によって優遇されていました。

 しかし、地球環境保全の視点からは、電力供給を拡大し続けることは、もう許されません。
 電力会社の無限供給「義務」、地域独占、総括原価方式は、すでに不合理になっています。

[2]「需要抑制、節電」が現在的、先見的な考え

 供給力を増やすばかりが需給ひっ迫対策ではありません。

 需要抑制、節電こそ、これからの需給ひっ迫対策です。

【節電協力によって危機を乗り切った例】
 去る3月22日、東京および東北エリアで、地震による発電所の停止と急激な寒波到来が重なって、電力需給ひっ迫が発生しました。この需給ひっ迫を乗り切れたのは、揚水発電と広域での電力融通に加え、次のような節電が行われたからです。

 当日8〜23時の時間帯で約4000万 kWh、また、需要の大きな17時台の1時間に、約500万 kWを需要側が節電しています(東電パワーグリッドKKの資料)。原発5基分(約500万 kW)もの節電が可能であることを示しています。

 この例は、要請に応えた節電の例ですが、「節電すればそれに応じて対価が得られる需要抑制」の制度化も進んでいます。「ネガワット(負の消費電力)取引」はその例です。「ネガワット取引」とは、仲介業者などとの事前の契約に基づいて、電気の需要がピークに達したタイミングで節電を行うと対価が得られる制度です。

 「節電で生じる余剰電力は発電所を新しく建設することと同じ価値がある」という考えから「発電所ではなくて節電所を」の提案もあります。国民(約1億2500万人一人ひとりが100W(ワット) 節電すれば、1250万 kW(原発10基分以上)の電力需要を抑制できます。

 電力需給ひっ迫時だけでなく、日常からの節電も重要です。電気機器やシステムのエネルギー効率よいものへの更新、断熱などの「省エネルギー化」も節電です。

 節電し、電力使用を削減すれば、子々孫々にまで放射線被ばくを強いる原発は不要です。

◆報告とお礼~7.24「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」に300 人

【2022年7月29日,京都キンカンで配付】

報告とお礼

7.24「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」
に 300 人

 原発は、人類の手に負える装置でないことを、福島原発 事故が大きな犠牲の上に教えました。また、ウクライナ紛争では、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。

 それでも、電力会社、政府などの原発推進派は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫や炭酸ガス削減を口実にして、原発の稼働に躍起です。また、岸田首相は、冬向け電力の逼迫を喧伝し、9 基の原発を稼働させる方針を発表しています。

 しかし、電気は足りています。一時的な電力逼迫はあっても、節電によって回避できます。このことは今年 3 月の、地震と寒波に起因する東北、東京エリヤでの電力不足、6 月末から 7 月にかけての猛暑による電力不足を、節電で乗り越えた実績が証明しています。

 したがって、人々に放射線被ばくを強いる原発を稼働させる必要は全くありません。とくに、圧力容器の脆化が進み、配管トラブル多発の蒸気発生器を持ち、原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜 3 号機、高浜1,2 号機の再稼働などもっての外です。

 なお、7 月 13 日の東京地裁「東電株主代表訴訟]判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故による損害・13 兆円超の賠償を命じています。

 今、関電経営陣が、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働するのは「安全意識や責任感の根本的欠」のためとしか言いようがありません、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故に至った場合、それは関電経営陣の故意による犯罪です。許されるものでは在りません。

 7 月 24 日の「老朽原発・美浜 3 号うごか すな!現地全国集会」には、コロナ急増を乗り越え、猛暑にもめげず、約 300 人が大結集 され、弁天崎(美浜原発を望む岬)集会→町内デモ→関電原子力事業本部前抗議・申入れ集会→町内デモを敢行しました。先の 5.29「原 発のない明日を ー老朽原発このまま廃炉!大集会 in おおさかー」(2,100 人結集)に引き続いて「老朽原発うごかすな!」の決意と怒りが噴出した行動でした。町内デモの途中、各所で美浜町の皆さんのご声援を得ました。

 この集会には、福井、大阪、京都、滋賀から大型バスで駆 け付けた皆さんをはじめ、地元若狭、兵庫、奈良、岐阜、愛知(名古屋地裁で老朽原発廃炉訴訟を闘う皆さんなど)、遠くは、東京など関東(老朽・東海第 2 原発廃炉を闘う皆さんなど)、愛媛、香川などの四国(伊方原発廃炉を闘う皆さんなど)のご参加を得、文字どおり「全国集会」となりました。
(関電への申入れ文を後段に紹介します。)

ご参加、ご支援いただきました皆さん、
ありがとうございました。
老朽原発・美浜3号機廃炉に向けて
さらに前進しましょう!

 関電は、8 月 10 日の美浜 3 号機再稼働を画策していると推測されます(確定ではありません)。それは、関電は 8 月 9 日を「安全の誓いの日」としていて、この日までの再 稼動は避けようとする一方、8 月 12 日「運転再開(並列)」を公表しているからです。なお、8 月 9 日は、2004 年のこの日(15 時 22 分)に、美浜 3 号機の 2 次系配管(復水配管)が大破損し、約 140 度の熱水と蒸気が噴出して協力会社の 5 人が亡くなられ、6 人が重症を負われた日です。

 「安全を誓う」のであれば、「原発全廃」を宣言すべきです。とくに、次々に配管の減肉や損傷が発覚し、腐食によって数トンもの鉄さびや鉄イオンが発生し、ボロボロになった蒸気発生器を抱える加圧水型原発の再稼動など許されるものではありません。しかも、美浜 3 号機の蒸気発生器は、交換後 26 年を経た老朽装置です。

 「老朽原発うごかすな!実行委員会」は、老朽原発完全廃炉まで闘い続けます。皆様のご支援、ご参加をお願いします。

老朽原発完全廃炉を勝ち取り、
それを突破口に原発のない、人の命と尊厳が
大切にされる社会を実現しましょう!

2022年7月26日

老朽原発うごかすな!実行委員会
連絡先・木原(090-1965-7102)


▼2022年7月26日、中日新聞(日刊県民福井)

▼2022年7月26日、しんぶん赤旗

▼2022年7月27日、福井新聞

▼2022年7月30日、毎日新聞

▼弁天崎集会

▼町内デモ(第 1 梯団)

▼町内デモ(第 2 梯団)

老朽原発・美浜 3 号機完全廃炉を目指して、
8 月上旬の関西および現地での行動に総決起を!


関電への申し入れ書

関西電力株式会社 取締役会長 榊原定征 様、
取締役社長 森 望 様、
原子力事業本部長 松村孝夫 様、
美浜発電所長 高畠勇人 様

 福島原発事故から 11 年が経ちましたが、今でも避難者の多くが故郷を失い、苦難の生活を続けておられます。事故炉内部の詳細は未だに不明で、増え続ける放射性汚染水は太平洋に垂れ流されようとしています。このように、福島原発事故は、原発は現在科学技術で制御できる装置でないことを、大きな犠牲の上に教えています。その原発が老朽化すれば、原子炉圧力容器の脆化や配管の損傷などが進み、過酷事故の危険度が急増することは多くが指摘するところです。

 また、原発を動かせば、何万年もの保管を要する使用済み核燃料がたまりますが、その永久保管はおろか、中間貯蔵すら引き受ける所もありません。

 さらに、去る 2 月に始まったウクライナ紛争では、欧州最大の原発・ザポリージャ原発やチョルノービリ原発が占領され、戦争になれば、原発は格好の攻撃目標になることが実証されました。原発はあってはならない施設なのです。

 それでも、電力会社や政府は、ウクライナ紛争によるエネルギー逼迫に乗じて、また、炭酸ガス削減を口実にして、危険極まりない老朽原発の再稼働など、原発推進に躍起です。

 貴関西電力(関電と略)は、6 月 10 日、10 月に予定していた運転開始後 45 年を超えた老朽原発・美浜 3 号機の運転再開(並列)を 8 月 12 日に前倒しすると発表しています。

 この美浜 3 号機は、昨年 6 月 23 日に一旦再稼働したものの、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置が間に合わず、わずか 3 ヶ月間の営業運転で停止を余儀なくされていましたが、この短い運転期間中に二度もトラブルを発生させています。一つは、蒸気発生器中の 2 次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブルです。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としています。老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかった関電と原子力規制委員会のいい加減さは許されるものではありません。

 一方、美浜3号機と同じ加圧水型原発・高浜3、4号機、大飯3、4 号機でも、これらの原発は運転開始後 40 年に至っていないにも拘らず、たびたびトラブルが発生しています。例えば、高浜 3 号機では、定期点検中の本年 3月、蒸気発生器の伝熱管 3 本の外側が削れて管厚が大幅に減肉・損傷していることが発覚しています。関電は、伝熱管外側に自然発生した鉄さびの塊がはがれて、伝熱管を削ったためとしています。この配管損傷によって、5 月に予定していた再稼動は 2 ヶ月以上遅れました。同様な伝熱管損傷は、2020 年 11 月および去る 7 月 9 日、高浜 4 号機でも発覚しています。これらの原発の蒸気発生器 3 基の中には、腐食等によって、2 トン以上もの鉄さびや鉄イオンが発生しているとも報道されています。

 頻発するトラブルの中でも、約 320℃、約 160 気圧の高温・高圧水が流れる1次冷却系配管(蒸気発生器伝熱管など)の損傷は、とくに深刻です。これらの配管が完全破断すれば、1次冷却水が噴出して、原子炉が空焚きになり、メルトダウンに至る可能性があるからです。そのため、蒸気発生器は「加圧水型原発のアキレス腱」といわれていますが、美浜 3 号機の蒸気発生器は、取り替え後約 26 年を経た老朽機器で、配管の完全破断を起こしかねません。

 原子炉空焚き過酷事故の危険性が高い、老朽原発・美浜3 号機の運転はもってのほかです。

 ところで、政府や自治体は、原発過酷事故を想定した避難訓練を行っています。それは、原発は過酷事故を起こしかねないことを、政府や自治体が認めているからです。ただし、政府や自治体が考えている避難訓練は、原発立地自治体住民のごく一部のみが参加する日帰り訓練です。政府や自治体は、原発過酷事故では、極めて多数の住民が、何年も、何十年も、あるいは永遠に故郷を奪われることをあえて無視して、「避難訓練を行った」とするアリバイ作りをしているに過ぎません。このことは、昨年 3 月「避難計
画やそれを実行する体制が整えられているというにはほど遠い状態」として、老朽・東海第 2 原発の運転差止を命じた水戸地裁判決にも反映しています。

 なお、美浜原発から 100 km の圏内には、約 76 万人が住む福井県だけでなく、約 250 万人が住む京都府、約 140 万人が住む滋賀県のほぼ全域、大阪府、兵庫県、岐阜県、奈良県の多くの部分が含まれます。福島事故では、事故炉から約 50 km 離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、美浜原発で過酷事故が起こったとき、数百万人が避難対象となりかねません。避難は不可能です。30~80
km 圏内にある琵琶湖が放射性物質で汚染されれば、関西1450 万人が飲料水を失います。

 以上のように、原発は、トラブルが多発し、何万年もの未来にまで負の遺産となる使用済み核燃料を残し、一旦過酷事故を起こせば、事故終息は絶望的に困難で、多くの人々の故郷と生活基盤を奪い去り、戦争になれば、格好の攻撃目標になります。原発は、人類の手に負える装置ではありません。

 このような視点に立って、私たちは、貴関西電力に、以下を申し入れます。

【1】 危険極まりない老朽原発・美浜 3 号機の再稼働準備を即時中止し、廃炉を決定してください。

【2】 原発を動かせば、行き場がなく、子々孫々にまで負の遺産となる使用済み核燃料が増加します。貴社の有する全ての原発を停止し、安全な廃炉を進めてください。

 なお、7 月 13 日の東京地裁「東京電力(東電)株主代表訴訟]判決では、福島原発事故前の東電幹部の対応には「安全意識や責任感が根本的に欠如していた」と述べ、東電旧経営陣に、原発事故によって東電に与えた損害・13 兆円の賠償を命じています。

 貴職らが、多くの危険性指摘を無視して老朽原発を稼働しようとしていることは「安全意識や責任感が根本的に欠如している」との批判を受けて当然であり、圧倒的な「老朽原発うごかすな!」の民意を蹂躙して老朽原発を稼働させ、重大事故が起こった場合、それは貴職らの故意による犯罪であり、許されるものではないことを申し添えます。

2022 年 7 月 24 日

7.24「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」
参加者一同


 

◆関西電力 闇歴史◆071–5◆大飯原発4号機

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◆電動主給水ポンプミニマムフロー配管からの水漏れがあるも
 原因不明のまま再稼働

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[1] 電動主給水ポンプミニマムフロー配管からの水漏れ、ほか
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(1)2022年3月定検~7/15再稼働

(2)2022年7月上旬に調整運転を開始し、8月上旬に定期検査を終了する予定だったが、6月24日に電動主給水ポンプミニマムフロー配管からの水漏れ(二次冷却水)が発見された。あいた穴は直径1ミリ以下。それに対応するため、定期検査期間を7月下旬に延長したが、その後、配管を取り替えて、前倒しで7月15日に再稼働した。

・厚さ17ミリの配管で水漏れが起こるには、継続的な減肉作用があったのではないかと疑われるが、原因は不明。関電は、原因として「エロ―ジョンにより浸食され、配管に微小な穴があいた」と推定しているだけ。エロ―ジョンとは「高速となった液滴が、配管の内面などに衝突したときに、局所的に大きな衝撃力を発生させ、衝突部位が侵食される現象」とのこと。

(3)電動主給水ポンプミニマムフロー配管とは……蒸気発生器に給水するポンプには、主給水ポンプと補助給水ポンプがあり、それぞれ、電動のものと、タービン動のものとがある。ミニマムフロー配管とは、ポンプの過熱や過大振動を防止するために、ポンプの最小必要流量を確保する目的で設置されている。ポンプから出た水を当該配管を通じて脱気器に戻す系統であり、通常の運転時には使用しない。恒常的には動いていなくて、原子炉起動の時にのみ使われる。
(電動主給水ポンプ、ミニマムフロー配管について、目次ページの図→こちら

(4)原子炉水位の計測器の一つで指示値が表示されない「運転上の制限の逸脱」。閉止した元弁を開放しなかったというお粗末(2022/3/16~3/17)。小さいな人為ミスが恐い。ハインリッヒの法則→◆071-1◆

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[2] 関西電力「大飯発電所4号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2021年12月」
(→こちら)からみた大飯原発4号機 事故・故障等一覧
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・大飯4号機のトラブルは少ないようだが、内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆(このページ)
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071–4◆大飯原発3号機

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[1] 配管の穴や傷(2020年~)
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(4)2023/10/17、蒸気発生器の伝熱管2本で損傷。1本で管の厚みが減少しており(外面からの減肉)、1本は内側からの割れ。小型カメラで原因の調査などをするため、2024年1月上旬を予定していた本格運転が遅れる可能性。

(3)2022年8/24、特重施設未完で停止。その前日から定検とされ、12月までの予定

・→12/16再稼働

(2)2021年8/4、配管に4cmの穴でも運転継続

・タービンを回した蒸気を冷やすために海水を復水器に送る配管(循環水管ベント弁付近)からの水漏れ。→◆027◆

(1)2020年7/20、第18回定期検査~2021年7/3再稼働

・2020年7/20、定検のため、3時40分から出力降下中のところ、6時12分に原子炉炉心の出力が不均一になったことを示す警報が発信。2013年9/2にも同様の「運転上の制限の逸脱」が発生している。

・2020年7/20から始まった大飯原発3号機の定期検査で配管溶接部に深い傷があっても運転継続を主張(一次冷却材管と加圧器スプレイ配管の溶接部付近に深さ4.6mm、長さ67mmの傷)→◆019◆

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[2] 2008年4月、原子炉容器Aループ出口管台の溶接部で応力腐食割れ
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・圧力容器出口管台溶接部(インコネル600製)で深刻な応力腐食割れ(溶接などにより部品に引張応力が加わり損傷する経年劣化)が見つかった。関電は当初、「傷の深さが評価できない非常に浅いもの」と発表していた(4/17プレスリリース)。しかし実際には、傷の深さは必要肉厚の70㎜を割り込んでいた。関電は、研削を進めるために必要肉厚を64㎜に変更して削っていった。それでもまだ傷は現れ、再度必要肉厚を53㎜に変更して研削を進めた。関電は、傷の深さに合わせて必要肉厚を決めるかのように、必要肉厚を薄く変更する手法をとっている。

・当該部位は原子炉容器の一部でもあり放射線量が極めて高い部位。そのため取替は不可能と考えられる。取替不可能な部位で必要肉厚を下回った場合、運転できないのではないか。以上、グリーン・アクション、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)などによる(→こちら)。

・結局、関電は当該部位に肉盛溶接(溶接部全周を耐食性に優れた690系ニッケル基合金で肉盛)などをして済ませた(→こちら)。

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[3] 関西電力「大飯発電所3号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2020年12月」
(→こちら)からみた大飯原発3号機 事故・故障等一覧
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・大飯3号機のトラブルは少ないようだが、[2]の応力腐食割れが、この表では、No.2にサラリと書いてあるだけ。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆(このページ)
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071–3◆高浜原発4号機

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◆高浜原発4号機
 伝熱管損傷のほかにもトラブル続き

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[6] また伝熱管の損傷(2024/1/22)
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・2024年1月22日、定期検査中の高浜原発4号機で、蒸気発生器(SG、A~Cの3基ある)にある伝熱管に外面からの減肉損傷が見つかったと発表した。損傷が見つかった伝熱管は4本(A-SGの伝熱管2本およびC-SGの伝熱管2本)。4月5日を予定していた運転再開は遅れる可能性もあるとのこと。高浜原発3、4号機では定期検査のたびに、伝熱管の損傷が相次いて見つかっている。関電は今回の損傷もこれまでと同様、鉄の微粒子(スケール、2次冷却水に含まれる鉄の微粒子が、SG内に流れ集まって伝熱管に付着したもの)によると推定している。損傷が見つかった伝熱管4本は栓をして今後使わない。
・2月22日の発表では、2次系冷却水に含まれる鉄分が固まった鉄さびの塊も管周辺で見つかっており、運転による振動で配管と繰り返し接触したと推定とのこと。損傷の原因は、これまでの「微粒子(スケール)」から「鉄さび」になっている。
・なお、40年を超える長期運転を見据え、3号機は2026年10月までに、4号機では27年2月までに蒸気発生器を取り換える方針とのこと。

【参考…高浜原発の蒸気発生器細管の損傷。検査のたびにみつかる】
(①②~は、高浜3、4号機で発生順の通し番号。すでに8回連続!)
【高浜3号機】
2017年 7月に再稼働
①2018年 8月に 1本
③2020年 1月に 2本
⑤2022年 3月に 4本
⑦2023年10月に 2本
【高浜4号機】→◆071-3◆
2017年 6月に再稼働
②2019年 9月に 5本
④2020年10月に 4本
⑥2022年 6月に12本
⑧2024年 1月に4本

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[5] 復水器で海水混入
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・2023/5/29、タービンを回した後の蒸気(二次系)を水に戻す装置(復水器)の細管に穴が空いて、海水(三次系)が混入した。海水混入のあった復水器を点検。検査の結果、細管192本に微小な傷を検出したため、それらに施栓し使用しないことにしたとのこと。高浜4号機は、40年を迎えるにあたっての特別点検をしたのに。
↓ 以下、関電のプレスリリース
・高浜発電所4号機(定格熱出力一定運転中)において、5月29日20時13分、「復水ナトリウムイオン濃度注意」の警報が発信しました。関連計器の指示値を確認したところ、復水ポンプ出口のナトリウムイオン濃度の上昇に加え、2-復水器および蒸気発生器ブローダウン系統のカチオン(陽イオ
ン)電気伝導率も上昇していたことから、同日21時15分に2-復水器へ海水が混入していると判断しました。5月30日0時34分に、海水が混入した復水器のA2水室に供給している海水系統を隔離した結果、当該関連計器の指示値が低下したことを確認しました。その後、当該復水器以外の復水器を監視している計器の指示値に上昇等の異常はなく、冷却機能は正常であり、電気出力等も安定していることから、プラントの運転状態に問題はありません。

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[4] 制御棒も制御できない関西電力!
 中性子急減の警報が発信し、原子炉が自動停止(2023年1月30日)
 その直前、25日から制御棒関連の警報が3回でていたあげく

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 1月30日午後3時20分ごろ、原子炉内で中性子が急減したとの警報が出て自動停止した。4号機を含む加圧水型原子炉(PWR)では、中性子を吸収して核分裂反応を抑える制御棒(48本ある)が原子炉の上からつり下げられている。制御棒は通常、二つの爪で駆動装置に固定されているが、4号機では同月25日と29日、同装置の故障を知らせる警報が作動。30日午前0時すぎにも警報が出て、核分裂の連鎖反応を止める制御棒を炉心に送り出す装置の故障を検知し、固定用電磁石の電流が低下していることが分かった。そこで、原子炉内の制御棒を動かす装置を詳細に点検しようと、電磁石の電源の一つを切ったところ、原子炉が自動停止したという。

 原子力規制委の委員長は、 原発の安全確保の原則である「『止める、冷やす、閉じ込める』のうち、『止める』に関わる重要機能の一つにトラブルが発生した。大きな関心をもって対応に当たっている」と述べた。

 関電によれば、制御棒が落下した原因は、ケーブルが格納容器を貫通する部分に設けられている端子箱のところで他のケーブルに覆いかぶされて押されたためにはんだ付けが剥離し、制御棒を保持するための電磁コイルへの電流が弱くなったためと推定している。原因が解明されているとは言い難いにもかかわらず、関電は予備のケーブルに切り替え、3月24日に原子炉を起動、25日から発電を再開してしまった。
詳しくは→こちら

◆運転開始から37年、トラブル相次ぐ
 自動停止した高浜4号機は運転開始から37年がたち、関電は原則40年とする運転期間を超えて20年間の延長運転を、原子力規制委員会に申請する方針。立地自治体の県や町の了承を得る手続き中。最近では、経年劣化が要因とみられるトラブルも相次ぐ。
 関電の広報担当者は、30日夜、「これから調査する」「(どういう状況なのか)分からない」。規制委で報道各社の取材に応じた自動停止の原因や当時の状況などについて、ほとんど説明できなかった。
 高浜4号機は2019年以降、原子炉とは別の蒸気発生器内に長年の運転で鉄さびがたまり、配管に当たって傷つけるトラブルが続発。これまでの定期点検で3回確認され、対処しても再発を繰り返している。
 今回の停止と、経年劣化との関係を問われた関電の広報担当者は「原因調査をしないと分からないが、高経年化(経年劣化)とは関係ないと考えている」。

◆原子炉の自動停止、過去の例
 高浜原発では1988年12月にも、3号機内で中性子量の異常を知らせる警報装置が作動し、原子炉が自動停止するトラブルがあった。このときは制御棒4本が落下し、中性子量が急減したことがトラブルの原因。
 原子力規制庁によると、運転中の原発で原子炉が自動停止したのは、2011年10月、玄海原発4号機(佐賀県)でタービンを回した蒸気を水に戻す復水器に異常があったことを知らせる信号が出てタービンが止まり、原子炉が自動停止して以来とのこと。

◆4/24に再稼動
 関電によると、原因は、原子炉格納容器貫通部内で接続している電気ケーブルに接続不良が発生したことにより、制御棒駆動部のコイルに供給する電流値が低下し、制御棒1本が挿入されたため、中性子検出器の指示値が警報の設定値に至ったものと推定。これに対して、原子力規制庁の評価は「電流低下が発生するメカニズムについては、当該部分を実際に確認できていないことから、推測の域を出ないが、実際の電流低下のデータや当該部分にかかる負荷の状況から、関連する制御棒の電流低下が生じることはあり得ると評価する」とのこと。大丈夫か。安全最優先になっているのか。

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[3]「加圧器圧力逃がし弁出口温度高」警報で元弁を閉止(2022年10月)
 定検後の再稼働直前に。
 非常用ディーゼル発電機のトラブルも

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(1)高浜原発4号機は、2022年6月から定検。10月20日に、21日の再稼働を発表。21日再稼働の予定を関電が予告したのは、前日の20日。去る8月30日に再稼動した美浜3号機の再稼働予告も前日だった。関電は、直前の再稼働予告を定常化しようとしている。市民、地元住民、立地自治体などへの原発情報の提供を極力避けようとしているとしか考えられない。許されるものではない。

(2)ところが、再稼働当日の21日、再稼働直前に「加圧器圧力逃がし弁出口温度高」警報がなり、本弁を閉止する措置をとり、運転上の制限の逸脱により再稼働できなかった。弁に幅0.3ミリほどの傷が見つかり、そこから放射性物質を含む高温の水が配管の中に流れ出したことで温度が上昇したとみられるとのこと。定期検査中に、弁を分解した際に、小さな金属の粉が付着したのが原因という。再稼働の予定は発表されていなかったが、11/4、再稼働された。

(3)以下、「老朽原発うごかすな!実行委員会」のMLに配信された木原壯林さんの指摘。

 高浜原発4号機で21日発生したトラブルは、以下のように深刻なものです。

 トラブルは『1次冷却系の加圧器に設置されている「圧力逃し弁」の出口の温度が上昇しているとの警報が鳴り(1時間で42℃から77℃に上昇)、そのため、加圧逃し弁の元弁を閉止した』というものです。原子炉内で緊急事態が発生したとき、1次冷却系に緊急給水しなければなりませんが、1次冷却系の圧力が高すぎると、水が入りません。「圧力逃し弁」は、このような事態に至ったとき、1次冷却系の圧力を逃がすための弁で、緊急事態に対処する場合に、極めて重要なものです。この弁が正常に働かなければ、緊急給水できなくなる場合があります。高浜4号機には、3台設置されています。

 高浜4号機は、運転開始後37年の原発で、40年超えの運転を目指して特別点検を始めています。また、MOXを燃料とするプルサーマル運転を行っています。

 高浜4号機は運転後40年に至っていないにも拘らず、上記のようにボロボロです。45年を超えた老朽原発・美浜3号機、高浜1、2号機の運転などもっての他です。美浜3号機、高浜1、2号機の完全廃炉を勝ち取り、それを突破口に、原発のない社会を実現しましょう!

(4)以下、福井県発表文書の高浜原発3号機の非常用ディーゼル発電機(高浜4号用でもある)の運転上の制限逸脱についての説明(2022年11月1日)。→こちら

-非常用ディーゼル発電機の運転上の制限の逸脱
・定格熱出力一定運転中の10月30日、A-非常用ディーゼル発電機(DG)の定期的なターニングを実施した。ターニング完了後、ターニングギアが外れなくなり、A-DGを自動起動できなくなったため、保安規定の運転上の制限を満足していない状態にあると判断した。
・その後、油圧ジャッキ等を用いて、固着したターニングギアを取り外し、A-DGの確認運転を行い、健全性を確認したことから、運転上の制限を満足する状態に復帰した。
・今後、ターニングギアの詳細点検を実施し、原因調査を行う。

【ターニングの目的】非常用ディーゼル機関の潤滑油膜の保持等のため、外部モータを駆動源とする装置を接続し、非常用ディーゼル発電機の回転軸をゆっくりと回転させるもの(5日に1回実施)。

(5)以下、「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)」の抗議声明より。(2022年11月4日)(全文は→こちら

 高浜4号はこの間、安全上極めて重要な設備で事故を続発させている。7月8日に高浜3・4号で6回連続となる蒸気発生器(SG)細管の減肉損傷事故。原子炉起動しようとしていた10月21日に加圧器逃がし弁の出口温度が高温となる事故。そして同30日、高浜4号用でもある同3号の非常用ディーゼル発電機が起動不能となる事故を起こした。通常であれば運転再開を中止した上で、原因究明と対策を徹底するのが当然だった。しかし、全てまともな調査もしないまま原子炉を起動した。運転を最優先させる、関電の変わらぬ安全無視の行為に強く抗議する。

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[2] 相次ぐ伝熱細管損傷
 原因究明も対策もなく、さらに拡大
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(1)2022年6月からの定検で、蒸気発生器伝熱管12本の減肉が確認されたが、前々回および前回の定期検査においても、蒸気発生器伝熱管の減肉が発生している。

(2)前々回(第22回、2019年9月~)
…蒸気発生器伝熱管5本が減肉【最大減肉率:63%】。
・A-蒸気発生器内にステンレス薄片を確認したが、摩耗痕が確認されなかったため、原因となった異物は前回の定期検査時に混入していたものと推定。なお、異物は流出したものと推定。

(3)前回(第23回、2020年10月~)
…蒸気発生器伝熱管4本が減肉【最大減肉率:36%】。
・A-蒸気発生器の減肉箇所にスケールが残存。C-蒸気発生器の減肉箇所近傍から回収したスケールにも摩耗痕を確認し、原因は、スケールによる減肉と推定。しかし、このスケール説には、疑問の意見もある。
【スケールに対する対策】→薬品洗浄を実施

(4)今回(第24回、2022年6月~)
…蒸気発生器伝熱管12本が減肉【最大減肉率:49%】。
・高浜原発3、4号機で、これで連続6回、定期点検の度に配管損傷が見つかっている。原因を特定し対処することができていないので繰り返され、しかも、これまで最大5本の損傷であったものが、今回は12本にまで拡大
・関電は、今後の再発防止策として、「蒸気発生器」の中を高圧の水で洗浄したうえで、酸化物を除去する薬品の量をこれまでより増やすとのこと。こうした対策をとったうえ、10月下旬に運転を再開させる計画で、スケジュールに影響はないとしている。

(5)参考サイト…蒸気発生器伝熱管の損傷について
・守田敏也さんBiog「明日に向けて」→こちら ほか
・美浜の会→こちら
・関西電力、プレスリリース→こちら
・関西電力、原子力発電について 公開情報、運転上の制限に関する情報→こちら

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[1] 関西電力「高浜発電所4号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2014年6月」
(→こちら)からみた高浜原発4号機 事故・故障等一覧
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・高浜4号機のトラブルは蒸気発生器伝熱管で多い。その他の内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆(このページ)
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071–2◆高浜原発3号機

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◆高浜原発3号機…40年間近でトラブルが続発
 相次ぐ伝熱管損傷も無視
【付 原子力規制検査における対応区分】
【付 原子力規制委員会の検査指摘事項】

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[5] 相次ぐ蒸気発生器細管の減肉、割れ
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【参考…高浜原発の蒸気発生器細管の損傷。検査のたびにみつかる】
(①②~は、高浜3、4号機で発生順の通し番号。すでに8回連続!)
【高浜3号機】
2017年 7月に再稼働
①2018年 8月に 1本
③2020年 1月に 2本
⑤2022年 3月に 4本
⑦2023年10月に 2本
【高浜4号機】→◆071-3◆
2017年 6月に再稼働
②2019年 9月に 5本
④2020年10月に 4本
⑥2022年 6月に12本
⑧2024年 1月に4本

(4)第26回、2023年9月~。2本
…蒸気発生器伝熱管1本が外面の減肉【最大減肉率:63%】、もう1本が内側からの応力腐食割れ
・定期検査において、蒸気発生器伝熱管2本で損傷が発見された。1本で管の厚みが減少しており(外面からの減肉)、1本は内側からの割れ。小型カメラで原因の調査などをするため、2024年1月上旬を予定していた本格運転が遅れる可能性。関西電力は「内側の傷は、加工の際にかかった力により、ひずみができたことが影響したとみられ、外側の傷は、配管の表面にできた鉄の酸化物で削れたとみられる」と発表。伝熱細管損傷は、破断すればメルトダウンを起こしかねない。
・しかし、関電は、これまでと同様の原因推定と小手先の処置のみで、2023年12月22日に再稼働した。

(3)第25回、2022年3月~。4本
…蒸気発生器伝熱管3本が外面の減肉【最大減肉率:57%】。内面で応力腐食割れが1本
・外面の減肉について、摩耗痕のあるスケールは回収できなかったが、各蒸気発生器から採取したスケールの性状、摩耗試験等の調査の結果、スケールによる減肉と推定
【スケールに対する対策】→薬品洗浄の前に小型高圧洗浄装置による洗浄を実施し、薬品洗浄を実施
【規制庁は再稼働優先】
蒸気発生器伝熱管については、2018年、2020年の定期検査においても、同様の減肉があった。規制庁は、「次もやっぱりまだこういう事象が起きる可能性というのは否定できないという感じですよね、それは皆さんもそう思ってられますよね。」との認識で稼働を了承。原子力規制は安全最優先でなく、再稼働優先。

(2)第24回、2020年1月~。2本
…蒸気発生器伝熱管2本が減肉【最大減肉率:56%】。
・AおよびC-蒸気発生器内にガスケットフープ材(ガスケット=固定用シール、フープ=金属製薄帯板)を確認。C-蒸気発生器伝熱管の損傷原因を異物と推定。B-蒸気発生器伝熱管の損傷原因となった異物は流出したものと推定。(蒸気発生器はA~Cの3基設置されている)
【スケールに対する対策】→薬品洗浄を実施(薬液を二次系配管の中をまわし、不純物を除去してスケール付着を防ぐこと、「水質調整」)

(1)第23回、2018年8月~。1本
…蒸気発生器伝熱管1本が減肉【減肉率:20%未満】。
・減肉指示のあった箇所付近にスケール(2次冷却水に含まれる鉄の微粒子が伝熱管に付着したもの)を確認。スケールの回収中に破損したため、スケール以外の異物による減肉と推定。異物は流出したものと推定。しかし、このスケール説には、疑問の意見もある。

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[4] 高浜3号機、トラブル続発で規制委が報告書の提出を求める(2023年8月)
 その後、規制委が約40時間の追加検査を実施する
 また、原子力規制検査における対応区分が引き下げられた
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・高浜3号機では、2022年7月~2023年4月、重大事故に対処する設備でトラブル(運転上の制限の逸脱)が1年間に4件(下記 [3] 印)発生した。このため「原子力規制検査における対応区分」において、「事業者が行う安全活動に軽微な劣化がある状態」とみなされ、追加検査が必要になった。原子力規制委員会は、2023/8/23、関電に対し、再発防止に向けた報告書の提出を求める通知を発出。規制委は関電から報告書を受け取り次第(期限は11月末)、原子力規制庁の検査官により、のべ40時間程度の追加検査を実施し、有効な再発防止策がとられているかなどを確認する。

・また、高浜3号機について、原子力規制検査における対応区分を引き下げた。原子力規制検査では、「事業者の自律的な改善が見込める」とされる第1区分から「発電所の運転が許容されない」とされる第5区分まであり、年1回、各発電所ごとに対応区分が定められている。高浜原発3号機について原子力規制検査における対応区分を1段階引き下げ「規制機関による対応が必要」とされる第2区分とした。対応区分が引き下げられるのは、東京電力の柏崎刈羽原発に続いて2か所目。
【 参 考 】 明日に向けて 守田敏也website
「明日に向けて(2373)……高浜原発3号機に対し原子力規制委員会が「追加検査の対応区分引き下げ」を通告! 超老朽1号機だけでなく3,4号機も危険。関電は高浜原発を全て止めるべきだ!」
こちら

・高浜原発では1、2、4号機でもトラブルが多い。規制委の山中委員長は「高浜原発は労働災害も多く、何らかの組織上の問題があると推測する。一度きちんと見直して、総合的な原因究明をして欲しい」と述べた。
 
◆009◆再稼働を急ぐ老朽原発で、労災人身事故が多発(2019~21年)
◆010◆安全文化の欠如でクレーン倒壊(2017年)
◆021◆蒸気発生器で伝熱細管の損傷が多発(2018~22年、高浜3、4)
◆047◆老朽原発、高浜原発1、2号機運転延長担当の課長が自殺(2016年4月)
◆058◆高浜1、2号機再稼働策動のデタラメ、その1~その3(2021~22年)
◆067◆保安規程違反のまま特重施設を運用(2022年)
◆070◆高浜4号機、並列直後に発電機と原子炉が自動停止(2016年2月29日)

【付 原子力規制検査における対応区分】こちら(2023/8/23現在)
(第1区分)事業者の自律的な改善が見込める状態…下記以外のすべての稼働原発
(第2区分)監視領域の軽微な劣化…高浜3号機
(第3区分)監視領域の劣化…該当なし
(第4区分)複数/繰り返しの監視領域の劣化…柏崎刈羽1~7号機
(第5区分)許容できない管理状態…該当なし

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[3] 重大事故に対処する設備でトラブルが続発
 規制委が再発防止に向けた改善計画の提出を求める(2023年4月)

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 原子力規制委員会は2023/4/25の定例会合で、高浜原発3号機の重大事故に対処する設備でトラブルが相次いでいるとして、関電に対し、再発防止に向けた改善計画の提出を求める(下記のが対象トラブル)方針を確認した。規制委は今後、改善計画の実施状況を確認する約40時間の「追加検査」を実施する。2020年に始まった新検査制度でトラブルの重要度を評価した場合(原子力規制委員会の検査指摘事項)、4段階中3番目の「安全への影響があり、規制関与の下で改善を図るべき水準」にあたるとのこと。

  • 2023/4/22…運転上の制限の逸脱。蒸気発生器水位計のうち、ATWS緩和設備(異常な過度変化時において、原子炉トリップに失敗した場合に原子炉を未臨界にする設備→ こちら )に使用している1系統の指示値が低下(「シグナルセレクタCH除外」の警報)。関電サイト( →こちら)。
  • 2023/4/20…通信事業者による衛星通信回線不具合による衛星電話(携帯)の使用不能。重大事故時に外部と連絡を取る衛星電話が使えなかった。
  • 2023/3/15…原子炉補機冷却水冷却器(原子炉の運転に必要な各系統の機器…ポンプ,冷凍機,熱交換器などの冷却を行う系統。機器の冷却により原子炉補機冷却系に吸収された熱は、原子炉補機海水系との熱交換器を通じて海水へ放出→ こちら )からの冷却水の漏えい。漏えいの可能性があるC原子炉補機冷却水冷却器を詳細に点検した結果、伝熱管1本に微小な貫通穴を確認。また、当該冷却器の伝熱管全数(2810本)について、渦流探傷検査(ECT)を実施。その結果、当該伝熱管1本を含む108本の伝熱管の厚さが判定基準を満足していないことを確認したことから、それらの伝熱管を施栓し、使用しないこととした。
  • 2022/10/30…非常用ディーゼル発電機ターニング装置の不調。非常用ディーゼル発電機の定期的なターニング(ディーゼル機関内の油潤滑を行うため、定期的に主軸を別のモーターを用いて回転させる作業)を実施したが、ターニング完了後、ターニングギアが外れなくなり同発電機を自動起動できなくなった。
  • 2022/7/21…タービン動補助給水ポンプ(外部電源を喪失したときなどに蒸気発生器に給水する重要機器)の周辺の床に、油約8リットルが漏れる。
  • 2022/7/13…原子炉水位伝送器フランジ部からのにじみ漏れ(下記 [2] (6) 参照)
  • 2022/7/6…特定重大事故等対処施設に、必要な部品が取り付けられていなかった。
  • 2022/6/7…使用済燃料ピットエリア監視カメラ(重大事故等時に水位・温度を監視)の動作不能。
  • 2022/3/30…蒸気発生器伝熱管の損傷(下記 [2] (5) 参照)

▼原子炉補機冷却水冷却器こちらによる。

【付 原子力規制委員会の検査指摘事項】
 検査の結果、事業者の活動目的の達成状況が十分でない事項で事業者に指摘する必要があると判断したもの。重要度評価を行い、以下の4つのレベルに分類される。
:安全確保の機能・性能への影響があるが、限定的かつ極めて小さなものであり、
 事業者の是正プログラムにより改善すべき水準。
:安全確保の機能・性能への影響があり、安全裕度の低下は小さいものの、
 規制関与の下で改善を図るべき水準。今回は、このレベル。
:安全確保の機能・性能への影響があり、安全裕度の低下が著しい水準。
:安全確保の機能・性能への影響が大きく、施設の使用などが許容できない水準。

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[2] いろいろなトラブルで再稼働延期(2022年6~7月)
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2022年3月定検~

(4) 7月21日、外部電源を喪失したときなどに蒸気発生器に給水する重要な「タービン動補助給水ポンプ」(→◆025◆)周辺の床に、油約8リットルが漏れる→このため、予定の7/23に再稼働できず。7/23再稼働予定→ポンプのトラブル→7/24再稼働→7/26並列

(3) 7月13日、原子炉容器内にある水位計(原子炉水位伝送器フランジ部)で、放射性物質を含んだ水のにじみ跡を確認。原子炉容器内の水位を確認する伝送器(原子炉容器内部から中央制御室に情報を伝える)の検出部フランジ(配管継手)部で水のにじみ跡が確認された。関電は原因を明らかにせず、部品を取り替えただけ。
 

 
(2) 7月6日、特定重大事故等対処施設で、一部の部品が装着されていないことが判明(高浜4号機でも同様のトラブル)→◆067◆

(1) 6月7日、使用済み燃料ピットエリアにある監視カメラ1台の映像が映らない不具合が起き、機器を交換

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[1] 関西電力「高浜発電所3号炉 高経年化技術評価書(30年目)
 2014年1月」
(→こちら)からみた高浜原発3号機 事故・故障等一覧
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・高浜3号機のトラブルは蒸気発生器伝熱管で多い。その他の内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆(このページ)
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071–1◆美浜原発3号機

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◆美浜原発3号機…老朽原発を再稼働(>_<)
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[1] 2021~23年、再稼動前後
 2021年わずか4か月の稼働中にもトラブル → (2) (3)
 1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの汚染水漏れ(2022年8月)→ (6)
 ホウ酸水注入系の圧力低下(2022年8月)→ (7)

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▲左の1、2号機は廃炉。右端、老朽原発の3号機は再稼働。

(9) 2023/1/2、予備変圧器を経由した外部からの受電ができない状態となった。送電線の一部で停電が発生したことによる。その後、送電線が復旧して予備変圧器に異常がないことを確認したが、運転上の制限の逸脱。

(8) 2022/8/30、前日(22時間前)発表で突如、再稼働の傲慢さ。以下おもな経過。
・5/29「原発のない明日を―老朽原発このまま廃炉!大集会in おおさか―」に2100 人
・7/24…美浜町「老朽原発・美浜 3 号うごかすな!現地全国集会」に300人、町内デモなど
・8/1…封水注入フィルタ装置のボルトが指示どおり締められていなかったことによる放射性物質を含んだ水7トンが漏洩。8/10再稼働予定を延期。→ (6)
・8/10…美浜町「老朽原発・美浜3号再稼働阻止現地緊急行動」に80人。町内デモなど
・8/19…関電は、追加点検の結果を踏まえて工程を判断するという条件で、原子力規制委員会に、23日に再稼働の予定と報告。23日再稼働は、当初は福井県にも知らせず、プレスリリースもなしで再稼働させようとしていた疑い
・8/21…ホウ酸水注入系、アキュムレータの圧力が規定値を下回り、制限逸脱。→ (7)
・8/29…15:00頃、翌日に再稼働するとプレスリリースで発表。発表の翌日に再稼働するのは、極めて異例。前日発表、それも22時間前発表とは、関電の傲慢さ、住民無視、市民無視の悪意を感じさせる。姑息さと臆病さも。デモ申請は72時間前までに必要なので、間に合わない。デモ申の72時間前もおかしい(>_<)が、デモをしないでも、抗議はできる。
・8/30…13:00に、再稼働。美浜原発前、美浜町の関電原子力事業本部前で、緊急の抗議行動。前日の連絡にもかかわらず、30人が参加。

(7)2022/8/21、一次冷却系統のほう酸水注入のための機器の圧力低下→再稼働未定
(ホウ酸水注入系、アキュムレータ=蓄圧機について、目次ページの図→こちら
 ・老朽原発美浜3号機、8/1の放射性物質を含む水7トン漏洩に続いて、8/21また、「運転上の制限」逸脱のトラブル。
・「運転上の制限」(LCO : Limiting Conditions for Operation)逸脱とは、保安規定に定められている機器等に不適合が生じ,一時的に LCOを満足しない状態が発生したこと。事業者は LCO 逸脱を宣言し,あらかじめ定められた時間内に当該機器を復旧させるか,それができない場合は原子炉を停止させるなどの措置を講じなければならない。
・今回は、一次冷却系統のほう酸水注入(これって緊急時の動作)のための機器の圧力が低下。中央制御室で警報が鳴るも、3分で回復し、制限逸脱から回復したという。
・タンクの圧力は正常な数値に戻ったものの、原因は不明で調査中とされていたが、後、作業用の資機材が当たったためと、下請けの責任に転嫁。
・美浜3号機では、昨年、わずか4か月、再稼働されていたときにも、2件の大きなトラブルを起こしている。上記、(2) (3)を参照のこと。
・大事故を未然に防ぐためには、日頃から不注意、不安全な行動による小さなミス、ヒヤリハットが起きないようにすることがきわめて重要。一歩間違えれば大事故が起きる可能性がある原発では、こうした考え方が必須のはず。小さなトラブルも起こさないようにし、起こってしまった場合にも的確な対策を講じることが必要だが、関電は大丈夫か。

【補足–②】
関電のプレスリリースでは、2022年8月29日に、下記記載がある。運転上の制限逸脱のアキュムレータ圧力低下は、作業用足場の資材などが弁に当たっただけ。不注意な下請けが悪い、という感じ。
→関電のプレスリリースはこちら
→関電の運転上の制限に関する情報はこちら

【補足–③】
 一次冷却系統のほう酸水注入のための機器とは…原子炉冷却水喪失事故時など、1次冷却系統の圧力が低下した際には、原子炉の暴走を防ぐために、ほう酸水を1次冷却系統に注入しなければなりませんが、ほう酸水は、逆止弁を介して1次冷却系につながっている蓄圧タンク(アキュムレータ)に蓄えられています。そのタンクの圧力が低下していることが確認されたのです。
 下請け任せの上に、責任感と科学的常識のない、関電および下請けの技術者、作業者、監督者、点検者・・・が原発を動かそうとしています。原発を動かそうとする体制自体が腐敗しているのです。この事態は、一旦、体制全てを解体して、総点検しなければ、改善されません。ただし、体制を根本的に刷新して判断すれば、原発運転は、無理だという結論に至るでしょう。無理な原発を動かそうとするから腐敗が生まれるのかもしれません。「先端科学技術」といわれた原子力は、今や、「腐敗した科学技術」の象徴です。(再処理工場稼働の26回延期、東海再処理工場高レベル廃液処理の中断頻発、もんじゅの廃炉と廃炉作業の遅れ、福島事故炉の廃炉作業の遅れ、使用済み燃料貯蔵地探し期限の再三の延期、原発特重施設の建設の遅れ、などなどもこのことを実証しています。)(「若狭の原発を考える会」木原壯林さんの指摘)

【補足–④】
 ハインリッヒの法則とは…事故の発生についての経験則。1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れている、というもの。

(6)2022/8/1放射能汚染水7トンが漏洩→再稼働延期
(1次系ポンプ封水注入フィルタについて、目次ページの図→こちら
再稼働予定8/10の直前にトラブル。関電によると、原子炉補助建屋内で、放射性物質を含む水約7,000リットル(7立方メートル、7トン)が漏れた。放射能は220万ベクレルと推定され、外部へは漏れていないという(370万ベクレルを超えると法令上のトラブル扱いとなる)。漏えいがあったのは1次冷却水を循環させるポンプに注入する高圧の封水(「封水」とは、高温・高圧の1次冷却水を原子炉圧力容器に送るポンプから1次冷却水が外部に漏れないようにシールするためにポンプの外側に満たした高圧水のこと)を浄化するフィルターの付近。7/31の点検では漏えいは確認されていなかった。
・同機は10日に再稼働を予定していたが、再稼働は延期。
一次系の汚染水がもれるというのは、たいへんな深刻な事態だ。関電のプレスリリースを読んでも、なぜ一次系の汚染水が漏れたのか、理解不能。新聞記事を読んでも分からない。新聞記者は、関電の発表をそのまま垂れ流すだけでなくて、もっと大事な問題点をきちんと質問してくれないと(>_<)。
・関電のプレスリリース→こちら(この件の図解は最終ページp.17、添付資料7)

【補足–①】
上記、封水注入フィルタ室からの汚染水の漏えいは、2007年に大飯原発1号機で同じようなトラブルが起きている。関電のプレスリリースでは、2007年9月7日に、下記記載がある。
「大飯発電所1号機の原子炉手動停止に伴う点検結果について
(1次冷却材ポンプ封水注入フィルタからの水漏れの原因と対策)」
こちら

(5)2022/6/10、運転再開予定の前倒しを発表
・その後、関電は、10/20に予定していた美浜3号機の運転再開(並列=送電線に接続)を8月12日に前倒しすると発表。再稼働(原子炉起動)は8月10日と推測された。特定重大事故等対処施設の運用開始は、2022年7月下旬という

(4)2021/10/25、特重施設未完で停止
・6/23再稼働から4か月後の10/25、特定重大事故等対処施設の未完で停止せざるをえなくなり、形式的には、定検に入った。運転再開予定は、2022年10/20とされた。

(3)2021/10/6、非常用ディーゼル発電機が停止
・非常用ディーゼル発電機を起動したら、中央制御室で警報が鳴り、自動停止した。保安規定では非常用ディーゼル発電機は2基がいずれも動作することが求められている。
・自動調速装置に不具合があったということで交換。この自動調速装置を設置しているのは高浜1、2号と美浜3号のみで、いずれも中央制御室の制御盤のデジタル化に伴い、手動から自動化する際の作業でミスと分かった。そのミスが分かったのは、高浜2号で点検してみて、同じ事象が発生したから。
・規制委(原子力規制部検査グループ安全規制管理官、実用炉監視担当)「美浜3号は、最初は偶発的ではないかということで収めようとしていたのです。実はうちの事務所(原子力規制事務所)の方でも、これは偶発ではないだろうなと結構いろいろとああだこうだと問いかけをしていて、その間、実は関西電力の方でも、高浜2号でも試験をするので注意深く見てみようということでやったら、(美浜3号と同様に)動いているではないかという話になったということです。」規制委がいろいろ問いかけをして初めて、関電が調査に動いたということで、関電に安全第一という姿勢がみられない。

(2)2021/7/3、フィルターが鉄さびで目詰まり
・蒸気発生器中の2次冷却水が喪失したとき、緊急給水するポンプに大きな圧力がかかるトラブル。関電は、「ポンプ入り口にある金属製のフィルターに鉄さびが詰まったことが原因」としているが、老朽原発を全国に先駆けて動かそうとして準備してきたにも拘らず、鉄さびによる目詰まりにも気づかなかったのか。

(1)2021/6/23、老朽原発として初めて再稼働するもトラブル続出
・2021年6/23、40年超え老朽原発として初めて再稼働。
・しかし、トラブルが続いた。以下、(2) (3)を参照のこと。

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[2] その他、美浜3号機のこれまでのトラブル–別記項目へのリンク
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・老朽美浜3号機、内部告発やトラブルが続く(2021年)→◆033◆
・関電は美浜3号機の使用済み燃料の交換可能年数を2倍に水増し(2021年)→◆031◆
・老朽美浜3号機の「フィルター目詰まり」の重大な意味(2021年)→◆025◆
・美浜原発3号機で 死亡5名、重軽傷6名の重大事故(2004年)→◆004◆
・美浜3号機…建設時、生コンに大量加水、強度検査も不正(2000年)→◆084◆

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[3] 関西電力「美浜発電所3号炉 高経年化技術評価書(40年目)
 2015年11月」
(→こちら)からみた美浜原発3号機 事故・故障等一覧
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・美浜3号機のトラブルはひじょうに多い。それぞれの内容は調査が必要。
・「高経年化対策に関する報告書」の一覧 →こちら

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
「2018~22年度のトラブル 一覧表」、「関電の原発の稼働状況 一覧表」 → ◆071◆

・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆(このページ)
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆071◆


▲関西電力原子力事業本部(美浜町)

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原発再稼働に猛進する関電、トラブル続出
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2018~23年度のトラブル 一覧表
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▲2018~23年度のトラブル一覧表。この表は画像(リンクは入っていません)。表をクリックすると拡大されます。(2023/5/2 のプレスリリースまで)

【「2018~23年度のトラブル 一覧表」の補足説明】
・2018~23年度(2023年度は2023/5/2のプレスリリース掲載分まで)。
・表中、新聞報道はあったものの、プレスリリースに掲載がない(と思われる)労災が2件ある。
 労災ではなくて、私傷病扱いになったのか?
・法令上の位置づけ。*1~*3 は 各月の関電プレスリリースによる。
  *1  法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)
  *2  安全協定の異常時報告事象
  *3  保全品質情報等
  *4  運転上の制限の逸脱。(~日付)は復旧した日付、その他は即日復旧。
     データはこちら による。
・図解のリンク先
  ※1 関電、原子力発電所の運営状況について(2022/9/2)→こちら
  ※2 関電、原子力発電所の運営状況について(2022/8/1)→こちら
  ※3 関電、安全対策工事における協力会社作業員の労働災害(死亡事故)→こちら
  ※4 関電、高浜発電所4号機 B-加圧器逃がし弁の出口温度上昇について →こちら
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関電の原発の稼働状況 一覧表
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▲関電の原発の稼働状況一覧表。2023/10/26 現在。表をクリックすると拡大。この表は画像。
【「関電の原発の稼働状況 一覧表」の補足説明】
※1建設費は『日本の原子力施設全データ(完全改訂版)』(講談社BLUEBACKS)による
※2 美浜3号機の運転開始は、Wikiでは1976年3月15日となっていたが、その後、訂正。現在の関電広報では1976年12月(日付なし)。朝日新聞東京版1976年12月2日付では1976年12/1から営業運転開始

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「次世代原発」の候補地として取り沙汰されているのは、美浜原発
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 東日本大震災前に進んでいた原発建設計画は、以下の通り。
(1)中国電力…島根原発 3号機(島根・松江市)→着工済
(2)電源開発…大間原発(青森・大間町)→着工済
(3)東京電力…東通原発 1、2号機(青森・東通村)→1号機は着工済・中断
(4)東北電力…浪江・小高原発(福島・浪江町/南相馬市)→計画断念
(5)東北電力…東通原発 2号機(青森・東通村)
(6)日本原電…敦賀原発 3、4号機(福井・敦賀市)
(7)中国電力…上関原発 1、2号機(山口・上関町)
(8)九州電力…川内原発 3号機(鹿児島・薩摩川内市)
(9)中部電力…浜岡原発 6号機(静岡・御前崎市)
(10)関西電力…美浜原発 4号機(福井・美浜町)。報道では、原発回帰の政府内で「次世代原発」の最有力候補地とされる。1、2号機は廃炉作業中。3号機は稼働から40年を超えた老朽原発で、2021年に再稼働されたものの、既に先が見えている。地元の原発推進派は、原発のない町の将来像を描くどころか、さらに原発に浸りきろうとする嗜好を強めている。
【参考サイト】森と暮らすどんぐり倶楽部こちら。美浜町の住民としてブログで「世界の大変動の中で、何を一番警戒するかと言われれば、岸田政権の原発推進路線への転換です。」と語る。

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◆関連リンク(別項目へのリンク)
・加圧水型原発(PWR)の仕組みと最近のトラブル個所 →図解
・蒸気発生器伝熱管 →◆021◆
・再稼働を急ぐ老朽原発で人身事故が多発(2019~21年)→◆009◆
・社長が「労災防止」を誓った3日後にも重傷労災(2020年)→◆008◆
・高浜原発のMOX燃料 ◆003◆【付 (8) 】
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・美浜原発3号機のトラブル → ◆071-1◆
・高浜原発1号機のトラブル → ◆071-6◆
・高浜原発2号機のトラブル → ◆071-7◆
・高浜原発3号機のトラブル → ◆071-2◆
・高浜原発4号機のトラブル → ◆071-3◆
・大飯原発3号機のトラブル → ◆071-4◆
・大飯原発4号機のトラブル → ◆071-5◆
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◆070◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆072◆

◆関西電力 闇歴史◆070◆

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◆高浜4号機、並列直後に発電機と原子炉が自動停止
 報道陣が見守る中、中央制御室に警報が鳴り響く(2016年2月29日)
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 高浜原発4号機は、2016年2月、第20回定期検査中に報道陣の前でとんだ失態を演じ、
3月には大津地裁の仮処分決定で停止を余儀なくされた。

【経 過】

・2/20…1次冷却水が漏れる不具合。原子炉補助建屋の脱塩塔室前(EL10.5m)の床面に水溜り(約2m×約4m×約1mm:約8リットル)を発見。
その後、水溜り(放射能量は約1.4×10(4)Bq(約1.74Bq/cm3×8リットル))(「10(4)」の表記は「10の4乗」を示す)は拭き取り、水溜りのあった箇所は汚染が無いことを確認。
また、漏えいした水については、この水溜り以外にも、床面に漏れた水が原子炉補助建屋サンプ等に回収されたものもあり、これらを全て合わせると約34リットルであり、この放射能量は約6.0×10(4)Bqと評価。関電は、配管の弁のボルトを締め直すなどの対策
以上、関電プレスリリース→こちら

・2/26
…原子炉を起動(再稼働)
・2/27…核分裂が安定して続く「臨界」に達する

・2/29…発電機と送電線をつないで送電を開始する操作(並列)をした途端に、発電機がストップし、原子炉も緊急停止。原子炉は核分裂反応を抑える制御棒48本が自動で挿入されて止まった。発電した電気の電圧を上げる「主変圧器」を保護する検出器が異常な電流を検知したことが原因という。このとき、中央制御室には報道陣も入っていた。関電の公表基準では、今回は「原子炉を停止し、必要な対策を実施」するもので、「速やかに公表」する最高段階のレベル4に相当。なお、関電の姿勢は、『正常に緊急停止したから正常』。

以下、関電プレスリリース→こちら

高浜発電所4号機の原子炉自動停止について(第3報)
 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉:定格出力87.0万kW)は、平成28年2月29日14時01分26秒、並列操作を実施したところ、14時01分26秒、発電機が自動停止し、「主変・発電機内部故障」および「PT(計器用変圧器)故障」の警報が発信し、14時01分27秒タービンおよび原子炉が自動停止しました。
 その後、発電機が自動停止した際、「主変・発電機内部故障」の警報が発信していたため、現地のリレー盤にて、当該警報の発信要素の動作リレーを確認したところ、主変圧器の故障を示す検出回路が動作していることを確認しました。
 その結果、発電機自動停止回路が作動したことから、発電機が自動停止に至ったと考えられます。

・3/9…大津地裁において、高浜発電所3、4号機の再稼動禁止を求める仮処分命令申立てが認められ、高浜原発は停止に追い込まれた。

【映 像】

中央制御室内で警報が鳴り響き、運転員が豊松秀己副社長(当時)(→◆050◆、北新地の「トヨちゃん」)に異常を報告する様子などの YouTube 映像 →こちら

【写 真】

▼関電高浜原発4号機で発送電を開始する作業中に原子炉が停止し、中央制御室で状況を確認する運転員ら(29日午後、福井県高浜町)=代表撮影

◆069◆ ←← 関西電力 闇歴史 →→ ◆071◆

◆老朽原発の再稼働をやめるよう、関電に申し入れ書

2022年7月11日

関西電力株式会社
社長 森 望 殿

NPO法人 使い捨て時代を考える会
京都市下京区富小路仏光寺下る筋屋町141
Tel 075-361-0222  Fax 075-361-0251

申し入れ書
運転開始後40年を超える老朽原発「美浜原発3号機」の再稼働を断念してください

 運転開始から40年を超えた美浜原発3号機を8月に再稼働予定とのことです。

 先の最高裁判決では福島原発事故に国の賠償責任はないとされました。たとえ規制権限を行使したとしても津波による事故は回避できなかったとして国の責任を否定したものでした。国の規制基準を満たしていたとしても巨大災害には対処できなかったと言っているのです。

 運転年月の短い原発でさえ様々な不具合や事故を起こし、たびたび不安を与えているのに、運転開始後40年を超える老朽原発を動かすとは言語道断です。ちなみに福島第一原発は事故当時運転開始からちょうど40年目でした。地震、火山噴火、豪雨などが多発する中で、いかに安全対策をしようとも事故を防げるとは思えません。

 貴社は立地自治体への原発マネー不正還流まで行って原発を動かしています。そこまでしないと動かせないのは、原発が「危険極まりない嫌われる設備」ということの証明です。老朽原発の再稼働を急ぐのは経営上のメリットであり、原発容認の政策に沿ったものと考えられますが、「命よりお金」の選択としか思えません。貴社をはじめ電力業界は電気が足りなくなるという宣伝をしていますが、オール電化などで電力需要拡大を勧めたのは電力業界ではなかったでしょうか。停電の可能性をちらつかせて節電を言っていますが、街は電気の明かりに満ちています。節電の要請は原発依存を高める宣伝のように聞こえます。

 多くの命と生活を奪った福島原発事故を思い起こしてください。過酷事故が起きた時の対応はできると思われますか。避難はできるのでしょうか。使用済み核燃料の後始末はできるのでしょうか。未来に生きる人びとに負の遺産を残すことに疑問を感じないのですか。

 もう原発に依存することはやめてください。安全でクリーンなエネルギーに転換してください。

老朽原発運転計画を直ちに中止してください。